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JP3602875B2 - 血圧監視装置 - Google Patents

血圧監視装置 Download PDF

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JP3602875B2
JP3602875B2 JP24553794A JP24553794A JP3602875B2 JP 3602875 B2 JP3602875 B2 JP 3602875B2 JP 24553794 A JP24553794 A JP 24553794A JP 24553794 A JP24553794 A JP 24553794A JP 3602875 B2 JP3602875 B2 JP 3602875B2
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正美 後藤
秀郎 西林
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コーリンメディカルテクノロジー株式会社
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、脈波センサにて検出される脈波に基づいて生体の血圧値を監視する血圧監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体の血圧値を監視するに際しては、生体の一部に巻回されるカフを有して、そのカフによる圧迫圧力を変化させることによりその生体の血圧値を測定する血圧値測定手段を備えた自動血圧測定装置が用いられ、カフによる圧迫が所定の周期で繰り返し開始されることにより血圧値が測定される場合が多い。しかし、このような自動血圧測定装置による場合に、血圧監視の精度を高めるために測定間隔を短くすると、カフの生体に対する圧迫頻度が高くなるので大きな負担を生体に強いる欠点があると共に、鬱血が生じて正確な血圧値が得られなくなる。
【0003】
【発明が解決すべき課題】
そこで、血圧値に異常が生じた場合には最低血圧値も変化するという事実に基づき、カフによる圧迫圧力を高くすることなく最低血圧値を測定することによって血圧監視に代え、これにより生体に対する負担を軽減することが考えられている。このようにすれば、最低血圧値に変化が見られない場合には血圧値に異常が生じていないと判断できるため、その後の昇圧が不要となって生体に対する負担が軽減されるのである。
【0004】
上記の最低血圧値は、例えば、カフの圧迫圧力に伴って発生および消滅するコロトコフ音に基づいて血圧値を決定する所謂K音法において、カフ圧が昇圧させられる過程で発生するK音をマイクロホンによって検出し、最初にK音が発生した際のカフ圧を最低血圧値として決定することにより得られる。しかしながら、この技術では、K音の検出にマイクロホンが用いられるため近傍で発生したノイズをK音と誤って判定するおそれがあると共に、ショック状態などで生体の脈が弱い場合にはK音の検出が困難となって、最低血圧値の高い信頼性が得られないという問題がある。
【0005】
一方、例えば、カフの圧迫圧力に伴って変化する圧脈波の大きさの変化状態に基づいて血圧値を決定するオシロメトリック法では、カフ圧が昇圧させられる過程で圧脈波に生じる変曲点を検出することにより、その変曲点が生じた際のカフ圧が最低血圧値として決定される。この技術によれば、生体の脈が弱い場合にも確実に最低血圧値を測定できるが、上記の変曲点を決定するには平均血圧値程度までカフ圧を昇圧させる必要があるため、生体に対する負担が比較的高くなると共に、最低血圧値の測定精度が得られないという問題がある。
【0006】
本発明者等は以上の事情に基づいて研究を重ねるうち、カフ装着部位下流側の部位で検出される下流側脈波はカフにおいて検出されるカフ脈波と一定の関係があり、その関係はカフ圧が最低血圧値となったときを境にして急激に変化することを見出した。
【0007】
本発明は、斯かる知見に基づいて為されたものであって、その目的とするところは、生体に対する負担を軽減し且つ正確な最低血圧値を測定し得る血圧監視装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、生体の一部に装着されるカフを有し、そのカフによる圧迫圧力を変化させることによりその生体の血圧値を測定する血圧値測定手段と、その生体のカフが装着される部位よりも動脈下流側の部位の動脈から発生する下流側脈波を検出する脈波センサとを備えた形式の血圧監視装置であって、(a) 前記カフの圧迫圧力を所定の速度で昇圧させるカフ圧昇圧手段と、(b) 前記カフに発生する圧力振動であるカフ脈波を検出するカフ脈波検出手段と、(c) 前記カフ圧昇圧手段により前記カフの圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、前記下流側脈波の上ピークとその上ピークに続く下ピークとの間隔である第1ピーク間隔を算出する第1ピーク間隔算出手段と、(d) その第1ピーク間隔が算出される下流側脈波に同期して発生する前記カフ脈波の上ピークとその上ピークに続く下ピークとの間隔である第2ピーク間隔を算出する第2ピーク間隔算出手段と、(e) それら第1ピーク間隔と第2ピーク間隔との差を算出するピーク間隔差算出手段と、(f) そのピーク間隔差算出手段により算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化する点に対応する前記カフの圧力を最低血圧値として決定する最低血圧値決定手段とを、含むことにある。
【0009】
【作用】
このようにすれば、カフ圧昇圧手段により前記カフの圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、第1ピーク間隔算出手段により前記下流側脈波の上ピークとそれに続く下ピークとの間の第1ピーク間隔が算出されると共に、第2ピーク間隔算出手段により上記第1ピーク間隔が算出された下流側脈波に同期して発生するカフ脈波の上ピークとそれに続く下ピークとの間の第2ピーク間隔が算出され、ピーク間隔差算出手段により、それら第1ピーク間隔と第2ピーク間隔との差が算出される。そして、最低血圧値決定手段によって、そのピーク間隔差算出手段により算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化する点に対応する前記カフの圧力が最低血圧値として決定される。すなわち、カフ脈波はカフの圧迫圧力の変化とは無関係に脈拍のみに同期して変化するが、下流側脈波はカフの動脈下流側で検出されて脈拍およびカフ圧の双方の変化に対応して変化させられる。このため、上記ピーク間隔差の変化率はカフ圧の変化の影響を受けて最低血圧値に到達すると急激に変化することとなり、これらカフ脈波と下流側脈波との上下ピーク間隔の差の変化率に基づいて最低血圧値を決定できるのである。
【0010】
【発明の効果】
上記により、カフ圧の昇圧過程においてその圧迫圧力が比較的低いときに最低血圧値が決定されるため、血圧監視をするに際して生体に対する負担が軽減される。しかも、上記ピーク間隔差はカフ脈波を基準として算出されるため、例えば不整脈等の生理的な変化が生じた場合にも、カフ脈波と下流側脈波が同様に変化させられてピーク間隔差にはその影響が生じず、最低血圧値が一層正確に測定される。また、上記下流側脈波は、血圧監視とは異なる他の目的で生体に装着されている脈波センサによってその測定のために検出される脈波を利用できるため、生体に特に負担を強いることなく最低血圧値を測定することができる。なお、脈波センサは生体のカフが装着される部位よりも動脈下流側の部位に装着されるが、通常の血圧監視状態においてはカフの圧迫圧力は最低血圧値程度までしか昇圧されず殆ど血流を妨げないため、脈波センサによる測定は殆ど中断されない。
【0011】
ここで、好適には、前記血圧監視装置は、生体の一部に装着されるカフを有し、そのカフによる圧迫圧力を変化させることによりその生体の血圧値を測定する血圧値測定手段と、その生体のカフが装着される部位よりも動脈下流側の部位に押圧されることによりその動脈下流側の部位の動脈から発生する圧脈波を検出する圧脈波センサと、その圧脈波センサにより検出される圧脈波の大きさと前記血圧値測定手段により測定された血圧値との間の対応関係を予め決定する関係決定手段と、その対応関係からその圧脈波センサにより検出される圧脈波の大きさに基づいてその生体の血圧値を連続的に決定する連続血圧値決定手段とを備え、(a) 前記カフの圧迫圧力を所定の速度で昇圧させるカフ圧昇圧手段と、(b) 前記カフに発生する圧力振動であるカフ脈波を検出するカフ脈波検出手段と、(c) 前記カフ圧昇圧手段により前記カフの圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、前記圧脈波の上ピークとその上ピークに続く下ピークとの間隔である第1ピーク間隔を算出する第1ピーク間隔算出手段と、(d) その第1ピーク間隔が算出される圧脈波に同期して発生する前記カフ脈波の上ピークとその上ピークに続く下ピークとの間隔である第2ピーク間隔を算出する第2ピーク間隔算出手段と、(e) それら第1ピーク間隔と第2ピーク間隔との差を算出するピーク間隔差算出手段と、(f) そのピーク間隔差算出手段により算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化する点に対応する前記カフの圧力と前記連続血圧値決定手段により決定された最低血圧値とに基づいて、前記関係決定手段により決定された対応関係の適否を判定する関係判定手段とを、含むものである。
【0012】
このようにすれば、カフ圧昇圧手段により前記カフの圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、第1ピーク間隔算出手段により前記圧脈波の上ピークとそれに続く下ピークとの間の第1ピーク間隔が算出されると共に、第2ピーク間隔算出手段により上記第1ピーク間隔が算出された圧脈波に同期して発生するカフ脈波の上ピークとそれに続く下ピークとの間の第2ピーク間隔が算出され、ピーク間隔差算出手段により、それら第1ピーク間隔と第2ピーク間隔との差が算出される。そして、そのピーク間隔差算出手段により算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化する点に対応する前記カフの圧力と前記連続血圧値決定手段により決定された最低血圧値とに基づいて、前記関係決定手段により決定された対応関係の適否が、関係判定手段により判定される。
【0013】
上記により、関係決定手段によりすでに決定されている対応関係が関係判定手段によって適当であると判定される場合には、そのときのキャリブレーションの実行が不要となる。したがって、キャリブレーションのためのカフの圧迫により生体に負担を強いることが解消されるとともに、生体のカフが装着された部位よりも下流側の部位に圧脈波センサが装着される場合でも連続血圧値決定手段による血圧監視が中断されることがない。しかも、関係判定手段により対応関係の適否が判断される際には、圧迫圧力は最低血圧値程度以上には昇圧されないため、その際におけるカフの圧迫による生体の負担が殆ど生じないのである。
【0014】
因みに、カフの圧迫による血圧監視に代わる手段として、例えば、本出願人が先に出願して公開された特開平1−214338号公報等に記載されているように、カフによる血圧測定手段と、生体の手首等に押圧されることによりその部位の動脈から発生する圧脈波を検出する圧脈波センサと、この圧脈波の大きさと前記血圧測定手段により測定された血圧値との間の対応関係を予め決定する関係決定手段と、その対応関係から前記圧脈波の大きさに基づいて生体の血圧値を連続的に決定する連続血圧値決定手段とを備えた、前記の形式の血圧測定装置が知られている。この技術によれば、上記対応関係が一旦決定された後は、圧脈波に基づいて血圧値が連続的に決定されるため、血圧監視をするに際して生体に対する負担が軽減される。
【0015】
しかしながら、上記の技術では生体の体動等により圧脈波センサの動脈に対する押圧状態が変化することが避けられないことから、連続血圧値決定手段により決定される血圧値の精度を高めるために、上記対応関係を更新するためのキャリブレーションが周期的に実行される。このキャリブレーションでは、血圧値測定手段によりカフの圧迫圧力が所定の手順で変化させられる過程で血圧値が測定されると共に、その測定により得られた血圧値とその測定が行われたときに圧脈波センサにより検出される圧脈波の大きさとの対応関係が前記関係決定手段により新たに決定される。そのため、上記の技術によっても周期的にカフの圧迫により生体に負担を強いることとなると共に、生体のカフが装着された部位よりも下流側の部位において圧脈波センサが装着される場合には、キャリブレーションの実行期間中において連続血圧値決定手段による血圧監視が中断される不都合があり、このことは血圧監視の精度を高めるためにキャリブレーションの実行周期を短くする程顕著となっていたのである。
【0016】
また、好適には、前記下流側脈波は、前記生体の表面に向かって照射された光の透過光量或いは反射光量の変化に基づいて検出される光電脈波である。このようにすれば、例えば末梢循環動態や血中酸素飽和度の測定の際に検出される光電脈波を利用することにより、生体にカフの圧迫による負担を強いることなく最低血圧値を測定することが可能である。
【0017】
因みに、血圧監視が必要となる場合には、同時に循環器系の他の機能、例えば末梢循環動態や血中酸素飽和度等が測定されることも多い。末梢循環動態の測定は、例えば、本出願人が先に出願して公開された特開平5−115445号公報等に記載されているように、人工呼吸による呼吸周期に同期して生じる動脈の脈動の一時的な変化を検出し、人工呼吸の1周期のうちの定められた基準時点に対する上記一時的な変化の発生時点の遅れ時間を検出することにより行われるが、上記脈動は光電脈波として検出することが可能である。また、血中酸素飽和度の測定は、例えば、特開昭50−128387号公報等に記載されているように、動脈の脈動によって吸光度が変化することを利用して、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとによる吸光度が異なる2つの波長のそれぞれについて、それぞれの波長における吸光係数比を求め、吸光係数比と血中酸素飽和度との比例関係に基づいて行われるものであるが、この際、光電脈波が検出されることとなる。したがって、これらの測定のための光電脈波の検出を生体のカフが巻回された部位の動脈下流側において行うことにより、これを最低血圧値を決定するための下流側脈波として利用できるのである。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
(第1実施例)
図1は、本発明の血圧監視装置の一構成例を示す図であって、たとえば手術中や手術後の患者の容態を監視するために用いられる。図において、10はゴム製袋を布製帯状袋内に有するカフであって、たとえば患者の上腕部12に巻回された状態で装着される。カフ10には、圧力センサ14、切換弁16、および空気ポンプ18が配管20を介してそれぞれ接続されている。切換弁16は、カフ10内への圧力の供給を許容する圧力供給状態、カフ10内を徐々に排圧する徐速排圧状態、およびカフ10内を急速に排圧する急速排圧状態の3つの状態に切り換えられるように構成されている。
【0020】
圧力センサ14は、カフ10内の圧力を検出してその圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路22および脈波弁別回路24にそれぞれ供給する。静圧弁別回路22はローパスフィルタを備えており、圧力信号SPに含まれる定常的な圧力を表すカフ圧信号SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器26を介して制御装置28へ供給する。脈波弁別回路24はバンドパスフィルタを備えており、圧力信号SPの振動成分である脈波信号SM を弁別してその脈波信号SM をA/D変換器30を介して制御装置28へ供給する。この脈波信号SM が表すカフ脈波は、患者の心拍に同期して図示しない上腕動脈から発生してカフ10に伝達される圧力振動波であり、上記脈波弁別回路24はカフ脈波検出手段として機能している。
【0021】
上記制御装置28は、CPU29,ROM31,RAM33,および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されており、CPU29は、ROM31に予め記憶されたプログラムに従ってRAM33の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を出力して図示しない駆動回路を介して切換弁16および空気ポンプ18を制御する。キャリブレーションのためのカフ10を用いた血圧測定に際しては、たとえばカフ10内の圧力を所定の目標圧力まで急速昇圧させた後に3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させ、その徐速降圧過程で逐次採取される脈波信号SM が表す脈波の変化に基づいてオシロメトリック法により最高血圧値および最低血圧値などの血圧値を決定し、その決定した血圧値を表示器32に表示させる。
【0022】
圧脈波検出プローブ34は、前記カフ10が装着された患者の上腕部12の動脈下流側の部位において、容器状を成すハウジング36の開口端が体表面38に対向する状態で装着バンド40により手首42に着脱可能に取り付けられるようになっている。ハウジング36の内部には、ダイヤフラム44を介して圧脈波センサ46が相対移動可能かつハウジング36の開口端からの突出し可能に設けられており、これらハウジング36およびダイヤフラム44等によって圧力室48が形成されている。この圧力室48内には、空気ポンプ50から調圧弁52を経て圧力エアが供給されるようになっており、これにより、圧脈波センサ46は圧力室48内の圧力に応じた押圧力PHDで前記体表面38に押圧される。
【0023】
上記圧脈波センサ46は、たとえば、単結晶シリコン等から成る半導体チップの押圧面54に多数の半導体感圧素子(図示せず)が配列されて構成されており、手首42の体表面38の撓骨動脈56上に押圧されることにより、撓骨動脈56から発生して体表面38に伝達される圧力振動波すなわち圧脈波を検出し、その圧脈波を表す圧脈波信号SM をA/D変換器58を介して制御装置28へ供給する。図2の上段の波形は、圧脈波センサ46により検出された圧脈波の一例を示している。
【0024】
制御装置28のCPU29は、ROM31に予め記憶されたプログラムに従ってRAM33の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行し、空気ポンプ50および調圧弁52へ図示しない駆動回路を介して駆動信号を出力して圧力室48内の圧力を調節する。血圧監視に際しては、圧力室48内の徐速圧力変化過程で逐次得られる圧脈波に基づいて圧脈波センサ46の最適押圧力PHDO を決定し、調圧弁52を圧脈波センサ46の最適押圧力PHDO を維持するように制御するとともに、カフ10を用いて測定された最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA と、上記最適押圧力PHDO が維持された状態で圧脈波センサ46にて検出された圧脈波の最高値PM2max および最低値PM2min とに基づいて測定された血圧値BPと圧脈波の大きさP(絶対値)との間の対応関係を求め、この対応関係から、圧脈波センサ46により逐次検出される圧脈波の大きさPすなわち最高値(上ピーク値)PM2max および最低値(下ピーク値)PM2min に基づいて最高血圧値MBPSYS および最低血圧値MBPDIA (モニタ血圧値)を逐次決定し、その決定したモニタ血圧値MBPを表示器32に表示させる。
【0025】
上記対応関係は、たとえば図3に示すものであり、数式 MBP=A・P+Bにより表される。但し、Aは傾きを示す定数、Bは切片を示す定数である。
【0026】
図4は、上記のように構成された血圧監視装置における制御装置28の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図において、カフ10の圧迫圧力が圧力センサ14により検出される。血圧値測定手段72は、カフ10による圧迫圧力を変化させることにより患者の血圧値を測定する。圧脈波センサ46は、患者のカフ10が装着される部位よりも動脈下流側の部位に押圧されることによりその動脈下流側の部位の動脈から発生する圧脈波を検出する。関係決定手段74は、圧脈波センサ46により検出される圧脈波の大きさと血圧値測定手段72により測定された血圧値との間の対応関係を予め決定する。連続血圧値決定手段76は、その対応関係から圧脈波センサ46により検出される圧脈波の大きさに基づいて患者の血圧値を連続的に決定する。
【0027】
一方、カフ圧昇圧手段78は、カフ10の圧迫圧力を所定の速度で連続的或いは段階的に昇圧させる。第1ピーク間隔算出手段80および第2ピーク間隔算出手段82は、カフ圧昇圧手段78によりカフ10の圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、圧脈波センサ46により検出された圧脈波の上ピークとそれに続く下ピークとの間隔(第1ピーク間隔)、および、カフ脈波検出手段(脈波弁別回路24)により検出されたカフ脈波の上ピークとそれに続く下ピークとの間隔(第2ピーク間隔)を、それぞれ算出する。ピーク間隔差算出手段84は、第1ピーク間隔算出手段80および第2ピーク間隔算出手段82によってそれぞれ算出された、第1ピーク間隔および第2ピーク間隔の差(ピーク間隔差)を算出する。関係判定手段86は、算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化した点Kに対応するカフ10の圧力と、連続血圧値決定手段76により決定された最新の最低血圧値とに基づいて、上記関係決定手段74により決定された対応関係の適否を判定する。
【0028】
図5は、上記制御装置28の制御作動の要部を説明するフローチャートである。図のステップS1(以下、ステップを省略する。)では、圧力室48内が徐速昇圧させられ、この圧力室48内の徐速昇圧過程で圧脈波センサ46により逐次検出される圧脈波の振幅が最大となる圧力室48内の圧力すなわち圧脈波センサ46の最適押圧力PHDO が決定されるとともに、圧力室48内の圧力がその最適押圧力PHDO に保持されることにより、圧脈波センサ46の押圧力が最適な一定値にホールドされる。本実施例においては、上記空気ポンプ50,調圧弁52,およびステップS1(より正確にはCPU29,ROM31,およびRAM33のうちのステップS1を実行するために用いられる部分)が押圧力調節手段に相当する。
【0029】
続くS2では、カフ10が装着されている患者について、前記図3に示す対応関係が既に決定されているか否かが判断される。このS2の判断が肯定された場合には対応関係の適否を判定する対応関係適否判定ルーチンがS3乃至S8において実行されるが、当初はこのS2の判断が否定されるので、カフ10による血圧測定を実行するS9以下が実行される。先ず、前記血圧値測定手段72に対応するS9では、切換弁16を圧力供給状態に切り換え且つ空気ポンプ18を作動させてカフ10内の圧力を患者の予想される最高血圧値よりも高い目標圧力(たとえば180mmHg)まで昇圧した後、空気ポンプ18を停止させ且つ切換弁16を徐速排圧状態に切り換えてカフ10内の圧力を予め定められた緩やかな速度で下降させることにより、この徐速降圧過程で逐次得られる脈波信号SM が表す脈波の振幅の変化に基づいて、良く知られたオシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムに従って最高血圧値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN、および最低血圧値BPDIA が測定されるとともに、脈波間隔に基づいて脈搏数などが決定されるのである。そして、その測定された血圧値および脈搏数などが表示器32に表示されるとともに、切換弁16が急速排圧状態に切り換えられてカフ10内が急速に排圧される。
【0030】
次に、前記関係決定手段74に対応するS10では、圧脈波センサ46からの圧脈波の大きさ(絶対値すなわち脈波信号SM の大きさ)と上記S9において測定されたカフ10による血圧値BPSYS 、BPDIA との間の対応関係が求められる。すなわち、圧脈波センサ46からの圧脈波が1拍読み込まれ且つその圧脈波の最高値PM2max および最低値PM2min が決定されるとともに、それら圧脈波の最高値PM2max および最低値PM2min とS9にてカフ10により測定された最高血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA とに基づいて、図3に示す圧脈波の大きさと血圧値との間の対応関係が決定されるのである。
【0031】
上記のようにして対応関係が決定されると、血圧監視ルーチンが続くS11以下において実行される。先ず、S11において1つの脈波が入力されたか否かが判断される。このS11の判断が否定された場合には1つの脈波が入力されるまで待機させられるが、S11の判断が肯定された場合には、前記連続血圧値決定手段76に対応するS12において、前記最適押圧力PHDO における圧脈波センサ46からの圧脈波の最高値PM2max および最低値PM2min が決定される。次いで、S13では、S10にて求められた対応関係から、S12で決定された圧脈波の最高値PM2max および最低値PM2min に基づいて最高血圧値MBPSYS および最低血圧値MBPDIA (モニタ血圧値)が決定されるとともに、その決定されたモニタ血圧値が圧脈波の連続波形と共に表示器32に表示される。
【0032】
次いで、S14では、上記ステップS9においてカフ10による血圧測定が行われてからの経過時間が予め設定された10乃至20分程度の設定周期を経過したか否かが判断される。このS14の判断が否定された場合には、前記S11以下の血圧監視ルーチンが繰り返し実行され、最高血圧値MBPSYS および最低血圧値MBPDIA が1拍毎に連続的に決定され且つ表示される。しかし、このS14の判断が肯定された場合には、前記S2以下が再び実行される。
【0033】
上記のようにして対応関係が一旦決定された後の制御サイクルでは、S2の判断が肯定されるので、前記カフ圧昇圧手段78に対応するS3によりカフ10が5乃至20mmHg/sec程度の所定の速度で大気圧から昇圧される。次いで、前記第1ピーク間隔算出手段80および第2ピーク間隔算出手段82に対応するS4では、前記の図2の上段および下段にそれぞれ示される圧脈波およびカフ脈波が検出され、圧脈波の上ピークPM2max と下ピークPM2min との間隔D(但し、i=1,2,・・・)が算出されると共に、その間隔Dが算出された圧脈波に同期して発生するカフ脈波の上ピークPM1max と下ピークPM1min との間隔dが算出される。そして、前記ピーク間隔差算出手段84に対応するステップS5において、2つのピーク間隔D,dの差t(=d−D)(msec)が算出され、更に、ステップS6において、図6に示すような、カフ10の昇圧に伴って変化するピーク間隔差tの変化率が急激に変化する変化点Kが発生したか否かが、直前までの変化率との対比等によって判断されるのである。
【0034】
上記ピーク間隔差tの変化は、カフ10の圧迫によってそのカフ10から下流側へ伝播する圧力波の低圧側が遮断されることにより生じるものであり、上記変化点Kは最低血圧値に対応して発生する。当初はS6の判断が否定されるのでS3以下が実行され、それらのステップが繰り返し実行されるうちにS6の判断が肯定されると、S7において、ピーク間隔差tの変化率が急激に変化した変化点Kの検出時のカフ圧PCD1 が記憶される。このカフ圧PCD1 は実際の最低血圧値に相当するものであり、本実施例においては、上記S7が最低血圧値決定手段に相当する。
【0035】
そして、前記関係判定手段82に対応するS8において、前記S13において算出された最新の最低血圧値MBPDIA とS7において記憶された変化点K検出時のカフ圧PCD1 (すなわち最低血圧値BPDIA )とに基づいてS10において決定された対応関係の適否が判定される。すなわち、上記最低血圧値MBPDIA と変化点K検出時のカフ圧PCD1 との差|MBPDIA −PCD1 |が予め設定された判断基準値ΔP 以下であるか否かが判断される。この判断基準値ΔP は、連続的に決定される最低血圧値MBPDIA とカフ10により測定される最低血圧値BPDIA との一致性を判定するための値であり、たとえば5mmHg程度に設定される。しかし、カフ10により測定される最低血圧値BPDIA と変化点K検出時のカフ圧PCD1 との差が認められる場合は、その差の分だけ上記判断基準値ΔP が予め修正される。
【0036】
上記S8の判断が肯定された場合には、カフ10による血圧測定および対応関係の更新が不要であるので、前記S9およびS10が実行されることなく、前記S11以下の血圧監視ルーチンが直接的に実行される。しかし、S8の判断が否定された場合には、対応関係が不適であるので、前記S9およびS10が実行されて対応関係が更新されてからS11以下の血圧監視ルーチンが実行される。
【0037】
上述のように、本実施例によれば、カフ圧昇圧手段78に対応するS3によりカフ10の圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、第1ピーク間隔算出手段80および第2ピーク間隔算出手段82に対応するS4により、圧脈波の上ピークPM2max とそれに続く下ピークPM2min との間の第1ピーク間隔D、およびカフ脈波の上ピークPM1max とそれに続く下ピークPM1min との間の第2ピーク間隔dがそれぞれ算出され、ピーク間隔差算出手段84に対応するS5により、それら第1ピーク間隔Dと第2ピーク間隔dとの差tが算出される。そして、そのS5により算出されたピーク間隔差tの変化率が急激に変化する変化点Kが検出されたときのカフ10の圧力PCD1 が最低血圧値BPDIA として決定されると共に、その圧力PCD1 と連続血圧値決定手段76に対応するS13により決定された最新の最低血圧値MBPDIA とに基づいて、関係決定手段74に対応するS13により決定された対応関係の適否が、関係判定手段86に対応するS8により判定される。
【0038】
これにより、S10によりすでに決定されている対応関係がS8によって適当であると判定される場合には、そのときのキャリブレーションの実行が不要となるので、キャリブレーションのためのカフ10の圧迫により患者に負担を強いることが解消されるとともに、患者のカフ10が装着された部位よりも下流側の部位に圧脈波センサ46が装着される場合でも連続血圧値決定手段76による血圧監視が中断されることがない。
【0039】
なお、カフ脈波は脈拍のみに同期して変化し、カフ10の圧迫圧力の変化の影響を受けないが、一方、圧脈波はカフ10の下流側で検出されるため、脈拍および圧迫圧力の双方の変化に対応して変化させられる。そのため、上記のピーク間隔差tの変化率は、圧迫圧力の変化の影響を受けることとなり、前記変化率が急激に変化する点Kに対応するカフ10の圧力は最低血圧値MBPDIA に相当する。したがって、S8により対応関係の適否が判断される際には、圧迫圧力は最低血圧値程度に昇圧されることとなり、その際におけるカフ10の圧迫による患者の負担が殆ど生じないのである。しかも、上記ピーク間隔差tはカフ脈波を基準として算出されるため、例えば不整脈等の生理的な変化が生じた場合にも、カフ脈波と圧脈波が同様に変化させられてピーク間隔差tにはその影響が生じない。したがって、対応関係の適否の判定が一層正確に為されることとなる。
【0040】
また、本実施例によれば、S8においては、S13により決定された最新の最低血圧値MBPDIA とピーク間隔差tの変化率が急激に変化する変化点Kが検出されたときのカフ10の圧力PCD1 とに基づいて対応関係の適否が判定されるので、所定時間前の最低血圧値MBPDIA 或いはS9において測定された最低血圧値BPDIA を用いる場合に比較して一層判定精度が高められる利点がある。
【0041】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
(第2実施例)
図7は、血圧測定を行うと共にパルスオキシメータによって血中酸素飽和度を測定するために、前述の実施例の圧脈波検出用プローブ34に代えて光電脈波検出用プローブ88(以下、単にプローブという)が用いられる場合の装置構成を示す図である。上記のプローブ88は、例えば、患者のカフ10が装着された上腕部12の動脈下流側の部位の体表面38に図示しない装着バンド等により密着した状態で装着されている。プローブ88は、一方向において開口する容器状のハウジング92と、そのハウジング92の底部内面の外周側に位置する部分に設けられ、LED等から成る複数の第1発光素子94aおよび第2発光素子94b(以下、特に区別しない場合は単に発光素子94という)と、ハウジング92の底部内面の中央部分に設けられ、フォトダイオードやフォトトランジスタ等から成る受光素子96と、ハウジング92内に一体的に設けられて発光素子94および受光素子96を覆う透明な樹脂98と、ハウジング92内において発光素子94と受光素子96との間に設けられ、発光素子94から前記体表面38に向かって照射された光のその体表面38から受光素子96に向かう反射光を遮光する環状の遮蔽部材100とを備えて構成されている。
【0043】
上記第1発光素子94aは、例えば660nm程度の波長の赤色光を発光し、第2発光素子94bは例えば800nm程度の波長の赤外光をそれぞれ発光するものである。これら第1発光素子94aおよび第2発光素子94bは、一定時間づつ順番に所定周波数で発光させられると共に、それら発光素子94から前記体表面38に向かって照射された光の体内の細い血管が密集している部位からの反射光は共通の受光素子96によりそれぞれ受光される。なお、発光素子94a,94bの波長は、上記の値に限られず、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンとの吸光係数が大きく異なる波長の光と、それらの吸光係数が略同じとなる波長の光とをそれぞれ発光するものであれば良い。
【0044】
受光素子96は、その受光量に対応した大きさの光電脈波信号SMをローパスフィルタ102を介して出力する。受光素子96とローパスフィルタ102との間には、増幅器等が適宜設けられる。ローパスフィルタ102は、入力された電気信号SMから脈波の周波数よりも高い周波数を有するノイズを除去し、そのノイズが除去された信号SMをデマルチプレクサ104に出力する。デマルチプレクサ104は、制御装置28からの信号に従って第1発光素子94aおよび第2発光素子94bの発光に同期して切り換えられることにより、赤色光による電気信号SMをサンプルホールド回路106およびA/D変換器58を介して、赤外光による電気信号SMIRをサンプルホールド回路108およびA/D変換器110を介して、それぞれ制御装置28の図示しないI/Oポートに逐次供給する。サンプルホールド回路106,106は、入力された電気信号SM,SMIRをA/D変換器58,110へ逐次出力する際に、前回出力した電気信号SM,SMIRについてのA/D変換器58,110における変換作動が終了するまで次に出力する電気信号SM,SMIRをそれぞれ保持するためのものである。本実施例においては、上記プローブ88が脈波センサに相当する。
【0045】
なお、上記制御装置28には、前述の実施例と同様にカフ10側のA/D変換器26、表示器32等が接続されているが、空気ポンプ50、調圧弁52は不要であるため設けられていない。
【0046】
制御装置28のCPU29は、RAM33の記憶機能を利用しつつROM31に予め記憶されたプログラムに従って測定動作を実行し、前述の実施例と同様にして切換弁16および空気ポンプ18を制御しつつ、カフ10から検出されたカフ圧信号SKおよび脈波信号SMを処理して血圧値を表示器32に表示させる。また、制御回路28は、駆動回路112に制御信号SLVを出力して発光素子94a,94bを順次所定の周波数で一定時間づつ発光させる一方、それら発光素子94a,94bの発光に同期して切換信号SCを出力してデマルプレクサ104を切り換えることにより、前記電気信号SMをサンプルホールド回路106に、電気信号SMIRをサンプルホールド回路108にそれぞれ振り分ける。
【0047】
また、CPU29は、予め記憶されたプログラムに従って前記電気信号SM,SMIRがそれぞれ表す光電脈波波形に基づいて血液中の酸素飽和度を決定し、且つその決定した酸素飽和度を表示器32に表示させる。なお、この酸素飽和度の決定方法は、例えば、本出願人が先に出願して公開された特開平3−15440号公報に記載された決定方法と同様であり、{(VdR−VSR)/(VdR+VSR)}/{(VdIR −VSIR )/(VdIR +VSIR )}にて示される比と、酸素飽和度との間の予め求められた関係から実際の比に基づいて酸素飽和度が決定される。なお、上式において、VdR,VSRはそれぞれ赤色光による光電脈波形の上ピーク値,下ピーク値であり、VdIR ,VSIR はそれぞれ赤外光による光電脈波形の上ピーク値,下ピーク値である。また、VdR−VSRおよびVdIR −VSIR は各光電脈波形の交流成分の振幅をそれぞれ表しており、VdR+VSRおよびVdIR +VSIR は各光電脈波形の直流成分を2倍したものをそれぞれ表している。また、光電脈波は、図2の上段に示される圧脈波と同様な曲線を描くものである。
【0048】
図8は、上記のように構成された血圧監視装置における制御装置28の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図であり、前述の実施例における図4に相当する図である。図において、酸素飽和度決定手段114は、プローブ88により検出された光電脈波に基づいて血中酸素飽和度を決定する。一方、前述の実施例と同様に、カフ圧昇圧手段78によってカフ圧が所定の速度で昇圧される過程において、プローブ88によって検出された光電脈波から第1ピーク間隔算出手段80によって第1ピーク間隔が、カフ脈波検出手段(脈波弁別回路24)により検出されたカフ脈波から第2ピーク間隔算出手段82によって第2ピーク間隔がそれぞれ算出されると共に、ピーク間隔差算出手段84によってピーク間隔差tが算出される。そして、最低血圧値決定手段116によって、前述の実施例の図6に示されるピーク間隔差tの変化率が急激に変化する点Kに対応するカフ圧PCD1 が最低血圧値BPDIA として決定される。
【0049】
図9は、本実施例における制御装置28の制御作動において、最低血圧値BPDIA の決定に関連する要部を説明するフローチャートである。S15においては、プローブ88により検出された光電脈波が順次入力される。この光電脈波は血中酸素飽和度の測定のために検出されたものであるが、CPUに読み込まれると、前述のように(フローチャートを示さず)血中酸素飽和度が決定されると共に、図9のフローチャートに従って処理される。S16においては、予め設定された最低血圧値の測定周期が経過したか否かが判断される。この測定周期は、血圧監視を行いたい周期によって適宜設定されるものである。この判断が否定された場合は、S15に戻って再び光電脈波が入力されるが、設定周期が経過したと判断されると、前述の実施例と同様なS3〜S6が実行される。S3〜S6においては、前述の説明において圧脈波に代えて光電脈波が用いられる他は同様であるため、説明を省略する。
【0050】
変化点Kが検出されてS6の判断が肯定されると、S17に進んでその変化点Kが検出されたときのカフ圧PCD1 が最低血圧値BPDIA として決定され、S18においてその最低血圧値BPDIA が表示器32に表示される。そして、血圧値異常判断手段に相当するS19において、その最低血圧値BPDIA の前回の測定値に対する変化が、例えば移動平均値を中心とする予め設定された判断基準値を越えて大きいと判断されると、S20で表示器32によって続いて血圧値異常が表示されると共に、S21では前記の最低血圧値の測定周期とは別に設定された血圧測定最短周期が経過したか否かが判断される。なお、この血圧測定最短周期は、WHOで定められている血圧測定最短周期(例えば、2分30秒)以上の値が設定される。上記S21の判断が否定されるとS16に戻って血圧値異常が表示された状態で最低血圧値の測定が継続されるが、肯定された場合には、S9に進んでカフ圧の昇圧が継続されることにより、前述の手順に従って最高血圧値BPSYS 等が決定され表示される。そして、その後、S16に戻って最低血圧値の監視が継続される。
【0051】
本実施例によっても、前述の実施例において圧脈波に代えて光電脈波が用いられる他は同様にして、S5において第1ピーク間隔Dと第2ピーク間隔dとの差tが算出されると共に、S6においてそのピーク間隔差tの変化率が急激に変化する変化点Kが検出される。そして、S17においてこの変化点Kが検出されたときのカフ圧PCD1 が最低血圧値BPDIA として決定され、表示されると共に、S19においてその最低血圧値BPDIA の変化量に基づいて血圧値の異常の有無が判断される。
【0052】
これにより、血圧値の異常が生じていないと判断された場合には、その後にカフ圧を昇圧して最高血圧値BPSYS 等を決定することが不要となって、血圧測定のためのカフ10の圧迫により患者に負担を強いることなく、血圧監視が行われるのである。すなわち、本実施例によれば、血圧監視とは異なる他の目的すなわち酸素飽和度の測定の目的で患者に装着されている光電脈波検出用プローブ88によって、その測定のために検出される脈波を利用することで、患者に特に負担を強いることなく最低血圧値を測定出来るのである。
【0053】
しかも、プローブ88は患者のカフ10が装着される部位よりも動脈下流側の部位に装着されるが、通常の血圧監視状態においてはカフ10の圧迫圧力は最低血圧値程度までしか昇圧されず殆ど血流を妨げないため、プローブ88による酸素飽和度の測定は殆ど中断されない。
【0054】
また、血圧値の異常が判断された場合には、その表示が表示器32に為されると共に、通常の血圧測定の手順に従って血圧値が決定されるため、必要が生じた場合に直ちに正確な血圧値を知って対処を行うことが可能である。しかも、この場合において、血圧測定に先立ってS21で血圧測定最短周期が経過したか否かが判断されるため、血圧値の異常が生じている場合に頻繁に血圧測定が行われて患者に過度の負担を強いることがない。
【0055】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0056】
たとえば、前述の血圧値測定手段72は、所謂オシロメトリック法に従い、カフ10の圧迫圧力に伴って変化する圧脈波の大きさの変化状態に基づいて血圧値を決定するように構成されていたが、所謂コロトコフ音法に従い、カフ10の圧迫圧力に伴って発生および消滅するコロトコフ音に基づいて血圧値を決定するように構成されてもよい。
【0057】
また、第1実施例の関係判定手段86では、連続血圧値決定手段76において決定された最新の最低血圧値MBPDIA 或いはMBPMEANが用いられていたが、最新の数拍により決定された最低血圧値MBPDIA 或いはMBPMEANの平均値などが用いられてもよい。このようにすれば、体動などに起因する異常値の影響を緩和することができる。
【0058】
また、第1実施例の血圧監視装置では、ステップS9によって血圧測定が実行されてからの経過時間が予め設定された設定周期を経過することによりキャリブレーションが実行されていたが、連続血圧値決定手段76により決定された血圧値MBPが異常に変化したか否かを判断する判断ステップを設け、この判断ステップによって血圧値MBPが異常に変化したと判断された場合にS9以下が実行されるように構成してもよい。
【0059】
また、前述の実施例においては、カフ10が患者の上腕部12に装着される場合について説明したが、例えば手首等に装着されるカフ10が用いられても良い。
【0060】
また、第2実施例においては、ステップS19において最低血圧値の変化が移動平均値を中心とする予め設定された判断基準値よりも大きいと判断された場合に、S20において異常の発生を表示すると共にS9において通常の血圧測定を実行するように構成されていたが、S9が省略されて単に異常の有無を表示するように構成されていても良く、反対にS20が省略されて異常が生じた場合に表示せず血圧測定の実行のみが為されるように構成されていても良い。また、上記の判断基準値は移動平均値を中心として定められる他、適宜定められるものである。
【0061】
また、第2実施例において、ステップS16の設定周期が血圧測定精度を維持するために必要な最短周期(例えば2分30秒)よりも長くされる場合には、S21における血圧測定最短周期の経過の判断は不要であり、血圧値の異常が生じた場合には常にS9が実行されるように構成されても良い。
【0062】
また、第2実施例においては、生体の体表面38で反射した反射光を検出する反射型の光電脈波検出用プローブ88が用いられていたが、生体の体組織を透過した透過光を検出する透過型の光電脈波検出用プローブが用いられても良い。
【0063】
また、脈波センサとしては、実施例に示した圧脈波センサ46や光電脈波検出用プローブ88の他に、所謂インピーダンスプレチスモ法において、血液の脈動による生体のインピーダンスの変化を検出するインピーダンスセンサ等も用いられ得る。なお、脈波センサは、実施例に示したように酸素飽和度を測定する目的で用いられるものの他、単に脈波を検出する目的や末梢循環動態を測定するためのものが用いられても良い。
【0064】
その他、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である血圧監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例の圧脈波センサにより検出される圧脈波および脈波弁別手段により検出されるカフ脈波を例示する図である。
【図3】図1の実施例において用いられる対応関係を例示する図である。
【図4】図1の実施例の制御装置の制御機能を説明する機能ブロック線図である。
【図5】図1の実施例の制御装置の制御作動を説明するフローチャートである。
【図6】ピーク間隔差とカフの圧力との関係を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例である血圧監視装置の主要部構成を示すブロック図であって、図1の一部に相当する図である。
【図8】図7の実施例における制御装置の機能を説明する機能ブロック線図である。
【図9】図7の実施例の制御装置の制御作動を説明するフローチャートである。
【符合の説明】
10:カフ
46:圧脈波センサ(脈波センサ)
72:血圧値測定手段
74:関係決定手段
76:連続血圧値決定手段
78:カフ圧昇圧手段
80:第1ピーク間隔算出手段
82:第2ピーク間隔算出手段
84:ピーク間隔差算出手段
86:関係判定手段
88:光電脈波検出用プローブ(脈波センサ)
116:最低血圧値決定手段

Claims (3)

  1. 生体の一部に装着されるカフを有し、該カフによる圧迫圧力を変化させることにより該生体の血圧値を測定する血圧値測定手段と、該生体の該カフが装着される部位よりも動脈下流側の部位の動脈から発生する下流側脈波を検出する脈波センサとを備えた形式の血圧監視装置であって、
    前記カフの圧迫圧力を所定の速度で昇圧させるカフ圧昇圧手段と、
    前記カフに発生する圧力振動であるカフ脈波を検出するカフ脈波検出手段と、
    前記カフ圧昇圧手段により前記カフの圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、前記下流側脈波の上ピークと該上ピークに続く下ピークとの間隔である第1ピーク間隔を算出する第1ピーク間隔算出手段と、
    該第1ピーク間隔が算出される下流側脈波に同期して発生する前記カフ脈波の上ピークと該上ピークに続く下ピークとの間隔である第2ピーク間隔を算出する第2ピーク間隔算出手段と、
    該第1ピーク間隔と該第2ピーク間隔との差を算出するピーク間隔差算出手段と、
    該ピーク間隔差算出手段により算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化する点に対応する前記カフの圧力を最低血圧値として決定する最低血圧値決定手段と
    を、含むことを特徴とする血圧監視装置。
  2. 生体の一部に装着されるカフを有し、該カフによる圧迫圧力を変化させることにより該生体の血圧値を測定する血圧値測定手段と、該生体の該カフが装着される部位よりも動脈下流側の部位に押圧されることにより該動脈下流側の部位の動脈から発生する圧脈波を検出する圧脈波センサと、該圧脈波センサにより検出される圧脈波の大きさと前記血圧値測定手段により測定された血圧値との間の対応関係を予め決定する関係決定手段と、該対応関係から該圧脈波センサにより検出される圧脈波の大きさに基づいて該生体の血圧値を連続的に決定する連続血圧値決定手段とを備えた形式の血圧監視装置であって、
    前記カフの圧迫圧力を所定の速度で昇圧させるカフ圧昇圧手段と、
    前記カフに発生する圧力振動であるカフ脈波を検出するカフ脈波検出手段と、
    前記カフ圧昇圧手段により前記カフの圧迫圧力が所定の速度で昇圧させられる過程で、前記圧脈波の上ピークと該上ピークに続く下ピークとの間隔である第1ピーク間隔を算出する第1ピーク間隔算出手段と、
    該第1ピーク間隔が算出される圧脈波に同期して発生する前記カフ脈波の上ピークと該上ピークに続く下ピークとの間隔である第2ピーク間隔を算出する第2ピーク間隔算出手段と、
    該第1ピーク間隔と該第2ピーク間隔との差を算出するピーク間隔差算出手段と、
    該ピーク間隔差算出手段により算出されたピーク間隔差の変化率が急激に変化する点に対応する前記カフの圧力と前記連続血圧値決定手段により決定された最低血圧値とに基づいて、前記関係決定手段により決定された対応関係の適否を判定する関係判定手段と
    を、含むことを特徴とする血圧監視装置。
  3. 前記下流側脈波は、前記生体の表面に向かって照射された光の透過光量或いは反射光量の変化に基づいて検出される光電脈波である請求項1の血圧監視装置。
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