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JP3634550B2 - 投影レンズの収差測定方法 - Google Patents

投影レンズの収差測定方法 Download PDF

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JP3634550B2
JP3634550B2 JP08504297A JP8504297A JP3634550B2 JP 3634550 B2 JP3634550 B2 JP 3634550B2 JP 08504297 A JP08504297 A JP 08504297A JP 8504297 A JP8504297 A JP 8504297A JP 3634550 B2 JP3634550 B2 JP 3634550B2
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    • G03F7/70483Information management; Active and passive control; Testing; Wafer monitoring, e.g. pattern monitoring
    • G03F7/70591Testing optical components
    • G03F7/706Aberration measurement

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Lenses (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は投影レンズの収差測定方法に関し、詳しくは半導体集積回路、特に回路パターン形成に用いられる投影露光装置など各種光学装置の評価や調整および各種マスクパターンの補正に有用な投影レンズの収差測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、半導体集積回路の高性能化および高集積化は、半導体集積回路を構成する各種回路パターンを微細化することによって達成され、このような微細な回路パターンは光リソグラフィを用いて形成されてきた。光リソグラフィは、原画マスク(レチクル)が有する所定のパターンを、半導体基板上に形成された感光材料からなるレジスト膜に投影レンズによって投影することによって、上記パターンをレジスト膜に転写してレジストパターンを形成し、このレジストパターンから上記回路パターンを形成する技術である。光リソグラフィに用いられる光学系の解像度を向上して微細化を達成するため、露光波長を短くするとともに、投影レンズの開口数が大きくされてきた。また、集積回路の大規模化にともなうチップ面積の増大に対応するため、投影レンズの露光領域も拡大されてきた。
【0003】
一方、光学の一分野として位相回復という手法が知られている。一般に、光(あるいは電子線)の特性のうち、直接的に測定することのできる特性は強度であるが、位相回復とは、例えば像面と瞳面における2つの像の強度分布から、像の複素振幅分布そのものを求める方法の総称であり、電子顕微鏡や大きな収差が存在する天体望遠鏡等における解像度向上を目的として検討されてきた。さらに、位相回復法のアルゴリズムの一つとして、像面とデフォーカス面の像強度分布から複素振幅分布を求める方法も知られている。位相回復法については、例えば、イメージ・プロセッシング・アンド・コンピュータ−エイデッド・デザイン・イン・エレクトロン・オプティックス(アカデミックプレス社、ロンドン・アンド・ニューヨーク、1973年)第66頁〜81頁(Image Processing and Computer-aided Design in Electron Optics, Academic Press, London and New York, 1973, pp.66-81)などに記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように投影レンズの開口数の増大および露光領域の拡大が進むにともなって、投影レンズの設計および製造は困難さを増している。
【0005】
また、半導体集積回路の高性能化および高集積化に対処するため、回路パターンは投影レンズの解像限界ぎりぎりの寸法で設計されるようになってきた。この場合、投影レンズの収差によって、マスクパターンの投影像が大きな影響を受けるため、最終的な回路パターン(レジストパターン)の形状や寸法が設計値からはずれたり、露光領域内で大きく変動するなどの問題を生じている。これらの問題を解決するためには、レンズ製造工程において投影レンズの収差をできるだけ抑えることが必須であり、そのためには投影レンズの収差を正確に測定できることが先決である。
【0006】
光リソグラフィに使用される投影レンズは、10〜20枚程度のレンズ要素を組み合わせた複合レンズであり、個々のレンズの相対的位置関係を変えることによって収差特性を調整することができる。しかし、収差を調整するためには、投影レンズの収差を正確に測定しなければならないが、収差を直接測定するのは一般に難かしい。そのため、従来は特定の収差が存在したときのレジストパターンの形状や光学像のシミュレーション結果と、実際のレジストパターンの形状や投影像モニターによる光学像測定結果を比較するなどの方法によって、経験的に収差を推定してきた。
【0007】
しかし、この方法は、収差の傾向を間接的に予想できるに過ぎないばかりでなく、多大の時間と労力を要するなどの問題があった。また、波面収差は、原理的には干渉計を用いて測定できるが、直径、長さおよび重量がいずれも極めて大きい投影レンズの波面収差をこの方法によって測定するには、巨大かつ高価な干渉計が必要であり、実用は困難である。
【0008】
本発明の目的は、上記従来の方法よりはるかに簡便に、投影レンズの波面収差分布そのものを直接測定することができる、投影レンズの収差測定方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、所定のパターンを有するマスクを光で照明し、マスクを透過した光を、収差を測定しようとする投影レンズによって結像面近傍に結像させ、結像面近傍の、光軸に垂直な複数の面における、マスクパターンの投影像の光強度分布をそれぞれ測定し、得られた上記複数の面における投影像の光強度分布から上記位相回復の手法を用いて結像面付近もしくは投影レンズの瞳付近の複素振幅分布を求め、さらにこの光学像複素振幅分布から上記投影レンズの波面収差を求めることによって達成される。
【0010】
結像面付近の光軸に垂直な複数の異なる平面内でそれぞれ光学像を測定し、得られた複数の光学像の分布から、結像面の複素振幅分布を求めるには、位相回復の手法を応用して次のようにすればよい。簡単のため、マスクパターンを1次元パターンとし、瞳通過後の回折像の複素振幅分布をA(X)、像面回折像複素振幅分布をa(x)とすると、両者は互いにフーリエ変換Fの関係にあり、式(1)で表わされる。
a(x)=F(A(X)) ………(1)
ただし、x、Xはそれぞれ像面上および瞳面上の規格化座標である。
【0011】
次に、瞳面において、回折像複素振幅分布にデフォーカス波面収差分布を掛ける操作を、デフォーカス収差オペレータDと定義すると、デフォーカス面複素振幅分布ad(x)は式(2)で表わされる。
Figure 0003634550
ただし、Finvは逆フーリエ変換である。
【0012】
次に、本発明の基本となる位相回復アルゴリズムを図1を参照して説明する。まず、像面位相分布をf0(x)とし(ステップ11)、像面上における光強度分布I(x)を測定して像面振幅絶対値分布am(x)=sqrt(I(x))を求める(ステップ12)と、像面複素振幅分布a0(x)は、a0(x)=am×exp(I・f0(x))と表すことができる(ステップ13)。
【0013】
a=a0(x)を上記式(2)に代入してデフォーカス面における複素振幅分布ad0(x)を求めると、下記式(3)が得られる。
Figure 0003634550
ただし、ad0’(x)はad0(x)の振幅絶対値、g0(x)は位相、iは虚数単位である(ステップ14)。
【0014】
次に、デフォーカス面における実際の強度分布の測定値Id(x)から振幅絶対値分布adm(x)を求め(ステップ15)、式(3)の振幅絶対値ad0'(x)を、デフォーカス面における実際の強度分布測定Id(x)より求めた振幅絶対値分布adm(x)=sqrt(Id(x))に置き換えると、式(4)が得られる(ステップ16)。
ad0(x)=adm(x)×exp(ig0(x)) ………(4)
この式(4)を、デフォーカス面の複素振幅分布と仮定し、上記式(2)より像面複素振幅分布を逆計算したものをa1(x)すると、a1(x)は下記式(5)で表わされる。
a1(x)=F(Dinv(Finv(adm(x)×exp(ig0(x))))) =a1'(x)×exp(if1(x)) ………(5)
ただし、a1'(x)はa1(x)の振幅絶対値、f1(x)は位相であり、 Dinv D の逆オペレータである(ステップ17)。次に式(5)の振幅絶対値a1'(x)を像面における振幅絶対値の測定値am(x)に置き換え(ステップ13)、上記式(2)を用いて再度デフォーカス面の複素振幅分布を計算したものをad1(x)とすると、ad1(x)は下記式(6)で表わされる(ステップ14)。
ad1(x)=F(D(Finv(a1(x))))=ad1'×exp(ig1(x)) ………(6)
このように、i番目のデフォーカス面複素振幅分布を、i番目の像面複素振幅分布ai(x)より求めたデフォーカス面の位相分布(gi(x)=atan(Im(adi(x))/Re(adi(x))))およびデフォーカス面での振幅絶対値の測定値admを持つものとし(すなわちadi(x)=adm(x)×exp(igi(x)))、i+1番目の像面複素振幅分布を、上で求めたi番目のデフォーカス面複素振幅分布adi(x)より求めた像面の位相分布(fi+1(x)=atan(Im(ai+1(x))/Re(ai+1(x))))と像面での振幅絶対値の測定値amを持つもの(すなわちai+1(x)=am×exp(ifi+1(x)))とする。この過程を繰り返すことにより、複素振幅分布の変化が十分に小さくなったとすると、得られた位相分布、従って複素振幅分布は測定結果を満足するものと見做すことができる。計算の収束条件としては、繰り返し法による数値計算で一般的に用いられている適当な条件を利用することができる。
【0015】
収束したときの像面複素振幅分布を逆フーリエ変換することにより、瞳回折像の複素振幅分布A(X)が求まる。一方、瞳回折像の複素振幅分布A(X)は、瞳関数P(X)とマスクパターンのフーリエ変換T(X)の積として表わされるので、求めた瞳回折像の複素振幅分布をマスクパターンのフーリエ変換で割ることにより、瞳関数が下記式(7)から求められる。
P(X)=A(X)/T(X) ………(7)
この瞳関数(複素数)の位相部が波面収差に他ならない。
【0016】
なお、上記説明では初期位相分布は一様であると仮定したが、位相シフトマスクなどを用いた場合には、当然予測される位相分布を、像面上初期位相分布として仮定することが望ましい。また上記説明では、像面とデフォーカス面の間で計算を繰り返したが、一方の面が像面であることは不可欠ではなく、2つ以上の任意のデフォーカス面の間で繰り返し計算を行っても、空間像および瞳回折像の複素振幅分布、さらに投影レンズの収差を求めることができる。
【0017】
また、この目的で用いられるマスクパターンとしては、瞳面全面の情報を得るために瞳面全面にスペクトルを有し、かつ瞳面内で0とならないパターンが望ましい。従って、例えば、遮光部中に孤立した微小開口パターン(孔パターン)などであってもよい。しかし、これらの像は、像面においてパターン中心の強い明部と周囲の弱い回折パターンの間のダイナミックレンジ(強度差)が極めて大きいので、両者に対して十分な情報を得ることが難しい。そのため、この場合は、像面からややデフォーカスした位置で像をサンプリングすることが好ましい。ただし、孤立した孔パターンの場合は、デフォーカスすると強度が極端に弱くなるため、十分な露光積算を行うとともにノイズなどに気をつける等、像取り込み時に注意が必要である。また、ジーメンスターのような、中心から放射状に広がる回折格子パターンも好ましいパターンの一つである。
【0018】
なお、上記説明は、すべてのマスクが完全に正しく(設計通りに)作られていることを前提としている。実際にマスクの精度が問題となる場合には、マスクの精度をあらかじめ別の手段で測定し、得られた測定データを用いて実際の測定結果を補正することが望ましい。
【0019】
上記複数の面は結像面とこの結像面の上下のデフォーカス面からなることが好ましい。結像面は含まず、デフォーカス面のみであってもよいが、この場合は、最も結像面に近いデフォーカス面の位置は結像面から0.5λ/NA(ただし、λは用いた光の波長、NAは投影レンズの開口数を、それぞれ表す)とすることが好ましい。マスクパターンの投影像の光強度分布がそれぞれ測定される上記面の数は、多いほど測定精度が向上するが、数が多くなると操作が煩雑になる、通常は、上記面の数を3(結像面および結像面上下のデフォーカス面各1)とすれば実用上充分な結果が得られる。隣接する上記平面の間隔はλ/NA〜10λ/NA(ただし、λは上記光の波長、NAは上記投影レンズの開口数を、それぞれ表わす)とすれば好ましい結果が得られる。
【0020】
上記パターンの投影像は拡大レンズによって拡大された後、光センサに入射させて光強度を測定することができ、この光センサとしてはCCDセンサが実用上便利である。この場合、上記パターンの投影像の光強度分布は、上記拡大レンズと上記CCDセンサからなる投影像モニタを上記光軸上の互いに異なる位置に移動させて、それぞれ測定される。
【0021】
上記拡大レンズの上記CCDセンサ側の結像面にピンホールを設け、上記パターンの投影像を、上記ピンホールを介して上記CCDセンサに入射させることによって、解像度をさらに向上させることができる。
【0022】
また、上記本発明の投影レンズの収差測定方法によって測定された上記波面収差の値を用いることにより、上記投影レンズの収差を調整することができる。
【0023】
さらに、上記本発明の投影レンズの収差測定方法によって測定された上記波面収差の値を用いて、上記マスクパターンの形状を補正することができる。
【0024】
なお、上記投影レンズは、一部に反射鏡を含む光学系またはすべて反射鏡からなる反射光学系であってもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、所定のパターンを有するマスクを透過した光を、収差を測定すべき投影レンズによって結像面近傍に結像し、結像面近傍の光軸に垂直な複数の面における、マスクパターンの投影像の光強度分布をそれぞれ測定し、得られた上記複数の面における投影像の光強度分布から上記位相回復の手法を用いて結像面付近もしくは投影レンズの瞳付近の複素振幅分布を求め、さらにこれらの情報から上記投影レンズの収差が計算される。
【0026】
上記のように、マスクパターンの投影像の光強度分布がそれぞれ測定される上記面の数は、多いほど測定精度が向上するが、数が多くなると操作が煩雑になる、通常は、上記面の数を3(結像面および結像面上下のデフォーカス面各1)とすれば実用上充分な結果が得られる。
【0027】
投影レンズによって形成された上記パターンの投影像は、拡大レンズによって拡大された後、CCDなど光センサに入射され、この光センサからの信号はコンピュータに入力されてパターンの投影像の上記光強度分布が求められる。
【0028】
また、ホトレジスト膜を結像面およびデフォーカス面に配置して、同一のマスクパターンを介してそれぞれ露光および現像を行って、マスクパターンに対応した膜厚分布(凹凸)を有するレジストパターンを形成し、この膜厚分布から投影像の光強度分布を求めることもできる。
【0029】
投影露光装置用レンズによる投影像を直接測定することは、一般に投影露光レンズの製造工程におけるレンズ調整工程で行われており、さらに、最近の投影露光装置には像特性モニタリング用に光学像モニターが内蔵されたものもある。本発明ではこれらの既に確立された技術を利用することも可能である。これら光学像モニター方法については、例えば、エスピーアイイー・プロシーディング、第2726巻、オプティカル・マイクロリソグラフィ、第788頁から798頁(1996年)(SPIE Proceedings Vol.2726, Optical Microlithography IX,pp.788−798,1996)などに記載されている。
【0030】
なお、本発明が適用できるマスクパターンの平面形状の一例を図4に示した。このマスクパターンは正方形の光透過部24とそれを囲む遮光部25を有しているが、本発明で用いることのできるマスクパターンはこの形状に限らない。
【0031】
【実施例】
〈実施例1〉
本実施例は、本発明を投影レンズ製造工程におけるレンズの評価および調整に適用した例を示す。図2は本実施例に用いたレンズ評価装置の概略を模式的に示した図である。
【0032】
図2(a)に示したように、空間的にほぼコヒーレントな照明光1によってマスク2を照明し、マスク2を透過した光を投影レンズ3によって結像面4に結像させた。結像面4付近のマスクパターンの投影像は拡大レンズ系5によって拡大され、CCDセンサー6上に結像される。CCDセンサー6からの信号をコンピュータ7へ入力して処理し、マスクパターンの投影像の光強度分布を求めた。
【0033】
拡大レンズ系5とCCDセンサー6からなる投影像モニター8を光軸9の方向に移動させて上記測定を行い、図2(b)に示したように、上記結像面4から若干離れたデフォーカス面10における投影像の光強度分布を測定した。この測定を、互いに離れた複数のデフォーカス面10においてそれぞれ行った。また、上記投影像モニター8を露光領域内で水平方向に移動させて、露光領域内の様々な位置における投影像の光強度分布を測定した。
【0034】
ほぼ合焦点位置4および4μmデフォーカスした位置10において得られた光学像分布から、先に説明したアルゴリズムを用いて、投影レンズ3の波面収差を求めた。周知の通り、投影レンズ収差は露光領域内の位置に依存するので、レンズ露光領域内の種々な位置に対する像の測定結果から、上記露光領域内の収差分布を求めた。
【0035】
次に、上記収差データをフィードバックし、上記収差データにもとづいて上記投影レンズの各レンズ要素の位置を調整した後、再度収差測定を行ったところ、収差量が大幅に改善された。また、この方法を用いることにより、レンズ調整に要する時間は従来の約30%に短縮され、良品率を約40%向上させることができた。さらに、このようにして調整された投影レンズを露光装置に搭載することにより、露光領域内における回路パターンの寸法均一性は設計寸法±17%から設計寸法±8%へ向上した。
【0036】
なお、拡大レンズ5のCCDセンサー6側結像面に微小ピンホールを設け、この微小ピンホールを介して像をCCDセンサー6に入射させるようにすれば、共焦点顕微鏡効果によって、投影像モニターの解像度はさらに向上する。
【0037】
また、マスク2の代わりに、マスク面に単一モードレーザーを結像させ、得られたレーザースポットの投影レンズ3による像を、上記マスク2を用いた場合と同様に処理してもよい。このようにすることにより、マスクが不完全であるかもしれないという恐れを避けることができる。ただし、上記レーザーの波長は、上記投影レンズに使用が想定される光の波長とレンズ所定の許容範囲内で一致させる必要がある。
【0038】
〈実施例2〉
次に、実際の露光装置を用いた回路パターン形成工程に本発明を適用した例を図3を用いて説明する。まず、図3(a)に示したように、Si基板21の表面上にレジスト(FH−EX1U;富士ハント社製品名)を塗布してレジスト膜22を形成し、KrFエキシマレーザ投影露光装置を用いてマスクパターンを上記レジスト膜上に投影露光した。この際、露光装置の照明条件を空間的にほぼコヒーレントとなるように変更した。同一マスクパターンに対して、合焦点位置(結像面)および±3μmデフォーカス位置にそれぞれ露光を行い、所定の現像液で現像して各フォーカス位置におけるレジストパターン22を形成した。なお、本実施例で用いた上記レジストは、上記レーザ光の波長に対する吸収が相当大きく、いわゆるレジストコントラストが低いため、現像後のレジストパターン断面形状は光強度分布を忠実に反映した形状が得られた。
【0039】
次に走査型原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、微小AFMチップ23を上記レジストパターン22の表面を走査させ、上記マスクパターンに対応したレジストパターン22の表面の凹凸を、各焦点位置における露光毎に測定して、図3(b)に示す凹凸データ(マスクパターンに対応したレジストパターン22の膜厚分布)を得た。
【0040】
この凹凸データをコンピュータヘ入力し、エスピーアイイー・プロシーディング・第2726巻、オプティカル・マイクロリソグラフィ、第410頁から416頁 (1996年)(SPIE Proceedings Vol.2726, Optical Microlithography IX,pp.410−416,1996)に示されている方法を用いて、図3(c)に示した各焦点位置における投影像光強度分布を求めた。
【0041】
さらに、実施例1と同様の方法(上記アルゴリズム)を用いて、上記各焦点位置における投影像光強度分布(図3(c))から、投影露光装置に用いられている投影レンズの波面収差を求めた。この操作を、上記投影レンズの露光領域内の互いに異なる多くの位置で行い、露光領域内の波面収差分布を求めた。
【0042】
次に、マスクパターンに対して光学的近接効果の補正を行い、上記波面収差によって生じたパターン変形を相殺した。具体的には、光学的近接効果プログラム内の光学像計算部において、測定した波面収差を仮定して最適マスク形状を求めた。波面収差は露光領域内で分布を有するので、上記補正はマスク内の位置に応じて行った。補正したマスクを用いて露光を行った結果、露光領域の全域でレジストパターン寸法均一性は設計寸法±17%から設計寸法±9%に向上した。
【0043】
〈実施例3〉
本発明を用いて半導体生産ラインで使用されている投影露光装置の収差状態をモニタリングした例を示す。CCDセンサーアレイのセンサー面を遮光膜で覆いその各ピクセル中心に露光波長より小さな微小ピンホールを設けた専用光学像検出装置を作製した。これを投影露光装置のウエハーステージ上に設置し、専用マスクと位置合わせした後、ウエハーステージを水平方向にスキャンしながらCCDセンサーの出力をモニターすることにより、マスクパターンの光強度分布を測定できるようにした。異なるデフォーカス位置、露光位置に対する測定結果より、上記実施例1、2と同様にして投影光学系の収差分布を求めた。
【0044】
本実施例では、露光領域内の多くの位置に像モニタリング用パターンを有する専用のマスク、およびこれに対応した位置にセンサーを有する専用光学像検出装置を用いることにより高速で収差解析を行うことができた。
【0045】
このような測定を定期的に行って収差の経時的変化を調べ、収差量が所定の許容範囲を超えた場合は、投影光学系のレンズ要素の位置調整を行って収差を低減した。これにより、露光装置の結像性能を常に好ましい状態に保ち、半導体集積回路の品質を一定に保つことができた。なお、上記専用光学像検出装置を、CCDセンサーを作製したSiウエハーで構成することにより、異なる露光装置上で用いることもできる。
【0046】
なお、上記実施例における光強度分布測定方法としては、各実施例でそれぞれ用いられた方法に限定されるものではなく、他の方法を用いることができる。
【0047】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明による投影レンズの収差測定方法は、投影レンズの異なる複数の焦点位置におけるマスクパターン投影像の光学像強度分布から、位相回復の手法を用いて投影レンズの収差を求め、この情報を用いて上記投影レンズ又はマスクパターン形状を調整することにより、上記投影レンズまたはマスクパターンを用いて形成されるパターンの精度、均一性を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を説明するための流れ図。
【図2】本発明の第1の実施例を説明するための図。
【図3】本発明の第2の実施例を説明するための図。
【図4】本発明を適用できるパターンの平面形状の一例を示す図。
【符号の説明】
1…照明光、2…マスク2、3…投影レンズ、4…結像面、5…拡大レンズ系、6…CCDセンサー、7…コンピュータ、8…投影像モニター、9…光軸、10…デフォーカス面、21…Si基板、22…レジスト膜、23…AFMチップ、24…光透過部、25…遮光部。

Claims (7)

  1. 所定のパターンを有するマスクを光で照明して、上記パターンを投影レンズによって上記マスクの結像面近傍に結像させ、光軸に垂直で上記結像面近傍の複数の平面における上記パターンの投影像の光強度分布をそれぞれ測定し、上記複数の平面における投影像光強度分布から、位相回復法によって上記結像面付近もしくは上記投影レンズの瞳付近の光学像複素振幅分布を求め、当該光学像複素振幅分布から上記投影レンズの波面収差を求めることを特徴とする投影レンズの収差測定方法。
  2. 上記平面は上記投影レンズの結像面とデフォーカス面若しくは上記投影レンズの複数のデフォーカス面からなることを特徴とする請求項1に記載の投影レンズの収差測定方法。
  3. 隣接する上記平面の間隔はλ/NA〜10λ/NA(ただし、λは上記光の波長、NAは上記投影レンズの開口数を、それぞれ表わす)であることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の投影レンズの収差測定方法。
  4. 上記パターンの投影像は拡大レンズによって拡大された後、光センサに入射されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の投影レンズの収差測定方法。
  5. 上記光センサはCCDセンサであり、上記パターンの投影像の光強度分布は、上記拡大レンズと上記CCDセンサからなる投影像モニタを上記光軸上の互いに異なる位置に移動させて、それぞれ測定されることを特徴とする請求項4に記載の投影レンズの収差測定方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一に記載の投影レンズの収差測定方法によって測定された上記波面収差の値を用いて、上記投影レンズの収差を調整することを特徴とする投影レンズの収差調整方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか一に記載の投影レンズの収差測定方法によって測定された上記波面収差の値を用いて、上記マスクパターンの形状を補正することを特徴とするマスクパターンの形状の補正方法。
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