JP3604246B2 - 静電容量型トランスデューサの製造方法および静電容量型トランスデューサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電容量型トランスデューサの製造方法および静電容量型トランスデューサに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、圧力センサや加速度センサ等の計測器には静電容量型トランスデューサが用いられている。この静電容量型トランスデューサは、可動電極と、この可動電極に対向する膜状の固定電極を備えた基板とが空隙を介して対向配置された構造を備え、基板に対する可動電極の変位を、可動電極と固定電極との間の静電容量の変化として検出できるようになっている。
例えば、静電容量型圧力センサでは、導電性を付与したシリコンにより可動電極としてのダイアフラムを形成し、このダイアフラムを空隙を介して基板と対向配置して、基板のダイアフラムと対向する検出面に固定電極を設けた構造がある。流体の圧力を計測する場合には、流体をダイアフラムの基板側の面とは反対側の面に導入し、その圧力によるダイアフラムの変位を静電容量の変化として検出することにより、流体の圧力を電気信号に変換できるようになっている。
【0003】
この静電容量型トランスデューサにおいては、ガラス製の基板とシリコンからなる可動電極との間に 400℃程度の高温下で約 400Vの高電圧を印加して、基板と可動電極とを互いに直接接合する、いわゆる陽極接合が用いられている。
【0004】
一方、静電容量型トランスデューサを用いて正確な測定を行うためには可動電極と固定電極との絶縁を保つ必要があるが、トランスデューサが高湿な雰囲気に晒されると、電極や基板に大気中の水が付着して絶縁抵抗が低下することがある。このような絶縁低下を防ぐ方法として、固定電極の表面や可動電極の表面に樹脂やガラス等を部分的にコーティングして絶縁皮膜を形成し、固定電極や可動電極に直接水が触れないようにすることも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、基板および可動電極を前述した陽極接合により接合すると、その接合強度が十分でないことがあり、歩留まりが低下するという不具合があった。
すなわち、陽極接合における接合強度には、互いに接合される部材の接合面の清浄度が大きなファクターとなるが、静電容量型トランスデューサの基板に設けられた固定電極は、基板を構成するガラス等とは異なる材質の金属からなるため、単一の材料からなるものと比較して洗浄液、洗浄方法に制約があるうえに、基板には固定電極からの出力を取るための貫通孔等が設けられていることが多いため洗浄しにくかった。これらのことから、基板における可動電極との接合面を十分に清浄化するのは困難であった。
【0006】
とくに、基板と半ば結合した分子レベルの有機物の洗浄は有機溶剤を用いても困難なうえに、有機溶剤よりも強力な熱濃硫酸やアルカリ液は、固定電極や基板にダメージを与えることから洗浄に使用できない。また、ドライエッチング、オゾン、プラズマによるクリーニングは、基板の表面に水分子が吸着しやすくなるため、基板の絶縁抵抗が低下するという問題が生じる。
以上のことから、接合すべき基板表面の有機物等の微量汚染を完全に除去するのは極めて困難であった。このため、しばしば接合面の汚染に起因すると考えられる接合歩留まりの低下があった。
【0007】
ところで、半導体圧力センサにおいては、ダイアフラムの基板側の面に保護膜としてのセラミック絶縁膜を形成し、この絶縁膜を介してダイアフラムと基板とを陽極接合する方法が提案されている(特開昭 63−110670号公報)。
そこで、この方法を静電容量型トランスデューサに適用して、可動電極に絶縁膜を形成し、この絶縁膜を介して基板と陽極接合することによって電極間の絶縁抵抗の低下を防止することが考えられる。しかし、この方法では、可動電極と固定電極との間の絶縁は保てるにしても、固定電極が複数の場合、基板における固定電極間の絶縁低下は防止できない。また、上述した理由から、基板の清浄度を高めることができないため、十分な接合強度が得られず、接合歩留まりの低下という問題は依然として残る。
【0008】
また、絶縁性を高めるための絶縁皮膜を基板の表面に部分的に形成するには、フォトリソグラフィー等により絶縁膜を部分的にパターニングしなければならないので、製造工程が複雑化するという問題があった。さらに、基板および絶縁皮膜は両方とも絶縁物により構成するためガラス性物質であることが多く、同じエッチング液で溶けるので、エッチングの終点判定が非常に困難であった。
【0009】
本発明の目的は、可動電極と固定電極との絶縁を確保できるとともに十分な接合強度が得られ、容易に製造できる静電容量型トランスデューサの製造方法および静電容量型トランスデューサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と、この基板に対して変位可能にかつ空隙を介して対向配置された可動電極と、前記基板の前記可動電極と対向する検出面に設けられた固定電極とを備え、前記基板と前記可動電極とが互いに陽極接合された静電容量型トランスデューサの製造方法であって、前記固定電極は、前記基板における前記検出面とは反対側の面に設けられた信号取出部とスルーホールを介して導通され、複数の前記固定電極を含んで前記基板の検出面の前記固定電極を含むほぼ全面、および、前記スルーホールの壁面において前記検出面からこの検出面とは反対側面に向けて絶縁膜を形成した後に、この絶縁膜を介して前記基板と前記可動電極とを互いに陽極接合することを特徴とする。
【0011】
一方、本発明は、基板と、この基板に対して変位可能にかつ空隙を介して対向配置された可動電極と、前記基板の前記可動電極と対向する検出面に設けられた複数の固定電極とを備え、前記基板と前記可動電極とが互いに陽極接合された静電容量型トランスデューサであって、前記固定電極は、前記基板における前記検出面とは反対側の面に設けられた信号取出部とスルーホールを介して導通され、複数の前記固定電極を含んで前記基板の検出面のほぼ全面、および、前記スルーホールの壁面において前記検出面からこの検出面とは反対側面に向けて絶縁膜が設けられ、この絶縁膜を介して前記基板と前記可動電極とが互いに陽極接合されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、基板の検出面に絶縁膜を形成するので、洗浄が困難な基板の可動電極との接合面にも絶縁膜による清浄な面が形成されることになる。そして、絶縁膜の成膜後に、この絶縁膜を介して可動電極と基板とを陽極接合するため、基板の汚染による接合強度の低下を防止できるから、十分な接合強度を確保できる。
また、陽極接合は電界によるイオンの移動を伴う接合であるため、基板と可動電極との接合強度には、介在する絶縁膜の膜質や基板への付着状態が関与すると考えられる。本発明では、固定電極を設けた基板に対して絶縁膜を成膜するため、絶縁膜の成膜時に基板が加熱されると、この熱によって基板の表面が清浄化されるから、絶縁膜の付着強度を高められるとともに膜質を安定化させることができる。
従って、固定電極を備えた基板に対して絶縁膜を成膜することにより、陽極接合の際にイオンの拡散移動が円滑に行われるようになるから、基板と可動電極との接合性を高めることができる。
【0013】
とくに、この絶縁膜をプラズマCVD或いはスパッタにより成膜した場合には、基板の表面が電子等によりボンバードされて高いクリーニング効果が得られる。反面、基板表面に水分子が吸着しやすくなり、絶縁抵抗が低下することが考えられるが、絶縁膜を成膜することで電極間の絶縁を確保できるから、基板の絶縁抵抗を低下させることなく基板と可動電極との接合強度を高めることができる。
【0014】
そして、基板の検出面の固定電極を含むほぼ全面に絶縁膜を形成するので、絶縁膜を部分的にパターニングしなくてもよくなり、成膜の工程を簡略化でき、容易に製造できる。
また、固定電極を含む基板の検出面を絶縁膜により覆うため、固定電極と可動電極との間で優れた絶縁性が得られるうえに、固定電極が複数の場合でも固定電極間の絶縁抵抗の低下を確実に防止できるから、高湿度下においても安定した高精度な出力を確保できる。
さらに、固定電極が腐食すると、その表面形状が変化して固定電極と可動電極との距離が変わることにより正確な検出ができなくなるが、本発明では、固定電極を絶縁膜により覆うため、固定電極の耐食性を向上できる。従って、固定電極と可動電極との距離を正常な状態に維持できるので、高い検出精度を確保できる。
これらにより、前記目的が達成される。
【0015】
ここで、絶縁膜の膜厚は、好ましくは、100〜10000Åであり、より好ましくは、2000Å程度である。絶縁膜の膜厚が 100Åよりも薄いと、保護膜としての機能が不十分になることがあり、膜厚が 10000Åを越えると、イオンの移動が起こりにくくなることがあり、接合性が低下する虞れが生じる。
【0016】
また、絶縁膜の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO2 )を主成分とするもの、各種ガラス、樹脂、セラミック等を用いることができる。ガラスには、金属酸化物、金属チッ化物、金属炭化物、ホウ素(B)、或いは、リン(P)を含有するものも含まれる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、静電容量型トランスデューサとしての圧力センサ10が示されている。この圧力センサ10は、圧力を静電容量の変化として検出する静電容量型の圧力センサであり、可動電極としての弾性変形可能なダイアフラム20と、このダイアフラム20周囲の厚肉部21に陽極接合されてダイアフラム20を挟持する上ガラス30および下ガラス40とから構成されている。
ダイアフラム20と上、下ガラス30,40との間には、厚肉部21よりも内側に所定の空隙が形成されている。ダイアフラム20は、この空隙において弾性変形することにより、基板である上ガラス30に対して変位できるようになっている。
【0018】
ダイアフラム20は、導電性が付与されたシリコン、例えば、単結晶シリコンからなり、ダイアフラム20自身が一つの電極になっている。このダイアフラム20において、上ガラス30と対向する対向面20Aは、厚肉部21の上面21Aよりも一段低く凹んでおり、下ガラス40と対向する対向面20B(図2参照)は、厚肉部21の下面21Bよりも図中高くなって(凹んで)いる。このダイアフラム20は、例えば、約0.1mm厚のシリコンから各段差部分がホトレジスト加工等によりエッチングされて形成されている。
なお、限定されるものではないが、対向面20Aから厚肉部21の上面21Aまでの段差寸法は、例えば、約2〜8μm程度、対向面20Bから下面21Bまでの段差寸法は、例えば、約80μm程度である。
【0019】
上ガラス30は、本発明における基板であり、ダイアフラム20と対向する検出面30Aには、図3にも示すように、固定電極である膜状の中央電極31と、この中央電極31を囲む固定電極である膜状の周辺電極32とが設けられている。各電極31,32は、図4にも示すように、上ガラス30の上面(検出面30Aとは反対の面)30Bに設けられた各信号取出部34,35とスルーホール36,37を介して導通している。そして、各信号取出部34,35のうち、周辺電極32と導通した信号取出部35だけが、上ガラス30の端縁部分まで引き出された引出部38を備えている。これらの電極31,32、信号取出部34,35および引出部38は、アルミニウム等の導電性を有する金属により形成されている。
【0020】
また、上ガラス30の上面30Bには、図1および図4に示すように、陽極接合時に使用される陽極接合用電極39が設けられており、この陽極接合用電極39は、略ダイアフラム20の縁に対応した形状とされて各信号取出部34,35を囲んでおり、前述の引出部38が陽極接合用電極39の不連続部39Aを通って引き出されている。
さらに、上ガラス30の角部30Dにはダイアフラム20の側面20Cから引き出された信号取出部50が設けられている。この信号取出部50は、上ガラス30の上面に形成された上面部50Aと、ダイアフラム20の側面20Cおよび上ガラス30の側面30Cに跨る側面部50Bとが連続して形成されたものである。
【0021】
図2に戻って、上ガラス30の検出面30Aの中央電極31および周辺電極32を含むほぼ全面には、二酸化珪素(SiO2 )からなる絶縁膜11が形成されている。この絶縁膜11の膜厚は、例えば、2000Å程度である。絶縁膜11は、ダイアフラム20と接合される上ガラス30の端縁部分まで達するように成膜され、この絶縁膜11を介して上ガラス30とダイアフラム20とが互いに陽極接合されている。
【0022】
一方、下ガラス40は、略中央位置に設けられた圧力導入口41を備えており、この圧力導入口41から圧力が印加されるようになっている。
なお、下ガラス40は、圧力センサの使用形態等を勘案し、適宜省略可能である。
【0023】
このような圧力センサ10では、圧力導入口41に圧力が印加されると、ダイアフラム20が湾曲するように弾性変形し、ダイアフラム20と上ガラス30の中央電極31および周辺電極32との間の距離が変化し、その距離に応じて静電容量が変化し、これにより圧力測定を行う。この際、ダイアフラム20の変位は中央近辺が大きく、周辺部が小さいため、ダイアフラム20と上ガラス30の中央電極31および周辺電極32との間の静電容量とに差が生じ、両者の差異を測定することにより、温度等の変化に基づく誤差を校正するとともに、ノイズ等を取り除き、より正確に圧力を検出する。
なお、この圧力センサ10は、いわゆるゲージ圧(大気圧をゼロとしたときの、大気圧に対する差圧)センサであり、ダイアフラム20および上ガラス30間の空隙部分は、中央電極31、周辺電極32の各スルーホール36,37を通じて大気開放されている。
【0024】
次ぎに、圧力センサ10の製造手順を説明する。
圧力センサ10は、図5および図6に示すダイアフラムウェーハであるシリコンウェーハ70、および上、下ガラスウェーハ80,90を互いに陽極接合して積層ウェーハ60を製作した後、この積層ウェーハ60に形成された複数のセンサチップ(センサチップ単体)61を、図6中に点線で示す切断位置87に従って各々に切断し、切断されたセンサチップ61にダイアフラム20用の信号取出部50(図2、図4参照)を設けることにより製造される。
【0025】
具体的には、先ず、シリコンウェーハ70を、エッチング等により複数のダイアフラム20が一体に形成されたものとしておくとともに、下ガラスウェーハ90に、複数の圧力導入口41を設け、複数の下ガラス40が一体に形成されたものとしておく。これらのシリコンウェーハ70および下ガラスウェーハ90は、陽極接合を行う前に洗浄しておく。
【0026】
同様に、基板ウェーハである上ガラスウェーハ80に、スルーホール36,37、中央電極31、周辺電極32、信号取出部34,35、引出部38、陽極接合用電極39、および信号取出部50の上面部50Aを、アルミニウム等の金属蒸着、およびエッチング等により設け、上ガラスウェーハ80を複数の上ガラス30が一体に形成されたものとしておく。この後、上ガラスウェーハ80の検出面30Aとなる側の面(中央電極31および周辺電極32が設けられた側の面)のほぼ全面に、プラズマCVDによって二酸化珪素(SiO2 )からなる絶縁膜を形成する。これにより、各上ガラス30の検出面30Aのほぼ全面に絶縁膜11が成膜される。
【0027】
ここで、これらシリコンウェーハ70の各ダイアフラム20、上ガラスウェーハ80の各上ガラス30、および下ガラスウェーハ90の各下ガラス40は、各ウェーハ70,80,90が積層されたとき、各々が圧力センサ10のセンサチップ61を構成するように、互いに対応した位置に設けられている。
【0028】
この際、上ガラスウェーハ80の切断位置87に各引出部38と導通した一連の導通部81を設け、この導通部81を印加部82(図5参照)に引き出しておく。また、導通部81で仕切られた中にある陽極接合用電極39同士を接合部83,84で導通させ、全ての陽極接合電極39と印加部85(図5参照)とを各々導通させておく。
【0029】
次いで、図5に示すように、下ガラスウェーハ90、シリコンウェーハ70、および上ガラスウェーハ80を、導電性を有する陽極接合用の載置台100上に順に積層した後、導線101を印加部82と上ガラスウェーハ80の開口部86に露出したシリコンウェーハ70とに接触させ、導線102を別の印加部85と載置台100とに接触させ、導線101側がプラス、導線102側がマイナスとなるように、各導線101,102間に約400℃の高温下で約400Vの電圧を印加し、各ウェーハ70,80,90を陽極接合する。このとき、上ガラスウェーハ80およびシリコンウェーハ70は、上ガラスウェーハ80に設けた絶縁膜11を介して互いに陽極接合される。
以上により、積層ウェーハ60には、切断位置87で区分けされた複数のセンサチップ61が形成され、積層ウェーハ60を切断位置87で切断することにより、各センサチップ61を取り出す。
【0030】
次ぎに、センサチップ61のダイアフラム20の側面20Cおよび上ガラス30の側面30C(角部30D)に金属等の導電性を有する材料を蒸着或いはスパッタによって成膜し、上面30Bに予め設けた上面部50Aに跨る側面部50Bを形成する。これにより、ダイアフラム20の側面20Cと、上ガラス30の側面30Cと、上面30Bに予め設けられていたパターン50Aとに跨った信号取出部50が形成され、圧力センサ10が完成する。
【0031】
なお、圧力センサ10は、それぞれ単体で形成した上ガラス30、ダイアフラム20および下ガラス40を互いに陽極接合して、個別に製造してもよい。
【0032】
このような本実施形態によれば以下のような効果がある。
すなわち、上ガラスウェーハ80の検出面30Aとなる側の面に絶縁膜11を形成するので、上ガラスウェーハ80のシリコンウェーハ70との接合面のほぼ全面、つまり、各上ガラス30の検出面30Aのほぼ全面に絶縁膜11による清浄な面を形成できる。この後、この絶縁膜11を介してシリコンウェーハ70と上ガラスウェーハ80とを陽極接合するため、上ガラスウェーハ80の汚染による接合強度の低下を防止できるから、各上ガラス30とダイアフラム20との間で十分な接合強度を確保でき、歩留まりを向上できる。
【0033】
さらに、絶縁膜11をプラズマCVDによって成膜するので、成膜時には、上ガラスウェーハ80が加熱されるうえに、上ガラスウェーハ80の表面(各上ガラス30の検出面30A)が電子やイオンによりボンバードされ、上ガラスウェーハ80の検出面30Aとなる側の面を清浄化することができる。従って、上ガラスウェーハ80に対する絶縁膜11の付着強度を高めることができるとともに安定した膜質を確保できるから、陽極接合の際にイオンを円滑に拡散移動させることが可能となり、上ガラスウェーハ80とシリコンウェーハ70との接合性を高めることができ、その結果、接合不良による歩留まり低下を防止できる。
【0034】
そして、上ガラスウェーハ80の検出面30A側の面の中央電極31および周辺電極32を含むほぼ全面に絶縁膜11を形成するので、絶縁膜11を部分的にパターニングしなくてもよくなるから、成膜の工程を簡略化でき、容易に製造できる。
また、中央電極31および周辺電極32を含む上ガラスウェーハ80の検出面30A側の面を絶縁膜11により覆うため、中央電極31、周辺電極32およびダイアフラム20の相互間で優れた絶縁性が得られるようになるから、高湿度下においても安定した高精度な出力を確保でき、測定精度を向上できる。
さらに、中央電極31および周辺電極32を絶縁膜11によって覆うので、中央電極31および周辺電極32の耐食性を向上できる。従って、中央電極31および周辺電極32とダイアフラム20との距離を正常な状態に維持できるので、高い検出精度を確保できる。
【0035】
そして、シリコンウェーハ70はシリコン単体からなるため、十分な洗浄を簡単に施すことができ、上、下ガラス30,40との接合面である各ダイアフラム20の厚肉部21の上面21Aおよび下面21Bを容易に清浄化できるから、接合強度を一層高めることができる。また、下ガラス40はガラス単体からなるため、ダイアフラム20との接合面を簡単に清浄にでき、ダイアフラム20と下ガラス40との間にも高い接合強度が得られる。
【0036】
さらに、引出部38が中央電極31を囲む周辺電極32と導通しているうえ、陽極接合時には、その引出部38にダイアフラム20と同じ電圧を印加するから、周辺電極32およびこの周辺電極32に囲まれた中央電極31を、ダイアフラム20と略同電位にすることができ、陽極接合時にダイアフラム20が上ガラス30に引き寄せられるのを防止できる。
【0037】
また、積層ウェーハ60において、各引出部38が導通部81で導通されているから、陽極接合を行うにあたって、上ガラス30の各電極31,32をダイアフラム20と略同電位にするためには、導通部81を印加部82に引き出す等してこの印加部82の一箇所に電圧を印加すればよいから、陽極接合を簡単な設備で容易に行うことができる。
【0038】
また、各導通部81が切断位置87に設けられているため、切断後に圧力センサ10上に余分な導体部分が存在しない。従って、各信号取出部34,35にボンディングを施す際にも、余分な導体を介して導線同士が短絡する心配もなく、不具合をより確実に防止することができる。
【0039】
さらに、絶縁体である上ガラス30の角部30Dには、ダイアフラム20から側面20C,30Cを通って引き出されたダイアフラム20用の信号取出部50が設けられているから、上ガラス30の角部30Dを切り欠いて信号取出部を形成する必要がない。このため、圧力センサ10の大きさが小さい場合でも、ダイアフラム20の信号取出部50を簡単に形成することができ、圧力センサの小型化を一層促進できる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記実施形態では、絶縁膜11をプラズマCVDにより成膜したが、膜の作成方法はこれに限定されず、例えば、熱CVD法や光CVD法等の他のCVD法を用いてもよく、或いは、スパッタ法を用いてもよく、または、スピンコートにより成膜してもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、上ガラス30のみに中央電極31および周辺電極32が設けられていたが、本発明は、下ガラス40にも同様な固定電極が設けられた圧力センサに適用可能である。この場合、下ガラス40のダイアフラム20と対向する検出面(固定電極が設けられた側の面)に絶縁膜を形成し、この絶縁膜を介してダイアフラム20と下ガラス40とを陽極接合する。
【0042】
そして、基板に設けられる電極としては、前記実施形態での中央電極31および周辺電極32のように二つに限られるものではなく、中央電極に相当する電極や周辺電極に相当する電極が各々複数設けられていてもよく、このような場合には、他の電極を囲む一つの電極のみに引出部を設け、また、その電極にのみダイアフラム側と同じ電圧を印加すればよい。
【0043】
そして、前記実施形態では、ダイアフラム20自身が電極とされていたが、例えば、ダイアフラムが絶縁体である場合には、半導体プロセス等の技術により、このダイアフラムに導電性の薄膜を形成する等して電極を設けてもよい。
また、前記実施形態では、厚肉部21がダイアフラム20の周縁に一体に設けられていたが、ガラス等の基板側に凹部を加工することにより、厚肉部を基板側に一体に設け、ダイアフラムを均一な厚さのものとしてもよく、あるいは、別体の厚肉部材をダイアフラムと基板との間に介装させる構成でもよい。
【0044】
そして、静電容量型トランスデューサは、圧力を測定する前記実施形態の圧力センサ10に限定されず、他の状態量を測定する計測器に用いてもよく、例えば、可動電極におもりを設けた加速度センサであってもよい。要するに、基板と、基板に対して変位可能に空隙を介して対向配置された可動電極と、基板の可動電極と対向する検出面に設けられた固定電極とを有し、基板と可動電極とが陽極接合された静電容量型のトランスデューサであれば、その使用形態や用途等は任意である。
【0045】
【実施例】
[実施例]
前記実施形態において、中央電極31および周辺電極32の材質をアルミニウムとして圧力センサ10を製造した。
【0046】
[比較例1]
前記実施形態において、中央電極31および周辺電極32の材質をアルミニウムとし、上ガラス30に絶縁膜11を設けないで圧力センサ10を製造した。
【0047】
[比較例2]
前記実施形態において、中央電極31および周辺電極32の材質をアルミニウムとし、上ガラス30に絶縁膜11を設けないで、ダイアフラム20の上ガラス30と対向する対向面20Aに絶縁膜11を形成して圧力センサ10を製造した。
【0048】
次に、実施例および比較例1,2の圧力センサ10をそれぞれ純水中に47時間水没させ、水没後の腐食状態を比較した。
その結果、実施例の圧力センサ10の電極31,32が全く腐食していないのに対し、比較例1,2の圧力センサ10の電極31,32は、変色して表面に凹凸が形成されるほど腐食が激しく、絶縁膜11を設けることにより耐食性を向上できることがわかった。
【0049】
また、比較例1の接合歩留まりは実施例に比べて低く、絶縁膜11を上ガラス30に設けることにより接合歩留まりを向上できることがわかった。
さらに、実施例と比較例2との接合歩留まりを比較したところ、比較例2の方が接合歩留まりが著しく低かった。このことから、ダイアフラム20(上ガラスとの対向面20A)でなく、上ガラス30(ダイアフラム20と対向する検出面30A)に絶縁膜11を設けることにより、接合歩留まりを向上できることが確認された。
【0050】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、基板の検出面に絶縁膜を形成するので、洗浄が困難な基板の可動電極との接合面にも絶縁膜による清浄な面が形成されることになる。そして、絶縁膜の成膜後に、この絶縁膜を介して可動電極と基板とを陽極接合するため、基板の汚染による接合強度の低下を防止できるから、十分な接合強度を確保できる。
【0051】
そして、基板の検出面の固定電極を含むほぼ全面に絶縁膜を形成するので、絶縁膜を部分的にパターニングしなくてもよくなり、成膜の工程を簡略化でき、容易に製造できる。
また、固定電極を含む基板の検出面を絶縁膜により覆うため、固定電極と可動電極との間で優れた絶縁性が得られるから、高湿度下においても安定した高精度な出力を確保できる。
さらに、固定電極を絶縁膜により覆うため、固定電極の耐食性を向上でき、固定電極と可動電極との距離を正常な状態に維持できるので、高い検出精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図。
【図2】図1および図4のI−I線断面図。
【図3】前記実施形態の絶縁膜を除いた基板を示す下面図。
【図4】図3を左右方向に反転した前記基板の平面図。
【図5】前記実施形態の圧力センサの製造方法を説明するための斜視図。
【図6】図5の要部拡大図。
【符号の説明】
10 圧力センサ(静電容量型トランスデューサ)
11 絶縁膜
20 ダイアフラム(可動電極)
30 上ガラス(基板)
30A 検出面
31 中央電極(固定電極)
32 周辺電極(固定電極)
34,35 信号取出部
40 下ガラス
Claims (2)
- 基板と、この基板に対して変位可能にかつ空隙を介して対向配置された可動電極と、前記基板の前記可動電極と対向する検出面に設けられた固定電極とを備え、前記基板と前記可動電極とが互いに陽極接合された静電容量型トランスデューサの製造方法であって、
前記固定電極は、前記基板における前記検出面とは反対側の面に設けられた信号取出部とスルーホールを介して導通され、
複数の前記固定電極を含んで前記基板の検出面のほぼ全面、および、前記スルーホールの壁面において前記検出面からこの検出面とは反対側面に向けて絶縁膜を形成した後に、この絶縁膜を介して前記基板と前記可動電極とを互いに陽極接合することを特徴とする静電容量型トランスデューサの製造方法。 - 基板と、この基板に対して変位可能にかつ空隙を介して対向配置された可動電極と、前記基板の前記可動電極と対向する検出面に設けられた複数の固定電極とを備え、前記基板と前記可動電極とが互いに陽極接合された静電容量型トランスデューサであって、
前記固定電極は、前記基板における前記検出面とは反対側の面に設けられた信号取出部とスルーホールを介して導通され、
複数の前記固定電極を含んで前記基板の検出面のほぼ全面、および、前記スルーホールの壁面において前記検出面からこの検出面とは反対側面に向けて絶縁膜が設けられ、この絶縁膜を介して前記基板と前記可動電極とが互いに陽極接合されていることを特徴とする静電容量型トランスデューサ。
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