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JP3608121B2 - 基板の機械的脱離機構およびその機構を用いた脱離方法 - Google Patents

基板の機械的脱離機構およびその機構を用いた脱離方法 Download PDF

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JP3608121B2
JP3608121B2 JP05931995A JP5931995A JP3608121B2 JP 3608121 B2 JP3608121 B2 JP 3608121B2 JP 05931995 A JP05931995 A JP 05931995A JP 5931995 A JP5931995 A JP 5931995A JP 3608121 B2 JP3608121 B2 JP 3608121B2
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泰幸 白井
智明 長田
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アネルバ株式会社
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ベースに保持された基板を機械的に脱離する機構に関する。より詳細には、この発明は、残留電荷によって電極にクランプされたままの基板を機械的に脱離する機構に関する。さらに、この発明は、基板機械的脱離機構を用いた脱離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマ処理装置、例えばドライエッチング装置において処理される基板、例えば半導体ウエハを電極に保持するために、図9に示したような静電チャック(または静電クランプ)が知られている。
【0003】
図9において、101が円盤状の基板、102が基板101の中央部に対向させた基板上下用ピン、103が台、104が電極、105が処理室、106が電極104を上下方向に昇降させるための支柱、107がフレームである。また、125は電極104の上面周縁部のカバーである。
【0004】
台103は、誘電体製あるいは誘電体の薄膜をコーディングした金属製台である。従って誘電体に蓄積した静電気による静電吸着力を利用して基板101を電極104にクランプさせる。もし、基板101の裏側に誘電体膜、例えばSiO膜が形成されているならば、台103は金属製であっても静電吸着力によって基板101を電極104にクランプできる。
【0005】
支柱106を介して電極104を降下させていくと、ピン102に連結した軸106aの下端にあるストッパ108がフレーム107に当る。さらに電極104を降下させると、ピン102が台103の保持面(図中上面)より突出するので、ピン102の突き上げによって基板101を台103から脱離させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来の基板脱離機構においては、台103に残留した静電気のために、ピン102で基板101を少し持ち上げると、基板101でピン102があたる部分は台103から少し離れる。しかし、ピン102の当たっていない部分、とくに基板101のへりはいまだに台103にくっついている。さらに、基板101を持ち上げると、図10に示したように基板101のへりの一部が台103にくっついたままで、基板101が上がる。いわゆる基板101が片上りする。基板101を処理室105から取り出すために、ピン102の突き上げを止めると基板101は斜めに傾いたままとなる。基板101が斜めに傾いた状態で、搬送ロボットのハンド30が基板101と台103の間に入って、基板101をハンド30に乗せようとすると、4つのつめ31、31に沿って基板101が収まらない(点線で記した位置)。このようなアクシデントによって基板101の受け渡しに支障が生じるという問題点があった。もし、基板101の受け渡しの際に、基板101が水平の体勢ならば、このようなアクシデントは生じないであろう。
【0007】
この発明は、前記の如くの問題点に鑑みてなされたもので、基板101を台103から完全に離脱しかつ水平の体勢に修正できるようにした基板の機械的脱離機構及びその機構を用いた脱離方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成したこの発明は、ベースと、基板を保持するためにそのベース上に配置された基板より小さい台と、その台から突き出てくるピンと、その台の周囲に配置された基板のへりの裏面と対向し昇降するリングとからなる基板の脱離機構において、基板のへりと対向するリングの部分の厚みは、台の厚みより薄くしてあり、さらに、ピンが基板を持ち上げた後にリングが基板のへりを持ち上げるための駆動手段を有している基板の機械的脱離機構である。
【0009】
駆動手段は、ベースを昇降させるかまたは、ピンとリングを一緒に昇降させる。ベースを昇降させる駆動手段は、ベースを支える支柱につながったナットと、そのナットと螺合しているネジと、そのネジを回転させるモータと、フレームに当たってピンを持ち上げるためのストッパと、さらにリングを持ち上げるためにベースの周囲に固定されたストッパを有する。ピンとリングを一緒に昇降させる駆動手段は、ピンを持ち上げるためのストッパと、リングを持ち上げるためのストッパと、それらのストッパを持ち上げるプレートと、そのプレートのつながっているナットと、そのナットに螺合しているネジと、さらに、そのネジを回転させるモータを有する。
【0010】
また、別に前記の目的を達成したこの発明は、ベースと、基板を保持するためにそのベース上に配置された基板より小さい台と、その台から突き出てくるピンと、その台の周囲に配置された基板のへりの裏面と対向し昇降するリングと、ここにおいて、基板のへりと対向するリングの部分の厚みは、台の厚みより薄くしてあり、ピンを持ち上げるための駆動手段と、さらに、リングを持ち上げるための駆動手段を有する基板の機械的脱離機構である。
【0011】
ピンの駆動手段は、ピンを持ち上げるためのストッパと、そのストッパを持ち上げる円形プレートと、そのプレートのつながっているナットと、そのナットに結合しているネジと、さらに、そのネジを回転させるモータを有する。リングの駆動手段は、リングを持ち上げるためのストッパと、そのストッパを持ち上げる馬蹄形プレートと、そのプレートのつながっているナットと、そのナットに結合しているネジと、さらに、そのネジを回転させるモータを有する。
【0012】
プラズマ処理用の基板の機械的脱離機構のベースは、電極である。さらに、静電吸着で基板を保持する機構を備えた機械的脱離機構の台は、誘電体製または誘電体の薄膜をコーディングした金属製台である。
【0013】
この機械的脱離機構のピンは、基板の中央部を突き上げられるような位置にベース内に配置されている。
【0014】
さらに、前記の目的を達成したこの発明は、ベースの台に保持された基板をピンで突き上げて、基板を斜めに傾かせ、そして、ピンで基板を持ち上げながらリングで基板のへりを持ち上げていく脱離方法である。
【0015】
また、さらに、前記の目的を達成したこの発明は、ベースの台に保持された基板をピンで突き上げて、基板を斜めに傾かせ、そして、ピンを固定しながらリングで基板のへりを持ち上げていく脱離方法である。
【0016】
この脱離方法では基板をピンで約1mm突き上げるようにしてある。
【0017】
【作用】
この発明の機械的脱離機構によれば、基板が置かれた台のかどにくっついている基板のへりを離するための力を、基板のへりに与えることができる。図11は、ピン2で静電吸着された基板1を持ち上げて、基板1が斜めに傾いた後に、上に持ち上げられているリング9が基板1のへりに接触した状態を示す。この状態のもとで、基板1に作用している力は、リング9の環状段部9aと接触しているa点では、リング9が基板1のへりを上に持ち上げる力F1、台3のかどと接触しているb点では、台3に残留する静電気による静電吸着力F2、ピン2と接触しているc点では、ピン2が基板1を上に持ち上げる力F3、さらに、基板1の重心dで基板1の重さWがある。これらの力が、基板1の脱離を通じて、どのように基板1に作用するかということを、図12を用いて説明する。
【0018】
図12中(1)の段階では、c点でF3によって基板1を持ち上げているが、b点でF2の作用によって基板1は斜めに傾いている。ただし、この段階では、環状段部9aが基板1のへりと接触していないため(図11)、a点でF1は、まだ、作用していない。この段階で注目すべきことは、基板全体に作用していた静電吸着力が、b点のみにしか作用していないことである。b点のみに作用している静電吸着力F2を基板1から取り除くことによって、基板1の脱離が達成される。
【0019】
(2)の段階では、環状段部9aが基板1のへりと接触して、a点でF1が作用する。ここで、この発明にとって、基板1にF3が作用した後にa点でF1が作用することが重要である。いいかえれば、基板1の脱離には、ピン2で基板1を持ち上げた後にリング9で基板1のへりを持ち上げることが重要である。なぜなら、図12に示すように、基板全体に均一に静電吸着が作用している状態で、短時間に、ピン2とリング9が同時に基板1を持ち上げると、基板1は飛び跳ねてしまうからである。飛び跳ねた基板1が落下して、台3に衝突して、基板1が割れてしまうことがある。また、(1)の段階で、基板1が斜めに傾かせるために、台3の厚みを環状段部9aの厚みよりも薄くすることが必要である。台3の厚みと環状段部9aの厚みが同じだと、リング9で基板1のへりを持ち上げなくとも、ピン2で基板1を持ち上げると同じように基板1は飛び跳ねてしまう。図14に示すように、ピン2で基板1を持ち上げると同時に、基板1のへりが環状段部9aに当たるため、見かけ上、基板1のへりを環状段部9aで持ち上げるようになるからである。したがって、基板1の飛びはねを防止するために、環状段差の厚みは、台3の厚みよりも薄くしなければならない。
【0020】
(3)の段階で、b点で基板1にかかる静電吸着力F2に抗して、F1とF3を基板1に作用させながら、基板1を持ち上げていく(矢示35の方向)。基板1を持ち上げていく間は、リング9(F1)とピン2(F2)が同時に持ち上げ、さらにリング9(F1)の持ち上げる速度とピン2(F2)の持ち上げる速度が同じであるため、基板1は斜めに傾いたまま持ち上がってくる。基板1のへりが台3のかど、すなわちb点を離れた瞬間、基板1に作用していた静電吸着力F2は消滅する。
【0021】
(4)の段階で、基板1の重心d点に作用していた基板1の重さWによって、斜めに傾いていた基板1は、自然に、矢示36の方向に動く。この動きによって、基板1はすべてのピン2上に乗るため、基板1は水平となる。基板1が水平になるとき、リング9から基板1のへりが離れるため、基板1にF1は作用しない。
【0022】
(3)の段階で別な方法にしたがって、基板を台3から離脱させ、さらに、水平にすることができる。すなわち、ピン2の持ち上げを停止して、リング9のみで基板1のへりを持ち上げていく方法である。この方法によれば、c点が支点、a点が力点、そして、b点が作用点としてはたらく、てこの原理によって、斜めに傾いた基板1は、矢示36の方向に動き、そして、基板1はすべてのピンに乗って水平となる。
【0023】
【実施例】
以下、この発明を静電チャックで電極に保持された基板を離脱させる実施例を図を参照して説明する。図1が好適な第一実施例の機械的脱離機構を示した断面図である。この機械的脱離機構は、日電アネルバ社製マルチチャンバドライエッチングシステム「ANELVA−4100」の平行平板形エッチング処理用チャンバ5に組み込まれている。チャンバ5には、図示していないエッチングガスをチャンバ5に導入するための管とチャンバ5内を真空にするための真空ポンプの他に、半導体ウエハ1を設置する電極4とそれに対向する電極40が供えつけられている。半導体ウエハ1を乗せる誘電体製の円形台3が円形の電極4の上に配置されている。円形台3は半導体ウエハ1よりも小さいので、半導体ウエハ1のへりが円形台3から飛び出している。円形台3の周囲にはリング9が配置してある。リング9は、内側に環状段部9aが形成されている。その環状段部9aの一部は、円形台3から飛び出した半導体ウエハ1のへりの裏面と対向している。リング9の外側に環状鍔9bが形成されている。図2に示すように、その環状鍔9bの裏面と電極4の外側に設けたストッパ10のヘッドの一部が対向する。4本のストッパ10は、電極4の外側に等間隔で配置されている。電極4には、プラズマを発生するためのrf電源41と、可変直流電源42とrf電源をカットするためのフィルタ44で成り立つ静電吸着用電源45がつながっている。
【0024】
円形台3の中央部に等間隔で4つの孔3aが形成されている。この孔3aを通してピン2が電極4から突出または没入する。ピン2で半導体ウエハを持ち上げるためには、少なくとも3本のピンが必要である。しかし、本実施例では、4本のピン2で基板1を持ち上げる。4本のピン2は、孔3aに合わせて円形の支持プレート12上に立っている。支持プレート12の下側に接続された軸6aは軸受11a、11bによって、上下方向に摺動できるよう保持されている。軸6aの下端には、シリンダ14内のピストン33と接続している。加圧流体(油または空気)をシリンダ14内に流出入させることで、軸6aを、後述する支柱6の上下の動きとは別に、独自に上下に動かすことができる。シリンダ14の下端にはストッパ8が配置されている。ストッパ8が、フレーム7に突き当たることで、軸6aが下がるのを止める。
【0025】
電極4の下側に支柱6が設けられている。支柱6はチャンバ5の外側に突きで出いる。チャンバ5の壁面と支柱6が接触する部分では、グリース46を介して2つのOリング43、43が備え付けられているため、チャンバ5内を気密に保てると共に、支柱6は摺動することができる。電極4の下側に設けた支柱6の側壁には腕15が設けられている。腕15の先端にはナット16が設けられている。ナット16は、フレーム7内に設置したネジ17と螺合している。ネジ17をモータ18で回転することによって、支柱6が矢示19のように昇降し、同時に電極4も支柱6と同方向に昇降する。
【0026】
半導体ウエハ1を円形台3にクランプする場合、ピン2の先端が円形台3の上面(クランプ面)を出ないよう電極4の中央凹所4a内に没入させるておく。半導体ウエハ1をクランプしている状態では、ストッパ8はフレーム7に当たっていない。それとともに、シリンダー14内のピストン33は、もっとも下側に移動している。さらに、リング9の環状鍔9bの下面もストッパ10に当たっていない(図1)。
【0027】
次に半導体ウエハ1の脱離の際の支柱6、ピン2とリング9の動作を説明する。
【0028】
(1)最初にモータ18を駆動させることによって支柱6を降下させる。支柱6を降下させると、ストッパ8がフレーム7に当たり、支柱6と同時に降下していた軸6aの降下が停止する。さらに支柱6を降下させると、相対的に軸6aが上昇する。軸6aの相対的な上昇によって、ピン2は孔3aを通して円形台3の上面に突出する。ピン2の先端の面と円形台3の上面が面一の時、環状鍔9bとストッパ10との距離は約1mmである。とくに、環状鍔9bとストッパ10との距離は1mmに限定されない。しかし、この距離が0.5〜10mmの範囲であっても、半導体半導体ウエハ1を水平の体勢で完全に台3から離脱することができる。
【0029】
(2)つぎに、さらに、支柱6を降下させると環状鍔9bとストッパ10が接触する。このとき、ピン2は円形台3の上面より約1mm突出している。この時、円形台3に残留する静電気により半導体ウエハ1のへりの一部が円形台3のかどにくっついたままとなっている。半導体ウエハ1は、図3に示すように斜めに傾いた体勢となっている。
【0030】
(3)また、さらに支柱6を降下させると、ピン2が1mmを越えて突出する。それとともに、図3に示すように、ストッパ10に当たったリング9が浮き上がってくる。浮き上がってくるリング9の環状段部9aが、円形台3のがとにくっついていた半導体ウエハ1のへりにぶつかる。さらに、リング9が浮き上がってくると、円形台3のかどから半導体ウエハ1を引き離し、持ち上げ、そして、半導体ウエハ1をすべてのピン2に乗せる。半導体ウエハ1は図4に示したように円形台3から完全に脱離し、水平の状態で保持される。
【0031】
(4)続いて、図5に示すように、シリンダー14に加圧流体を矢印34の方向から供給して、軸6aを矢示20の方向に持ち上げる。軸6aが持ち上げられると、ピン2が浮き上がっているリング9を越えて突き出して、半導体ウエハ1はリング9の上に持ち上げられる。半導体ウエハ1とリング9の間に搬送ロボットのハンド30が入り、半導体ウエハ1を4つのつめ31の沿って収める。
【0032】
残留電荷以外の原因でも、例えば振動でピン2で持ち上げられた半導体ウエハ1がピン2から滑り落ちたり、または、振動で台3からずれた半導体ウエハ1が持ち上げられると半導体ウエハ1が斜めに傾くことがある。このようなトラブルでも、上記の方法で斜めに傾いたウエハ1を水平の体勢に戻すことができる。
【0033】
リング9は、金属製または絶縁材製でもよい。半導体ウエハ1に接する部分とストッパ10に接触する部分の材質を異なるようにするために、図6(a)に示したように、内周リング21aと外周リング21bの別々の部材としてもよい。また、ピン2は、図6(b)および(c)に示したように、先端に円形プレート22を設けることもできる。
【0034】
また、環状段部9aは、必ずしも環状である必要はない。リング9の内側に少なくとも3個の突片を等間隔で設けるようにしてもよい。環状段部9aで半導体ウエハ1と接触する表面に凹凸を形成して、半導体ウエハ1との接触面積を可及的に小さくしてもよい。
【0035】
環状鍔9bは、必ずしも環状である必要はない。例えば、図7に示すようにリング9に4個(少なくとも3個)の突片を外側に形成してもよい。この場合、これらの各突片と対向させてストッパ10を設ける。ストッパ10は、上記実施例ではチャンバー5の底壁に立てたが、チャンバー5の側壁に設けてもよい。また、ストッパ10は図6に示したように、円筒23であってもよい。
【0036】
第一実施例では、電極4を降下させて、相対的にピン2およびリング9を上昇させていた。しかし、電極4を固定して、ピン2およびリング9を上昇させることもできる。
【0037】
図7は、円形台3側をチャンバ5内に固定し、ピン2およびリング9が昇降できるようにした好適な第二実施例である。
【0038】
ナット16につながったプレート26が、ストッパ8と、ストッパ10に接続した昇降軸24の下端に設けてある。ストッパ8、ストッパ10、プレート26、ナット16、ネジ17およびモータ18で構成される駆動機構でピン2とリング9が昇降する。
【0039】
モータ18を駆動してプレート26を上昇させると、最初にストッパ8に当たり、ストッパ8を持ち上げる。ストッパ8が持ち上がることで、ピン2が円形台3より突出する。その途中で、プレート26は、昇降軸24に当たり、昇降軸24を持ち上げている。ピン2が円形台3より約1mm突出した時点で、持ち上げられている昇降軸24につながっているストッパ10がリング9の環状鍔9bに当たる。さらに、プレート26が上昇すると、ピン2が突き当るとともに、リング9が浮き上がる。引き続きプレート26の上昇を続行すると、リング9の環状段部9aが傾いた半導体ウエハ1のへりに当たり、そのへりを持ち上げ、そして半導体ウエハ1をすべてのピン2に乗せる。このようにして、斜めに傾いた半導体ウエハ1を水平の状態とすることができる。半導体ウエハ1が水平になった後、第一実施例の(4)と同様に、シリンダー14に加圧流体を供給して、半導体ウエハ1をリング9の上に持ち上げる。昇降軸24のうちでチャンバ5の内側に円形ストッパ27が取り付けられている。このストッパ27は、プレート26が上昇するばあい、プレート26がストッパ8に当たった後に、昇降軸24がプレート6に当たるようにするための役割をはたす。
【0040】
図15は、ピン2およびリング9が別々に昇降できるようにした好適な第三実施例である。リング9を持ち上げる独自の駆動機構が、第三実施例には追加されている。その駆動機構は、ストッパ10、梅蹄形プレート52、ナット50、ネジ53およびモータ51で構成されるている。ナット50につながった馬蹄形プレート52が、ストッパ10に接続した昇降軸24の下端に設けてある。図16に示されるように、円形プレート26はストッパ8につながったピン2を、馬蹄形プレート52はストッパ10を通してリング9をそれぞれ別個に持ち上げることができる。
【0041】
この第三実施例によれば、上記の方法で基板を離脱することができるが、さらに別な離脱方法でも、基板を離脱することができる。この別な離脱方法は、リング9で半導体ウエハ1を持ち上げる際に、ピン2は固定されていることが特徴である。 この別な脱離方法によるピン2とリング9の動作を説明する。
【0042】
(1)モータ18を駆動させて、ピン2を円形台3の上面から約1mmほど突出させる。ピン2の突出で、半導体ウエハ1のへりの一部が円形台3のかどにくっついたまま、半導体ウエハ1は斜めに傾く。その後、モータ18の駆動を停止して、ピン2の上昇を停止する。
【0043】
(2)つぎに、モータ51を駆動させて、リング9を持ち上げる。持ち上げられている9の環状段部9aが半導体ウエハ1のへりにあたり、半導体ウエハ1のへりを円形台のかどから引き離す。さらに、環状段部9aが半導体ウエハ1を持ち上げることで、半導体ウエハ1と接触しているピン2を支点として、斜めに傾いていた半導体ウエハ1が水平となる。半導体ウエハ1が水平となった時点で、モータ51の駆動を停止して、リング9の上昇を停止する。
【0044】
(3)半導体ウエハ1をチャンバ5から取り出すために、モータ18を駆動させて、半導体ウエハ1をさらに持ち上げる。
【0045】
この発明において、以上説明したきた作用、すなわちピンが基板を持ち上げた後にリングが基板のへりを持ち上げる作用が基板脱離に適用できる限りにおいては、その他の条件はどのようなものであってもよい。静電吸着方式以外の基板保持方式、例えば真空吸着方式であっても、または、米国特許4,990,229および5,122,251に記載されているヘリコン波プラズマ処理用チャンバであっても、この発明は応用できる。
【0046】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、基板を台から完全に離脱でき、かつ基板の受け渡し前に基板を水平に修正できる効果がある。この結果、基板の受け渡し時の支障をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施例の一部を省略した断面図である。
【図2】同じく第一実施例の一部を省略した平面図である。
【図3】同じく第一実施例で、ピンを上昇開始した状態の一部を省略した断面図である。
【図4】同じく第一実施例で、リングが作用した状態の一部を省略した断面図である。
【図5】同じく第一実施例で、基板の受け渡し時の状態の一部を省略した断面図である。
【図6】この発明の他の実施例の図で、(a)リングの一部断面図、(b)ピン部分の断面図、(c)同じく平面図である。
【図7】この発明の他の実施例の、リングとストッパの一部を省略した平面図である。
【図8】この発明の第二実施例の一部を省略した断面図である。
【図9】従来の基板脱離機構の構成図である。
【図10】同じく従来の基板脱離機構の図で、ピンが作用した状態の図である。
【図11】この発明の機械的脱離機構で、基板にピンとリングが作用したときの基板に及ぼされる力の状態を示す説明図である。
【図12】同じく基板が脱離するまでの基板に作用する力を示す説明図である。
【図13】ピンとリングが同時に基板を持ち上げたときの基板に作用する力を示す説明図である。
【図14】台とリングの環状段部との厚さが同じもとで、ピンで基板を持ち上げたときに基板に作用する力を示す説明図である。
【図15】この発明の第三実施例の一部を省略した断面図である。
【図16】この発明の第三実施例で図15中A−Aで切られた断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ピン
3 円形台
3a 孔
4 電極
4a 凹所
5 チャンバ
6 支柱
6a 軸
7 フレーム
8 ストッパ
9 リング
9a 環状段部
9b 環状鍔
10 ストッパ
11a、11b 軸受
12 プレート
14 シリンダー
15 腕
16 ナット
17 ネジ
18 モータ

Claims (14)

  1. ベースと、基板を保持するためにそのベース上に配置された基板より小さい台と、その台の下から突き出てくるピンと、その台の周囲に配置された基板のへりの裏面と対向し昇降するリングとからなる基板の脱離機構において、基板のへりと対向するリング部分の厚みは、台の厚みより薄くしてあり、さらに、ピンが基板を持ち上げた後にリングが基板のへりを持ち上げるための駆動手段を備えたことを特徴とする基板の機械的脱離機構。
  2. 駆動手段は、ベースを昇降させることを特徴とした請求項1記載の基板の機械的脱離機構。
  3. 駆動手段は、ピンとリングを一緒に昇降させることを特徴とした請求項1記載の基板の機械的脱離機構。
  4. 駆動手段は、ベースを支える支柱につながったナットと、そのナットと螺合しているネジと、そのネジを回転させるモータと、フレームに当たってピンを持ち上げるためのストッパと、リングを持ち上げるためにベースの周囲に固定されたストッパを有することを特徴とした請求項1記載の基板の機械的脱離機構。
  5. 駆動手段は、ピンを持ち上げるためのストッパと、リングを持ち上げるためのストッパと、それらのストッパを持ち上げるプレートと、そのプレートのつながっているナットと、そのナットに螺合しているネジと、さらに、そのネジを回転させるモータを有することを特徴とした請求項1記載の基板の機械的脱離機構。
  6. ベースと、基板を保持するためにそのベース上に配置された基板より小さい台と、その台から突き出てくるピンと、その台の周囲に配置された基板のへりの裏面と対向し昇降するリングと、前記、基板のへりと対向するリングの部分の厚みは、台の厚みより薄くしてあり、ピンを持ち上げるための駆動手段と、リングを持ち上げるための駆動手段を備えたことを特徴とする基板の機械的脱離機構。
  7. ピンの駆動手段は、ピンを持ち上げるためのストッパと、そのストッパを持ち上げる円形プレートと、そのプレートのつながっているナットと、そのナットに螺合しているネジと、そのネジを回転させるモータとよりなることを特徴とした請求項6記載の基板の機械的脱離機構。
  8. リングの駆動手段は、リングを持ち上げるためのストッパと、そのストッパを持ち上げる馬蹄形プレートと、そのプレートのつながっているナットと、そのナットに螺合しているネジと、そのネジを回転させるモータとよりなることを特徴とした請求項6記載の基板の機械的脱離機構。
  9. ベースは、電極であることを特徴とした請求項1または6記載の基板の機械的脱離機構。
  10. 台は、誘電体製または誘電体の薄膜をコーディングした金属製台であることを特徴とした請求項1または6記載の機械的脱離機構。
  11. ピンは、基板の中央部を突き上げられるような位置にベース内に配置されていることを特徴とした請求項1または6記載の基板の機械的脱離機構。
  12. ベース上の台に保持された基板をピンで突き上げて、基板を斜めに傾かせ、ついでピンで基板を持ち上げながらリングで基板のへりを持ち上げることを特徴とする基板の機械的脱離機構を用いた脱離方法。
  13. ベース上の台に保持された基板をピンで突き上げて、基板を斜めに傾かせ、ついでピンを固定しながらリングで基板のへりを持ち上げることを特徴とする基板の機械的脱離機構を用いた脱離方法。
  14. 基板をピンで約1mm突き上げることを特徴とした請求項12または13記載の基板の機械的脱離機構を用いた脱離方法。
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