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JP3639191B2 - 物体認識方法及び装置、記録媒体 - Google Patents

物体認識方法及び装置、記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーダ手段によって、例えば光波,ミリ波などの送信波を照射し、その反射波を検出して車両前方の物体を認識する物体認識装置が考えられている。この種の装置としては、例えば、先行車両などの障害物を検出して警報を発生する装置や、先行車両と所定の車間距離を保持するように車速を制御する装置などに適用され、それらの制御対象としての先行車両などの物体認識に利用されている。
【0003】
ところで、このような物体認識に際しては、1つの物体に対する認識結果として、正しい物標モデルと一時的に作られたノイズ的な物標モデルが併存することがある。この物標モデルは、例えば次のような物体情報を持つ。車幅方向をX軸、車長方向をZ軸とし、物体の中心位置(X,Z)、大きさ(W,D)、相対速度(Vx,Vz)、停止物体であるか移動物体であるかの認識種別、自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率、物体の認識状態が安定か否か、物体の前回位置を基にして得た今回の推定位置と今回の認識位置との偏差などである。
【0004】
このように1つの物体に対して複数の物標モデルが併存することは好ましくなので、ノイズ的な物標モデルを削除したい。そのため、両物標モデルが位置的に同一になった場合には、いずれか一方を削除すればよい。別の観点で言えば、位置的に同一になったのであるから、いずれかの物体情報を引き継ぐようにすればよい。従来は、その削除の基準として、継続して認識されている時間の長い方を残し、短い方を削除していた。つまり、認識継続時間の長い方の物体情報が引き継がれることとなる。これは、正しい物標モデルの方が一時的に作られたノイズ的な物標モデルよりも長く認識され続けている可能性が高いのではないかという考えに基づくものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、必ずしも認識継続時間が長い方がノイズ的な物標モデルであるとは限らないため、従来手法の場合には、ノイズ的な物標モデルの方を残してしまう可能性もある。その場合、例えば正しい物標モデルの自車線確率は高くて先行車として選択されていたのに、ノイズ的な物標モデルの自車線確率は低くて先行車として選択されないレベルであれば、現在位置が同じであるにもかかわらず、今まで先行車として選択されていた物体が先行車として選択されなくなってしまう。つまり「先行車ロスト」状態になってしまう。
【0006】
また、このような先行車ロストが発生しなくても、相対的に認識継続時間が長くても安定した認識がされていないノイズ的な物標モデルがあった場合には、たとえ安定した認識がされている正しい物標モデルがあっても、その認識継続時間が相対的に短いために正しい物標モデルの方が削除されてしまう。そのため、残ったノイズ的な物標モデルを用いる上述の車間制御などにおいて安定した制御ができなくなってしまう。
【0007】
また、ノイズ的な物標モデルの過去の位置と現在の位置の偏差が正しい物標モデルの偏差よりも大きい場合には、そのノイズ的な物標モデルを用いる車間制御などにおいてことによって相対速度の変化を実際よりも大きくとらえてしまい、不要な制御(つまり不要な加減速)を実行してしまうこととなる。
【0008】
そこで本発明は、このような不都合を解消するため、1つの物体に複数の認識結果が対応している場合に、正しい認識結果を誤って削除してしまうことを防止し、ノイズ的な認識結果を極力削除できる物体認識技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項に示す発明は、請求項1に示した物体認識方法を実現するための装置としての一例であり、請求項記載の物体認識装置によれば、レーダ手段が車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出し、そのレーダ手段による検出結果に基づき認識手段が車両前方の物体を認識するのであるが、車両前方の複数の物体を同時に認識可能であると共に、各認識物体に対応する物体情報も把握可能である。この物体情報としては、少なくとも物体の位置及びその物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率が含まれる。
【0010】
そして過去においては別個の物体であると認識していた2以上の物体が、その物体情報中の物体の位置に基づいて判断すると、位置的に同一となっている場合が考えられる。例えば本来は同じ物体に対する認識結果であるにもかかわらず、ノイズ的な認識結果が併存していた場合などである。そこで請求項1記載の装置の場合には、このような場合に1の物体であると認識すると共に、その物体に対応する物体情報として、自車線確率が過去において所定値以上であった物体に対応する物体情報を引き継ぐことにした。
【0011】
上述したように、従来は継続して認識されている時間の長い方の認識結果を残し、短い方を削除していたが、必ずしも認識継続時間が長い方がノイズ的な認識結果であるとは限らない。そのため、ノイズ的な認識結果の方を残してしまい、自車線確率は高くて先行車として選択されていた正しい認識結果の方を削除してしまうと、今まで先行車として選択されていた物体が先行車として選択されなくなってしまい、「先行車ロスト」状態になってしまう。それに対して、本装置の場合には、自車線確率が過去において所定値以上であった物体に対応する物体情報を引き継ぐことにしたため、例えば先行車として採用可能な自車線確率以上であった物体の物体情報を引き継ぐようにすれば、先行車ロストという不都合を回避できる。なお、「位置的に同一」とは、物理的な完全同一をいうのではなく、物体認識という観点から実質的に同一とみなしても構わない程度のものをいう。
【0012】
また、請求項に示す発明は、請求項2に示した物体認識方法を実現するための装置としての一例であり、請求項記載の装置の場合には、物体情報として、少なくとも物体の位置及びその物体の認識状態が安定か否かを把握可能である。そして、過去においては別個の物体であると認識していた2以上の物体が位置的に同一となっている場合、認識状態が安定な物体に対応する物体情報を引き継ぐこととした。このようにすることで、正しい認識結果の方の認識継続時間がノイズ的な認識結果よりも短い場合であっても、認識状態が安定していれば物体情報が引き継がれるため、例えばこの認識結果を用いて車間制御などが実行された場合、安定した制御を実行できることとなる。
【0014】
ところで、請求項3記載の装置の場合には、自車線確率が過去において所定値以上であった物体に対応する物体情報を引き継ぐことにしたが、正しい認識結果に対応する自車線確率だけでなく、ノイズ的な認識結果に対応する自車線確率もまた所定値以上であることも考えられる。また逆に、ノイズ的な認識結果に対応する自車線確率だけでなく正しい認識結果に対応する自車線確率もまた所定値未満であることも考えられる。これらの場合には、自車線確率だけではどの認識結果に対応する物体情報を引き継げばよいか判定できないこととなるので、別の判定条件を加味する必要がある。その場合、次のようにすることが考えられる。
【0015】
まず、請求項5記載の装置の場合には、物体情報として、自車線確率だけでなく認識状態が安定か否かも把握できるようにし、自車線確率が過去において所定値以上であった物体が複数ある場合、あるいは全くない場合には、認識状態が安定な物体に対応する物体情報を引き継ぐ。また、請求項6記載の装置の場合には、物体情報として、自車線確率だけでなく位置偏差も把握できるようにし、自車線確率が過去において所定値以上であった物体が複数ある場合、あるいは全くない場合には、位置偏差が最も小さい物体に対応する物体情報を引き継ぐ。さらには、請求項7記載の装置に示すように、物体情報として、自車線確率だけでなく認識状態が安定か否か及び位置偏差も把握できるようにし、自車線確率が過去において所定値以上であった物体が複数ある場合、あるいは全くない場合には、まず認識状態に基づく判定を行う。つまり、認識状態が不安定でない物体が1つだけあれば、その物体に対応する物体情報を引き継ぐ。しかし、認識状態が安定な物体が2つ以上ある場合あるいは全くない場合には判定できないので、その場合は位置偏差が最も小さい物体に対応する物体情報を引き継ぐ。
【0016】
一方、請求項4記載の装置の場合には、認識状態が安定な物体に対応する物体情報を引き継ぐことにしたが、正しい認識結果に対応する認識状態だけでなく、ノイズ的な認識結果に対応する認識状態も安定していることも考えられるし、逆に、両者とも認識状態が安定していないことも考えられる。これらの場合には、認識状態だけではどの認識結果に対応する物体情報を引き継げばよいか判定できないこととなるので、請求項に示すように、位置偏差による条件を加味することが考えられる。つまり、認識状態が安定な物体が2つ以上ある場合、あるいは全くない場合には、位置偏差が最も小さい物体に対応する物体情報を引き継ぐのである。
【0017】
なお、上述した「認識状態が安定か否か」については、請求項に示すように、物体の相対加速度に基づいて把握することができる。つまり、物体の相対加速度が、通常の交通環境において車両として取り得にくい値であれば「認識状態が不安定」であると把握する。これは、過大な相対加速度を持つものは先行車でないか、正常に検出できていない可能性が高いため、そのような物体の物体情報を引き継がないようにするためである。
【0018】
なお、請求項10に示すように、物体認識装置の認識手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明が適用された車両制御装置1について、図面と共に説明する。この車両制御装置は、自動車に搭載され、警報すべき領域に障害物が所定の状況で存在する場合に警報を出力したり、前車(先行車両)に合わせて車速を制御したりする装置である。
【0020】
図1は、そのシステムブロック図である。車両制御装置は認識・車間制御ECU3を中心に構成されている。認識・車間制御ECU3はマイクロコンピュータを主な構成として入出力インターフェース(I/O)および各種の駆動回路や検出回路を備えている。これらのハード構成は一般的なものであるので詳細な説明は省略する。
【0021】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5、車速センサ7、ブレーキスイッチ9、スロットル開度センサ11から各々所定の検出データを入力しており、警報音発生器13、距離表示器15、センサ異常表示器17、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に所定の駆動信号を出力している。また認識・車間制御ECU3には、警報音量を設定する警報音量設定器24、警報判定処理における感度を設定する警報感度設定器25、クルーズコントロールスイッチ26、図示しないステアリングホイールの操作量を検出するステアリングセンサ27及びヨーレートセンサ28が接続されている。また認識・車間制御ECU3は、電源スイッチ29を備え、その「オン」により、所定の処理を開始する。
【0022】
ここで、レーザレーダセンサ5は、車両前方の測定エリアの中心方向を中心にし、車幅方向の所定角度の範囲でレーザ光を不連続(例えば0.15degおき)に掃引照射(スキャン)して出力する。スキャンエリアは、例えば0.15deg×105点=16degである。そして、反射光を検出すると共に、反射光を捉えるまでの時間に基づき、前方の物体までの距離を検出する。なお、レーザ光を用いるものの他に、ミリ波等の電波や超音波等を用いるものであってもよいし、走査方法についても、送信部をスキャンさせるものに限られるものではなく、例えば受信部をスキャンするものであってもよい。
【0023】
認識・車間制御ECU3は、このように構成されていることにより、レーザレーダセンサ5からの測距データを基にして物体を認識し、その認識物体から得た先行車の状況に合わせて、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力することにより車速を制御する、いわゆる車間制御を実施している。また、認識物体が所定の警報領域に所定時間存在した場合等に警報する警報判定処理も同時に実施している。この場合の物体としては、自車の前方を走行する前車やまたは停止している前車あるいは路側にあるガードレールや支柱物体等が該当する。
【0024】
続いて認識・車間制御ECU3の内部構成について制御ブロックとして説明する。レーザレーダセンサ5から出力された測距データは物体認識ブロック43に送られる。
物体認識ブロック43では、測距データとして得た距離データとスキャン角度θについては、レーザレーダ中心を原点(0,0)とし、車幅方向をX軸、車両前方方向をZ軸とするXZ直交座標に変換する。そして、この直交座標に変換し計測データに基づいて、物体の中心位置(X,Z)、大きさ(W,D)を求めると共に、中心位置(X,Z)の時間的変化に基づいて、自車位置を基準とする前車等の障害物の相対速度(Vx,Vz)を求める。さらに物体認識ブロック43では、車速センサ7の検出値に基づいて車速演算ブロック47から出力される車速(自車速)Vと上記求められた相対速度(Vx,Vz)とから物体が停止物体であるか移動物体であるかの認識種別が求められ、この認識種別と物体の中心位置とに基づいて自車両の走行に影響する物体が選択され、その距離が距離表示器15により表示される。なお、物体の大きさを示す(W,D)は、それぞれ(横幅,奥行き)である。
【0025】
また、ステアリングセンサ27からの信号に基づいて操舵角演算ブロック49にて操舵角が求められ、ヨーレートセンサ28からの信号に基づいてヨーレート演算ブロック51にてヨーレートが演算される。そしてカーブ半径(曲率半径)算出ブロック57では、車速演算ブロック47からの車速と操舵角演算ブロック49からの操舵角とヨーレート演算ブロック51からのヨーレートとに基づいて、カーブ半径(曲率半径)Rを算出する。そして物体認識ブロック43では、このカーブ半径Rおよび中心位置座標(X,Z)などに基づいて自車線確率を算出する。この自車線確率については後述する。
【0026】
このようなデータを持つ物体のモデルを「物標モデル」と呼ぶこととする。
この物体認識ブロック43にて求めたデータが異常な範囲の値がどうかがセンサ異常検出ブロック44にて検出され、異常な範囲の値である場合には、センサ異常表示器17にその旨の表示がなされる。
【0027】
一方、先行車判定ブロック53では、物体認識ブロック43から得た各種データに基づいて先行車を選択し、その先行車に対する距離Zおよび相対速度Vzを求める。
そして、車間制御部及び警報判定部ブロック55が、この先行車との距離Z、相対速度Vz、クルーズコントロールスイッチ26の設定状態およびブレーキスイッチ9の踏み込み状態、スロットル開度センサ11からの開度および警報感度設定器25による感度設定値に基づいて、警報判定ならば警報するか否かを判定し、クルーズ判定ならば車速制御の内容を決定する。その結果を、警報が必要ならば、警報発生信号を警報音発生器13に出力する。また、クルーズ判定ならば、自動変速機制御器23、ブレーキ駆動器19およびスロットル駆動器21に制御信号を出力して、必要な制御を実施する。そして、これらの制御実行時には、距離表示器15に対して必要な表示信号を出力して、状況をドライバーに告知している。
【0028】
このような車間制御や警報判定に際しては、その前提となる物体認識が適切に行われていることが重要である。そこで、上述した物体認識ブロック43において実行される物体認識にかかる動作について説明する。
図2のフローチャートに物体認識に係るメイン処理を示す。図2の最初のステップであるS1では、レーザレーダセンサ5から1スキャン分の測距データの読み込みを行う。レーザレーダセンサ5でのスキャン周期は100msecとし、100msec毎にデータを取り込むこととする。
【0029】
続くS2では、データのセグメント化を行う。上述したように、測距データとして得た距離データとスキャン角度θについては極座標系からXZ直交座標系に変換し、その変換後のデータをグルーピングしてセグメントを形成する。この様子を図5(a)に示す。本実施形態では、点認識されたデータ同士のX軸方向の距離△Xが0.2m以下、Z軸方向の距離△Zが2m以下という2条件を共に満たす場合に、その点集合を一体化してセグメントデータを求める。このセグメントデータは、一体化された点集合を含むような大きさに設定された、X軸及びZ軸に平行な2辺を持つ長方形の領域であり、中心座標(X,Z)と大きさを示すための2辺のデータ(W,D)をデータ内容とする。
【0030】
続くS3では、認識対象の個々の車両などを物標化する物標化処理を行う。物標Bi(iは自然数)とは、一まとまりのセグメントに対して作成される物体のモデルである。この物標化処理を図2(b)、図3、図4のフローチャートなどを参照して説明する。
【0031】
物標化処理においてはまず、物標モデルの対応セグメントを検索する(S31)。これは、前回までに得た物標モデルが、今回検出したセグメントの内のいずれと一致するかを検索する処理であり、物標Biに対応するセグメントとは次のように定義される。図5(b)に例示するように、まず物標Biが前回処理時の位置Bi(n-1) から前回処理時における相対速度(Vx,Vz)で移動したと仮定した場合、現在物標Biが存在するであろう推定位置Bi(n) を算出する。続いて、その推定位置Bi(n) の周囲に、X軸,Z軸方向に所定量△X,△Zの幅を有する推定移動範囲BBを設定する。そして、その推定移動範囲BBに少なくとも一部が含まれるセグメントを対応するセグメントとする。
【0032】
続くS32では、物標Biのデータ更新処理を実行する。この処理は、図3に示すように、対応するセグメントがあれば(S321:YES)、物標モデルの過去データの更新(S322)及び現在位置データの更新(S323)を行う。更新されるデータは、中心座標(X,Z)、幅W、奥行きD、X軸方向,Z軸方向の相対速度(Vx,Vz)、中心座標(X,Z)の過去4回分のデータ、自車線確率Pなどである。なお、対応するセグメントがない場合は(S321:NO)、物標モデルのデータ更新は行わない。
【0033】
続くS33では、新規物標モデルの登録を行う。これは、物標モデルと対応しないためS32において物標モデルになれなかったセグメントを、新規の物標モデルとして登録する処理である。但し、物標モデルには数の制限があるため、物標モデル数が所定個数(例えば8個)を超えている場合には、新規物標モデルになれるとは限らない。
【0034】
続くS34では物標のマージ処理を行う。この処理は、一つの物体に対して正しい物標モデルが1個と一時的に作られたノイズ的な物標モデル1個が対応しているときに、ノイズ的な物標モデルを削除するために行う。この処理の詳細を図4を参照して説明する。図4の最初のステップS324では、マージ対象物標か否かを判定する。ここで、物標Aと物標Bとがマージ対象物標となる条件について説明する。図6(a)に示すように、X軸方向については、いずれかの物標が他方の物標に内包される関係にあることが条件とされ、Z軸方向には、2物標の中心間距離ΔZが所定のしきい値未満であることが条件とされる。これらの条件を共に満たすマージ対象物標であれば(S341:YES)、S342以下の処理を行って、マージ対象物標となっている物標A、物標Bのいずれかを残す(逆に言えばいずれかを削除する)処理を行う。
【0035】
S342では、物標状態が同じかどうかを判断する。ここでいう物標状態とは移動物か停止物かという状態であり、物標状態が異なる場合は(S342:NO)、従来から採用されていた所定条件に合致する物標を残す(S350)。この「所定条件」とは、次の通りである。
【0036】
▲1▼所定時間(例えば2秒)以上見えている移動物があれば、その物標モデルの方を残す。
▲2▼▲1▼に該当する物標モデルがない場合は、認識継続時間が長い方の物標モデルを残す。
【0037】
一方、物標状態が同じ場合は(S342:YES)、まず自車線確率Pに基づく条件判定を行う。S343では、物標Aの前回の自車線確率をPa(%)、物標Bの前回の自車線確率をPb(%)とし、先行車として採用するしきい値をX(%)とした場合に、[Pa≧X且つPb≧X]であるか又は[Pa<X且つPb<X]となっているか否かを判定する。
【0038】
S343にて否定判断される場合は、両物標A,Bの自車線確率Pa,Pbのいずれか一方のみがしきい値X以上となっており、他方はしきい値X未満であるため、いずれの自車線確率Pa,Pbが大きいかを判定する(S344)。そして、Pa>Pbであれば(S344:YES)、物標モデルAを残し(S345)、Pa≦Pbであれば(S344:NO)、物標モデルBを残す(S349)。これによって、先行車である可能性が高い方の物標モデルが残ることとなる。
【0039】
一方、S343にて肯定判断される場合は、両物標A,Bの自車線確率Pa,Pbが共にしきい値X以上であるか、共にしきい値X未満であるので、自車線確率によって判定しない。これは、たとえPa>Pbであったとしても、自車線確率Pa,Pbが共にしきい値X以上である場合は、物標Aの方を残すのが必ずしも適切であるとは限らないからである。
【0040】
そこで、S346へ移行して、次は認識状態が安定か不安定かに基づいて判定する。具体的には、物標A,Bのいずれか一方の物標のみが安定な認識状態(つまり他方は不安定な認識状態)である場合には(S346:YES)、物標Aが安定な認識状態であれば(S347:YES)、物標Aを残し(S345)、物標Bが安定な認識状態であれば(S347:NO)、物標Bを残す(S349)。
【0041】
この「認識状態が安定か否か」については、物体の相対加速度に基づいて判定することが考えられる。つまり、物体の相対加速度が、通常の交通環境において車両として取り得にくい値であれば「認識状態が不安定」であると把握する。これは、先行車が正しく物標として認識されている場合には、物標位置は時間的変化に伴って比較的緩やかに変化するため、相対加速度の絶対値は所定の判定内に収まる。したがって、過大な(絶対値の)相対加速度を持つものは先行車でないか、あるいは正常に検出できていない可能性が高いため、そのような物体の物体情報を引き継がないようにするためである。
【0042】
但し、物標A,Bが共に安定な認識状態であるか、あるいは共に不安定な認識状態である場合には(S346:NO)、認識状態に基づく判定ができないので、さらに別の条件判定を行う(S348)。それが偏差による判定である。この偏差とは、物標について、前回位置を基にして得た今回の推定位置と今回の認識位置との偏差であり、ここでは、自車位置を基準とした「距離の偏差」として捉える。図6(b)を参照してさらに説明する。認識対象物として物標A,Bがあり、それぞれについて、「今回得られた距離+今回の相対速度×測距周期」によって次回の推定距離Az,Bzが求められる。そして、次周期において物標A,Bが合体して形成された対象物Cについて現在の距離Czが得られるが、この現在の距離Czと上述の推定距離Az,Bzとの差の絶対値を偏差とする。
【0043】
S348では、物標Aの偏差|Cz−Az|が物標Bの偏差|Cz−Bz|以下かどうかを判定する。そして、|Cz−Az|≦|Cz−Bz|であれば(S348:YES)、物標Aを残す(S345)。一方、|Cz−Az|>|Cz−Bz|であれば(S348:NO)、物標Bを残す(S349)。つまり、推定した位置と現在の位置との差が少ない方が(ノイズ的な物標ではなく)正しい物標である可能性が高いため、そちらを優先して採用している。
【0044】
このようにして、マージ対象物標についていずれか一方の物標を残す処理を行った後は、図2(b)に示す自車線確率の算出を行う(S35)。自車線確率とは、物標が自車と同一レーンを走行している車両である確からしさを表すパラメータである。本実施形態では、自車線確率瞬時値(その瞬間の検出データに基づいて算出された値)を算出した後、所定のフィルタ処理を施して自車線確率を求める。
【0045】
まず、物標の位置を、直線路走行時の位置に換算する。もともとの物標の中心位置を(Xo,Zo)としたとき、次の変換式により、直線路変換位置(X,Z)が得られる(図7(a)参照)。
X ← Xo−Zo2/2R …[式1]
Z ← Zo …[式2]
R:カーブ半径算出ブロック57で得た推定R
右カーブ:符号正
左カーブ:符号負
なお、円の方程式は、|X|≪|R|,Zという仮定のもとで、近似した。また、レーザレーダセンサ5が車両中心から離れたところに取り付けられている場合には、車両中心が原点になるようにX座標を補正するものとする。すなわち、ここでは実質的にはX座標のみ変換している。
【0046】
このように直進路に変換して得られた中心位置(X,Z)を、図8に示す自車線確率マップ上に配置して、各物体の瞬時自車線確率、すなわち、その時点で自車線に存在する確率を求める。確率として存在するのは、カーブ半径算出ブロック57(図1参照)にて求めた曲率半径Rは認識物標あるいは操舵角などから推定した値であり、実際のカーブの曲率半径との間に誤差が存在するからである。その誤差を考慮した制御をするため、ここで各物体の瞬時自車線確率を求める。
【0047】
図8において、横軸はX軸、すなわち自車の左右方向であり、縦軸はZ軸、すなわち自車の前方を示している。本実施形態では、左右5m、前方100mまでの領域を示している。ここで領域は、領域a(自車線確率80%)、領域b(自車線確率60%)、領域c(自車線確率30%)、領域d(自車線確率100%)、それ以外の領域(自車線確率0%)に別れている。この領域の設定は、実測により定めたものである。特に、領域dは自車直前への割込も考慮することにより設定された領域である。
【0048】
領域a,b,c,dを区切る境界線La、Lb,Lc,Ldは、例えば次の式3〜6で与えられるものである。なお、境界線La′、Lb′,Lc′,Ld′は、それぞれ境界線La、Lb,Lc,LdとはY軸で対称の関係にある。
La: X=0.7+(1.75-0.7)・(Z/100)2 …[式3]
Lb: X=0.7+( 3.5-0.7)・(Z/100)2 …[式4]
Lc: X=1.0+( 5.0-1.0)・(Z/100)2 …[式5]
Ld: X=1.5・(1-Z/60) …[式6]
これを一般式で表すと次式7〜10のようになる。
【0049】
La: X=A1+B1・(Z/C1)2 …[式7]
Lb: X=A2+B2・(Z/C2)2 …[式8]
Lc: X=A3+B3・(Z/C3)2 …[式9]
Ld: X=A4・(B4-Z/C4) …[式10]
この式7〜10から一般的には、次の式11〜13を満足させるように領域を設定する。実際の数値の決定は、実験にて決定する。
【0050】
A1≦A2≦A3<A4 …[式11]
B1≦B2≦B3 および B4=1 …[式12]
C1=C2=C3 (C4に制約無し) …[式13]
なお、図8の境界線La、Lb,Lc,La′、Lb′,Lc′は、計算処理速度の点から、放物線としているが、処理速度が許すならば、円弧にて表す方が良い。境界線Ld,Ld′についても処理速度が許すならば外側に膨らんだ放物線または円弧にて表す方が良い。
【0051】
次に、各物標の直線路換算位置を図8の自車線確率マップと照合する。下記要領で、マップと照合することで、自車線確率瞬時値P0 が得られる。
▲1▼領域dを少しでも有する物体 → P0=100%
▲2▼領域a内に中心が存在する物体 → P0= 80%
▲3▼領域b内に中心が存在する物体 → P0= 60%
▲4▼領域c内に中心が存在する物体 → P0= 30%
▲5▼上記▲1▼〜▲4▼を全て満たさない物体 → P0= 0%
そして、各物標ごとに自車線確率瞬時値を算出したら、次に、下式を用いて、フィルタ処理をする。ここで、αは距離Zに依存するパラメータであり、図7(b)のマップを用いて求める。自車線確率の初期値は、0%とする。
自車線確率←自車線確率前回値×α+自車線確率瞬時値×(1−α)
そして、この自車線確率も含めた物標モデルのデータが図1に示す物体認識ブロック43から先行車判定ブロック53へ出力される。なお、先行車判定ブロック53では、例えば自車線確率が所定のしきい値(例えば50%)以上の物標の中で、距離Zが最小のものを先行車と判断する。この判断結果、すなわち先行車と判定した認識物標とそれに対する自車線確率を車間制御部及び警報判定部ブロック55に出力されることとなる。
【0052】
なお、図4のS343において自車線確率Pに基づく条件判定を行ったが、この際、先行車として採用するしきい値をX(%)とした。このしきい値Xは、先行車判定ブロック53で採用している上述のしきい値(例えば50%)と同じで構わない。
【0053】
本実施形態においては、レーザレーダセンサ5がレーダ手段に相当し、認識・車間制御ECU3の物体認識ブロック43が認識手段に相当する。また、図2〜4に示す処理が認識手段としての処理の実行に相当する。
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置1では、マージ対象物標について物標状態が同じであれば(S341:YES,S342:YES)、まず自車線確率に基づく判定を行い、先行車として採用可能な自車線確率を持つ物標を残すようにした(S343,S344,S345,S349)ため、先行車ロストという不都合を回避できる。つまり、従来は、継続して認識されている時間の長い方の認識結果を残し、短い方を削除していたが、必ずしも認識継続時間が長い方がノイズ的な認識結果であるとは限らない。そのため、ノイズ的な認識結果の方を残してしまい、自車線確率は高くて先行車として選択されていた正しい認識結果の方を削除してしまうと、今まで先行車として選択されていた物体が先行車として選択されなくなってしまい、「先行車ロスト」状態になってしまっていたが、このように自車線確率に基づくことでそのような不都合を回避できる。
【0054】
また、自車線確率では判定ができない場合については(S343:NO)、物標の認識状態に基づく判定を行い、安定な認識状態の物標を残すようにした(S346,S347,S345,S349)。そのため、正しい認識結果の方の認識継続時間がノイズ的な認識結果よりも短い場合であっても、認識状態が安定していれば物体情報が引き継がれるため、安定した車間制御や車間警報を実行できることとなる。
【0055】
そして、認識状態でも判定ができない場合については(S346:NO)、距離偏差が小さな方の物標を残すようにした(S348,S345,S349)。このようにすることで距離偏差が相対的に大きくなる可能性の高いノイズ的な認識結果を残して正しい認識結果を誤って削除してしまうことが防止できるため、相対速度の変化を実際よりも大きくとらえてしまい、車間制御などにおいて不要な加減速制御を実行してしまうことを防止できる。
【0056】
なお、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
(1)例えば、上記実施形態では、自車線確率・認識状態・距離偏差の3つの判定を組み合わせたが、その内の一つのみでも実現は可能である。また、これらの内のいずれか2つの組合せでも実現は可能である。但し、車間制御や車間警報の対象となる先行車を選択することを前提とした物体認識であるので、上述したように、自車線確率・認識状態・距離偏差の3つの判定をその順番で行うことが好ましい。
【0057】
(2)上記実施形態でのレーザレーダセンサ5は、車幅方向(X軸方向)の所定角度の範囲でレーザ光をスキャンして、物体の2次元位置(X,Z)を検知可能な構成であったが、例えばレーザ光を車幅方向及び高さ方向(Y軸方向)それぞれの所定角度の範囲で2次元的にスキャンするようにして物体の3次元位置(X,Y,Z)を検知可能な構成にしてもよい。例えばスキャンエリアとして、X軸方向には0.15deg×105点=16deg、Y軸方向には0.7deg×6ライン=4degとすることが考えられる。この場合、まずY軸方向に見た最上部に位置する第1走査ラインについてX軸方向にスキャンする。これで1走査ライン分の検出がなされるので、次に、Y軸方向に見た次の位置にある第2走査ラインにおいても同様にX軸方向にスキャンする。このようにして第6走査ラインまで同様のスキャンを繰り返す。したがって、105点×6ライン=630点分のデータが得られることとなる。そして、このような2次元スキャンの場合には、図2(a)のセグメント化処理において次のようにすることが考えられる。つまり、上述した6本の走査ライン毎に、上記実施形態の場合と同様にX軸方向距離及びZ軸方向距離について所定の近接状態となる点集合を一体化してセグメントデータ(プリセグメントデータと呼ぶ)を求め、走査ライン間においてもY軸方向に所定の近接状態であるプリセグメントデータ同士を一体化することで最終的なセグメントデータ(本セグメントデータと呼ぶ)を求める。
【0058】
このような3次元的な一体化を施した本セグメントデータを基にした物標を前提とする場合には、図4のS341におけるマージ対象物標か否かの判定に、さらにY軸方向の条件も加えてもよい。例えば、本セグメントデータを構成するプリセグメントデータのレベルにおいて、同一の高さのプリセグメントデータを持つことを条件にすることが考えられる。
【0059】
(3)上記実施形態では、物体認識ブロック43において、レーザレーダセンサ5から得た距離データとスキャン角度θを極座標系からXZ直交座標系に変換していたが、レーザレーダセンサ5において直交座標系に変換してから物体認識ブロック43に出力するようにしてもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では「レーダ手段」としてレーザ光を用いたレーザレーダセンサ55を採用したが、ミリ波等の電波や超音波等を用いるものであってもよい。また、スキャン方式にこだわる必要はなく、距離以外に方位を測定できる方式であればよい。そして、例えばミリ波でFMCWレーダ又はドップラーレーダなどを用いた場合には、反射波(受信波)から先行車までの距離情報と先行車の相対速度情報が一度に得られるため、レーザ光を用いた場合のように、距離情報に基づいて相対速度を算出するという過程は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は物体認識に係る処理を示すフローチャートであり、(b)は(a)の処理中で実行される物標化処理を示すフローチャートである。
【図3】図2(b)の処理中で実行される物標モデルのデータ更新処理を示すフローチャートである。
【図4】図2(b)の処理中で実行される物標のマージ処理を示すフローチャートである。
【図5】(a)は測距データのセグメント化の内容を示す説明図であり、(b)は物標に対応するセグメントの説明図である。
【図6】(a)はマージ対象物標の説明図であり、(b)は距離偏差の説明図である。
【図7】(a)は各物標位置を直線路走行時の位置に変換する際の説明図であり、(b)は自車線確率を求めるためのパラメータαのマップの説明図である。
【図8】 自車線確率マップの説明図である。
【符号の説明】
1…車両制御装置、3…認識・車間制御ECU、5…レーザレーダセンサ、7…車速センサ、9…ブレーキスイッチ、11…スロットル開度センサ、13…警報音発生器、15…距離表示器、17…センサ異常表示器、19…ブレーキ駆動器、21…スロットル駆動器、23…自動変速機制御器、24…警報音量設定器、25…警報感度設定器、26…クルーズコントロールスイッチ、27…ステアリングセンサ、28…ヨーレートセンサ、29…電源スイッチ、43…物体認識ブロック、44…センサ異常検出ブロック、47…車速演算ブロック、49…操舵角演算ブロック、51…ヨーレート演算ブロック、53…先行車判定ブロック、55…車間制御部及び警報判定部ブロック、57…カーブ半径算出ブロック

Claims (10)

  1. 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識する物体認識方法であって、
    車両前方の複数の物体を同時に認識可能であると共に、各認識物体に対応する物体情報として、少なくとも物体の位置及びその物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率を把握可能であり、
    過去においては別個の物体であると認識していた2以上の物体が位置的に同一となった場合には、1の物体であると認識すると共に、その物体に対応する物体情報として、前記自車線確率が過去において所定値以上であった物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識方法。
  2. 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識する物体認識方法であって、
    車両前方の複数の物体を同時に認識可能であると共に、各認識物体に対応する物体情報として、少なくとも物体の位置及びその物体の認識状態が安定か否かを把握可能であり、
    過去においては別個の物体であると認識していた2以上の物体が位置的に同一となった場合には、1の物体であると認識すると共に、その物体に対応する物体情報として、認識状態が安定な物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識方法。
  3. 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
    該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の複数の物体を同時に認識可能であると共に、各認識物体に対応する物体情報として、少なくとも物体の位置及びその物体が自車と同一車線上に存在する確率である自車線確率を把握可能な認識手段とを備えた物体認識装置であって、
    前記認識手段は、
    過去においては別個の物体であると認識していた2以上の物体が位置的に同一となった場合には、1の物体であると認識すると共に、その物体に対応する物体情報として、前記自車線確率が過去において所定値以上であった物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識装置。
  4. 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
    該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の複数の物体を同時に認識可能であると共に、各認識物体に対応する物体情報として、少なくとも物体の位置及びその物体の認識状態が安定か否かを把握可能な認識手段とを備えた物体認識装置であって、
    前記認識手段は、
    過去においては別個の物体であると認識していた2以上の物体が位置的に同一となった場合には、1の物体であると認識すると共に、その物体に対応する物体情報として、認識状態が安定な物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識装置。
  5. 請求項に記載の物体認識装置において、
    前記認識手段は、
    前記物体情報として、さらに認識状態が安定か否かを把握可能であり、
    前記自車線確率が過去において所定値以上であった物体が複数ある場合、あるいは全くない場合には、認識状態が安定な物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識装置。
  6. 請求項に記載の物体認識装置において、
    前記認識手段は、
    前記物体情報として、さらに前回位置を基にして得た今回の推定位置と今回の認識位置との偏差を把握可能であり、
    前記自車線確率が過去において所定値以上であった物体が複数ある場合、あるいは全くない場合には、前記位置偏差が最も小さい物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識装置。
  7. 請求項に記載の物体認識装置において、
    前記認識手段は、
    前記物体情報として、さらに認識状態が安定か否か及び前回位置を基にして得た今回の推定位置と今回の認識位置との偏差を把握可能であり、
    前記自車線確率が過去において所定値以上であった物体が複数ある場合、あるいは全くない場合には、認識状態が安定な物体が1つだけあれば、その物体に対応する物体情報を引き継ぎ、認識状態が安定な物体が2つ以上ある場合、あるいは全くない場合には、前記位置偏差が最も小さい物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識装置。
  8. 請求項に記載の物体認識装置において、
    前記認識手段は、
    前記物体情報として、さらに前回位置を基にして得た今回の推定位置と今回の認識位置との偏差を把握可能であり、
    認識状態が安定な物体が2つ以上ある場合、あるいは全くない場合には、前記位置偏差が最も小さい物体に対応する物体情報を引き継ぐこと
    を特徴とする物体認識装置。
  9. 請求項4,5,7,8のいずれか記載の物体認識装置において、
    前記認識手段は、
    前記認識状態が安定でないことを、前記物体の相対加速度が、通常の交通環境において車両として取り得にくい値であることによって把握すること
    を特徴とする物体認識装置。
  10. 請求項3〜9のいずれか記載の物体認識装置の認識手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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