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JP3630304B2 - 燃料液流量調節弁、及び該燃料液流量調節弁を備えた内燃機関の燃料噴射システム - Google Patents

燃料液流量調節弁、及び該燃料液流量調節弁を備えた内燃機関の燃料噴射システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、内燃機関の燃料噴射システム、特にコモンレール式燃料噴射システムにおける高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁、及び該燃料液流量調節弁を備えた内燃機関の燃料噴射システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
コモンレール式燃料噴射システム等の内燃機関の燃料噴射システムにおける高圧燃料噴射装置用燃料ポンプは、低圧な燃料液を吸入し、高圧にして送出する際に、その吸入量を調節するための燃料液流量調節弁が、低圧な燃料液の吸入口に搭載されているのが一般的である。この燃料液流量調節弁は、電磁弁によって、低圧な燃料液の吸入口の流路を開閉するとともに、電磁弁に流れる電流量に応じて、その燃料液流路の流量を略比例的に増減できる構成を成している。そして、電磁弁に流す電流量を制御することによって、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプに吸入する低圧な燃料液の流量を調節することができるものである。
【0003】
この燃料液流量調節弁も含めた一般的な電磁弁は、固定鉄心に巻かれた電磁コイルに電流を流すことによって発生する磁界の力によって、固定鉄心の略中央に形成されている貫通孔に挿設されている可動鉄心が移動し、移動した可動鉄心が軸体を移動させ、その軸体が弁閉鎖体を押動して、弁が開閉する構成を成している。
【0004】
そして、燃料液流量調節弁においては、さらに、電磁コイルに流す電流量を調節することによって、可動鉄心に作用する磁界の力と、その力と相反する方向に作用している付勢手段による付勢力とのバランスが変化し、それによって、可動鉄心の移動位置が変わる。また、弁閉鎖体は、その移動位置によって、燃料液の流量を比例的に増減させる如き形状を成している液流量調節体となっている。したがって、電磁コイルに流す電流量を調節することによって、可動鉄心と一体の軸体に押動される液流量調節体の移動位置が変わり、それによって、燃料液の流路の流量を調節することができる。
【0005】
ところで、通常、燃料液流量調節弁は、製造上の制約等から上述したように軸体と液流量調節体が別体に構成されている。そのため、可動鉄心が固定鉄心の貫通孔の中で、そのがたつきの範囲で傾くと、液流量調節体の中心を押動すべき軸体がわずかに傾くことになる。
【0006】
図13は、従来技術における燃料液流量調節弁の軸体と液流量調節体との当接面を模式的に示した正面図である。図13(a)は、軸体が傾いていない状態の当接面を示したものであり、図13(b)は、軸体が傾いた状態の当接面を示したものである。
【0007】
軸体37は、円柱形状を成しており、液流量調節体36に当接する当接部371は、図示の如く、その当接面372が平坦な面になっているので、液流量調節体36との当接面372は面接触となる。図13(a)に示したように、軸体37が傾いていない状態で液流量調節体36に当接した場合には、軸体37の中心線37aと液流量調節体36の中心線36aとが、略一致した状態となる。したがって、当接面372には、軸体37が液流量調節体36を押動する力Fが当接面372に均等に作用する。
【0008】
一方、図13(b)に示したように、軸体37が傾いた状態で液流量調節体36に当接した場合には、液流量調節体36の中心線36aに対して、軸体37の中心線37aが傾いた状態で当接部371が当接する。したがって、当接部371の平坦な当接面372の端部が、液流量調節体36の中心線36aからずれた状態で点接触することになる。そして、液流量調節体36の中心線からずれた当接点Pに、軸体37が液流量調節体36を押動する力Fが作用し、中心からずれた位置に力が作用することによって、液流量調節体36には傾く力が作用することになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、液流量調節体36は、中心からややずれた位置を押動されることによって、液流量調節体36が挿設されている液流量調節体挿設孔(図示せず)の中を、傾いた姿勢で移動することになる。そして、それによって、液流量調節体36が液流量調節体挿設孔の内壁に引っかかることによって、いわゆる渋りが発生し、液流量調節体36の移動がスムーズに行われず、燃料液の流量の調節を精度良く行えなくなってしまう虞がある。さらに、液流量調節体36が、液流量調節体挿設孔に引っかかったまま動かなくなり、燃料液の流量を調節できなくなってしまう虞もある。
【0010】
本願発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、固定鉄心に形成された貫通孔内における可動鉄心の傾きによって、軸体が傾いた状態で液流量調節体を押動した際に、燃料液の流量の調節精度が低下したり、調節できなくなってしまったりする虞が少ない燃料液流量調節弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、前記軸体の一端部が前記液流量調節体を押動する際に、該軸体の一端部の当接面と該液流量調節体の当接面とが点接触にて当接し、前記可動鉄心の外周面と、該可動鉄心の外周面が摺接する前記貫通孔の内周面との少なくともいずれか一方の面に、前記貫通孔内の前記燃料液を貯留可能な溝が、少なくとも1つ以上形成されており、該溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0012】
このように、軸体の一端部の当接面と液流量調節体の当接面とは、面と面とが接触する面接触ではなく、面と点とが接触する点接触なので、軸体が傾くことによって軸体の当接面が傾き、傾いた当接面の端部が液流量調節体の中心からずれた位置に点接触した状態で液流量調節体を押動するといったことがない。そして、面と点による点接触なので、軸体が傾くことによって、軸体と液流量調節体との当接点が、液流量調節体の中心位置からずれる量を小さくすることができる。
【0013】
これにより、本願請求項1に記載の発明に係る燃料液流量調節弁によれば、軸体の一端部の当接面と液流量調節体の当接面とが点接触にて当接するので、固定鉄心に形成された貫通孔内における可動鉄心の傾きによって、軸体が傾いた状態で液流量調節体を押動した際に、燃料液の流量の調節精度が低下したり、調節できなくなってしまったりする虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。
【0014】
本願請求項2に記載の発明は、固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、前記軸体の一端部が前記液流量調節体を押動する際に、該軸体の一端部の当接面と該液流量調節体の当接面とが点接触にて当接し、前記可動鉄心の往復動方向に形成された溝が前記可動鉄心の外周面に少なくとも1つ以上形成されており、前記溝は、前記可動鉄心の往復動に伴う前記溝内の前記燃料液の流れを滞留させて前記溝内を流れる前記燃料液の一部を貯留可能な形状を有し、前記溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0015】
本願請求項3に記載の発明は、固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、該液流量調節体の移動位置に略比例して、前記燃料液吸入路の燃料液流量が増減する、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、前記貫通孔の内周面と前記可動鉄心の外周面との間隔より、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔の方が、狭い間隔に設定されており、前記軸体の一端部と前記液流量調節体との当接面は、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔による該液流量調節体の傾きの範囲内において、前記可動鉄心の可動方向に対する傾きを規制する如く係合し、前記可動鉄心の外周面と、該可動鉄心の外周面が摺接する前記貫通孔の内周面との少なくともいずれか一方の面に、前記貫通孔内の前記燃料液を貯留可能な溝が、少なくとも1つ以上形成されており、該溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0016】
このように、軸体と一体の可動鉄心は、軸体の一端部が液流量調節体と係合した状態で傾きを規制されているので、可動鉄心と軸体と液流量調節体は、同一中心軸上にあたかも一体の部材の如く、中心位置が規制された状態となる。また、液流量調節体は、わずかな傾きによって、燃料液の流量が変化してしまうことから、液流量調節体の外周面と液流量調節体挿設孔の内周面との隙間は、その傾きによる燃料液の流量の変化量が許容範囲内になるような非常に狭い間隔に設定されている。
【0017】
したがって、シビアな傾き規制が成されている液流量調節体によって、軸体及び可動鉄心が傾き規制されることになるので、可動鉄心が傾くことによる軸体の傾きを小さくすることができる。
【0018】
これにより、本願請求項3に記載の発明に係る燃料液流量調節弁によれば、可動鉄心が傾くことによる軸体の傾きを小さくすることができるので、固定鉄心に形成された貫通孔内における可動鉄心の傾きによって、軸体が傾いた状態で液流量調節体を押動した際に、燃料液の流量の調節精度が低下したり、調節できなくなってしまったりする虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。
【0019】
本願請求項4に記載の発明は、固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、前記貫通孔の内周面と前記可動鉄心の外周面との間隔より、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔の方が、狭い間隔に設定されており、前記軸体の一端部と前記液流量調節体との当接面は、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔による該液流量調節体の傾きの範囲内において、前記可動鉄心の可動方向に対する傾きを規制する如く係合し、前記可動鉄心の往復動方向に形成された溝が前記可動鉄心の外周面に少なくとも1つ以上形成されており、前記溝は、前記可動鉄心の往復動に伴う前記溝内の前記燃料液の流れを滞留させて前記溝内を流れる前記燃料液の一部を貯留可能な形状を有し、前記溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0020】
本願請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項において、複数の前記溝が周方向に形成されている、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0021】
本願請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項において、複数の前記溝が周方向に対して斜めに交差する如く形成されている、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0022】
本願請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項において、前記燃料液流量調節弁は、前記液流量調節体挿設孔の内周面には、前記燃料液吸入路の入り口側と連通している液連通孔が形成されており、前記液流量調節体には、前記燃料液吸入路の出口側と連通している液流量調節孔が形成されており、該液流量調節体の移動位置によって前記液流量調節孔の一部が前記液流量調節体挿設孔の壁面に塞がれることで、前記液流量調節孔の連通面積が減少し、前記燃料液吸入路の燃料液流量が減少する構成を成している、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0023】
燃料液吸入路の一部を構成している液流量調節体挿設孔の内周面には、燃料液吸入路の入り口側と連通している液連通孔が形成されており、その液流量調節体挿設孔に挿設されている液流量調節体には、燃料液吸入路の出口側に連通している液流量調節孔が形成されている。そのため、液連通孔と液流量調節孔との連通面積を変化することによって、燃料液吸入路の入り口側から出口側への流量が変化することになる。そして、液流量調節体挿設孔に挿設されている液燃料調節体の移動位置によって、液流量調節孔の一部が液流量調節体挿設孔の壁面に塞がれるので、液流量調節孔と液連通孔との連通面積が減少することになる。したがって、液燃料調節体の移動位置を調節することによって、流量調節孔と液連通孔との連通面積が増減して燃料液吸入路の流量が増減するので、電磁コイルに流す電流量を調節することによって、燃料液吸入路の流量を調節することができる。
【0024】
これにより、本願請求項7に記載の発明に係る燃料液流量調節弁によれば、本願請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明による作用効果に加えて、液燃料調節体に形成されている液流量調節孔の形状によって、コイルに流す電流量に対する燃料液吸入路の流量の増減特性が決定することができるので、それによって、コイルに流す電流量に対する燃料液吸入路の流量の増減特性を、より直線性を有する比例特性に設定することが可能になるという作用効果が得られる。
【0025】
本願請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記可動鉄心は、該可動鉄心の往復動方向に該可動鉄心の両端を液連通させて、前記貫通孔内の液圧を一定にするための液圧調節孔が形成されている、ことを特徴とした燃料液流量調節弁である。
【0026】
このように、可動鉄心が挿設されている貫通孔内の液圧が常に一定に保たれるので、貫通孔内の液圧差が生じることによって、可動鉄心に差圧による力が作用することを防止することができる。
これにより、本願請求項8に記載の発明に係る燃料液流量調節弁によれば、本願請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明による作用効果に加えて、貫通孔に挿設されている可動鉄心の往復動を、よりなめらかに行うことができるという作用効果が得られる。
【0027】
本願請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料液流量調節弁を備えた内燃機関の燃料噴射システムである。
本願請求項9に記載の発明に係る内燃機関の燃料噴射システムによれば、内燃機関の燃料噴射システムにおいて、前述した本願請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明による作用効果を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、本願発明に係るコモンレール式燃料噴射装置、及び燃料液流量調節弁の構成について説明する。
図1は、本願発明に係るコモンレール式燃料噴射装置の概略構成を示したシステム構成図である。
【0029】
高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1には、ギアポンプ11によって、タンク6から低圧燃料液が低圧燃料液供給路13を介して吸入される。タンク6にはプレフィルタ61が配設されており、タンク6とギアポンプ11との間の低圧燃料液供給路13には燃料液フィルタ4が配設されている。このプレフィルタ61及び燃料液フィルタ4によって、タンク6内の低圧燃料液の不純物等が除去される。
【0030】
ギアポンプ11によって吸引された低圧燃料液は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3によって、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1の低圧燃料液吸入路への流量が調節される。燃料液流量調節弁3は、電磁弁であり、内蔵されている電磁コイルに流す電流量を制御部7にて制御することによって、低圧燃料液吸入路への燃料の流量を調節可能な構成を成している。高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1は、高圧ポンプ12にて低圧燃料液の圧力を上昇させて高圧燃料液を生成し、その高圧燃料液は、高圧燃料液供給路14を介してコモンレール2に送出される。また、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1内の余剰低圧燃料液(高圧にされていない)が、再循環バルブ5を介し、低圧燃料液再循環路15を経由してタンク6に戻される。
【0031】
コモンレール2には、コモンレール2内の高圧燃料液の圧力を検出するレール圧センサ21が配設されている。レール圧センサ21で検出されたコモンレール2内の高圧燃料液の圧力は、制御部7に出力され、制御部7は、コモンレール2内の高圧燃料液の圧力が所定の圧力を維持する如く燃料液流量調節弁3を制御する。また、コモンレール2内の圧力が所定の圧力を越えた際には、コモンレール2内の圧力を所定の圧力に維持すべく圧力制限バルブ22が開き、コモンレール2内の高圧燃料液の一部が、再循環バルブ5を介し、低圧燃料液再循環路15を経由してタンク6に戻される。
【0032】
コモンレール2内の高圧燃料液は、流量制限器23、燃料噴射管16を経由してインジェクタ24に供給され、制御部7からの所定の制御タイミングで、図示していない内燃機関のシリンダ内に噴射される。また、図示していないが、コモンレール2には、複数のインジェクタ24が接続され、各インジェクタ24から内燃機関の各シリンダに噴出される高圧燃料液の圧力は、コモンレール2によって、常に等圧に保たれることになる。そして、インジェクタ24からの高圧燃料液の噴射タイミング等は、アクセルペダル71及びエンジンスピードセンサ72からの情報を基に、制御部7にて演算して算出される。
【0033】
図2は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3の断面図である。
燃料液流量調節弁3は、本体31に形成されている取付孔311によって、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1に配設される。本体31には、略円筒体形状を成す非磁性体部材からなる固定鉄心33が、図示の如く配設されている。固定鉄心33には電磁コイル331が環装されており、その電磁コイル331は、電圧印加部312に電気的に接続されており、電圧印加部312に電圧を印加することによって、電磁コイル331に電流が流れる。そして、それによって、固定鉄心33は電磁石となり、固定鉄心33の周囲に磁界が発生する。
【0034】
固定鉄心33の内周面34には、非磁性体39が円筒状に形成されている。固定鉄心33の底部にはシリンダ32が配設されている。そして、図示の如くシリンダ32の上部と、円筒状の非磁性体39と、軸受部38と、本体31の一部とで、貫通孔313が形成されている。
【0035】
可動鉄心35は、円柱体形状を成す磁性体であり、略中心には軸体37が図示の如く一体に配設されている。可動鉄心35は、貫通孔313の内周面に摺接した状態で、その軸方向に往復動可能に挿設されている。また、可動鉄心35には、その上端と下端を軸方向に液連通させる液圧調節孔351が形成されている。この液圧調節孔351によって、貫通孔313内の燃料液が、可動鉄心35の上端側と下端側とで液連通状態となり、それによって、可動鉄心35の上端側と下端側との燃料液の液圧のバランスが一定に保たれる。さらに、貫通孔313の底部には、ストローク規制部材341が配設されており、可動鉄心35の下端部が当接して、可動鉄心35の往復動のストロークが規制される。
【0036】
シリンダ32には、液流量調節体36が挿設される液流量調節体挿設孔32aと、軸体37の一部が挿入される軸体挿入孔32bが形成されている。液流量調節体挿設孔32aの内周面には、周溝321が形成されており、周溝321の底部には、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1への燃料液吸入路の入り口側(符号Aで示した矢印)に連通している液連通孔322が周方向に等間隔で数カ所に形成されている。
【0037】
液流量調節体36は、液流量調節体挿設孔32aに往復動可能に挿設されており、その上面が軸体37の当接部371に当接する方向に、図示していないコイルばね等による付勢手段によって付勢されている。また、液流量調節体36には、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1への燃料液吸入路の出口側(符号Bで示した矢印)に連通する液流量調節孔361が、液流量調節体36の周面に沿って、等間隔で数カ所に形成されている。さらに、液流量調節体36には、その上面に液圧調節孔362が形成されている。この液圧調整孔362によって、液流量調節体挿設孔32a内の燃料液が、液流量調節体36の上端側と下端側と液連通状態となり、それによって、液流量調節体36の上端側と下端側との燃料液の液圧のバランスが一定に保たれる。
【0038】
図3は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3を構成するシリンダ32の斜視図であり、図4は、シリンダ32に挿設される液流量調節体36の斜視図である。
【0039】
シリンダ32には、前述したように、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1への燃料液吸入路の入り口側に連通している液連通孔322が周方向に等間隔で数カ所に形成されている。また、図2に示した如く、シリンダ32に挿設される液流量調節体36には、前述したように、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1への燃料液吸入路の出口側に連通する液流量調節孔361が、液流量調節体36の周面に沿って、等間隔で数カ所に形成されている。
【0040】
次に、本願発明に係る燃料液流量調節弁3が、燃料液吸入路の燃料液の流量を調節する動作について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3の液流量調節体36近傍を拡大して示した断面図であり、電磁コイル331に電流が流れておらず、可動鉄心35が上端に位置している状態を示したものである。
【0041】
液流量調節体36は、図示していない付勢手段によって、その上端部分が軸体37の当接部371に当接している。また、軸体37及び可動鉄心35も、その付勢手段の付勢力によって、液流量調節体36に押し上げられた状態となっている。同図に示した液流量調節体36の移動位置において、燃料液吸入路の入り口側に連通している液連通孔322は、液流量調節体挿設孔32aの内周面に形成されている周溝321を経由して、液流量調節体36に形成されている液流量調節孔361に連通している。
【0042】
また、液流量調節孔361は、燃料液吸入路の出口側と連通している燃料液送出口323に連通しているので、燃料液吸入路は、符号Cで示した流路にて連通した状態になっている。そして、液流量調節体挿設孔32aの内周面に面している液流量調節孔361は、周溝321の範囲内に位置しているので、部分的に遮断されていない状態となっている。したがって、燃料液吸入路の燃料液の流量は、最大の流量となる。
【0043】
図6は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3の液流量調節体36近傍を拡大して示した断面図であり、電磁コイル331に一定の電流が流れることによって、可動鉄心35が貫通孔313内の途中まで移動した状態を示したものである。
【0044】
電磁コイル331に電流が流れることで固定鉄心33に発生する磁界によって、可動鉄心35に作用する符号Dの矢印で示した方向の力と、前述の付勢手段による付勢力とのバランスが保たれる位置まで可動鉄心35が貫通孔313内を移動する。可動鉄心35が符号Dで示した矢印の方向に移動することによって、可動鉄心35と一体に構成されている軸体37も符号Dの矢印で示した方向に移動する。
【0045】
そして、液流量調節体36は、軸体37の当接部371に押動されて、液流量調節体挿設孔32a内の途中の位置まで移動する。同図に示した液流量調節体36の移動位置において、燃料液吸入路の入り口側に連通している液連通孔322は、シリンダ32の内周面に形成されている周溝321を経由して、液流量調節体36に形成されている液流量調節孔361に連通している。液流量調節孔361は、燃料液吸入路の出口側と連通している燃料液送出口323に連通しているので、燃料液吸入路は、符号Cで示した流路にて連通した状態になっている。
【0046】
また、液流量調節体挿設孔32aの内周面に面している液流量調節孔361は、その一部が周溝321近傍の液流量調節体挿設孔32aの内壁に遮断され、液流量調節孔361の略下半分の部分が、液流量調節体挿設孔32aの内壁に面した状態で遮断されている。したがって、燃料液吸入路は、液流量調節体挿設孔32aの内壁に遮断されていない液流量調節孔361の略上半分の流路面積による流量にて連通した状態となっている。
【0047】
尚、同図においては、液流量調節孔361が液流量調節体挿設孔32aの内壁に面した状態で遮断されている部分を塗りつぶして示してあり、以下同様である。また、液流量調節孔361は、図示の如く、略二等辺三角形状を成しており、それによって、電磁コイル331に流す電流量の増減に対して、燃料液流量調節弁3の燃料液の流量が、略比例して増減するようになっている。
【0048】
図7は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3の液流量調節体36近傍を拡大して示した断面図であり、図6に示した状態から電磁コイル331に、さらに電流が流れることによって、可動鉄心35が貫通孔313内のストローク規制部材341に当接するまで移動した状態を示したものである。
【0049】
電磁コイル331に流れる電流量が増加することによって、固定鉄心33に発生する磁界の強さが大きくなり、前述の付勢手段による付勢力とのバランスが保たれる位置が、符号Dの矢印で示した方向に移動し、可動鉄心35が符号Dで示した矢印の方向に、さらに移動することなる。したがって、可動鉄心35と一体に構成されている軸体37も符号Dの矢印で示した方向に、さらに移動する。そして、液流量調節体36は、軸体37の当接部371に押動されて、液流量調節体挿設孔32a内の底部まで移動する。
【0050】
同図に示した液流量調節体36の移動位置において、燃料液吸入路の入り口側に連通している液連通孔322は、シリンダ32の内周面に形成されている周溝321が、液流量調節体36の外壁に面した状態となっているので、液流量調節体36の外壁によって連通が遮断されている。また、液流量調節体挿設孔32aの内周面に面している液流量調節孔361は、周溝321近傍の液流量調節体挿設孔32aの内壁に面した状態で完全に連通が遮断されている。したがって、燃料液吸入路は、その入り口側と出口側の連通が遮断された状態となっている。
【0051】
つづいて、本願発明に係る燃料液流量調節弁3において、貫通孔313内で可動鉄心35がわずかに傾いた状態における、軸体37の当接部371と、液流量調節体36の当接面との関係について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
ところで、液流量調節体挿設孔32a内周面と液流量調節体36の外周面とのクリアランス(間隔)は、貫通孔313の内周面と可動鉄心35の外周面とのクリアランス、及び軸体挿入孔32bの外周面と軸体37の外周面とのクリアランスと比較して、非常に狭くなっている。つまり、液流量調節体挿設孔32a及び液流量調節体36は、非常に高い精度にて形成されている。これは、この部分の精度が、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ1への燃料液流量の調節精度に大きく影響するためであり、液流量調節体挿設孔32a内周面と液流量調節体36の外周面とのクリアランスが広いと、液流量調節体挿設孔32a内における液流量調節体36の傾きが大きくなり、それによって、燃料液の流量が変化してしまい、微量な燃料液の流量の調節ができなくなってしまうためである。
【0053】
したがって、液流量調節体36の当接面に軸体37の当接部371が当接して、軸体37が液流量調節体36を押動する際に、液流量調節体36の中心からずれた位置で液流量調節体36が押動されると、液流量調節体挿設孔32a内周面と液流量調節体36の外周面とのクリアランスの範囲内で液流量調節体36が傾いた状態で液流量調節体挿設孔32a内を移動することになる。
【0054】
そして、前述したように、液流量調節体36が液流量調節体挿設孔32aの内壁に引っかかることによって、いわゆる渋りが発生し、液流量調節体36の移動がスムーズに行われず、燃料液の流量の調節を精度良く行えなくなってしまったり、液流量調節体36が引っかかったまま動かなくなってしまったりする虞が生じる。
【0055】
図8は、軸体37の当接部371が液流量調節体36の当接面に当接している状態を模式的に示した正面図である。図8(a)は、軸体37が傾いていない状態の当接面を示したものであり、図8(b)は、軸体37が傾いた状態の当接面を示したものである。
【0056】
軸体37は、円柱形状を成しており、液流量調節体36に当接する当接部371は、図示の如く、略球面形状になっているので、液流量調節体36との当接面は点接触となる。図8(a)に示したように、軸体37が傾いていない状態で液流量調節体36に当接した場合には、軸体37の中心線37aと液流量調節体36の中心線36aとが、略一致した状態となる。したがって、当接部371が点接触して軸体37が液流量調節体36を押動する力Fが作用する当接点Pは、液流量調節体36の中心線36aと液流量調節体36の当接面との交点となる当接面の中心点となり、液流量調節体36に傾き力は、ほとんど作用しない。
【0057】
一方、図8(b)に示したように、軸体37が傾いた状態で液流量調節体36に当接した場合には、当接部371の球面の一点が、液流量調節体36の中心線36aから、わずかにずれた当接点Pにおいて点接触することになる。そして、当接点Pに、軸体37が液流量調節体36を押動する力Fが作用し、液流量調節体36の中心線36aからずれた位置に力が作用することによって、液流量調節体36に傾き力が作用することになる。
【0058】
しかし、従来の平坦な当接面を有する軸体37の当接部371(図13参照)と比較して、軸体37が傾いた状態における、液流量調節体36の中心線36aからの当接点Pのずれは、ごくわずかなずれとなっている。これは、当接部371と液流量調節体36の当接面が、従来の面と面とによる面接触ではなく、球面と平面とによる点接触となっているためである。したがって、液流量調節体36に作用する傾き力は、従来と比較してごく小さな傾き力となる。尚、略球面形状を成す当接部371の球面の曲率は、可能な限り大きい方が好ましく、それによって、軸体37が傾いた状態における、液流量調節体36の中心線36aからの当接点Pのずれは、より小さくなる。
【0059】
このようにして、軸体37が傾いた状態で液流量調節体36を押動した際に、液流量調節体36に作用する傾き力を小さくすることができるので、液流量調節体挿設孔32a内で傾いた液流量調節体36が、液流量調節体挿設孔32aに引っかかる虞を少なくすることができる。そして、燃料液の流量の調節を精度良く行えなくなってしまったり、液流量調節体36が引っかかったまま動かなくなってしまったりする虞を少なくすることができる。
【0060】
また、他の実施の形態としては、軸体37の当接部371と液流量調節体36との当接面において、液流量調節体36の当接面を略球面形状にしたものが挙げられる。
【0061】
図9は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3の他の実施の形態を示したものであり、液流量調節体36近傍を拡大して示した断面図である。
【0062】
このように、軸体37の当接部371を平面形状とし、液流量調節体36の当接面を略球面形状とすることによって、当接部371と液流量調節体36は、図5に示した燃料液流量調節弁3と同様に、液流量調節体36の略中心点にて点接触することになる。尚、他の部分については、図5に示した燃料液流量調節弁3と同様なので説明は省略する。
【0063】
したがって、前述した一実施の形態と同様に、軸体37が傾いた状態で液流量調節体36を押動した際に、液流量調節体36に作用する傾き力を小さくすることができるので、液流量調節体挿設孔32a内で傾いた液流量調節体36が、液流量調節体挿設孔32aに引っかかる虞を少なくすることができる。そして、燃料液の流量の調節を精度良く行えなくなってしまったり、液流量調節体36が引っかかったまま動かなくなってしまったりする虞を少なくすることができる。
【0064】
さらに、他の実施の形態としては、軸体37の当接部371と液流量調節体36との当接面が、可動鉄心35の可動方向に対する傾きを規制する如く係合しているものが挙げられる。
【0065】
図10は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3のさらに他の実施の形態を示したものであり、液流量調節体36近傍を拡大して示した断面図である。
【0066】
軸体37の当接部371は、軸体37より直径の小さい円柱体形状を成している。一方、液流量調節体36の当接面には、当接部371の直径と略同径の円形孔363が形成されている。そして、円柱体形状を成す当接部371は、図示の如く円形孔363に係合した状態で、液流量調節体36に当接している。尚、他の部分については、図5に示した燃料液流量調節弁3と同様なので説明は省略する。
【0067】
当該実施の形態においては、前述した一実施の形態と同様に、液流量調節体挿設孔32a内周面と液流量調節体36の外周面とのクリアランスは、貫通孔313の内周面と可動鉄心35の外周面とのクリアランス、及び軸体挿入孔32bの外周面と軸体37の外周面とのクリアランスと比較して、非常に狭くなっている。そして、軸体37と液流量調節体36とは、その当接面にて係合した状態で当接しているので、軸体37と液流量調節体36は、同一中心線上に、あたかも一体の部材として結合し、液流量調節体挿設孔32a内周面と液流量調節体36の外周面とのクリアランスによって、その傾きが規制されることになる。したがって、軸体37の当接部371と液流量調節体36の円形孔363とが係合していることによって、可動鉄心35の傾きが規制されるので、可動鉄心35が傾くことによる軸体37の傾きを小さくすることができる。
【0068】
このようにして、可動鉄心35が傾くことによる軸体37の傾きを小さくすることができ、それによって、前述した一実施の形態と同様に、軸体37が傾いた状態で液流量調節体36を押動した際に、液流量調節体36に作用する傾き力を小さくすることができるので、液流量調節体挿設孔32a内で傾いた液流量調節体36が、液流量調節体挿設孔32aに引っかかる虞を少なくすることができる。そして、燃料液の流量の調節を精度良く行えなくなってしまったり、液流量調節体36が引っかかったまま動かなくなってしまったりする虞を少なくすることができる。
【0069】
さらに、他の実施の形態としては、上述した各実施の形態に加えて、可動鉄心35の外周面と、可動鉄心35の外周面が摺接する貫通孔313の軸受部38(図2)の内周面との少なくともいずれか一方の面に、貫通孔313内の燃料液を貯留可能な溝が形成されているものが挙げられる。
【0070】
図11は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3のさらに他の実施の形態をいくつか示したものであり、軸受部38の内周面を示した断面図である。
【0071】
図11(a)に示した態様は、円筒形状を成す軸受部38の内周面に、溝381が図示の如く、周方向に形成されている。溝381には、貫通孔313内の燃料液が貯留され、その貯留された燃料液が、軸受部38の内周面を可動鉄心35が摺動する際の潤滑剤となって、軸受部38の内周面と可動鉄心35の外周面との摩擦抵抗を低減し、可動鉄心35の移動をよりなめらかにする作用効果が得られる。
【0072】
また、図11(b)に示した態様は、溝381が、図示の如く軸受部38の内周面に周方向と直交する方向に形成されている。このように、溝381を軸受部38の内周面に形成することも可能であり、図11(a)に示した態様と同様の作用効果が得られる。
【0073】
さらに、図11(c)に示した態様は、図示の如く周方向に対して斜めに交差する溝381が軸受部38の内周面に形成されている。このように、溝381を軸受部38の内周面に形成することも可能であり、図11(a)及び図11(b)に示した態様と同様の作用効果が得られる。
【0074】
図12は、本願発明に係る燃料液流量調節弁3のさらに他の実施の形態をいくつか示したものであり、軸受部38の内周面に摺接して往復動する可動鉄心35の軸受部38近傍を示した正面図である。
【0075】
図12(a)に示した態様は、可動鉄心35の外周面に、溝352が図示の如く、周方向に形成されている。溝352には、貫通孔313内の燃料液が貯留され、その貯留された燃料液が、軸受部38の内周面を可動鉄心35が摺動する際の潤滑剤となって、軸受部38の内周面と可動鉄心35の外周面との摩擦抵抗を低減し、可動鉄心35の移動をよりなめらかにする作用効果が得られる。
【0076】
また、図12(b)に示した態様は、溝352が、図示の如く可動鉄心35の外周面に周方向と直交する方向に形成されている。このように、溝352を可動鉄心35の外周面に形成することも可能であり、図12(a)に示した態様と同様の作用効果が得られる。
【0077】
さらに、図12(c)に示した態様は、図示の如く周方向に対して斜めに交差する溝352が可動鉄心35の外周面に形成されている。このように、溝352を可動鉄心35の外周面に形成することも可能であり、図12(a)及び図12(b)に示した態様と同様の作用効果が得られる。
【0078】
このようにして、図11及び図12に示した実施の形態においては、上述した各実施の形態における本願発明の作用効果に加えて、可動鉄心35の移動をよりなめらかにすることができるという作用効果が得られる。
【0079】
尚、本願発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本願発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0080】
【発明の効果】
本願発明によれば、固定鉄心に形成された貫通孔内における可動鉄心の傾きによって、軸体が傾いた状態で液流量調節体を押動した際に、燃料液の流量の調節精度が低下したり、調節できなくなってしまったりする虞が少ない燃料液流量調節弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るコモンレール式燃料噴射装置の概略構成を示したシステム構成図である。
【図2】本願発明に係る燃料液流量調節弁の断面図である。
【図3】本願発明に係る燃料液流量調節弁を構成するシリンダの斜視図である。
【図4】本願発明に係る燃料液流量調節弁を構成するシリンダに挿設される液流量調節体の斜視図である。
【図5】本願発明に係る燃料液流量調節弁の液流量調節体近傍を拡大して示した断面図であり、電磁コイルに電流が流れておらず、可動鉄心が上端に位置している状態を示したものである。
【図6】本願発明に係る燃料液流量調節弁の液流量調節体近傍を拡大して示した断面図であり、電磁コイルに一定の電流が流れることによって、可動鉄心が貫通孔内の途中まで移動した状態を示したものである。
【図7】本願発明に係る燃料液流量調節弁の液流量調節体近傍を拡大して示した断面図であり、図6に示した状態から電磁コイルに、さらに電流が流れることによって、可動鉄心が貫通孔内のストローク規制部材に当接するまで移動した状態を示したものである。
【図8】軸体の当接部が液流量調節体の当接面に当接している状態を模式的に示した正面図であり、図8(a)は、軸体が傾いていない状態の当接面を示したものであり、図8(b)は、軸体が傾いた状態の当接面を示したものである。
【図9】本願発明に係る燃料液流量調節弁の他の実施の形態を示したものであり、液流量調節体近傍を拡大して示した断面図である。
【図10】本願発明に係る燃料液流量調節弁のさらに他の実施の形態を示したものであり、液流量調節体近傍を拡大して示した断面図である。
【図11】本願発明に係る燃料液流量調節弁のさらに他の実施の形態をいくつか示した軸受部の内周面の断面図であり、図11(a)は、軸受部の内周面に溝が周方向に形成されており、図11(b)は、軸受部の内周面に溝が周方向と直交する方向に形成されており、図11(c)は、軸受部の内周面に溝が周方向と斜めに交差するように形成されている。
【図12】本願発明に係る燃料液流量調節弁のさらに他の実施の形態をいくつか示した可動鉄心の軸受部近傍の正面図であり、図12(a)は、可動鉄心の外周面に溝が周方向に形成されており、図12(b)は、可動鉄心の外周面に溝が周方向と直交する方向に形成されており、図12(c)は、可動鉄心の外周面に溝が周方向と斜めに交差するように形成されている。
【図13】従来技術における燃料液流量調節弁の軸体の当接部と液流量調節体との当接面を模式的に示した正面図であり、図13(a)は、軸体が傾いていない状態を示したものであり、図13(b)は、軸体が傾いた状態を示したものである。
【符号の説明】
1 高圧燃料噴射装置用燃料ポンプ、2 コモンレール、3 燃料液流量調節弁、4 燃料液フィルタ、5 再循環バルブ、6 タンク、7 制御部、11 ギアポンプ(低圧ポンプ)、12 高圧ポンプ、13 低圧燃料液供給路、14 高圧燃料液供給路、15 低圧燃料液再循環路、16 燃料噴射管、21 レール圧センサ、22 圧力制限バルブ、23 流量制限器、24 インジェクタ、31 本体、32 シリンダ、33 固定鉄心、34 固定鉄心の内周面、35 可動鉄心、36 液流量調節体、37 軸体、38 軸受部、39 非磁性体、61 プレフィルタ、71 アクセルペダル、72 エンジンスピードセンサ、331 電磁コイル、361 液流量調節孔

Claims (9)

  1. 固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、
    該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、
    前記軸体の一端部が前記液流量調節体を押動する際に、該軸体の一端部の当接面と該液流量調節体の当接面とが点接触にて当接し、
    前記可動鉄心の外周面と、該可動鉄心の外周面が摺接する前記貫通孔の内周面との少なくともいずれか一方の面に、前記貫通孔内の前記燃料液を貯留可能な溝が、少なくとも1つ以上形成されており、該溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  2. 固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、
    該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、
    前記軸体の一端部が前記液流量調節体を押動する際に、該軸体の一端部の当接面と該液流量調節体の当接面とが点接触にて当接し、
    前記可動鉄心の往復動方向に形成された溝が前記可動鉄心の外周面に少なくとも1つ以上形成されており、
    前記溝は、前記可動鉄心の往復動に伴う前記溝内の前記燃料液の流れを滞留させて前記溝内を流れる前記燃料液の一部を貯留可能な形状を有し、前記溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  3. 固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、
    該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、
    前記貫通孔の内周面と前記可動鉄心の外周面との間隔より、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔の方が、狭い間隔に設定されており、
    前記軸体の一端部と前記液流量調節体との当接面は、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔による該液流量調節体の傾きの範囲内において、前記可動鉄心の可動方向に対する傾きを規制する如く係合し、
    前記可動鉄心の外周面と、該可動鉄心の外周面が摺接する前記貫通孔の内周面との少なくともいずれか一方の面に、前記貫通孔内の前記燃料液を貯留可能な溝が、少なくとも1 つ以上形成されており、該溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  4. 固定鉄心と、該固定鉄心に形成された貫通孔に往復動可能に挿設され、該固定鉄心に環装された電磁コイルに通電する電流量に応じた移動量で、前記貫通孔内を一方向に移動する可動鉄心と、該可動鉄心と一体に構成された軸体と、高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液吸入路の一部を構成する液流量調節体挿設孔に往復動可能に挿設され、前記軸体の一端部に押動されることによって前記一方向に移動し、付勢手段の付勢力によって他方向に移動する液流量調節体とを備え、
    該液流量調節体の移動位置により、内燃機関の燃料噴射システムおける前記高圧燃料噴射装置用燃料ポンプへの燃料液の吸入量を調節するための燃料液流量調節弁であって、
    前記貫通孔の内周面と前記可動鉄心の外周面との間隔より、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔の方が、狭い間隔に設定されており、
    前記軸体の一端部と前記液流量調節体との当接面は、前記液流量調節体挿設孔の内周面と前記液流量調節体の外周面との間隔による該液流量調節体の傾きの範囲内において、前記可動鉄心の可動方向に対する傾きを規制する如く係合し、
    前記可動鉄心の往復動方向に形成された溝が前記可動鉄心の外周面に少なくとも1つ以上形成されており、
    前記溝は、前記可動鉄心の往復動に伴う前記溝内の前記燃料液の流れを滞留させて前記溝内を流れる前記燃料液の一部を貯留可能な形状を有し、前記溝に貯留している前記燃料液は、前記可動鉄心の外周面が前記貫通孔の内周面を摺動する際の潤滑剤として作用する、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、複数の前記溝が周方向に形成されている、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項において、複数の前記溝が周方向に対して斜めに交差する如く形成されている、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において、前記燃料液流量調節弁は、前記液流量調節体挿設孔の内周面には、前記燃料液吸入路の入り口側と連通している液連通孔が形成されており、前記液流量調節体には、前記燃料液吸入路の出口側と連通している液流量調節孔が形成されており、該液流量調節体の移動位置によって前記液流量調節孔の一部が前記液流量調節体挿設孔の壁面に塞がれることで、前記液流量調節孔の連通面積が減少し、前記燃料液吸入路の燃料液流量が減少する構成を成している、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、前記可動鉄心は、該可動鉄心の往復動方向に該可動鉄心の両端を液連通させて、前記貫通孔内の液圧を一定にするための液圧調節孔が形成されている、ことを特徴とした燃料液流量調節弁。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料液流量調節弁を備えた内燃機関の燃料噴射システム。
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