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JP3630207B2 - ショーケース冷却装置 - Google Patents

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JP3630207B2
JP3630207B2 JP13861697A JP13861697A JP3630207B2 JP 3630207 B2 JP3630207 B2 JP 3630207B2 JP 13861697 A JP13861697 A JP 13861697A JP 13861697 A JP13861697 A JP 13861697A JP 3630207 B2 JP3630207 B2 JP 3630207B2
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伸一 中山
克広 酒井
修 石山
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Fuji Electric Retail Systems Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば開店時・閉店時などにおけるショーケース照明の一斉点灯・消灯に応じてショーケース温度を適正に定めるようにして、商品の高鮮度維持と省エネルギー化を支援するショーケース冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ショーケースの冷却装置の一従来例について、図8を参照しながら説明する。ショーケース群1と冷凍機6の間に介在させる形で、両者を総合的・合理的に制御するための、電磁弁運転率演算部3と、圧力設定値演算部4と、回転数指令演算部5からなる総合コントローラ34を設ける。電磁弁運転率演算部3は、一定時間ごとに、その前の一定時間に対する各電磁弁のオン時間の割合である電磁弁運転率を求める。圧力設定値演算部4は、その求められた電磁弁運転率に基づいて、冷凍機6の側でインバータ8を介して運転される圧縮機9の吸入冷媒圧力に対する次の一定時間に係る設定値(更新)を求める。回転数指令演算部5は、その求められた吸入冷媒圧力の設定値と実際の圧力との偏差に基づいて、圧縮機9に対するインバータ8の次の一定時間に係る回転数指令(更新)を求める。ここで、ショーケース群1は、ショーケース1A,1B,1C,…(以下、1A…と表記する)の全てが店舗内で並設されて一つのグループをなすもので、各ショーケース1A…はそれぞれ、蒸発器2A…、この蒸発器2A…への冷媒の流れをオン・オフ制御するショーケース用コントローラ34A…、冷媒の流れをオン・オフする図示してない電磁弁(後述の図11の符号33A…参照)、ショーケースの吹き出し空気の温度を測定する温度センサ14A…、および、照明40A…を備える。照明40A…の点灯・消灯は、照明ON/OFF指令信号(点灯指令信号または消灯指令信号)によっておこなわれる。また、ショーケース内の温度測定箇所として、空気が吹き出す箇所が選ばれた理由は、一つには格納商品の量の多寡によって影響されない箇所であること、もう一つには制御に基づく温度変化が最も先行的に現れる箇所であるから制御上好都合なことによる。
【0003】
ここで、圧力設定値演算部4は、消費電力量が必要最小限になるように圧力設定値を最適に更新するが、そのためには冷凍機能力とショーケース負荷が分かればよい。実際にこれらを測定するのが困難であるから、冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを見ながら、冷凍機能力が不足か、適当か、過剰かを判断し、これに基づいて圧力設定値を最適に更新する。しかも、冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを、電磁弁の運転率が低いときには、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が過剰、電磁弁の運転率が高いときには、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が不足、電磁弁の運転率が適当なときには、ショーケース負荷に対して冷凍機能力が適当、とそれぞれ判断する。
【0004】
なお、冷凍機能力とショーケース負荷のバランスを、前記のように電磁弁の運転率で判断する代わりに、電磁弁が繰返しオンして冷媒の流れをオンしたときのショーケース内の空気温度の降下速度や、電磁弁が繰返しオン・オフしたときの平均的オン・オフ周期で判断する方式もある。
図9は圧力設定値の更新に係る、圧力設定値/ショーケース運転率対応図である。これは圧力設定値を更新するための経験則で、この内容が図8の圧力設定値演算部4で実施されることになる。つまり、
(1) 少なくとも1台のショーケース(電磁弁)運転率が90%以上なら冷凍機能力は不足と判断し、圧力設定値を0.01 MPa(0.1Kg/cm) だけ下げ(更新し)て、冷凍機能力を増加させる。
(2) 全てのショーケース(電磁弁)運転率が40〜90%なら、冷凍機能力は適当と判断し、圧力設定値をそのまま維持する。
(3) ショーケース(電磁弁)運転率が全てが90%以下で、かつ少なくとも1台が40%以下なら、冷凍機能力は過剰と判断し、圧力設定値を0.01 MPaだけ上げ(更新し)て、冷凍機能力を減少させる。
【0005】
マルチ冷凍機が用いられた別の従来例について、図10〜図12を参照しながら説明する。図10は別の従来例の構成を示すブロック図である。図10において、この別の従来例は、図8の一従来例における総合コントローラ34に代えて総合コントローラ34Mが、また冷凍機6に代えてマルチ冷凍機6Mがそれぞれ用いられる。総合コントローラ34Mは、総合コントローラ34におけると同じ電磁弁運転率演算部3および圧力設定演算部4と、新たな冷凍機能力制御部5Mからなる。この冷凍機能力制御部5Mは、前段の圧力設定値演算部4によって求められた吸入冷媒圧力の設定値と、その実際値との偏差に基づいて、次に述べるマルチ冷凍機6Mにおける圧縮機群19の運転パターンを指令し(詳しくは後述する図12参照)、もってマルチ冷凍機6Mの冷凍能力をショーケース負荷に対して最適にする機能をもつ。また、マルチ冷凍機6Mは主として、圧縮機群19と、その吸入冷媒圧力を測定する圧力センサ7からなる。ここで、圧縮機群19は、詳しくは図11を参照しながら後述するが、複数の圧縮機が並列接続され、その選択的運転によって冷凍機能力が制御されるように構成される。
【0006】
図11は別の従来例の冷凍サイクルの構成を詳細に示すブロック図である。冷凍サイクルは、マルチ冷凍機6Mに内蔵された、圧縮機群19および凝縮器31と、各ショーケース1A…に内蔵された蒸発器2A…、対応する電磁弁33A…および温度膨張弁32A…とから構成される。圧縮機群19は、ここでは4個の圧縮機9A,9B,9C,9Dが並列接続されて構成され、各圧縮機9A…の選択的運転によって冷凍機能力を制御することができる。また、蒸発器2A…は互いに並列接続され、この並列接続されたものに圧縮機群19と凝縮器31が直列接続され冷凍サイクルが構成される。図10の各コントローラ34A…は、それぞれ対応する温度センサ14Aからの温度信号とその設定値との偏差に基づき、対応する蒸発器2A…への冷媒の流れをオン・オフ制御する。再び、図10に戻って、冷媒は、圧縮機群19から凝縮器31を経た後に分流して、各蒸発器2A…に流れたり、または流れるのを阻止されてから圧縮機群19に戻るように循環する。
【0007】
図12は圧縮機群19の運転パターンと冷凍機能力の対応図である。この別の従来例では、5つの運転パターン(1),(2),(3),(4),(5) があって、各運転パターンのとき運転される圧縮機の組合わせと、そのときの冷凍機能力が示される。運転パターン(3) で説明すると、このときには各圧縮機9A,9Bが同時運転され(○印表示)、冷凍機能力は50%(全圧縮機が同時運転される運転パターン(5) のときを100 %として)である。なお、ここでは各圧縮機が同じ能力(容量)としてあるが、一般に構成台数と、それぞれの能力は自由に選ぶことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べたように、一従来例や別の従来例では、開店時や閉店時にショーケース群を一斉に照明を点灯したり消灯したりしたとき、ショーケースの負荷は照明に係る負荷分だけ急に増したり減ったりする。一方、総合コントローラ34,34Mの制御動作の応答性に多少とも遅れがあるので、冷凍機6やマルチ冷凍機6Mの冷凍機能力を急速に増大させたり減少させたりすることができない。そのため、照明の点灯時には、一時的にショーケースの温度が適温以上になって商品の高鮮度維持を阻害し、照明の消灯時には、一時的にショーケースの温度が適温以下になって省エネルギー化を阻害することになる。
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、たとえば開店時・閉店時などにおけるショーケース照明の一斉点灯・消灯に応じてショーケース温度を適正に定めるようにして、商品の高鮮度維持と省エネルギー化を支援するショーケース冷却装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、これと冷凍サイクルを構成する共通な冷凍機と、これらショーケースおよび冷凍機を総合的に制御する、ショーケースの運転状態に基づいて冷凍機に内蔵されるインバータ圧縮機の吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部、および、求められた吸入冷媒圧力の設定値とその実際値との偏差に基づいてインバータ圧縮機に対する回転数指令を求める回転数指令演算部を備える総合コントローラとからなるインバータ冷凍機方式において、または、
本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を総合的に制御する、ショーケースの運転状態に基づいてマルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部、および、求められた吸入冷媒圧力の設定値とその実際値の偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部を備える総合コントローラとからなるマルチ冷凍機方式において、
圧力設定値演算部は、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の点灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とし、ショーケースの照明を点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の消灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とする、という構成である。
【0011】
ここで、点灯対応値と消灯対応値は、
(1) それぞれ予め定めた点灯時初期値と消灯時初期値であったり、
(2) それぞれショーケースの運転状態に基づいて求められた切替え直前の圧力設定値から予め定めた点灯時補正値だけ減算した値と、ショーケースの運転状態に基づいて求められた切替え直前の圧力設定値に予め定めた消灯時補正値だけ加算した値であったり、
(3) それぞれ前回たとえば前日の開店時に照明を点灯状態から消灯状態に切り替えたときの切替え直前の圧力設定値と、前回たとえば前日の閉店時に照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときの切替え直前の圧力設定値である、
という構成をとることができる。
【0012】
したがって、この発明では、冷凍機がインバータ冷凍機方式、マルチ冷凍機方式にかかわらず、いずれも圧力設定値演算部によって、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の点灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とするから、その一定時間だけ冷凍機能力を増大させて、照明点灯に基づく突然な負荷増大にかかわらず、急速にショーケース温度が適温以上に上昇すること(冷却不足になること)を抑えることができ、また、点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の消灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とするから、その一定時間だけ冷凍機能力を減少させて、照明消灯に基づく突然な負荷減少にかかわらず、急速にショーケース温度が適温以下に下降すること(冷却過剰になること)を抑えることができる。言い換えれば、ショーケース照明の点灯・消灯の各切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償することができる。各方式の点灯対応値と消灯対応値は、設定の仕方にもよるが、一般的には、前記の各項(1),(2),(3) の順に復帰時間を短縮、つまり応答遅れを改善することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態として、第1,第2,第3の各実施例について、以下にそれぞれ図1,図2,図3を参照しながら説明する。なお、第1,第2,第3の各実施例は、いずれも冷凍機がインバータ圧縮機を内蔵するインバータ冷凍機方式の例であって、「課題を解決するための手段」において、点灯対応値と消灯対応値がそれぞれ(1),(2),(3) の場合に対応する。
【0014】
図1は第1実施例の構成を示すブロック図である。この第1実施例は、図8に示した一従来例の総合コントローラ34に代えて総合コントローラ35が用いられる。この総合コントローラ35には、総合コントローラ34に切替器21と初期値出力部22と持続器23が追加設置される。切替器21は、共通端子と二つの切替え端子をもつ切替えスイッチ形式で、共通端子が回転数指令演算部5に、一方の切替え端子が圧力設定値演算部4に、他方の切替え端子が後述の初期値出力部22にそれぞれ接続されるように設けられ、照明ON/OFF指令信号(点灯指令信号または消灯指令信号)に応じて、模式的に示した実線と破線の各切替えが持続器23を介しておこなわれる。すなわち、パルス信号である照明ON/OFF指令信号は、持続器23によって一定時間Tだけ働きが持続される指令信号となり、切替器21を破線位置に切り替え、一定時間Tの後に実線位置に復帰させる。また、初期値出力部22は、同じタイミングで初期値信号を切替器21の破線位置側の切替え端子に入力する。
【0015】
したがって、照明ON/OFF指令信号がないとき、つまり消灯時または点灯時には、圧力設定値演算部4の出力が、実線位置に切り替えられた切替器21を介して回転数指令演算部5に入力される。照明ON/OFF指令信号が到来すると、まず初期値出力部22からの初期値信号が、初期の一定時間Tだけ破線位置に切り替えられた切替器21を介して回転数指令演算部5に入力され、次いで一定時間Tの経過後には再び圧力設定値演算部4の出力が、実線位置に復帰した切替器21を介して回転数指令演算部5に入力される。
【0016】
つまり、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、その切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償するように、切替え時点から一定時間Tだけ初期値信号が吸入冷媒圧力に対する設定値となって、その一定時間Tだけ冷凍機能力を増大させることができる。したがって、照明点灯に基づく突然な負荷増大にかかわらず、急速にショーケース温度、たとえば吹き出し口の空気温度が適温以上に上昇することを抑えることができる。また、点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、その切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償するように、切替え時点から一定時間Tだけ初期値信号が吸入冷媒圧力に対する設定値となるから、その一定時間Tだけ若干冷凍機能力を減少させて、照明消灯に基づく突然な負荷減少にかかわらず、急速にショーケース温度が適温以下に下降することを抑え、省エネルギー化を支援することができる。なお、点灯時と消灯時の各初期値信号は、一定時間Tとともに変更可能な固定値であり、経験的に定められて、商品の高鮮度維持と省エネルギー化を両立させる形で支援することができる。
【0017】
第1実施例の動作について、図5の照明動作と圧力設定値のタイムチャートを参照しながら補足説明する。図5において、上側に照明のON・OFF(点灯・消灯)のタイムチャートが、下側に圧力設定値のタイムチャートが時間軸を共通にして示される。照明ON指令信号に基づいて照明がOFFからONに(消灯状態から点灯状態に)切り替えられたとき、従来は圧力設定値がSa からSb まで(Sa >Sb )破線のように制御動作の応答遅れを伴って減少方向に変化した。ここで、各値Sa ,Sb はいずれも時間的変動値である。しかし、第1実施例では、圧力設定値がSa からS1 まで(Sa >S1 )実線のように段階的に、つまり応答遅れなく変化する。しかも、圧力設定値はS1 を維持する時間はTで、この時間T経過後に再び制御動作に基づいて値Sb に復帰する。この復帰は、各値S1 ,Tの設定によって多少とも変わるが、いずれにしても比較的急速におこなわれる。また、照明がONからOFFに(点灯状態から消灯状態に)切り替えられたとき、従来は圧力設定値がSb からSa まで破線のように制御動作の応答遅れを伴って増加方向に変化した。しかし、第1実施例では、圧力設定値がSb からS2 まで時間Tだけ実線のように段階的に変化し、この時間Tの経過後は再び制御動作に基づいて値Sa に比較的急速に復帰する。ここで、各値S1,S2 が、それぞれ発明における点灯時初期値,消灯時初期値である。
【0018】
図2は第2実施例の構成を示すブロック図である。この第2実施例は、図1に示した第1実施例の総合コントローラ35に代えて総合コントローラ36が用いられる。この総合コントローラ36には、第1実施例の総合コントローラ35において、初期値出力部22に代えて補正値出力部25と加算器26とメモリ27が設置される。補正値出力部25は、持続器23に接続されて、その出力中に予め定めた補正値信号を出力する。メモリ27は、圧力設定値演算部4と持続器23に接続されて、点灯時直前(消灯終端時)または消灯時直前(点灯終端時)の圧力設定値をデータとして格納する。その動作についてさらに詳しく言えば、現時点を含む過去一定時間の圧力設定値データの格納を絶えず更新しながら続け、照明ON/OFF指令信号に基づいて、点灯か消灯の切替え直前の圧力設定値データだけを抽出し格納する。切替器21は、共通端子が回転数指令演算部5に、一方の切替え端子が圧力設定値演算部4に、他方の切替え端子が加算器26にそれぞれ接続されるように設けられ、照明ON/OFF指令信号(点灯指令信号または消灯指令信号)に応じ、模式的に示した実線と破線の各切替えが持続器23を介しておこなわれる。照明ON/OFF指令信号は、持続器23によって一定時間Tだけ切替器21を破線位置に切り替え、一定時間Tの後に実線位置に復帰させる。照明ON指令信号か照明OFF指令信号に応じて、一定時間Tの間、補正値出力部25は、それぞれ負の点灯時補正信号か正の消灯時補正値信号を継続的に出力し、メモリ27は、それぞれ格納された点灯時直前(消灯終端時)か消灯時直前(点灯終端時)の各圧力設定値データを継続的に出力する。その結果、各補正値信号と対応する圧力設定値データの加算値が、加算器26を介して切替器21の破線位置側の切替え端子に入力される。
【0019】
したがって、照明ON/OFF指令信号がないとき、つまり消灯時または点灯時には、圧力設定値演算部4の出力が、実線位置に切り替えられた切替器21を介して回転数指令演算部5に入力される。照明ON/OFF指令信号が到来すると、まず加算器26を介して、補正値出力部25の出力(補正値信号)とメモリ27の出力(切替え直前の圧力設定値)の加算値が、初期の一定時間Tだけ、破線位置をとる切替器21を介して回転数指令演算部5に入力され、次いで一定時間Tの経過後には切替器21が実線位置に切り替えられて、再び圧力設定値演算部4の出力が回転数指令演算部5に入力される。既に述べたように、補正値出力部25の出力は、点灯切替え時には負で、消灯切替え時には正であるから、その出力を絶対値としてみたときには、点灯切替え時には、メモリ27の出力から補正値出力部25の出力を減算し、消灯切替え時には、メモリ27の出力に補正値出力部25の出力を加算することになる。
【0020】
つまり、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、その切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償するように、切替え時点から一定時間Tだけ、圧力設定値演算部4の切替え直前の出力に負の補正値信号を加算した値、つまり圧力設定値演算部4の出力から補正値信号の絶対値を減算した値が吸入冷媒圧力に対する設定値となって、その一定時間Tだけ冷凍機能力を増大させることができる。したがって、第1実施例におけると同様に、照明点灯に基づく突然な負荷増大にかかわらず、急速にショーケース温度、たとえば吹き出し口の空気温度が適温以上に上昇することを抑えることができる。また、点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、その切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償するように、切替え時点から一定時間Tだけ、圧力設定値演算部4の切替え直前の出力に正の補正値信号を加算した値が吸入冷媒圧力に対する設定値となるから、その一定時間Tだけ冷凍機能力を減少させて、照明消灯に基づく突然な負荷減少にかかわらず、急速にショーケース温度が適温以下に下降することを抑え、省エネルギー化を支援することができる。なお、点灯時と消灯時の各補正値信号は、いずれも一定時間Tとともに変更可能な固定値であって、経験的に定められて、商品の高鮮度維持と省エネルギー化を両立させる形で支援することができる。
【0021】
第2実施例の動作について、図6の照明動作と圧力設定値のタイムチャートを参照しながら補足説明する。図6において、圧力設定値のタイムチャートだけが示され、これに対応する照明のON・OFFのタイムチャート(図5参照)の図示は省略されている。照明ON指令信号に基づいて照明がOFFからONに(消灯状態から点灯状態に)切り替えられたとき、従来は既に述べたように圧力設定値がSa からSb まで破線のように制御動作の応答遅れを伴って変化したが、第2実施例では、圧力設定値の切替え直前の値から補正値Δ1 (発明における点灯時補正値)だけ減算したものとなる。補正値Δ1 だけ減算するのは切替え時点から時間がT経過するまでであって、この時間Tの経過後は再び制御動作に基づいて値Sb に復帰する。これと同様に、照明OFF指令信号に基づいて照明がONからOFFに(点灯状態から消灯状態に)切り替えられたとき、従来は圧力設定値がSb からSa まで破線のように制御動作の応答遅れを伴って変化したが、ここでは切替え直前の圧力設定値に補正値Δ2 (発明における消灯時補正値)を加算したものとなる。補正値Δ2 を加算するのは切替え時点から時間がT経過するまでで、この時間Tの経過後は再び制御動作に基づいて値Sa に比較的急速に復帰する。ここで、各補正値Δ1,Δ2 はいずれも正の値とする。
【0022】
図3は第3実施例の構成を示すブロック図である。この第3実施例は、図1に示した第1実施例の総合コントローラ35に代えて総合コントローラ37が用いられる。この総合コントローラ37は、第1実施例の総合コントローラ35において、初期値出力部22に代えてメモリ27が設置される。切替器21は、共通端子が回転数指令演算部5に、一方の切替え端子が圧力設定値演算部4に、他方の切替え端子が後述のメモリ27にそれぞれ接続されるように設けられて、照明ON/OFF指令信号(ここでは、開店時の点灯指令信号または閉店時の消灯指令信号)に応じて、模式的に示した実線と破線の各切替えが持続器23を介しておこなわれる。すなわち、照明ON/OFF指令信号は、持続器23によって一定時間Tだけ切替器21を破線位置に切り替え、一定時間Tの後に実線位置に復帰させる。メモリ27は、持続器23を経由した照明ON/OFF指令信号と、圧力設定値演算部4の出力とが入力され、予め前日の開店時または閉店時(一般的には前回)の照明ON/OFF指令信号に基づき、圧力設定値演算部4の、開店時直前か閉店時直前の各実際の圧力設定値がデータとして格納される。このメモリ27の動作をさらに詳しく言えば、現時点を含む過去一定時間の圧力設定値データの格納を絶えず更新しながら続け、予め前日の開店時か閉店時(一般的には前回)の照明ON/OFF指令信号に基づいて、開店時直前か閉店時直前の圧力設定値データだけを抽出し格納しておく。次に、この格納された圧力設定値データが、持続器23を経由した本日(一般的には今回)の照明ON/OFF指令信号に基づいて、切替器21の破線位置側の切替え端子に入力される。
【0023】
したがって、照明ON/OFF指令信号がないとき、つまり消灯時または点灯時には、圧力設定値演算部4の出力が、実線位置に切り替えられた切替器21を介して回転数指令演算部5に入力される。照明ON/OFF指令信号が到来すると、まずメモリ27に格納された前日の開店時直前または閉店時直前の圧力設定値データが、初期の一定時間Tだけ、破線位置に切り替えられた切替器21を介して回転数指令演算部5に入力され、次いで一定時間Tの経過後には再び圧力設定値演算部4の出力が、実線位置に復帰した切替器21を介して回転数指令演算部5に入力される。
【0024】
つまり、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、その切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償するように、切替え時点から一定時間Tだけ、前日の開店時直前の消灯時に係る圧力設定値データが吸入冷媒圧力に対する設定値となって、その一定時間Tだけ冷凍機能力を増大させることができる。したがって、開店による照明点灯時にショーケース温度が一時的に適温以上に上昇することを抑えることができる。また、点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、その切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償するように、切替え時点から一定時間Tだけ、前日の閉店時直前の点灯時に係る圧力設定値データが吸入冷媒圧力に対する設定値となって、その一定時間Tだけ若干冷凍機能力を減少させることができ、閉店による照明消灯時にショーケース温度が一時的に適温以下に下降することを抑えることができる。なお、格納される各圧力設定値データは、一般的には前回の各切替え直前の圧力設定値データと表現することができる。要するに、第3実施例は基本的考え方として、今回の条件は最も近い過去つまり前回の条件に近似的であると想定されるから、今回の点灯時または消灯時の各対応値データとして、前回の点灯最終時または消灯最終時の実際の各圧力設定値データがそのまま利用できる、とするものである。
【0025】
第3実施例の動作について、図7の照明動作と圧力設定値のタイムチャートを参照しながら補足説明する。図7において、上側に照明のON・OFF(点灯・消灯)のタイムチャートが、下側に圧力設定値のタイムチャートが時間軸を共通にして示される。照明が今回OFFからONに(消灯状態から点灯状態に)切り替えられたとき、従来は破線のように制御動作の応答遅れを伴って変化したが、第3実施例では、圧力設定値が、前回に照明を点灯状態から消灯状態に切り替えたときの切替え直前の圧力設定値Syeに等しいS3 まで実線のように段階的に、つまり応答遅れなく変化する。しかも、圧力設定値はS3 をとる時間はTで、この時間Tの経過後は再び制御動作に基づいて値Sb に復帰する。この復帰は前回の実際圧力設定値に基づくだけに、その他の負荷条件があまり変化しない限り非常に急速におこなわれる。同様に、照明が今回ONからOFFに(点灯状態から消灯状態に)切り替えられたとき、従来は破線のように制御動作の応答遅れを伴って変化したが、ここでは圧力設定値が、前回に照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときの切替え直前の圧力設定値Szeに等しいS4 まで実線のように時間Tだけ段階的に応答遅れなく変化し、この時間Tの経過後は再び制御動作に基づいて値Sa に非常に急速に復帰する。
【0026】
ところで、マルチ冷凍機6Mを用いた方式では、図10における総合コントローラ34Mの圧力設定値演算部4と冷凍機能力制御部5Mの間に、前記の第1,第2,第3の各実施例におけると同じ切替器21,24、初期出力部22、持続器23、補正値出力部25、加算器26、およびメモリ27などが選択的に追加設置される構成であって、前記の各実施例にそれぞれ準じた動作をおこなう。したがって、ここでは、マルチ冷凍機6Mを用いた方式で、前記の第1実施例に準じた点灯・消灯時の各初期値を切替え時に一定時間だけ加える第4実施例の場合だけについて、その構成を図4に基づいて図示するに留め、その詳しい説明は省略する。また、マルチ冷凍機6Mを用いたその他の実施例の図示と説明についても省略する。
【0027】
【発明の効果】
この発明によれば、冷凍機がインバータ冷凍機方式、マルチ冷凍機方式にかかわらず、いずれも圧力設定値演算部によって、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたとき、切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償する形で、その照明点灯時の一定時間だけ冷凍機能力を増大させて、照明点灯に基づく突然な負荷増大にかかわらず、急速にショーケース温度を適温にすることができる。また、点灯状態から消灯状態に切り替えたとき、切替え時点での冷凍機能力に係る制御応答遅れを補償する形で、その照明消灯時の一定定時間だけ冷凍機能力を減少させて、照明消灯に基づく突然な負荷減少にかかわらず、急速にショーケース温度が適温以上に上昇することを抑えることができる。その結果、照明点灯時に一時的にショーケースが冷却不足になって温度が適温以上に上昇することを阻止して、商品の高鮮度維持を支援することができ、また照明消灯時に一時的にショーケースが冷却過剰になって温度が適温以下に下降する(冷え過ぎる)ことを阻止して、省エネルギー化を支援することができる。
【0028】
しかも、点灯(または消灯)対応値として、(1) 予め定めた点灯時(または消灯時)初期値、(2) ショーケースの運転状態に基づいて求められた圧力設定値に対し予め定めた点灯時(または消灯時)補正値だけ減算(または加算)した値、(3) 前回、たとえば前日の開店時(または閉店時)に照明を消灯状態から点灯状態(または点灯状態から消灯状態)に切り替えたときの切替え直前の消灯時(または点灯時)における圧力設定値、のうちからいずれかを選択可能である。したがって、設定の仕方が異なり、切替え後の定常状態への復帰パターンに差のある三つの選択肢があるから(一般的には、復帰時間が(1),(2),(3) の順に短縮される)、商品の高鮮度維持と省エネルギー化を両立させる形で支援するように、より適切な設定方式を柔軟に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る第1実施例の構成を示すブロック図
【図2】第2実施例の構成を示すブロック図
【図3】第3実施例の構成を示すブロック図
【図4】第4実施例の構成を示すブロック図
【図5】第1実施例における照明動作と圧力設定値のタイムチャート
【図6】第2実施例における照明動作と圧力設定値のタイムチャート
【図7】第3実施例における照明動作と圧力設定値のタイムチャート
【図8】一従来例の構成を示すブロック図
【図9】一従来例の圧力設定値更新に係る、圧力設定値/ショーケース運転率対応図
【図10】別の従来例の構成を示すブロック図
【図11】別の従来例の冷凍サイクルの構成を詳細に示すブロック図
【図12】別の従来例の圧縮機群の運転パターンと冷凍機能力対応図
【符号の説明】
4 圧力設定値演算部
5 回転数指令演算部
5M 冷凍機能力制御部
6 冷凍機
6M マルチ冷凍機
7 圧力センサ
8 インバータ
9 圧縮機
19 圧縮機群
21 切替器
22 初期値出力部
23 持続器
25 補正値出力部
26 加算器
27 メモリ
35,36,37 総合コントローラ

Claims (5)

  1. 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、これと冷凍サイクルを構成する共通な冷凍機と、これらショーケースおよび冷凍機を総合的に制御する、ショーケースの運転状態に基づいて冷凍機に内蔵されるインバータ圧縮機の吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部、および、求められた吸入冷媒圧力の設定値とその実際値との偏差に基づいてインバータ圧縮機に対する回転数指令を求める回転数指令演算部を備える総合コントローラとからなり、
    圧力設定値演算部は、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の点灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とし、ショーケースの照明を点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の消灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とする、ことを特徴とするショーケース冷却装置。
  2. 本体内所定箇所の空気温度とその設定値との偏差に基づき蒸発器への冷媒の流れを電磁弁を介してオン・オフ制御するショーケースの一または二以上と、内蔵する複数圧縮機の選択的運転によって能力制御されるマルチ冷凍機と、これらショーケースおよびマルチ冷凍機を総合的に制御する、ショーケースの運転状態に基づいてマルチ冷凍機の圧縮機用吸入冷媒圧力に対する設定値を求める圧力設定値演算部、および、求められた吸入冷媒圧力の設定値とその実際値の偏差に基づいて、複数圧縮機の選択的運転を指令する冷凍機能力制御部を備える総合コントローラとからなり、
    圧力設定値演算部は、ショーケースの照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の点灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とし、ショーケースの照明を点灯状態から消灯状態に切り替えたときには、切替え時点から一定時間だけ所定の消灯対応値を吸入冷媒圧力に対する設定値とする、ことを特徴とするショーケース冷却装置。
  3. 請求項1または2に記載の冷却装置において、
    点灯対応値と消灯対応値は、それぞれ予め定めた点灯時初期値と、予め定めた消灯時初期値である、ことを特徴とするショーケース冷却装置。
  4. 請求項1または2に記載の冷却装置において、
    点灯対応値と消灯対応値は、それぞれショーケースの運転状態に基づき求められた切替え直前の圧力設定値から予め定めた点灯時補正値だけ減算した値と、ショーケースの運転状態に基づき求められた切替え直前の圧力設定値に予め定めた消灯時補正値だけ加算した値である、ことを特徴とするショーケース冷却装置。
  5. 請求項1または2に記載の冷却装置において、
    点灯対応値と消灯対応値は、それぞれ前回に照明を点灯状態から消灯状態に切り替えたときの切替え直前の圧力設定値と、前回に照明を消灯状態から点灯状態に切り替えたときの切替え直前の圧力設定値である、ことを特徴とするショーケース冷却装置。
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