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JP3610825B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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JP3610825B2
JP3610825B2 JP12301299A JP12301299A JP3610825B2 JP 3610825 B2 JP3610825 B2 JP 3610825B2 JP 12301299 A JP12301299 A JP 12301299A JP 12301299 A JP12301299 A JP 12301299A JP 3610825 B2 JP3610825 B2 JP 3610825B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車両との車間距離を保ちつつ先行車両に追従する速度制御を行うようにした車両用走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用走行制御装置としては、例えば特開平9−263160号公報に記載されたものが知られている。
この従来例には、前方車両と自車両との車間距離が一定値以上のときには目標車速に一致させる定速走行制御を行い、該車間距離が一定値以下のときには車間距離を一定値に保つように追従走行制御し、これらの走行制御状態でブレーキを踏んだり、クラッチを踏んだり、解除スイッチを操作したり、車速が制御最低車速以下のとなる速度制御解除条件が成立したときには速度制御装置を解除するようにした車両の速度制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両の速度制御装置にあっては、図17(a)に示すように、車速が制御最低車速Vを越える状態で定速走行している状態で、時点tで先行車両に接近して、車間距離が目標車間距離以下となったときには、ブレーキが作動されることにより減速状態となって、加減速度が図17(b)に示すように負方向に増加して車速が減少するが、この状態を継続して時点tで車速が所定値V以下となったときには、速度制御解除条件が成立することにより、速度制御が解除されることから加減速度がいきなり“0”に復帰して急激な加速度変化を生じるという未解決の課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、減速状態で設定車速以下となることにより、制御解除条件が成立したときに、急激な加速度変化を防止すると共に、制御解除時の走行状態のばらつきを抑制することができる車両用走行制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より小さいときに、前記目標加減速度を前記設定値まで大きくしてから前記設定値保持するように構成されていることを特徴としている。
【0006】
この請求項1に係る発明においては、車両が第1の設定車速以上で走行しているときには、走行制御手段で先行車両との車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、この目標加減速度を維持するように走行制御することにより、最適車間距離を保って追従走行を行う。この走行制御状態で、先行車両が減速するか又は他車線から車両が割り込むことにより、減速制御を行う状態となって、車速が第1の設定車速以下となったときに、目標加減速度が予め負側に設定した設定値より小さいときには設定値まで大きくしてから設定値に保持し、設定値と一致しているときにはそのまま保持することにより、所定の減速度を維持して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止すると共に、車速が第2の設定値に達したときに、目標加減速度が設定値から緩やかに増加されることにより、制御解除時の走行状態のばらつきをより確実に抑制する。また、目標加減速度を制御して車両減速度の減少を制御することにより、路面状態に応じた最適な車両減速度制御を行う。
【0009】
また、請求項2に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より小さいときに、前記目標加減速度を前記設定値まで大きくしてから前記設定値保持するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
この請求項2に係る発明においては、減速制御中に車速が第1の設定車速以下となったときに、目標加減速度が予め負側に設定した設定値より小さいときには設定値まで大きくしてから設定値に保持し、設定値と一致しているときにはそのまま保持することにより、所定の減速度を維持して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止し、次いで車速が第2の設定車速に達する前に先行車両の減速度が低下することにより、先行車両との相対速度が負から正に変化したときに早期制御解除手段で車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除することにより、先行車両との車間距離が広がり過ぎることを抑制する。
【0013】
さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より大きいときに、当該目標加減速度を保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項3に係る発明においては、車速が第1の設定車速以下となったときの目標加減速度が比較的大きいときには、その目標加減速度を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止する。
【0014】
さらにまた、請求項4に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より大きいときに、当該目標加減速度を保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項4に係る発明においては、車速が第1の設定車速以下となったときの目標加減速度が比較的大きいときには、その目標加減速度を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止する。
また、請求項5に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値より大きいときに、前記目標制動圧を前記設定値まで低下させてから前記設定値に保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項5に係る発明においては、車両が第1の設定車速以上で走行しているときには、走行制御手段で先行車両との車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、この目標加減速度に基づいて目標制動圧を設定し、この目標加減速度を維持するように走行制御することにより、最適車間距離を保って追従走行を行う。この走行制御状態で、先行車両が減速するか又は他車線から車両が割り込むことにより、減速制御を行う状態となって、車速が第1の設定車速以下となったときに、目標制動圧が予め設定した設定値より大きいときには設定値まで低下させてから設定値に保持し、設定値と一致しているときにはそのまま保持することにより、所定の減速度を維持して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止すると共に、車速が第2の設定値に達したときに、目標制動圧が設定値から緩やかに減少されることにより、制御解除時の走行状態のばらつきをより確実に抑制する。また、目標制動圧を制御して車両減速度の減少を制御することにより、車両減速度制御を遅延時間を生じることなく正確に行う。
さらに、請求項6に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の 増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値より大きいときに、前記目標制動圧を前記設定値まで低下させてから前記設定値に保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項6に係る発明においては、減速制御中に車速が第1の設定車速以下となったときに、目標制動圧が予め設定した設定値より大きいときには設定値まで低下させてから設定値に保持し、設定値と一致しているときにはそのまま保持することにより、所定の減速度を維持して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止し、次いで車速が第2の設定車速に達する前に先行車両の減速度が低下することにより、先行車両との相対速度が負から正に変化したときに早期制御解除手段で車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除することにより、先行車両との車間距離が広がり過ぎることを抑制する。
また、請求項7に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値未満であるときに、当該目標制動圧を保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項7に係る発明においては、車速が第1の設定車速以下となったときの目標制動圧が比較的小さいときには、その目標制動圧を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止する。
さらに、請求項8に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値未満であるときに、当該目標制動圧を保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項8に係る発明においては、車速が第1の設定車速以下となったときの目標制動圧が比較的小さいときには、その目標制動圧を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止する。
【0015】
また、請求項に係る車両用走行制御装置は、請求項1又は2の発明において、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が前記設定値より小さいときに、その時点の目標加減速度を所定時間保持した後、前記設定値まで大きくして保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項に係る発明においては、車速が第1の設定車速以下となったときに、その時点の目標加減速度が所定時間保持されるので、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止する。
さらに、請求項10に係る車両用走行制御装置は、請求項5又は6の発明において、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が前記設定値より大きいときに、その時点の目標制動圧を所定時間保持した後、前記設定値まで低下させて保持するように構成されていることを特徴としている。
この請求項10に係る発明においては、車速が第1の設定車速以下となったときに、その時点の目標制動圧が所定時間保持されるので、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止する。
【0018】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、減速制御中に車速が第1の設定車速以下となったときに、解除動作開始手段で、目標加減速度を負側に設定された設定値となるように制御するので、所定の減速度を確保して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止すると共に、車速が第2の設定値に達したときに、車両減速度が設定値から緩やかに減少されることにより、制御解除時の走行状態のばらつきをより確実に抑制することができるという効果が得られる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、減速制御中に車速が第1の設定車速以下となったときには、解除動作開始手段で、目標加減速度を負側に設定された設定値となるように制御するので、所定の減速度を確保して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止すると共に、車速が第2の設定車速に達する前に、先行車両との相対速度が負から正に変化したときに早期制御解除手段で車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除することにより、先行車両との車間距離が広がり過ぎて運転者に違和感を与えることを防止することができるという効果が得られる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、車速が第1の設定車速以下となったときの目標加減速度が比較的大きいときには、その目標加減速度を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止することができるという効果が得られる。
請求項4に係る発明によれば、車速が第1の設定車速以下となったときの目標加減速度が比較的大きいときには、その目標加減速度を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止することができるという効果が得られる。
請求項5に係る発明によれば、減速制御中に車速が第1の設定車速以下となったときに、解除動作開始手段で、目標制動圧を設定値となるように制御するので、所定の減速度を確保して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止すると共に、車速が第2の設定値に達したときに、車両減速度が設定値から緩やかに減少されることにより、制御解除時の走行状態のばらつきをより確実に抑制することができるという効果が得られる。
請求項6に係る発明によれば、減速制御中に車速が第1の設定車速以下となったときには、解除動作開始手段で、目標制動圧を設定値となるように制御するので、所定の減速度を確保して、先行車両との車間距離が急激に短くなることを防止すると共に、車速が第2の設定車速に達する前に、先行車両との相対速度が負から正に変化したときに早期制御解除手段で車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除することにより、先行車両との車間距離が広がり過ぎて運転者に違和感を与えることを防止することができるという効果が得られる。
請求項7に係る発明によれば、車速が第1の設定車速以下となったときの目標制動圧が比較的小さいときには、その目標制動圧を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止することができるという効果が得られる。
請求項8に係る発明によれば、車速が第1の設定車速以下となったときの目標制動圧が比較的小さいときには、その目標制動圧を保持することにより、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0023】
請求項に係る発明によれば、車速が第1の設定車速以下となったときに、その時点の目標加減速度が所定時間保持されるので、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止することができるという効果が得られる。
請求項10に係る発明によれば、車速が第1の設定車速以下となったときに、その時点の目標制動圧が所定時間保持されるので、先行車両との車間距離が急激に短くなることを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を後輪駆動車に適用した場合の第1の実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
【0026】
前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7が設けられていると共に、これらディスクブレーキ7の制動油圧が制動制御装置8によって制御される。
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、走行制御用コントローラ20から出力される目標制動圧P に応じて制動油圧を発生するように構成されている。
【0027】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。このエンジン出力制御装置9は、エンジン出力の制御方法として、スロットルバルブの開度を調整してエンジン回転数を制御する方法と、アイドルコントロールバルブの開度を調整してエンジン2のアイドル回転数を制御する方法とが考えられるが、本実施形態では、スロットルバルブの開度を調整する方法が採用されている。
【0028】
さらに、自動変速機3には、その変速位置を制御する変速機制御装置10が設けられている。この変速機制御装置10は、後述する走行制御用コントローラ20からのアップ/ダウンシフト指令値TSが入力されると、これに応じて自動変速機3の変速位置をアップシフト又はダウンシフト制御するように構成されている。
【0029】
一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出手段としてのレーダ装置で構成される車間距離センサ12が設けられている。
また、車両には、前輪1FL,1FRの車輪速度を検出する車輪速度センサ13L,13Rが配設されている。
【0030】
そして、車間距離センサ12及び車輪速度センサ13L,13Rの各出力信号が走行制御用コントローラ20に入力され、この走行制御用コントローラ20によって、車間距離センサ12で検出した車間距離L、車輪速度センサ13L,13Rで検出した車輪速度VwL,Vwに基づいて、制動制御装置8、エンジン出力制御装置9、変速機制御装置10を制御することにより、先行車両との間に適正な車間距離を維持しながら追従走行する追従走行制御を行うと共に、追従走行制御中に、先行車両が減速状態に移行したり、他の車線から車両の割込があって減速状態となった状態で、車速が第1の設定車速V以下となったときに、車両減速度を制御する目標加減速度Gを設定値Gとなるように制御すると共に、車速が第1の設定車速Vより低い第2の設定車速V以下となったときに目標減速度Gを緩やかな変化率で零に復帰させる制御解除処理を行う。
【0031】
次に、上記第1の実施形態の動作を走行制御用コントローラ20で実行する図2に示す走行制御処理を伴って説明する。
この走行制御処理は、所定のメインプログラムに対する所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で追従走行制御状態であるか否かを表す制御状態フラグFCが“1”にセットされているか否かを判定し、これが“0”にリセットされているときには追従走行制御が解除されているものと判断してそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、制御状態フラグFCが“1”にセットされているときには追従走行制御が実行中であるものと判断してステップS2に移行する。
【0032】
このステップS2では、車輪速度センサ13L,13Rで検出した車輪速度VwL,Vwを読込み、これらの平均値を求めることにより、自車速V(n) を算出する。
次いで、ステップS3に移行して、自車速V(n) が追従走行制御速度域の最低車速となる第1の設定車速V以下であるか否かを判定し、V(n) >Vであるときには、追従走行制御を継続するものと判断してステップS4に移行する。
【0033】
このステップS4では、車間距離センサ12で検出した実際の先行車両との間の車間距離Dを読込み、次いでステップS5に移行して、自車速V(n) と自車両が現在の先行車両の後方L[m]の位置に到達するまでの時間T(車間時間)とから下記(1)式に従って先行車両と自車両との間の目標車間距離D(n) を算出する。
【0034】
(n) =V(n) ×T+D …………(1)
この車間時間という概念を取り入れることにより、車速が速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。なお、Dは停止時車間距離である。
次いで、ステップS6に移行して、車間距離D(n) が目標車間距離D(n) 以下であるか否かを判定し、D(n) >D(n) であるときには車間距離D(n) が目標車間距離D(n) を越えており、加速状態として車間距離をつめることが可能であると判断してステップS7に移行し、目標車速Vをもとに下記(2)式に従って目標加減速度αを算出し、これをメモリの加減速度記憶領域に更新記憶してからステップS9に移行する。
【0035】
α=K×(V−V(n) )+L …………(2)
ここで、K及びLは定数である。
一方、ステップS6の判定結果が、D(n) ≦D(n) であるときには車間距離D(n) が目標車間距離D(n) より短く、減速状態として車間距離を開ける必要があると判断して、ステップS8に移行し、下記(3)式に基づいて目標加減速度αを算出し、これをメモリの加減速度記憶領域に更新記憶してからステップS9に移行する。
【0036】
α=K×(D(n) −D(n) )−L …………(3)
ここで、K及びLは定数である。
ステップS9では、エンジン制御装置9に対するスロットル開度指令値θ及び変速機制御装置10に対するアップ/ダウンシフト指令値TSを算出し、これらを出力するエンジン制御処理を実行してからステップS10に移行する。
【0037】
ここで、スロットル開度指令値θは、目標加減速度αが正である加速状態では、目標加減速度αの増加に応じて正方向に増加するスロットル開度変化量Δθを算出すると共に、目標加減速度αが負であるときには“0”から負の所定値αに達するまでの間は目標加減速度αの負方向への増加に応じて負方向に増加するスロットル開度変化量Δθを算出し、算出されたスロットル開度変化量Δθを現在のスロットル開度指令値θに加算して、新たなスロットル開度指令値θを算出し、目標加減速度αが負の所定値αを越えたときにはスロットル開度指令値θを“0”またはその近傍の値に設定する。
【0038】
また、アップ/ダウンシフト指令値TSは、算出されたスロットル開度指令値θと車速V(n) とに基づいて通常の自動変速機における変速制御と同様の変速制御マップを参照して自動変速機3のアップ/ダウンシフト指令値TSを算出する。
ステップS10では、加減速度記憶領域に記憶されている目標加減速度αに基づいて目標制動圧P を算出し、これを制動圧指令値として制動制御装置8に出力する制動圧制御処理を行ってからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
【0039】
ここで、目標制動圧P は、目標加減速度αをもとにメモリに予め格納された図4に示す制動圧算出マップを参照して目標制動圧P を算出する。
この制動圧算出マップは、図4に示すように、横軸に目標加減速度αを縦軸に目標制動圧P をとり、目標加減速度αが正であるとき及び負であって所定値αを越えるまでの間では目標制動圧P が“0”を維持し、目標加減速度αが所定値αを越えると、目標加減速度αの負方向への増加に比例して目標制動圧P が直線的に増加するように設定されている。
【0040】
一方、前記ステップS3の判定結果がV(n) ≦Vであるときには、ステップS11に移行し、追従走行制御を解除する制御解除処理を実行してから前記ステップS9に移行する。
このステップS11の制御解除処理の具体例は、図3に示すように、先ず、ステップS21で、自車速V(n) が前述した第1の設定車速Vより低い第2の設定車速Vを越えているか否かを判定し、V(n) >Vであるときには、ステップS22に移行する。
【0041】
このステップS22では、記憶装置の加減速度記憶領域に記憶されている目標加減速度αが設定値α(例えばα=−0.1G)より小さいか否かを判定し、α<αであるときには、減速度が大きいものと判断して、ステップS23に移行し、下記(4)式に示すように、制御解除用目標加減速度記憶領域に記憶されている現在の目標加減速度αに所定値Δα(例えば変化率が0.05G/sに相当する値)を加算した値を新たな目標加減速度αとして、加減速度記憶領域に更新記憶してから制御解除処理を終了して図2のステップS9に移行する。
【0042】
α=α+Δα …………(4)
また、前記ステップS22の判定結果が、α≧αであるときには、車両の減速度があまり大きくないものと判断して、ステップS24に移行して、現在の目標加減速度αを保持してから制御解除処理を終了して図2のステップS9に移行する。
【0043】
さらに、前記ステップS21の判定結果が、V(n) ≦Vであるときには、車両減速度を徐々に減らす解除処理を行うものと判断して、ステップS25に移行し、現在の目標加減速度αが不感帯の下限値を表すαより大きいか否かを判定し、α<αであるときには解除処理を継続するものと判断してステップS26に移行し、前記(4)式と同様の演算を行って粗縦目標加減速度αを算出し、これを加減速度記憶領域に更新記憶してから制御解除処理を終了して図2のステップS9に移行する。
【0044】
また、ステップS25の判定結果が、α≧αであるときには解除処理を終了するものと判断して、ステップS27に移行して、制御状態フラグFCを制御解除状態を表す“0”にリセットしてから制御解除処理を終了して図2のステップS9に移行する。
上記図2の処理が走行制御手段に対応し、図3の処理におけるステップS21〜ステップS24の処理が解除動作開始手段に対応し、ステップS21、ステップS25〜S28の処理が制御解除手段に対応している。
【0045】
したがって、今、図5に示すように、時点tで制御状態フラグFCが“1”にセットされており且つ自車速V(n) が第1の設定車速V以上で追従走行制御状態にあり、先行車両との間の車間距離Dが目標車間距離Dと一致して定速走行しているものとする。
この定速走行状態では、自車速V(n) が第1の設定車速V以上であるので、図2の追従走行制御処理において、ステップS3からステップS4に移行し、車間距離Dが目標車間距離Dと一致しているので、ステップS6からステップS8に移行し、定数L分負となる目標加減速度αが算出され、これに応じて減速制御されるが、次の時点では、減速制御によって車間距離Dが目標車間距離Dより大きくなるので、ステップS6からステップS7に移行して、略定速走行中であるので、定数L分正となる目標加減速度αが算出され、これに応じて加速制御されることを繰り返して、車間距離Dが目標車間距離Dに略一致される。
【0046】
この定速走行状態から時点tで自車速V(n) が第1の設定車速V以上を保っている状態で、先行車両が減速状態となるか又は他車線からの車両割込み等によって、車間距離Dが目標車間距離Dより低下すると、ステップS8で減速度を表す目標加減速度αが算出されることになり、これに応じてステップS10で目標加減速度αに応じた目標制動圧P が算出され、これが制動制御装置8に供給されることにより、各輪のディスクブレーキ7の制動圧が目標制動圧P に一致するように制御されて制動状態となり、これに応じて、自車速V(n) が図5(a)に示すように減速される。
【0047】
その後、目標加減速度αがさらに負方向に増加すなわち減速度が増加することにより、自車速V(n) が低下し、時点tで自車速V(n) が第1の設定車速V以下となると、図2の処理において、ステップS3からステップS11に移行して、制御解除処理を開始する。
このとき、自車速V(n) が第1の設定車速Vを下回ったばかりであるので、第2の設定車速Vを越えているので、ステップS21からステップS22に移行し、この時点の目標加減速度αが設定値αを大きく下回っているので、ステップS23に移行して、現在の目標加減速度αに設定値Δαを加算することにより、目標加減速度が正方向に向かって大きくなり(減速度が小さくなる)、これに応じて、図2のステップS10で算出される目標制動圧P も小さくなって、制動力が低下され、車両減速度が低下し、自車速V(n) の低下が図5(a)に示すように緩やかとなる。
【0048】
この減圧状態を繰り返して、時点tで、目標加減速度αが設定値αに達し、且つ自車速V(n) が第2の設定車速V以下となると、図3の制御解除処理において、ステップS21からステップS25に移行する。このとき、目標加減速度αが十分に小さいすなわち減速度が大きい状態であるならば、ステップS26に移行して、目標加減速度αに対する加算処理が継続され、これに応じて目標加減速度αが同じ変化率を継続して大きくなり、車両減速度が徐々に小さくなることにより、自車速V(n) の減少量も低下する。
【0049】
その後、時点tで、目標加減速度αが不感帯の下限を示すαより大きくなると、図3の処理において、ステップS25からステップS27に移行して、制御状態フラグFCが制御解除状態を表す“0”にリセットされてから図2のステップS9に移行することにより、ステップS10で目標制動圧P が“0”となって、ディスクブレーキ7による制動力が解除される。
【0050】
その後、所定時間が経過して、次に図2の処理が実行されると、制御状態フラグFCが“0”にリセットされていることにより、ステップS1からそのまま目標加減速度αを算出する追従走行制御を行うことなくタイマ割込処理を終了することになり、追従走行制御が完全に解除される。
一方、減速制御中で、時点tで自車速V(n) が第1の設定車速Vに達したときの目標加減速度αが図6(b)に示すように設定値αを僅かに下回っている状態では、前述したように、目標加減速度αの加算処理が行われることにより、時点t後の時点t′で目標加減速度αが設定値αに達すると、図3の処理において、ステップS22からステップS24に移行して、目標加減速度が設定値α近傍の値に保持される。このため、自車速V(n) が図6(a)に示すように減速度一定の状態で低下し、この自車速V(n) が第2の設定車速V以下となると、目標加減速度αが加算処理されて、車両減速度が徐々に低下されることにより、時点tで目標減速度αが−αより大きくなって、目標制動圧P が“0”となり、追従走行制御が解除される。
【0051】
また、減速制御中で、時点tで自車速V(n) が第1の設定車速Vに達したときに、その時点での目標加減速度αが図7(b)に示すように設定値αより大きい場合には、図3の制御解除処理が実行されたときには、ステップS22からステップS24に移行することになり、その時点の目標加減速度αが保持されることにより、その時点の車両減速度が維持され、自車速V(n) が緩やかに減少し、時点tで自車速V(n) が第2の設定車速V以下となると、図7(b)に示すように、目標加減速度αの加算処理が行われて、目標加減速度が大きくなり(減速度が小さくなり)、時点tで、目標加減速度αが設定値−αより大きくなって、目標制動圧P が“0”となり、追従走行制御が解除される。
【0052】
このように、上記第1の実施形態によると、自車速V(n) が第1の設定車速に達した時点での目標減速度αに応じて目標加減速度αを保持するか加算処理して大きな値とするかを設定することにより、何れにしても目標加減速度αの低下即ち車両減速度の増加を抑制した状態に制御し、自車速V(n) が第2の設定車速V以下となったときに目標加減速度を徐々に大きくして車両減速度を徐々に減少させ、これが“0”近傍となった時点で追従走行制御を解除するので、この追従走行制御解除時点での自車速V(n) が車速が第1の設定車速以下となった時点での目標減速度αにかかわらず、大きなばらつきを生じることなく略一定値となると共に、制御解除を開始してから制御解除を完了するまでの解除時間も略一定となり、運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
する。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態を図8及び図9について説明する。
この第2の実施形態は、追従制御を解除する際の車両減速度の緩やかな変化を制動制御装置8に対する目標制動圧P を制御することにより行うようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、追従走行制御処理が図8に示すように、前述した第1の実施形態における図2の処理において、ステップS11の制御解除処理が終了したときにステップS9に移行する場合に代えて、そのままタイマ割込処理を終了するようにするに変更されていることを除いては図2と同様の処理を行い、図2との対応する処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0054】
また、図8におけるステップS11の制御解除処理が、図9に示すように、構成されている。
すなわち、先ず、ステップS31で、自車速V(n) が第2の設定車速Vを越えているか否かを判定し、V(n) >Vであるときには、ステップS32に移行して、制動制御装置8に対する目標制動圧P が予め設定された設定圧P(例えば1.0MPa)を越えているか否かを判定し、P >PであるときにはステップS33に移行して、下記(5)式に示すように、現在の目標制動圧P から設定値ΔP(例えば減圧速度で0.5MPaに相当)を減算した値を新たな目標制動圧P とし、これを目標制動圧記憶領域に更新記憶すると共に、制動制御装置8に出力してから図8に戻ってタイマ割込処理を終了し、P ≦PであるときにはステップS34に移行して、現在の目標制動圧P を保持すると共に、制動制御装置8に出力してから図8に戻ってタイマ割込処理を終了する。
【0055】
=P −ΔP …………(5)
また、前記ステップS31の判定結果が、V(n) ≦Vであるときには、ステップS35に移行して、現在の目標制動圧P から設定値ΔPを減算した値が正であるか否かを判定し、P −ΔP>0であるときには目標制動圧の減圧制御を継続するものと判断してステップS36に移行し、前記(5)式にしたがって、目標制動圧P の減圧処理を行って、その結果を目標制動圧記憶装置に更新記憶すると共に、制動制御装置8に出力してから図8に戻ってタイマ割込処理を終了し、、P −ΔP≦0であるときにはステップS37に移行して、目標制動圧P を“0”に設定し、これを目標制動圧記憶領域に更新記憶すると共に、制動制御装置8に出力してからステップS38に移行して、制御状態フラグFCを制御解除を表す“0”にリセットしてから図8に戻りタイマ割込処理を終了する。
【0056】
この第2の実施形態によると、先行車両との車間距離を適正値に維持して定速走行している状態から、先行車両の減速又は他車線からの車両の割込等によって車間距離Dが目標車間距離Dより急激に狭まることにより、図8のステップS8で比較的小さな負値の目標加減速度αが算出されると、これに応じて、図8のステップS10で算出される目標制動圧P が図10(b)に示すように急増して、ディスクブレーキ7で大きな制動力を発生することにより、自車速V(n) が減少し始める。
【0057】
この状態で、時点tで自車速V(n) が第1の設定車速V以下となると、図8において、ステップS3からステップS11に移行して、制動解除処理を実行し、図9のステップS31からステップS32に移行し、このときの目標制動圧P が設定値Pを越えているので、ステップS33に移行して、減圧処理を行って、目標制動圧P を減少させ、これに応じて車両減速度が小さくなって、自車速V(n) の減少量が少なくなる。
【0058】
この減圧制御状態が継続して、時点tで自車速V(n) が第2の設定車速V以下となると共に、目標制動圧P が設定値P以下となると、図9のステップS31からステップS35に移行して、P −ΔPが正値であるので、ステップS36に移行し、目標制動圧P の減圧処理が継続され、時点tで現在の目標制動圧P から設定値ΔPを減算した値が“0”又は負値となると、ステップS35からステップS37に移行して、目標制動圧P を“0”に設定し、これを目標制動圧記憶領域に更新記憶すると共に、制動制御装置8に出力し、ディスクブレーキ7の制動力が解除され、次いでステップS38に移行して、制御状態フラグFCを制御解除を示す“0”にリセットしてから図8に戻る。
【0059】
このため、タイマ割込周期が経過して、次に図8の処理が実行されたときには、ステップS1からステップS2〜ステップS10の追従走行制御を行うことなくそのままタイマ割込処理を終了し、制御解除状態を保持する。
また、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となった時点での目標制動圧P が設定値Pより僅かに高い場合には、図11に示すように、目標制動圧P が設定値Pまで減圧されてから設定値Pを維持し、自車速V(n) が第2の設定車速V以下となったときに減圧処理を開始し、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となった時点での目標制動圧P が設定値Pより低い場合には、図12に示すように、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となった時点での目標制動圧P を保持し、自車速V(n) が第2の設定車速V以下となったときに減圧処理を開始することにより、制御解除時(時点t)での自車速V(n) を図10と略同様の値とすることができると共に、制御解除時間も略等しくすることができる。
【0060】
なお、上記第1(又は第2)の実施形態においては、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となった時点で、目標加減速度α(又は目標制動圧P )が設定値α(又はP)より小さい(又は大きい)ときに、加算処理(又は減圧処理)を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図13に示すように、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となった時点で、目標加減速度α(又は目標制動圧P )が設定値α(又はP)より小さい(又は大きい)ときに、所定時間だけ目標加減速度α(又は目標制動圧P )を保持した後加算処理(又は減圧処理)を行うか、又は図14に示すように、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となった時点で、目標加減速度α(又は目標制動圧P )を自車速V(n) が第2の設定車速Vに達するまで保持するようにしてもよく、この場合には、車両減速度を大きい状態に保持することができ、先行車両の車間距離を十分に確保することができるという利点がある。
【0061】
また、上記第1(又は第2)の実施形態においては、自車速V(n) が第2の設定車速V以下となった時点で、目標加減速度α(又は目標制動圧P )が設定値α(又はP)より小さい(又は大きい)ときに、加算処理(又は減圧処理)を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図15に示すように、図3の処理におけるステップS21の前に早期解除動作状態を表す早期解除動作状態フラグFFが早期解除動作中を表す“1”にセットされているか否かを判定するステップS41が追加され、ステップS21とステップS22との間に、先行車両との相対速度Vrを算出するステップS41と、相対速度Vrが負から正に変化したか否かを判定するステップS42とを介挿し、ステップS42の判定結果が相対速度Vrが負から正に変化していないときにはステップS23に移行し、負から正に変化したときにはステップS43に移行して、早期解除動作状態フラグFFを“1”にセットしてからステップS25に移行し、ステップS41の判定結果が、早期解除動作状態フラグFFが“1”にセットされているときには前記ステップS25に移行するように構成することにより、図16に示すように、自車速V(n) が第1の設定車速V及び第2の設定車速V間にある状態で、相対速度Vrが負から正に変化して、先行車両との車間距離Dが広がる傾向となった時点t″で、加算処理を行って、追従走行制御を早期に解除させて、運転者に違和感を与えることを確実に防止することができる。
【0062】
ここで、図15の処理において、ステップS41〜S43及びステップS26,S27の処理が早期制御解除開始手段に対応している。
同様に、目標制動圧P を制御する第2の実施形態においても、上記と同様に、相対速度Vrが負から正に変化したときに、ステップS35に移行して、減圧処理を開始することにより、早期制御解除を行うことができる。
【0063】
さらに、上記各実施形態においては、自車速V(n) が第1の設定車速V以下となったときの減圧処理と第2の設定車速V以下となったときの減圧処理とで目標加減速度α及び目標制動圧P の変化率を等しく設定した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、両減圧処理で異なる変化率に設定するようにしてもよい。
【0064】
さらにまた、上記各実施形態においては、(2)式の車速フィードバック式及び(3)式の車間距離フィードバック式をP制御とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、PD制御やPID制御を適用するようにしてもよいことは言うまでもない。
なおさらに、上記各実施形態においては、目標車間距離Dを算出し、この目標車間距離Dと実際の車間距離Dとを比較することにより、目標加減速度Gを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車間距離D(n) に基づいて自車両が先行車両のL(m)後方に到達するまでの時間(車間時間)Tが一定になるように目標車速V(n) を決定し、これと実際の車速V(n) との偏差ΔV(n) に基づいてエンジン出力指令値αを算出し、これが正であるときには、算出したエンジン出力指令値αに基づいてエンジンを制御して加速状態とし、負であるときには速度偏差ΔV(n) に基づいてPD制御又はPID制御によって目標制動圧を設定するようにしてもよい。
【0065】
また、上記各実施形態においては、自車速V(n) を従動輪の車輪速の平均値で算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、自動変速機3の出力側の回転数を検出して車速を算出したり、アンチロックブレーキ制御装置に使用される車体速度演算手段を適用することもできる。
さらに、上記各実施形態においては、エンジン2の出力側に自動変速機3を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、無段変速機を適用することもできる。
【0066】
さらにまた、上記実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車や四輪駆動車にも本発明を適用することができ、さらにはエンジン2に代え電動モータを適用した電気自動車や、エンジン2及び電動モータを併用するハイブリッド車両にも本発明を適用し得るものである。この場合にはエンジン出力制御装置に代えて電動モータ制御装置を適用すればよいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】走行制御用コントローラの走行制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2の走行制御処理における制御解除処理の具体例を示すフローチャートである。
【図4】目標加減速度と目標制動圧との関係を示す目標制動圧算出マップの一例を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態における動作の説明に供する急減速制御中状態を表すタイムチャートである。
【図6】第1の実施形態における動作の説明に供する通常減速制御状態を表すタイムチャートである。
【図7】第1の実施形態における動作の説明に供する緩減速制御状態を表すタイムチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態を示す走行制御用コントローラの走行処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態における図8の制御解除処理の具体例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における動作の説明に供する急減速制御中状態を表すタイムチャートである。
【図11】第2の実施形態における動作の説明に供する通常減速制御状態を表すタイムチャートである。
【図12】第3の実施形態における動作の説明に供する緩減速制御状態を表すタイムチャートである。
【図13】本発明の変形例を示すタイムチャートである。
【図14】本発明の変形例を示すタイムチャートである。
【図15】本発明の変形例を示す図3に対応するフローチャートである。
【図16】図15の変形例における動作の説明に供するタイムチャートである。
【図17】従来例の追従走行制御動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪
1RL,1RR 後輪
2 エンジン
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ装置
8 制動制御装置
9 エンジン出力制御装置
10 変速機制御装置
12 車間距離センサ
13L,13R 車輪速度センサ
20 走行制御用コントローラ

Claims (10)

  1. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より小さいときに、前記目標加減速度を前記設定値まで大きくしてから前記設定値保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  2. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より小さいときに、前記目標加減速度を前記設定値まで大きくしてから前記設定値保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  3. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より大きいときに、当該目標加減速度を保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  4. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が負側に設定された設定値より大きいときに、当該目標加減速度を保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  5. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値より大きいときに、前記目標制動圧を前記設定値まで低下させてから前記設定値に保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  6. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値より大きいときに、前記目標制動圧を前記設定値まで低下させてから前記設定値に保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  7. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速より低い第2の設定車速以下となったときに車両減速度変化が緩やかとなるように走行制御を解除する解除制御手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値未満であるときに、当該目標制動圧を保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  8. 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する走行制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両に発生させる制動力を制御する制動制御手段と、前記車間距離検出手段で検出した車間距離が目標車間距離に一致するように目標加減速度を設定すると共に、前記目標加減速度に基づいて前記制動制御手段に出力する目標制動圧を設定し、設定された目標加減速度を維持するように走行制御する走行制御手段とを備え、前記走行制御手段は減速制御中に前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となったときに車両減速度の増加を抑制する解除動作開始手段と、車速が前記第1の設定車速未満で且つ前記第1の設定車速より低い第2の設定車速を越えている状態で先行車両との相対速度が負から正に変化したときに車両減速度を徐々 に低下させる早期制御解除手段とを備え、前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が前記第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が設定値未満であるときに、当該目標制動圧を保持するように構成されていることを特徴とする車両用走行制御装置。
  9. 前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となった時点の前記目標加減速度が前記設定値より小さいときに、その時点の目標加減速度を所定時間保持した後、前記設定値まで大きくして保持するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置。
  10. 前記解除動作開始手段は、前記車速検出手段で検出した車速が第1の設定車速以下となった時点の前記目標制動圧が前記設定値より大きいときに、その時点の目標制動圧を所定時間保持した後、前記設定値まで低下させて保持するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用走行制御装置。
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