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JP3629852B2 - 遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援システム - Google Patents

遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔地の医師同士が画像表示端末に表示された医用画像を観察しながら診療を行う遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の一例として、プロシーディングズ オブ エスピーアイイー(Proc.of SPIE),Vol.2165,第9〜20頁に、遠隔地の医師同士が同一医用画像を参照しながらオンライン,リアルタイムでカンファレンスを行う技術が述べられている。各々ネットワークで相互接続された複数端末と画像を格納したデータベースとを有し、ローカルとリモートの両端末は、データベースから同一画像を伝送して表示する。さらに、ローカルとリモートの端末でデータを直接やりとりすることで、表示画像への操作を端末間で同時に行う。表示画像への操作の一例として、注目部位を線で囲む注釈記入(フリーハンドフレーミング:以下線描画と呼ぶ)を示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、双方の医師がカンファレンス時間を確保するスケジューリングを前もって行う必要がある。臨床現場で、多忙な医師同士が互いに空いている時間を事前に確保することは非常に困難であり、また、確保できたとしても急患などでカンファレンスを中断せざるを得ない場合が多々あるという問題があった。
【0004】
また、例えば診療所側で予め選択した複数患者の検査画像(例えばX線CT像)を病院の専門医に読影依頼する場合など、定められた手順に従って検査する運用形態(ルーチン検査)では、個々の読影依頼に対して常にリアルタイムでカンファレンスを行う必要は特になく、上記従来技術はこのような状況下での利用に関して全く考慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、多忙な医師同士が互いに空いている時間を利用して遠隔読影などのルーチン検査を実現可能な遠隔診療支援方法及び遠隔診療支援システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の医用画像表示端末から構成された遠隔診療支援システムに用いる遠隔診療支援方法で、操作コマンド列(画像表示,画像処理,注釈記入などの画像操作と画像操作処理の対象となる画像データを特定する画像識別情報と画像操作の実行タイミングとを有する)を生成する操作コマンド列生成ステップと、前記操作コマンド列と画像データ(操作コマンド列の画像識別情報で特定されたもの)とを他の医用画像表示端末に伝送するメールデータ伝送部と、前記伝送された操作コマンド列と画像データとをデータバッファに記録するメールバッファ部と、操作者の指示に従い前記データバッファから読み出した操作コマンド列の内容に従って画像データを処理して表示するメールデータ表示部とを有するようにした。
【0007】
また、複数の医用画像表示端末から構成された遠隔診療支援システムで、各々の医用画像表示端末は、操作者が行う画像操作(画像表示,画像処理,注釈記入など)を、操作コマンド列(画像操作と画像操作の対象となる画像データを特定する画像識別情報と画像操作の実行タイミングとを有する)として記録する記録ボタンと、前記操作コマンド列と画像データ(操作コマンド列の画像識別情報で特定されたもの)とをメールとして他の医用画像表示端末に送信する送信ボタンと、他の医用画像表示端末から受信したメールを選択するメール選択画面と、操作者が選択したメールに含まれる操作コマンド列に従って画像データを処理して表示する再生ボタンとを有するようにした。
【0008】
【発明の実施の形態】
本実施例は、病院Aに医用画像表示端末J(以下、単に端末Jと称する)を設置し、病院Bに医用画像表示端末K(以下、単に端末Kと称する)を各々設置し、本発明を用いて遠隔診療支援を行う一例を説明する。
【0009】
図1は、本発明を用いた遠隔診療支援方法の処理手順の一例を示す図、図2は、図1の処理手順を用いて実現される遠隔診療支援システムの医用画像表示端末の一構成例を示す図である。端末J及び端末Kは、図2に示す構成を各々有する。
【0010】
図2で、31は処理装置であって、例えばパーソナルコンピュータ等の汎用の処理装置で構成される。32は処理装置での処理結果(例えば医用画像)を表示するモニタ、33と34は、操作者(医師)が処理装置に指示するキーボードとマウスである。35は、X線装置,CT装置,MRI装置等の診断装置で得られた画像データを格納する画像データベースであって、例えば磁気ディスク装置や光磁気ディスク装置等のデータ記録装置で構成される。36は様々なデータを一時的に格納するデータバッファであって、例えば画像DBと同様のデータ記録装置で構成される。37は、通信ネットワーク38を介して、他の端末とデータを送受信するインタフェースである通信インタフェースである。39と40は、医師の声や心拍などの音声データを記録再生するマイクとスピーカである。
【0011】
図1で、11は病院Aの端末Jでの処理手順、21は病院Bの端末Kでの処理手順である。12は、医師の指示に従い処理装置31で実行された画像操作を時系列で整理した操作コマンド列(詳細は後述)を生成し、データバッファ36に格納する操作コマンド列生成ステップである。13は、操作コマンド列と画像データを他の端末(本例では端末K)に伝送するメールデータ送受信ステップであって、例えばデータバッファ36及び画像データベース35の内容を通信インタフェース37を用いて送信することで実現される。14は、他の端末(本例では端末K)から伝送された操作コマンド列と画像データを格納するメールバッファステップであって、例えば通信インタフェース37で受信した内容をデータバッファ36に格納することで実現される。15は、メールデータ表示ステップであって、データバッファ36に格納された操作コマンド列に従って処理装置31で画像操作を行い、その画像操作結果をモニタ32に表示する。
【0012】
端末Kでの処理手順21は、端末Jの処理手順と同様である。端末Kの各ステップ22,23,24,25は、端末Jの各ステップ12,13,14,15に各々対応する。端末Jと端末Kは、同様の構成(図2)及び処理手順(図1)を有する。
【0013】
図5は、操作コマンド列の一例である。操作コマンド列は、画像表示,画像処理,注釈記入などの処理装置31で実行する画像操作83と、画像操作の操作対象となる画像データの特定に用いる画像識別子82と、画像操作の実行タイミング81とを有する。操作コマンド列は、上から順番に84を第1番目,85を第2番目と称する。
【0014】
画像操作83は、例えばコマンド名(<>で囲んで表現する)と各コマンド毎に予め定められたパラメータとの組合せである。本実施例では、表1に示す5種類の画像操作を用いる。図5の操作コマンド列の画像操作83には、この5種類の内の一つの画像操作が格納される。
【0015】
【表1】
Figure 0003629852
【0016】
画像識別子82は、操作に用いた画像データ毎に割り当てた固有番号である。医用画像の画像データは、一般的に撮影条件などの情報が付帯している。本実施例では、この付帯情報を利用し、画像識別子から画像データを特定する。その手順を説明すると、操作に用いた画像データの付帯情報と、割り当てた画像識別子との関係を管理する管理テーブル(図6)を用意する。操作コマンド列の画像識別子に対応する画像データは、管理テーブルを用いて画像識別子に対する付帯情報を読み出し、さらに付帯情報を元に画像データベース(又はデータバッファ)を検索することで特定できる。付帯情報は、画像データを収集(撮影)した病院を表す施設識別子102,被撮影者(患者)を表す患者識別子103,撮影装置を表す装置識別子104,撮影日時及び時間を表す撮影時刻105の四つである。管理テーブルは画像データの検索に必須であり、操作コマンド列の一部として扱う。
【0017】
実行タイミング81は、例えば、第1番目(84)の画像操作を実行した時を起点とし、分:秒:ミリ秒で表現する(時:分:秒:ミリ秒で表現するようにしてもよい)。
【0018】
次に、本実施例による遠隔診療支援の一動作例を簡単に説明する。本説明では、本発明の一利用例として、A病院のB医師(端末Jを利用)を操作し、B病院のD医師(端末Kを利用)にA病院で撮影した画像データの読影(診断)を依頼する場合を想定して説明する。
【0019】
先ず、B医師は、患者の撮影が終了した後、端末Jの操作コマンド列生成ステップ11を利用して、操作コマンド列を生成する。例えば、B医師はキーボードやマウスを用いて、撮影したX線像を表示し、表示した画像の関心領域を囲むように線描画を行い、ポインタを表示させ、音声コメントを付加する操作を順に行うと、図5の操作コマンド列の第1番目(84),第2番目(85),第3番目(86),第4番目(87)の内容が逐次生成され、データバッファに順次記録される。操作に用いた画像データは、画像識別子が割り当てられ、管理テーブルに付帯情報が付加される。
【0020】
次に、B医師は、端末Jのメールデータ送受信ステップ12を利用して、操作コマンド列及び操作に用いた画像データを、B病院のD医師の端末Kに送信する。操作コマンド列はデータバッファから読み出し、画像データは、管理テーブルに格納された付帯情報を用いて画像データベースから読み出し、各々送信する。
【0021】
端末Kのメールデータ送受信ステップ23は、端末Jからの操作コマンド列及び画像データを受信し、メールバッファステップ24で、端末Kのデータバッファに格納される。また、格納終了後、A病院のB医師からデータが到着したことを、モニタ上に表示するなどしてD医師に通知する。
【0022】
最後に、D医師は、適当な時間(手の空いた時間)に、端末Kのメールデータ表示ステップ25を起動する。すると、データバッファに格納されている操作コマンド列(端末Jから受信したもの)に従った画像操作が自動的に行われ、その画像操作結果がモニタに表示される。即ち、D医師の端末JにA病院で撮影したX線像が表示され、表示された画像の関心領域を囲むように線が描画され、ポインタが表示され、音声コメントがスピーカから流れる。従って、D医師は、B医師の行った一連の画像操作を、所望の時間に参照することができる。
【0023】
次に、本実施例による遠隔診療支援の一動作例を、モニタ画面(モニタの表示画面)やフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0024】
図4は、端末Jのモニタ画面の一例である。61はモニタ画面、62は、操作コマンド列生成ステップ及びメールデータ送受信ステップを制御する制御ウィンド、63は、表示する画像データを選択する画像リストウィンド、64と78は、画像データを表示する画像表示ウィンドである。制御ウィンドは、メール宛先入力エリア69,メール標題入力エリア70,記録ボタン65,停止ボタン66,送信ボタン67,終了ボタン68を有する。画像リストウィンドは、画像データの選択に必要な情報(本例では、撮影日71,撮影装置名72,撮影順序(撮影順序番号/全撮影数)73)が列記されている。画像表示ウィンドは、線描画などの画像操作を行う編集メニュー75を有する。
【0025】
図3は、操作コマンド列生成ステップを実現するフローチャートの一例である。以下、先の説明と同様にA病院のB医師が端末Jを操作し、画像データの読影を依頼する場合を想定し、図3のフローチャートを説明する。端末Jのモニタには、図4に示したモニタ画面が表示されている。
【0026】
先ず、変数の初期化などの前処理41を行う。タイマ(Timer)とは、スタート時点からの経過時間をミリ秒単位で得られる機能を有する。操作コマンド列の記憶領域は、データバッファに確保する。
【0027】
次に、B医師は、記録ボタン65を押下する。すると、条件分岐44がYとなり、変数MODEが1にセットされ、Timer がスタートする(48)。
【0028】
次に、B医師は、撮影したX線像を表示する操作を行う。具体的には、画像リストウィンドから読影を依頼する画像の情報(撮影日,撮影装置名,撮影順序のいずれか)をマウスで選択する。すると、条件分岐47がYとなり、選択した画像を表示する処理が実行され(51)、画像表示ウィンド64にX線像74が表示される。さらに、条件分岐52がYとなり、操作に対応した操作コマンド列 84を生成して(53)、データバッファに記録される(54)。
【0029】
次に、B医師は、画像表示ウィンド64の編集メニュー75から線描画を選択し、マウスをドラッグして関心領域を囲む。すると、条件分岐47がYとなり、マウスの軌跡に線77が描画される(51)。さらに、表示の処理と同様に、操作に対応した操作コマンド列(図5の第2番目、85)が生成,記録される(53,54)。
【0030】
次に、B医師は、画像表示ウィンド64の編集メニュー75からポインタを選択し、B医師が着目している部位にマウスを移動させてクリックする。すると、条件分岐47がYとなり、クリック位置にポインタ76が表示され(51)、以下同様に、操作に対応した操作コマンド列(図5の第3番目、86)が生成,記録される(53,54)。
【0031】
次に、B医師は、マイクに向かってコメント(例えば、「この胃壁はどのように解釈するのですか」)を発声すると同時に、マウスを着目している部位の回りにドラッグする。このとき、音声コメントとポインタ移動の2種類の画像操作を実行する。音声コメントは、発声を記録した音声データを生成し(51)、音声データに対応した操作コマンド列87が生成,記録される(53,54)。ここでは、マイクへの音声入力を自動検出して音声データを生成するものとし、また、操作コマンド列の実行タイミングは、音声入力検出時点でのTimer の値を記録する。音声データの長さは、5秒間とする。ポインタ移動は、ドラッグ中のマウス位置を適当な間隔でサンプリングし、ポインタ76の表示位置を移動させ(51)、操作に対応した操作コマンド列88〜91が生成,記録される(53,54)。ポインタ移動の操作コマンド列(88〜91)の実行タイミングは、5秒間の音声コメントと同時に実行される値である。
【0032】
次に、B医師は、他の撮影装置での結果を提示するために、MRI像を表示する操作を行う。この操作は、X線像74を表示した際と同様の手順で行われ、その結果、画像表示ウィンド78にMRI像79が表示され、操作コマンド列(図5の第9番目、92)が生成,記録される。
【0033】
次に、B医師は、停止ボタン66を押下する。すると、条件分岐45がYとなり、変数MODEが0にセットされ、Timer がストップする(49)。
【0034】
B医師の以上の操作により、操作コマンド列生成ステップが実行され、その結果、図5に示す操作コマンド列がデータバッファに記録される。なお、画像識別子として、X線像は1、MRI像は2が割り当てられ、図6に示す管理テーブルが生成される。ここで、施設識別子の値1010はA病院,患者識別子の値 22001は被撮影者の患者識別子、装置識別子の値11及び12は撮影に用いたX線装置及びMRI装置を各々表す。患者識別子及び装置識別子は、施設内で固有の識別子である。管理テーブルは、新たな画像を表示する(即ち、新たな画像を利用する)際に追加更新され、データバッファに記録される。また、停止ボタン押下後、再生ボタンを再び押下することで、操作コマンド列に新たな操作を追加することもできる。
【0035】
図7は、メールデータ送受信ステップを実現するフローチャートの一例である。メールデータ送受信ステップは、B医師が、メール宛先入力エリア69,メール標題入力エリア70に項目をセットし、送信ボタン67を押下すると、図3の条件分岐46を経由して実行(50)される。以下、図3の説明の続きとして、A病院のB医師が作成した操作コマンド列及び画像データをB病院のD医師に送信し、読影を依頼する場合を想定し、図7のフローチャートを説明する。
【0036】
先ず、メール宛先入力エリア,メール標題入力エリアの内容を読み込み(111)、宛先が正しいか否かをチェックする(112)。宛先のチェックは、例えば、図8に示すアドレステーブルを予め用意し、施設名121,所属医師名123に対応するメールアドレス124の有無により行う。メールアドレスとは、ネットワーク上でのデータ送信先を指定するものである。ここでは、メール宛先はB病院のD医師であり、メールアドレスが存在(125)するので、宛先は正しいと判断する。
【0037】
次に、送信するデータを準備する(113)。ここで準備とは、送信するデータに送信に必要な情報(例えばデータ長など)を付加したり、送信に適したデータ変換(パリティ付加など)を行うことである。先ず、メール標題を準備し (115)、さらにデータバッファに記録された操作コマンド列(管理テーブルを含む)を準備し(116)、さらに画像識別子を用いて画像データベースから画像データを読み出して準備する(117)。画像データの読み出しは、管理テーブルに格納された付帯情報を用いて行う。
【0038】
最後に、113で準備したデータをメールアドレス125を利用し、B病院のD医師(端末K)に送信する。
【0039】
D医師の端末Kのメールデータ送受信ステップ23は、B医師の端末Jからのデータを受信し、メールバッファステップ24は、受信したデータを端末Kのデータバッファに格納する。また、格納終了後、A病院のB医師からデータが到着したことを、モニタ上に表示するなどしてD医師に通知する。
【0040】
図9は、端末Kのモニタ画面の一例である。131はモニタ画面、132は、他の端末から受信した操作コマンド列を選択及びメールデータ表示ステップの制御を行うメール選択ウィンドである。メール選択ウィンドは、操作コマンド列の選択に必要な情報(本例では、送信元135,メール標題136)が列記され、さらに、再生ボタン137,停止ボタン138を有する。133と134は、画像データを表示する画像表示ウィンドである。
【0041】
図10は、メールデータ表示ステップを実現するフローチャートの一例である。以下、図7の説明の続きとして、B病院のD医師が端末Kを操作し、A病院のB医師からの読影依頼を参照する場合を想定し、図10のフローチャートを説明する。端末Kのモニタには、図9に示したモニタ画面が表示されている。
【0042】
先ず、図3の場合と同様に、変数の初期化などの前処理151を行う。操作コマンド列の記憶領域は、データバッファに確保する。
【0043】
次に、B医師は、受信したデータ(操作コマンド列)を選択して表示する操作を行う。具体的には、メール選択ウィンドから受信したデータの情報(送信元,メール標題のいずれか)をマウスで選択した後、再生ボタン137を押下する。すると、条件分岐152と条件分岐156が共にYとなり、データバッファから選択した操作コマンド列を151で確保した記憶領域に代入し、操作コマンド列の第1番目の内容84を変数P,Q,Tに設定し、変数MODEを1にセットした後(157)、Timer をスタートさせる(158)。
【0044】
MODEが1にセットされると、条件分岐155がYとなる。Timer の値が、操作コマンド列の実行タイミング(T)の値以上になると、条件分岐160がYとなり、対応する画像操作が実行される(161)。即ち、画像表示ウィンド 133にX線像139が表示される。この際、表示する画像データは、管理テーブルに記録された四つの付帯情報と一致する画像データを、データバッファ(端末Jから受信した画像データが格納されている)から検索して表示する。端末Kは、端末Jでの操作と同一パラメータを用いて表示を行うので、X線像139は、A病院のB医師が表示させたX線像74と同一となる。
【0045】
操作コマンド列の第1番目の内容84の実行後、第2番目の内容85を変数P,Q,Tに設定する(164)。すると、第1番目の場合と同様に、Timer の値が、操作コマンド列の実行タイミングTの値以上になると、線描画が実行され、線140が描画される(161)。端末Kは、端末Jでの操作と同一パラメータを用いて処理を行うので、線140の描画位置は、B医師がマウスをドラッグした際のマウスの軌跡に描画した線77と同一となる。
【0046】
以下、同様に、操作コマンド列の内容が変数P,Q,Tに逐次設定され、対応する画像操作が、指定された実行タイミング81で順番に実行される。従って、A病院のB医師が端末Jで行ったのと同じ操作内容が、同じタイミングで実行される。
【0047】
操作コマンド列の内容84〜92を全て実行すると、条件分岐162がYとなり、変数MODEが0にセットされ、Timer がストップする(49)。
【0048】
以上、メールデータ表示ステップの具体例を説明した。なお、画像操作(操作コマンド列の内容)の実行は、停止ボタンを押下することで中断でき、さらに再生ボタンを再び押下することで、再開することもできる。
【0049】
以上のように本発明では、端末Jは、B医師が行った操作をもとに生成した操作コマンド列(画像操作と画像識別子(対応する4種類の付帯情報)と実行タイミングとを有する)と操作に用いた画像データとを端末Kに送信し、操作コマンド列と画像データを受信した端末Kは、D医師の指示により、操作コマンド列の画像操作を対応する実行タイミングで順番に実行するようにした。従って、D医師は所望の時間(例えば手が空いた時間)に、B医師が端末Jで行ったのと同じ操作が、同じタイミングで参照することができるようになり、多忙な医師同士が互いに空いている時間を利用して、遠隔読影などのルーチン検査を行えるようになる。
【0050】
本実施例で、B医師から読影を依頼されたD医師は、読影結果を返答する際、B医師から送信された操作コマンド列及び画像データを引用して新たな操作コマンド列を生成して行うこともできる。以下、その一例を説明する。
【0051】
図11は、端末Kのモニタ画面の他の一例である。画像表示ウィンド171と制御ウィンド62(初期状態では表示されない)とメール選択ウィンドに返信ボタン172があること以外、図9と同様である。制御ウィンド62は、図4と同様の機能を有する。
【0052】
D医師が返信ボタンを押下すると、制御ウィンド62が表示される。次に、記録ボタンを押下後、再生ボタンを押下する。すると、図10のフローチャートに従って、受信した操作コマンド列の内容が順番に実行されると同時に、図3のフローチャートに従って、新たな操作コマンド列が生成される。
【0053】
操作コマンド列の内容84〜92を全て実行した後、D医師は、図4に示した画像リストウィンドを利用するなどして、B病院で撮影した過去の症例(正常例)の画像データを表示する。その結果、画像表示ウィンド171に新たなMRI像173が表示される。さらに、編集メニュー176で線描画を選択し、関心領域を線177で囲む。さらに、編集メニュー174で線描画を選択し、関心領域を線175で囲む。さらに、マイクに向かってコメント(例えば、「正常例で見られる血管が見えないので、腫瘤が肥大している可能性があります」)を発声し、停止ボタンを押下する。
【0054】
以上の操作の結果、図12に示す操作コマンド列が生成される。ここで、第 10番目から第13番目(93〜96)が新たに追加された部分である。図13は管理テーブルであって、正常例のMRI像に関する項目(画像識別子は3, 108)が付加される。ここで、施設識別子の値1020はB病院,患者識別子の値10102は被撮影者の患者識別子,装置識別子の値20は撮影に用いた MRI装置を各々表す。
【0055】
最後に、メール宛先入力エリア69に読影依頼元(A病院B先生)を、メール標題入力エリア70に適当な標題(読影結果)をセットし、送信ボタン67を押下し、図12の操作コマンド列を送信する。以上、読影結果をB医師に返答する手順である。
【0056】
以上のように本実施例では、D医師は、B医師からの読影依頼に対する返答 (読影結果)を、B医師から送信された操作コマンド列及び画像データを引用して新たな操作コマンド列を生成して行うようにした。従って、例えば読影依頼された画像データに線描画を付加して返答したり、参考となる画像データを付加できるようになるので、的確な返答を迅速に作成できるようになる効果が得られる。
【0057】
また、本実施例で、メールデータ送受信ステップは、操作コマンド列(管理テーブルを含む)と操作に用いた画像データ(即ち、管理テーブルの付帯情報に対応した画像データ)とを他の端末に送信したが、送信先の端末に既に存在する画像データは送信しないようにし、メールデータ表示ステップは、端末に存在する画像データを用いて処理するようにすることもできる。以下、その例を説明する。
【0058】
一般的に、医用画像(画像データ)は、撮影した施設(病院)で管理され、保管される。そこで、先に説明した遠隔読影の例で説明すると、B病院のD医師がA病院から依頼された読影結果のデータを送信する際、A病院で撮影した画像データを検出し、送信しないようにすることができる。具体的には、先ず、図8のアドレステーブルに施設識別子の項目112を設け、宛先から送信先の施設識別子が得られるようにする。そして、メールデータ送受信ステップでの画像データの準備117は、管理テーブルの施設識別子が、アドレステーブルから得た送信先の施設識別子と一致しない画像データのみ準備するようにする。例えば、先に説明したB病院のD医師がA病院のB医師に読影結果を送る場合、図8より送信先のA病院の施設識別子は1010であるので、図13の管理テーブルより施設識別子が1010以外の画像データ108のみを送信する。
【0059】
他の例として、画像データに先立って管理テーブルを相手端末に伝送して画像データの有無を問い合わせ、端末に存在しない画像データのみを送信するようにすることもできる。図14は、画像データを送信する際の伝送手順を説明する図であって、送信元の端末181と送信先の端末182との間のデータ送受信 (183〜185)を、時系列的に示した図である。例えば、先に説明したD医師の端末KからB医師の端末Jに読影結果を送る場合、先ず、端末K(送信元)から管理テーブル(図13)を端末J(送信先)に送信する(183)。端末Jは、受信した管理テーブルの付帯情報を用いて自端末の画像データベースやデータバッファを検索し、存在しない(端末Jが読み出しできない)画像データを調べ、その画像データの画像識別子を端末Kに送信する(184)。端末Kは、受信した画像識別子に対応する画像データを準備して、端末Jに送信する(185)。その結果、端末Jは、メールデータ表示ステップで必要な全ての画像データが得られる。なお、端末Jが管理テーブルに対応する全ての画像データを有する場合、端末Kにその旨を伝え、一連の手順を終える。
【0060】
以上のように本実施例では、画像データを送信する際、送信先の端末に既に存在する画像データは送信しないようにした。その結果、例えば、読影依頼と読影結果のみを送受信する場合、読影結果を送信する際の画像データ伝送が不要になるので、ネットワーク上の画像データのデータ伝送量を約半分に低減でき、ネットワークの負荷を約50%軽減できる。また、読影を依頼した端末は、読影結果を受信した際、読影を依頼した画像データの受信及びデータバッファへ記録が不要になるので、データ受信の待ち時間が短縮できると共に、データバッファに必要な記憶容量を著しく削減できる効果がある。一般に、医用画像データは1画像当たりのデータ量が数Mバイトから十数Mバイトと非常に大きい。一方、処理コマンド列のデータ量は、記号や数値などで表現されるので、数百バイトから数Kバイト程度と非常に小さい。実際に運用する際の余裕を考慮すると、数Gバイトのオーダが必要なデータバッファの記憶容量を、数Mバイトのオーダに削減できる。
【0061】
【発明の効果】
本発明では、端末Jは、B医師が行った操作をもとに生成した操作コマンド列(画像操作と画像識別子(対応する4種類の付帯情報)と実行タイミングとを有する)と操作に用いた画像データとを端末Kに送信し、操作コマンド列と画像データを受信した端末Kは、D医師の指示により、操作コマンド列の画像操作を対応する実行タイミングで順番に実行するようにした。従って、D医師は所望の時間(例えば手が空いた時間)に、B医師が端末Jで行ったのと同じ操作内容を、同じタイミングで参照することができるようになり、多忙な医師同士が互いに空いている時間を利用して、遠隔読影などのルーチン検査を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた遠隔診療支援方法の処理手順の一例を示すフローチャート。
【図2】遠隔診療支援システムの医用画像表示端末の一構成例を示すブロック図。
【図3】操作コマンド列生成ステップを実現するフローチャート。
【図4】端末Jのモニタ画面の一例を示す説明図。
【図5】操作コマンド列の一例を示す説明図。
【図6】管理テーブルの一例を示す説明図。
【図7】メールデータ送受信ステップを実現するフローチャート。
【図8】アドレステーブルの一例を示す説明図。
【図9】端末Kのモニタ画面の一例を示す説明図。
【図10】メールデータ表示ステップを実現するフローチャート。
【図11】端末Kのモニタ画面の他の一例を示す説明図。
【図12】操作コマンド列の一例を示す説明図。
【図13】管理テーブルの一例を示す説明図。
【図14】画像データを送信する際の伝送手順の説明図。
【符号の説明】
11…端末Jでの処理手順、12,22…操作コマンド列生成ステップ、13,23…メールデータ送受信ステップ、14,24…メールバッファステップ、15,25…メールデータ表示ステップ、16…ネットワーク、21…端末Kでの処理手順。

Claims (4)

  1. 画像データを表示する複数の医用画像表示端末から構成された遠隔診療支援システムに用いる遠隔診療支援方法において、
    画像表示,画像処理,注釈記入などの画像操作と前記画像操作の対象となる画像データを特定する画像識別情報と前記画像操作の実行タイミングとを記録した操作コマンド列を生成する操作コマンド列生成ステップと、
    前記生成された操作コマンド列と前記特定された画像データとを他の医用画像表示端末のデータバッファに記録するために必要なデータ伝送を行うメールデータ送受信ステップと、
    前記伝送された操作コマンド列と画像データとを前記データバッファに記録するメールバッファステップと、
    操作者の指示に従い前記データバッファから読み出した操作コマンド列の内容に従って画像データを処理して表示するメールデータ表示ステップとを有し、
    前記操作コマンド列生成ステップは、データバッファから読み出した操作コマンド列を引用して新たな操作コマンド列を生成可能であることを特徴とする遠隔診療支援方法。
  2. 請求項1に記載の遠隔診療支援方法おいて、前記画像識別情報は、画像データの発生施設を特定する施設識別子を有し、前記医用画像表示端末は、所属施設を特定する施設識別子を有し、前記メールデータ送受信ステップは、画像識別情報の施設識別子と伝送先医用画像表示端末の施設識別子とが一致しない場合に前記画像データを伝送する遠隔診療支援方法。
  3. 画像データを表示する複数の医用画像表示端末から構成された遠隔診療支援システムにおいて、前記複数の医用画像表示端末の各々は、
    操作者が行う画像表示,画像処理,注釈記入などの画像操作を、画像データを特定する画像識別情報と前記画像操作の実行タイミングとを含めた操作コマンド列として記録させる記録ボタンと、
    前記操作コマンド列と前記操作コマンド列の画像識別情報で特定された画像データとを、他の医用画像表示端末のデータバッファに記録させるようメールとして送信させる送信ボタンと、
    他の医用画像表示端末から受信したメールを選択させるメール選択画面と、
    操作者が選択したメールに含まれる操作コマンド列に従って画像データを処理して表示させる再生ボタンとを表示するモニタ画面を有し、
    前記記録ボタンは、前記データバッファから読み出した操作コマンド列を引用して新たな操作コマンド列として記録させることが可能であること特徴とする遠隔診療支援システム。
  4. 請求項3に記載の遠隔診療支援システムにおいて、前記画像識別情報は、画像データの発生施設を特定する施設識別子を有し、前記医療画像表示端末は、所属施設を特定する施設識別子を有し、画像識別情報の施設識別子と伝送先医用画像表示端末の施設識別子とが一致しない場合に、前記送信ボタンによって、前記画像データが伝送されることを特徴とする遠隔診療支援システム。
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