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JP3613989B2 - 車両のエンジン停止制御装置 - Google Patents

車両のエンジン停止制御装置 Download PDF

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JP3613989B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止すると共に、所定の再始動条件が成立したときに該自動停止したエンジンを再始動する車両であって、前記エンジンの自動停止の際に、電動式ポンプを駆動して自動変速機に対する作動流体の供給を継続して行うようにした車両のエンジン停止制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、走行中において車両が停止し、且つ所定の停止条件が成立した場合に、エンジンを自動的に停止させ、燃料の節約、排気エミッションの低減、あるいは騒音の低減等を図るように構成した車両が提案され、すでに実用化されている(例えば特開平8−14076号公報)。
【0003】
このような車両にあっては、運転者がアクセルペダルを踏むなど走行の意思を示して所定の再始動条件が成立したときには、直ちにエンジンを再始動させる必要がある。
【0004】
ところが、例えば自動変速機が油圧式の自動変速機であった場合には、エンジンが停止すると該エンジンと連結されているオイルポンプも停止してしまうため、例えば、自動変速機の前進クラッチ(所定のクラッチ)に供給されているオイルも油路から抜け、油圧が低下してしまう。そのため、エンジンが再始動されるときには、当該前進走行時に係合されるべき前進クラッチもその係合状態が解かれてしまった状態となってしまうことになる。
【0005】
この場合、エンジンが再始動された時に、この前進クラッチが速やかに係合されないと、いわばニュートラルの状態のままアクセルペダルが組み込まれることになり、エンジンが吹き上がった状態で前進クラッチが係合して係合ショックが発生する可能性がある。
【0006】
そのため、このような状態が発生しないように、特開平9−39613号公報では、エンジンを完全に停止させてしまうのではなく、該エンジンの燃料の供給のみを停止し、モータジェネレータを駆動させて、該エンジンをほぼアイドリング回転速度に保持し、オイルポンプが停止しないように配慮している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンの自動停止時にモータによってポンプを駆動するものでは、何らかの事情でモータが駆動できないような場合に、エンジンの自動停止がそのまま実行されてしまうと、エンジン再始動時の係合ショックの問題が解消されないまま残ってしまう。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮し、運転者に無用な係合ショックを感じさせないようにした車両のエンジン停止制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、エンジンによって駆動されることで作動流体を使用する装置に作動流体を供給する機械式ポンプと、電動モータによって駆動されることで自動変速機に作動流体を供給する電動式ポンプとを備えた車両であって、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止すると共に、該エンジン停止時に前記電動式ポンプを駆動して自動変速機に作動流体を供給し、所定の再始動条件が成立したときに前記自動停止したエンジンを再始動する車両のエンジン停止制御装置において、前記電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段と、前記作動条件を満足していないと判断されたとき、前記所定の停止条件の成立によるエンジンの自動停止制御を禁止する手段とを備え、前記電動式ポンプの作動条件の中に、該電動式ポンプがフェイルしていないという条件が含まれていることにより、上記課題を解決したものである。また、請求項2の発明は、エンジンによって駆動されることで作動流体を使用する装置に作動流体を供給する機械式ポンプと、電動モータによって駆動されることで自動変速機に作動流体を供給する電動式ポンプとを備えた車両であって、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止すると共に、該エンジン停止時に前記電動式ポンプを駆動して自動変速機に作動流体を供給し、所定の再始動条件が成立したときに前記自動停止したエンジンを再始動する車両のエンジン停止制御装置において、前記電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段と、前記作動条件を満足していないと判断されたとき、前記所定の停止条件の成立によるエンジンの自動停止制御を禁止する手段とを備え、前記作動条件の中に、前記電動モータの駆動系がフェイルしていないという条件が含まれていることにより、上記課題を解決したものである。さらに、請求項3の発明は、エンジンによって駆動されることで作動流体を使用する装置に作動流体を供給する機械式ポンプと、電動モータによって駆動されることで自動変速機に作動流体を供給する電動式ポンプとを備えた車両であって、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止すると共に、該エンジン停止時に前記電動式ポンプを駆動して自動変速機に作動流体を供給し、所定の再始動条件が成立したときに前記自動停止したエンジンを再始動する車両のエンジン停止制御装置において、前記電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段と、前記作動条件を満足していないと判断されたとき、前記所定の停止条件の成立によるエンジンの自動停止制御を禁止する手段とを備え、前記作動条件の中に、電動式ポンプがフェイルしていず、電動式ポンプを駆動するための車載バッテリの蓄電量が所定値以上あり、且つ、前記電動モータがフェイルしていないという条件が含まれていることにより、上記課題を解決したものである。
【0010】
この発明では、エンジンの自動停止時に、機械式ポンプに代わって自動変速機に作動流体を供給し続けるはずの電動式ポンプが現状において、あるいは近い将来において作動不能と判断されたとき、あるいは作動すべきでないと判断されたとき(即ち、作動条件を満足しないと判断されたとき)には、最初からエンジンの自動停止を行わないようにしている。従って、エンジン停止後の再始動時の係合ショックの問題もはじめから存在しないことになり、無用な係合ショックを運転者に感じさせずにすむ。
【0011】
なお、上記の表現では、エンジンの停止条件と電動式ポンプの作動条件を並べておいているが、エンジンの停止条件の中に、電動式ポンプの作動条件を満足する、という項目を予め含めておいても同じである。その場合、その他の停止条件に加えて電動式ポンプの作動条件を全て満足した場合にのみエンジンの自動停止を許可し、一つでも条件を満足しない場合はエンジンの自動停止を禁止するようにすればよい。
【0012】
また、電動式ポンプの作動条件としては、電動式ポンプがフェイルしていないこと、電動式ポンプを駆動するための車載バッテリの蓄電量が所定値以上あること、電動式ポンプを駆動する電動モータの駆動系がフェイルしていないこと、等を例に上げることができ、最低そのうちの一つを作動条件として設定するのが望ましい。できれば、安全のために、それら全部(AND条件)を作動条件として設定するのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
この実施形態では、図2に示されるような駆動システムにおいて、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させると共に、所定の再始動条件が成立したときにエンジンを再始動させるようにしている。
【0015】
図2は実施形態のエンジン自動停止制御装置を含む車両の駆動システムの概略構成図である。エンジン(E/G)1のクランク軸1aは、自動変速機3の入力軸3aにクラッチ2を介して連結されている。また、自動変速機3の入力軸3aには、クラッチ4、チェーン3b、及び減速機5を介して、モータ及び発電機として機能するモータジェネレータ(M/G)6が連結されている。モータジェネレータ6は、エンジン1を自動停止した状態から復帰させる際に、スタータに代わってエンジン1をクイック始動するためのものであると共に、充電時やエネルギ回生時に発電を行うためのものである。
【0016】
減速機5は、遊星歯車式で、サンギア7、キャリア8、リングギア9を含み、ブレーキ10、ワンウェイクラッチ11を介して、モータジェネレータ6及びクラッチ2、4の間に組込まれている。
【0017】
自動変速機3には、該自動変速機3に対してオイル(作動流体)を供給する機械式オイルポンプ(MO)12が内蔵されており、エンジン1の動力が入力軸3aに伝達されることで機械式オイルポンプ12が駆動されるようになっている。本システムでは、この機械式オイルポンプ12とは別に、同じく自動変速機3に対してオイル(作動流体)を供給するための電動式オイルポンプ(EO)15が設けられている。この電動式オイルポンプ15は、モータジェネレータ6の連結軸6aにクラッチ16を介して連結され、モータジェネレータ6の動力により駆動されるようになっている。機械式オイルポンプ12及び電動式オイルポンプ15の吐出するオイルは、自動変速機3の油圧制御装置20に供給される。
【0018】
自動変速機3内には、走行時に係合されるクラッチやブレーキ(図示省略)が設けられており、油圧制御装置20は、これらのクラッチやブレーキに制御油圧を供給することで、所定の変速制御を実行する。油圧制御装置20には、自動変速機3に作動流体を供給する切換弁(後述)が設けられている。
【0019】
また、図2において、符号31はモータジェネレータ6に電気的に接続されたインバータである。このインバータ31は、スイッチングにより電力源であるバッテリ32からモータジェネレータ6への電気エネルギの供給を可変にして、モータジェネレータ6の回転速度を可変にする。また、モータジェネレータ6からバッテリ32への電気エネルギの充電を行うように切り換える機能を果たす。また、符号33はクラッチ2、4の断続の制御及びインバータ31のスイッチング制御等を行うためのコントローラである。
【0020】
コントローラ33には、エンジンの自動停止走行モード(エコランモード)のスイッチ(図示略)の信号、シフトポジションセンサ(図示略)の信号、エアコンスイッチ51の信号等の自動停止制御を実施する上で必要な各種の信号が入力されている。図中の矢印線は各信号線を示している。また、このコントロール33は、エンジン及び自動変速機等をコントロールするECU(電子制御装置)50とリンクしている。
【0021】
なお、本図では図示しないが、コントローラ33の指令により、モータジェネレータ6によってエアコンシステムのコンプレッサを駆動させることができるようになっている。また、ヘッドランプやデフォッガ、その他の補機類を制御できるようになっている。
【0022】
次に油圧制御装置20に含まれる切換弁とその接続関係について図3を参照しながら説明する。
【0023】
図中60で示す切換弁は、バルブボディ61内を軸方向にスライドするスプール62を備えている。スプール62は、軸方向一端側(図中右端側)に配したスプリング63によって軸方向他端側(左端側)に付勢されている。スプール62の他端側にはパイロット室64が設けられており、パイロット室64に油圧が導入されない状態のとき、スプール62は他端側の第2の位置(図中上側に示すスプール位置)に位置する。また、パイロット室64に所定値以上の油圧が導入された状態のとき、スプール62はスプリング63に抗して一端側の第1の位置(図中下側に示すスプール位置)に位置する。
【0024】
切換弁60には、前記パイロット室64につながる第1ポート71と、それ以外の第2ポート72、第3ポート73、第4ポート74、第5ポート75が設けられている。第1ポート71には、機械式オイルポンプ12の吐出流路91が、第1のプライマリレギュレータバルブ81並びにオリフィス83を介して接続されている。第2ポート72には、機械式オイルポンプ12の吐出流路91が、第1のプライマリレギュレータバルブ81を介して接続されている。
【0025】
また、第3ポート73には、セカンダリレギュレータバルブ86を備えた出力ライン93が接続されている。この出力ライン93の途中には、オリフィス84を介してアキュムレータ85が接続されている。
【0026】
また、第4ポート74には、電動式オイルポンプ15の吐出流路92が、第2のプライマリレギュレータバルブ82を介して接続されている。さらに第5ポート75はリザーバ78に接続されている。
【0027】
以上の接続により、切換弁60は、機械式オイルポンプ12が作動していないとき、あるいは、作動していても所定値以上の圧を発生していないとき、第2の位置に切り換わる。また、機械式オイルポンプ12が作動して所定値以上の圧を発生しているとき、第2の位置から第1の位置に切り換わる。
【0028】
そして、切換弁60は、第1の位置に切り換わったときには、第3のポート73を第2のポート72に連通させると共に、第4のポート74を第5のポート75に連通させることで、機械式オイルポンプ12の吐出オイルを出力ライン93に導くと共に、電動式オイルポンプ15の吐出オイルを、そのままリザーバ78に戻す。また、切換弁60は、第2の位置に切り換わったときには、第3のポート73を第4のポート72に連通させることで、電動式オイルポンプ15の吐出オイルを出力ライン93に導く。
【0029】
従って、機械式オイルポンプ12の作動状態によって自動的に、機械式オイルポンプ12の油圧が使える状況の場合には機械式オイルポンプ12の吐出するオイルを自動変速機に供給し、機械式オイルポンプ12の油圧が使えない(あるいは使うべきでない)状況の場合には電動式オイルポンプ15の吐出するオイルを自動変速機に供給することができる。
【0030】
なお、アキュムレータ85は、切換弁60が切り換わったときに、第3ポート73からの出力圧が一時的にダウンするのを防ぐためのダンパ機能を果たすものであり、図4に示すように、このアキュムレータ85の調圧範囲の途中で、切換弁60が切り換わるように設定されている。
【0031】
次に上記駆動システム全体の動作を、図2、図3を参照しながら説明する。
【0032】
エンジン1が作動しているとき、クラッチ2、4は係合されており、減速機5を介してモータジェネレータ6は、エンジン動力によって駆動されている。このとき、機械式オイルポンプ12がエンジン1の動力によって駆動されるので、該機械式オイルポンプ12の汲み上げたオイルが、プライマリレギュレータバルブ81で調圧されて、切換弁60の第1のポートにオリフィス83を介して導入される。ここで、このオイルの圧力があるかないかにより、切換弁60のスプール62が第1の位置と第2の位置のいずれかに切り換えられる。
【0033】
パイロット室64に導入される圧力が所定値以上(エンジン回転速度Ne=大のときがそれに相当)のとき、切換弁60は第1の位置に切り換えられる。それにより、第2ポート72、第3ポート73を介して、機械式オイルポンプ12の吐出するオイルが、プライマリレギュレータバルブ81及びセカンダリレギュレータバルブ86で制御圧に調節されて自動変速機3に供給される。また、このとき、モータジェネレータ6が回転することにより、クラッチ16が係合している場合は、電動式ポンプ15が駆動されることになるが、電動式オイルポンプ15の吐出オイルは、第4ポート74、第5ポート75を経由してそのままリザーバ78に戻るので、モータジェネレータ6の負荷が軽減され、結果的にモータジェネレータ6を回転させるエンジン1の負荷が軽減される。なお、クラッチ16が解放している場合は、電動式オイルポンプ15は駆動されないので、モータジェネレータ6の負荷は更に軽減される。
【0034】
一方、自動停止制御によりエンジン1が停止したとき、あるいは、エンジン回転速度が所定回転速度以下のときには、クラッチ2が解放される。このとき、機械式オイルポンプ12の作動もほぼ停止状態になるので、その代わりに、モータジェネレータ6をバッテリ32で駆動させ、クラッチ16を介して電動式オイルポンプ15を作動させる。このとき、パイロット室64に導入される圧力が所定値未満(Ne=0またはNe=小のときに相当)となるので、切換弁60が自動的に第2の位置に切り換えられる。そして、それにより、第4ポート74、第3ポート73を介して、電動式オイルポンプ15の吐出するオイルが、プライマリレギュレータバルブ82及びセカンダリレギュレータバルブ86で制御圧に調節されて自動変速機3に供給される。
【0035】
このように、エンジン1が作動していないときであっても、モータジェネレータ6によって駆動される電動式オイルポンプ15により、自動変速機3に対して圧油を常時供給することができる。従って、エンジン停止制御を行った場合の自動変速機3からの油圧の抜けの問題を解消することができる。また、電動式オイルポンプ15を駆動するときに、クラッチ2を解放することで、エンジン1を回転させないので、エンジン1を敢えて回さない分だけモータジェネレータ6の負荷を軽減することができて、バッテリ32の電力消費を減らすことができる。
【0036】
また、エンジン停止状態から、モータジェネレータ6でエンジン1をクイック始動する場合には、クラッチ2を係合、(ワンウェイクラッチ11を解放)、ブレーキ10を係合させることで、モータジェネレータ6の発生するトルクをエンジン1のクランク軸1aに伝達することができる。
【0037】
また、エネルギ回生時には、クラッチ4(及びワンウェイクラッチ11)を共に係合させる。これにより、車輪の運動エネルギによりモータジェネレータ6を回すことができる。しかも、このときにクラッチ2を解放、クラッチ4を係合すれば、自動変速機3の下流側にある車輪の運動エネルギを、エンジン1側に回らせずに、全てモータジェネレータ6側に回すことができるので、モータジェネレータ6によるエネルギ回収能率を一層高めることができる。
【0038】
次に、コントローラ33によって実行されるエンジンの自動停止制御の内容を説明する。
【0039】
コントローラ33は、エコランモード信号がオンとなった状態で、所定のエンジン停止条件が成立すると、エンジン1に燃料の供給をカットする信号(図2ではその出力信号線は省略されている)を出力し、エンジンを自動停止させる。このときのエンジンの自動停止の開始の仕方に本発明が適用されており、その内容の詳細について述べる。なお、エコランモード信号は、車室内に設けられたエコランスイッチを運転者が押すことによってコントローラ33に入力される。
【0040】
エコランモードでのエンジンの自動停止条件は、
(a)フットブレーキがON(踏み込み状態)
(b)車速が零(車両停止中)
(c)アクセルがOFF
の3つであり、これらが全部成立するときエンジンの自動停止が許可される。但し、本発明では、エンジン停止時には電動式オイルポンプ15を駆動する必要があるので、その前提条件として、電動式オイルポンプ15の作動条件をクリアしていなくてはならないこととしている。
【0041】
以下、本実施形態のソフト構成について説明する。
【0042】
図1は自動停止するまでのサブルーチン処理の内容を示すフローチャートであり、これを用いて説明する。なお、このサブルーチンは、メインルーチンの中の一つのサブルーチンとして定義されたものである。
【0043】
この自動停止のサブルーチンに入ると、最初に各種入力信号処理を行う(ステップ101)。次に、エンジン自動停止制御の前提条件である、電動式オイルポンプ15の作動条件の成立判断を行う(ステップ102、103)。作動条件としては、バッテリ32の蓄電量SOCが所定値A%以上であること、電動式オイルポンプ(EO)15及びモータジェネレータ(M/G)6の駆動系が正常であること、が上げられており、これらの条件を全て満たした場合にのみ、自動停止条件の成立判断のステップ104に進む。ステップ102では、バッテリ32の蓄電量が不足すると、モータジェネレータ6が駆動できないため、また後述する補機類の制御を実施することもできなくなるため、これをチェックしている。また、ステップ103では、電動式オイルポンプ15やモータジェネレータ6が正常でないと、当然所望の油圧を発生させることができないので、これをチェックしている。
【0044】
もし作動条件を一つでもクリアできない場合には、ステップ102、103からステップ110、111に進み、エンジンの自動停止制御の不実施を決定し、自動停止制御未実施のインジケータを点灯して、メインルーチンに戻る。
【0045】
一方、電動式オイルポンプ15の作動条件を全て満足する場合は、ステップ104に進んで、自動停止条件が成立するか否かを判断する。車速が零であり、フットブレーキがONであり、しかもアクセルがOFFのとき、自動停止条件が成立してステップ105に進む。上記の三つの条件のうち一つでも満たされない場合は、自動停止条件が未成立ということになって、ステップ110、111に進み、自動停止制御を不実施とする。
【0046】
自動停止条件が成立してステップ105に進んだ場合は、ここでエンジンを自動停止させる処理を行う。この処理の中には、モータジェネレータ6により電動式オイルポンプ15を駆動して、機械式オイルポンプ12の代わりに自動変速機3にオイルを供給することも含まれる。
【0047】
次にステップ106でエアコンスイッチが「強」になっているかどうかをチェックする。エアコンスイッチが「強」の場合は、室温が極端に高いためにエアコンの作動を要求しているということであるから、この場合は、ステップ109に進んでモータジェネレータ6でエアコンシステムのコンプレッサを駆動する。次いで、ステップ107ではエンジン停止中のバッテリの電力消費をできるだけ抑えるために、補機類のスィープ制御を実施する。ここで補機類のスィープ制御というのは、例えばヘッドライトの場合は光量を落としたり消灯したりすることであり、デフォッガの場合は消費電力を低減ないしは切ることである。但し、特にヘッドライトのスィープ制御は、走行に支障がないように、走行の意思がないシフトポジションがNまたはPのときに実施するように限定するのがよい。次にステップ108に進んで自動停止制御実施のインジケータを点灯してメインルーチンに戻る。
【0048】
なお、上記実施形態では、エンジンの始動をモータジェネレータ6で行うようにしているが、極低温時に使用できるようにエンジンスタータをモータジェネレータ6とは別に設けてもよい。その場合は、エンジン始動時に両者を併用するようにしてもよい。
【0049】
また、発電機能を持つモータジェネレータ6ではなく、単に電動式オイルポンプ15を必要時に駆動するための電動モータを設けてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、プライマリレギュレータバルブ81、82を各ポンプ12、15毎に設けた場合を示したが、それら2つのプライマリレギュレータバルブ81、82を廃止して、出力ライン93上に1個のプライマリレギュレータバルブ88を配置してもよい。なお、図1のステップ101、ステップ102、ステップ103が、この発明の「電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段」に相当し、ステップ110が、この発明の「エンジンの自動停止制御を禁止する手段」に相当する。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、電動式ポンプが作動不能のときには、最初からエンジンの自動停止を行わないようにしているので、無用な係合ショックを運転者に感じさせずにすませることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両のエンジン停止制御の実施形態の制御内容の一例を示すフローチャート
【図2】本発明が適用された駆動システムの構成図
【図3】同駆動システムの油圧制御装置に含まれた切換弁とその接続関係を示す図
【図4】前記油圧制御装置の中のアキュムレータの特性図
【符号の説明】
1…エンジン
3…自動変速機
5…減速機
6…モータジェネレータ(電動モータ)
12…機械式オイルポンプ
15…電動式オイルポンプ
33…コントローラ

Claims (3)

  1. エンジンによって駆動されることで作動流体を使用する装置に作動流体を供給する機械式ポンプと、電動モータによって駆動されることで自動変速機に作動流体を供給する電動式ポンプとを備えた車両であって、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止すると共に、該エンジン停止時に前記電動式ポンプを駆動して自動変速機に作動流体を供給し、所定の再始動条件が成立したときに前記自動停止したエンジンを再始動する車両のエンジン停止制御装置において、
    前記電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段と、前記作動条件を満足していないと判断されたとき、前記所定の停止条件の成立によるエンジンの自動停止制御を禁止する手段とを備え、前記電動式ポンプの作動条件の中に、該電動式ポンプがフェイルしていないという条件が含まれていることを特徴とする車両のエンジン停止制御装置。
  2. エンジンによって駆動されることで作動流体を使用する装置に作動流体を供給する機械式ポンプと、電動モータによって駆動されることで自動変速機に作動流体を供給する電動式ポンプとを備えた車両であって、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止すると共に、該エンジン停止時に前記電動式ポンプを駆動して自動変速機に作動流体を供給し、所定の再始動条件が成立したときに前記自動停止したエンジンを再始動する車両のエンジン停止制御装置において、
    前記電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段と、前記作動条件を満足していないと判断されたとき、前記所定の停止条件の成立によるエンジンの自動停止制御を禁止する手段とを備え、前記作動条件の中に、前記電動モータの駆動系がフェイルしていないという条件が含まれていることを特徴とする車両のエンジン停止制御装置。
  3. エンジンによって駆動されることで作動流体を使用する装置に作動流体を供給する機械式ポンプと、電動モータによって駆動されることで自動変速機に作動流体を供給する電動式ポンプとを備えた車両であって、所定の停止条件が成立したときにエンジンを停止すると共に、該エンジン停止時に前記電動式ポンプを駆動して自動変速機に作動流体を供給し、所定の再始動条件が成立したときに前記自動停止したエンジンを再始動する車両のエンジン停止制御装置において、
    前記電動式ポンプの作動条件を満足しているか否かを判断する手段と、前記作動条件を満足していないと判断されたとき、前記所定の停止条件の成立によるエンジンの自動停止制御を禁止する手段とを備え、前記作動条件の中に、電動式ポンプがフェイルしていず、電動式ポンプを駆動するための車載バッテリの蓄電量が所定値以上あり、且つ、前記電動モータがフェイルしていないという条件が含まれていることを特徴とする車両のエンジン停止制御装置。
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