JP3610872B2 - ハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原動機として内燃機関(エンジン)と電動機(モータ)とを併有し、いずれか一方または双方の駆動力により走行するようにしたハイブリッド車両が知られている(特開平8−182110号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ハイブリッド車両では、アイドル時のエンジントルクの変動に伴う振動を抑制するためエンジンと連れ回るモータを用いて制振制御を行うことが考えられる。すなわち、図3の左半分に示したように、周期的に変動するエンジントルクに対して位相がちょうど逆のモータトルクを発生させ、このモータトルクでエンジントルクの変動を相殺させる。
【0004】
しかしながら、エンジントルク変動の1周期当たりあるいは所定期間当たりのモータ平均トルクが正の値になるときにはモータの電源としての強電バッテリから放電が行われてしまう。この強電バッテリの電力消費によってバッテリ充電量(SOC)が最低充電量を下回るときには、モータを用いての制振制御を中止してエンジン回転速度を高め、強電バッテリに対して強制充電を行わせる必要があり、モータを用いての制振制御を行う機会が限られたものとなる。
【0005】
また、モータ平均トルクがゼロであるときに制振効果が最大となることを実験により確認しているので、モータ平均トルクがゼロでないときにはそのぶん制振効果がそがれる。
【0006】
そこで本発明では、モータを用いての制振制御中のモータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側に制御することにより、モータ平均トルクがゼロとなる状態での制振制御を可能とし、これによってアイドル時にモータを用いて最大限に制振を行いつつ強電バッテリの電力消費を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図11に示すように、エンジン51と、エンジンと連れ回るモータ52と、このモータ52の電源となる強電バッテリ53と、アイドル時にエンジントルクの変動をうち消す向きに前記モータ52により回転速度制御を行う手段54とを備えるハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置において、前記モータ52による回転速度制御中のモータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側に制御する手段55を備え、前記エンジントルクが増える側に制御したときのアイドル空気量をエンジンの停止後も記憶する。
【0009】
第2の発明は、図11に示すように、エンジン51と、エンジンと連れ回るモータ52と、このモータ52の電源となる強電バッテリ53と、アイドル時にエンジントルクの変動をうち消す向きに前記モータ52により回転速度制御を行う手段54とを備えるハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置において、前記モータ52による回転速度制御中のモータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側に制御する手段55を備え、前記エンジントルクが増える側に制御する手段が、スロットル制御装置と、このスロットル制御装置に指示してスロットルバルブ開度が増加する側に制御する手段とからなり、前記スロットルバルブ開度が増加する側に制御したときのスロットルバルブ開度をエンジンの停止後も記憶する。
【0011】
第3の発明では、第1の発明において前記アイドル空気量が、前記正の値のモータ平均トルクに応じた追加アイドル空気量とベースアイドル空気量との和である。
【0012】
第4の発明では、第3の発明において前記ベースアイドル空気量が、目標アイドル回転速度が得られるように予め設定した値である。
【0013】
第5の発明では、第3の発明において前記ベースアイドル空気量が、工場出荷時に前記モータがトルクを発生しないようにした状態で目標アイドル回転速度が得られるように学習された値である。
【0014】
【発明の効果】
第1、第2の発明によれば、モータ平均トルクがゼロとなる状態でモータによる回転速度制御を行うことが可能となり、これによってアイドル時にモータによる回転速度制御で最大限に制振を行うことができ、かつ強電バッテリの消費電力をも抑えることができる。
【0015】
第3、第4の発明によれば、モータ平均トルクの大小に関係なくモータ平均トルクを精度よくゼロとすることができる。
【0016】
第5の発明によれば、工場出荷時のベースアイドル空気量の学習に際してモータによる回転速度制御を停止するので、工場出荷時のベースアイドル空気量の学習時にもモータによる回転速度制御を行うことによる誤学習を防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1、図2にハイブリッド車両の構成例を示す。これらはいずれも走行条件に応じてエンジンまたはモータのいずれか一方または双方の動力を用いて走行するパラレル方式のハイブリッド車両である。
【0018】
図1において、太い実線は機械力の伝達経路を示し、太い破線は電力線を示す。また、細い線は制御線を示し、二重線は油圧系統を示す。この車両のパワートレインは、モータ1、エンジン2、クラッチ3、モータ4、無段変速機5、減速装置6、差動装置7および駆動輪8から構成される。モータ1の出力軸、エンジン2の出力軸およびクラッチ3の入力軸は互いに連結されており、また、クラッチ3の出力軸、モータ4の出力軸および無段変速機5の入力軸は互いに連結されている。
【0019】
クラッチ3締結時はエンジン2とモータ4が車両の推進源となり、クラッチ3解放時はモータ4のみが車両の推進源となる。エンジン2またはモータ4の駆動力は、無段変速機5、減速装置6および差動装置7を介して駆動輪8へと伝達される。無段変速機5には油圧装置9から圧油が供給され、ベルトのクランプと潤滑がなされる。油圧装置9のオイルポンプ(図示せず)はモータ10により駆動される。
【0020】
モータ1は主としてエンジン始動と発電に用いられ、モータ4は主として車両の推進(力行)と制御に用いられる。また、モータ10は油圧装置9のオイルポンプ駆動用である。また、クラッチ3締結時に、モータ1を車両の推進と制動に用いることもでき、モータ4をエンジンの始動や発電に用いることもできる。クラッチ3はパウダークラッチであり、伝達トルクを調節することができる。無段変速機5はベルト式やトロイダル式などの無段変速機であり、変速比を無段階に調節することができる。
【0021】
モータ1、4、10はそれぞれ、インバータ11、12、13により駆動される。なお、モータ1、4、10に直流電動モータを用いる場合には、インバータの代わりにDC/DCコンバータを用いる。インバータ11、12、13は共通のDCリンク14を介して強電バッテリ(42Vバッテリ)15に接続されており、強電バッテリ15の直流充電電力を交流電力に変換してモータ1、4、10へ供給するとともに、モータ1、4の交流発電電力を直流電力に変換して強電バッテリ15を充電する。なお、インバータ11〜13は互いにDCリンク14を介して接続されているので、回生運転中のモータにより発電された電力を強電バッテリ15を介さずに直接、力行運転中のモータへ供給することができる。強電バッテリ15には、リチウム・イオン電池、ニッケル・水素電池、鉛電池などの各種電池や、電機二重層キャパシターいわゆるパワーキャパシターが適用される。
【0022】
16はコントローラであり、マイクロコンピュータとその周辺部品や各種アクチュエータなどを備え、クラッチ3の伝達トルク、モータ1、4、10の回転速度や出力トルク、無段変速機5の変速比、エンジン2の燃料噴射量・噴射時期、点火時期などを制御する。
【0023】
コントローラ16には、図2に示すように、キースイッチ20、セレクトレバースイッチ21、アクセルペダルセンサ22、ブレーキスイッチ23、車速センサ24、バッテリ温度センサ25、バッテリSOC検出装置26、エンジン回転速度センサ27、スロットル開度センサ28が接続される。キースイッチ20は、車両のキーがON位置またはSTART位置に設定されると閉路する(以下、スイッチの閉路をON、開路をOFFと呼ぶ)。セレクトレバースイッチ21は、パーキングP、ニュートラルN、リバースRおよびドライブDのいずれかのレンジに切換えるセレクトレバー(図示せず)の設定位置に応じて、P、N、R、DのいずれかのスイッチがONとなる。
【0024】
アクセルペダルセンサ22はアクセルペダルの踏み込み量を検出し、ブレーキスイッチ23はブレーキペダルの踏み込み量(このときスイッチON)を検出する。車速センサ24は車両の走行速度を検出し、バッテリ温度センサ25は強電バッテリ15の温度を検出する。また、バッテリSOC検出装置26は強電バッテリ15の実容量の代表値であるSOC(State Of Charge)を検出する。さらに、エンジン回転速度センサ27はエンジン2の回転速度を検出し、スロットル開度センサ28はエンジン2のスロットルバルブ開度を検出する。
【0025】
コントローラ16にはまた、エンジン2の燃料噴射装置41、点火装置42、可変動弁装置43、電子制御のスロットル制御装置(直流モータをスロットルアクチュエータとしてバタフライ状のスロットルバルブを駆動する)44などが接続される。コントローラ16は、理論空燃比やそれよりもリーンな空燃比を目標として所定の目標トルクが得られるようにスロットル制御装置44と燃料噴射装置41を制御してスロットルバルブ開度とエンジン2への燃料供給量を調整するとともに、点火装置42を駆動してエンジン2の点火時期制御を行う。また、コントローラ16は可変動弁装置43を制御してエンジン2の吸・排気弁の作動状態を調節する。なお、コントローラ16には低圧の補助バッテリ(12Vバッテリ)33から電源が供給される。
【0026】
コントローラ16ではまた、アイドル時のエンジントルクの変動に伴う振動を抑制するため、エンジントルクに対して位相がちょうど逆のモータトルクを発生させ、このモータトルクでエンジントルクの周期的変動を相殺させるようにモータ1の回転速度制御を行う(図3参照)。モータ1を用いてのこの回転速度制御の方法そのものは公知であるため詳述しない。
【0027】
この場合にモータ平均トルクが正の値になるときには強電バッテリ15の電力を消費することになるので、これを避けるため、コントローラ16ではモータ1の回転速度制御中のモータ平均トルクが正の値のとき、モータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側(たとえば吸入空気量が増える側)に制御する。この場合、吸入空気量はスロットルバルブ開度に応じて変化するので、スロットルバルブ開度を増加させることによってエンジンの吸入空気量を増やす。
【0028】
コントローラ16で実行されるこの制御の内容を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
図4はアイドル時のスロットルバルブ目標開度を演算するためのもので、一定時間毎(たとえば10ms毎)に実行する。
【0030】
ステップ1ではアイドル回転速度のフィードバック制御条件が成立しているかどうかをみる。フィードバック制御条件は次の2つの条件が成立しているときで、どちらか一つでも解除されるとフィードバック制御条件の不成立となり、フィードバック制御が停止される。
【0031】
▲1▼スロットルバルブ開度がアイドル位置にあること。
【0032】
▲2▼車速が所定値以下またはセレクトレバーがニュートラル位置にあること。
【0033】
フィードバック制御条件が成立しているときにはステップ2に進み、追加アイドル空気量の学習が終了しているかどうかをフラグ(ステップ11で後述する追加アイドル空気量学習済フラグ)でみる。追加アイドル空気量の学習が済んでいないときには(追加アイドル空気量学習済フラグ=0)、ステップ3以降に進んで追加アイドル空気量の学習を行う。詳細にはまずステップ3でモータ1電流値をサンプリングする。ただし、アイドル時にはモータ1による制振のための回転速度制御が行われているものとして説明する。したがって、ここでのモータ1電流値は、制振のための回転速度制御中のモータ1電流値である。
【0034】
モータ1電流値のサンプル数が所定値たまるまではステップ5、6、7に進む。すなわち、ステップ5でベースアイドル空気量を目標アイドル空気量とする。ベースアイドル空気量は目標アイドル回転速度NSETが得られるように予め設定される値である。目標アイドル回転速度NSETは、水温、エアコンディショナ、ギヤ位置などにより変わる値であるため、ベースアイドル空気量も水温、エアコンディショナ、ギヤ位置などにより変化する。ここでは簡単のためNSETが一定値の場合で説明すると、このときベースアイドル空気量は固定値となる。
【0035】
ステップ6、7ではこの目標アイドル空気量から図5を内容とするテーブルを検索した値をスロットルバルブ目標開口面積として算出し、さらにこの目標開口面積から図6を内容とするテーブルを検索した値をスロットルバルブ目標開度として算出する。
【0036】
このようにして算出されたスロットルバルブ目標開度は直流モータ(スロットルアクチュエータ)への指令信号に変換されて出力される。そして、スロットル開度センサ28により検出される実際のスロットルバルブ開度が目標開度と一致していなければ、一致するようにフィードバック制御される。
【0037】
一方、モータ1電流値のサンプル数が所定数たまったときにはステップ8〜12に進む。すなわち、ステップ8で所定数のモータ1電流値(サンプル値)を用いてモータ1平均トルクを算出する。モータ1平均トルクの算出方法は公知であるため、説明は省略する。
【0038】
ステップ9ではこのモータ1平均トルクから図7を内容とするテーブルを検索した値を追加アイドル空気量として算出し、この値をステップ10においてコントローラ16内のメモリ(RAM)に保存する。これで追加アイドル空気量の学習を終了するのでステップ11で追加アイドル空気量学習済フラグを0から1に切換える。
【0039】
上記の追加アイドル空気量は、制振のための回転速度制御中のモータ1平均トルク分(ただしモータ平均トルクは正の値)をエンジンのほうで追加して発生させるための空気量である。ステップ12ではこの追加アイドル空気量をベースアイドル空気量に加算した値を目標アイドル空気量として算出したあと、ステップ6、7の処理を実行する。
【0040】
なお、図7に示したようにモータ1平均トルクが負の値のとき追加アイドル空気量を負の値で与えている。これは次の理由による。モータ1平均トルクが負の値のときには強電バッテリ15に対して過充電が行われ、強電バッテリの劣化を早めてしまうので、これを避けようとしてモータを用いての制振制御を中止したのでは、制振制御を行う機会が限られたものとなる。そこで、モータ1平均トルクが負の値のときにもモータ1平均トルクをゼロにするため、モータ平均トルクが正の値のときとは逆に、追加アイドル空気量に負の値を与えてエンジントルクが減る側に制御するようにしたものである(図10参照)。これによって強電バッテリ15の劣化を防ぐことができ、かつ制振制御を行う機会を制限することもない。
【0041】
追加アイドル空気量学習済フラグ=1となった後もフィードバック制御条件が成立していれば、次回よりステップ2からステップ13、14に進むことになり、上記のメモリより読み出した追加アイドル空気量をベースアイドル空気量に加算して目標アイドル空気量を算出し、ステップ6、7ではこの目標アイドル空気量が流れるようにスロットルバルブ開度を制御する。
【0042】
その後にエンジン2が停止されたとき、メモリに保存していた追加アイドル空気量をその値が消失しないようにEEPROMに移す。
【0043】
ここで、本実施形態の作用を図3を参照して説明すると、同図の右半分が本実施形態の場合である。本実施形態によれば、アイドル時に制振のためモータ1により回転速度制御を行った場合に、モータ1平均トルクが正の値であるときにはアイドル空気量を増すことによりその正の値のモータ1平均トルクの分だけエンジンのほうで余分に発生させるようにしたので、モータ1平均トルクがゼロとなる状態でのモータ1による回転速度制御を行うことが可能となり、これによってアイドル時にモータ1による回転速度制御で最大限に制振を行いつつ強電バッテリ15の消費電力を抑えることができる。
【0044】
なお、アイドル回転速度はエンジントルクとモータトルクの合計で定まるので、モータ平均トルクの分だけエンジンのほうで余分に発生させたからといって、アイドル回転速度が変化することはない。
【0045】
さて、電子制御のスロットル装置を備えるエンジンではスロットルバルブの取り付け誤差などに起因して目標アイドル回転速度が得られないことを防止するため、工場からの出荷時に車両毎にスロットルバルブ開度を調整して目標アイドル回転速度が得られるようにしたあと、このときの空気量(つまりベースアイドル空気量)を学習するのであるが、この場合にも制振のためモータ1による回転速度制御が行われたのではモータ平均トルクがゼロでない値をもつ場合に誤学習が生じる。これは、ベースアイドル空気量はそもそもエンジン単体に対しての値であるはずのところ、モータの作動中はエンジントルクとモータトルクの合計でアイドル回転速度が定まるため、モータトルクの分が誤差として生じてくるためである。たとえばスロットルバルブ開度が同じでも、モータ平均トルクが正の値のときにはその分だけアイドル回転速度が上昇してしまい、この逆にモータ平均トルクが負の値のときにはその分だけアイドル回転速度が下降する。
【0046】
そこで、工場出荷時のベースアイドル空気量の学習に際してはモータ1による回転速度制御を停止する。
【0047】
コントローラ16で実行されるこの制御内容を図8を参照して詳述すると、ステップ21ではベースアイドル空気量を学習する旨の指示を受信したかどうかをみる。学習の指示は診断用ツールあるいはこれと類似のハンドツール(図示しない)により実行される。すなわち、コントローラ16と通信可能なハンドツールをコントローラ16に接続し、そのハンドツールを操作してコントローラ16に対しベースアイドル空気量の学習を指示する。
【0048】
学習指示を受信したときにはステップ22でモータ1による回転速度制御を停止するためモータ1トルクをゼロにする。
【0049】
ステップ23ではベースアイドル空気量を学習済みかどうかをフラグ(後述するステップ35のベースアイドル空気量学習済フラグ)よりみる。まだベースアイドル空気量を学習していなければ(ベースアイドル空気量学習済フラグ=0)、ステップ24に進みアイドル回転速度のフィードバック制御条件であるかどうかみる。フィードバック制御条件でなければ、ステップ36に進んでスロットルバルブ目標開度を前回と同じに維持する(スロットルバルブ目標開度の前回値であるtTVOzをそのままスロットルバルブ目標開度の今回値であるtTVOに移す)。なお、スロットルバルブ目標開度の初期値には所定の固定値が入っている。
【0050】
フィードバック制御条件になると、ステップ25に進み回転速度センサ27より検出される実エンジン回転速度Neを読み込み、これと目標アイドル回転速度NSETとの偏差の絶対値と許容値εをステップ26で比較する。ここではNeがNSETより許容値を超えて外れている場合で説明すると、このときステップ27に進み、NSETとNeを比較する。NeがNSETより低いときにはNeをNSETへと高めるためステップ28でスロットルバルブ目標開度tTVOを一定値ΔTVOだけ増す。このスロットルバルブ開度の増加で吸入空気量が増し、エンジン回転速度が上昇する。それでもまだ許容値εを外れていればステップ28の処理を繰り返す。この結果、やがてNeがNSETを中心とする許容値εのうちに落ち着く。
【0051】
NeがNSETより高いときも同様であり、NeをNSETへと下げるためステップ29でスロットルバルブ目標開度tTVOを一定値ΔTVOだけ減らす。このスロットルバルブ開度の減少で吸入空気量が減り、エンジン回転速度が低下する。それでもまだ許容値εを外れていればステップ29の処理を繰り返す。この結果、やがてNeがNSETを中心とする許容値εのうちに落ち着く。
【0052】
このようにしてNeがNSETを中心とする許容値εのうちに落ち着くと、ステップ30に進み、スロットルバルブ目標開度を前回と同じに維持する。そして、ステップ31、32ではそのときのスロットルバルブ目標開度より図6を内容とするテーブルを検索することによりスロットルバルブ開口面積を算出し、この開口面積からさらに図5を内容とするテーブルを検索することによりアイドル空気量を算出する。そして、ステップ33、34ではこのアイドル空気量をベースアイドル空気量に入れ、このベースアイドル空気量をコントローラ16内のメモリ(RAM)に格納する。これで、ベースアイドル空気量の学習が終了するのでステップ35でベースアイドル空気量学習済フラグを0から1に切換える。
【0053】
このベースアイドル空気量学習済フラグ=1により次回からステップ23よりステップ36に進み、スロットルバルブ目標開度を前回と同じに維持する。
【0054】
このようにして工場出荷時のベースアイドル空気量の学習が終了すると、上記のハンドツールによりベースアイドル空気量の学習をキャンセルする指示を出した後、ハンドツールをコントローラ16から外す。
【0055】
その後にエンジン2が停止されたとき、メモリ(RAM)に保存していたベースアイドル空気量をその値が消失しないようにEEPROMに移す。
【0056】
このように第2実施形態によれば、工場出荷時のベースアイドル空気量の学習に際してモータ1による回転速度制御を停止するので、工場出荷時のベースアイドル空気量の学習時にもモータ1による回転速度制御を行うことによる誤学習を防止できる。
【0057】
実施形態ではモータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるように追加アイドル空気量を算出し、エンジン停止時にこの追加アイドル空気量をその値が消失しないようにEEPROMに移す場合で説明したが、モータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側に制御したときのスロットルバルブ開度を、エンジン停止時にその値が消失しないようにEEPROMに移してもかまわない。
【0058】
実施形態では、制振のためのモータによる回転速度制御時のトルク波形がサインカーブ近似である場合で説明したが(図3参照)、これに限定されるものでなく、図9に示したように矩形波のトルク波形となるものであってもよいし、さらにチョッパ駆動やPWM駆動によりモータ回転速度制御を行うものであってもよい。要は、周期的に変動するエンジントルクに対して位相が逆であってエンジントルクの変動を相殺させるようにモータトルクを発生させるものであればかまわない。
【0059】
実施形態では電子制御のスロットル制御装置を備える場合で説明したが、アクセルペダルと連動するスロットルバルブをバイパスする通路に、コンロトーラにより制御される補助空気制御弁を備えるものに対しても本発明を適用できる。
【0060】
実施形態ではアイドル時で説明したが、アイドル時に限定されるものでなく、アイドル時に近い低負荷状態である限り同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能なハイブリッド車両の構成例を示す概略構成図。
【図2】コントローラのブロック図。
【図3】モータ平均トルクが正の値のときの第1実施形態の作用を示す波形図。
【図4】コントローラが行う制御動作を示すフローチャート。
【図5】アイドル空気量とスロットルバルブ開口面積の関係を示す特性図。
【図6】スロットルバルブ開口面積とスロットルバルブ開度の関係を示す特性図。
【図7】モータ平均トルクと追加アイドル空気量の関係を示す特性図。
【図8】第2実施形態のコントローラが行う制御動作を示すフローチャート。
【図9】第3実施形態の作用を示す波形図。
【図10】モータ平均トルクが負の値のときの第1実施形態の作用を示す波形図。
【図11】第1の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
1 モータ(エンジンと連れ回るモータ)
2 エンジン
15 強電バッテリ
16 コントローラ
27 回転速度センサ
44 スロットル制御装置
Claims (5)
- エンジンと、
エンジンと連れ回るモータと、
このモータの電源となる強電バッテリと、
アイドル時にエンジントルクの変動をうち消す向きに前記モータにより回転速度制御を行う手段と
を備えるハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置において、
前記モータによる回転速度制御中のモータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側に制御する手段を備え、
前記エンジントルクが増える側に制御したときのアイドル空気量をエンジンの停止後も記憶する、
ことを特徴とするハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置。 - エンジンと、
エンジンと連れ回るモータと、
このモータの電源となる強電バッテリと、
アイドル時にエンジントルクの変動をうち消す向きに前記モータにより回転速度制御を行う手段と
を備えるハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置において、
前記モータによる回転速度制御中のモータ平均トルクが正の値のときモータ平均トルクがゼロとなるようにエンジントルクが増える側に制御する手段を備え、
前記エンジントルクが増える側に制御する手段は、
スロットル制御装置と、
このスロットル制御装置に指示してスロットルバルブ開度が増加する側に制御する手段と、からなり、
前記スロットルバルブ開度が増加する側に制御したときのスロットルバルブ開度をエンジンの停止後も記憶する、
ことを特徴とするハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置。 - 前記アイドル空気量は、前記正の値のモータ平均トルクに応じた追加アイドル空気量とベースアイドル空気量との和である
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置。 - 前記ベースアイドル空気量は、目標アイドル回転速度が得られるように予め設定した値である
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置。 - 前記ベースアイドル空気量は、工場出荷時に前記モータがトルクを発生しないようにした状態で目標アイドル回転速度が得られるように学習された値である
ことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両のアイドル回転速度制御装置。
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