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JP3615475B2 - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素冷媒を動作冷媒として用いたヒートポンプ給湯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、給湯機としてはガスや電気ヒータを熱源とするものが大勢的であるが、近年におけるエネルギ−利用の効率化の要望やガスや電気ヒータによる火災等の防止の観点からヒートポンプ給湯機が提案されている。
【0003】
このようなヒートポンプ給湯機は図3に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機111、該圧縮機111からの冷媒と給湯用の水とを熱交換させる凝縮器112、冷媒を膨張させる膨張弁113、冷媒と機外空気とを熱交換させる蒸発器114、該蒸発器114からの冷媒の気液分離を行ってガス冷媒が圧縮機111に戻るようにするアキュムレータ115等を有している。以下、この凝縮器112を放熱器112という。
【0004】
そして、冷媒は圧縮機111で圧縮されて高温高圧になって放熱器112に供給される。放熱器112には給湯用の水が循環しているので、冷媒の熱はこの水を加熱するために用いられる。
【0005】
水を加熱した冷媒は膨張弁113で絞られ、蒸発器114で機外空気と熱交換して圧縮機111に戻る。
【0006】
このとき冷媒は機外空気から熱を汲上げて蒸発するので、電気ヒータ等による給湯機に比べエネルギー効率が高くなっている。
【0007】
このような冷媒回路には従来R−22等の冷媒が用いられてきたが、かかる冷媒には塩素が含まれオゾン層を破壊する原因となることが判明し規制対象となり、これに代わる冷媒が望まれている。
【0008】
そこで、自然冷媒であるため環境破壊等の恐れが無い二酸化炭素冷媒の利用が検討されている。
【0009】
しかし、二酸化炭素冷媒は従来用いられていたR−22等の冷媒に比べ動作圧力及び温度が高くなるため、従来構成の圧縮機111等をそのまま用いるとサイクル効率が低下すると共に、圧縮器の容器内圧力が高くなりすぎて耐圧特性が不足したり、圧縮機に用いられている潤滑油の劣化やモータの巻線の絶縁劣化が起る問題が生じる。
【0010】
かかる問題に対処すべく、図4に示すような2つの圧縮要素を備える圧縮機111を用いたヒートポンプ給湯機が提案されている。
【0011】
図4において、圧縮機111は、前段圧縮要素111a及び後段圧縮要素111bから構成され、その間に中間熱交換器116が設けられている。
【0012】
このように圧縮機111を2段構成にすることにより、各圧縮要素における吸気側と吐出側との差圧が小さくでき、圧縮効率が向上し、また中間熱交換器116により前段圧縮要素111aからの冷媒の熱を機外空気や他の冷却材に熱放出することにより、圧縮機111の容器内に吐出される冷媒の温度が下げることができて潤滑油等の劣化を防止することが可能になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成の場合には、中間熱交換器116で外気等に冷媒の熱が放熱されるので、その分だけ熱の無駄が発生する問題がある。
【0014】
また、中間熱交換器116で一律な放熱を行う場合、給湯機では少なくとも給湯温度より高い温度(例えば、〜10℃)の冷媒が後段圧縮要素111bから吐出される必要があるので、圧縮比が低く吸込み過熱度も小さい夏季に中間熱交換器116で放出される熱が多過ぎると吐出温度が低下してしまい、所望温度の湯を給湯できない場合が生じる問題がある。
【0015】
この場合、無理に圧縮比を上げて圧縮機からの吐出温度を高くしようとするとサイクル効率が低下してしまう。
【0016】
一方、冬季には逆に圧縮比が高く吸込み過熱度も大きいので、上述したように中間冷却を行わないと後段圧縮要素111bからの吐出温度が高すぎて、熱力学的な損失が増大するばかりではなく潤滑油の劣化等の問題が生じる。
【0017】
そこで、本発明は、蒸発器における冷媒の蒸発温度や前段圧縮要素に吸気される冷媒の過熱度等を考慮して中間熱交換器での放熱量を調整可能にすると共に、当該中間熱交換器での廃熱を回収できるようにしてサイクル効率を向上させたヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、冷媒を圧縮する前段圧縮要素及び後段圧縮要素を備えた圧縮機と、給湯用の水が給水されて冷媒と熱交換させる第3放熱器と、該第3放熱器からの水を流量の大きい主流とその残りの副流とに所定流量比で分流させる分流量制御弁と、主流をなす水と後段圧縮要素からの冷媒とを熱交換させ、当該熱交換した冷媒が第3放熱器に流入するように接続された第2放熱器と、副流をなす水と前段圧縮要素からの冷媒とを熱交換させ、当該水が第2放熱器からの水と合流して給湯され、熱交換した冷媒は後段圧縮要素に流入するように接続された第1放熱器と、第3放熱器からの冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁で膨張した冷媒を機外空気と熱交換させる蒸発器とを有して、圧縮機に供給される冷媒の状態に応じて第1放熱器での放熱量を調整可能にして後段圧縮機から吐出される冷媒の温度が常に所望の温度範囲になるようにすると共に当該第1放熱器での廃熱を回収できるようにして、サイクル効率の向上維持を図るようにしたことを特徴とする。
【0019】
請求項2にかかる発明は、第3放熱器から膨張弁に供給される冷媒と、蒸発器から前段圧縮要素に戻る冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を設けて、蒸発器で外気から汲上げる熱量を増大させると共に、圧縮機に戻る冷媒を加熱することにより熱回収が行えるようにしたことを特徴とする。
【0020】
請求項3にかかる発明は、分流制御弁の開弁度を蒸発器における冷媒の蒸発温度や前段圧縮要素に吸気される冷媒の過熱度等に応じて制御するようにして、後段圧縮要素から吐出される冷媒の温度が常に最適な温度になるようにしたことを特徴とする。
【0021】
請求項4にかかる発明は、冷媒として二酸化炭素冷媒を用いて、自然環境に優しい装置にすると共に、高温給湯が可能にしたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図を参照して説明する。図1は、本発明にかかるヒートポンプ給湯機の冷媒回路図である。
【0023】
なお、本発明にかかるヒートポンプ給湯機では、冷媒として自然冷媒である二酸化炭素冷媒を用いる場合について説明する。
【0024】
ヒートポンプ給湯機は、冷媒を圧縮する圧縮機11、冷媒と水と熱交換させる放熱器12、冷媒を膨張させる膨張弁14、冷媒と外気等とを熱交換させる蒸発器15、冷媒の気液分離を行うアキュムレータ16、放熱器12から膨張弁14に向う冷媒により圧縮機11に戻る冷媒を加熱する内部熱交換器13等を有している。
【0025】
圧縮機11は前段圧縮要素11a及び後段圧縮要素11bから構成され、また放熱器12は第1放熱器12a、第2放熱器12b及び第3放熱器12cにより構成されて、各放熱器12には冷媒と給湯用の水が循環してこれらの間で熱交換するようになっている。
【0026】
即ち、冷媒は前段圧縮要素11a、第1放熱器12a、後段圧縮要素11b、第2放熱器12b、第3放熱器12cを順次流動し、給湯用の水は第3放熱器12cに供給され、そこから第2放熱器12bと第1放熱器12aとに所定の流量比で分流し、第2放熱器12bと第1放熱器12aとで加熱された後は合流して給湯用に取出されるようになっている。
【0027】
このように第3放熱器12cからの水を第1放熱器12aと第2放熱器12bとに所定の流量比で分流させるために、第3放熱器12cと第1放熱器12aとを接続する水配管には分流量制御弁17が設けられている。
【0028】
この分流量制御弁17の開弁度は、第1放熱器12aに流入する水量(副流と記載する)は第2放熱器12bに流入する水量(主流と記載する)より少なくし、サイクル効率を勘案すると副流は全水量の半分以下に設定することが好ましい。
【0029】
なお、これまでの説明から解るように、冷媒と水とは各放熱器12で対向流をなすように構成されている。このように対向流で循環させることにより、放熱器12での循環方向に沿った冷媒の温度勾配と給湯用の水の温度勾配とが逆の温度勾配になって効率的に熱交換ができるようになっている。
【0030】
このような構成のヒートポンプ給湯機は、図2に示すような温度(T)−エンタルピー(h)線図に従い動作する。
【0031】
前段圧縮要素11aで圧縮された冷媒(a→b)は、第1放熱器12aに供給されて、当該第1放熱器12aで給湯用の水に放熱し(b→c)、水は冷媒からの熱により加熱されて温度上昇する(A→B)。
【0032】
第1放熱器12aに循環する水の量は、分流量制御弁17の開弁度を設定することにより調整され、当該分流量制御弁17の開弁度は、蒸発器15における冷媒の蒸発温度や前段圧縮要素11aに吸気される冷媒の過熱度等に応じて設定される。
【0033】
従って、外気温等の運転条件に依存することなく常に最適な吐出温度で運転することが可能になってサイクル効率が向上する。
【0034】
また、前段圧縮要素11aからの冷媒は第1放熱器12aで放熱するが、その熱は給湯用の水の加熱に用いられるので(熱回収される)、従来のように外気等への廃熱と言った無駄が省けて、この意味からもサイクル効率の向上が図られている。
【0035】
後段圧縮要素11bから吐出される冷媒の温度は、例えば夏季のように過熱度が小さい場合等には開弁度を絞り、当該第1放熱器12aに供給される水量を少なくして前段圧縮要素11aからの冷媒が失う熱量を押えることにより所望値に調整する。また、過熱度が大きくなった場合等には、上記手順と逆の手順が行われる。
【0036】
このようにして、第1放熱器12aからの冷媒は後段圧縮要素11bで更に圧縮されて(c→d)、第2放熱器12bに供給され、当該第2放熱器12bで分流された給湯用の水を加熱し(D→E)、第3放熱器12cへと循環する。そして、第3放熱器12cで水を加熱し(C→D)て内部熱交換器に循環する。
【0037】
この内部熱交換器には、アキュムレータから圧縮機11に戻る冷媒が流動しているので、第3放熱器12cからの冷媒は当該圧縮機11に戻る冷媒を加熱して温度が下がる(e)。
【0038】
そして、膨張弁14で膨張し(e→f→g)、蒸発器で機外空気と熱交換して蒸発(h→i)した後、アキュムレータで気液分離が行われてガス冷媒が前段圧縮要素11aに戻る。
【0039】
内部熱交換器で第3放熱器12cからの冷媒が熱を失うことにより、蒸発器15で効率的に熱の汲上を行うことが可能になると共に、蒸発器から圧縮機11に戻る冷媒が加熱される(熱回収される)ので圧縮機11に戻る冷媒の温度が上昇して(j→a)、サイクル効率を高めることができるようになっている。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1にかかる発明によれば、冷媒を圧縮する前段圧縮要素及び後段圧縮要素を備えた圧縮機と、給湯用の水が給水されて冷媒と熱交換させる第3放熱器と、該第3放熱器からの水を流量の大きい主流とその残りの副流とに所定流量比で分流させる分流量制御弁と、主流をなす水と後段圧縮要素からの冷媒とを熱交換させ、当該熱交換した冷媒が第3放熱器に流入するように接続された第2放熱器と、副流をなす水と前段圧縮要素からの冷媒とを熱交換させ、当該水が第2放熱器からの水と合流して給湯され、熱交換した冷媒は後段圧縮要素に流入するように接続された第1放熱器と、第3放熱器からの冷媒を膨張させる膨張弁と、該膨張弁で膨張した冷媒を機外空気と熱交換させる蒸発器とを設けて圧縮機に供給される冷媒の状態に応じて第1放熱器での放熱量を調整可能にしたので、後段圧縮機から吐出される冷媒の温度が常に所望の温度範囲になるようにできると共に当該第1放熱器での廃熱を回収できるようになり、サイクル効率の向上維持が図れる。
【0041】
請求項2にかかる発明によれば、第3放熱器から膨張弁に供給される冷媒と、蒸発器から前段圧縮要素に戻る冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を設けて、蒸発器で外気から汲上げる熱量を増大させると共に、圧縮機に戻る冷媒を加熱することにより熱回収が行えるようになり、サイクル効率の向上が図れる。
【0042】
請求項3にかかる発明によれば、分流制御弁の開弁度を蒸発器における冷媒の蒸発温度や前段圧縮要素に吸気される冷媒の過熱度等に応じて制御するようにしたので、後段圧縮要素から吐出される冷媒の温度が常に最適な温度になる。
【0043】
請求項4にかかる発明によれば、冷媒として二酸化炭素冷媒を用いたので自然環境に優しい装置にすると共に、高温給湯が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明に適用されるヒートポンプ給湯機の概略構成図である。
【図2】図1のヒートポンプ給湯機の温度−エンタルピー線図である。
【図3】従来の技術の説明に適用される1つの圧縮要素を持つ圧縮機を備えたヒートポンプ給湯機の概略構成図である。
【図4】従来の技術の説明に適用される2つの圧縮要素を持つ圧縮機を備えたヒートポンプ給湯機の概略構成図である。
【符号の説明】
11 圧縮機
11a 前段圧縮要素
11b 後段圧縮要素
12 放熱器
12a 第1放熱器
12b 第2放熱器
12c 第3放熱器
13 内部熱交換器
14 膨張弁
15 蒸発器
16 アキュムレータ
17 分流量制御弁

Claims (4)

  1. 冷媒を圧縮する前段圧縮要素及び該前段圧縮要素からの冷媒を更に圧縮する後段圧縮要素を備えた圧縮機と、
    給湯用の水が給水されて冷媒と熱交換させる第3放熱器と、
    該第3放熱器からの水を流量の大きい主流とその残りの副流とに所定流量比で分流させる分流量制御弁と、
    前記主流をなす水と後段圧縮要素からの冷媒とを熱交換させ、当該熱交換した冷媒が前記第3放熱器に流入するように接続された第2放熱器と、
    前記副流をなす水と前段圧縮要素からの冷媒とを熱交換させ、当該水が前記第2放熱器からの水と合流して給湯され、熱交換した冷媒は後段圧縮要素に流入するように接続された第1放熱器と、
    前記第3放熱器からの冷媒を膨張させる膨張弁と、
    該膨張弁で膨張した冷媒を機外空気と熱交換させる蒸発器とを有することを特徴とするヒートポンプ給湯機。
  2. 前記第3放熱器から膨張弁に供給される冷媒と、蒸発器から前段圧縮要素に戻る冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を有することを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ給湯機。
  3. 前記分流制御弁の開弁度が、前記蒸発器における蒸発温度及び前記前段圧縮要素に吸気される冷媒の過熱度に応じて制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のヒートポンプ給湯機。
  4. 前記冷媒が二酸化炭素冷媒であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1記載のヒートポンプ給湯機。
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