JP3605507B2 - Damper mechanism - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダンパー機構、特に、動力伝達系における捩り振動を減衰するためのダンパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌に用いられるクラッチディスク組立体は、フライホイールに連結・切断されるクラッチ機能と、フライホイールからの振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。一般に車輌の振動には、アイドル時異音(ガラ音)、走行時異音(加速・減速ラトル, こもり音)及びティップイン・ティップアウト(低周波振動)がある。これらの異音や振動を取り除くことがクラッチディスク組立体のダンパーとしての機能である。
【0003】
アイドル時異音とは、信号待ち等でシフトをニュートラルに入れ、クラッチペダルを離した時にトランスミッションから発生する「ガラガラ」と聞こえる音である。この異音が生じる原因は、エンジンアイドリング回転付近ではエンジントルクが低く、エンジン爆発時のトルク変動が大きいことにある。このときにトランスミッションのインプットギヤとカウンターギヤとが歯打ち現象を起こして異音を発生させている。
【0004】
ティップイン・ティップアウト(低周波振動)とは、アクセルペダルを急に踏んだり、急に離したりした時に生じる車体の前後の大きな振れである。駆動伝達系の剛性が低いと、タイヤに伝達されたトルクが逆にタイヤ側から駆動側に伝わり、その揺り返しとしてタイヤに過大トルクが発生し、その結果車体を過渡的に前後に大きく振らす前後振動となる。
【0005】
アイドリング時異音に対しては、クラッチディスク組立体の捩り特性において0トルク付近が問題となり、そこでの捩り剛性は低い方が良い。一方、ティップイン・ティップアウトの前後振動に対しては、クラッチディスク組立体の捩り特性を限りなくソリッドに近くすることが必要である。
以上の問題を解決するために、2種類のバネを用いることにより二段特性を実現したクラッチディスク組立体が提供されている。そこでは、低捩り角度の一段目の捩り剛性及びヒステリシストルクを低く抑えているために、アイドリング時の異音防止効果がある。また、高捩り角度の二番目の捩り剛性及びヒステリシストルクを高く設定しているため、ティップイン・ティップアウト時の前後振動を効果的に減衰できる。
【0006】
さらに、高捩り角度の二段目領域において例えばエンジンの燃焼変動に起因する微小振動が入力された時に、二段目の高ヒステリシストルク発生機構を作動させないことで低ヒステリシストルクによって微小振動を効果的に吸収するダンパー機構も知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のクラッチディスク組立体におけるダンパー機構では、低周波振動が入力されると捩り特性において正側の二段目と負側の二段目との間の広角度範囲で捩り動作を繰り返す。このとき、その間の正負一段目の領域では低ヒステリシストルクしか発生しない。そのため、全体の振動減衰量が小さく、低周波振動を充分に減衰できない。また、正負一段目の領域が捩り特性における隙間となり、前後振動を悪化させることがある。
【0008】
本発明の目的は、二段の捩り特性を有するダンパー機構において、正負両側の二段目間にわたって捩れる捩り振動を効果的に減衰することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材と第1弾性部材と第2弾性部材と摩擦発生機構と摩擦抑制手段とを備えている。第2回転部材と第1回転部材に相対回転可能に配置されている。第1弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、第1回転部材と第2回転部材の捩り角度が第1捩り角度までの一段目範囲で圧縮される。第2弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、第1回転部材と第2回転部材の捩り角度が害1捩り角度を超える二段目範囲で圧縮され、二段目範囲で一段目範囲より高い剛性をもたらすための部材である。摩擦発生機構は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で滑り発生可能である。摩擦抑制手段は、一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動に対しては摩擦発生機構の滑りを生じさせない。
【0010】
請求項1に記載のダンパー機構の捩り特性を説明する。ここでは0度から第1捩り角度までが捩り特性の一段目範囲であり、第1捩り角度を越えると二段目範囲である。一段目では第1弾性部材が圧縮され、比較的低い捩り剛性が得られる。二段目範囲では第2弾性部材が圧縮され、結果として一段目範囲より高い剛性が得られる。一段目範囲と二段目範囲では摩擦発生機構が滑るために、比較的大きな摩擦(高ヒステリシストルク)が発生する。この結果、一段目範囲で低剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られ、二段目範囲で高剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。
【0011】
以上に述べたように、一段目範囲において摩擦発生機構を機能させて高ヒステリシストルクを発生させているため、車体の前後振動のような捩り角度の大きな振動を効果的に減衰できる。また、一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力された場合は、摩擦抑制手段が摩擦発生機構の滑りを生じさせない。すなわち大きな摩擦が発生せず、低ヒステリシストルクの特性が得られる。この結果微少捩じり振動が効果的に吸収される。
【0012】
請求項2に記載のダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材と第1弾性部材と第2弾性部材と摩擦発生機構とを備えている。第2回転部材は第1回転部材に相対回転可能に配置されている。第1弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、第1回転部材と第2回転部材の捩り角度が第1捩り角度までの一段目範囲で圧縮される。第2弾性部材は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、第1回転部材と第2回転部材の捩り角度が第1捩り角度を超える二段目範囲で圧縮され、二段目範囲で一段目範囲より高い剛性をもたらすための部材である。ダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で所定のトルク以下の捩り振動に対しては滑らず、所定トルク以上の捩り振動に対しては滑ることで摩擦を発生する機構である。
【0013】
請求項2に記載のダンパー機構では、摩擦発生機構は一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動に対しては滑らず、所定トルク以上の捩り振動に対しては滑ることで摩擦を発生する。具体的には、車両の前後振動のような一段目範囲と二段目範囲にわたって作用する捩り振動に対しては摩擦(ヒステリシストルク)を発生することで減衰可能である。一方、例えばエンジンの燃焼変動に起因する微小捩り振動に対しては滑らず摩擦を発生しない。この結果微少捩じり振動が効果的に吸収される。
【0014】
請求項3に記載のダンパー機構は、第1回転部材と第2回転部材と第1弾性部材と第2弾性部材と摩擦発生機構と第1摩擦抑制機構と第2摩擦抑制機構とを備えている。摩擦発生機構は、第1回転部材と第2回転部材とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で摩擦を発生可能である。第1摩擦抑制機構は一段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力されると摩擦発生機構に滑りを生じさせない。第2摩擦抑制機構は二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力されると摩擦発生機構に滑りを生じさせない。
【0015】
請求項3に記載のダンパー機構では、摩擦発生機構は一段目範囲と二段目範囲で摩擦を発生可能である。このため、例えば車体の前後振動のような一段目範囲と二段目範囲で捩り動作を繰り返す振動に対しては、一段目範囲と二段範囲の全体にわたって摩擦を発生することで効果的に減衰を行う。一方、一段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力されると、第1摩擦抑制機構が摩擦発生機構に滑りを生じさせない。さらに、二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力されると、第2摩擦抑制機構が摩擦発生機構に滑りを生じさせない。このように、一段目範囲と二段目範囲のいずれにもおいても所定トルク以下の捩り振動が入力される場合は、摩擦発生機構が作動せず、大きな摩擦が発生しない。この結果微少捩じり振動が効果的に吸収される。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施形態のクラッチディスク組立体1の断面図を示し、図2にその平面図を示す。クラッチディスク組立体1は、車輌のクラッチ装置に用いられる動力伝達装置であり、クラッチ機能とダンパー機能とを有している。クラッチ機能とはフライホイール(図示せず)に連結及び離反することによってトルクの伝達及び遮断をする機能である。ダンパー機能とは、バネ等によりフライホイール側から入力されるトルク変動等を吸収・減衰する機能である。図1においてO−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸すなわち回転中心線である。また、図1の左側にエンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置されている。さらに、図2のR1側がクラッチディスク組立体1の回転方向(正側)であり、R2側からその反対方向(負側)である。
【0017】
クラッチディスク組立体1は、主に、入力回転体2(クラッチプレート21, リテーニングプレート22, クラッチディスク23)と、出力回転体3(ハブ)と、入力回転体2と出力回転体3との間に配置されたダンパー機構とから構成されている。ダンパー機構は、第1バネ7, 第2バネ8及び摩擦発生機構13などを含んでいる。
【0018】
入力回転体2はフライホイール(図示せず)からのトルクが入力される部材である。入力回転体2は、主に、クラッチプレート21と、リテーニングプレート22と、クラッチディスク23とから構成されている。クラッチプレート21とリテーニングプレート22は共に板金製の円板状又は環状の部材であり、軸方向に所定の間隔を空けて配置されている。クラッチプレート21はエンジン側に配置され、リテーニングプレート22はトランスミッション側に配置されている。クラッチプレート21とリテーニングプレート22は後述する板状連結部31により互いに固定され、その結果軸方向の間隔が定めされるとともに一体回転するようになっている。
【0019】
クラッチディスク23は、図示しないフライホイールに押し付けられる部分である。クラッチディスク23は、クッショニングプレート24と、第1及び第2摩擦フェーシング25とから主に構成されている。クッショニングプレート24は、環状部24aと、環状部24aの外周側に設けられ回転方向に並ぶ複数のクッショニング部24bと、環状部24aから半径方向内側に延びる複数の連結部24cとから構成されている。連結部24cは4カ所に形成され、各々がリベット27(後述)によりクラッチプレート21に固定されている。クッショニングプレート24の各クッショニング部24bの両面には、摩擦フェーシング25がリベット26により固定されている。
【0020】
クラッチプレート21及びリテーニングプレート22の外周部には、回転方向に等間隔で4つの窓孔35がそれぞれ形成されている。各窓孔35には、内周側と外周側にそれぞれ切り起こし部35a,35bが形成されている。この切り起こし部35a, 35bは後述の第2バネ8の軸方向及び半径方向への移動を規制するためのものである。また、窓孔35には、第2バネ8の端部に当接又は近接する当接部36が円周方向両端に形成されている。
【0021】
クラッチプレート21及びリテーニングプレート22には、それぞれ中心孔37(内周縁)が形成されている。この中心孔37内には出力回転体3としてのスプラインハブが配置されている。出力回転体3は、軸方向に延びる筒状のボス52と、ボス52から半径方向に延びるフランジ54とから構成されている。ボス52の内周部には、図示しないトランスミッション側から延びるシャフトに係合するスプライン孔53が形成されている。フランジ54には回転方向に並んだ複数の外周歯55及び後述の第1バネ7を収容するための切欠き56等が形成されている。切欠き56は半径方向に対向する2カ所に形成されている。
【0022】
分離フランジ6は、出力回転体3の外周側で、かつ、クラッチプレート21とリテーニングプレート22との間に配置された円板状の部材である。分離フランジ6は、第1バネ7を介して出力回転体3と回転方向に弾性的に連結され、さらには第2バネ8を介して入力回転体2に弾性的に連結されている。図5に詳細に示すように、分離フランジ6の内周縁には複数の内周歯59が形成されている。内周歯59は、前述の外周歯55の間に配置され、回転方向に所定の間隔を空けて配置されている。外周歯55と内周歯59とは回転方向に互いに当接可能である。すなわち、外周歯55と内周歯59とにより入力回転体3と分離フランジ6との捩り角度を規制するための第1ストッパー9が形成されている。外周歯55とその円周方向両側の内周歯59との間にはそれぞれ第1捩り角度θ1が確保されている。外周歯55から見てR1側の内周歯59との間の第1捩じり角度θ1は約2゜であり、外周歯55から見てR2側の内周歯59との間の第1捩り角度θ1は約5゜である。
【0023】
さらに、分離フランジ6の内周縁には、フランジ54の切欠き56に対応して切欠き67が形成されている。切欠き56, 67内には、それぞれ1つずつ合計2つの第1バネ7が配置されている。第1バネ7は低剛性のコイルスプリングであり、2つの第1バネ7は並列に作用する。第1バネ7は円周方向両端においてスプリングシートを介して切欠き56, 67の円周方向両端57, 68に係合している。以上の構造によって、出力回転体3と分離フランジ6とが相対回転する際には第1捩り角度θ1の範囲内で第1バネ7が回転方向に圧縮される。
【0024】
分離フランジ6には回転方向に等間隔で4つの窓孔41が形成されている。窓孔41は回転方向に長く延びる形状である。窓孔41の縁は、円周方向両側の当接部44と、外周側の外周部45と、内周側の内周部46とから構成されている。外周部45は連続して形成されており窓孔41の外周側を閉じている。なお、窓孔41の外周側は一部が半径方向外方に開いた形状であってもよい。分離フランジ6において各窓孔41の円周方向間には切欠き42が形成されている。切欠き42は半径方向内側から外側に向かって円周方向長さが長くなる扇形状であり、円周方向両側に縁面43が形成されている。
【0025】
各窓孔41が形成された部分の半径方向外側には、突起49が形成されている。すなわち突起49は分離フランジ6の外周縁48からさらに半径方向外側に延びる突起形状である。突起49は、回転方向に長く延びており、ストッパー面50が形成されている。突起49は、窓孔41に比べて円周方向の幅が短く、ほぼその円周方向中間位置に形成されている。すなわち、突起49のストッパー面50は、切欠き42の縁面43より窓孔41に対してさらに円周方向内側に配置されており、窓孔41の当接部44よりさらに円周方向内側に配置されている。なお、突起49は円周方向両端にストッパー面が形成されていればそれでよく、必ずしも円周方向中間部分を必要としない。すなわち、突起は両側ストッパー面を形成するために円周方向2カ所に設けられた形状であっても良い。
【0026】
前述した分離フランジ6の構造について他の表現を用いて再度説明する。分離フランジ6は内周側に環状部を有しており環状部から半径方向外方に突出する複数の突出部47を有している。各突出部47はこの実施形態では回転方向に等間隔で4つ形成されている。突出部47は回転方向に長く形成されており、その内部に前述の窓孔41が形成されている。窓孔41は突出部47においてその面積の70%以上を占めており、突出部47にわたって形成されている。
【0027】
さらに突出部47を他の表現で説明すると、突出部47は、半径方向に延びる2つの円周方向両側窓枠部91と、円周方向両側窓枠部91の半径方向外側端同士を連結する外周側窓枠部92とから構成されている。円周方向両端窓枠部91の円周方向内側は当接部44となり、円周方向外側は縁面43となっている。外周側窓枠部92の半径方向内側は外周部45となっており、半径方向外側は外周縁48となっている。外周縁48には前述の突起49が形成されている。なお、前述の切欠き42は回転方向に隣接する突出部47の円周方向両端窓枠部91間の空間である。
【0028】
第2バネ8はクラッチディスク組立体1のダンパー機構に用いられる弾性部材すなわちバネである。各第2バネ8は、同心に配置された1対のコイルスプリングから構成されている。各第2バネ8は各第1バネ7に比べて大型であり、バネ定数が大きい。第2バネ8は各窓孔41, 35内に収容されている。第2バネ8は回転方向に長く延びており、窓孔41全体にわたって配置されている。すなわち第2バネ8の円周方向角度は後述の窓孔41の円周方向角度θBとほぼ等しい。第2バネ8の円周方向両端は、窓孔41の当接部44と当接面36とに当接又は近接している。プレート21, 22のトルクは第2バネ8を介して分離フランジ6に伝達され得る。プレート21, 22と分離フランジ6とが相対回転すると、第2バネ8は両者の間で圧縮される。具体的には、第2バネ8は当接面36とその円周方向反対側の当接部44との間で回転方向に圧縮される。このとき4つの第2バネ8は並列に作用している。なお、自由状態(分離フランジ6とプレート21, 22の間で捩りが生じていない状態)では、第2バネ8の円周方向両端の半径方向内側部は当接部44に当接又は近接しているが、円周方向両端部の半径方向外側部は当接部44から僅かに離れている。
【0029】
リテーニングプレート22の外周縁には、回転方向に等間隔で4カ所に板状連結部31が形成されている。板状連結部31は、クラッチプレート21とリテーニングプレート22とを互いに連結するものであり、さらに後述するようにクラッチディスク組立体1のストッパーの一部を構成している。板状連結部31は、リテーニングプレート22から一体に形成された板状部材であり、回転方向に所定の幅を有している。板状連結部31は、各窓孔41の円周方向間すなわち切欠き42に対応して配置されている。板状連結部31は、リテーニングプレート22の外周縁から軸方向に延びるストッパー部32と、ストッパー部32の端部から半径方向内側に延びる固定部33とから構成されている。ストッパー部32はリテーニングプレート22の外周縁からクラッチプレート21側に延びている。固定部33は、ストッパー部32の端部から半径方向内側に折り曲げられている。以上に述べた板状連結部31はリテーニングプレート22と一体の部分であり、厚みはリテーニングプレート22とほぼ同じである。そのため、ストッパー部32は半径方向にはリテーニングプレート22の板厚に相当する幅のみを有している。ストッパー部32は円周方向両側にストッパー面51を有している。固定部33の半径方向位置は窓孔41の外周側部分に対応しており、円周方向位置は回転方向に隣接する窓孔41の間である。この結果、固定部33は分離フランジ6の切欠き42に対応して配置されている。切欠き42は固定部33より大きく形成されており、このため組立時にリテーニングプレート22をクラッチプレート21に対して軸方向に移動させたときには固定部33は切欠き42を通って移動可能である。固定部33はクッショニングプレート24の連結部24cに平行にかつトランスミッション側から当接している。固定部33には孔33aが形成されており、孔33a内には前述のリベット27が挿入されている。リベット27は、固定部33とクラッチプレート21とクッショニングプレート24とを一体に連結している。さらに、リテーニングプレート22において固定部33に対応する位置にはかしめ用孔34が形成されている。
【0030】
次に、板状連結部31のストッパー部32と突起49とからなる第2ストッパー10について説明する。第2ストッパー10は分離フランジ6と入力回転体2との間で捩り角度θ4までの領域で両部材の相対回転を許容し、捩り角度がθ4になると両部材の相対回転を規制するための機構である。なお、この捩り角度θ4の間で第2バネ8は分離フランジ6と入力回転体2との間で圧縮される。
【0031】
板状連結部31は、平面視において、円周方向位置は窓孔41の円周方向間、切欠き42内、突起49の円周方向間にある。また、板状連結部31のストッパー面51の半径方向位置は、分離フランジ6の外周縁48よりさらに半径方向外側にある。すなわち、ストッパー部32と突起49とは半径方向位置がほぼ同じである。このため、ストッパー部32と突起49は分離フランジ6とプレート21, 22との捩り角度が大きくなると互いに当接可能である。ストッパー部32のストッパー面51と突起49のストッパー面50とが互いに当接した状態では、ストッパー部32は分離フランジ6の突出部47すなわち窓孔41の半径方向外側に位置している。すなわち、ストッパー部32が突出部47及び窓孔41よりさらに円周方向内側に入り込むことが可能になっている。
【0032】
以上に述べた第2ストッパー10の利点について説明する。ストッパー部32は板状であるため、従来のストップピンに比べて円周方向角度を短くできる。また、ストッパー部32は従来のストップピンに比べて半径方向長さが大幅に短くなっている。すなわちストッパー部32の半径方向長さはプレート21, 22の板の厚みと同じだけである。このことは、第2ストッパー10の実質的な半径方向長さはプレート21, 22の板厚に相当する短い部分に限定されていることを意味する。
ストッパー部32はプレート21, 22の外周縁部分すなわち最外周位置に配置されており、ストッパー部32の半径方向位置は突出部47特に窓孔41の外周縁48の半径方向位置よりさらに半径方向外側である。このようにストッパー部32が窓孔45から半径方向に異なる位置にあるため、ストッパー部32と窓孔41とが回転方向に互いに干渉しない。この結果、第2バネ8によるダンパー機構の最大捩り角度と第2バネ8の捩り角度を共に大きくできる。ストッパー部が窓孔と同じ半径方向位置にある場合には、第2バネによるダンパー機構の捩り角度と窓孔の円周方向角度とは互いに干渉し合い、ダンパー機構の広角化とバネの低剛性化を実現できない。
【0033】
特に、第2ストッパー10の半径方向長さが従来のストップピンに比べて大幅に短いため、第2ストッパー10を窓孔41の半径方向外側に設けても、プレート21, 22の外径は極端に大きくならない。また、窓孔41の半径方向長さが極端に短くなることはない。
中間プレート11は、出力回転体3の外周側において、クラッチプレート21と分離フランジ6との間、及び分離フランジ6とリテーニングプレート22の間とに配置された1対のプレート部材である。中間プレート11は円板状又は環状のプレート部材であり、入力回転体2と出力回転体3との間でダンパー機構の一部を構成する部材である。中間プレート11の内周縁には複数の内周歯66が形成されている。内周歯66は分離フランジ6の内周歯59と軸方向に重なるように配置されている。内周歯66は、出力回転体3(ハブ)の外周歯55と回転方向に所定の隙間を空けて配置されている。すなわち、この隙間の範囲内で出力回転体3と中間プレート11とは相対回転可能となっている。外周歯55と内周歯59とにより、出力回転体3と中間プレート11との相対回転角度を規制する第3ストッパー12が形成されている。より具体的には、図5に示すように、外周歯55から見て円周方向両側の内周歯66との間にはそれぞれ第2捩り角度θ2だけの隙間が確保されている。この実施形態では第2捩り角度θ2は共に等しく、約2゜となっている。第2捩じり角度θ2の大きさは第1捩じり角度θ1以下である。この比較は円周方向の同じ側の各角度同士で行っている。
【0034】
中間プレート11には、それぞれ半径方向外側に突出する係合部61が形成されている。各係合部61は分離フランジ6の窓孔45の間に配置されている。係合部61は窓孔41の半径方向中間位置付近まで延びている。係合部61は半径方向内側から外側に向かって除々に円周方向長さが長くなる扇型をしている。また、係合部61の円周方向両端は、円周方向両側にある第2バネ8の内周側部分に係合可能となっている。係合部61の円周方向両側端面61aと第2バネ8の円周方向端部との間にはそれぞれ第3捩り角度θ3だけの隙間が確保されている。この実施形態では、係合部61とそのR2側の第2バネ8との間の第3捩り角度θ3は、約4゜であり、R1側の第2バネ8との間の第3捩り角度θ3は約1゜である。第3捩じり角度θ3は、第1捩じり角度θ1から第2捩じり角度θ2を引いたものより大きい。この比較は円周方向の同じ側の角度同士で行っている。
【0035】
1対の中間プレート11同士は、複数のピン62により相対回転不能になっている。ピン62は、胴部と、胴部から軸方向両側に延びる小径の突起部分から構成されている。1対の中間プレート11同士は、ピン62の胴部に軸方向から当接することによって、互いに対して軸方向に接近することが制限されている。突起部分はプレート11に形成された孔内に挿入されている。各中間プレート11と分離フランジ6との間には、それぞれスペーサ63が配置されている。スペーサ63は各中間プレート11の内周部と分離フランジ6の内周側環状部分との間に各々配置された環状のプレート部材である。スペーサ63にはピン62の胴部が挿入される孔が形成されており、ピン62と孔の係合によってスペーサ63は中間プレート11と一体回転するようになっている。スペーサ63において分離フランジ6に対向し当接する側の面には摩擦係数を減らすためのコーティングが施されている。分離フランジ6にはピン62が貫通する長孔69が形成されている。長孔69は、ピン62が分離フランジ6に対して回転方向に移動可能にするための孔である。
【0036】
次に、摩擦発生機構を構成する各部材について説明する。第2摩擦ワッシャー72は、トランスミッション側の中間プレート11の内周部とリテーニングプレート22の内周部との間に配置されている。第2摩擦ワッシャー72は主に樹脂製の本体74と本体74にモールドされた摩擦板75とから構成されている。摩擦板75は、トランスミッション側の中間プレート11のトランスミッション側面に当接している。本体74の内周部からはトランスミッション側に係合部76が延びている。係合部76は、リテーニングプレート22に対して相対回転不能に係合されるとともに軸方向に係止されている。本体74の内周部トランスミッション側には複数の凹部77が形成されている。本体74とリテーニングプレート22との間には第2コーンスプリング73が配置されている。第2コーンスプリング73は、第2摩擦ワッシャー72の本体74とリテーニングプレート22との間で圧縮された状態で配置されている。これにより、第2摩擦ワッシャー72の摩擦板75は第1中間プレート11に強く圧接されてている。第1摩擦ワッシャー79はフランジ54とリテーニングプレート22の内周部との間に配置されている。すなわち、第1摩擦ワッシャー79は第2摩擦ワッシャー72の内周側でかつボス52の外周側に配置されている。第1摩擦ワッシャー79は樹脂製である。第1摩擦ワッシャー79は、主に環状の本体81から構成されており、環状の本体81からは複数の突起82が半径方向外側に延びている。本体81はフランジ54に当接しており、複数の突起82は第2摩擦ワッシャー72の凹部77に相対回転不能に係合している。これにより、第1摩擦ワッシャー79は第2摩擦ワッシャー72を介してリテーニングプレート22と一体回転可能である。第1摩擦ワッシャー79とリテーニングプレート22の内周部との間には第1コーンスプリング80が配置されている。第1コーンスプリング80は第1摩擦ワッシャー79とリテーニングプレート22の内周部との間で軸方向に圧縮された状態で配置されている。なお、第1コーンスプリング80の付勢力は第2コーンスプリング73の付勢力より小さくなるように設計されている。また、第1摩擦ワッシャー79の摩擦面は樹脂部分であるため、第2摩擦ワッシャー72に比べて摩擦係数が小さくなっている。このため、第1摩擦ワッシャー79によって発生する摩擦(ヒステリシストルク)は第2摩擦ワッシャー72で発生する摩擦より大幅に小さくなっている。
【0037】
クラッチプレート21の内周部とフランジ54及び中間プレート11の内周部との間には第3摩擦ワッシャー85が配置されている。第3摩擦ワッシャー85は樹脂製の環状の部材である。第3摩擦ワッシャー85は、主に、環状の本体86から構成されている。環状の本体86のトランスミッション側には、外周側に摩擦板88が配置され、内周側には樹脂からなる摩擦面87が形成されている。摩擦板88はエンジン側の中間プレート11の内周部に当接している。樹脂製の摩擦面87はフランジ54のエンジン側面に当接している。さらに、第3摩擦ワッシャー85の内周部には、エンジン側に突出する環状の筒部90が形成されている。筒部90の内周面はボス52の外周面に摺動可能に当接している。また、本体86の外周側部分からは、回転方向に複数箇所においてエンジン側に突出する係合部89が形成されている。係合部89はクラッチプレート21に形成された孔内に係合され、これにより第3摩擦ワッシャー85はクラッチプレート21に対して相対回転不能係合するとともに軸方向に係止されている。以上に述べた摩擦機構において、第2摩擦ワッシャー72の摩擦板75及び第3摩擦ワッシャー85の摩擦板88と中間プレート11との間に比較的高いヒステリシストルクを発生する摩擦発生機構13が形成されている。さらに、第1摩擦ワッシャー79の本体81による摩擦面と第3摩擦ワッシャー85の樹脂摩擦面87とがフランジ54との間に比較的低いヒステリシストルクを発生する摩擦発生機構15を形成している。
【0038】
次に第2バネ8と第2ストッパー10における各構造の角度及びその関係について詳細に説明する。なお、以下に述べる「円周方向角度」とは、ある位置から他の位置までのクラッチディスク組立体1の回転軸Oを中心とした円周方向(クラッチディスク組立体1の回転方向)角度のことである。以下の説明で用いる角度の絶対値は図面に記載された本願発明の一例としてのクラッチディスク組立体1のものであり、本願発明はそれらの数値に限定されない。
【0039】
各円周方向角度θA〜θEは図6及び7に記載されている。図20に示すのは、各円周方向θA〜θEの角度の関係を示す線図である。
θAとθCとの関係
各突起49の円周方向角度θAは回転方向に隣接する突起49の隣接する円周方向端部間(すなわち回転方向に向き合うストッパー面50間)の円周方向角度θCより小さい。図20から明らかなようにθAとθCは一方が大きくなれば他方が小さくなる関係にある。ここではθAをθCに対して大幅に小さくすることでθCを従来より大きく確保している。このように各突起49間の円周方向角度θCが広くなることにより、分離フランジ6とプレート21, 22との間の捩り角度θEを広くすることが可能となっている。本願発明の一実施形態である図面に示したクラッチディスク組立体1では、各θAは21゜であり、各θCは69゜である。
【0040】
θCは、40゜以上あれば従来にない充分に優れた効果が得られ、50〜80゜
の範囲にある場合はさらに優れた効果が得られ、60〜80゜の範囲にある場合はさらに優れた効果が得られ65〜75゜の範囲にある場合は最も優れた効果が得られる。
【0041】
θCはθAの2分の1以下であれば充分に優れた効果が得られる。θCはθAの3分の1以下であればさらに優れた効果が得られる。図面のθCθAとの比は1:3.29である。この比は1:2〜6の範囲にあれば充分に優れた効果が得られ、1:2.5〜5.5の範囲にあればさらに優れた効果が得られる。
θCとθDとの関係
各板状連結部31(ストッパー部32)の円周方向角度θDは、前述の角度θCより遙かに小さくなっている。図20から明らかなように、θCからθDを引いたものが、分離フランジ6とプレート21, 22との間の最大捩り角度θE(ダンパー機構のストッパー角度)になっている。すなわち、このダンパー機構では最大捩り角度θEが従来より広くなっている。図から明らかなように、θEを広くするためには、θCを大きくし、θDを小さくすることが必要であることがわかる。この実施形態においてはθDは16゜になっている。θDは20゜以下であるのが好ましく、10〜20゜の範囲にあるのがさらに好ましい。
【0042】
θDがθCの2分の1以下であれば、θDは充分に広く確保され、3分の1であればさらにθEは広くなり、4分の1以下であればθEを最も広くできる。図面におけるθDとθEとの比は1:4.31である。この比が1:2〜6の範囲るあればθEは充分に広く確保され、1:3〜6の範囲にあればさらにθEはさらに広くなり、1:3.5〜5.0の範囲にあればθEは最も広くなる。
【0043】
この実施形態ではθEは53゜である。θEは20゜以上であるのが好ましい。θEは30゜以上であるのが好ましい。特に40〜60゜の範囲にあれば従来にない充分な広角化が達成されており、45〜55゜の範囲にあればさらに好ましい。
最大捩じり角度θEが増大することにより以下の効果が得られる。広捩じり角が達成されると、ストッパートルクを低下させることなく、捩じり特性の二段目のばね(第2バネ8)の剛性を低くできる。この実施形態では従来に比べて第2バネ8の剛性を約50%程度まで低くしている。この結果、一段目から二段目に移行するときのショック(アクセル踏み込み時、最初の突き上げ感)が減少する。
【0044】
なお、突起49は各突出部47又は窓孔45に対して回転方向に変位して形成されている。より具体的に説明すると、突起49の円周方向中心は突出部47又は窓孔41の円周方向中心からR1側にずれて配置されている。この結果、各突起49からストッパー面51までの角度は円周方向両側で異なっている。別の言い方では、ストッパー部32は回転方向に隣接する突起49の円周方向間でR2側にずれて配置されている。この結果、ストッパー部32とそのR1側の突起49との間の隙間角度θE1(θ4)は、ストッパー部32とそのR2側の突起49との間の隙間角度θE2より大きい。
θBとθDとの関係
分離フランジ6に形成された窓孔41は合計4つであり、各窓孔41の円周方向角度θBは50゜以上ある。θBは当接部44の半径方向中間部同士間で測定されている。図面におけるθBは61゜である。この結果、回転方向に充分に長いつまり広角化したバネを用いることができる。θBは50〜70゜の範囲にあるのが好ましく、55〜65゜の範囲にあればさらに好ましい。
【0045】
各突起49の円周方向角度θDは各窓孔41の円周方向角度θBより小さい。これはθEのθBに対する比が十分に大きいことを意味している。すなわち広角化した窓孔41及び第2バネ8に対してダンパー機構の最大捩り角度を充分に広くすることによって、バネの機能を有効に利用し、さらに広捩り角度・低捩り剛性の特性を得られる。
【0046】
θDがθBの2分の1以下である場合は充分に優れた効果が得られ、3分の1以下である場合はさらに優れた効果が得られる。この実施形態ではθDとθBとの比は1:3.81である。この比が1:2〜4の範囲にある場合はθEのθBに対する比は充分に大きく、1:2.5〜4.0の範囲にある場合はθEのθBに対する比はさらに大きくなり、1:2.75〜3.75の範囲にある場合はθEのθBに対する比は最も大きくなる。
θAとθBとの関係
突起49の円周方向角度θAは各窓孔41の円周方向角度θBより小さい。θAのθBに対する比が従来より小さいということは、θCのθBに対する比が従来より大きいことを示す。言い換えると、広角化した窓孔41に対して最大捩り角度θEを広く確保する前提となるθCのθBに対する比が充分に大きい。各突起49の円周方向角度θAは窓孔41の円周方向角度θBの2/3以下であればよく、1/2以下であればより好ましく、1/3以下であればさらに好ましい。この実施形態におけるθAとθBとの比は1:2.90である。θAとθBとの比は1:2〜4の範囲にあるのが好ましく、1:2.5〜4.0の範囲にあればより好ましく、1:2.75〜3.75の範囲にあれば最も好ましい。なお、θCはθBより大きくなっている。
θBとθEとの関係
θEとθBは共に従来に比べて大きくなっており、これによりダンパー機構の最大捩り角度が大きくなると共に第2バネ8の捩り角度が広くなっている。第2バネ8は大型化されることによって設計が容易になり、高性能(広捩り角・低剛性)になっている。
【0047】
θBとθEを比較すると、θBがθEに比べて大きいが、その差はわずかしかない。すなわち、θEのθBに対する比が充分に大きくなっている。これにより窓孔41すなわち第2バネ8の円周方向角度を広くした場合においで、その広角度を充分に生かせる最大捩り角度θEが確保されている。θBとのθEに対する比は1:1.13である。この比は1:1.0〜1.3の範囲にあれば充分に優れた効果が得られ、1:1.1〜1.2の範囲にある場合はさらに優れた効果が得られる。
窓孔41の半径方向長さ
このダンパー機構では、窓孔41の半径方向長さが分離フランジ6の半径方向長さ(外径)に比べて充分に大きくなっている。この結果、窓孔41に収容する第2バネ8の大型化が可能となっている。窓孔41の半径方向長さは分離フランジ6の外径の35%以上である。この割合が35〜55%の範囲にある場合は充分に優れた効果を得ることができ、40〜50%の範囲にある場合はさらに優れた効果を得ることができる。
【0048】
次に、図8を用いてクラッチディスク組立体1の構成についてさらに詳細に説明する。図8はクラッチディスク組立体1のダンパー機構の機械回路図である。この機械回路図は、ダンパー機構を模式的に描いたものであり、出力回転体3を入力回転体2に対して一方向(例えばR2側)に捩った時の各部材の動作や関係を説明するための図である。図から明らかなように、入力回転体2と出力回転体3との間には、ダンパー機構を構成するための複数の部材が配置されている。分離フランジ6は、入力回転体2と出力回転体3との間に配置されている。分離フランジ6は出力回転体3とに第1バネ7を介して回転方向に弾性的に連結されている。また、分離フランジ6と出力回転体3との間には第1ストッパー9が形成されている。第1ストッパー9における第1捩り角度θ1の間で第1バネ7は圧縮可能である。分離フランジ6は入力回転体2に対して第2バネ8を介して回転方向に弾性的に連結されている。また、分離フランジ6と入力回転体2との間に第2ストッパー10が形成されている。第2ストッパー10における第4捩り角度θ4の間で第2バネ8は圧縮可能となっている。以上に述べたように、入力回転体2と出力回転体3は直列に配置された第1バネ7と第2バネ8とにより回転方向に弾性的に連結されている。ここでは、分離フランジ6は2種類のバネの間に配置された中間部材として機能している。また、以上に述べた構造は、並列に配置された第1バネ7及び第1ストッパー9からなるダンパーと、並列に配置された第2バネ8と第2ストッパー10からなるダンパーとが、直列に配置された構造として見ることができる。また、以上に述べた構造を入力回転体2と出力回転体3とを回転方向に弾性的に連結する第1ダンパー機構4として考えることができる。第1バネ7全体の剛性は第2バネ8の全体の剛性より遙かに小さく設定されている。そのため、第1捩り角度θ1までの捩り角度の範囲では第2バネ8はほとんど回転方向に圧縮されない。
【0049】
中間プレート11は、入力回転体2と出力回転体3との間に配置されている。中間プレート11は、その一部が第2バネ8に対して係合可能な構成となっている。中間プレート11は、出力回転体3との間に第2捩り角度θ2だけの隙間を有する第3ストッパー12を構成している。この第3ストッパー12は、後述する一段目範囲での微小捩り振動が入力された際に出力回転体3と中間プレート11との間で相対回転を許容するための隙間である。また、中間プレート11は、摩擦発生機構13を介して入力回転体2に回転方向に摩擦係合している。さらに、中間プレート11は、係合部61が第2バネ8の円周方向端部に第3捩り角度θ4だけの隙間を空けて配置されている。以上に述べた中間プレート11は、直列に配置された第3ストッパー12と摩擦発生機構13を構成することで入力回転体2と出力回転体3とを回転方向に連結する第2ダンパー機構5を実現している。第2ダンパー機構5は第1ダンパー機構4と並列に作用するように配置されている。
【0050】
次に、図8におけるダンパー機構の各角度θ1〜θ4の関係について説明する。ここでの角度は出力回転体3から入力回転体2を負側に見た各角度である(入力回転体2から出力回転体3を正側に見ている)。第1捩り角度θ1は第1バネ7におけるダンパー機構の正側最大捩り角度であり、第2ストッパー10における第4捩り角度θ4は第2バネ8におけるダンパー機構の正側最大捩り角度θE1である。第1捩り角度θ1と第4捩り角度θ4との合計がクラッチディスク組立体1全体としてのダンパー機構の正側最大捩り角度である。第2捩り角度θ2は第1捩り角度θ1と等しい又はそれ未満である必要がある。この実施形態では、例えば第1捩り角度θ1は5゜であり、第2捩り角度θ2は2゜である。第1捩り角度θ1から第2捩り角度θ2を引いたその差は第3捩り角度θ3より小さい必要がある。第1捩り角度θ1から第2捩り角度θ2を引いたその差をさらに第3捩り角度θ3から引いたものが、捩り特性の二段目において微小捩り振動が入力された時の摩擦発生機構13を作動させないための隙間角度Aとなっている。隙間角度Aはこの実施形態では1゜であるが、1〜2゜の範囲にあることが好ましい。正負両側の第2捩じり角度θ2の合計が、捩り特性の一段目において微小捩り振動が入力された時の摩擦発生機構13を作動させないための合計隙間角度Bになる。この実施形態では第2捩じり角度θ2は正負共に2゜であり、合計隙間角度Bは4゜になる。合計隙間角度Bは隙間角度Aより大きいことが好ましく、2倍以上あるのが望ましい。合計隙間角度Bは3〜5゜範囲にあれば優れた効果が得られる。
【0051】
また、図8に示すように、入力回転体2と出力回転体3との間には摩擦発生機構15が設けられている。摩擦発生機構15は、入力回転体2と出力回転体3が相対回転する際には常に滑りが生じるようになっている。この実施形態では摩擦発生機構15は主に第1及び第2摩擦ワッシャー72, 85によって構成されているが、他の部材によって構成されていても良い。また摩擦発生機構15で発生するヒステリシストルクは場合によっては最大限低いことが望ましい。
【0052】
次に、図8〜図18の機械回路図及び図19の捩り特性線図を用いてクラッチディスク組立体1のダンパー機構の特性を説明する。なお、この捩り特性線図は入力回転体2と出力回転体3とを正負の最大捩り角度間で捩った場合の捩じり角度とトルクとの関係を表している。
図8及び図15は入力回転体2と出力回転体3とが静止状態にある状態を示すものであり、図19の捩り特性線図には現れていない。図9〜14は出力回転体3が入力回転体2に対して0度よりR2側に捩れているときの動作(すなわち入力回転体2が出力回転体3に対して0度よりR1側(正側)に捩れている)を説明するための図である。なお、図9〜図13は正側領域で正側に変化しているときの状態を説明し、図14は正側領域で負側に変化しているときの状態を説明している。図16〜図18は出力回転体3が入力回転体2に対して0度よりR1側(正側)に捩れているときの動作(すなわち入力回転2が出力回転体3に対して0度よりR2側(負側)に捩れている)を説明するための図である。なお、図16及び図17は負側領域で負側に変化しているときの状態を説明し、図18は負側領域で正側に変化しているときの状態を説明している。
【0053】
図9は捩り特性の0゜において負側から正側に捩れる時の図である。このとき、図8の静止状態に比べて中間プレート11は出力回転体3側(R1側)に1゜だけずれて配置されている。このため、中間プレート11の係止部61と第2バネ8との間の隙間は第3捩り角度θ3+1゜(5゜)になっている。捩り角度が1゜になると、図9の状態から出力回転体3が入力回転体2に対してR2側に1゜変位し、図10に示すように出力回転体3の外周歯55が中間プレート11の内周歯66に当接する。以後捩り角度が1゜から5゜までの間は、図11に示すように、第1バネ7が出力回転体3と分離フランジ6との間で圧縮され、摩擦発生機構13で滑りが生じる。この結果、1゜から5゜までの一段目範囲で低剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。図12に示すように捩じり角度が第1捩じり角度θ1(5゜)になると、出力回転体3の外周歯55が分離フランジ6の内周歯59に当接する。この結果、5゜から正側最大捩り角度θ4(θE1)までの二段目範囲では、図13(8゜)に示すように、第2バネ8が分離フランジ6と入力回転体2との間で圧縮される。その結果、高剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。図13に示す状態では、中間プレート11の係合部61と第2バネ8の端部との間には隙間角度B(1゜)の隙間が確保されている。この隙間角度Bは図8に示す静止時における第1捩り角度θ1(5゜)から第2捩り角度θ2(2゜)を引いたもの(3゜)をさらに第3捩り角度θ3(4゜)から引いた残り(1゜)に相当する。
【0054】
捩り角度が最大限になり続いて負側に戻るとき、図13の状態から第2バネ8が圧縮状態から分離フランジ6を押しながら伸び、図14に示すようにその端部が中間プレート11の係合部61に当接する。第2バネ8の端部が係合部61に当接するまでの1゜の範囲では摩擦発生機構13では滑りが生じない。
第2バネ8は分離フランジ6とともに中間プレート11を押していく。このため、中間プレート11は出力回転体3に対して1゜だけR1側に変位した状態を保つ。
【0055】
捩り角度が5゜になると、第2バネ8は自由長状態となり、続いて第1バネ7の伸びが始まる。このとき、図14に示すように、中間プレート11は出力回転体3に対してR1側に1゜ずれて配置されているため、第1バネ7の伸びが開始されてから出力回転体3が中間プレート11に対してθ2+1゜(3゜)移動するまでは低剛性・低ヒステリシストルクの特性が得られる。すなわち、5゜から2゜までの間に摩擦発生機構13は滑りを生じない。続いて2゜になると出力回転体3が中間プレート11をR1側に移動させ、これにより図16に示すように中間プレート11は第2バネ8の端部から離れると共に摩擦発生機構13において滑りを発生させる。この結果、2゜から−2゜までの一段目範囲に低剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。なお、捩り角度が0゜以下になると、図16に示すように、出力回転体3と分離フランジ6との間で第1バネ7が圧縮される。捩じり角度が−2゜を越えると、第2ストッパー9が当接し、第2バネ8が分離フランジ6と入力回転体2との間で圧縮される。第1ストッパー9が反対側で当接し、これ以降は中間プレート11と入力回転体2との間で第2バネ8が圧縮される。この結果、負側の二段目において高剛性・高ヒステリシストルクの特性が得られる。二段目において負側に捩られて再び正側に戻るときは、図18に示すように第2バネ8は分離フランジ6と中間プレート11とを押している。このとき、摩擦発生機構13が滑ることで高ヒステリシストルクが発生している。なお、この戻り状態において中間プレート11は出力回転体3に対してR1側に1゜ずれている。捩り角度が−2゜になると、第2バネ8の伸びが停止し、次に第1バネ7の伸びが開始される。ここではθ2+1゜(3゜)の大きさすなわち−2゜から1゜までの範囲では第1バネ7は出力回転体3を押すが中間プレート11は入力回転体2に対して滑らず高ヒステリシストルクが発生しない。
【0056】
次に、具体的にクラッチディスク組立体1に振動が入力された時の捩り特性の変化について説明する。
車輌の前後振動のように振幅の大きな捩り振動が発生すると、捩り角度は図19の特性で示す正負の二段目間で変動を繰り返す。このとき、一段目と二段目の両方で高ヒステリシストルクが発生しているので、車輌の前後振動は速やかに減衰される。
【0057】
次に、例えば通常走行時(例えば図13に示すような正側二段目範囲)においてエンジンの燃焼振動に起因する微小捩り振動がクラッチディスク組立体1に入力されたとする。このとき、図13に示す状態から、出力回転体3と入力回転体2とは隙間角度A=θ3−(θ1−θ2)=1゜の範囲内で摩擦発生機構13を作用させずに相対回転可能である。すなわち、図19のCに示すように隙間角度A範囲内では第2バネ8が作動するが、摩擦発生機構13では滑りが生じない。この結果、走行時ラトル、こもり音の原因となる微少捩じり振動を効果的に吸収できる。
【0058】
次に、アイドル時振動等の微小振動がクラッチディスク組立体1に入力された場合の動作について説明する。このときは正負一段目範囲(−2゜〜5゜、例えば図9, 図10, 図11)でダンパー機構が作動する。例えば図9の状態から、微小振動が入力されると、出力回転体3は分離フランジ6, 中間プレート11及び入力回転体2に対して相対回転する。このとき、第1バネ7が作動し、摩擦発生機構13では滑りが生じない。このときのダンパー機構の捩り角度の大きさは第3ストッパー12における合計隙間角度B(4゜)以下である。
【0059】
一段目範囲で低剛性・低ヒステリシストルクを実現することで、定常歯打音レベルが向上している。一段目範囲で低剛性・低ヒステリシストルクを進めると、ジャンピング現象が生じることが考えられものの、このクラッチディスク組立体1では、一段目範囲の両側に高ヒステリシストルクの領域を設ける事でジャンピング現象を抑制している。ここでいうジャンピング現象とは、二段目の壁に正負ともに跳ね返され、一段目全域にわたる振動に発展する現象であり、定常の歯打音よりレベルの高い音が発生する現象をいう。
【0060】
以上に述べたように、摩擦発生機構13は、入力回転部材2と出力回転部材3とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で滑り発生可能な機構である。また、第3ストッパー12における第2捩り角度θ2の隙間及び第4ストッパー14における第3捩り角度θ3の隙間はそれぞれ一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動に対して摩擦発生機構13で滑りを生じさせない摩擦抑制手段として機能している。さらに、第2ダンパー機構5全体は、入力回転体2と出力回転体3とを回転方向に摩擦係合し、一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動に対しては滑らず、所定トルク以上の捩り振動に対しては滑ることで摩擦を発生する摩擦発生機構であると考えても良い。さらに、第3ストッパー12は一段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力された時に摩擦発生機構13に滑りを生じさせない第1摩擦抑制機構であり、第4ストッパー14は二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力された時に摩擦発生機構13に滑りを生じさせない第2摩擦抑制機構であると考えても良い。
【0061】
このクラッチディスク組立体1に示すように、従来のストップピンに代わる板状連結部31よって捩じり角度二段目範囲の広角化を達成することにより、エンジン回転数における共振点が低回転側に移行する。さらに高ヒステリシストルクによって共振点のピークを低減できる。
さらに、捩じり角度二段目範囲で低剛性化に微少捩じり振動に対して高ヒステリシストルクを発生させない構造を加えることにより、走行時ラトルやこもり音を低減できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明に係るダンパー機構では、一段目範囲においても高ヒステリシストルクを発生させているため、車体の前後振動のような捩り角度の大きな振動を効果的に減衰できる。また、一段目範囲と二段目範囲で所定トルク以下の捩り振動が入力された場合は、摩擦発生機構の滑りを生じさせない。すなわち大きな摩擦が発生せず、低ヒステリシストルクの特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クラッチディスク組立体の縦断面図。
【図2】クラッチディスク組立体の平面図。
【図3】図2の拡大図。
【図4】各部品の分解断面図。
【図5】ハブと分離フランジ及び中間プレートとの係合を示すための平面図。
【図6】各部分の捩り角度の関係を説明するための平面図。
【図7】各部分の捩り角度の関係を説明するための平面図。
【図8】クラッチディスク組立体のダンパー機構の機械回路図。
【図9】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図10】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図11】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図12】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図13】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図14】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図15】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図16】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図17】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図18】ダンパー機構の動作状態を示すための機械回路図。
【図19】クラッチディスク組立体の捩り特性線図。
【図20】クラッチディスク組立体の各捩じり角度の関係を説明するための線図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体
2 入力回転体
3 出力回転体(ハブ)
4 第1ダンパー機構
5 第2ダンパー機構
6 分離フランジ
7 第1バネ
8 第2バネ
9 第1ストッパー
10 第2ストッパー
11 中間プレート
12 第3ストッパー
13 摩擦発生機構
14 第4ストッパー[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a damper mechanism, and more particularly to a damper mechanism for attenuating torsional vibration in a power transmission system.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art A clutch disk assembly used in a vehicle has a clutch function for connecting and disconnecting to and from a flywheel, and a damper function for absorbing and attenuating vibration from the flywheel. In general, vibrations of a vehicle include abnormal noises during idling (rattle noise), abnormal noises during running (acceleration / deceleration rattle, muffled noise), and tip-in / tip-out (low-frequency vibration). The function as a damper of the clutch disk assembly is to remove such abnormal noise and vibration.
[0003]
The idling abnormal noise is a noise that is heard from the transmission when the shift is set to a neutral position at a traffic light or the like and the clutch pedal is released, and the rattle is heard from the transmission. The cause of the abnormal noise is that the engine torque is low near the engine idling rotation and the torque fluctuation at the time of engine explosion is large. At this time, the input gear and the counter gear of the transmission cause a rattling phenomenon to generate abnormal noise.
[0004]
Tip-in / tip-out (low-frequency vibration) is a large swing before and after the vehicle body that occurs when the accelerator pedal is suddenly depressed or suddenly released. When the rigidity of the drive transmission system is low, the torque transmitted to the tire is transmitted from the tire side to the drive side, and the excessive torque is generated in the tire as a backlash, resulting in the vehicle body swinging back and forth large transiently Vibration before and after.
[0005]
With respect to abnormal noise during idling, there is a problem in the vicinity of 0 torque in the torsional characteristics of the clutch disk assembly, and it is better that the torsional rigidity there is lower. On the other hand, it is necessary for the torsional characteristics of the clutch disk assembly to be as close as possible to a solid with respect to the front-rear vibration of tip-in and tip-out.
In order to solve the above problem, a clutch disk assembly which has realized two-stage characteristics by using two types of springs has been provided. Here, since the first-stage torsional rigidity and the hysteresis torque of the low torsional angle are suppressed to a low level, there is an effect of preventing abnormal noise during idling. Further, since the second torsional rigidity and the hysteresis torque at a high torsional angle are set high, the longitudinal vibration at the time of tip-in / tip-out can be effectively attenuated.
[0006]
Furthermore, when a minute vibration due to, for example, engine combustion fluctuation is input in the second stage region of a high torsion angle, the minute vibration is effectively reduced by a low hysteresis torque by not operating the second stage high hysteresis torque generating mechanism. There is also known a damper mechanism that absorbs water.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
In the damper mechanism of the conventional clutch disc assembly, when low-frequency vibration is input, the torsional operation is repeated in a wide angle range between the positive second stage and the negative second stage in the torsional characteristics. At this time, only a low hysteresis torque is generated in the first-stage region between the positive and negative stages. Therefore, the entire vibration attenuation is small, and the low-frequency vibration cannot be sufficiently attenuated. Further, the first-positive and negative-stage regions serve as gaps in the torsional characteristics, and may deteriorate the longitudinal vibration.
[0008]
An object of the present invention is to provide a damper mechanism having a two-stage torsional characteristic, which effectively attenuates torsional vibration twisting between the second stage on both the positive and negative sides.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The damper mechanism according to the first aspect includes a first rotating member, a second rotating member, a first elastic member, a second elastic member, a friction generating mechanism, and a friction suppressing unit. The second rotating member and the first rotating member are arranged so as to be relatively rotatable. The first elastic member elastically connects the first rotating member and the second rotating member in a rotating direction, and compresses the first rotating member and the second rotating member in a first-stage range up to the first torsional angle. Is done. The second elastic member elastically connects the first rotating member and the second rotating member in the rotating direction, and in a second stage range where the torsional angle of the first rotating member and the second rotating member exceeds the harmful 1 torsional angle. It is a member that is compressed to provide higher rigidity in the second stage than in the first stage. The friction generating mechanism frictionally engages the first rotating member and the second rotating member in the rotational direction, and can generate a slip in the first-stage range and the second-stage range. The friction suppressing means does not cause the friction generating mechanism to slip against torsional vibration of a predetermined torque or less in the first stage range and the second stage range.
[0010]
The torsional characteristics of the damper mechanism according to
[0011]
As described above, since the high hysteresis torque is generated by operating the friction generating mechanism in the first stage range, vibration having a large torsion angle such as longitudinal vibration of the vehicle body can be effectively attenuated. Further, when torsional vibration of a predetermined torque or less is input in the first-stage range and the second-stage range, the friction suppressing unit does not cause the friction generating mechanism to slip. That is, large friction does not occur, and characteristics of low hysteresis torque can be obtained. As a result, minute torsional vibration is effectively absorbed.
[0012]
A damper mechanism according to a second aspect includes a first rotating member, a second rotating member, a first elastic member, a second elastic member, and a friction generating mechanism. The second rotating member is arranged to be relatively rotatable with the first rotating member. The first elastic member elastically connects the first rotating member and the second rotating member in a rotating direction, and compresses the first rotating member and the second rotating member in a first-stage range up to the first torsional angle. Is done. The second elastic member elastically connects the first rotating member and the second rotating member in a rotating direction, and in a second range where the torsional angle of the first rotating member and the second rotating member exceeds the first torsional angle. It is a member that is compressed to provide higher rigidity in the second stage than in the first stage. The damper mechanism frictionally engages the first rotating member and the second rotating member in the rotational direction, does not slip against torsional vibrations below a predetermined torque in the first stage range and the second stage range, and does not slip over torsional vibrations below the predetermined torque. It is a mechanism that generates friction by sliding against torsional vibration.
[0013]
In the damper mechanism according to the second aspect, the friction generating mechanism does not slip with respect to torsional vibration having a predetermined torque or less in the first-stage range and the second-stage range, but slips with respect to torsional vibration having a predetermined torque or more. To occur. Specifically, torsional vibration acting over the first-stage range and the second-stage range, such as the longitudinal vibration of the vehicle, can be damped by generating friction (hysteresis torque). On the other hand, for example, it does not slip and does not generate friction with respect to minute torsional vibration caused by combustion fluctuations of the engine. As a result, minute torsional vibration is effectively absorbed.
[0014]
The damper mechanism according to the third aspect includes a first rotating member, a second rotating member, a first elastic member, a second elastic member, a friction generating mechanism, a first friction suppressing mechanism, and a second friction suppressing mechanism. . The friction generating mechanism is capable of frictionally engaging the first rotating member and the second rotating member in the rotational direction, and generating friction in the first stage range and the second stage range. The first friction suppressing mechanism does not cause the friction generating mechanism to slip when a torsional vibration of a predetermined torque or less is input in the first stage range. The second friction suppressing mechanism does not cause the friction generating mechanism to slip when a torsional vibration of a predetermined torque or less is input in the second stage range.
[0015]
In the damper mechanism according to the third aspect, the friction generating mechanism can generate friction in the first stage range and the second stage range. Therefore, for example, vibration that repeats the torsional motion in the first and second ranges, such as the longitudinal vibration of the vehicle body, is effectively damped by generating friction throughout the first and second ranges. I do. On the other hand, when torsional vibration of a predetermined torque or less is input in the first stage range, the first friction suppressing mechanism does not cause the friction generating mechanism to slip. Further, when torsional vibration of a predetermined torque or less is input in the second stage range, the second friction suppressing mechanism does not cause the friction generating mechanism to slip. As described above, when torsional vibration of a predetermined torque or less is input in both the first-stage range and the second-stage range, the friction generating mechanism does not operate and large friction does not occur. As a result, minute torsional vibration is effectively absorbed.
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
FIG. 1 shows a cross-sectional view of a
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
Four window holes 35 are formed in the outer peripheral portions of the
[0021]
Each of the
[0022]
The
[0023]
Further, a
[0024]
Four window holes 41 are formed in the
[0025]
A
[0026]
The structure of the
[0027]
To describe the protruding
[0028]
The
[0029]
On the outer peripheral edge of the retaining
[0030]
Next, the
[0031]
In a plan view, the plate-shaped connecting
[0032]
The advantages of the
The
[0033]
In particular, since the radial length of the
The
[0034]
Each of the
[0035]
The pair of
[0036]
Next, each member constituting the friction generating mechanism will be described. The
[0037]
A
[0038]
Next, the angles of the respective structures of the
[0039]
Each circumferential angle θA to θE is described in FIGS. FIG. 20 is a diagram showing the relationship between the angles in the respective circumferential directions θA to θE.
Relationship between θA and θC
The circumferential angle θA of each
[0040]
If θC is 40 ° or more, a sufficiently excellent effect which has not been obtained conventionally can be obtained, and 50 ° to 80 °.
Is more excellent when it is in the range, more excellent effect is obtained when it is in the range of 60 to 80 °, and the most excellent effect is obtained when it is in the range of 65 to 75 °.
[0041]
If θC is equal to or less than half of θA, a sufficiently excellent effect can be obtained. More excellent effects can be obtained if θC is not more than one third of θA. The ratio to θCθA in the drawing is 1: 3.29. When the ratio is in the range of 1: 2 to 6, a sufficiently excellent effect can be obtained, and when the ratio is in the range of 1: 2.5 to 5.5, a further excellent effect can be obtained.
Relationship between θC and θD
The circumferential angle θD of each plate-like connecting portion 31 (stopper portion 32) is much smaller than the aforementioned angle θC. As is clear from FIG. 20, the value obtained by subtracting θD from θC is the maximum torsion angle θE (stopper angle of the damper mechanism) between the
[0042]
If θD is equal to or less than half of θC, θD is sufficiently widened, and if it is one-third, θE can be further increased. If θD is equal to or less than one-fourth, θE can be maximized. The ratio between θD and θE in the drawing is 1: 4.31. When the ratio is in the range of 1: 2 to 6, θE is sufficiently widened, and when the ratio is in the range of 1: 3 to 6, θE is further widened, and in the range of 1: 3.5 to 5.0. If so, θE becomes the widest.
[0043]
In this embodiment, θE is 53 °. θE is preferably at least 20 °. θE is preferably 30 ° or more. In particular, when the angle is in the range of 40 to 60 °, a sufficiently wide angle which has not been achieved in the past is achieved, and the angle in the range of 45 to 55 ° is more preferable.
The following effects can be obtained by increasing the maximum torsion angle θE. When the wide torsion angle is achieved, the rigidity of the second-stage spring (second spring 8) having torsion characteristics can be reduced without lowering the stopper torque. In this embodiment, the rigidity of the
[0044]
The
Relationship between θB and θD
The number of the window holes 41 formed in the
[0045]
The circumferential angle θD of each
[0046]
When θD is 2 or less of θB, a sufficiently excellent effect is obtained. When θD is 、 3 or less, a more excellent effect is obtained. In this embodiment, the ratio between θD and θB is 1: 3.81. When the ratio is in the range of 1: 2 to 4, the ratio of θE to θB is sufficiently large, and when the ratio is in the range of 1: 2.5 to 4.0, the ratio of θE to θB is further increased. : The ratio of θE to θB is the largest when it is in the range of 2.75 to 3.75.
Relationship between θA and θB
The circumferential angle θA of the
Relationship between θB and θE
Both θE and θB are larger than in the prior art, which increases the maximum torsional angle of the damper mechanism and the torsional angle of the
[0047]
When θB and θE are compared, θB is larger than θE, but there is only a slight difference. That is, the ratio of θE to θB is sufficiently large. Thus, when the circumferential angle of the
Radial length of
In this damper mechanism, the radial length of the
[0048]
Next, the configuration of the
[0049]
The
[0050]
Next, the relationship between the angles θ1 to θ4 of the damper mechanism in FIG. 8 will be described. The angle here is each angle when the
[0051]
Further, as shown in FIG. 8, a
[0052]
Next, the characteristics of the damper mechanism of the
FIGS. 8 and 15 show a state in which the
[0053]
FIG. 9 is a diagram when the twisting characteristic is twisted from the negative side to the positive side at 0 °. At this time, the
[0054]
When the torsion angle is maximized and subsequently returns to the negative side, the
The
[0055]
When the torsion angle becomes 5 °, the
[0056]
Next, a change in torsional characteristics when vibration is input to the
When torsional vibration having a large amplitude such as longitudinal vibration of a vehicle occurs, the torsional angle repeatedly fluctuates between the positive and negative second stages shown by the characteristics in FIG. At this time, since the high hysteresis torque is generated in both the first stage and the second stage, the longitudinal vibration of the vehicle is quickly attenuated.
[0057]
Next, for example, it is assumed that a small torsional vibration caused by the combustion vibration of the engine is input to the
[0058]
Next, an operation when a minute vibration such as an idling vibration is input to the
[0059]
By realizing low rigidity and low hysteresis torque in the first stage range, the steady tooth hitting level is improved. If the low rigidity and low hysteresis torque is advanced in the first stage range, a jumping phenomenon may occur. However, in this
[0060]
As described above, the
[0061]
As shown in this
Furthermore, by adding a structure that does not generate a high hysteresis torque against a small torsional vibration in addition to low rigidity in the range of the second torsion angle, rattle and muffled noise during traveling can be reduced.
[0062]
【The invention's effect】
In the damper mechanism according to the present invention, since a high hysteresis torque is generated even in the first stage range, vibration having a large torsion angle such as longitudinal vibration of the vehicle body can be effectively damped. Further, when a torsional vibration of a predetermined torque or less is input in the first stage range and the second stage range, the friction generating mechanism does not slip. That is, large friction does not occur, and characteristics of low hysteresis torque can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of a clutch disk assembly.
FIG. 2 is a plan view of a clutch disk assembly.
FIG. 3 is an enlarged view of FIG. 2;
FIG. 4 is an exploded sectional view of each part.
FIG. 5 is a plan view showing engagement of a hub with a separation flange and an intermediate plate.
FIG. 6 is a plan view for explaining the relationship between the torsional angles of each part.
FIG. 7 is a plan view for explaining the relationship between the torsional angles of each part.
FIG. 8 is a mechanical circuit diagram of a damper mechanism of the clutch disk assembly.
FIG. 9 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 10 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 11 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 12 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 13 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 14 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 15 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of the damper mechanism.
FIG. 16 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 17 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of the damper mechanism.
FIG. 18 is a mechanical circuit diagram showing an operation state of a damper mechanism.
FIG. 19 is a torsional characteristic diagram of a clutch disk assembly.
FIG. 20 is a diagram for explaining the relationship between each torsion angle of the clutch disk assembly.
[Explanation of symbols]
1 Clutch disk assembly
2 Input rotating body
3 Output rotating body (hub)
4 First damper mechanism
5 Second damper mechanism
6 Separation flange
7 First spring
8 Second spring
9 First stopper
10 Second stopper
11 Intermediate plate
12 Third stopper
13 Friction generating mechanism
14 4th stopper
Claims (3)
前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、前記第1回転部材と前記第2回転部材の捩じり角度が第1捩じり角度までの一段目範囲で圧縮される第1弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、前記第1回転部材と前記第2回転部材の捩じり角度が前記第1捩じり角度を越える二段目範囲で圧縮され、前記二段目範囲で前記一段目範囲より高い剛性をもたらすための第2弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に摩擦係合し、前記一段目範囲と前記二段目範囲で滑り発生可能な摩擦発生機構と、
前記一段目範囲と前記二段目範囲で所定トルク以下の捩じり振動に対しては前記摩擦発生機構の滑りを生じさせない摩擦抑制手段と、
を備えたダンパー機構。A first rotating member;
A second rotating member disposed so as to be relatively rotatable with the first rotating member;
The first rotating member and the second rotating member are elastically connected in a rotating direction, and a first-stage range in which the torsional angle of the first rotating member and the second rotating member is up to the first torsional angle. A first elastic member compressed by
A first stage in which the first rotating member and the second rotating member are elastically connected in a rotational direction, and a torsion angle between the first rotating member and the second rotating member exceeds the first torsional angle; A second elastic member that is compressed in the eye area and provides higher rigidity in the second area than in the first area;
A friction generating mechanism that frictionally engages the first rotating member and the second rotating member in a rotational direction and is capable of generating a slip in the first-stage range and the second-stage range;
Friction suppressing means that does not cause slippage of the friction generating mechanism for torsional vibration of a predetermined torque or less in the first stage range and the second stage range,
Damper mechanism with.
前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、前記第1回転部材と前記第2回転部材の捩じり角度が第1捩じり角度までの一段目範囲で圧縮される第1弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、前記第1回転部材と前記第2回転部材の捩じり角度が前記第1捩じり角度を越える二段目範囲で圧縮され、前記二段目範囲で前記一段目範囲より高い剛性をもたらすための第2弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に摩擦係合し、前記一段目範囲と前記二段目範囲で所定トルク以下の捩じり振動に対しては滑らず、前記所定トルク以上の捩じり振動に対しては滑ることで摩擦を発生する摩擦発生機構と、
を備えたダンパー機構。A first rotating member;
A second rotating member disposed so as to be relatively rotatable with the first rotating member;
The first rotating member and the second rotating member are elastically connected in a rotating direction, and a first-stage range in which the torsional angle of the first rotating member and the second rotating member is up to the first torsional angle. A first elastic member compressed by
A first stage in which the first rotating member and the second rotating member are elastically connected in a rotational direction, and a torsion angle between the first rotating member and the second rotating member exceeds the first torsional angle; A second elastic member that is compressed in the eye area and provides higher rigidity in the second area than in the first area;
The first rotating member and the second rotating member are frictionally engaged with each other in a rotational direction, and do not slip against torsional vibrations of a predetermined torque or less in the first-stage range and the second-stage range. A friction generating mechanism that generates friction by sliding against the above torsional vibration,
Damper mechanism with.
前記第1回転部材に相対回転可能に配置された第2回転部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、前記第1回転部材と前記第2回転部材の捩じり角度が第1捩じり角度までの一段目範囲で圧縮される第1弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、前記第1回転部材と前記第2回転部材の捩じり角度が前記第1捩じり角度を越える二段目範囲で圧縮され、前記二段目範囲で前記第一段目範囲より高い剛性をもたらすための第2弾性部材と、
前記第1回転部材と前記第2回転部材とを回転方向に摩擦係合し、前記一段目範囲と前記二段目範囲で摩擦を発生可能な摩擦発生機構と、
前記一段目範囲で所定トルク以下の捩じり振動に対しては前記摩擦発生機構に滑りを生じさせない第1摩擦抑制機構と、
前記二段目範囲で所定トルク以下の捩じり振動に対しては前記摩擦発生機構に滑りを生じさせない第2摩擦抑制機構と、
を備えたダンパー機構。A first rotating member;
A second rotating member disposed so as to be relatively rotatable with the first rotating member;
The first rotating member and the second rotating member are elastically connected in a rotating direction, and a first-stage range in which the torsional angle of the first rotating member and the second rotating member is up to the first torsional angle. A first elastic member compressed by
A first stage in which the first rotating member and the second rotating member are elastically connected in a rotational direction, and a torsion angle between the first rotating member and the second rotating member exceeds the first torsional angle; A second elastic member that is compressed in the eye area and provides higher rigidity in the second area than in the first area;
A friction generating mechanism capable of frictionally engaging the first rotating member and the second rotating member in a rotating direction and generating friction in the first stage range and the second stage range;
A first friction suppressing mechanism that does not cause the friction generating mechanism to slip with respect to torsional vibration having a predetermined torque or less in the first stage range;
A second friction suppressing mechanism that does not cause the friction generating mechanism to slip against torsional vibration of a predetermined torque or less in the second stage range;
Damper mechanism with.
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