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JP3625506B2 - 自動識別装置 - Google Patents

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JP3625506B2
JP3625506B2 JP31903394A JP31903394A JP3625506B2 JP 3625506 B2 JP3625506 B2 JP 3625506B2 JP 31903394 A JP31903394 A JP 31903394A JP 31903394 A JP31903394 A JP 31903394A JP 3625506 B2 JP3625506 B2 JP 3625506B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数種類に分類された対象物の種類を、電磁波を利用して非接触で自動識別するための自動識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁波を利用して対象物の有無を検出するための装置は、例えば、所定周波数の電磁波を放射する送信部と、送信部から放射された電磁波を受信する受信部と、送信部から放射される電磁波の周波数に共振する共振周波数を持つ1個の共振子と1個の励磁コイルとが電気的に接続された共振片と、送信部と受信部との間で送受信される電磁波内に共振片が位置したことによって起こる、受信部での受信電磁波の変化を識別する識別部とを備え、共振片を対象物に取り付け、識別部で共振片が検出されたことにより、その共振片が取り付けられた対象物の存在を検出するように構成されている。
【0003】
また、この種の装置を利用して、複数種類に分類された対象物の種類を識別するための自動識別装置は、従来、上記共振片の共振子の共振周波数を対象物の種類ごとに違え、送信部では、各種類の共振片に備えられる共振片の共振周波数を全て含む帯域幅の周波数で掃引される電磁波を放射し、識別部では、共振片が変化された周波数(共振片が共振した周波数)を検出し、その周波数に対応する共振周波数を持つ共振片の種類を認識して、送信部と受信部との間で送受信される電磁波内に位置されたその共振片が取り付けられた対象物の種類を識別するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来装置の構成では、対象物の種類に1対1に対応する種類の共振子を備えなければならず、対象物の種類が多数になると、共振子の識別を行い得る種類の共振子が用意できなくなるので、多数種類の対象物の識別が行えないという問題がある。また、実現可能な種類数の対象物の識別においても、各種類の共振子の共振周波数を全て含む広い帯域幅の周波数で掃引される電磁波を送信部から放射し、受信部でその電磁波を受信し、識別部は広い帯域幅の周波数を持つ受信電磁波の変化を検出しなければならなくなり、送信部、受信部、識別部の構造が複雑化し、各部が高額化するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、一定帯域幅の周波数の電磁波の送受信に対する対象物の識別可能な種類数を増やすことができる自動識別装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、対象物に取り付けられ、かつ、1個の励磁コイルと複数個の共振子とが電気的に接続され、前記各共振子の共振周波数の組合わせを前記対象物の種類ごとに違えた複数種類の共振片と、
前記各種類の共振片に備えられる各共振子の共振周波数を全て含む所定帯域幅の周波数で掃引される電磁波を放射する送信手段と、
前記送信手段から放射された電磁波を受信する受信手段と、
前記送信手段と受信手段との間で送受信される電磁波内に前記共振片が位置したことによって起こる、前記受信手段での受信電磁波の変化する周波数の組合わせを識別し、それに基づき対象物の種類を識別する識別手段と、を備えた自動識別装置において、
前記送信手段と、前記受信手段と、前記識別手段とで構成する識別ユニットと、
前記識別ユニットを複数個、2次元的に配置した識別機構と、
前記識別機構を構成する全識別ユニットをお互いに隣接する識別ユニットが含まれないようにグループに分け、グループごとに時間をずらせて電磁波の送受信をして識別動作を行い、
各対象物に取付けられた各共振片が隣接する識別ユニットで同時に検出されないように各識別ユニットの間隔を決めており、
全識別ユニットから共振片が検出された識別ユニットの対象物の種類と個数を検出するデータ処理部と、
を備え複数種類に分類された対象物の種類と数とを非接触で自動識別するものである。
【0007】
また、請求項2の発明は、上記請求項1に記載の自動識別装置において、1個の励磁コイルと1個の共振子とが電気的に接続された共振片と、1個の励磁コイルと複数個の共振子とが電気的に接続された共振片とで複数種類の共振片を構成するものを含めたものである。
【0008】
【作用】
本発明の作用は次のとおりである。
共振片は、1個の励磁コイルと複数個の共振子とが電気的に接続されて構成される。また、共振片は対象物の種類に対応させて複数種類に分類され、同一種類の共振片同士では、構成する共振子の共振周波数の組合わせを同じにし、異なる種類の共振片同士では、構成する共振子の共振周波数の組合わせを違え、この共振周波数の組合わせは、各種類の共振片でそれぞれ異なる。そして、対象物には、その対象物の種類に応じた共振周波数の組合わせを持つ共振片が取り付けられる。
【0009】
送信部からは、各種類の共振片に備えられた各共振子の共振周波数を全て含む所定帯域幅の周波数で掃引される電磁波を放射し、受信手段はその電磁波を受信する。ある種類の共振片が取り付けられた、その種類に対応した対象物が、送信手段と受信手段との間で送受信される電磁波内に位置すると、受信手段で受信される受信電磁波は、共振片に備えられた共振子の共振周波数に対応する周波数で変化する。識別手段は、この変化した周波数の組合わせを識別する。この変化した周波数の組合わせは、送信手段と受信手段との間で送受信される電磁波内に位置された共振片に備えられた共振子の共振周波数の組合わせに対応する。上記したように、この共振周波数の組合わせは、共振片(対象物)の種類に応じて違えている。従って、識別手段は、受信電磁波の変化した周波数の組合わせに基づき共振片、すなわち、その共振片が取り付けられた対象物の種類が識別できる。
【0010】
例えば、一定帯域幅内でf、f、f、fの4種類の共振周波数の識別が可能であるとすると、従来例では4種類の対象物が識別可能である。これに対して、本発明の場合、例えば、各種類の共振片に2個の共振子を備えている場合には、fとf、fとf、fとf、fとf、fとf、fとfの6種類の共振周波数の組合わせについてそれぞれの共振片の種類の識別が可能となり、6種類の対象物が識別可能となる。また、共振片の個数を制限しなければ、fとfとf、fとfとf、…の3種類の共振周波数の組合わせ、fとfとfとfの4種類の共振周波数の組合わせが含まれ、共振周波数の組合わせ数はさらに多くなり、さらに多くの種類の対象物の識別が可能となる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、1個の励磁コイルと1個の共振子とが電気的に接続された共振片と、上記1個の励磁コイルと複数個の共振子とが電気的に接続された共振片とで複数種類の共振片を構成するので、共振周波数の組合わせは、複数の共振周波数の組合わせに1種類の共振周波数が加えられる。例えば、上記例では、2種類、3種類、4種類の共振周波数の組合わせに加えて、1種類の共振周波数のみが検出された場合が、上記2種類、3種類、4種類の共振周波数の組合わせが検出された場合と区別することができ、より多くの種類の対象物の識別が可能となる。
【0012】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1(a)は、本発明の一実施例に係る自動識別装置の概略構成を示すブロック図であり、図1(b)は、共振片の構成を示す回路図、図2は、各種類の対象物と共振片との関係を示す図である。
【0013】
本実施例は、図1(a)に示すように、対象物1に取り付けられる共振片2と、送信手段に相当する送信部3と、受信手段に相当する受信部4と、識別手段に相当する識別部5とを備えて構成されている。
【0014】
対象物1は、本実施例装置で種類を識別する対象であり、本実施例装置が適用される場合に応じて任意に決められる。実際の適用例については後述するが、この対象物1は複数種類に分類されている。ここでは、対象物1がA〜Fの6種類に分類されているとして、各種類A〜Fに属する対象物をそれぞれ1A、1B、1C、1D、1E、1Fとする。
【0015】
共振片2は、図1(b)に示すように、1個の励磁コイル2aと複数個(図では2個)の共振子2b(2b、2b)とが電気的に接続されて構成される。各共振子2b、2bは、例えば、圧電セラミックや水晶などの電気−機械エネルギー変換特性を利用したもので、それぞれ固有の共振周波数fb1、fb2を有している。そして、この共振片2に周波数fb1またはfb2の電磁波が照射されると、その励磁コイル2aが励磁される結果、照射された電磁波が変調される。
【0016】
また、この共振片2は対象物1の種類に対応させて複数種類(この場合は6種類)に分類される。各種類の共振片を2A、2B、2C、2D、2E、2Fとする。同一種類の共振片同士では、構成する共振子2b、2bの共振周波数fb1、fb2の組合わせは同じであり、異なる種類の共振片同士では、構成する共振子2b、2bの共振周波数fb1、fb2の組合わせが異なり、この共振周波数fb1、fb2の組合わせは、各種類A〜Fの共振片2A〜2Fでそれぞれ異なる。そして、対象物1には、その対象物1の種類A〜Fに応じた共振周波数fb1、fb2の組合わせを持つ共振片2A〜2Fがそれぞれ取り付けられる。この関係を図2に示す。例えば、種類Aに属する対象物1Aに取り付けられる共振片2Aの共振子2b、2bの共振周波数fb1、fb2はそれぞれf、fであり、種類Fに属する対象物1Fに取り付けられる共振片2Fの共振子2b、2bの共振周波数fb1、fb2はそれぞれf、fである。なお、図2(a)は種類A、同図(b)は種類B、同図(c)は種類C、同図(d)は種類D、同図(e)は種類E、同図(f)は種類Fの場合の関係を示す。
【0017】
図1に戻って、送信部3は、掃引発生回路3aと可変周波数発振回路3bと電力増幅回路3cと送信アンテナ3dとで構成されている。掃引発生回路3aは、後述する識別部5を構成するタイミング発生回路5aからのタイミングTsに従って掃引電圧を発生する。この掃引電圧は、時間の経過に従って出力電圧を一次関数的に変化させる三角波形に従ったものでもよいし、時間の経過に従って出力電圧をsinカーブに従って変化されるものでもよいし、時間の経過に従って出力電圧を階段状に変化されるものでもよい。一例として、三角波形に従った掃引電圧を図3(a)に示す。図3(a)は、横軸に時間、縦軸に出力電圧を採っている。なお、図中の符号Tsは、タイミング発生回路5aから与えられた掃引電圧の発生開始タイミングを示す。
【0018】
可変周波数発振回路3bは、掃引発生回路3aから供給される電圧値に応じた周波数を発振し、それが電力増幅回路3cで電力増幅され、送信アンテナ3dから電磁波MWとして放射される。放射される電磁波MWの周波数の変化を図3(b)に示す。図3(b)は、横軸に時間と周波数、縦軸に振幅を採っている。放射される電磁波の周波数は、図3(a)の掃引電圧に応じて徐々に高く、すなわち、所定帯域幅の周波数で掃引されている。この帯域幅は、上記各種類の共振片2A〜2Fに備えられる共振子2b、2bの共振周波数fb1、fb2を全て含んだものである。ここでは、各共振子2b、2bの共振周波数f、f、f、fを全て含むf〜fの帯域幅の周波数で掃引される電磁波MWが送信アンテナ3dから放射される。なお、この帯域幅の周波数で掃引される電磁波MWが放射されるように、掃引発生回路3aは、V〜Vで掃引される電圧を出力する(図3(a)参照)。
【0019】
図1に戻って、受信部4は、受信アンテナ4aと電力増幅回路4bとで構成され、送信アンテナ3dから放射された電磁波MWを受信アンテナ4aで受信し、それを電力増幅回路4bで電力増幅して識別部5を構成する検波回路5bに供給する。
【0020】
識別部5は、タイミング発生回路5aと検波回路5bとタイミング検出回路5cとで構成され、検波回路5bが、受信部4から得られた受信電磁波の変化を検出してその変化をパルス波形に波形整形してタイミング検出回路5cに供給する。タイミング検出回路5cには、タイミング発生回路5aから、掃引発生回路3aに与えられる掃引電圧の発生開始タイミングTsが供給され、検波回路5bから供給される受信電磁波の変化に対応したパルスの発生タイミングを検出し、それに基づき、対象物1(共振片2)の種類を識別する。すなわち、検波回路5bからのパルスのTsからの発生時間によって、変化があった周波数を検出することができる。この受信電磁波の変化する周波数は、共振片2内の共振子2b、2bの共振周波数fb1、fb2に対応するので、その変化があれば共振片2、すなわち、その共振片2が取り付けられた対象物1が送受信アンテナ3d、4aの間で送受信される電磁波MW内に位置されていることになり、その変化する周波数の組合わせにより、対象物1(共振片2)の種類を検出することができる。
【0021】
例えば、送受信アンテナ3d、4aの間で送受信される電磁波MW内に対象物1(共振片2)が位置されていないときには、送信アンテナ3dから放射される電磁波MWに変化が起きないので、受信部4での受信電磁波は図3(b)と同じとなり、検波回路5bからパルスは出力されない。一方、送受信アンテナ3d、4aの間で送受信される電磁波MW内に、例えば種類Aの対象物1A(共振片2A)が位置されたときには、送信アンテナ3dから放射される電磁波MWは、周波数f、fにおいて、共振片2Aで変調されて変化するので、受信部4での受信電磁波は図3(c)に示すように周波数f、fで振幅、位相に変化が現れる。そして、この変化に応じて検波回路5bは図3(d)に示すようなパルスを整形してタイミング検出回路5cに供給する。タイミング検出回路5cでは、パルスのTsからの発生時間T、Tから、その変化があった周波数がf(T)、f(T)であることを検出し、この変調された周波数(変調させた共振周波数)の組合わせにより、その共振片2の種類がA(図2(a))であり、対象物1の種類がAであることを検出する。また、例えば、送受信アンテナ3d、4aの間で送受信される電磁波MW内に、種類Bの対象物1B(共振片2B)が位置されたときには、受信電磁波はf、fで変化し、種類Fの対象物1F(共振片2F)が位置されたときには、受信電磁波はf、fで変化するなど、各種類A〜Fで受信電磁波の変化する周波数の組合わせは異なり、これにより対象物1(共振片2)の種類を識別することができる。なお、各種類A〜Fに対する検波回路5bからの出力パルスを図4に示す。
【0022】
例えば、上記帯域幅f〜fでf、f、f、f4の4種類の共振周波数の識別が可能であるとすると、従来例では4種類の対象物1を識別できるに過ぎない。これに対して、上記実施例装置では、図2に示したように6種類の対象物1が識別可能となり、一定帯域幅内での識別可能な対象物1の種類数を多くすることができる。
【0023】
また、上記実施例では、共振片2内の共振子2bの個数を2個にしたが、例えば、図5(a)に示すように、共振子2bの個数を3個に増やした共振片2を構成した場合、共振周波数の組合わせは、図6(a)〜(c)に示すようにfとfとf、fとfとf、fとfとfの3種類があり、タイミング検出回路5cでは、図6(a)〜(c)が各々区別できるのに加えて、図4(a)〜(f)の各場合とも区分できる。従って、共振子2bの個数が2個のものと3個のものとを併用させると、一定帯域幅内での識別可能な対象物1の種類数をさらに多くすることができる。また、同様に、図5(b)に示すように、共振子2bの個数を4個に増やした共振片2では、図6(d)に示すように受信電磁波の変化はfとfとfとfで現れるので、これを上記2個の共振子2bの共振片2、または、2個、3個の共振子2bの共振片2とともに併用すれば、一定帯域幅内での識別可能な対象物1の種類をさらに多くすることができる。
【0024】
また、図5(c)に示すように、共振子2bの個数を1個にした共振片2では、図6(e)〜(h)に示すように受信電磁波の変化が現れるので、これを、上記2個、3個、4個の共振子2bの共振片2とともに併用すれば、共振片2(対象物1)の種類が識別可能な共振周波数の組合わせ数が一層増加する。従って、一定帯域幅内での識別可能な対象物1の種類数を一層増加することができる。なお、この共振子2bの個数を1個にした共振片2は、例えば2個の共振子2bの各共振周波数を同じにした共振片2と等価である。また、一定帯域幅で識別可能な共振周波数の数が5個、6個、…と増加していけば、その組合わせ数が一層増加し、従来例と比較して、識別可能な対象物1の種類数が一層多くなることは言うまでもない。
【0025】
なお、例えば、1個の励磁コイル2aと1個の共振子2bとを電気的に接続したものを複数組備えて共振片2を構成したり、従来例の共振片を複数個対象物1に取り付けることにより、上記と同様に複数個の共振子2bの共振周波数の組合わせで対象物1の種類を識別することが可能である。しかしながら、共振片2による送受信電磁波の変化の識別感度を高めるためには、励磁コイル2aをある程度大きくしなければならず、これに対して、共振子2bのサイズは識別感度などにかかわらずコンパクトである。従って、上記した構成では、サイズの大きな励磁コイル2aを複数個備えることになるので、共振片2のサイズが大型化し、対象物1に取り付けると邪魔になるし、対象物1の形状や共振片2の取り付け場所によっては、共振片2が取り付けられないなどの不都合がある。これに対して、本発明のように構成するとコンパクトな共振子2bの数が増えるだけであるので、共振片2をコンパクトに構成でき、対象物1に取り付けても共振片2が邪魔にならないなどの効果がある。
【0026】
次に、上記図1(a)で説明した実施例装置の変形例を図7に示す。図7は、実施例装置の変形例の概略構成を示すブロック図である。図7に示す装置は、図1(a)の装置の送信部3、識別部5の構成を代えたもので、受信部4や共振片2などのその他の構成は上述した実施例と同じである。
【0027】
この変形例の送信部3は、クロック発生回路3e、カウンタ回路3f、波形記憶装置3g、D/A(ディジタルtoアナログ)変換器3h、ローパスフィルタ3i、送信アンテナ3dで構成され、識別部5は、検波回路5b、周波数検出回路5dで構成されている。
【0028】
クロック発生回路3eは、送信部3から送信される電磁波MWの最も高い周波数のさらに10倍程度高い一定周波数のクロックパルス(時間間隔tcごとのパスル)を発生し、カウンタ回路3fに供給している。
【0029】
カウンタ回路3fは、クロック発生回路3eからのクロックパルスを、「0」〜所定のカウント値CM(例えば、CM=256kByte)でサイクリックに計数し、計数値Ccを波形記憶装置3gと、識別部5の周波数検出回路5dに供給する。
【0030】
波形記憶装置3gは、「0」〜CMのアドレスを持ち、各アドレスには、所定帯域幅(上記図3ではf〜f)の周波数で掃引されるsin波形(図3(b)に相当)の時間を(CM+1)で均等に細分したときの各ポイントにおける振幅をディジタルデータとして記憶している。そして、クロック発生回路3eのクロックパルスに従って一定時間間隔tcでカウンタ回路3fから与えられる計数値Ccと同じアドレスに記憶されたデータをD/A変換器3hに与え、D/A変換器3hは、与えられるディジタルデータをアナログデータに変換してローパスフィルタ3iに与える。
【0031】
D/A変換器3hからの出力信号(例えば、電圧値)を図8に示す。図8では、周波数fのsin波形の1周期分に対する出力信号を示している。D/A変換器3hからは、図の実線で示すような階段波が、所定帯域幅の周波数で掃引されるsin波形に対応して出力される。なお、図中の符号nはsin波形を細分したポイント数を示し、周波数が高くなるに従ってnは少なくなる。ただし、1周期分のsin波形は、複数ポイントで表現される。また、周波数を連続的に変化させるために、sin波形の周波数は1周期内でも徐々に周波数が高くなっており、そのようなsin波形が形成されるデータが波形記憶装置3gに記憶されている。
【0032】
ローパスフィルタ3iは、D/A変換器3hからの階段波の高調波分を取り除き、図8の点線で示すsin波形(図3(b)に相当する波形)にし、それが送信アンテナ3dより電磁波MWとして受信アンテナ4aに向けて放射される。なお、カウンタ回路3fでは、計測を「0」〜CMの間でサイクリックに繰り返しているので、送信アンテナ3dからは、所定帯域幅の周波数で掃引される電磁波MWが繰り返し放射されるが、例えば、外部からカウンタ回路3fにスタート信号を与え、カウンタ回路3fではそのスタート信号により「0」〜CMの計測を開始し、「0」〜CMの計測を1回だけ行うようにすれば、任意のタイミングで所定帯域幅の周波数で掃引される電磁波MWを1回分放射させることができる。
【0033】
そして、この送信電磁波MWは、上記図1(a)の実施例と同様に受信部4で受信されて、識別部5の検波回路5bに与えらる。検波回路5bは、上記図1(a)の実施例と同様に、共振片2による受信電磁波の変化を検出し、変化があったタイミングでパルスを発生させる。このパルスは周波数検出回路5dに与えられる。
【0034】
周波数検出回路5dには、カンタ回路3fからの計数値Ccが与えられている。そして、上記検波回路5bからの受信電磁波の変化に応じたパルスが供給されたときの、カンタ回路3fからの計数値Ccに基づき、受信電磁波の変化した周波数を検出する。すなわち、カンタ回路3fからの計数値Ccは波形記憶装置3gのアドレス値に対応しており、波形記憶装置3gのアドレス値より送信電磁波MWの周波数を知ることができ、この波形記憶装置3gのアドレス値と送信電磁波MWの周波数との関係は波形記憶装置3gに記憶する波形成形用のデータを作成する際に決まり既知である。従って、周波数検出回路5dは、受信電磁波の変化に応じたパルスが供給されたときの、カンタ回路3fからの計数値Ccに基づき、受信電磁波の変化した周波数を検出することができる。そして、変化した周波数の組合わせにより共振片2(対象物1)の種類を識別する
【0035】
上記図1(a)の構成では、送信部3の各回路3aや3bなどはアナログ処理しているので誤差が生じ易い。例えば、掃引発生回路3aでは、図3(a)のように直線状に(一次関数に沿って)正確に電圧値が出力されないことがあり、また、可変周波数発振回路3bでは、掃引発生回路3aからの電圧値に応じて、正確な周波数が発振されないこともある。従って、送信アンテナ3dからは、所定帯域幅の周波数で連続的に掃引される電磁波MWが正確に放射されない場合も生じ得る。一方、図1(a)の識別部5内のタイミング検出回路5cでは、検波回路5bからのパルスの発生時間(タイミング発生回路5aから供給されるTsからの時間)によって受信電磁波の変化した周波数を検出しているので、送信部3から正確な掃引電磁波MWが発生されないと、検波回路5bからのパルスの発生時間と変化した周波数の実際のタイミングとがずれ、その結果、変化した周波数の検出を誤ることも起こり得る。
【0036】
これに対して、図7の構成では、D/A変換器3hまでの処理をディジタルデータで行い、クロックパルスに従い、波形記憶装置3gのアドレスを計数し、そのアドレスのデータを出力して、掃引周波数を成形するので、送信部3から放射させる掃引電磁波MWは正確であり、また、識別部5の周波数検出回路5dは、波形記憶装置3gのアクセスタイミングであるカウンタ回路3fからの計数値Ccに基づき変化した周波数を検出するので、変化した周波数の誤検出が軽減される。
【0037】
次に、上述した構成の実施例装置の具体的な適用例をいくつか紹介する。
<適用例1>
商品などの仕分け作業の自動化処理に適用できる。図9に示すように、対象物1たる商品10がコンベア11上を上流から下流に図の矢印方向に流れてくる。商品10には、例えば、配達先の種別(A地区に配達、B地区に配達、…)に応じた共振片2(2A、2B、…)が取り付けられている。そして、商品10が本実施例に係る自動識別装置Sに位置されると、上述したように、その商品10の種類(この場合は、配達先の種別)を識別し、その識別結果に基づき、例えば、下流のコンベア12(A地区に配達)、13(B地区に配達)、14(C地区に配達)のいずれかに仕分けする。図では3方向への仕分けを示しているが、それ以上の数の仕分けや、コンベア12、13、14の下流側での更なる仕分けなどはもちろん可能である。
【0038】
なお、この場合の自動識別装置Sは、図10(a)に示すように、商品10を挟んでその側方に送受信アンテナ3d、4aを対向配置させてもよいし、図10(b)に示すように、商品10を挟んでその上下に送受信アンテナ3d、4aを対向配置させてもよい。また、図10(c)、(d)(図10(c)は識別ユニットの正面図、同図(d)はその平面図)に示すように、送信部3、受信部4、識別部5を一つのユニットに収納し、送信アンテナ3dと受信アンテナ4aとをその外側に対向配置した識別ユニット6に構成し、この識別ユニット6を、例えば、図10(e)に示すように、商品10の側方(共振片2が商品10の側面に取り付けられている場合)に配置して商品10の識別を行うように構成してもよいし、図10(f)に示すように、商品10の下方(共振片2が商品10の下面に取り付けられている場合)に配置して商品10の識別を行うように構成してもよいし、さらに、商品10の上方(共振片2が商品10の上面に取り付けられている場合)に配置して商品10の識別を行うように構成してもよい。なお、このような自動仕分けは、商品に限らず、例えば宅配便や小包の自動仕分けなどにも同様に適用することができる。
【0039】
<適用例2>
製造工程管理に適用できる。図11に示すように、対象物1たる各種の製品(仕掛かり品)20は製造ライン21上を上流から下流に図の矢印方向に流れてくる。製造ライン21には、製造ロボット22a、22b、…がライン21に沿って配備され、各製造ロボット22a、22b、…の上流側には、各々の本実施例に係る自動識別装置Sが配備されている。製品20には、製品20の種類に応じた共振片2(2A、2B、…)が取り付けられている。そして、製品20が自動識別装置Sに位置されると、上述したように、その製品20の種類を識別し、その識別結果は、その自動識別装置Sに対応する製造ロボット22a、22bに与えられる。製造ロボット22a、22bは、製品20の種類に応じて、製品20の種類に応じた加工を行ったり、製品20の種類によっては加工を行わない。なお、この場合の自動識別装置Sも上記適用例1と同様に図10の各種の構成で実現できる。
【0040】
<適用例3>
回転寿司の料金の自動計算などに適用できる。図12に示すように、客Mの前には、寿司が盛られた皿30(この場合の対象物1)がコンベア31上を図の矢印方向に流れている。皿30の底には、寿司の料金に応じた共振片2(2A、2B、…)が取り付けられている。例えば、100円の寿司が盛られた皿30には共振片2Aが取り付けられ、200円の寿司が盛られた皿30には共振片2Bが取り付けられている。客Mは、所望の寿司が盛られた皿30を取り、寿司を食べたあとの空の皿30は、客Mの側方にそれぞれ配備された料金自動計算器32に置かれる。
【0041】
料金自動計算器32は、図13(図13(a)は料金自動計算器の平面図、同図(b)はその一部省略正面図、同図(c)は空皿収容部の側面図)に示すように、大きく分けて本体部33、本体部33の側方に付設された空皿収容部34とで構成されている。
【0042】
本体部33には、上記図10(c)の構成の識別ユニット6や演算部35などが内設され、その上面には空皿搬送機構36や料金表示部37、投光器38aと受光器38bとからなる透過型の光学センサなどが設けられている。
【0043】
空皿搬送機構36は、開閉駆動部36aが一対のレール36bに沿って水平移動自在に構成され、開閉駆動部36aに取り付けられた一対のアーム36cは、開閉駆動部36aによって開閉される。一対のアーム36cの先端部36dは空皿30が載置支持できるように構成されている。先端部36dに載置支持された空皿30は、開閉駆動部36aの水平移動によって識別ユニット6の送受信アンテナ3d、4aの上方と空皿収容部34に積み上げられた空皿30の上方との間で移動可能である。
【0044】
アーム36cの先端部36dが識別ユニット6の送受信アンテナ3d、4aの上方に位置されている状態で、客Mは空皿30をその先端部34dに載置する。アーム36cの先端部36dには図示しないマイクロスイッチなどが設けられ、空皿30が載置されたことを検出できるように構成されている。先端部36dに空皿30が載置されたことが検出されると、識別ユニット6は、上記実施例で説明したように、空皿30(底に取り付けられた共振片2)の種類を識別し、その結果を演算部35に与える。なお、アーム36cの先端部36dに載置支持された空皿30と送受信アンテナ3d、4aと間の本体部33の上面には開口部33aが設けられ、送信アンテナ3dから放射された電磁波MWはこの開口部33aを介して空皿30の底部に取り付けられた共振片2で変調され、開口部33aを経て受信アンテナ4aで受信される。また、アーム36cや本体部33の上面などは、識別動作の際の電磁波WMを乱さないように非磁性、電気絶縁性の材質で構成されている。
【0045】
演算部35ではその種類に対応する寿司の料金を加算し、料金表示部37に表示する。従って、客Mが寿司を食べその空皿30が料金自動計算器32に置かれるたびに、食べた寿司の料金が加算され、料金表示部37に表示されることになるので、客Mは現在の支払い料金を確認しながら寿司を食べることができる。そして、図示しない精算ボタンを押すことによって、図示しないプリンタによって精算伝票が印字出力され、客Mはその伝票を持ってレジで料金を支払う。
【0046】
上記空皿30の識別が終了すると、空皿搬送機構36はアーム36cの先端部36dに載置支持した空皿30を空皿収容部34に積み上げられた空皿30の上方に搬送する。そして、各アーム36cがゆっくり開かれ、先端部36dで載置支持した空皿30を、空皿収容部34に積み上げられた空皿30の上方に載置する。
【0047】
空皿収容部34は、昇降自在の支持板34a、支持板34a上に積み上げられた空皿30の倒れを防止する複数本(図では4本)の支持部材34bなどで構成されている。本体部33に取り付けられた光学センサは、支持板34a上に積み上げられた最上段の空皿30の高さを調整するためのもので、空皿搬送機構36によって新たな空皿30が積み上げられると、投光器38aからの検出光はその空皿30で遮光され、この遮光状態が解消されるまで支持板34aが降下し、投光器38aからの検出光が再び受光器38bで受光されると、支持板34aの降下を停止する。この状態の最上段の空皿30(新たに積み上げられた空皿30)の高さは、次の空皿30が空皿搬送機構36により識別ユニット6の上方から搬送されてくるときに、アーム36cや空皿30の底が、積み上げられた最上段の空皿30に干渉しない位置であり、そのような高さに最上段の空皿30の高さを調整できるように投光器38a、受光器38bは設けられている。
【0048】
また、上述したように空皿搬送機構36の各アーム36cがゆっくり開いて、新たな空皿30を、空皿収容部33に積み上げられた空皿30の上方に載置する動作の際、図13(d)に示すように、新たな空皿30と、積み上げられた空皿30の最上段の空皿30との間に落差DLが存在するので、各アーム36cが新たな空皿30を開放したとき、新たな空皿30は、落差DLだけ落下して最上段の空皿30の上方に載置されることになり、例えば、皿30が陶磁器などの壊れ物であると、空皿30が破損する恐れがある。そこで、上記各アーム36cの開き動作に同期して、支持板34aを約DLだけ上昇させて、既に積み上げられた空皿30で新たな空皿30を受け取りにいくように構成すれば皿30が破損するのを防止できる。このように空皿30を積み上げておくことにより、積み上げた空皿30によって精算金額を再確認することができ、精算金額について客Mとトラブルが生じても精算金額を積み上げた空皿30で再確認することができる。
【0049】
上記精算が終了すると、店員は積み上げられた空皿30を空皿収容部34の上方から取り出す。なお、支持部材34bが、図11(a)の矢印YJに示すように変位自在に構成されていれば、積み上げられた空皿30の取り出しが容易になる。
【0050】
このような適用例では、上記料金の自動精算に加えて、識別された空皿30の種類別の統計をとれば、売れ筋商品などを把握することもでき、さらに、精算金額を一括管理することにより、売上集計を行うことなども可能で、省人化が図れる。なお、この場合には、その利用形態から共振片2は皿30の底に取り付けられることになるが、このとき、共振片2が大型であれば、共振片2を皿30の底に取り付けられないが、本発明のようにコンパクトに構成された共振片2はその取り付けが可能でかさばらず、しかも、多品種の種類が識別でき、寿司の料金の多様化にも対応できる。
【0051】
<適用例4>
各種の料理が盛られた食器が並べられ、客が好みに応じた食器を取ってトレイに乗せていき、客が選択したトレイ上の料理の料金を精算する方式のレストランや社員食堂、学生食堂などにおける料金の自動精算処理などに適用できる。この場合、対象物1は料理が盛られた食器であり、各食器の底には、食器に盛られている料理の料金によって分類される共振片2(2A、2B、…)が取り付けられている。例えば、100円の料理が盛り付けられた食器の底には共振片2Aが取り付けられ、200円の料理が盛り付けられた食器の底には共振片2Bが取り付けられる。なお、この場合も、その利用形態から共振片2は食器の底に取り付けられることになるが、上記適用例3の場合と同様に、本発明のようにコンパクトに構成された共振片2はその取り付けが可能でかさばらない。
【0052】
また、この適用例では、図14に示すように、図10(c)、(d)に示す構成の識別ユニット6を複数個、2次元的に配置した識別機構7を用いてトレイ41上の各種の食器40の識別を行い料金の精算を行う。なお、図14(a)は精算台の概略構成を示す平面図、同図(b)は、そのA−A矢視断面図である。この識別機構7は精算台42に内設されている。精算台42の上面にはトレイ41を嵌入する開口42aが設けられ、開口42aの近傍にトレイ41が精算台42上に嵌入載置されたことを検出するためのセンサ43(例えば、マイクロスイッチや反射型の光学センサなど)も設けられている。センサ43によりトレイ41が精算台42上に嵌入載置されたことを検出すると、識別機構7の各識別ユニット6はトレイ41上の各種の食器40の識別動作を開始する。なお、トレイ41は非磁性、電気絶縁性の材質で構成されている。
【0053】
ところで、各識別ユニット6の識別範囲(送受信電磁波で共振片2の種類の識別が可能な範囲)は、送受信アンテナ3d、4aの外形や、送信部3の送信電力、受信部4の受信感度(受信感度は、電力増幅回路4bによる電力増幅や受信アンテナ4aの巻き数などに依存する)、送受信アンテナ3d、4aと共振片2のとの間の距離(図14(b)のhに相当)などによって決まる。各識別ユニット6によってトレイ41全面を漏れなく識別することが好ましいので、各識別ユニット6の識別範囲は、図15に示すように隣接する識別ユニット6の識別範囲(図では、識別範囲を点線で示している)が互いに重なるように設定することになる。従って、全識別ユニット6で同時に電磁波MWを送受信すると、隣接する識別ユニット6同士で、送受信される電磁波MWが干渉し、各識別ユニット6での受信電磁波に乱れが生じ、その乱れを共振片2による変化と誤認識することになり、正確な共振片2の識別が行えない。
【0054】
そこで、上記識別動作は、例えば、各識別ユニット6による電磁波MWの送受信の時間をずらせながら、識別ユニット6の識別動作を1個ずつ順次行ったり、次に説明するグループ分けによる識別動作を行う。グループ分けによる識別動作は、例えば、図16に示すように、識別機構7を構成する全識別ユニット6を互いに隣接する識別ユニット6が含まれないように(図16では、1個とびになるように)G1〜G4の4グループに分ける。そして、まず、G1の識別ユニット6で電磁波MWを送受信して識別動作を行い、G1の識別ユニット6の識別動作が終了すると、次にG2の識別ユニット6の識別動作、その後G3の識別ユニット6の識別動作、最後にG4の識別ユニット6の識別動作を行うというように、グループごとに時間をずらせて識別動作を行う。このとき、各グループG1〜G4を構成するそれぞれの識別ユニット6か所定距離隔てており、互いの識別範囲は重ならないので、相互干渉による受信電磁の乱れは問題ない。このようにグループ分けして識別動作を行えば、上記1個ずつ時間をずらせて識別動作を行うよりも、識別動作に要する時間を短縮することができる。
【0055】
全識別ユニット6での識別動作が終了すると、その結果がデータ処理部44に与えられ、データ処理部44は与えられたデータに基づき後述するようにトレイ41上の客が選択した各種の食器40(客が選択した料理)の料金の合計を算出し、例えば、プリンタ(図示せず)により精算伝票を出力印字する。客はその伝票を持ってレジで料金を支払う。また、IDカードなどで精算する方式の社員食堂などでは、客は精算台42にトレイ41を嵌入載置する前に、精算台42の近くのカード読み取り器(図示せず)にIDカードなどを挿入してIDを読み取らせ、データ処理部44では、算出した料金とそのIDをホストコンピュータ(図示せず)に伝送する。これにより、料金の給料自動引き落としや銀行自動引き落としなどで料金精算することができる。また、この場合でも、上記適用例3と同様に、識別された食器40の種類別の統計をとれば、売れ筋商品などを把握することもでき、さらに、精算金額を一括管理することにより、売上集計を行うことなども可能で省人化が図れる。
【0056】
次に、データ処理部44による料金計算について図17ないし図19を参照して説明する。図17ないし図19は、各識別ユニットと食器に取り付けられた共振片との位置関係を示す図である。ただし、各図では、各識別ユニットの位置を各識別ユニットの識別範囲SHで示している。
【0057】
食器40はトレイ41の上の任意の位置に載置されるので、各識別ユニット6、すなわち、各識別ユニット6の各識別範囲SHと食器40の取り付けられた共振片2とは様々な位置関係を取り得る。
【0058】
例えば、図17に示すような位置に共振片2が位置していた場合には、共振片2の存在は識別範囲SHの唯1個の識別ユニット6で検出されることになるので特に問題はない。
【0059】
しかしながら、図18(a)に示すような位置に共振片2が位置していた場合には、共振片2の存在は識別範囲SHを有する識別ユニット6と識別範囲SHを有する識別ユニット6とで検出されることになる。一方、図18(b)に示すような位置に共振片2が位置していた場合にも、共振片2の存在は識別範囲SHを有する識別ユニット6と識別範囲SHを有する識別ユニット6とで検出されることになるので、共振片2の存在を識別範囲SHを有する識別ユニット6と識別範囲SHを有する識別ユニット6とで検出した場合、図18(a)、(b)のいずれの状態であるかが判別できないので、共振片2が取り付けられた食器40の個数が特定できず、正確な料金計算が行えない。
【0060】
しかしながら、共振片2は食器40の底に取り付けられており、食器40が図18(c)の点線で示す外形を有する場合、トレイ41上に配置される食器40を接触させても、各食器40に取り付けられた各共振片2が隣接する識別ユニット6で同時に検出されない。そこで、食堂で用いられる食器40のうち、最小外形の食器40同士を接触させてトレイ41上に載置しても各食器40に取り付けられた各共振片2が隣接する識別ユニット6で同時に検出されないように各識別ユニット6の間隔を決めていれば、共振片2の存在を識別範囲SHを有する識別ユニット6と識別範囲SHを有する識別ユニット6とで検出した場合、図18(b)の状態でありえないので、図18(a)の状態であると判別することができる。
【0061】
また、例えば、図19(a)〜(c)に示すような位置に共振片2が位置していた場合には、いずれも共振片2の存在が識別範囲SH、SH、SHを有する互いに隣接する3個の識別ユニット6とで検出されることになり、さらに、例えば、図19(d)〜(g)に示すような位置に共振片2が位置していた場合には、いずれも共振片2の存在が識別範囲SH、SH、SH、SHを有する互いに隣接する4個の識別ユニット6とで検出されることになり、上述と同様にいずれの状態であるかを判別できないが、このような場合であっても、上述したように、食堂で用いられる食器40のうち、最小外形の食器40同士を接触させてトレイ41上に載置しても各食器40に取り付けられた各共振片2が隣接する識別ユニット6で同時に検出されないように各識別ユニット6の間隔を決めていれば、共振片2の存在を隣接する3個または4個の識別ユニット6で検出した場合、図19(b)、(c)または図19(e)〜(g)ではありえないので、図19(a)または図19(d)の状態であると判別することができる。
【0062】
共振片2が検出されなかった識別ユニット6からは共振片無しのデータがデータ処理部44に与えられ、共振片2が検出された識別ユニット6からは検出した共振片2の種類がデータ処理部44に与えられる。データ処理部44では、全識別ユニット6からの結果をマッピングして、トレイ41上の食器40の種類とその個数とを上記図17ないし図19を考慮して検出し、トレイ41上の各食器40の種類に応じた料金の加算を行う。例えば、図20に示す場合であれば、共振片2Aが2個、共振片2Bが1個、共振片2Cが2個あり、データ処理部44では、種類Aの食器40(100円の料理)が2個、種類Bの食器40(200円の料理)が1個、種類Cの食器40(300円の料理)が2個あることを検出し、合計料金を(100×2)+(200×1)+(300×2)=1000円を算出する。また、この場合であれば、食器40の種類のみならず、同じ種類の食器40の個数をも識別できるので、例えば、客がトレイ41に同じ料理を複数個乗せても正確な料金計算を行うことができる。
【0063】
なお、上記識別機構7を用いた適用例としては、例えば、宝石などの展示商品のセキュリティや商品の在庫管理、レンタルビデオやレンタルCDの貸出し、返却管理、図書館における本の貸出し、返却管理などに適用することができる。
【0064】
展示商品のセキュリティは、展示台の下に上記識別機構7を収納し、対象物1たる宝石などの展示商品に、展示商品の種類に応じた共振片2を取り付けて展示台の上に展示しておく。そして、これら展示品の種類と個数とを予め検出しておき、盗難などがあって展示台から商品が持ち出されると、予め調べておいた展示品の個数と、盗難後の展示品の個数とが一致しなくなるので、盗難があったことを検出できる。また、盗難にあった商品に取り付けられていた共振片2の種類により、どの種類の展示商品が盗難にあったかも検出することができる。
【0065】
商品の在庫管理では、上記セキュリティの場合と同様に、展示台の下に上記識別機構7を収納し、対象物1たる商品に、商品の種類に応じた共振片2を取り付けて展示台の上に展示しておき、これら商品の種類と個数とを予め検出しておく。そして、商品が売れて展示台から取り出されるたびに予め調べておいた商品の個数が減り、減った商品の種類を知ることができるので、どの種類の商品をどれだけ仕入れすればよいかなどを管理することができる。
【0066】
レンタルビデオやレンタルCDの貸出し、返却管理、図書館における本の貸出し、返却管理などでは、貸出し台や返却台の下に上記識別機構7を収納し、対象物1たる貸出し品(レンタルビデオやレンタルCD、本など)に、貸出し品の種類(例えば、貸出し料金や本のジャンルなど)に応じた共振片2を取り付けておく。被貸与者は貸出し品を貸出し台の上に並べることにより、例えば、貸出し料金の計算や、貸し出される本の種類などとその個数を瞬時に計算、検出することができる。また、返却の際にも、同様に被貸与者は貸出し品を返却台の上に並べるとにより、返却状態を瞬時に検出することができる。
【0067】
なお、上記適用例はその一例を示したものであり、本発明はその他種々適用することが可能である。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、共振片を構成する複数個の共振子の共振周波数の組合わせで対象物の種類を識別するように構成したので、一定帯域幅の周波数の送受信に対する対象物の識別可能な種類数を従来装置よりも多くすることができる。
【0069】
また、本発明の共振片は、共振子の個数に関係なく、励磁コイルを1個しか設けていないので、共振片をコンパクトに構成することができる。
【0070】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1の複数種類の共振片の中に、1個の励磁コイルと1個の共振子とが電気的に接続された共振片を含めたので、一定帯域幅の周波数の電磁波の送受信に対する識別可能な対象物の種類数をより多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動識別装置の構成を示す図である。
【図2】各種類の対象物と共振片との関係を示す図である。
【図3】実施例装置の動作を説明するための図である。
【図4】各種類の受信電磁波の変化する周波数の組合わせを示す図である。
【図5】共振片の変形例の構成を示す回路図である。
【図6】変形例に係る共振片における受信電磁波の変化する周波数の組合わせを示す図である。
【図7】実施例装置の変形例の概略構成を示すブロック図である。
【図8】変形例の送信部の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の適用例1を説明するための図である。
【図10】適用例1に適用する際の本発明の構成を説明するための図である。
【図11】本発明の適用例2を説明するための図である。
【図12】本発明の適用例3を説明するための図である。
【図13】適用例3の料金自動計算器の構成を示す図である。
【図14】本発明の適用例4の精算台の構成を示す図である。
【図15】識別機構の各識別ユニットの識別範囲を示す図である。
【図16】グループ分けによる識別動作を説明するための図である。
【図17】適用例4の料金計算を説明するための図である。
【図18】同じく、適用例4の料金計算を説明するための図である。
【図19】同じく、適用例4の料金計算を説明するための図である。
【図20】適用例4の料金計算の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 … 対象物
2 … 共振片
2a … 励磁コイル
2b(2b、2b) … 共振子
b1、fb2 … 共振子の共振周波数
3 … 送信部
4 … 受信部
5 … 識別部
A〜F … 対象物の種類
S … 自動識別装置

Claims (2)

  1. 対象物に取り付けられ、かつ、1個の励磁コイルと複数個の共振子とが電気的に接続され、前記各共振子の共振周波数の組合わせを前記対象物の種類ごとに違えた複数種類の共振片と、
    前記各種類の共振片に備えられる各共振子の共振周波数を全て含む所定帯域幅の周波数で掃引される電磁波を放射する送信手段と、
    前記送信手段から放射された電磁波を受信する受信手段と、
    前記送信手段と受信手段との間で送受信される電磁波内に前記共振片が位置したことによって起こる、前記受信手段での受信電磁波の変化する周波数の組合わせを識別し、それに基づき対象物の種類を識別する識別手段と、を備えた自動識別装置において、
    前記送信手段と、前記受信手段と、前記識別手段とで構成する識別ユニットと、
    前記識別ユニットを複数個、2次元的に配置した識別機構と、
    前記識別機構を構成する全識別ユニットをお互いに隣接する識別ユニットが含まれないようにグループに分け、グループごとに時間をずらせて電磁波の送受信をして識別動作を行い、
    各対象物に取付けられた各共振片が隣接する識別ユニットで同時に検出されないように各識別ユニットの間隔を決めており、
    全識別ユニットから共振片が検出された識別ユニットの対象物の種類と個数を検出するデータ処理部と、
    を備え複数種類に分類された対象物の種類と数とを非接触で自動識別することを特徴とする自動識別装置。
  2. 請求項1に記載の自動識別装置において、1個の励磁コイルと1個の共振子とが電気的に接続された共振片と、1個の励磁コイルと複数個の共振子とが電気的に接続された共振片とで複数種類の共振片を構成することを特徴とする自動識別装置。
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