JP3606692B2 - 乳幼児用を含む幼児用衣類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳幼児用を含む幼児用衣類に関し、詳しくは、0歳から2歳前後までの乳幼児及び2歳前後から約6歳まで幼児の主として肌着として用いられる衣類に関し、特に、成長に伴う体型変化とサイズ変化に対応できて長期間着用できる共に、乳幼児の月齢、幼児の年齢に対応した動きに追従できる構成とし、かつ、柔らかい肌に刺激を与えないようにしているものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の幼児用の肌着、特に、乳幼児用の肌着は、柔らかい肌に刺激を与えないために、合成繊維を用いずに、大半は綿100%の編地より形成されている。
【0003】
即ち、トップ衣類のシャツ、ボトム衣類のパンツ、ズボン、繋ぎ衣類の所謂カバーオールやロンパース等は、通常、綿100%の編地を、前身頃、後身頃、袖等にわけて裁断し、これら裁断したパターンを縫着して上記衣類を形成している。また、袖口、足回り、ウエスト等はゴムをつけて身体に沿わせている場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した綿100%の編地からなる肌着を含む衣類では、全体として伸縮性が少ないと共に、部分的に伸縮性を変えることもできない。
よって、まず、乳幼児及び幼児は発育により短期間に体型が大きく変化するが、従来の綿100%の編地からなる衣類では、伸縮性が少ないため、体型変化に追従できず、着用期間が短くなってしまう問題がある。
【0005】
さらに、乳幼児および幼児は、大人および学齢に達した後の子供と相違して、腹部が前へ突き出でいる共通の形態的特徴を有するが、この特徴に対応させた肌着および外衣は従来提供されていない。特に、ロンパース等の繋ぎ衣類では、腹部に他の部位よりも伸びを持たせて、腹部の膨らみを対応させる必要があるが、従来の衣類では対応できず、その結果、大き過ぎるか小さ過ぎることになり、フィット感が悪い問題がある。
【0006】
上記のように、腹部が突き出た共通の特徴を有する一方、各段階に応じて形態特性および動特性が著しく相違する。よって、形態特性および動特性に対応できるようにしておく必要があるが、従来の衣類は、各段階に応じた形態特性の変化および動特性の変化に対応させていない。よって、フィット感が悪いと共に、運動機能を損なう恐れもある。
【0007】
例えば、乳幼児の場合においては、図1(A)に示す誕生から2〜4ケ月の第1段階は、身体の成長速度が一生のうちで最も早く、身体的な特徴は胴長で、足が短く、腹部が最も前に突き出している。動特性については、臥位中心の時期で、寝ているか、やっと寝返りができる程度であり、動きとしては、手足の曲げ伸ばしがなされ、腹ばいで手足をばたつかせる程度である。よって、この第1段階の衣類の重要点は、お腹が最も前へ突き出るため、腹部のサイズ変化に対応できるようにしておくことであり、かつ、首がすわっていない場合が多く、寝たきりであるため、乳幼児への衣類の脱着の容易さが重要となる。
【0008】
図1(B)の3〜6ケ月から6〜8ケ月の第2段階は、身体の成長は第1段階よりも緩やかになるが、腰部(おしり)の成長が大きく、腰部が腹部を上回るようになり、言わば、おしりの成長期にあたる。動特性については、寝返り及び一人すわりができるようになり、座位が中心となってくる。よって、この第2段階の衣類は重要点は、腰部(おしり)のサイズ変化に対応できるようにしておくことであり、かつ、おすわりをした時および抱き上げた時に、ウエスト部のだぶつきをなくすことが好ましい。
【0009】
図1(C)の6〜10ケ月から10〜15ケ月の第3段階は、形態的特徴は下半身部が発達し、動特性は動きが活発となり、つかまり立ち、一人立ち、一人歩きができる自立歩行へ向かう段階で、立位が中心となってくる。よって、この第3段階の衣類の重要点は、動作が伸び伸びできるようにすることで、特に、上肢上挙による体側の伸びが最大となるため、この体側にあたる部分を動作に追従できるようにすることが重要である。
【0010】
上記のように、0〜15ケ月の乳幼児の場合は、特に、発育が一生のうちで最も急速で、形態変化が大きいため、衣類、特に、肌着が発育に対応できるようにし、かつ、各発育段階の動特性にも対応出来るようにすることが、発育および運動機能を阻害せずに発達を促進させる点からも望まれている。
また、乳幼児から学齢に達するまでの幼児も、腹部がまだ前に出ている形態で、かつ、動作も非常に活発であるため、この形態的特性および動特性に衣類を対応させることが好ましい。
しかしながら、前述したように、従来提供されている乳幼児用を含めた幼児用衣類は、成長過程における段階的な動特性を考慮して設計されておらず、この点から運動機能を発達促進させる作用が乏しい問題がある。
【0011】
さらに、衣類、特に、肌着は洗濯の頻度が多いが、従来の綿100%の肌着の場合には、洗濯により伸びが生じると、元に戻らず、型くずれしやすい問題がある。さらにまた、乳幼児の皮膚は大人の約1/3の厚さで、繊細で様々な刺激に弱いが、従来の衣類は縫着部が多く、この縫着部が柔らかい乳幼児の肌に直接触れるため、刺激を与え、肌荒れ等を発生させる可能性がある。
【0012】
本発明は上記した種々の問題点に鑑みてなされたもので、誕生から約15ケ月までの乳幼児および15ケ月から約6歳までの幼児の体型変化および動作変化に対応させて、フィット感を向上させると共に運動機能を促進させ、かつ、着用期間を長くできると共に、肌あれ及び型崩れが発生しにくい、主として肌着に用いるられる衣類を提供することを課題としている。なお、本発明の衣類は肌着としての着用に限定されず、外衣としても併用して着用できるようにするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、トップ衣類、ボトム衣類あるいはトップとボトムとが一体化した繋ぎ衣類の少なくとも前身頃全体と後身頃全体とを、夫々、伸縮性糸条を用いて編物機により連続編成した伸びを有する編地から構成し、
上記前身頃の腹部にあたる部分の編組織を変えて膨らませ、立体的に腹部を包むようにすると共に他の部位よりも伸びを持たせ、
かつ、上記伸縮性糸条としてポリウレタン系弾性糸条を綿で被覆している多層構造の糸条を用い、該多層構造の糸条と綿糸を用いて、いずれか一方を表用糸条、いずれか他方を裏用糸条としていることを特徴とする乳幼児用を含む幼児用衣類を提供している。
【0014】
請求項1に記載の衣類は、伸縮性糸条を用いた伸びを有する編地から構成しているため、伸縮性糸条を用いていない通常のメリヤス編みよりも伸び易く、かつ、伸びた後も原状に戻りやすい。よって、上下寸法及び胸、腹、腰回り等の周径寸法を約10センチ程度は十分に伸ばすことができる。通常、前記第1図(A)(B)(C)で示す段階に応じて、伸長が約10センチずつ伸びるため、3段階に応じた3種類のサイズを設けることにより、乳幼児の全期間を通して体型にフィットした衣類を提供することができる。しかも、各段階中にも、一生のうちで最も発育速度が早く、身長の伸び、および胸囲、腹囲、腰囲等の増加が著しく、体型が変化するが、1つのサイズの衣類が上下左右共に10センチ程度は十分に伸縮するため、運動機能を損なわずに、かつ、無駄な余裕を持たせずフィットさせることができる。また、伸縮性糸条からなる編地で構成しているため、洗濯をしても元の形状に戻る復元力があり、従来の綿100%の衣類と比較して型くずれしにくい。
【0015】
また、乳幼児を含む幼児は、その成長が一生のうちで最も早いと共に、身体の各部が均一に成長するのではなく、段階に応じて成長速度が相違するため、成長の各段階に応じて、その中でも特に成長の著しい部分の伸びを他の部分よりも大きくして、形態的特性に対応させている。かつ、成長の各段階に応じて動特性も相違するため、各段階に応じて運動機能を阻害せず、逆に促進できるように、段階に応じて所要部位の伸びを大きくしている。
【0016】
さらに、少なくとも前身頃全体および後身頃全体は、編物機により連続編成した編地から形成しているため、縫製部位を少なくできる。よって、縫製部位により肌に与える刺激を少なくでき、肌が柔らかい乳幼児に肌荒れ等を発生させにくい機能がある。
【0017】
上記幼児用の衣類では、前身頃の腹部にあたる部分の編組織を変えて膨らませ、立体的に腹部を包むようにすると共に他の部位よりも伸びを持たせている。
このように、乳幼児を含む幼児の形態的特性である腹部が前へ出た体型に対して、腹部にあたる部分の編組織を変えて膨らませて立体的に腹部を包むと共に他の部位よりも伸びを持たせると、ゆったりとフィットした着用感を与えることができる。特に、新生児では腹部が最も前に突き出した形態となるため、ロンパース等の繋ぎ衣類で腹部を他の部位と同様な構成とするとタイトとなって締め付け感を与えるが、この点を解消することができる。
【0018】
上記編地は丸編機により編成した円筒状編地からなり、前身頃と後身頃を連続させていることが好ましい。この構成とすると、縫着部を減少でき、縫着部による肌への刺激をより低減できる。また、縫製作業を減少でき、衣類の加工工程を減らして、生産性を高めることができる。なお、衣類が前開きタイプの場合には、円筒状編地を軸線方向に沿って切断して形成している。
【0019】
上記伸縮性糸条としてポリウレタン系弾性糸条を綿で被覆している多層構造の糸条を用い、該多層構造の糸条と綿糸を用いて、いずれか一方を表用糸条、いずれか他方を裏用糸条としている。具体的には、上記多層構造の糸条として、3重量%のポリウレタンと97重量%の綿とからなるスパンデックス糸条の外周面を、綿100%でカバーしているコアスパンヤーン(登録商標)を用いている。
【0020】
伸縮性を持たせるためには、綿糸100%で編成することはできず、上記した伸縮性を有する合成繊維の糸条を用いるが、その外周面を綿100%で被覆した多層構造の糸条を用いると、肌には綿が接触するため、肌当たりを良くすることができる。なお、伸縮性糸条は多層構造の糸条に限定されず、綿で被覆されていないが、肌への刺激が少ない糸条を用いても良いことはいうまでもない。
【0021】
上記編地はフロート編あるいはタック編のリブ状編みを基本として、腹部に当たる部分は天竺編みとして縦横両方への伸びを持たせることが好ましい。
このように前に出ている腹部に当たる部分を円形或いは楕円形状に区分して、リブ状編みから天竺編みに変え、膨らみを持たせると共に、縦横両方に伸びを大きくすると、腹部の膨張に追従させて、ゆったりと包むことができ、乳幼児に締め付け感を与えず、着用感を良好とすることができる。
【0022】
上記トップ衣類あるいは繋ぎ衣類に、伸縮性糸条を用いた編地の袖部を縫着して取り付け、該袖部は天竺編みとして縦横両方への伸びを持たせ、かつ先端は伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編み(所謂ニットイン)として無縫製としている。
上記のように袖部の先端の糸条は、その伸縮性糸条のパワーを大としているため、腕に沿わせることができ、袖口がだぶつかず、運動機能を阻害しない。また、袖部も伸縮性糸条を用いて天竺編みとしているため、腕の運動に容易に追従させることができ、運動機能の発達を阻害しない。さらに、先端を袋編みとしているため無縫製とすることができ、腕へ刺激を軽減できる。なお、袖丈は半袖、あるいは長袖のいずれでもよく、また、袖をつけないノースリーブタイプとしても良いことは言うまでもない。
【0023】
上記トップ衣類あるいは繋ぎ衣類は、少なくとも背面側上部の肌側を本パイル編みとして、他の部位よりも吸汗性および通気性を持たせることが好ましい。
具体的には、後身頃の背中の中位置より上端の首回りまでを区画して、この区画された部分を本パイル編みとしている。前身頃側では首回りを広くあけているため、本パイル編み部分を設けていないが、勿論、前身頃の首回りを本パイル編みとして吸汗性および通気性を持たせてもよい。
【0024】
特に、乳幼児は成人と比べて体表面積に対する発汗量が2倍と大きく、特に背中上部は汗をかきやすい。よって、この部分に本パイル編み部分を設けて、吸汗性および通気性を良くすることは好ましい。また、新生児は殆ど寝たきりであるため、汗をかきやすく、蒸し暑い夏季には、汗をかいて、むれが生じやすいため、吸汗性および通気性を良くすることは有効である。
【0025】
首回りの形状は、衣類の脱着の容易さ、および頭の大きさ等の体型および動特性に応じて選択される。前記図1(A)の0〜約4ケ月の第1段階では首がすわっておらず、特に頭が大きいため、頭からかぶせるタイプは不具合であり、前打ち合わせタイプとして、首回りを大きなV字形状に打ち合わせることが好ましい。 図1(B)の約3ケ月〜8ケ月の第2段階では首がすわっていると共に、動きが活発となるため、前打ち合わせより頭からかぶるタイプが好ましいが、頭が大きいため、首回りを大きくでき、脱着させやすいクロスショルダーとすることが好ましい。
図1(C)の約6ケ月から15ケ月の第3段階では、動きが更に活発になり、首を通すのをいやがる場合が多いため、簡単に脱着できる両肩グリッパー型とすることが好ましい。なお、片方の肩をグリッパーとしても良い。
【0026】
上記ボトム衣類あるいは繋ぎ衣類の股部は、背面側から前面側へとまわして、それらの両端に設けた止具で着脱自在に係止するオムツカバー型とし、その場合には、該背面側および前面側の股部に当たる部位はフロート編あるいはタック編のタミー状編みとして伸びを小さくして、オムツをずれにくくしている。
【0027】
上記図1(A)の第1段階に着用させる衣類は、大半が繋ぎタイプのロンパース型であり、また、図1(B)(C)の第2、第3段階に着用させる衣類は、トップとボトムとに区別する場合もあるが、ロンパース型も併用して着用される場合が多い。このロンパース型とした場合、およびボトム衣類の場合、乳幼児はオムツをしている段階であるので、股部では、背面側から前面側へとまわして、それらの両端に設けた止具で着脱自在に係止するオムツカバー型としている。かつ、このオムツカバーに当たる部位には、オムツおよび排泄物の重みが付加されるため、当該部分はタミー編みとして伸びを小さくし、重みによりずり下がらないようにしている。
また、止具の位置も発育の段階に対応させて設定している。即ち、上記第2段階用では、背面からの折り返し部を前面側の腹部下端近傍まで伸ばして、止具の位置を相当上方に設定し、この時期のオムツ替えをしやすくしている。
一方、上記第3段階用では、うつぶせ状態が多くなる時期であることを考慮して、止具の位置を第2段階より下方に設定している。
【0028】
また、上記繋ぎタイプの衣類およびボトム衣類では、第2段階からおしりが発達してくるため、おしりに当たる部分も膨らませて立体化させると共に縦横の伸びが大きな天竺編みとしている。該構成とすると、おしりの発達に追従させてフィットさせることができる。
【0029】
上記トップ衣類の下辺は伸縮性糸条のパワーを大とすると共に、袋編みとして無縫製としてもよい。即ち、図1(A)の第1段階においては、ロンパース型とせずに、下辺をオープンとしたシャツタイプでも良く、この場合、オムツ替え時に、上記オムツカバー型で必要とした止具の脱着作業を省略できる。さらに、乳幼児の第2、第3段階および幼児用では、トップとボトムとに分けて着用させる場合が多くなる。その場合、トップの下辺は伸縮性糸条のパワーを大とすると、身体にフィットさせることができる。特に、この時期は運動が活発であるため、衣類ははだけやすいが、上記構成とすると、身体に常にフィットさせて着崩れを防止できる。また、袋編みとして無縫製としているため、縫製部位を少なくでき、肌への刺激が少なくなり、かつ、縫工程を減少できる利点がある。なお、下辺を折り返して縫着しても良いことは言うまでもない。
【0030】
上記ボトム衣類の上辺のウエスト部は伸縮性糸条のパワーを大とすると共に、袋編みとして無縫製としている。このように、ウエスト部にパワーの大きな伸縮性糸条を用いると、適度の拘束力でウエストにフィットさせることができる。従来のようにゴムを使っていないため、ウエスト部分を締め付けず、ずり落ちない程度にボトム衣類の上端をウエストで保持できる。また、無縫製であるため、ウエスト部分の皮膚に刺激をあたえない。なお、ウエスト部分に限らず、上端から腹部までの広い範囲をパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編みとし、腹部にフィットさせて腹巻の機能を持たせ、腹部の冷えを防止できるようにしてもよい。
【0031】
上記ボトム衣類はパンツ型とした場合、左右足ぐりは、伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編みとして無縫製としている。
なお、図1(B)の第2段階でのパンツは、動特性の点から所謂ブリーフ型の形状としておくことが好ましく、ブリーフ型とした場合には袋編みとせずに、パイピングで端末処理を施すことが好ましい。
図1(C)の第3段階ではオムツカバーをつつみ込むような、所謂トランクス型とし、かつ、太股の付け根に当たる位置に足ぐりを設け、この足ぐりを上記したようにパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編みとすると、太股の付け根にフィットさせることができる。特に、この太股の付け根に当たる部分は肌が弱いために、無縫製として、肌への刺激を和らげることは有効である。
【0032】
上記ボトム衣類はズボン型として、左右足部の膝にあたる部分は天竺編みとして縦横両方への伸びを他の部分よりも大とすると共に、上記部分の外周にフロートメッシュ編みを施して伸びを少なくしている。このように、屈伸運動がなされる膝に当たる部分の伸びを大とすると、運動機能を阻害せず、かつ、その外周の伸びを小さくしておくと、膝の部分の型崩れを抑制できる。
【0033】
上記ボトム衣類はズボン型として、左右足部の膝より下端まで天笠編みとして縦横両方への伸びを持たせてもよい。該構成とした場合も、活発な足部の動きに追従させることができる。
【0034】
さらに、上記ズボン型とした場合、足部先端は伸縮性糸条のパワーを用いると共に袋編みとして無縫製とすることが好ましい。該構成とすると足部先端を足囲りにフィットさせて、動きやすくでき、足の運動機能の発達を促進させることができる。さらに、足が伸びて、ズボン先端が足のいずれの位置に当たっても、強すぎず且つ弱すぎない力でフィットさせることができる。特に、長い目のズボンを着用させた場合にはダブつきが生じないようにフィットさせることができる。歩く時或いはハイハイした時に、ズボンの裾を踏んで転ぶことが多いが、上記のように、スボン先端を足部にフィットさせておくと、ズボンの裾を踏んで転ぶような事態を発生させない。
【0035】
上記トップ衣類、ボトム衣類或いは繋ぎ衣類は主として肌着からなる。上記第1段階の新生児の段階では殆ど寝たきりで外出の機会も少ないため、衣類は肌着が主となる。しかしながら、第2段階、段3段階およびそれ以降の幼児段階では、外出の機会が多くなるため、肌着としてだけではなく、外衣としても併用できるような、色合いや、柄を持たせておくことも好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の主として肌着となる衣類を、各段階毎に区別して説明する。
図2(A)(B)乃至図5(A)(B)は、前記図1(A)の0〜約3ケ月の新生児の第1段階用の肌着からなる第1実施形態を示す。
【0037】
上記第1実施形態の肌着および後述する第2実施形態以降の肌着は、いずれも図6に示すように、成形用丸編機を用いて筒形状に連続編成した編地1から形成している。上記成形用丸編機は従来公知の編み方を部分的に替える機能を具備したもので、編み方を部分的に変えて、所要部位に所要の編組織を与えると共に、立体的な膨らみを同時に持たせるように立体編成している。
【0038】
即ち、肌着の各実施形態において後述するように、上記筒形状に連続編成した編地1は、基本的には図7に示すフロート編でリブ状編み2としている。なお、タック編でリブ状編みとしてもよい。また、所要箇所に縦横の伸びを大きくした図8に示す天竺編み3、吸汗性および通気性を良くするための図9に示す本パイル編み4、伸びを小さくした図10に示すフロート編のタミー状編み5、縦方向の伸びを大とした図11に示すフロート編で縦伸びリブ状編み7、伸びを殆どなくした図12に示すフロート編でメッシュ状編み8、さらに、図7のリブ状編みからなる袋編(ニットイン)6を施して、所要箇所にそれぞれ対応した伸びを与えている。なお、上記フロート編をタック編に変えてもよい。各実施形態の肌着は上記編組織2〜8をすべて具備しているものではない。
【0039】
上記編成に用いる糸条は、図13に示すように、裏用糸条として伸縮性糸条10を用いると共に、表用糸条として綿糸11を用いて編成し、伸縮性糸条10を用いることにより、編地全体に縦横に約10センチの伸びが生じるようにしている。
【0040】
上記伸縮性糸条10として、本実施形態ではポリウレタン系弾性繊維に綿をカバーした多層構造の伸縮性糸条を用いている。詳しくは、3重量%のポリウレタンと97重量%の綿とからなるスパンデックス糸条の外周面を、綿100%でカバーしているコアスパンヤーン(登録商標)を用いている。このように裏用糸条となる伸縮性糸条10は綿でカバーしているため、肌には天然繊維の綿のみを接触させて、肌への刺激を低減している。
【0041】
上記第1段階の新生児用のロンパース型の肌着15を示す図2(A)(B)乃至図4(A)(B)において、図2は編組織の相違に応じて全面にわたって相違するハッチングを施している一方、図3は部分的にハッチングを施して示している。なお、以下の実施形態では、図3と同様に部分的なハッチングを施して示す。
【0042】
上記第1段階のロンパース型肌着15は、前打ち合わせタイプとしている。よって、図6に示すような円筒形状に連続編成した編地を軸線方向に沿って切断して、図14に示すように、左右に分かれる前身頃16と後身頃17とを1枚の連続した編地から構成している。なお、図6は後述する第2段階の編地を示し、第1段階の編地ではない。
左右の袖部18は丸編機で別に筒形状に編成した編地を用いて構成し、上記前身頃16と後身頃17とで構成するラグラン型の肩ぐりに袖部18の一端を縫着している。その後、大きくV字形状に前打ち合わせする首回りの端末、打ち合わせされる前身頃16の両端末、足ぐり回りの端末、さらに、オムツカバー状に形成した前後下端縁の端末に、それぞれパイピング19を施して、端末処理を行っている。さらに、上記前後下端縁に止具20を取り付けて、オムツカバーを取り替える時に開くようにし、かつ、前打ち合わせ部に結び紐21を取り付けている。
【0043】
上記ロンパース型肌着15では、腹部に当たる部分15aは大きな楕円形状に区画して縦横両方に伸びを大きくした天竺編み3とし、かつ、前方に膨らませて立体性を持たせている。また、止具20により開閉される股部にあたる部分15bは伸びを小さくしたタミー状編み5としている。さらに、後身頃17の上部の背骨位置から首回り上端にかけた部分15cは吸汗性および通気性のよい本パイル編み4としている。前身頃16および後身頃17の他の残部はリブ状編み2としている。よって、前身頃16と後身頃17とを連続編成する編地は、リブ状編み2、天竺編み3、本パイル編み4、タミー状編み5の4種類の編み方を用いて編成している。
【0044】
上記袖部18は半袖として、きちんと手が出る袖丈とし、かつ、腹部と同様な縦横に伸びのある天竺編み3とし、かつ、袖口18aは袋編み6として、袖口18aを無縫製としている。また、該袋編み6の部分には伸縮性糸条10としてパワーのあるものを用いて、腕の周囲にフィットさせるようにしている。
【0045】
上記オムツカバー型の左右足ぐり22は、新生児の足はMの字型に曲がって横方向に出るため、足が横方向からでて、曲げ伸ばしが出来易い形状としている。
【0046】
上記構成からなる図2および図4に示す新生児用の第1段階のロンパース型肌着15では、まず、最も腹部が前方へ突出する時期であるが、腹部にあたる部分を大きな伸びを有する天竺編み3とすると共に膨らませた立体構成としているため、前に張り出した腹部を立体的に包みこみ、やさしくフィットさせることができる。特に、この時期は腹式呼吸を行うため、腹部に圧迫感を与えることは好ましくないが、本実施形態の構成とすると、腹部に圧迫感を与えない。
【0047】
また、この時期は発汗量が多く、しかも、ほとんど寝たきりで蒸れが発生しやすいが、最も発汗量が多い背中上部の肌側に吸汗性および通気性のよい本パイル編み4を施しているため、吸汗性がよく、むれの発生を防止することができる。さらに、股部にはオムツ、オムツカバーさらに尿等の排泄物により荷重がかかるが、伸びの小さいタミー状編み5を施しているため、負荷による伸びやずれを発生させない。
【0048】
さらに、伸縮性糸条を用いているので、通常のメリヤス編みよりも良く伸びると共に、前身頃16及び後身頃17の他の残部全体を伸びのあるリブ状編み2で編成して、縦横両方に10センチ程度十分に伸びることができるため、成長の著しい体幹部に、上記伸びと立体編みとで、十分に対応させることができる。
【0049】
さらに、前打ち合わせタイプとしているため、首がすわらず、殆ど寝たきりの新生児に対して、脱着を容易にでき、かつ、紐21で結んでいるため、はだけ等の着崩れが発生しにくい。
【0050】
さらにまた、ミルク、母乳等をよくもどすと共に、便がゆるく、かつ、回数も多いため、肌着15は汚れやすい。よって、洗濯の頻度は多くなるが、伸縮性糸条10を含む編地で構成しているため、洗濯後も元の形状に復元し、型崩れを発生させにくい。
【0051】
さらに、特に、新生児は皮膚が繊細で刺激に弱いが、前身頃16と後身頃17とを一体の編地から形成して、縫製部を少なくしているため、肌に与える刺激は少ない。しかも、裏用糸条として綿で被覆した多層構造の糸条からなる伸縮性糸条10を用いると共に、表用糸条として綿糸11を用い、肌に接する部分は綿としているため、この点からも肌への刺激を少なくすることができる。
【0052】
図5は第1実施形態の変形例を示し、ロンパース型ではなく、股部よりも若干下方まで伸びる下辺をオープン型としたトップシャツの肌着15からなる。このオープン型の下辺23は下端を折り返して縫着して端末処理しているが、下端をパワーを大とした伸縮性糸条を用いて袋編みとして端末を無縫製としてもよい。
【0053】
上記変形例と第1実施形態との他の相違点は、後身頃17の首回りに本パイル編みの部分を設けていない点である。下辺を開放した場合には、第1実施形態よりも通気性が良いために、上記本パイル編みを省略している。他は同一の構成であり、同一の機能を有するため、説明を省略する。なお、第1実施形態と同様に、後身頃17の首回りを本パイル編みとしても良いことは言うまでもない。
【0054】
図15(A)(B)乃至図18(A)(B)は前記図1(B)の約3ケ月〜約8ケ月の第2段階の肌着からなる第2実施形態を示す。この第2段階では前記したように、形態的にはおしりの発達が著しく、かつ、動特性としては、寝返り、おすわりができ、動作が活発になる時期である。よって、この時期の衣類は、寝返りをした場合や手を挙げた時に脇がつっぱることがないようにし、かつ、おすわりした時に背中や股部がつっぱることがないようにする必要がある。また、寝返り等により寝相が悪くなり、お腹が出やすいため、着崩れ生がじないようにする必要もある。
【0055】
図15乃至図18に示す肌着は上記した点を考慮した構成としている。即ち、新生児用の第1実施形態の肌着15と相違して、前打ち合わせ型とせずに、頭から被る型としており、よって、図6に示す円筒形状に連続編成した編地をそのままの形態で前身頃16と後身頃17として用いて、身頃部分は無縫製とし、第1実施形態と同様に袖部18を縫着して取り付けている。
【0056】
図15(A)(B)および図16(A)(B)の第2実施形態の肌着25は、前記図2と同様なロンパース型とし、図17(A)(B)の第2実施形態の変形例は図5と同様な下辺をオープン型とした言わばトップシャツとし、図18(A)(B)は図17のトップ側衣類と組み合わせて着用させるボトム側のパンツを示している。
【0057】
まず、ロンパース型の図15および図16に示す肌着25は、第1実施形態の肌着15と同様に、腹部に当たる部分25aは大きな楕円形状に区画して縦横両方に伸びを大きくした天竺編み3とし、かつ、前方に膨らませて立体性を持たせている。また、止具20により開閉される股部にあたる部分25bは伸びを小さくしたタミー状編み5とし、さらに、後身頃17の上部の背中の中位置から首回り上端にかける部分25cは吸汗性および通気性のよい本パイル編み4としている。
【0058】
第1実施形態の肌着15との相違点は、左右両脇部25dに縦方向の伸びが大きい縦伸びリブ状編み7を施している。また、後身頃17側では、臀部にあたる部分25eを略円形に区画して、腹部側と同様に、縦横両方に伸びの大きな天竺編み3を施すと共に後方へ膨らむように立体編みとしている。さらに、背中の中心部で、背面側ウエストの中心に当たる部分25fは略菱形形状に区画して、伸びの少ないタミー状編み5を施している。
【0059】
前身頃16および後身頃17の他の残部はリブ状編み2としている。よって、前身頃16と後身頃17とを連続編成する編地は、リブ状編み2、天竺編み3、本パイル編み4、タミー状編み5、縦伸びリブ状編み7の5種類の編組織から構成している。
【0060】
上記袖部18は半袖として、第1実施形態の肌着15と同様に、きちんと手が出る袖丈とし、かつ、天竺編み3とすると共に、袖口18aはパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として、袖口18aを無縫製として、腕の周囲にフィットさせている。
【0061】
首回りは、大きな頭の乳幼児に対して肌着25を脱着出来やすいようにクロスショルダーとし、その周縁にパイピング19を施している。
オムツカバー型の股部では、その後身頃17側からの折り返し部分17aを第1実施形態の肌着15よりも腹部側に近い上方位置で前身頃16側と止具20により係止できる設定としている。
【0062】
上記構成からなる肌着25では、前記第1実施形態の肌着15と同一機能を有していると共に、左右両脇に縦伸びリブ状編み7を施しているため、脇部分の伸びが大きく、手を上に挙げたりする動作をした場合、および寝返りを打った場合、おすわりした場合等において、脇の部分で肌着25がつっぱることがなく、スムーズに動作に追従させることができる。
【0063】
さらに、臀部にあたる部分を天竺編み3として伸びを大きくしていると共に膨らませているため、発達してくる臀部の形態に無理なく追従させることができ、おすわりした時に背中および股部でのつっぱりを無くし、着用感を高めることができる。
【0064】
さらにまた、背中側のウエストの中心に伸びの少ないタミー状編み5を施した菱形部分を設けているため、背面側の肌着25のだぶつきが少なくなり、背面側において肌着25を安定させて、身体にフィットさせ、その結果、動きやすくすることができる。また、この時期は首がすわっているため、抱きあげる機会も増えるが、その時、背面側にだぶつきを発生させないため、抱きやすくすることができる。
【0065】
図17に示す下辺をオープンとしたシャッツタイプの第2実施形態の変形例では、第1実施形態の図5に示す変形例と同様に、下辺23は下端を折り返して縫着して端末処理しているが、下端をパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編みとして端末を無縫製としてもよい。また、この変形例と第2実施形態との他の相違点は、後身頃17の背中上部に本パイル編みの部分を設けていない点である。他は同一の構成であり、同一の機能を有するため、説明を省略する。
【0066】
図18(A)(B)に示すパンツ26は、図1(B)に示す第2段階用に限定されず、図1(C)に示す第3段階および、それ以降の約6歳までの幼児用のボトム用衣類としても用いられるものである。
【0067】
上記パンツ26は所謂ブリーフ型の形状とし、かつ、深い股がみとして、下腹部を立体的に包みこみ、オムツおよびオムツカバーの上から無理なく着用できる設計としている。
【0068】
上記パンツ26も、伸縮性糸条を裏用糸条、綿糸を表用糸条として用いて丸編機で連続編成した円筒体から形成しており、股部において、後身頃17の中央下端部を前身頃側に折り返して、前身頃16の中央下端部と縫着している。また、腹部に当たる部分26aは縦横の両方に伸びの大きな天竺編み3とすると共に膨らませて立体的とし、臀部に当たる部分26eも天竺編み3として膨らませて立体的としている。さらに、背面側のウエスト中心部分26fに菱形形状のタミー状編み5の部分を設け、かつ、股部26bもタミー状編み5としている。
【0069】
さらに、上端のウエストに位置する部分26hはパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として無縫製とし、この袋編み6により形成したウエスト部分を、腰部に適度な拘束力でフィットさせ、ずり落ちないようにしている。なお、上記袋編み6の部分の幅を広げて、腹帯の機能を持たせても良い。また、必ずしも袋編みにする必要はない。
【0070】
図19(A)(B)乃至図23は前記図1(C)の約6ケ月〜約15ケ月の第3段階の乳幼児用の肌着からなる第3実施形態を示す。この第3段階では前記したように、形態的特徴は、更におしりが発達すると共に、足がまっすぐになる。また、動特性としては、ハイハイする時間が長くなると共に、つかまり立ち、さらに、自立歩行が可能となり、動作がより活発になる時期である。よって、衣類は、ハイハイしたり、歩く時に裾を踏んで転ばないようにすること、様々な動作の中で脇部分がつっぱらないようにすると共に着崩れが生じないようにすること、および、あばれて着せにくいために、素早く着せられると共に脱がせることができるようにすることが必要である。
【0071】
図19乃至図23に示す肌着は上記した点を考慮した構成としており、前記図15乃至図17の第2段階の肌着と略同様な構成としている。即ち、頭から被る型として、図6に示す円筒形状に連続編成した編地をそのままの形態で前身頃16と後身頃17として用いて、身頃部分は無縫製とし、他の実施形態と同様に袖部18を縫着して取り付けている。
【0072】
図19(A)(B)の第3実施形態は前記図14と同様なロンパース型とし、図20(A)(B)は他の変形例と同様な下辺をオープン型とした言わばトップシャツとし、図21(A)(B)は図20のトップ側衣類と組み合わせて着用させるボトム側のトランクス型のパンツを示し、図22(A)(B)および図23はズボンを示している。
【0073】
まず、ロンパース型の図19(A)(B)の肌着30は、第2実施形態の肌着25と同様な構成としている点が多く、腹部30aに当たる部分は大きな楕円形状に区画して縦横両方に伸びを大きくした天竺編み3とし、かつ、前方に膨らませて立体性を持たせている。また、止具20により開閉される股部にあたる部分30bは伸びを小さくしたタミー状編み5とし、さらに、後身頃17の上部の背中の中位置から首回り上端にかけた部分30cは吸汗性および通気性のよい本パイル編み4としている。さらに、左右両脇部30dに縦方向の伸びが大きい縦伸びリブ状編み7を施している。また、後身頃17側では、臀部にあたる部分30eを略円形に区画して、腹部側と同様に、縦横両方に伸びの大きな天竺編み3を施すと共に後方へ膨らむように立体編みとしている。さらに、背中の中心部で、背面側ウエストの中心に当たる部分30fは略菱形形状に区画して、伸びの少ないタミー編み5を施している。前身頃16および後身頃17の他の残部はリブ状編み2としている。よって、前身頃16と後身頃17とを連続編成する編地は、リブ状編み2、天竺編み3、本パイル編み4、タミー状編み5、縦伸びリブ状編み7の5種類の編組織を用いて編成している。袖部18は半袖として、他の実施形態と同様に、きちんと手が出る袖丈とし、かつ、天竺編み3とすると共に、袖口18aはパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として、袖口18aを無縫製として、腕の周囲にフィットさせている。
【0074】
第2実施形態の肌着25との相違点は、動きが活発で、首を通すのをいやがる乳幼児に対して、素早く肌着30を脱着できるように、首回りは片方の肩をグリッパーとしている点である。即ち、首回りは丸首とすると共に、首回りから一方の肩部にかけて前後身頃16と17とを縫着せず、止具31により開閉できるようにしている。なお、両肩グリッパーとしてもよい。
【0075】
オムツカバー型の股部では、うつぶせ状態が多くなるために、その後身頃17側からの折り返し部分17aを第2実施形態の肌着25よりも股部側の下方に位置させて、前身頃16側と止具20により係止できる設定としている。このように、止具20の位置を下方に下げると、うつぶせ状態の時に腹部側がだぶつかず、運動機能を高めることができる。
【0076】
上記構成からなる肌着30では、第2実施形態の肌着25と同一機能を有していると共に、首回りを肩グリッパーとしているため、脱着させやすくなる。また、この時期は腰部が発達するが、腹部、臀部を膨らませて立体化させていると共に、両脇部に縦伸びリブ状編み7を施しているため、サイズ変化にも無理なく対応させることができる。
【0077】
図20(A)(B)に示す下辺をオープンとしたシャツ型の第3実施形態の変形例は、第2実施形態の変形例と略同様で、首回りを肩グリッパーとしている点のみが相違するため、説明を省略する。この図20の変形例では背中上部の首回りに吸汗性および通気性のよい本パイル編みを施していないが、本パイル編みを施す方が好ましい事は言うまでもない。
【0078】
図21(A)(B)に示すパンツ35は、図1(C)に示す第3段階用に限定されず、図1(B)に示す第2段階および、それ以降の約6歳までの幼児用のボトム用衣類としても用いることが出来る。
【0079】
上記パンツ35は、オムツカバーをつつみ込むような型とし、かつ、太股の付け根に当たる位置に足ぐり36を設け、この足ぐり36をパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として、太股の付け根にフィットさせている。この足ぐり36は図示のように前身頃16側に位置させ、この時期において、おすわり、ハイハイ、歩行時に足が前方へ出るために、足ぐり36の位置を上記のように設定している。この足ぐり36は太股の付け根に当たり、この部分は肌が弱いために、無縫製として、肌への刺激を和らげていることは有効である。
【0080】
上記パンツ35も、伸縮性糸条を裏用糸条、綿糸を表用糸条として用いて丸編機で連続編成した円筒体から形成しており、股部において、後身頃17の中央下端部を前身頃側に折り返して、前身頃16の中央下端部と縫着している。また、上記連続編成時に上記左右の足ぐり36を袋編み6により形成すると共に、上端のウエストに位置する部分も同様にパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として無縫製としている。このように、袋編み6でウエスト部分を形成すると、ウエスト部に適度な拘束力でフィットさせ、ずり落ちないようにできる。なお、上記袋編み6の部分の幅を広げて、腹帯の機能を持たせ、お腹の冷えを防止するようにしても良い。さらに、腹部および臀部にあたる部分35a、36eは天竺編み3として伸びを大きくすると共に膨らませて立体化させ、かつ、股部にあたる部分36bはタミー状編み5とし、さらに、背面側のウエスト中心部36fに菱形形状のタミー状編み5を設けて、背面側でだぶつきが発生しないようにしている。他の部分はリブ状編み2としている。
【0081】
上記パンツ35は、ウエスト部分および足ぐり部分を袋編み6として無縫製で身体にフィットさせているため、肌に刺激を与えない状態で、常に身体に沿わせることができ、おすわり、ハイハイ、一人だち、歩行のいずれの段階においても着崩れを発生させない。
【0082】
図22(A)(B)に示すズボン38は、膝下まで左右足部39を延在させているもので、膝の位置から下端までの部分を天竺編み3として縦横両方への伸びを持たせると共に足部先端はパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として無縫製としている。また、上記パンツ35の場合と同様に腹部および臀部に当たる部分38a、38eも天竺編み3として縦横方向に大きな伸びを持たせると共に膨らませて立体化させ、かつ、背面側のウエスト中心部38fにタミー状編み5を菱形形状で施している。さらに、上端のウエストもパワーのある伸縮性糸条で袋編み6として無縫製としている。なお、この袋編み6の幅を広げて腹帯の機能を持たせ、お腹の冷えを防止するようにしてもよい。他の部分はリブ状編み2としている。
【0083】
上記構成のズボン38は、左右足部39の膝下部分を天竺編みとして縦横両方への伸びを持たせているため、活発な足部の動きに追従させることができる。また、足部先端はパワーのある伸縮性糸条で袋編み6として足囲りにフィットさせているため、動きやすくでき、足の運動機能の発達を促進させる。さらに、幼児の足が伸びて、足部39の先端が足のいずれの位置に当たっても、強すぎず且つ弱すぎない力でフィットさせることができる。特に、長い目のズボンを着用させた場合にはダブつきが生じないようにフィットさせることができる。歩く時或いはハイハイした時に、ズボンの裾を踏んで転ぶことが多いが、上記のように、足部39の先端を足にフィットさせておくと、足部39の裾を踏んで転ぶような事態を発生させない。なお、必ずしも足部39の先端を袋編みとする必要はない。
【0084】
図23はズホン38の変形例を示し、相違点は、左右の足部39は他の部分と同様にリブ状編み2とする一方、膝にあたる部分38gを円形に区画して上下左右に伸びのある天竺編み3とし、かつ、円形の外周に伸びが少ないフロート編のメッシュ状編み8を円環状に施している。他の部分の構成は図21のズボンと同様であるため説明を省略する。
【0085】
上記のように、屈伸される膝の部分を伸びのある天竺編み3としておくと、膝の屈伸がスムーズにできる。かつ、足部39の膝が出やすいが、その外周に伸びの少なくメッシュ状編み8を施しているため、足部39の膝が出て型くずれするのが抑制される。
【0086】
図24(A)(B)は図1に示す乳幼児以降、即ち、約15ケ月〜6歳までで、まだ、腹部が前にでている体型の幼児用のトップシャッツからなる肌着40を示す。第3実施形態の図20に示す肌着との相違点は首を大きな丸首とし、オープンとした下辺は、パワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6として身体にフィットさせている点である。他は同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。 なお、6歳近くになると腹部が余り前に出なくなってくるため、腹部にあたる部分は天竺編みとして他の部分よりも伸びを大きくするだけとし、前に膨らませなくても良い。
【0087】
なお、15ケ月以降でも、オムツが取れるまでは、ロンパース型の肌着を着用することが多いため、第3実施形態の図19に示すロンパース型で、首を丸首としたタイプのもの等が好適に適用できる。
【0088】
図25(A)(B)(C)の肌着42は、第1、第2、第3実施形態の肌着は半袖であったが、長袖41としたものである。この長袖41とした場合も、天竺編み3からなる丸編みの連続編地を用いて構成し、袖口をパワーのある伸縮性糸条を用いて袋編み6としている。
【0089】
なお、図示していないが、第1、第2、第3実施形態の半袖をなくして、ノースリーブタイプとしても良い。
【0090】
また、上記各実施形態の肌着は、外衣として併用することもできる。さらに、衣類の色は、従来は殆どが白色であったが、所要の色彩を施しても良く、かつ、ストライプ等の柄を施すことも好ましい。この場合、デザイン性が高められ、外出用のお洒落着として着用できる。
【0091】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に係わる乳幼児用を含む幼児用衣類では、伸縮性糸条を用いた編地から構成しているため、丈および周径を伸ばすことができ、成長の著しい乳幼児および幼児用として、比較的長期間使用することができる。また、上記のように伸縮機能をもっているため、運動機能を損なわないうえ、無駄な余裕を持たせずフィットさせることができるため、運動機能を促進させることができる。
【0092】
また、伸縮性糸条からなる編地で構成しているため、洗濯をしても元の形状に戻る復元力があり、従来の綿100%の衣類と比較して型くずれしにくい。特に、乳幼児および幼児では衣類を汚す頻度が高く、洗濯回数は大人の衣類よりも多いため、上記洗濯による型くずれがしにくいことは、大きな利点である。
【0093】
さらに、丸編物機により連続編成した円筒形状の編地から形成しているため、縫製部位を少なくでき、縫製部位による肌に与える刺激を少なくできる。しかも、伸縮性糸条は綿で被覆した多層構造の糸条を用いているため、肌には綿のみが接触し、肌に与える刺激を少なくできる。
【0094】
また、連続編成の際に、所要部位に所要の編み方を施して、必要部位に必要な伸びを与える一方、伸びを与えることが好ましくない部位は伸びを小さくして、乳幼児および幼児の体型的な特性および動特性に適合させているため、着用時に身体に無理を生じさせず、運動機能を高めることができる。
特に、乳幼児を含む幼児の形態的特性である腹部が前へ出た体型に対しては、腹部にあたる部分の編み方を変えて伸びを大きくすると共に、膨らませて立体的に腹部を包むようにしているため、ゆったりとフィットした着用感を与えることができる。新生児では腹式呼吸をするため、衣類により腹部へ圧迫を与えることは問題があるが、本発明の衣類ではこの問題を確実に解決できる。
【0095】
また、袖口、裾回り、足回り、ウエスト等の従来はゴムを通していた部分は、パワーのある伸縮性糸条を用いると共に袋編みとして無縫製とし、適度な拘束力で身体にフィットさせているため、運動がしやすく、かつ、活発な動作をしても着崩れを発生させない。
【0096】
さらに、汗をかきやすい背面側上部は本パイル編みとして吸汗性および通気性を持たせているため、特に、発汗量が多く、寝ている時間が長い乳幼児には、蒸れを発生させない等の種々の利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)(C)は乳幼児の発達段階に応じた動特性を示す概略図である。
【図2】第1実施形態の肌着において編み方の異なる部分の全面に異なるハッチングを施して示したもので、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図3】図2のハッチングを部分的に施したもので、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図4】第1実施形態の斜視図を示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は背面側から見た斜視図である。
【図5】第1実施形態の変形例を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図6】円筒形状の連続編成した編地を示す概略斜視図である。
【図7】リブ状編みの概略図である。
【図8】天竺編みの概略図である。
【図9】本パイル編みの概略図である。
【図10】タミー状編みの概略図である。
【図11】縦伸びリブ状編みの概略図である。
【図12】メッシュ状編みの概略図である。
【図13】使用する糸条を示す概略図である。
【図14】第1実施形態の裁断パターンを示す図面である。
【図15】第2実施形態の肌着を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図16】第2実施形態の斜視図を示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は背面側から見た斜視図である。
【図17】第2実施形態の変形例を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図18】第2段階用のパンツを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図19】第3実施形態の肌着を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図20】第3実施形態の変形例を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図21】第3段階用のパンツを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図22】第3段階用のズボンを示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図23】第3段階用のズボンの変形例を示す正面図である。
【図24】トップ型衣類の変形例を示し、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図25】(A)(B)(C)は長袖とした変形例の正面図である。
【符号の説明】
1 編地
2 リブ状編み
3 天竺編み
4 本パイル編み
5 タミー状編み
6 袋編み
7 縦伸びリブ状編み
8 メッシュ状編み
10 伸縮性糸条
11 綿糸
15、25、30、40 肌着
18 袖
20 止具
26 35 パンツ
38 ズボン
Claims (13)
- トップ衣類、ボトム衣類あるいはトップとボトムとが一体化した繋ぎ衣類の少なくとも前身頃全体と後身頃全体とを、夫々、伸縮性糸条を用いて編物機により連続編成した伸びを有する編地から構成し、
上記前身頃の腹部にあたる部分の編組織を変えて膨らませ、立体的に腹部を包むようにすると共に他の部位よりも伸びを持たせ、
かつ、上記伸縮性糸条としてポリウレタン系弾性糸条を綿で被覆している多層構造の糸条を用い、該多層構造の糸条と綿糸を用いて、いずれか一方を表用糸条、いずれか他方を裏用糸条としていることを特徴とする乳幼児用を含む幼児用衣類。 - 上記編地は丸編機により編成した円筒状編地からなり、前身頃と後身頃を連続させている請求項1に記載の幼児用衣類。
- 上記編地はフロート編あるいはタック編のリブ状編みからなる編組織を基本として、腹部に当たる部分は天竺編みとして縦横両方への伸びを持たせて他の部分よりも伸びを大きくしている請求項1または請求項2に記載の幼児用衣類。
- 上記トップ衣類あるいは繋ぎ衣類に、伸縮性糸条を用いた編地の袖部を縫着して取り付け、該袖部は天竺編みとして縦横両方への伸びを持たせ、かつ、袖部先端は伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編みとして無縫製としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記トップ衣類あるいは繋ぎ衣類は、少なくとも背面側上部は本パイル編みとして、他の部位よりも吸汗性および通気性を持たせている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記トップ衣類の下辺は、伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編みとして無縫製としている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記ボトム衣類あるいは繋ぎ衣類の股部は、背面側から前面側へとまわして、それらの両端に設けた止具で着脱自在に係止するオムツカバー型とし、かつ、該背面側および前面側の股部に当たる部位はフロート編あるいはタック編でタミー状編みとして伸びを小さくしている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記ボトム衣類の上辺のウエスト部は伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編みとして無縫製としている請求項1、2、3、7のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記ボトム衣類はパンツ型として、左右足ぐりは伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編みとして無縫製としている請求項1、2、3、7、8のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記ボトム衣類はズボン型として、左右足部の膝に当たる部分は天竺編みとして縦横両方への伸びを他の部分よりも大きくすると共に、その外周にフロートメッシュ編みを施して伸びを少なくしている請求項1、2、3、7、8、9のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記ボトム衣類はズボン型として、左右足部の膝より下部までを天笠編みとして縦横両方への伸びを持たせている請求項1、2、3、7、8、9、10のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
- 上記左右足部の先端は伸縮性糸条のパワーを大とすると共に袋編みとして無縫製としている請求項10または請求項11に記載の幼児衣類。
- 上記トップ衣類、ボトム衣類或いは繋ぎ衣類は肌着からなる請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の幼児用衣類。
Priority Applications (7)
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