JP3611534B2 - 高分子包接性化合物からなる有害物質除去のための繊維およびその製造方法ならびに使用 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子包接複合体を形成することができる高分子包接性化合物と有機化合物を含む繊維に関する。また、本発明は、当該繊維の製法およびそれの環境ホルモン等の有害物質の除去における使用にも関する。
【0002】
【従来の技術】
シクロデキストリン(CD)のようなシクログリカン(CG)は包接機能を有する環状オリゴ糖であって、食品、衛生材料、医学−生理学材料等の分野で広く使用されている。例えば、プロスタグランジンのような不安定な医薬を安定な製剤にする等の経口投与製剤の分野をはじめとして、シクロデキストリンを包接複合体または添加剤として利用することが広く行われている。近年特に、栄養食品産業(nutriceutical industry)分野において注目を浴びている(Frank, S. G. J. Pharm. Sci. 1975, 64, 1585)。
【0003】
環状オリゴ糖は、複数の単糖単位からなる疎水性空洞を有している。さらに疎水的な相互作用により、空洞の中に種々の有機化合物をとりこんで複合体を形成する包接作用を有する。このような極めて特異な性質により、環状オリゴ糖はホスト−ゲスト化学の研究として独立した研究対象となってきている(Szejtli, J. Cyclodextrin and Their Inclusion Complexs; Akademiai Kaido: Budapest, 1982; Li, S.; Purdy, W. C. Chem. Rev. 1992, 92, 1457.)。また、シクロデキストリンに新たな機能を付与するために、これに置換基を導入する等の化学変換を行う数多くの試みが行われてきている。例えば、Tetrahedron,39, 1417(1983)には、アシル化、アルキル化、アミノ化、アチド化、ハロゲン化等の化学変換を行う技術、及び変換された誘導体について記載されている。また人工酵素の分野における数多くの研究が、環状オリゴ糖及びその誘導体を用いて行われてきている(Bleslow, R. Science 1982, 218, 532; D’Souda, V. T.; Bender, M. L. Acc. Chem. Res. 1987, 20, 146)。
【0004】
さらに、前記包接作用を利用した、環状オリゴ糖を構成要素として含む高分子が分析化学の分野で広く用いられるようになってきている(Journal of Analytical Chemistry,211,333(1988))。例として、種々の立体異性体やエナンチオマーの単離のためのHPLC(Armstrong, D.W.; DeMond, W.; Alak, A; Hinze,W.L.; Riehl, T.E.; Bui, K.H., J. Analytical Chemistry, 1985, 57, 234,and Armstrong, D. W. J. Pharm. Biomed. Anal. 1990, 8, 123)や、繊維芽細胞成長因子のような生体高分子を分離するアフィニティクロマトグラフィー(Sheng, Y.; Forkman, J.; Weisz, P. B.; Joullie, M. M.; Ewing, W. R. Anal. Biochem. 1990, 185, 108)などへの応用が挙げられる。
【0005】
これらの知見を基に、本発明者は、生体親和性を有し、医学−生理学材料、化粧品添加物、食品添加物、衛生材料等として使用することができる新規な高分子包接性化合物として、シクログリカンとキトサンとの誘導体を発明した(特許第3103532号)。また、当該新規高分子包接性化合物の特に有用な使途として、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)のような有害な有機化合物の除去にその可能性があることも示した。
【0006】
ところで環境ホルモンとは、生体の恒常性、生殖、発生あるいは行動に関する種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸送、受容体結合、ホルモン作用、その分解・排泄などの過程を阻害する外因性物質であり、例えばビスフェノールA、p−ニトロフェノール、フタル酸類、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル、スズ化合物などが知られている。自然界に流出した微量の環境ホルモンは、食物連鎖の上位の生物に蓄積され、生殖機能を奪うとさえ危惧されている。この環境汚染は大きな社会問題となっているが、いまだ有効な解決策が見出されていない。そのため、環境ホルモンを環境中からの効率的に除去する方法の開発が望まれている。
【0007】
前記した新規高分子包接性化合物は、その包接作用により環境ホルモンを除去する効果を有するものではあるが、それ自体の形態では実用に供することは困難である。一方、その形態を改変し、実際に使用することもまた不可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、前記高分子包接性化合物を実用的な形態で提供することおよびそのための製法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、前記高分子包接性化合物の繊維への成形に成功し本発明の完成に至ったものである。
本発明によれば、有害物質除去手段として使用することができる前記高分子包接性化合物を繊維の形で提供することができる。そして、得られた繊維をフィルターなどの製品にすることによって、有害物質の除去に用いることが可能になる。
【0010】
すなわち、本発明は、高分子包接性化合物からなる繊維を製造する方法であって、直鎖状アミノ多糖類を凝固液への押し出しによって繊維状に成形して直鎖状アミノ多糖類繊維とし、水酸基をメチルエーテル型またはアリルエーテル型に変換した環状オリゴ糖類を用いて還元的縮合を行うことによって、該繊維に対し環状オリゴ糖類を結合させることを特徴とする、前記方法に関する。
また、本発明は、直鎖状アミノ多糖類間の架橋反応を含むことを特徴とする、前記方法に関する。
さらに、本発明は、架橋反応をヘキサメチレンジイソシアナートを用いて行うことを特徴とする、前記方法に関する。
さらに、本発明は、環状オリゴ糖類としてシクログリカンを用いることを特徴とする、前記方法に関する。
また、本発明は、環状オリゴ糖類として、α−、β−またはγ−シクロデキストリンを用いることを特徴とする、前記方法に関する。
【0011】
本発明よれば高分子包接性化合物を繊維形状を有するように成形できるため、実用的な用途への応用が実現される。例えば、該繊維をフィルターもしくはカラム充填剤として用いれば、該繊維に含まれるゲスト−ホスト複合体を通して、ビスフェノールAやp−ニトロフェノールを初めとする環境ホルモンなどの有害物質を水や食品から除去することができる。すなわち本発明は、環境保全産業分野等の技術分野に幅広く応用されるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明による繊維の製造は、直鎖状アミノ多糖類繊維との還元的縮合によって、該繊維に環状オリゴ糖類を結合させる工程を含む。
本発明による繊維の分子量としては2万以上であることが好ましい。低分子量の場合には繊維の溶解性が高くなり、繊維の製造が困難となるためである。
【0013】
本発明において、直鎖状アミノ多糖類繊維の成形は自体公知の方法によって行われる。例えば、繊維学会誌(1987)第43巻の第56頁に記載の種々のアルカリ性溶液を凝固剤とする製法によれば、本発明による製法に用いるキトサン繊維が製造される。本発明の製法における該アルカリ性溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム水溶液あるいは銅アンモニア溶液およびそれらの各種アルコールにより希釈した溶液などが好適に用いられる。
【0014】
直鎖状アミノ多糖類繊維に環状オリゴ糖類を結合させる工程においては、該環状オリゴ糖類がその導入の際に溶解してしまい、直鎖状アミノ多糖類繊維成分の結合が実行し得ない場合がある。これは、直鎖状アミノ多糖類を、予め相互に架橋しておくことによって回避される。該架橋は、ヘキサメチレンジイソチオシアナートなどの二置換イソシアナート類あるいはグルタルアルデヒドなどのジアルデヒド類などの架橋剤を用いることによって好適に行われる。
【0015】
直鎖状アミノ多糖類繊維および環状オリゴ糖類とを結合させる工程における両成分の還元的縮合は、直鎖状アミノ多糖類繊維のアミノ基において行われる。
前記還元的結合は、予め酸化しておいた前記環状オリゴ糖類を前記直鎖状アミノ多糖類繊維に加え、還元剤存在下で攪拌することによって行われる。環状オリゴ糖類の酸化にはオゾン、酸化オスミニウムあるいはクロム酸塩類などの酸化剤が、還元的縮合には水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムやボランジメチルアミン錯体などボラン誘導体などの還元剤としてが好適に用いられる。
【0016】
直鎖状アミノ多糖類繊維に結合される環状オリゴ糖類として、それを部分的に修飾したものを用いると両成分の結合がより好適に行われる。この場合の修飾基としては、アルデヒド基、ケトン基などを有するものが好適である。また、環状オリゴ糖類の水酸基をメチルエーテル型、アリルエーテル型、ブチルあるいはヒドロキシプロピルエテール型などに変換した誘導体を用いると、疎水性が高く包接能が高い繊維が製造できるため、さらに好適である。
【0017】
本発明において環状オリゴ糖類とは、直鎖状アミノ多糖類に架橋結合基を介して分枝したシクログリカンであり、該シクログリカンとしては、例えばシクロイソマルトオリゴ糖類、シクロイヌロオリゴ糖類などが挙げられるが、典型的にはα−、β−またはγ−シクロデキストリン(CD)が用いられる。
アミノ多糖類骨格としては、生体親和性、生分解性を有するものを包含するあらゆるアミノ多糖類残基であることができ、例えば、ポリガラクトサミン、コンドロイチン硫酸などのアミノ基含有単糖類からなる直鎖状高分子残基であり、典型的にはキトサン残基である。
【0018】
さらに直鎖状アミノ多糖類と環状オリゴ糖類とを結合する基は、典型的にはアミノ多糖類およびシクログリカンを架橋する2価のアルキリデン基である。
上記の物質のほとんどは安価で容易に入手できる天然物であるため、本発明の繊維を用いることによって、環境ホルモンなどの有害物質を除去するための製品が、極めて安価に構成される。
【0019】
ストロー浄水器として現在mizu−Q(商品名:株式会社 明宏製)が、海外旅行商品として販売されている。当該商品はポリプロピレンを原材料とした筒状のプラスチック容器の中に活性炭を入れ浄化を行うというものである。しかし、活性炭はほとんどすべての有機化合物を吸着して、特定の物質のみを選択的に除去するのには不向きである。
これに対して、活性炭の代わりに本発明のキトサン繊維をストローの内部に巻きつけるような製品にすることによって、環境ホルモン等を選択的に除去できるフィルター機能を有する製品の製造が可能である。また、これをスケールアップすれば、大量の処理システムへの応用も可能である。
【0020】
また、本発明の高分子包接性化合物を含有する繊維の製造に用いるアミノ多糖類繊維は、酢酸のような酸を蒸留水で希釈したものの中で該アミノ多糖類を攪拌後、これを凝固液と洗浄液に通すことによって製造される。この一連の工程は、延伸装置および巻き取りローラーを構成要素とする糸引き装置を用いることによって、極めて容易かつ効率的に行うことができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0022】
〔実施例1〕
CD結合キトサン繊維の製造
以下のa)〜d)の工程により、CD結合キトサン繊維を製造した。
a)キトサン繊維の調製
酢酸(10ml)を蒸留水で希釈して500mlとし、キトサン(40.0g)を加えメカニカルスターラーで約3日間攪拌して粘性の黄色溶液を調製した。これを綿布でろ過した後、冷蔵庫で1日放置して脱気してキトサンドープを調製した。
脱イオン水から得た氷(500g)を加えたエチレングリコール(2500ml)に水酸化カリウム(500g)を溶解し凝固液とした。また、脱イオン水(1000ml)とメタノール(2000ml)を混合し洗浄液とした。
このキトサンドープを加圧下、直径15mm、細孔数50、細孔径0.09mmのノズルより凝固浴へ押し出し、洗浄浴を通過後巻取りローラによりボビンに巻き取った。得られたキトサン繊維を水−メタノール(1:1)混合溶媒で十分に洗浄し、アルカリを除去した後、ボビンから取り外して水中に保存した。
【0023】
b)キトサン繊維の架橋
ろ紙で軽く挟んで水分を除去させたキトサン繊維(33.5g)をメタノール中に入れ、ヘキサメチレンジイソシアナート(0.3ml)を加えて一晩攪拌した。得られた繊維は酢酸緩衝液(pH=4)中で不溶性となり架橋形成が完全であることを確認した。
【0024】
c)β−CDのアリル化とメチル化
蒸留したジメチルスルホキシド(200ml)中にβ−CD(23.42g)を攪拌しながら加えて溶解し、蒸留テトラヒドロフラン(200 ml)を加えた。これに水素化ナトリウム(8g)を少量ずつ加えた後、水氷で冷却しながらテトラヒドロフラン(20ml)と臭化アリル(5.5ml)を滴下ロートで加えた。3時間後に反応の進行が停止したため、臭化アリル(5.5ml)をさらに加え一晩攪拌した。さらに水素化ナトリウム(8 g)を加え、テトラヒドロフラン(100ml)と硫酸ジメチル(29.8ml)を滴下ロートを用いて加えた。反応が進行しなかったため、冷却しながら水素化ナトリウム(12g)とイミダゾール(1g)を加え、一晩攪拌した。メタノール、水、アンモニア水を加えて反応を停止し、減圧濃縮した。チオ硫酸ナトリウムを加えて脱色した後、2N塩酸でpH=5〜6に調整し、クロロホルムで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,CHCl3;CHCl3−CH3OH(1:199);CHCl3−CH3OH(1:99);CHCl3−CH3OH(3:177);CHCl3−CH3OH(3:147))で精製した(収量;21.048g)。
【0025】
d)CD結合キトサン繊維の調製
c)で調製したβ−CD誘導体(2.68g)をメタノール(20ml)に溶解し、オゾンを1.5時間、次いで酸素を1時間通気した。この処理で反応溶液は黄色から無色に変化した。これにジメチルスルフィド(3ml)を加え、室温で一晩攪拌した。水(20ml)を加えた後、メタノールとジメチルスルフィドを減圧留去した。0.2M酢酸Buffer(pH=4)150ml中にb)で架橋したキトサン繊維を浸し、これにオゾン酸化したβ−CD誘導体を加えて2時間攪拌した。さらに水素化シアノホウ素ナトリウム(0.291g)を加えて室温で一晩攪拌した。
【0026】
〔実施例2〕
・p−ニトロフェノールを用いた包接試験
d)で調整したCD結合キトサン繊維をカラム(直径1cm、高さ10cm)に充填させ水(約500ml)でキトサン繊維を洗浄した。その後5.36×10−5mol/lの p−ニトロフェノールリン酸緩衝溶液 (3ml)を静かに注ぎ約10分静置した後、水(100ml)を流下しカラムを洗浄した。この段階で包接されていないp−ニトロフェノールは溶出される。その後、エタノール(30ml)を流下し、UV測定を行った。
その結果、カラムを水(80ml)で洗浄した場合には、いずれの分画もUV吸収が0.01以下でpーニトロフェノールは溶出されなかった(図1)。次いで、エタノールを流下し測定を行ったところ、分画に強いUV吸収が観察された。これは、CD結合キトサン繊維は水中でp−ニトロフェノールを包接し、20ml(吸着剤体積の約3倍量)のアルコール中では溶出させることを示すものである(図1)。
【0027】
〔実施例3〕
・ビスフェノールAを用いた包接試験
d)で調整したCD結合キトサン繊維をカラム(直径1cm,高さ10cm)に充填させ水(約500ml)でキトサン繊維を洗浄した。その後ビスフェノールA(9.64×10−5mol/l)3mlを静かに注ぎ約10分静置し,水(100ml)を流下し、カラムを洗浄した。この段階で包接されていないビスフェノールAは溶出される。その後、エタノール(50ml)を流下し、包接されたビスフェノールAを溶出させ、エタノールのみを減圧乾固した。その後蛍光測定を行った。
その結果、ビスフェノールAに関しても、CD結合キトサン繊維はカラムを水100mlで洗浄した場合にはいずれの分画も蛍光が60以下でビスフェノールAは溶出されなかった。一方、次いでエタノールを流下し測定を行ったところ、30mlのアルコールではビスフェノールAが溶出された(図2)。
以上の結果から、本発明による高分子包接性化合物を含有する繊維は、p−ニトロフェノールやビスフェノールA等の環境ホルモンを包接する作用により、これらの物質を除去する性能を有することが明らかになった。
【0028】
なお、用いたサンプルは以下の通りであった。
A・・・CD結合キトサン繊維
B・・・CD結合キトサン繊維にPNPを包接したもの
C・・・CD結合キトサン繊維にPNPを包接した後に、エタノールで洗浄したもの
D・・・キトサン繊維〔実験操作a〕で製造したもの〕
また、繊維引きは図3に示す機械を用いて行った。
【0029】
【発明の効果】
本発明によって提供される高分子包接性化合物を含有する繊維は、シクログリカンによる包接作用を有するため、環境ホルモンなどの有害物質の除去能を有する。したがって、当該繊維を用いて、環境ホルモンなどの有害物質を除去することができる。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】キトサン繊維によるp−ニトロフェノールに対する包接効果を示すグラフである。
【図2】キトサン繊維によるビスフェノールAに対する包接効果を示すグラフである。
【図3】キトサン繊維紡糸装置の例の概略を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子包接複合体を形成することができる高分子包接性化合物と有機化合物を含む繊維に関する。また、本発明は、当該繊維の製法およびそれの環境ホルモン等の有害物質の除去における使用にも関する。
【0002】
【従来の技術】
シクロデキストリン(CD)のようなシクログリカン(CG)は包接機能を有する環状オリゴ糖であって、食品、衛生材料、医学−生理学材料等の分野で広く使用されている。例えば、プロスタグランジンのような不安定な医薬を安定な製剤にする等の経口投与製剤の分野をはじめとして、シクロデキストリンを包接複合体または添加剤として利用することが広く行われている。近年特に、栄養食品産業(nutriceutical industry)分野において注目を浴びている(Frank, S. G. J. Pharm. Sci. 1975, 64, 1585)。
【0003】
環状オリゴ糖は、複数の単糖単位からなる疎水性空洞を有している。さらに疎水的な相互作用により、空洞の中に種々の有機化合物をとりこんで複合体を形成する包接作用を有する。このような極めて特異な性質により、環状オリゴ糖はホスト−ゲスト化学の研究として独立した研究対象となってきている(Szejtli, J. Cyclodextrin and Their Inclusion Complexs; Akademiai Kaido: Budapest, 1982; Li, S.; Purdy, W. C. Chem. Rev. 1992, 92, 1457.)。また、シクロデキストリンに新たな機能を付与するために、これに置換基を導入する等の化学変換を行う数多くの試みが行われてきている。例えば、Tetrahedron,39, 1417(1983)には、アシル化、アルキル化、アミノ化、アチド化、ハロゲン化等の化学変換を行う技術、及び変換された誘導体について記載されている。また人工酵素の分野における数多くの研究が、環状オリゴ糖及びその誘導体を用いて行われてきている(Bleslow, R. Science 1982, 218, 532; D’Souda, V. T.; Bender, M. L. Acc. Chem. Res. 1987, 20, 146)。
【0004】
さらに、前記包接作用を利用した、環状オリゴ糖を構成要素として含む高分子が分析化学の分野で広く用いられるようになってきている(Journal of Analytical Chemistry,211,333(1988))。例として、種々の立体異性体やエナンチオマーの単離のためのHPLC(Armstrong, D.W.; DeMond, W.; Alak, A; Hinze,W.L.; Riehl, T.E.; Bui, K.H., J. Analytical Chemistry, 1985, 57, 234,and Armstrong, D. W. J. Pharm. Biomed. Anal. 1990, 8, 123)や、繊維芽細胞成長因子のような生体高分子を分離するアフィニティクロマトグラフィー(Sheng, Y.; Forkman, J.; Weisz, P. B.; Joullie, M. M.; Ewing, W. R. Anal. Biochem. 1990, 185, 108)などへの応用が挙げられる。
【0005】
これらの知見を基に、本発明者は、生体親和性を有し、医学−生理学材料、化粧品添加物、食品添加物、衛生材料等として使用することができる新規な高分子包接性化合物として、シクログリカンとキトサンとの誘導体を発明した(特許第3103532号)。また、当該新規高分子包接性化合物の特に有用な使途として、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)のような有害な有機化合物の除去にその可能性があることも示した。
【0006】
ところで環境ホルモンとは、生体の恒常性、生殖、発生あるいは行動に関する種々の生体内ホルモンの合成、貯蔵、分泌、体内輸送、受容体結合、ホルモン作用、その分解・排泄などの過程を阻害する外因性物質であり、例えばビスフェノールA、p−ニトロフェノール、フタル酸類、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル、スズ化合物などが知られている。自然界に流出した微量の環境ホルモンは、食物連鎖の上位の生物に蓄積され、生殖機能を奪うとさえ危惧されている。この環境汚染は大きな社会問題となっているが、いまだ有効な解決策が見出されていない。そのため、環境ホルモンを環境中からの効率的に除去する方法の開発が望まれている。
【0007】
前記した新規高分子包接性化合物は、その包接作用により環境ホルモンを除去する効果を有するものではあるが、それ自体の形態では実用に供することは困難である。一方、その形態を改変し、実際に使用することもまた不可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、前記高分子包接性化合物を実用的な形態で提供することおよびそのための製法に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、前記高分子包接性化合物の繊維への成形に成功し本発明の完成に至ったものである。
本発明によれば、有害物質除去手段として使用することができる前記高分子包接性化合物を繊維の形で提供することができる。そして、得られた繊維をフィルターなどの製品にすることによって、有害物質の除去に用いることが可能になる。
【0010】
すなわち、本発明は、高分子包接性化合物からなる繊維を製造する方法であって、直鎖状アミノ多糖類を凝固液への押し出しによって繊維状に成形して直鎖状アミノ多糖類繊維とし、水酸基をメチルエーテル型またはアリルエーテル型に変換した環状オリゴ糖類を用いて還元的縮合を行うことによって、該繊維に対し環状オリゴ糖類を結合させることを特徴とする、前記方法に関する。
また、本発明は、直鎖状アミノ多糖類間の架橋反応を含むことを特徴とする、前記方法に関する。
さらに、本発明は、架橋反応をヘキサメチレンジイソシアナートを用いて行うことを特徴とする、前記方法に関する。
さらに、本発明は、環状オリゴ糖類としてシクログリカンを用いることを特徴とする、前記方法に関する。
また、本発明は、環状オリゴ糖類として、α−、β−またはγ−シクロデキストリンを用いることを特徴とする、前記方法に関する。
【0011】
本発明よれば高分子包接性化合物を繊維形状を有するように成形できるため、実用的な用途への応用が実現される。例えば、該繊維をフィルターもしくはカラム充填剤として用いれば、該繊維に含まれるゲスト−ホスト複合体を通して、ビスフェノールAやp−ニトロフェノールを初めとする環境ホルモンなどの有害物質を水や食品から除去することができる。すなわち本発明は、環境保全産業分野等の技術分野に幅広く応用されるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明による繊維の製造は、直鎖状アミノ多糖類繊維との還元的縮合によって、該繊維に環状オリゴ糖類を結合させる工程を含む。
本発明による繊維の分子量としては2万以上であることが好ましい。低分子量の場合には繊維の溶解性が高くなり、繊維の製造が困難となるためである。
【0013】
本発明において、直鎖状アミノ多糖類繊維の成形は自体公知の方法によって行われる。例えば、繊維学会誌(1987)第43巻の第56頁に記載の種々のアルカリ性溶液を凝固剤とする製法によれば、本発明による製法に用いるキトサン繊維が製造される。本発明の製法における該アルカリ性溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム水溶液あるいは銅アンモニア溶液およびそれらの各種アルコールにより希釈した溶液などが好適に用いられる。
【0014】
直鎖状アミノ多糖類繊維に環状オリゴ糖類を結合させる工程においては、該環状オリゴ糖類がその導入の際に溶解してしまい、直鎖状アミノ多糖類繊維成分の結合が実行し得ない場合がある。これは、直鎖状アミノ多糖類を、予め相互に架橋しておくことによって回避される。該架橋は、ヘキサメチレンジイソチオシアナートなどの二置換イソシアナート類あるいはグルタルアルデヒドなどのジアルデヒド類などの架橋剤を用いることによって好適に行われる。
【0015】
直鎖状アミノ多糖類繊維および環状オリゴ糖類とを結合させる工程における両成分の還元的縮合は、直鎖状アミノ多糖類繊維のアミノ基において行われる。
前記還元的結合は、予め酸化しておいた前記環状オリゴ糖類を前記直鎖状アミノ多糖類繊維に加え、還元剤存在下で攪拌することによって行われる。環状オリゴ糖類の酸化にはオゾン、酸化オスミニウムあるいはクロム酸塩類などの酸化剤が、還元的縮合には水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムやボランジメチルアミン錯体などボラン誘導体などの還元剤としてが好適に用いられる。
【0016】
直鎖状アミノ多糖類繊維に結合される環状オリゴ糖類として、それを部分的に修飾したものを用いると両成分の結合がより好適に行われる。この場合の修飾基としては、アルデヒド基、ケトン基などを有するものが好適である。また、環状オリゴ糖類の水酸基をメチルエーテル型、アリルエーテル型、ブチルあるいはヒドロキシプロピルエテール型などに変換した誘導体を用いると、疎水性が高く包接能が高い繊維が製造できるため、さらに好適である。
【0017】
本発明において環状オリゴ糖類とは、直鎖状アミノ多糖類に架橋結合基を介して分枝したシクログリカンであり、該シクログリカンとしては、例えばシクロイソマルトオリゴ糖類、シクロイヌロオリゴ糖類などが挙げられるが、典型的にはα−、β−またはγ−シクロデキストリン(CD)が用いられる。
アミノ多糖類骨格としては、生体親和性、生分解性を有するものを包含するあらゆるアミノ多糖類残基であることができ、例えば、ポリガラクトサミン、コンドロイチン硫酸などのアミノ基含有単糖類からなる直鎖状高分子残基であり、典型的にはキトサン残基である。
【0018】
さらに直鎖状アミノ多糖類と環状オリゴ糖類とを結合する基は、典型的にはアミノ多糖類およびシクログリカンを架橋する2価のアルキリデン基である。
上記の物質のほとんどは安価で容易に入手できる天然物であるため、本発明の繊維を用いることによって、環境ホルモンなどの有害物質を除去するための製品が、極めて安価に構成される。
【0019】
ストロー浄水器として現在mizu−Q(商品名:株式会社 明宏製)が、海外旅行商品として販売されている。当該商品はポリプロピレンを原材料とした筒状のプラスチック容器の中に活性炭を入れ浄化を行うというものである。しかし、活性炭はほとんどすべての有機化合物を吸着して、特定の物質のみを選択的に除去するのには不向きである。
これに対して、活性炭の代わりに本発明のキトサン繊維をストローの内部に巻きつけるような製品にすることによって、環境ホルモン等を選択的に除去できるフィルター機能を有する製品の製造が可能である。また、これをスケールアップすれば、大量の処理システムへの応用も可能である。
【0020】
また、本発明の高分子包接性化合物を含有する繊維の製造に用いるアミノ多糖類繊維は、酢酸のような酸を蒸留水で希釈したものの中で該アミノ多糖類を攪拌後、これを凝固液と洗浄液に通すことによって製造される。この一連の工程は、延伸装置および巻き取りローラーを構成要素とする糸引き装置を用いることによって、極めて容易かつ効率的に行うことができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0022】
〔実施例1〕
CD結合キトサン繊維の製造
以下のa)〜d)の工程により、CD結合キトサン繊維を製造した。
a)キトサン繊維の調製
酢酸(10ml)を蒸留水で希釈して500mlとし、キトサン(40.0g)を加えメカニカルスターラーで約3日間攪拌して粘性の黄色溶液を調製した。これを綿布でろ過した後、冷蔵庫で1日放置して脱気してキトサンドープを調製した。
脱イオン水から得た氷(500g)を加えたエチレングリコール(2500ml)に水酸化カリウム(500g)を溶解し凝固液とした。また、脱イオン水(1000ml)とメタノール(2000ml)を混合し洗浄液とした。
このキトサンドープを加圧下、直径15mm、細孔数50、細孔径0.09mmのノズルより凝固浴へ押し出し、洗浄浴を通過後巻取りローラによりボビンに巻き取った。得られたキトサン繊維を水−メタノール(1:1)混合溶媒で十分に洗浄し、アルカリを除去した後、ボビンから取り外して水中に保存した。
【0023】
b)キトサン繊維の架橋
ろ紙で軽く挟んで水分を除去させたキトサン繊維(33.5g)をメタノール中に入れ、ヘキサメチレンジイソシアナート(0.3ml)を加えて一晩攪拌した。得られた繊維は酢酸緩衝液(pH=4)中で不溶性となり架橋形成が完全であることを確認した。
【0024】
c)β−CDのアリル化とメチル化
蒸留したジメチルスルホキシド(200ml)中にβ−CD(23.42g)を攪拌しながら加えて溶解し、蒸留テトラヒドロフラン(200 ml)を加えた。これに水素化ナトリウム(8g)を少量ずつ加えた後、水氷で冷却しながらテトラヒドロフラン(20ml)と臭化アリル(5.5ml)を滴下ロートで加えた。3時間後に反応の進行が停止したため、臭化アリル(5.5ml)をさらに加え一晩攪拌した。さらに水素化ナトリウム(8 g)を加え、テトラヒドロフラン(100ml)と硫酸ジメチル(29.8ml)を滴下ロートを用いて加えた。反応が進行しなかったため、冷却しながら水素化ナトリウム(12g)とイミダゾール(1g)を加え、一晩攪拌した。メタノール、水、アンモニア水を加えて反応を停止し、減圧濃縮した。チオ硫酸ナトリウムを加えて脱色した後、2N塩酸でpH=5〜6に調整し、クロロホルムで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,CHCl3;CHCl3−CH3OH(1:199);CHCl3−CH3OH(1:99);CHCl3−CH3OH(3:177);CHCl3−CH3OH(3:147))で精製した(収量;21.048g)。
【0025】
d)CD結合キトサン繊維の調製
c)で調製したβ−CD誘導体(2.68g)をメタノール(20ml)に溶解し、オゾンを1.5時間、次いで酸素を1時間通気した。この処理で反応溶液は黄色から無色に変化した。これにジメチルスルフィド(3ml)を加え、室温で一晩攪拌した。水(20ml)を加えた後、メタノールとジメチルスルフィドを減圧留去した。0.2M酢酸Buffer(pH=4)150ml中にb)で架橋したキトサン繊維を浸し、これにオゾン酸化したβ−CD誘導体を加えて2時間攪拌した。さらに水素化シアノホウ素ナトリウム(0.291g)を加えて室温で一晩攪拌した。
【0026】
〔実施例2〕
・p−ニトロフェノールを用いた包接試験
d)で調整したCD結合キトサン繊維をカラム(直径1cm、高さ10cm)に充填させ水(約500ml)でキトサン繊維を洗浄した。その後5.36×10−5mol/lの p−ニトロフェノールリン酸緩衝溶液 (3ml)を静かに注ぎ約10分静置した後、水(100ml)を流下しカラムを洗浄した。この段階で包接されていないp−ニトロフェノールは溶出される。その後、エタノール(30ml)を流下し、UV測定を行った。
その結果、カラムを水(80ml)で洗浄した場合には、いずれの分画もUV吸収が0.01以下でpーニトロフェノールは溶出されなかった(図1)。次いで、エタノールを流下し測定を行ったところ、分画に強いUV吸収が観察された。これは、CD結合キトサン繊維は水中でp−ニトロフェノールを包接し、20ml(吸着剤体積の約3倍量)のアルコール中では溶出させることを示すものである(図1)。
【0027】
〔実施例3〕
・ビスフェノールAを用いた包接試験
d)で調整したCD結合キトサン繊維をカラム(直径1cm,高さ10cm)に充填させ水(約500ml)でキトサン繊維を洗浄した。その後ビスフェノールA(9.64×10−5mol/l)3mlを静かに注ぎ約10分静置し,水(100ml)を流下し、カラムを洗浄した。この段階で包接されていないビスフェノールAは溶出される。その後、エタノール(50ml)を流下し、包接されたビスフェノールAを溶出させ、エタノールのみを減圧乾固した。その後蛍光測定を行った。
その結果、ビスフェノールAに関しても、CD結合キトサン繊維はカラムを水100mlで洗浄した場合にはいずれの分画も蛍光が60以下でビスフェノールAは溶出されなかった。一方、次いでエタノールを流下し測定を行ったところ、30mlのアルコールではビスフェノールAが溶出された(図2)。
以上の結果から、本発明による高分子包接性化合物を含有する繊維は、p−ニトロフェノールやビスフェノールA等の環境ホルモンを包接する作用により、これらの物質を除去する性能を有することが明らかになった。
【0028】
なお、用いたサンプルは以下の通りであった。
A・・・CD結合キトサン繊維
B・・・CD結合キトサン繊維にPNPを包接したもの
C・・・CD結合キトサン繊維にPNPを包接した後に、エタノールで洗浄したもの
D・・・キトサン繊維〔実験操作a〕で製造したもの〕
また、繊維引きは図3に示す機械を用いて行った。
【0029】
【発明の効果】
本発明によって提供される高分子包接性化合物を含有する繊維は、シクログリカンによる包接作用を有するため、環境ホルモンなどの有害物質の除去能を有する。したがって、当該繊維を用いて、環境ホルモンなどの有害物質を除去することができる。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】キトサン繊維によるp−ニトロフェノールに対する包接効果を示すグラフである。
【図2】キトサン繊維によるビスフェノールAに対する包接効果を示すグラフである。
【図3】キトサン繊維紡糸装置の例の概略を示す図である。
Claims (5)
- 高分子包接性化合物からなる繊維を製造する方法であって、直鎖状アミノ多糖類を凝固液への押し出しによって繊維状に成形して直鎖状アミノ多糖類繊維とし、水酸基をメチルエーテル型またはアリルエーテル型に変換した環状オリゴ糖類を用いて還元的縮合を行うことによって、該繊維に対し環状オリゴ糖類を結合させることを特徴とする、前記方法。
- 直鎖状アミノ多糖類間の架橋反応を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 架橋反応をヘキサメチレンジイソシアナートを用いて行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 環状オリゴ糖類としてシクログリカンを用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 環状オリゴ糖類として、α−、β−またはγ−シクロデキストリンを用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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