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JP3628162B2 - 電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法 - Google Patents

電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法 Download PDF

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JP3628162B2
JP3628162B2 JP34349197A JP34349197A JP3628162B2 JP 3628162 B2 JP3628162 B2 JP 3628162B2 JP 34349197 A JP34349197 A JP 34349197A JP 34349197 A JP34349197 A JP 34349197A JP 3628162 B2 JP3628162 B2 JP 3628162B2
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邦夫 佐々木
和範 中村
詞郎 坂田
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Hitachi Zosen Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極を有して底部に収容した導電体と間でアークまたはプラズマアークを形成する電気式灰溶融炉において、ベースメタル上の溶融スラグの厚さを検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼却炉から排出される焼却灰をプラズマ式やアーク式の灰溶融炉で溶融処理する場合、炉底部にメタル溶融層(ベースメタルという)を形成して導電体および熱媒体として利用しており、このベースメタル上で焼却灰を加熱溶融して溶融スラグ層を形成し、オーバーフロー形式で出滓口から取り出している。その時、焼却灰に含まれる金属類がベースメタルに溶け込み、ベースメタルの湯面レベルが灰の処理量の増加とともに上昇してくる。ベースメタルが上昇すると、溶融スラグ層が薄くなり、外乱による溶融スラグ表面の変動で、電気抵抗が大きく変化してプラズマアークまたはアークによる安定した運転が困難になるとともに、溶融スラグ層の滞留時間が短く完全に溶融していない灰を排出するおそれがある。
【0003】
そのため、ベースメタルの湯面レベルが高くなると、灰の滞留時間を長くして完全に溶融させるために、灰の供給量を減少させる灰の供給制御やスラグの排出作業を行う必要がある。
【0004】
このスラグ層の厚さを検知する方法として、従来では灰の溶融量(稼動時間)からおおよそのスラグ層厚を推定したり、またベースメタルとスラグの電気抵抗値を計測することにより行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、稼動時間からスラグ層厚を推定する場合には、極めておおよその値でしかなく、正確な灰供給制御やメタル排出時期の割り出しをおこなえない。また電気抵抗値を利用する場合には、炉の運転を一旦停止してセンサー等を直接炉内に挿入する必要があり、溶融スラグやベースメタルの温度低下を招くとともに運転効率を低下させる要因となる。
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明は、上記問題点を解決して、炉の停止や温度低下を招くことなく正確な溶融スラグ層厚を検出できる電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1記載の発明は、炉本体の底部にベースメタルを収容するとともに、炉本体の天壁から昇降自在に垂下された複数の電極とベースメタルとの間にアークまたはプラズマアークを形成して、ベースメタル上に投入された灰を加熱溶融し、この溶融スラグをオーバーフローさせて排出する電気式灰溶融炉の溶融スラグの厚さを検出するに際して、一定時間ごとにアーク電圧またはプラズマ電圧を検出して、設定電圧と検出電圧と変動幅を求め、予め計測された電圧変動幅と溶融スラグの層厚の関係から、溶融スラグの層厚を推定し、電圧変動幅により推定される溶融スラグの層厚が薄くなると、灰の供給量を減少させるように制御して、溶融室内での灰の滞留時間を増加させるものである。
【0008】
上記構成によれば、電圧変動幅により推定される溶融スラグの層厚が薄くなると、灰の供給量を減少させて溶融室内の滞留時間を長くすることにより、完全に溶融された溶融スラグのみを排出することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係るプラズマ灰溶融炉の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。
【0010】
1は底部にベースメタルMを収容する溶融室2が形成された炉本体で、一端側の側壁に灰投入口3が形成されて灰ホッパ4と灰プッシャー5が設けられており、他端側の側壁に溶融スラグMSを排出する排滓口6が形成されている。またこの炉本体1の天壁に形成された一対のトーチ挿入孔7A,7Bには、陰電極トーチ8Aと陽電極トーチ8Bがトーチ昇降装置(図示せず)を介してそれぞれ垂下されており、これら電極トーチ8A,8Bに直流電源装置9が接続されている。また図示しない炉壁のガス供給口と各電極トーチ8A,8Bのガス供給孔から溶融室2内に作動ガス(たとえば窒素ガス)が供給されてベースメタルとの間にプラズマアークを形成するように構成される。10は側壁に形成された排ガス排出口である。
【0011】
前記排滓口6には、排滓溝が形成されたスラグ排出堰11が設けられるとともに、スラグ排出堰11に対向してスラグの凝固を防止する予熱バーナー12が配置されている。そして、排滓口6の下部には、溶融スラグMSを水冷して水砕スラグを生成する冷却水槽13aとスラグ排出コンベヤ13bからなるスラグ冷却装置13が配置されている。
【0012】
前記炉本体1は、ベースメタルMを排出する炉傾動装置14を介してメタル排出口と兼用される排滓口6側が下方になるように傾動自在に配置されており、炉傾動装置14は、排滓口6側で水平軸14aを介して底壁を回動自在に支持する支持台14bと、灰投入口3側で底壁を押し上げ自在に配置された傾動ジャッキ14cとで構成されている。
【0013】
21は両電極トーチ8A,8B間で稼動電圧(プラズマ電圧)を測定する測定手段ある電流計で、この計測値はコンピュータの演算手段であるデータ処理装置22に出力され、一定時間毎に計測された実測稼動電圧と、設定された電圧との変動率を演算し、予め計測された電圧変動幅と溶融スラグMSの層厚の関係から、溶融スラグMSの層厚を推定し、この変動幅から溶融スラグMSの層厚がメタル排出限となった時に、表示手段であるメタル排出表示ランプ23を点灯させて作業員に知らせるように構成される。もちろん、表示手段は制御用CRTでの表示や告知ブザーであってもよい。
【0014】
このデータ処理装置22では、たとえば5秒間隔毎に電圧値が検出され、1時間平均の稼動電圧の変動率が演算されており、計算方法は下記の通りである。
【0015】
【数1】
Figure 0003628162
【0016】
上記構成において、直流電源装置9から両電極トーチ8A,8Bに電圧が印加されて電極トーチ8A,8BとベースメタルMとの間にプラズマアークが発生され、ホッパ4の灰Aが灰プッシャー5により溶融室2に所定量ずつ投入されて溶融される。そしてベースメタル上に溶融スラグMS層が形成され、スラグ排出堰11の排滓溝11aのレベルを超えるとオーバーフローして排滓口6からスラグ冷却装置13の冷却水槽13aに滴下排出されて水砕スラグWSが生成される。この時、直流電源装置9から供給された電流は、陽電極トーチ8Bからプラズマアーク、溶融スラグMS、ベースメタルMを通り、ベースメタルMから溶融スラグMS、プラズマアークを介して陰電極トーチ8Aに到達する。
【0017】
この運転時には、直流電源装置9から一定の設定電流が供給され、電圧は一定時間毎に電極トーチ8A,8Bの高さを調節してほぼ一定の設定電圧になるように制御されている。たとえば運転コストを考慮して、設定電流=980Aを給電し、5分間隔で検出した実測稼動電圧と設定電圧=150Vとを比較して設定電圧になるように電極トーチ8A,8Bの高さを制御している。
【0018】
前記実測稼動電圧(プラズマ電圧)は、設定電圧を中心に変動しており、実測電圧の変動幅と溶融スラグMSの層厚との間には相関関係があることを発明者は見出しており、運転する灰溶融炉の特性に対応して、予め実験により得られた実測電圧の変動幅と溶融スラグMSの層厚との関係から、溶融スラグMSの層厚を推定してベースメタルMの排出時期を告知している。
【0019】
すなわち、図2はこのプラズマ式灰溶融炉を連続運転した時の電圧変動割合を示すもので、この炉では、電圧変動幅が8%となった時に、溶融スラグMSの層厚は約70mmとなり、層厚の限界値であることがわかっており、電圧変動幅が8%となった時にベースメタルMの排出時期を告知して、炉傾動装置14により炉本体1を一定角度傾動しベースメタルMを排出している。この結果、ベースメタルMの排出量を測定した結果、ほぼ一定量で排出量から換算した溶融スラグMSの層厚は、ほぼ70mmであったのが確認された。
【0020】
上記実施の形態によれば、一定時間毎に電極8A,8B間の稼動電圧(プラズマ電圧)を計測して電圧変動率を求めることにより、予め実験された稼動電圧と溶融スラグMSの層厚の関係から、溶融スラグMSの実層厚を正確に推定することができ、正確なベースメタルMの排出時期を知ることができる。したがって、従来のように推定される溶融スラグMSの層厚が不正確であったり、炉の運転を停止する必要がない。
【0021】
なお、上記実施の形態では、本発明により推定できる溶融スラグMSの層厚を、ベースメタルMの排出にのみ使用したが、灰の投入量の制御に使用してもよい。すなわち、溶融スラグMSの層厚か薄くなると、スラグ層の溶融不完全の灰が排出されることがあり、この場合には灰の投入量を減少させて溶融室2内の滞留時間を長くすることにより、完全に溶融された溶融スラグMSのみを排出することができる。
【0022】
また、2本の電極トーチを使用したプラズマ式灰溶融炉を示したが、3本以上の電極トーチを使用してもよく、また一方の電極を底部に配置してベースメタルと導通させ、他方の電極トーチとベースメタルとの間にアークまたはプラズマアークを形成してもよい。
【0023】
さらに、プラズマ式灰溶融炉を示したが、アーク式灰溶融炉であっても同様である。
【0024】
【発明の効果】
以上に述べたごとく本発明の請求項1記載の発明によれば、一定時間毎に電極間の稼動アークまたは稼動プラズマ電圧を計測して電圧変動率を求めることにより、容易に溶融スラグの層厚を正確に推定することができ、正確なベースメタルの排出時期を知ることができるとともに、灰供給制御を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ式灰溶融炉の実施の形態を示す構成図である。
【図2】同灰溶融炉における稼動電圧の変動割合を示すグラフである。
【符号の説明】
M ベースメタル
MS 溶融スラグ
A 灰
1 炉本体
8A 陰電極トーチ
8B 陽電極トーチ
9 直流電源装置
14 炉傾動装置
14a 傾動ジャッキ
21 電圧計
22 データ処理装置
23 メタル排出告知ランプ

Claims (4)

  1. 炉本体の底部にベースメタルを収容するとともに、炉本体の天壁から昇降自在に垂下された複数の電極とベースメタルとの間にアークまたはプラズマアークを形成して、ベースメタル上に投入された灰を加熱溶融し、この溶融スラグをオーバーフローさせて排出する電気式灰溶融炉の溶融スラグの厚さを検出するに際して、
    一定時間ごとにアーク電圧またはプラズマ電圧を検出して、設定電圧と検出電圧と変動幅を求め、
    予め計測された電圧変動幅と溶融スラグの層厚の関係から、溶融スラグの層厚を推定し、
    電圧変動幅により推定される溶融スラグの層厚が薄くなると、灰の供給量を減少させるように制御して、溶融室内での灰の滞留時間を増加させる
    ことを特徴とする電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
  2. 一定の設定アーク電流または設定プラズマ電流を供給するとともに、アーク電圧またはプラズマ電圧を一定時間ごとに計測して一定の設定電圧になるように電極の高さを制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
  3. アークまたはプラズマアークが不安定となる溶融スラグの層厚限の電圧変動幅を設定しておき、
    電圧変動幅が設定値を越えた時に、ベースメタルの排出作業を行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
  4. 電圧変動幅により推定される溶融スラグの層厚が薄くなると、灰の供給量を減少させるように制御して、溶融室内での灰の滞留時間を増加させることを特徴とする請求項1または2記載の電気式灰溶融炉のスラグ厚さ検出方法。
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