JP3607137B2 - 永久磁石埋め込み回転子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転子コアに設けられた収容孔に複数の永久磁石を埋め込んだ永久磁石埋め込み回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機等の駆動源として、回転子鉄心に永久磁石が装着された回転子を有する永久磁石電動機が用いられている。その際、高性能の永久磁石電動機としては、永久磁石埋め込み構造の永久磁石電動機が用いられることが多い。
従来、永久磁石埋め込み回転子としては、特開平6−339241号公報に記載されている構造のものが知られている。この永久磁石埋め込み回転子を図8に示す。図8は、4極の永久磁石埋め込み回転子を示している。回転子コア51には、軸方向に垂直な断面が、凸部側が中心側を向いた円弧状に形成されている収容孔53が90度間隔で4個所に設けられている。そして、各収容孔53には、図9に示すような、軸方向に垂直な断面が円弧状に形成されている永久磁石55が埋め込まれている。
また、米国特許第4924130号明細書に記載されている構造のものも知られている。この永久磁石埋め込み回転子を図10に示す。図10は、4極の永久磁石埋め込み回転子を示している。回転子コア61には、軸方向に垂直な断面が、凸部側が中心側を向いた台形状に形成されている収容孔63が90度間隔で4個所に設けられている。収容孔63は、中央部63aと外周部63bを有している。そして、収容孔63の中央部63a、外周部63bには、それぞれ軸方向に垂直な断面が長方形状に形成されている永久磁石65a、65bが埋め込まれている。
なお、永久磁石55、65a、65bは、厚さ方向に着磁されている。また、図8、図10においては、各収容孔53に埋め込まれている永久磁石55及び各収容孔63に埋め込まれている永久磁石65a、65bは、交互にN極、S極となるように配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示されている永久磁石埋め込み回転子では、図9に示すような断面が円弧状の永久磁石55を用いている。永久磁石の製造工程は成形、焼結、加工という手順となるが、成形から焼結する工程で15%〜25%程度の収縮があり、これにより寸法がばらつく。特に、円弧状という形状の制約から、内周側及び外周側のどちらか一方を先に曲面状に加工し、その後その加工面を基準面側として他方を曲面状に加工するため、内周側及び外周側それぞれにおいて公差±αが発生する。したがって、厚さのばらつき範囲が±2αとなる。なお、Ra、Rbは、それぞれ永久磁石55の内周半径、外周半径の設定値である。このため、このような断面が円弧状の永久磁石55を用いる場合には、収容孔53の幅を、永久磁石55の設定幅より永久磁石55の厚さのばらつき2αだけ大きくし、あるいは永久磁石55の厚さを、収容孔53の設定幅より永久磁石55の厚さばらつき2αだけ小さくする必要がある。このように、収容孔53の幅方向の寸法と永久磁石55の厚さ寸法の差が大きいと、収容孔53に永久磁石55を嵌め込んだ時に収容孔53と永久磁石55の間に大きな空隙が生じる。収容孔53と永久磁石55の間に大きな空隙が生じると、永久磁石によって発生する主磁束トルクが減少する。
また、図10に示されている永久磁石埋め込み回転子では、断面が長方形状の永久磁石を用いている。長方形状の永久磁石は、前記円弧状の永久磁石のように加工面が曲面でないため、基準面を出すことなく、同時に両辺(上辺及び下辺)を加工することができ、円弧状の永久磁石に比べて厚さのばらつきが小さい。このため、収容孔63の幅方向の寸法と永久磁石65の厚さ寸法の差を小さくすることができる。このため、収容孔63と永久磁石65との間の空隙は小さい。しかしながら、収容孔63が台形状に形成されているため、収容孔63に永久磁石65a、65bを嵌め込んだ時に永久磁石65aと65bとの間及び永久磁石65bと収容孔63の端部(回転子コア61の外周部に近接する部分)との間に空隙66a及び66bが生じる。このため、永久磁石量が少なくなり、主磁束トルクが減少する。
永久磁石電動機のトルクT3は、主磁束トルクをT1、リラクタンストルクをT2とした場合、[T3=T1+T2]で表される。したがって、前記した従来の永久磁石埋め込み回転子を有する永久磁石電動機は、主磁束トルクを十分に利用することができず、モータ性能が悪くなっていた。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するために創案されたものであり、収容孔に永久磁石を埋め込んだ時の収容孔内の空隙を小さくしてモータ性能を向上させた永久磁石埋め込み回転子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(A1)請求項1に記載した永久磁石埋め込み回転子は、回転子コアと、前記回転子コアに設けられた収容孔に埋め込まれた複数の永久磁石とを備える永久磁石埋め込み回転子であって、
前記収容孔は、前記回転子コアの中心側に位置する中央孔部(3a)と、前記中央孔部(3a)の両端から前記回転子コアの外周に延びかつほぼハ字状に対向する両側孔部(3b)とを連通状に備え、
前記複数の永久磁石は、断面をほぼ台形状にそれぞれ形成され、
前記収容孔の前記中央孔部(3a)と前記両側孔部(3b)とにそれぞれ一以上の前記永久磁石が収容され、かつ前記中央孔部(3a)に収容した永久磁石の斜辺と前記両側孔部(3b)に収容した永久磁石の斜辺とを互いに対面させた上で双方の斜辺の面が平行に なる構造とした。
(A2)請求項1に記載した永久磁石埋め込み回転子を用いれば、収容孔は中央孔部(3a)と両側孔部(3b)とを連通状に備え、当該中央孔部(3a)と両側孔部(3b)にはほぼ台形状に形成した永久磁石をそれぞれ一以上収容し、中央孔部(3a)と両側孔部(3b)とにそれぞれ収容した永久磁石の斜辺同士を互いに対面させた上で双方の斜辺の面が平行になる構造としたので、収容孔に永久磁石を埋め込んだ時の空隙を小さくすることができる。これにより、主磁束トルクの減少を防止することができ、モータ性能を向上させることができる。また、収容孔を角形状に形成することにより、各極間部がロート状に回転子外周に向って開くため、固定子から回転子へ、回転子から固定子へと流れるリラクタンストルクに寄与する磁束を多く流出入させることができる。これによっても、モータ性能を向上させることができる。
また、収容孔は中央孔部(3a)と両側孔部(3b)とを連通状に備える構造としたので、回転子外周部を向いている側の永久磁石の表面積及び永久磁石と回転子外周部との間のコアの断面積を、断面が円弧状の収容孔に比べて大きくすることができる。ここで、固定子側から見た場合の回転子コアの外周面にでてくる永久磁石の磁束量は、回転子外周部を向いている側の永久磁石の表面積が大きい程多くなる。また、永久磁石と回転子外周部との間の断面積が大きい程大きいリラクタンストルクが得られる。したがって、モータ性能を一層向上させることができる。
さらに、収容孔に複数の永久磁石を埋め込むため、収容孔に永久磁石を埋め込んだ時の永久磁石間の空隙を小さくすることができる。
【0006】
(B1)請求項2に記載した永久磁石埋め込み回転子は、請求項1に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、複数の永久磁石は厚さの異なる永久磁石を組み合わせた。
(B2)請求項2に記載した永久磁石埋め込み回転子を用いれば、収容孔に異なる厚さの永久磁石を埋め込んでいるため、種々のモータ性能を得ることができる。例えば、両側部(3b)に埋め込まれている永久磁石の厚さより中央部(3a)に埋め込まれている永久磁石の厚さを大きくすることにより、主磁束トルクを増加させることができる。
【0007】
(C1)請求項3に記載した永久磁石埋め込み回転子は、請求項1または2に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、複数の永久磁石は特性の異なる永久磁石を組み合わせた。
(C2)請求項3に記載した永久磁石埋め込み回転子を用いれば、収容孔に異なる特性の永久磁石を埋め込んでいるため、種々のモータ性能を得ることができる。例えば、中央部(3a)に埋め込まれている永久磁石として残留磁束密度が高く、保持力の低い材質の磁石を用い、両側部(3b)に埋め込まれている永久磁石として残留磁束密度は低いが、保持力の高い材質の磁石を用いることにより、主磁束を増加させることができるとともに、減磁耐力を高めることができる。これにより、モータを小型化することができ、安価に製作することができる。
【0008】
(D1)請求項4に記載した永久磁石埋め込み回転子は、請求項1から3のいずれか一項に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、回転子コアには複数の収容孔を設け、かつ前記複数の収容孔を多層構造に形成した。
(D2)請求項4に記載した永久磁石埋め込み回転子を用いれば、モータ性能を向上させることができる。例えば、各極毎に永久磁石を多層状に設けることにより、層と層との間にリラクタンストルクが有効的に働く通路を形成することができる。このため、前記した図10に示す永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機のリラクタンストルクT2が[T2+β2]に増加し、モータ性能が向上する。
【0009】
(E1)請求項5に記載した永久磁石埋め込み回転子は、請求項1から4のいずれか一項に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、回転子コアには、磁束変化が少ない位置にピン孔が設けられている。
(E2)請求項5に記載した永久磁石埋め込み回転子を用いれば、ピン孔を磁束変化が少ない位置に設けているため、モータ性能を悪化させることはない。
【0010】
(F1)請求項6に記載した永久磁石埋め込み回転子は、請求項1から5のいずれか一項に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、収容孔の端部を回転子コアの外周面に近接する構造とした。
(F2)請求項6に記載した永久磁石埋め込み回転子を用いれば、収容孔の端部が回転子コアの外周面に近接するほどに漏れ磁束を少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1〜図3に、本発明の永久磁石埋め込み回転子の第1の実施の形態を示す。なお、図1は第1の実施の形態の分解斜視図であり、図2は第1の実施の形態の軸方向に垂直な断面図であり、図3は第1の実施の形態で用いる永久磁石の軸方向に垂直な断面図である。本実施の形態では、4極の永久磁石埋め込み回転子を示している。
本実施の形態の永久磁石埋め込み回転子は、回転子コア1と、永久磁石5と、端板6とカシメピン9等により構成されている。
回転子コア1は、例えば、順送プレス型によって打ち抜いた電磁鋼板等の鋼板を順次かしめながら積層するオートクランプ方式により、略円筒形状に積層したものである。勿論、オートクランプ方式以外の方法で回転子コア1を積層することもできる。また、積層以外の方法で回転子コア1を形成することもできる。この回転子コア1には、回転軸を挿通するための軸孔2が中心に設けられている。また、永久磁石5を挿着するための複数の収容孔3及びカシメピン9を挿通するための複数のピン孔4が軸孔2と平行に設けられている。端板6には、回転軸を挿通するための軸孔7及びカシメピン9を挿通するための複数のピン孔8が設けられている。収容孔3は、各極毎に設けられている。本実施の形態では、収容孔3は90度間隔で4個設けられている。
【0012】
本実施の形態の永久磁石埋め込み回転子を形成するには、例えば、先ず、積層された回転子コア1の軸孔2に回転軸を圧入等により挿通して固定する。
次に、回転子コア1の収容孔3に永久磁石5を挿通する。
次に、回転子コア1の軸方向両端部に端板6を装着する。
次に、端板6のピン孔8及び回転子コア1のピン孔4にカシメピン9を挿通して回転子コア1を一体化固着する。カシメピン9としては鉄等の磁性体や非磁性体を用いることができる。
なお、回転子コア1のピン孔4は、磁束の変化が少ない位置等モータ性能を悪化させない位置に設けるのが好ましい。また、永久磁石回転子を形成する方法は、上記方法に限定されない。
【0013】
回転子コア1に設けられる収容孔3は、軸方向に垂直な断面が、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周部を向いている凸型の角形状に形成されている。本実施の形態では、収容孔3は、凸部側の中央孔部3a及び回転子コア外周側の両側孔部3bを有する凸型の台形状に形成されている。すなわち図2にも示すように、収容孔3は、中央孔部3aと、当該中央孔部3aの両端から回転子コア1の外周に延びかつほぼハ字状に対向する両側孔部3bとを連通状に備える。収容孔3の端部と回転子コア1の外周部との間の間隔が広いと、漏れ磁束が多くなる。そのため、収容孔3の端部を回転子コア1の外周面に近接するように、すなわち端部と外周面との間隔が狭くなるように収容孔3を設けるのが好ましい。
軸方向と垂直な断面における、収容孔3の中央孔部3aと両側孔部3bとの角度、中央孔部3aや両側孔部3bの幅や長さ等は、回転子コア1の大きさ、積層板の材質、永久磁石5の特性等に応じて、モータ性能が向上する値に適宜設定される。
【0014】
また、収容孔3には、永久磁石5が軸方向から挿通される。
本実施の形態では、永久磁石5として、図3(a)、(b)に示すような、軸方向に垂直な断面が台形状に形成された永久磁石5a、5bを用いている。永久磁石5としては、フェライト磁石や希土類磁石等を用いることが可能である。永久磁石5として断面が台形状の永久磁石を用いることにより、前記したように両辺(上辺及び下辺)を同時に加工することができる。これにより、永久磁石5の厚さのばらつき範囲は、図3に示すように±αとなる。なお、Tは、永久磁石5の厚さ設定値である。
このように、断面が台形状の永久磁石を用いることにより、断面の厚さのばらつきが、図8に従来例として示した円弧状の永久磁石のほぼ1/2になる。このため、収容孔3の幅寸法と永久磁石5の厚さ寸法の差を小さくすることができ、収容孔3に永久磁石5を埋め込んだ時の収容孔3と永久磁石5との間の空隙を小さくすることができる。すなわち、収容孔3と永久磁石5との間の空隙による主磁束トルクの減少を小さくすることができる。
また、収容孔3の幅寸法を大きくする必要がないため、収容孔3と回転子コア1の外周部との間の鉄心の面積を図8に示す従来の断面が円弧状の永久磁石を用いた場合に比して大きくすることができる。これにより、大きなリラクタンストルクを得ることができる。また、従来の円弧状の永久磁石を用いた場合に比べて、回転子外周部を向いている側の永久磁石の表面積を大きくすることができるので、大きな主磁束トルクを得ることができる。
なお、永久磁石5a、5bは、厚さ方向に着磁されている。また、図2に示す状態において、各収容孔3毎に交互にN極、S極が配置されるように、各収容孔3に埋め込まれている永久磁石5a、5bが着磁されている。
【0015】
本実施の形態では、図2に示すように、各収容孔3には、断面が台形状の永久磁石5a、5bが3個軸方向に挿通されている。すなわち、収容孔3の中央部には図3(b)に示す永久磁石5aが、収容孔3の両側孔部3bには図3(a)に示す永久磁石5bが、上辺を収容孔3の凹部側に向けて挿通されている。
このように、本実施の形態では、各収容孔3に断面が台形状の永久磁石5a、5bを挿通しているため、永久磁石5a、5bの斜辺同士が小さな隙間で対峙し(言い換えれば、図2に示すように中央孔部3aに収容した永久磁石5aの斜辺と両側孔部3bに収容した永久磁石5bの斜辺とを互いに対面させた上で双方の斜辺の面を平行にしている)、あるいは永久磁石5bの斜辺と収容孔3の端部とが小さな隙間で対峙し、永久磁石5aと永久磁石5bとの間の空隙や永久磁石5bと収容孔3の端部との間の空隙が小さくなる。このため、主磁束トルクが増加する。
なお、永久磁石5a、5bの斜辺の角度は、収容孔3の中央孔部3a、両側孔部3bの幅や長さ、中央孔部3aと両側孔部3bとの間の角度等に応じて設定される。
【0016】
以上の実施の形態では収容孔3の中央孔部3a、両側孔部3bに挿通する永久磁石5a、5bの厚さ(収容孔3の中央孔部3a、両側孔部3bの幅)をほぼ等しい厚さTに設定したが、永久磁石5a、5bの厚さを異ならせることもできる。収容孔3に挿通する永久磁石の厚さを異ならせた第2の実施の形態を図4に示す。本実施の形態では、収容孔13は、軸方向に垂直な断面が、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周部側を向いた凸型の台形状に形成されている。
図4に示す第2の実施の形態では、収容孔13に挿通する永久磁石15a、15bの厚さを異ならせている。なお、通常、収容孔13の大きさは収容孔13に挿通される永久磁石の大きさによって決定されるため、永久磁石15a、15bを挿通する収容孔13の中央孔部13a、両側孔部13bの幅も、永久磁石15a、15bの厚さに対応した幅に設定される。本実施の形態では、収容孔13の中央孔部13aに挿通する永久磁石15aの厚さをTa、両側孔部13bに挿通する永久磁石15bの厚さをTbとしたとき、Ta>Tbとなるように設定している。
ここで、Ta=Tbの状態から、TbをそのままでTaを大きくしていくと、回転子コア11の外周面に出てくる磁束が大きくなり、主磁束トルクが増加する。
【0017】
また、以上の実施の形態では各収容孔に3個の永久磁石を挿通したが、各収容孔に挿通する永久磁石の数は3個に限定されない。各収容孔に、3個以外の個数の永久磁石を挿通した第3の実施の形態を図5に示す。本実施の形態では、収容孔23は、軸方向に垂直な断面が、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周部側を向いた凸型の台形状に形成されている。また、各永久磁石の厚さはほぼ等しい厚さに設定されている。
本実施の形態では、収容孔23の中央孔部23aに3個の永久磁石25a1〜25a3を挿通し、両側孔部23bに1個の永久磁石25bを挿通している。この場合、永久磁石25a1と25a2の間や永久磁石25a2と25a3の間の空隙が小さくなるように、永久磁石25a1〜25a3を交互に向きを変えて配置している。
なお、収容孔23の両側孔部23bに複数個の永久磁石を挿通することもできる。また、収容孔23の中央孔部23aや両側孔部23bに挿通する永久磁石の数は3個に限定されず種々変更可能である。その場合、収容孔内の空隙ができるだけ小さくなる数を選択するのが好ましい。
また、収容孔23に断面が台形状の永久磁石を1個だけ挿通することもできる。例えば、収容孔23の中央孔部23aにのみ、断面が台形状の永久磁石を1個だけ挿通する。この場合には、収容孔23の両側孔部23bに空隙が発生するが、収容孔23に図10に示すような断面が長方形状の永久磁石を挿通した時に発生する空隙よりは小さい。
【0018】
また、以上の実施の形態では、各極に収容孔を1個設けて単層構造としたが、各極に収容孔を所定間隔を開けて複数個設けて多層構造とすることもできる。多層構造に形成した第4の実施の形態を図6に示す。本実施の形態では、収容孔33、34は、軸方向に垂直な断面が、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周側を向いた凸型の台形状に形成されている。また、各永久磁石の厚さはほぼ等しい厚さに設定されている。
本実施の形態では、各極毎に、所定間隔を開けて2つの収容孔33、34を設けている。そして、各収容孔33、34には断面が台形状の永久磁石35、36が挿通されている。すなわち、外周側の収容孔33の中央孔部33a、両側孔部33bには永久磁石35a、35bが挿通され、内周側の収容孔34の中央孔部34a、両側孔部34bには永久磁石36a、36bが挿通されている。なお、図6では、ピン孔を省略している。
内周側の収容孔33に挿通されている永久磁石35a、35b及び外周側の収容孔34に挿通されている永久磁石36a、36bの外周側(あるいは内周側)の極性は同一となるように構成されている。
なお、各極の層数は2層に限定されず、種々の層数が可能である。
【0019】
以上の実施の形態では、各収容孔に複数の永久磁石を挿通する場合、複数の永久磁石は同じ特性の永久磁石を用いたが、各収容孔に異なる特性の永久磁石を挿通することもできる。各収容孔に異なる特性の永久磁石を挿通した第5の実施の形態を説明する。
ここで、図2に示すように、ほぼ同じ厚さTを有し、断面が台形状の収容孔3の中央孔部3a、両側孔部3bに断面が台形状の永久磁石5a、5bを挿通する場合について考える。収容孔3の両側孔部3bに挿通された永久磁石5bは、回転子コア1の外周近くに配置されるため、固定子側の固定子巻線に流れる電流による磁束の影響を受け易く、減磁し易い。一方、収容孔3の中央孔部3aに挿通された永久磁石5aは、回転子コア1の内部に配置されるため、固定子巻線に流れる電流による磁束の影響を受け難く、減磁し難い。
したがって、収容孔3の両側孔部3bに挿通する永久磁石5bとしては、残留磁束密度は低いが、保持力が高い材質の磁石を用いる。また、収容孔3の中央孔部3aに挿通する永久磁石5aとしては、残留磁束密度が高く、保持力の低い材質の磁石を用いる。
これにより、主磁束を高めることができるとともに、減磁耐力も高めることができ、モータ性能を向上させることができる。
【0020】
本発明の永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機と従来の永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機のトルク特性を図7に示す。
図7は、図4に示した、断面が台形状の収容孔に3個の永久磁石を挿通した永久磁石埋め込み回転子を用いた場合(A)と、同じ収容孔に図10に示した断面が長方形状の永久磁石を挿通した永久磁石埋め込み回転子を用いた場合(B)について、永久磁石電動機の回転子の回転角度−トルク特性を求めたものである。なお、図7は、3相の電機子コイルのうち2相の電機子コイルに通電した状態で回転子を機械角で60度(電気角で120度)回転させた場合の、回転子の各回転角度における磁界解析によってトルクを求めたものである。
図7からよく理解できるように、回転子の回転角度におけるトルクは、本発明の永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機の方が従来の永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機よりも大きい。
【0021】
以上の実施の形態では、断面が、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周側を向いた凸型の台形状の収容孔を設けたが、収容孔は、これに限定されず、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周側を向いた凸型の角形状であってもよい。また、凸部側が中心側を向き、凹部側が外周側を向いた凸型の弧形状、凸部側が中心側を向いた凸型の台形状、角形状であってもよい。このような断面形状の収容孔であっても、永久磁石の台形状の形や大きさを適宜設定することにより、収容孔内の空隙を小さくすることができる。その場合、収容孔内の中央孔部及び両側孔部の位置は適宜設定される。
また、断面が台形状の永久磁石を用いたが、断面が三角形状の永久磁石等、収容孔内の空隙を小さくすることができればその断面は種々の形状のものを用いることができる。
また、各収容孔に埋め込む永久磁石として2種類の厚さの永久磁石を用い、各収容孔の中央孔部に厚さの大きい永久磁石を、両側孔部に厚さの小さい永久磁石を埋め込んだが、各収容孔に埋め込む永久磁石の厚さの種類数や厚さの異なる永久磁石の収容孔内での配置方法等は所望とするモータ性能に応じて適宜変更可能である。例えば、収容孔の回転子の回転方向側から反回転方向側に向けて順次厚さの大きい永久磁石を埋め込むこともできる。収容孔の断面形状は、収容孔に埋め込む永久磁石の断面形状に応じて適宜変更される。
また、各収容孔に挿通する永久磁石として2種類の特性の永久磁石を用いたが、各収容孔に埋め込む永久磁石の特性の種類数や特性の異なる永久磁石の収容孔内での配置方法等は所望とするモータ性能に応じて適宜変更可能である。
また、永久磁石の配向等を調整して永久磁石による界磁磁束分布の中心軸の電機子起磁力の中心に対する位置を調整し、主磁束トルクとリラクタンストルクの合成トルクを大きくすることもできる。
また、台形状という記載は、厳密に台形である必要はなく、ほぼ台形状であればよい。
また、各収容孔に挿通する永久磁石の厚さを異ならせる方法、各収容孔に挿通する永久磁石の特性を異ならせる方法、多層化する方法、各収容孔に複数個の永久磁石を挿通する方法を用いた実施の形態について個別に説明したが、これらの方法を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、収容孔に永久磁石を埋め込んだ時の収容孔内の空隙を小さくすることができ、モータ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の断面図である。
【図3】第1の実施の形態で用いる永久磁石の断面図である。
【図4】第2の実施の形態の断面図である。
【図5】第3の実施の形態の断面図である。
【図6】第4の実施の形態の断面図である。
【図7】本発明の永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機及び従来の永久磁石埋め込み回転子を用いた永久磁石電動機の回転角度−トルク特性図である。
【図8】従来の永久磁石埋め込み回転子の断面図である。
【図9】従来の永久磁石埋め込み回転子で用いている永久磁石の断面図である。
【図10】他の従来の永久磁石埋め込み回転子の断面図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、51、61 回転子コア
3、13、23、33、34、53、63 収容孔
4、14、24、54、64 ピン孔
5、15、25、35、36、55、65 永久磁石
Claims (6)
- 回転子コアと、前記回転子コアに設けられた収容孔に埋め込まれた複数の永久磁石とを備える永久磁石埋め込み回転子であって、
前記収容孔は、前記回転子コアの中心側に位置する中央孔部(3a)と、前記中央孔部(3a)の両端から前記回転子コアの外周に延びかつほぼハ字状に対向する両側孔部(3b)とを連通状に備え、
前記複数の永久磁石は、断面をほぼ台形状にそれぞれ形成され、
前記収容孔の前記中央孔部(3a)と前記両側孔部(3b)とにそれぞれ一以上の前記永久磁石が収容され、かつ前記中央孔部(3a)に収容した永久磁石の斜辺と前記両側孔部(3b)に収容した永久磁石の斜辺とを互いに対面させた上で双方の斜辺の面が平行になる構造とした永久磁石埋め込み回転子。 - 請求項1に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、
複数の永久磁石は、厚さの異なる永久磁石を組み合わせた永久磁石埋め込み回転子。 - 請求項1または2に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、
複数の永久磁石は、特性の異なる永久磁石を組み合わせた永久磁石埋め込み回転子。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、
回転子コアには複数の収容孔を設け、かつ前記複数の収容孔を多層構造に形成した永久磁石埋め込み回転子。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の永久磁石埋め込み回転子であって、
回転子コアには、磁束変化が少ない位置にピン孔が設けられている永久磁石埋め込み回転子。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の永久磁石埋め込み回 収容孔の端部を回転子コアの外周面に近接する構造とした永久磁石埋め込み回転子。
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