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JP3633171B2 - 感熱記録用粘着ラベル - Google Patents

感熱記録用粘着ラベル Download PDF

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JP3633171B2
JP3633171B2 JP00342297A JP342297A JP3633171B2 JP 3633171 B2 JP3633171 B2 JP 3633171B2 JP 00342297 A JP00342297 A JP 00342297A JP 342297 A JP342297 A JP 342297A JP 3633171 B2 JP3633171 B2 JP 3633171B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱により複数の発色物質を接触させて記録像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。このような感熱記録体は比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、その保守も容易なため、ファクシミリや各種計算機などの記録媒体およびそれ以外にも巾広い分野に使用されている。
【0003】
その利用分野の一つとして、例えばPOS(point of sales)システム用の感熱記録用粘着ラベルが挙げられる。従来の食品用ラベル用途では、ラベルの発行速度は手貼り作業を遅らせない程度のもので十分であったが、最近ではベルトコンベア等の装置と組み合わせた自動貼り機等が普及しつつあり、ラベルの発行速度の高速化が要望されて来ている。近年の情報処理技術や記録機器の性能の発達により発行速度は上がりつつあるが、一般にこれらのラベルには裏面には粘着剤層を保護する目的で剥離紙が貼り合わされており、このため感熱記録用粘着ラベルの巻径は大きくなり、記録機器に装填できる感熱記録用粘着ラベルの巻取りの大きさは制限されているため、1巻で発行できるラベルの枚数も制限されてしまい、記録速度の高速化と共に記録ラベルを頻繁に補充しなければならなくなって来ている。また、このときに発生する剥離紙の処理も問題となっている。またコストの面からも記録ラベルの剥離紙の占める割合は小さくない。
このため、流通管理用途に用いても問題の起こらない、また高速発行にも適応でき、且つ環境問題対策、コストの面でも有利な感熱記録用粘着ラベルが強く要望されている。
【0004】
ところで剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルは構成上剥離紙がないために、巻き取られた状態では感熱記録面の剥離層上に粘着剤層が来ることになり、通常の感熱記録用粘着ラベルに比べて感熱記録層が粘着剤の影響を受け易く、長期保存後に感熱記録層の発色能が低下する等の問題があり満足なものが得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、長期保存においても発色能の低下が少ない剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
支持体の片面側に感熱記録層、障壁層、剥離層を順次設け、裏面側に粘着剤層を設けて巻き取った剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルにおいて、上記の課題を解決するための一つの手段として、本発明は、障壁層中に酸価が40〜80であり且つ単量体としてスチレンとアクリル酸を主成分とする共重合体を、アルカリ塩化して得た水溶性アルカリ塩を含有させるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
粘着剤層中の主成分である粘着剤による感熱記録層の発色能の低下の機構の詳細は分からないが、ホットメルト型粘着剤と比べてエマルジョン型粘着剤の方がより影響が大きく、また感熱記録層の発色機構がロイコ染料と呈色剤との発色反応である場合、呈色剤が粘着剤による影響を受け易い。例えば、エマルジョン型粘着剤であるアクリルエマルジョン系粘着剤の場合、粘着剤中の乳化剤、分散剤等の助剤や、残留アクリル酸エステルモノマー等が感熱記録層中に移行して、呈色剤の発色能を無くしてしまうためと考えられる。
【0008】
本発明は、障壁層中に、酸価が40〜80であり且つ単量体としてスチレンとアクリル酸を主成分とする共重合体を、アルカリ塩化して得た水溶性アルカリ塩(以下、特定の共重合体の水溶性アルカリ塩と称する)を含有させことを特徴とし、使用量としては特に限定されないが、障壁層の全固形量に対して5重量%以上、好ましくは20〜80重量%程度である。なお、本発明における酸価とは、特定の共重合体1gを中和するに要する水酸化カリウムのmg数をいう。
【0009】
特定の共重合体の水溶性アルカリ塩については、pH調整を行って半溶解状態のマイクロエマルジョン等も含まれる。アルカリ塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、およびアンモニウム塩が挙げられるが、乾燥後の成膜性やサーマルヘッドに対する適性などを考慮するとアンモニウム塩が好ましい。
【0010】
特定の共重合体の水溶性アルカリ塩において、単量体として使用されるアクリル酸は、エチレン性不飽和カルボン酸のなかでも感熱記録層の発色能の低下を抑制する効果に優れている。スチレンに対してアクリル酸は10〜80モル%程度である。
【0011】
特定の共重合体の水溶性アルカリ塩の酸価としては40〜80であり、好ましくは40〜65である。酸価が40未満のものは、感熱記録層の発色能の低下を抑制する効果が低下し、また酸価が80を超えるものは、感熱記録層に地肌カブリが発生する恐れがある。
【0012】
障壁層には、水性接着剤である特定の共重合体の水溶性アルカリ塩が使用されるが、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、他の水性接着剤を併用することもできる。かかる水性接着剤としては、例えば完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、スチレン・ブタジエン系ラテックス、ポリエステル・ポリウレタン系ラテックス等が挙げられる。
なかでも、ポリビニルアルコールは障壁層のひび割れを防止する効果が顕著であり、障壁層上に形成される剥離層の塗布量を少なくできる。更に、均一な記録像が得られる。ポリビニルアルコールの使用量としては、特定の共重合体の水溶性アルカリ塩に対して10〜60重量%程度、好ましくは15〜40重量%程度である。
【0013】
更に、障壁層中には、必要に応じて炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、タルク、カオリン、クレー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤、グリオキサール、ホウ酸、ジアルデヒドデンプン、メチロール尿素、エポキシ系化合物等の耐水化剤、紫外線吸収剤を内包したマイクロカプセル、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等を含有させることもできる。
【0014】
なお、障壁層は2層以上の多層構造としてもよく、本発明の障壁層上に電離放射線硬化性樹脂を主成分とした障壁層を設けることもできる。
障壁層は、水を媒体し、特定の共重合体の水溶性アルカリ塩を溶解する溶液中に、必要により上記の顔料、滑剤、界面活性剤等を混合攪拌しながら添加された障壁層用塗液を感熱記録層上に塗布乾燥して形成される。
【0015】
感熱記録層に適用される感熱記録方式としては、例えばロイコ染料と呈色剤との組合せ、ジアゾニウム塩とカプラーとの組合せ、コバルト、鉄など遷移元素とキレート化合物との組合せ、芳香族イソシアネート化合物とイミノ化合物との組合せ等が挙げられる。なかでも、ロイコ染料と呈色剤との組合せが発色濃度に優れるため、好ましく用いられる。以下、感熱記録層がロイコ染料と呈色剤との組合せからなる感熱記録用粘着シートについて詳細に述べる。
【0016】
ロイコ染料および呈色剤としては、各種公知のものが使用でき、ロイコ染料の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン等の青発色性染料、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−7−N−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン等の緑発色性染料、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、ローダミン(o−クロロアニリノ)ラクタム、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン等の赤発色性染料、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(o−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等の黒発色性染料、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料。
勿論、これらに限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。また、ロイコ染料の使用量は、使用する呈色剤により異なるため限定できないが、0.1g/m〜1.0g/m程度である。
【0017】
呈色剤の具体例としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等のフェノール性化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−クミルフェニルエステル、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸p−ベンジルオキシフェニルエステル、N−(o−トルオイル)−p−トルエンスルホアミド、4,4’−ビス(N−p−トルエンスルホニルアミノカルルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の分子内に−SONH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
【0018】
ロイコ染料と呈色剤との使用比率は、用いるロイコ染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料1重量部に対して1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部程度の呈色剤が使用される。
【0019】
感熱記録層には、記録像の保存安定性を高めるために保存性改良剤、および記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4−4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0020】
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
これらの保存性改良剤および増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に呈色剤1重量部に対して4重量部以下で調節するのが望ましい。
【0021】
感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、ロイコ染料、呈色剤、必要により増感剤、保存性改良剤などを共に、或いは別々にボールミル、アトライター、サンドミルなどの攪拌・粉砕機により平均粒子径が2μm以下となるように微分散した後、接着剤を添加して調製された感熱記録層用塗液を支持体上に塗布乾燥して形成される。
【0022】
感熱記録層に使用される接着剤の具体例としては、例えばデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ケイ素ポリビニルアルコール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン系ラテックス、スチレン・ブタジエン系ラテックス等が挙げられる。
接着剤の使用量としては、感熱記録層の全固形分に対して5〜35重量%程度である。
【0023】
更に、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができる。助剤としては、例えばカオリン、軽質(重質)炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の顔料、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム等の界面活性剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、グリオキサール、ジメチロール尿素等の耐水化剤、および消泡剤、着色染料等が挙げられる。
【0024】
これら感熱記録層、障壁層の形成方法については特に限定されず、例えばエアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の適当な塗布方法により感熱記録層用塗液を上質紙、フィルム、不織布、合成紙等の支持体上に塗布・乾燥した後、障壁層用塗液を感熱記録層上に塗布・乾燥する等の方法で形成される。また、感熱記録層用塗液の塗布量は乾燥重量で2〜12g/m、好ましくは3〜10g/m程度、障壁層用塗液の塗布量は乾燥重量で0.1〜10g/m、好ましくは0.5〜5g/m程度である。
【0025】
本発明では、支持体の片面側に感熱記録層、障壁層および剥離層を順次設け、また支持体の裏面側に粘着剤層を設けて裏面の剥離紙を不要とするものであるが、剥離層は感熱記録層を設けた後に塗布するため、紫外線硬化型または電子線硬化型のシリコーン樹脂が硬化時に熱がかかり難いため好ましく用いられる。
【0026】
これらのシリコーン樹脂の具体例としては、メルカプト基含有オルガノポリシロキサンとビニル基含有オルガノポリシロキサンとの混合組成物、アクリル基、メタクリル基またはシンナモイル基含有オルガノポリシロキサン組成物、マレイミド基またはフェニルマレイミド基含有オルガノポリシロキサン組成物、アジド基含有オルガノポリシロキサンとビニル基含有オルガノポリシロキサンとの混合組成物、チオアクリル基、チオメタクリル基またはチオシンナモイル基含有オルガノポリシロキサン組成物、アクリルアミド基、メタクリルアミド基またはシンナモイルアミド基含有オルガノポリシロキサン組成物等が挙げられ、また紫外線開始型カチオン重合を利用したエポキシ基含有オルガノポリシロキサンと光分解型開始剤のジアゾニウムルイス酸塩との混合組成物等も使用することができる。紫外線硬化の場合は、硬化開始剤が必要である。かかる硬化開始剤の具体例としてはベンゾイルアルキルエーテル及びその誘導体、アセトフェノン及びその誘導体、チオキサントン及びその誘導体等が挙げられる。
【0027】
なお、必要に応じて感熱記録体の裏面側、支持体と粘着剤層の間にも障壁層を設け、一層保存性を高めることも可能である。
【0028】
本発明は、特にアクリルエマルション系粘着剤に対する感熱記録層の発色能の低下を抑制する効果を得るものではあるが、スチレン・ブタジエンエマルション系粘着剤、およびホットメルト粘着剤に対しても適用される。粘着力についても再剥離からパーマネント、冷凍食品用や強粘着力タイプ等が使用でき特に限定するものではない。
【0029】
剥離層用塗液の塗布量は乾燥重量で0.2〜5g/m、好ましくは0.5〜3g/m程度、粘着剤層の塗布量は乾燥重量で3〜50g/m、好ましくは5〜30g/m程度である。これらの剥離層、粘着剤層については、それぞれ、障壁層上と支持体の裏面の全面に塗布されるが、例えば粘着剤層を部分的に塗布することも可能であり、この場合、剥離層は、粘着剤層があたる部分のみ、または、表面全体に塗布することも可能である。また、粘着剤層の形成方法については、支持体の裏面に直接塗布する方法あるいは剥離層上に塗布して巻き取り支持体の裏面に転移させる方法も可能である。
【0030】
また、本発明では、感熱記録層上に障壁層、剥離層を設けることにより記録感度低下する恐れがあるので、記録感度を向上させる目的で支持体と感熱記録層との間に断熱性を有する下塗り層を設けることが望ましい。特に吸油量が70ml/100gの吸油性顔料と接着剤を主成分とする下塗り層を設けることにより、記録感度を高めるだけでなく、記録画質と白色度が高められる。
【0031】
下塗り層は上記の如き吸油性顔料と接着剤を主成分とし各種の助剤を適宜配合した塗液を塗布乾燥する方法で形成されるが,かかる接着剤としては、例えばデンプン類、セルロース類、タンパク質類、アラビアガム、ポリビニルアルコール、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、酢酸ビニル・無水マレイン酸共重合体塩等の水溶性接着剤、およびスチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス等の水分散系接着剤が適宜選択して用いられる。下塗り層用塗液は、一般に水を分散媒体とし、例えば吸油性顔料が分散されたスラリー中に混合攪拌しながら上記の接着剤を添加することにより得られる。
【0032】
下塗り層は、例えばエアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の適当な塗布方法により下塗り層用塗液を支持体上に乾燥後の塗布量が3〜20g/m程度となるように塗布乾燥して形成される。
【0033】
各層塗抹後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すことなども可能であるが、特に障壁層表面を平滑にすることは、少量の剥離層用塗液の塗布で、平滑で且つ一様な剥離層を得るために好ましい。具体的には障壁層表面はベック平滑度で500秒〜10000秒の範囲に調節することが望ましい。また、その他の感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
【0034】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断らない限りそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
【0035】
実施例1
(1) 下塗り層の形成
吸油量が110ml/100gの焼成カオリン〔商品名:アンシレックス、EMC社製〕100部、ポリビニルアルコールの10%水溶液200部および水100部からなる組成物を混合撹拌して得た下塗り層用塗液を65g/m2 の上質紙の片面側に乾燥後の塗布量が7g/m2 となるように塗布乾燥した後スーパーカレンダーによる平滑化処理を行って下塗り層を形成した。
【0036】
(2) A液調製
3−ジ−(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部および水40部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0037】
(3) B液調製
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン30部、メチルセルロースの5%水溶液5部および水80部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0038】
(4) C液調製
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部および水55部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0039】
(5) 感熱記録層の形成
A液55部、B液115部、C液80部、10%ポリビニルアルコール水溶液160部、固形濃度50%のスチレン・ブタジエン系ラテックス20部および水酸化アルミニウム17部を混合撹拌して得られた感熱記録層用塗液を、下塗り層上に乾燥後の塗布量が6g/m2 となるように塗布乾燥して感熱記録層を形成した。
【0040】
(6) 障壁層の形成
スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液1部からなる組成物を混合撹拌して得た障壁層用塗液を、感熱記録層上に乾燥後の塗布量が4g/m2 となるように塗布乾燥した後、スーパーカレンダーによる表面平滑化処理を行い障壁層を形成した。
【0041】
(7) 剥離層の形成
無溶剤紫外線硬化型シリコーン〔1.5モル%のメルカプト基含有オルガノポリシロキサン30重量部と1.5モル%ビニル基含有オルガノポリシロキサン70重量部からなる混合組成物、信越化学工業社製〕100重量部、硬化開始剤(アセトフェノン)3重量部を混合撹拌して得た剥離層用塗液を塗布量が1.0g/m2 となるように塗布した後、紫外線を照射して硬化された剥離層を形成した。
【0042】
(8) 粘着剤層の形成
支持体の裏面側にアクリルエマルジョン系粘着剤を乾燥後の塗布量が20g/m2 となるように塗布乾燥して粘着剤層を形成した後、巻き取り、剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0043】
実施例2
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:50)のアンモニア性半溶解マイクロエマルションの30%水分散液67部を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0044】
実施例3
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:52)のナトリウム塩の20%水溶液80部、ポリビニルアルコール〔商品名:PVA−105、クラレ社製〕の15%水溶液27部を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0045】
実施例4
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液25部、ポリビニルアルコール〔商品名:PVA−105、クラレ社製〕の15%水溶液33部、カオリン〔商品名:UW−90、EMC社製〕の50%水分散液20部を使用した以外は実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0046】
実施例5
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:40)のナトリウム塩の20%水溶液100部を使用した以外は、実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0048】
比較例1
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:30)エマルションの36%水分散液56部を使用した以外は実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0049】
比較例2
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにポリビニルアルコール〔商品名:PVA−105、クラレ社製〕の15%水溶液133部を使用した以外は実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0050】
比較例3
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:24)のナトリウム塩の20%水溶液100部を使用した以外は実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0051】
比較例4
実施例1の障壁層の形成において、スチレン・アクリル酸共重合体(酸価:45)のアンモニウム塩の20%水溶液100部の代わりにスチレン・アクリル酸共重合体(酸価:86)のナトリウム塩の20%水溶液100部を使用した以外は実施例1と同様にして剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0052】
かくして得られた感熱記録用粘着ラベルについて、下記の評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0053】
〔発色性および記録画質〕
感熱記録評価機〔商品名:TH−PMD、大倉電機社製〕を用い、印加エネルギー:0.5mJ/dotにて各感熱記録用粘着ラベルを発色させ、記録部および未記録部をマクベス濃度計〔商品名:RD−914型、マクベス社製〕のビジュアルモードにて測定した。また、記録部の記録画質を下記のごとく目視判定した。
◎:記録画質にひび割れ状のムラがない。
○:記録画質に少しひび割れ状のムラがある。
【0054】
〔地肌カブリ〕
各感熱記録用粘着ラベルを剥離面上に粘着剤層が来るように7枚重ね貼りして、40℃、90%RH条件下に24時間放置後、感熱記録層面側の地肌カブリをマクベス濃度計〔商品名:RD−914型、マクベス社製〕のビジュアルモードにて測定した。
【0055】
〔発色能低下テスト1〕
巻き取りでの長期保存性の促進テストとして、得られた各感熱記録用粘着ラベルを剥離面上に粘着剤層が来るように7枚重ね貼りして、50℃95%RHの環境下に24時間放置した後、上から4枚目のラベルを上記発色性テストと同様にして発色させ、記録部の濃度を測定し、感熱記録層の発色能を評価した。
【0056】
〔発色能低下テスト2〕
巻き取りでの長期保存性の促進テストとして、得られた各感熱記録用粘着ラベルを剥離面上に粘着剤層が来るように7枚重ね貼りして、50℃95%RHの環境下に72時間放置した後、上から4枚目のラベルを上記発色性テストと同様にして発色させ、記録部の濃度を測定し、感熱記録層の発色能を評価した。
【0057】
【表1】
Figure 0003633171
【0058】
【発明の効果】
〔表1〕から明らかなように、本発明の感熱記録用粘着ラベルは、高温高湿の条件下に曝されても、発色能の低下が少ない剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルであった。

Claims (3)

  1. 支持体の片面側に感熱記録層、障壁層、剥離層を順次設け、裏面側に粘着剤層を設けて巻き取った剥離紙不要の感熱記録用粘着ラベルにおいて、障壁層中に酸価が40〜80であり且つ単量体としてスチレンとアクリル酸を主成分とする共重合体を、アルカリ塩化して得た水溶性アルカリ塩を含有させたことを特徴とする感熱記録用粘着ラベル。
  2. アルカリ塩がアンモニウム塩である請求項記載の感熱記録用粘着ラベル。
  3. 障壁層中に、更にポリビニルアルコールを含有させた請求項1または2に記載の感熱記録用粘着ラベル。
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