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JP3600976B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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JP3600976B2
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  • Circuit Arrangements For Discharge Lamps (AREA)
  • Discharge-Lamp Control Circuits And Pulse- Feed Circuits (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、インバータによる高周波電力で放電ランプを点灯させる放電灯点灯装置に係わり、詳しくは放電ランプを安定して調光させる構成が簡単な放電灯点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は従来の放電灯点灯装置の回路図、図13は高周波電圧波形図である。図12において、Eは直流電源、IVは直流電圧を高周波電圧に変換するインバータ、放電ランプLAは予熱電極F1、F2を有する放電ランプ、Tは放電ランプLAの放電ランプ電流を制限するバラストチョーク、C5はバラストチョークTと予熱電極F1の間に接続されたカップリングコンデンサ、C6は放電ランプLAの両端に接続された始動コンデンサである。FBは発振周波数を制御することにより、出力を設定された値に維持するフィードバック回路である。
【0003】
次に、インバータIVの回路構成を説明する。Q2、Q3はスイッチング素子であるMOS FETであり、MOS FETQ2は、ドレインが直流電源に接続されソースがMOS FETQ3のドレインに接続され、ゲートが後述のIV制御集積回路IC2のピン2に接続されている。MOS FETQ3は、ソースが検出抵抗R6を介して直流電源Eに接続され、ゲートがIV制御集積回路IC2のピン4に接続されている。
【0004】
R1は直流電源Eに接続された起動抵抗、C3は起動抵抗R1とアース間に接続された制御電源コンデンサ、DZは制御用コンデンサC3の電圧を安定させる定電圧ダイオードである。IC2はインバータIVを制御するIV制御集積回路であり、1は制御電源コンデンサC3と起動抵抗R1の接続点に接続される電源入力端子、2、4はMOS FETQ2、Q3の駆動電圧を出力する電圧出力端子、3は基準電圧出力端子、5は異常検出用端子、6は共振周波数を決定する電流を出力する電流出力端子(主発振抵抗接続端子)、7はコンデンサC4の充電、放電のための電流入出力端子である。
【0005】
次に、フィードバック回路FBの構成について説明する。フィードバック回路FBは、電圧出力端子6から流出する電流を決める抵抗R2とR3と電流入出力端子7に接続されたコンデンサC4と、放電ランプLAに流れる高周波電圧を検出する検出抵抗R6、検出抵抗R6で検出された高周波電圧を平均化し、抵抗R5とコンデンサC8からなる積分回路IN、抵抗R1とコンデンサC3の接続点と電源Eの負極の間に直列に接続された分圧抵抗R9、R10と抵抗R9、R10の接続点からの基準電圧が非反転入力端子に接続され、積分回路IN及びIV制御集積回路IC3の電流出力端子6に直列に接続された抵抗3、ダイオードD5、コンデンサCが反転入力端子に接続され、積分回路INの出力電圧を基準電圧に等しくなるようにするオペアンプIC3からなる誤差増幅器EAから構成される。
【0006】
次に動作について図12、図13により説明する。図13は放電ランプ点灯時に放電灯LAに流れる高周波電圧波形図である。
【0007】
電源E→起動抵抗R1→制御電源コンデンサC3→電源Eの閉ループで駆動電流が流れ、制御電源コンデンサC3が充電される。制御電源コンデンサC3の電圧はIV制御集積回路IC2のピン1に印加され、制御電源コンデンサC3の電圧が上昇し、IV制御集積回路IC2の動作電圧に達すると、IV制御集積回路IC2が発振を開始する。この発振によりIV制御集積回路IC2のピン2からハーフブリッジ式インバータ回路1のMOS FETQ2のゲートに高周波数の電圧が印加されONとなり、ピン4から低周波数の電圧がMOS FETQ3に印加され、MOS FETQ2とMOS FETQ3が交互にオン/オフ動作をし、インバータ回路1が高周波で発振する。
【0008】
これにより、インバータ回路IVは、MOS FETQ3がONのときは、電源E→予熱電極F1→始動コンデンサC6→予熱電極F2→カップリングコンデンサC5→バラストチョークT→MOS FETQ3→検出抵抗R6→電源Eの閉ループで、MOS FETQ2がONのときは、カップリングコンデンサC5→予熱電極F2→始動コンデンサC6→予熱電極F1→MOS FETQ2→バラストチョークT→カップリングコンデンサC5の閉ループで電流が交互に流れ、バラストチョークT、カップリングコンデンサC5、予熱電極F2、始動コンデンサC6、予熱電極F1の直列回路に高周波電流が流れる。
【0009】
このとき、カップリングコンデンサC5の容量》始動コンデンサC6の容量の関係があり、バラストチョークTと始動コンデンサC6のLC直列共振によって始動コンデンサC6に高周波高電圧が生じ、この高周波高電圧が放電ランプLAに印加され、放電ランプLAが点灯する。
【0010】
一方、このとき、検出抵抗R6に生じた高周波電圧がフィードバック回路FBの積分回路INによって平均化され、この直流電圧が誤差増幅器EAのオペアンプIC3の反転入力端子に入力されている。ところで、IV制御集積回路IC2の発信周波数はコンデンサC4の容量値と、IV制御集積回路IC2の電流出力端子6から抵抗R2とR3に流出する電流値で決定され、この電流値が大きいほど発振周波数が高い。そして、電流出力端子6から抵抗R3に流れる電流は、オペアンプIC3の出力電圧の変化に応じて変化することにより、IV制御集積回路IC2の発振周波数が制御される。
【0011】
従って、IV制御集積回路IC2の発振周波数の制御は、積分回路INの出力電圧が、オペアンプIC3の非反転入力端子の基準電圧に等しくなるように、オペアンプIC3の出力電圧が制御されることにより行われる。この結果、検出抵抗R6を流れる高周波電流の平均値、すなわち、放電ランプLAの予熱電極F1、F2で消費される電力の和である負荷電力が一定に保たれる。
【0012】
フィードバック回路FBの主要な遅延要素は、積分回路INの抵抗R5、コンデンサC8と誤差増幅器EAのコンデンサC2であり、この遅延時間Tの目安はT=R5の抵抗値×(抵抗C8の容量値+コンデンサC2の容量値)となる。これを適用すると、従来例のアプリケーション例として、図12に示したように回路定数は、抵抗R5が9.1KΩ、コンデンサC8が100nF、コンデンサC2が1.22nFであり、遅延時間TはT=91kΩ×(100nF+1.22nF)=900μsとなる。この遅延時間は、放電ランプがエミレス点灯により過大な電力が消費される場合等を考慮して一般に使用されていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の放電ランプ点灯装置においては、フィードバック回路FBによって、オペアンプIC3の基準電圧で設定した一定の負荷電力に保持されることを説明したが、負荷電力を変化させること、すなわち、放電ランプLAを調光するには、例えば、抵抗R10の抵抗値を変化させることによりオペアンプIC3の基準電圧を変更させる方法が考えられる。
【0014】
図14は放電ランプLAが蛍光ランプで、オペアンプIC3の基準電圧VR を抵抗R10の抵抗値を変化させた時の放電ランプLAの明るさXの変化を示したものである。図において、実線は従来例の特性であり(矢印はVR の変化方向)、オペアンプIC3の基準電圧VR が小さくなるに伴い、周波数fは高くなり、放電ランプLAの明るさXは暗くなるが、VR がVR1とVR2において放電ランプLAの明るさXが不連続に変化するジャンプ現象が発生する。すなわち、従来例で蛍光ランプを連続調光させる場合、明→暗の操作過程においてVR1の点で急に暗くなり、また、暗→明の操作過程においてVR2の点で急に明るくなるジャンプ現象が発生し、不快感を与え、特に、放電ランプLAが蛍光ランプで、ランプ周囲温度が低い場合に目立ち易いという問題があった。なお、点線はジャンプ現象のない望ましい特性を示す。また、図12において、遅延時間が900μsではフィードバック回路FBを動作させない場合と同様な変化を示す。
【0015】
図15はフィードバック回路FBの機能を動作させない状態で、図14における基準電圧VR1での蛍光ランプLAに関する電気特性の時間的変化を拡大したものである。図においてATはランプ電流、VTは電圧、WTは電力である。実線は従来例の場合であり、点線は後述の実施の形態におけるジャンプ現象のない場合を示す。ランプ電流ATを徐々に減少させて蛍光ランプを減光させたとき、a点でランプ電流ATが急激に減少し始め、b点まで一気に減少している。これに伴い、ランプ電圧VTは緩やかに変化するため、AT×VT×力率(ほぼ一定)で表されるランプ電力WTはランプ電流ATと同様急激に減少している。このa点からb点間の電気特性の時間的変化は約1000μsである。なお、図15において、遅延時間が900μsの場合は、フィードバック回路FBを動作させない場合と同様な変化を示す。
【0016】
このように、蛍光ランプの明るさが急に変化するジャンプ現象は、蛍光ランプの電流あるいは電力が急激に変化するものである。一方、前記従来例の負荷電力を一定に保持するフィードバック回路FBの遅延時間約900μsは、蛍光ランプのジャンプ時の電気特性の時間的変化(1000μs)に近い値である。
【0017】
従って、フィードバック回路FBが、入力である蛍光ランプのジャンプ開始時の負荷電力の変化に対し、負荷電力を一定に保持する機能を追従させにくく、しかも、蛍光ランプが一旦ジャンプしてしまうと蛍光ランプの特性が大きく変化し、フィードバック回路FBの制御範囲ではジャンプする前の状態に戻すことができない。
【0018】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、放電ランプを広範囲に渡って連続的に、安定して調光させることができ、回路構成が簡単で安価な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる放電灯点灯装置は、IV制御集積回路の発振出力信号でスイッチング素子をオン/オフして直流電圧を高周波電に変換するインバータ回路と、このインバータ回路からの高周波電力で点灯する放電ランプのランプ電力を検出し、検出される前記ランプ電力を設定される基準値に近づけるように前記IV制御集積回路の発振周波数を制御し、前記基準値を変更して前記放電ランプ電力を制御し調光するフィードバック回路と、を備え、前記フィードバック回路の遅延時間Tが、前記IV制御集積回路の発振周波数をfとしたとき、1/f≦T≦1/2,500秒である。
【0020】
また、遅延時間Tが、IV制御集積回路の発振周波数をfとしたとき、1/f≦T≦1/10,000秒である。
【0021】
また、直流電源投入から放電ランプが点灯するまでの時間、フィードバック回路がIV制御集積回路の発振周波数を制御しないようにするマスク回路を備える。
【0022】
また、マスク回路は、入力された電流を一定時間出力するコンデンサ及び抵抗からなるタイマーと、このタイマーから出力された電流により駆動され、フィードバック回路においてランプ電力が検出される出力を一定時間ショートするトランジスタと、を備える。
【0023】
また、マスク回路は、入力された電流を一定時間出力するコンデンサ及び抵抗からなるタイマーと、このタイマーから出力された電流により駆動される第1のトランジスタと、この第1のトランジスタの駆動により駆動され、フィードバック回路においてランプ電力が検出される出力を一定時間ショートする第2のトランジスタと、を備える。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本実施の形態は、ジャンプ現象が発生しない遅延時間となるように、フィードバック回路定数を設定したものである。従来例を示す図12において、フィードバック回路FBの遅延時間Tを決めるものは抵抗R5、コンデンサC8、コンデンサC2であるので、これらの定数を変えて遅延時間Tを種々設定し、遅延時間Tをパラメータとし、抵抗R10を可変抵抗R15に代えてオペアンプIC3の基準電圧を変化させて明るさを変え、ジャンプの有無と蛍光ランプLAに流れる高周波電流の波高率(最大値/実効値)について実験した。
【0025】
表1はこの実験条件と結果をまとめたものであるフィードバック回路FBの抵抗R5を10kΩ、コンデンサC8を1nFとし、コンデンサC2を1nF〜49nFに変化させて、遅延時間Tを表に示すように20μs〜900μsに設定した。各々の遅延時間Tに対しオペアンプIC3の基準電圧を大(明)、中(中間)、小(暗)と変えジャンプの有無と、蛍光ランプ電流波形図を調べ、JISC8117(蛍光灯電子安定器)で規定されている波高率2.1以下に合致しているかどうかを調べた。表1において遅延時間Tは、R10の抵抗値×(C8の容量値+C2の容量値)であり、オペアンプIC3の基準電圧(明るさ)の欄はジャンプ無し(○)、有り(×)/波高率を示し、括弧内はランプ電流最大値/実効値を示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003600976
【0027】
図1は表1の実験1の場合のときの放電灯点灯装置の回路図であり、従来例で示した図11の抵抗R10を可変抵抗R15に代え、フィードバック回路FBの遅延時間Tを決める抵抗R5を10kΩ、コンデンサC8を1nF、コンデンサC2を1nFと定数を代えたものである。他の構成は図11と同じであるので構成の説明は省略する。
【0028】
図2は遅延時間Tが20μs、図3は30μs、図4は70μs、図5は100μs、図6は120μs、図7は400μs、図8は500μs及び900μsのときの蛍光ランプ電流波形図であり、各々の図において(a)、(b)、(c)はオペアンプIC3の基準電圧の大(明)、中(中間)、小(暗)を示す。蛍光ランプは一般に使用されている40Wのものを使用し、基準電圧大は1.8V、中は1.2V、小は0.8Vとした。そして、図中に示したランプ電流の最大値はA1(0.54A)、A2(0.35A)、A3(0.21A)である。また、基準電圧が大から小になるにしたがって周波数が高くなり、また、ランプ電流の包絡波形図で振幅が変化しているものは、振幅が大きい所では周波数が高くなっている。
【0029】
遅延時間Tが20μsのときは、表1、図2に示すようにジャンプの発生は無く、波高率は1.4と小さい、そして、オペアンプIC3の基準電圧の大から小への変化に対して、ランプ電流はA1(0.54A)、A2(0.35A)、A3(0.21A)と従来例の図14の点線で示したように滑らかに変化している。
【0030】
そして、遅延時間Tを、30μs、100μsと長くするに従い、ジャンプの発生はなく、図3〜5に示すようにランプ電流はA1、A2、A3と滑らかに変化しているが、オペアンプIC3の基準電圧が中、小では波高率が増加している。120μsではジャンプの発生はないが、図6(b)に示す基準電圧が中(中間の明るさ)で、波高率が2.4となり2.1を越している。
【0031】
さらに、400μsと長くするとジャンプの発生はないが、図7(b)、(c)に示す基準電圧が中と小でランプ電流に休止区間が発生し、共に波高率が2.1を越している。そして、500μsではジャンプが発生した。このときの波高率は1.4と低いが、図8(b)に示すように、ランプ電流の最大値がA1からA2を経由せず、A3と急激に減少しジャンプが発生したことを示している。
【0032】
さらに、従来例の遅延時間Tである900μsでは500μsの図8と同様になり、このときの波高率は1.4と低いがジャンプが発生した。遅延時間Tが500μs、900μsと長いときに、基準電圧が中、小で、波高率が1.4と低いのはジャンプすると、ランプ電流が急激に減少するとともに、ランプ電力が急激に減少するため、フィードバック回路FBはランプ電流を元に戻そうと周波数を下げようとするが周波数の制御限界に達するため、周波数が最小で一定となるからである。なお、この時、蛍光ランプLAのインピーダンスはジャンプする前と比較して10倍程度大きな値となっている。
【0033】
なお、表1から基準電圧が大のときには、遅延時間Tが長くともジャンプが発生せず、波高率も1.4と低くなっている。これは、ランプ電流が大きい範囲ではランプの動作点が1つのためジャンプが発生しないからである。
【0034】
以上の結果から、ジャンプ現象を回避できることと波高率を2.1以下にすることを両立するためには、遅延時間Tを100μs(=1/10000s)以下にする必要があることがわかった。ただし、ジャンプ現象を回避するだけで、波高率が2.1を越えてもよい場合は、遅延時間Tを400μs(=1/2,500s)以下にすればよいといえる。
【0035】
なお、このようにジャンプ現象を回避するためには、蛍光ランプのバラツキと実使用環境温度とを考慮すると、遅延時間Tが1/10000s(100μs)以下であれば信頼性が高いことになるが、設定した一定の値にランプ電力を保持するため、遅延時間Tの下限値はインバータ回路IVの発振周波数の1周期以上とする必要がある。IVの発振周波数の1周期以下であると平均電力が原理的に判定できないからである。
【0036】
以上のように、ジャンプ現象を回避できることと波高率を2.1以下にすることを両立するためには、周波数をfとし、遅延時間をT(秒)とすると、1/f≦T≦1/10000であればよい。
【0037】
次に図1に示した放電灯点灯装置の動作について説明する。図1は表1の実験NO.1で示した回路定数を使用したものであり、フィードバック回路FBの抵抗R5は10KΩ、コンデンサC8は1nF、コンデンサC2は1nFであり、遅延時間Tは、T=10kΩ×(1nF+1nF)=20μsである。放電ランプLAが点灯するまでの動作は、従来例と同じであり、説明を省略する。
【0038】
調光を可変抵抗R15により行った場合の動作を説明すると、まず、第1回目の減光操作サイクルでは、オペアンプIC3の入力端子電圧誤差:0のときに、可変抵抗R15を小さくし、オペアンプIC3の基準電圧VRを低くしていくと(減光操作)、オペアンプIC3の正端子電圧:低(誤差発生)→オペアンプIC3の出力電圧:低→抵抗R20電流:大→周波数f:高→放電ランプ電流:小→放電ランプLA電力:小→抵抗R29の平均電流:小→積分回路INの出力電圧(オペアンプIC3負端子電圧):小となり、ジャンプは発生しない。
【0039】
次に、第2回目の減光操作サイクルでは、オペアンプIC3の入力端子電圧誤差:0のときに、可変抵抗R15をさらに小さくしていくと(減光操作)、オペアンプIC3の正端子電圧:低(誤差発生)→オペアンプIC3の出力電圧:低→抵抗R20電流:大→周波数f:高→放電ランプLA電流→放電ランプLA電力:小→抵抗R29の平均電流:小→積分回路INの出力電圧(オペアンプIC3負端子電圧):小となり、ジャンプは発生しない。
【0040】
このように、基準電圧を変化させても、従来例の図15の点線に示すように明るさが大きな変化をするジャンプが発生しない。これは、遅延時間Tが20μsのとき、点灯周波数を例えば50kHzとすると点灯周波数の1サイクルの短時間であり、フィードバック回路FBの負荷電力一定保持機能が応答しているからである。なお、ランプ電流の波形は、上述の図2に示したものであり、波高率は1.4である。
【0041】
なお、従来例では、減光操作をした場合、上述の第2回の減光操作サイクルにおいて、オペアンプIC3の出力電圧:低→抵抗R20電流:大→周波数f:高となった後、放電ランプLA電力:激小→抵抗R29の平均電流:激小→積分回路INの出力電圧(オペアンプIC3負端子電圧):激小となり、ジャンプが発生する。この時、オペアンプIC3の入力端子電圧誤差:0とならず誤差発生継続となるため、オペアンプIC3の出力電圧:大→抵抗R20電流:小→周波数f:低と制御されるが、フィードバック回路FBの制御限界に達し、周波数f:MINで固定された状態となる。
【0042】
以上のように、放電ランプを広範囲に渡って連続的に安定して調光させることができ、回路構成が簡単で安価にすることができる。
【0043】
実施の形態2.
図9は実施の形態2を示す放電灯点灯装置の回路図である。本実施の形態は実施の形態1を示す図1において、積分回路INの出力に付加回路としてマスク回路MCを設けたものである。
【0044】
図9において、実施の形態1で示した図1と同一または相当部分には、同じ符号を付し、説明を省略する。マスク回路MCは、積分回路INの出力部にコレクタが接続され電源Eの負極にエミッタが接続されたトランジスタQ8と、IV制御集積回路IC2の電流出力端子6とトランジスタQ8のベースの間に接続されたコンデンサ11と、トランジスタQ6のベースとエミッタの間に接続された抵抗R12からなる。なお、コンデンサC11と抵抗R12はタイマーを構成する。
【0045】
次に、動作を図9、図10により説明する。従来例で述べたように、バラストチョークT、コンデンサC6のLC共振により生じる始動コンデンサC6の高周波電圧が放電ランプLAに印加されて放電ランプLAが点灯するが、放電ランプLAが点灯する直前、検出抵抗R6には図10(a)に示す高周波電圧が生じており、この電圧のピーク値V7が図10(b)のランプ点灯時のピーク値V6より大きくなろうとする場合、実施の形態1では特にオペアンプIC3の基準電圧が比較的低く設定されているとフィードバック回路FBの負荷電力が一定保持機能により、フィードバック回路FBの応答が速いため、検出抵抗R6の高周波電圧のピーク値がV7に達する前にフィードバック回路FBの負荷電力一定機能が動作し、低い電圧で保持される可能性が高い。このことは、放電ランプLAが点灯するのに必要な共振に達せず、放電ランプLAが点灯しない場合がある。
【0046】
このときに、マスク回路MCは、電源Eの投入から放電ランプLAが点灯するのに十分な時間(例えば、2〜4秒間)、積分回路INの出力をショートすることにより、点灯の前に積分回路INの出力がオペアンプIC3の基準電圧に達し、IV制御集積回路IC2の発振周波数が固定されないようにする。すなわち、電源Eが投入されると、電流は制御電源コンデンサC3→IV制御集積回路IC2の電流出力端子6→抵抗R12→コンデンサC11→トランジスタQ8のベース・エミッタ→制御電源コンデンサC3の閉ループで流れ、トランジスタQ8がONするとともに、コンデンサC11が充電される。
【0047】
そして、この閉ループ電流が徐々に減少し、これに伴いIV制御集積回路IC2の発振周波数が低くなり、積分回路INの出力、すなわち、コンデンサC8の共振電圧が高まり、放電ランプLAが点灯する。コンデンサC11がチャージアップされると、トランジスタQ8がOFFし、マスク回路MCのマスク機能が解除される。なお、コンデンサC11のチャージは直接制御コンデンサC3から供給してもよい。
【0048】
以上のように、放電ランプを確実に点灯させることができる。
【0049】
実施の形態3.
図11は実施の形態3を示す放電灯点灯装置の回路図である。本実施の形態は実施の形態2を示す図10のマスク回路MCの代わりにミラー積分回路MIを設けたものである。
【0050】
図11において、実施の形態2で示した図10と同一または相当部分には、同じ符号を付し、説明を省略する。ミラー積分回路MIは、積分回路INの出力部にコレクタが接続され、電源Eの負極にエミッタが接続されたトランジスタQ8と、トランジスタQ8のベースにエミッタが接続され、コレクタが抵抗R13を介してIV制御集積回路IC2の電流出力端子6に接続されたトランジスタQ6と、トランジスタQ6のベースと電源Eの負極の間に接続されたダイオードD12と、トランジスタQ6のベースとエミッタの間に接続されたコンデンサ12からなる。
【0051】
次に、動作を図11により説明する。ミラー積分回路MIはマスク回路MCの機能と同じである。ただし、電源Eが投入されると、電流は制御電源コンデンサC3→IV制御集積回路IC2の電流出力端子6→抵抗R14→コンデンサC12→トランジスタQ6のベース・エミッタ→トランジスタQ8のベース・エミッタ→制御電源コンデンサC3の閉ループで流れ、トランジスタQ8がONするとともに、コンデンサC12が充電されるが、このトランジスタQ8のON時間を、実施の形態2と同じに設定する場合、実施の形態2と比較してコンデンサC12の容量を、コンデンサ11の容量の1/トランジスタQ6の直流電流増幅率(hFE)と小さくできる。このため、直流電流増幅率を数百のものを使用すればコンデンサ12の容量はコンデンサ11の数百分の一でよく、非常に小さくで済み、電源EをOFFしたときに、コンデンサC12→抵抗R14→抵抗R2→ダイオードD12→コンデンサC12の閉ループでコンデンサC12の電荷が放電する時間を非常に短くできる。
【0052】
以上のように、コンデンサC12の電荷が放電する時間を非常に短くできるので、短時間の電源EのOFF、ON動作に対してもミラー積分回路MIのリセットが確実にでき、放電ランプをより確実に点灯させることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、IV制御集積回路の発振出力信号でスイッチング素子をオン/オフして直流電圧を高周波電に変換するインバータ回路と、このインバータ回路からの高周波電力で点灯する放電ランプのランプ電力を検出し、検出される前記ランプ電力を設定される基準値に近づけるように前記IV制御集積回路の発振周波数を制御し、前記基準値を変更して前記放電ランプ電力を制御し調光するフィードバック回路と、を備え、前記フィードバック回路の遅延時間Tが、前記IV制御集積回路の発振周波数をfとしたとき、1/f≦T≦1/2,500秒であるので、簡単な回路で、放電ランプを広範囲に渡って連続的に安定して調光させることができる。
【0054】
また、遅延時間Tが、IV制御集積回路の発振周波数をfとしたとき、1/f≦T≦1/10,000秒であるので、簡単な回路で、放電ランプを広範囲に渡って連続的に安定して調光させることができる。
【0055】
また、直流電源投入から放電ランプが点灯するまでの時間、フィードバック回路がIV制御集積回路の発振周波数を制御しないようにするマスク回路を備えたので、放電ランプを確実に点灯させることができる。
【0056】
また、マスク回路は、入力された電流を一定時間出力するコンデンサ及び抵抗からなるタイマーと、このタイマーから出力された電流により駆動され、フィードバック回路においてランプ電力が検出される出力を一定時間ショートするトランジスタと、を備えたので、放電ランプを確実に点灯させることができる。
【0057】
また、マスク回路は、入力された電流を一定時間出力するコンデンサ及び抵抗からなるタイマーと、このタイマーから出力された電流により駆動される第1のトランジスタと、この第1のトランジスタの駆動により駆動され、フィードバック回路においてランプ電力が検出される出力を一定時間ショートする第2のトランジスタと、を備えたので、放電ランプをより確実に点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の回路図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図6】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図7】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図8】この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の放電ランプ電流波形図である。
【図9】この発明の実施の形態2を示す放電灯点灯装置の回路図である。
【図10】この発明の実施の形態2を示す放電灯点灯装置の高周波電圧波形図である。
【図11】この発明の実施の形態3を示す放電灯点灯装置の回路図である。
【図12】従来の放電灯点灯装置の回路図である。
【図13】放電灯点灯装置の高周波電圧波形図である。
【図14】従来の放電灯点灯装置の基準電圧と放電ランプ明るさの特性図である。
【図15】従来の放電灯点灯装置の放電ランプの電機特性変化を示す図である。
【符号の説明】
IC2 制御集積回路、IV インバータ、LA 放電ランプ、IN 積分回路、FB フィードバック回路、D5 整流ダイオード、DT 異常検出回路、E 直流電源、MC マスク回路、C9 平滑コンデンサ、C11、C13 コンデンサ、R6 検出抵抗、R11、R12、R13 抵抗、Q2、Q3 MOS FET、Q6、Q8 トランジスタ。

Claims (5)

  1. IV制御集積回路の発振出力信号でスイッチング素子をオン/オフして直流電圧を高周波電に変換するインバータ回路と、
    このインバータ回路からの高周波電力で点灯する放電ランプのランプ電力を検出し、検出される前記ランプ電力を設定される基準値に近づけるように前記IV制御集積回路の発振周波数を制御し、前記基準値を変更して前記放電ランプ電力を制御し調光するフィードバック回路と、
    を備え、
    前記フィードバック回路の遅延時間Tが、前記IV制御集積回路の発振周波数をfとしたとき、
    1/f≦T≦1/2,500秒であることを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 遅延時間Tが、IV制御集積回路の発振周波数をfとしたとき、
    1/f≦T≦1/10,000秒であることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  3. 直流電源投入から放電ランプが点灯するまでの時間、フィードバック回路がIV制御集積回路の発振周波数を制御しないようにするマスク回路を備えた請求項1または請求項2記載の放電灯点灯装置。
  4. マスク回路は、入力された電流を一定時間出力するコンデンサ及び抵抗からなるタイマーと、このタイマーから出力された電流により駆動され、フィードバック回路においてランプ電力が検出される出力を一定時間ショートするトランジスタと、を備えたことを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  5. マスク回路は、入力された電流を一定時間出力するコンデンサ及び抵抗からなるタイマーと、このタイマーから出力された電流により駆動される第1のトランジスタと、この第1のトランジスタの駆動により駆動され、フィードバック回路においてランプ電力が検出される出力を一定時間ショートする第2のトランジスタと、を備えたことを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
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