JP3628852B2 - 異形ガラスの位置決め方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用ドアガラス等の異形ガラス、特に左右非対称な湾曲ガラス板の位置決め方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガラス板等の板状体を加工処理等するために搬送ライン上で位置決めする方法や装置が数多く提案され、知られている。
【0003】
例えば、本出願人による先の出願に係わる実開平1−102130号公報にて、2本のベルトコンベアで搬送される板ガラスを自在ローラーで支持する昇降架台と、前記板ガラスの長・短2辺の位置を規正する出入手段と、該出入手段と対向する位置で前記板ガラスの端縁を押圧する押圧手段よりなる板ガラスの位置決め装置を開示した。
【0004】
また、同じく本出願人による特開平6−247594号公報にて、異形のガラス板を噴射浮上、吸着するロールコンベア付きエアテーブルの面上片縁に、該ロールの中央に向かう横行方向に突出入し、前記ガラス板の端面と当接して基準位置となるストッパーを設けた基準プッシャーと、該基準プッシャーと対向位置で前記エアテーブル上に架設する架台の横梁に設けた往復動手段による横行自在な台座より垂下するロッドの下端に、横行方向に突出入し前記ガラス板の端面を接圧する円板状あるいは方形板状の当接部材を設けた横行プッシャーと、該横行プッシャーを挟み前記コンベアの搬送方向に離間し、かつ前記横梁に添設する前後動手段により往復横行せしめるブラケットから懸吊させて対向の前記往復動手段からなる一対の旋回プッシャーとを設けた異形ガラスの位置決め装置において、前記ブラケット上に載置して前記往復動手段を水平に回動せしめる回動手段を設けた異形ガラスの位置決め装置を開示した。
【0005】
さらに、同じく本出願人による特開平6−183556号公報にて、ロールコンベア上で搬送中のガラス板を所定の位置に停止せしめ、該ガラス板の一辺を位置決めするガラス板の位置決め装置において、前記コンベアのロール間に、複数のフリーベアを上面に並設し該コンベアの片側より離隔して設けたシャフトを介し傾動自在な複数の俯仰アームを配設し、該シャフト側の前記ロール上に立設し前記コンベアの中心方向に横行往復動自在/および上下動自在、かつ前記俯仰アームの傾動に追動して傾く底辺プレートの下縁に、前記フリーベアで滑動の前記ガラス板を当接停止せしめる底辺ストッパーを並設したガラス板の位置決め装置を開示した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、実開平1−102130号公報で示されるものは、四辺形あるいは台形状のガラス板を四方向よりローラーで位置を固定するため板ガラスの形状が限定され、昨今の自動車ドア窓用昇降ガラスのような多様化された左右非対称の異形な形状の場合には採用することはできないという問題点があった。
【0007】
また、特開平6−247594号公報で示されるものは、車両用ドアガラス等に使用する異形な形状をしたガラス板の位置決め装置に関するものであるが、ガラス板をエアーテーブル上で浮上させて位置決めするものであるため、フラットな形状のガラス板に限られ、湾曲したガラス板の場合には採用が困難であるという問題点があった。
【0008】
さらに、特開平6−183556号公報で示されるものも、車両用ドアガラスのような複雑な形状をしたガラス板でも正確な位置決めを可能とするものであるが、前記のものと同様にガラス板がフラットな板に限られ、湾曲したガラス板の場合には採用できないという問題点があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点の解決を図る、すなわち簡易な構成にして左右非対称で異形な形状の湾曲ガラス板等の板状体の位置決めを目的とするものである。
すなわち、本発明は、搬送コンベア上を水平姿勢で搬送される左右非対称で湾曲し、対向する2辺と対向する2つの角部を少なくとも有する自動車のドアガラス用の異形ガラスを所定位置で停止させ、昇降手段で上昇させて昇降手段上に載置した状態で、異形ガラスの対向する2辺を対向する押圧部材で異形ガラスの角部が該角部を押圧挟持させるための一対のL字状またはく字状のプッシャーの対向する内壁で挟まれる空間内の位置になるまで挟むように押圧して異形ガラスの該角部の位置を補正した後、押圧方向と交差する方向より該2つの角部を対向する一対のL字状またはく字状のプッシャーの内壁で両プッシャーの間隔が所定の値になるまで押圧挟持することによって異形ガラスの位置を決定して位置決めし、昇降手段を下降させて異形ガラスを搬送コンベア上に戻すようにした異形ガラスの位置決め方法である。
あるいは、本発明は、左右非対称の湾曲した自動車のドアガラス用の異形ガラスを搬送し所定の位置で停止自在な搬送手段と、所定の位置でガラス板を昇降させる昇降手段と、異形ガラスの対向する2辺を押圧部材で押圧する辺部押圧手段と、該辺部押圧手段の押圧方向と交差する方向より異形ガラスの対向する2つの角部を対向する一対のL字状またはく字状のプッシャーの内壁で押圧挟持する角部押圧手段と、からなる異形ガラスの位置決め装置である。
あるいはまた、本発明は、前記角部押圧手段の押圧方向角度をガラス板の形状に合わせて調整可能な角度調整手段を備えた上述の異形ガラスの位置決め装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の異形ガラスの位置決め装置1は、図1に示すように、水平姿勢で載置した異形ガラスGをピッチ送りでガラス板Gのほぼ中心が位置決め装置のほぼ中心となる所定位置まで搬送するシャトルコンベア11等の搬送コンベアからなる搬送手段10と、所定位置で停止した異形ガラスGを昇降シリンダ21の作動によりロッドの先端に設けた昇降フレーム22を上昇させて、搬送コンベアより昇降フレーム22上に異形ガラスGを移載させ昇降させる昇降手段20と、異形ガラスGの対向する2辺のエッジを回動自在な辺部押圧ロール33、33で挟むように押圧して補助的機構として位置ズレを補正する辺部押圧手段30と、該辺部押圧手段30の辺部押圧ロール33、33の押圧方向と交差する方向より、対向する一対の上面からみてL字状(またはく字状)プッシャー43、43でガラス板Gの対向する一対の角部を押圧挟持させる角部押圧手段40と、前記角部押圧手段40の押圧方向角度をガラス板Gの形状に合わせて調整可能な角度調整手段50とからなる。
【0011】
前記辺部押圧手段30は、図示しないフレーム架台の上部に固着した支持フレーム2より懸吊された筐体31内に設けられ、該筐体31内に両端を軸受で支持した台形ネジ34、34を設け、該台形ネジ34、34と螺合し、該台形ネジ34、34の回転によって移動するガイド35、35に固設した取付部材を介して辺部押圧シリンダ32、32を設け、辺部押圧シリンダ32、32のロッドの先端にブラケットを介して回動自在な辺部押圧ロール33、33を設け、辺部押圧シリンダ32、32の作動により辺部押圧ロール33、33を互いに接近、離隔させるようにした。
【0012】
また、辺部押圧手段30の台形ネジ34、34には、その片側先端部に台形ネジ34、34を回転させる辺部調整ハンドル36、36を直接、あるいは傘歯車を介して固着させた。
【0013】
つぎに、前記角部押圧手段40は、その筐体41の中心と前記辺部押圧手段30の中心部とを回動自在に軸着し、交差するようにした。該筐体41内に両端を軸受で支持した台形ネジ44、44を設け、該台形ネジ44、44と螺合し、該台形ネジ44、44の回転によって移動するガイド45、45に固設した取付部材を介して角部押圧シリンダ42、42を設け、角部押圧シリンダ42、42のロッドの先端にブラケットを介してL字状プッシャー43、43を設け、角部押圧シリンダ42、42の作動によりL字状プッシャー43、43を互いに接近、離隔させるようにした。
【0014】
また、角部押圧手段40の台形ネジ44、44には、その片側先端部に台形ネジ44、44を回転させる角部調整ハンドル46、46を直接、あるいは傘歯車を介して固着させた。
【0015】
さらに角部押圧手段40の筐体41と、前記辺部押圧手段30の筐体31とは伸縮自在な連結部材37でその両端を軸着させた。
つぎに、前記角度調整手段50は、図示しないフレーム架台にその両端の軸受部を固定し、両端を該軸受部で支持した台形ネジ51を設け、該台形ネジ51と螺合し、該台形ネジ51の回転によって台形ネジ51に沿って移動するガイド52と前記角部押圧手段40の筐体41とを連結部材54で軸着した。
【0016】
また該台形ネジ51の片側先端部に台形ネジ51を回転させる角度調整ハンドル53を固着した。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明に係わる異形ガラスの位置決め装置1を図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
まず、図1、図2に示すように、搬送手段10であるシャトルコンベア11によって水平姿勢の異形ガラスGがピッチ送りで搬送され、所定位置で異形ガラスGを停止させた後、昇降手段20の昇降シリンダ21の作動によりロッドの先端に設けた昇降フレーム22を上昇させて、シャトルコンベア11の上部フレームから昇降フレーム22上に異形ガラスGを移載させる。
【0019】
次ぎに、図3に示すように、補助的機構として異形ガラスGの角部Ga、Gbを所定の範囲、すなわち図中の符号Aで示すL字状プッシャー43、43の対向する内壁で挟まれる空間内に納めるために、予め図示しない制御装置に設定入力した移動量の情報に基づいて、辺部押圧手段30により異形ガラスGの対向する2辺のエッジを回動自在な辺部押圧ロール33、33で挟むように押圧させて、異形ガラスGの角部Ga、Gbの位置を補正する。
【0020】
さらに、図4に示すように、該辺部押圧手段30の辺部押圧ロール33、33の押圧方向と交差する方向より、予め図示しない制御装置に設定入力した移動量の情報に基づいて角部押圧手段40により、対向する一対のL字状(またはく字状)プッシャー43、43でガラス板Gの対向する一対の角部Ga、Gbを押圧挟持させると、異形ガラスGの角部Ga、GbはL字状プッシャー43の内壁を滑りその中心に向けて移動し、内壁のコーナー部に最接近した時、異形ガラスGの位置は決定される。
【0021】
異形ガラス板Gの位置決めが完了すると、昇降手段20を下降させて異形ガラス板Gを昇降フレーム22より搬送手段10のシャトルコンベア11上に移載し、シャトルコンベア11は位置決めされた異形ガラス板Gを次工程の加工工程へピッチ送りで搬送する。
【0022】
前記角部押圧手段40の押圧方向角度は、図1に示すようにガラス板Gの形状に合わせて調整すればよく、角度調整手段50のハンドル53を回転させることにより台形ネジ51を回転させ、台形ネジ51に螺合のガイド52を移動させて、ガイド52に連結した連結部材54を介して角部調整手段40の筐体41の方向角度を調整する。
【0023】
辺部押圧ロール33とL字状(またはく字状)プッシャー43はナイロン等の樹脂製とし、昇降手段20の昇降フレーム22上には異形ガラスGが僅かな力で滑動できる樹脂製のプレートを貼着し、異形ガラスGの位置決め時に異形ガラスGが移動しやすいようにした。
【0024】
以上好適な実施例について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の応用が考えられるものである。
辺部押圧ロール33は円柱状の回動自在のものを使用したが、これに限定するものではなく、異形ガラスGとの当接部の形状が円弧状等で滑り易い材質の部材であれば良い。
【0025】
辺部押圧シリンダー32、32、および角部押圧シリンダー42、42はエアーシリンダーとしたがモーターによる駆動に置き換えても良い。
また辺部調整ハンドル36、36、角部調整ハンドル46、46、および角度調整ハンドル53を手動のハンドル方式としたが、電動モーター等によって回転駆動させ、停止位置をエンコーダー等によるパルスカウントによって制御させるようにしても良い。
【0026】
また、異形ガラスGの搬送手段10はピッチ送りのシャトルコンベア11としたが、ベルトコンベアでも良い。
台形ネジ34、44、51に代えてボールネジとしても良い。
【0027】
あるいはまた、辺部押圧手段30を支持フレーム2にて懸吊し、角度調整手段50により角部押圧手段40の筐体41の方向を調整するようにしたが、角部押圧手段40を支持フレーム2で懸吊し、角度調整手段50により辺部押圧手段30の筐体31の方向を調整するようにしても良い。
【0028】
あるいはまた、異形ガラス板Gは湾曲、あるいはフラットな強化ガラス板、半強化ガラス板、生板等の単板、あるいは複数枚の強化ガラス相互、あるいは強化ガラスと生板ガラスを組み合わせてPVBやEVA等の中間膜または樹脂注入で接着した合わせガラス、および前記のガラス板に飛散防止樹脂膜を貼着したもの等が対象となる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、自動車のドアガラスのような左右非対称の異形ガラスで、特に湾曲した異形ガラスであっても、容易に位置決めができ、異形ガラスの形状の変化にも角度変更手段で容易に対応可能である。
【0030】
これによりラインの自動化、省力化が容易となるという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の異形ガラス板の位置決め装置の要部の斜視図。
【図2】本発明の異形ガラス板の位置決め装置の要部の底面図。
【図3】本発明の異形ガラス板の位置決めを説明する平面図。
【図4】本発明の異形ガラス板の位置決めを説明する平面図。
【符号の説明】
G 異形ガラス
1 位置決め装置
2 支持フレーム
10 搬送手段
11 シャトルコンベア
20 昇降手段
21 昇降シリンダ
22 昇降フレーム
30 辺部押圧手段
31 筐体
32 辺部押圧シリンダ
33 辺部押圧ロール
34 台形ネジ
35 ガイド
36 辺部調整ハンドル
37 連結部材
40 角部押圧手段
41 筐体
42 角部押圧シリンダ
43 L字状プッシャー
44 台形ネジ
45 ガイド
46 角部調整ハンドル
50 角度調整手段
51 台形ネジ
52 ガイド
53 角度調整ハンドル
54 連結部材
Claims (3)
- 搬送コンベア上を水平姿勢で搬送される左右非対称で湾曲し、対向する2辺と対向する2つの角部を少なくとも有する自動車のドアガラス用の異形ガラスを所定位置で停止させ、昇降手段で上昇させて昇降手段上に載置した状態で、異形ガラスの対向する2辺を対向する押圧部材で異形ガラスの角部が該角部を押圧挟持させるための一対のL字状またはく字状のプッシャーの対向する内壁で挟まれる空間内の位置になるまで挟むように押圧して異形ガラスの該角部の位置を補正した後、押圧方向と交差する方向より該2つの角部を対向する一対のL字状またはく字状のプッシャーの内壁で両プッシャーの間隔が所定の値になるまで押圧挟持することによって異形ガラスの位置を決定して位置決めし、昇降手段を下降させて異形ガラスを搬送コンベア上に戻すようにした異形ガラスの位置決め方法。
- 左右非対称の湾曲した自動車のドアガラス用の異形ガラスを搬送し所定の位置で停止自在な搬送手段と、所定の位置でガラス板を昇降させる昇降手段と、異形ガラスの対向する2辺を押圧部材で押圧する辺部押圧手段と、該辺部押圧手段の押圧方向と交差する方向より異形ガラスの対向する2つの角部を対向する一対のL字状またはく字状のプッシャーの内壁で押圧挟持する角部押圧手段と、からなる異形ガラスの位置決め装置。
- 前記角部押圧手段の押圧方向角度をガラス板の形状に合わせて調整可能な角度調整手段を備えた請求項2記載の異形ガラスの位置決め装置。
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