JP3699703B2 - 発熱構造体および熱式センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、流量、加速度、圧力等を検出する熱式センサおよびそれに用いられる発熱構造体に関し、特に熱式流量センサのように微少な抵抗変化が出力変動として増幅されて現れるアプリケーションに用いられる熱式センサおよびそれに用いられる発熱構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
第1の従来の熱式流量センサの発熱構造体は、Si3N4またはSiO2からなる支持膜がシリコン基板の表面の全面に被覆形成され、白金からなる発熱抵抗が支持膜上に形成され、さらにSi3N4またはSiO2からなる保護膜が発熱抵抗を覆うように支持膜上に形成されている。そして、キャビティが発熱抵抗の配設領域の下部のシリコン基板をその裏面側から支持膜に至るように除去して形成されている。これにより、支持膜、発熱抵抗および保護膜からなるダイヤフラム構造の発熱構造体がキャビティ上部に形成されている。(例えば、特許文献1)
また、第2の熱式流量センサの発熱構造体は、ダイヤフラム部を構成する支持膜および保護膜をシリコン基板に対して軽度の引張応力が生じるように形成している。(例えば、特許文献2)
【0003】
【特許文献1】
特開平4−2967号公報(図1)
【特許文献2】
特開平11−194043号公報(図2、段落0012)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この第1の従来の発熱構造体においては、ダイヤフラム部を構成する支持膜および保護膜に圧縮応力となりやすいSiO2のような材料を用いると、発熱抵抗が発熱した際に、ダイヤフラム部が熱膨張して変形することになる。そして、ダイヤフラム部のサイズが大きくなるほど、ダイヤフラム部の変形が大きくなる。これにより、ダイヤフラム部からの放熱特性が変化し、計測にバラツキを生じる。
一方、第2の従来の発熱構造体においては、ダイヤフラム部を構成する支持膜および保護膜がシリコン基板に対して軽度の引張応力が生じるように形成されているので、発熱抵抗に発熱によるダイヤフラム部の変形を抑制することができる。しかしながら、軽度の引張応力の具体的な数値、ダイヤフラム部のサイズと引張応力との関係ついては何ら述べられていない。
【0005】
このような状況に鑑み、本出願人は、ダイヤフラム部を構成する支持膜および保護膜としてシリコン窒化膜を選択し、スパッタリング装置では、アルゴンや窒素の流量、および、真空室内のガス圧等を調整し、またプラズマCVD装置では、シラン、アンモニア等の材料ガスの流量比率を調整することにより、引張応力のシリコン窒化膜を安定して形成できることを見出し、本発明を発明するに至ったものである。そして、製造装置によっては、引張応力のシリコン窒化膜を得るためには、化学量論組成であるSi3N4膜におけるSiとNとの組成比率に対し、Siリッチな膜とする必要があることを見出した。
しかしながら、このSiリッチなシリコン窒化膜で形成された支持膜および保護膜により白金膜からなる発熱抵抗を挟み込んで構成される発熱構造体では、下記の如く、出力特性の信頼性が得られないという課題があった。
また、この発熱構造体を動作させる温度条件としては、水分の吸着による汚損を考慮すると、周囲の雰囲気温度よりも100℃以上高い温度に発熱させるのが好ましいが、そのような温度条件下で、このSiリッチなシリコン窒化膜で形成された支持膜および保護膜により白金膜からなる発熱抵抗を挟み込んで構成される発熱構造体の発熱抵抗への通電加熱を連続して行った場合、連続通電加熱後の発熱抵抗の抵抗値が、連続通電加熱前の抵抗値に対して変動する現象がみられる。この連続通電加熱後の発熱抵抗の抵抗値の変動に起因して、出力特性変動が生じる。
また、発熱構造体を構成する支持膜および保護膜が軽度な引張応力を有していても、矩形のダイヤフラム部の短辺の長さが1mm以上の大きなサイズでは、引張応力が小さすぎると、発熱抵抗の発熱時にダイヤフラム部が熱膨張し、撓みを発生する。このダイヤフラム部の撓み、即ち変形はダイヤフラム部からの放熱特性を変化させ、出力のバラツキをもたらす。
【0006】
この発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、シリコン窒化膜の余剰Siを少なくして抵抗値上昇の要因となる発熱抵抗のシリサイド化を抑制し、またシリコン窒化膜の引張応力の大きさを規定して発熱抵抗の発熱時に発生するダイヤフラム部の変形を抑制し、出力特性の信頼性の高い発熱構造体およびそれを用いた熱式センサを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る発熱構造体は、第1絶縁性膜と、上記第1絶縁性膜上に配設された白金膜からなる発熱抵抗と、上記発熱抵抗上に形成された第2絶縁性膜とを備え、上記第1および第2絶縁性膜との少なくとも一方の絶縁性膜が2.25未満の屈折率を有するシリコン窒化膜で構成されている。
【0008】
この発明に係る熱式センサは、開口が穿設された平板状の基材と、支持膜が上記基材の第1の表面上に上記開口を塞口するように形成され、白金膜からなる発熱抵抗が上記開口上の上記支持膜の部位に形成され、さらに保護膜が上記発熱抵抗上に形成されて構成されたダイヤフラム構造の発熱構造体とを備え、上記支持膜および上記保護膜の少なくとも一方の膜が2.25未満の屈折率を有するシリコン窒化膜で構成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る発熱構造体を示す断面図である。
なお、図1では、構成をわかりやすくするために、実際の寸法比で描かれていない。これは、以下の各図においても同様である。
【0012】
図1において、発熱構造体8は、アルミナ膜からなる第1絶縁性膜としての下地膜3が平板状のシリコン基板からなる基材1の表面の全面に形成され、感熱抵抗材である白金膜を所定のパターンに形成された発熱抵抗6が下地膜3上に形成され、さらに窒化シリコン膜からなる第2絶縁性膜としての保護膜5が発熱抵抗6を覆うように下地膜3上に形成されて、構成されている。そして、保護膜5を構成するシリコン窒化膜が2.25未満の屈折率となるように成膜されている。
【0013】
つぎに、この発熱構造体8の製造方法について説明する。
まず、スパッタリング等の方法を用いて、基材1の表面の全面に例えば2μmの厚さにアルミナ膜を成膜して、基材1上に絶縁性の下地膜3を形成する。ついで、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、下地膜3の表面の全面に例えば0.5μmの厚さに白金膜を成膜する。そして、白金膜が成膜された基材1を真空中で600℃〜750℃の熱処理を施す。ついで、写真製版、ウエットエッチング(あるいはドライエッチング)等の方法を用いて、白金膜をパターニングし、所定パターンの発熱抵抗6を形成する。さらに、スパッタ、プラズマCVD等の方法を用いて、発熱抵抗6を覆うように下地膜3の表面の全面に例えば2μmの厚さにシリコン窒化膜を成膜して、絶縁性の保護膜5を形成し、発熱構造体8が得られる。
【0014】
つぎに、保護膜5の屈折率を変化させた発熱構造体8を作製し、130℃の雰囲気温度の下、発熱構造体の発熱抵抗6の発熱温度が雰囲気温度より120℃高い温度(250℃)を維持するように発熱抵抗6に500時間、連続通電し、連続通電の前後における発熱抵抗6の抵抗値変化率を測定した結果を図5に○で示す。
なお、図5中、縦軸は連続通電の前後における発熱抵抗の抵抗値変化率を示し、横軸は保護膜の屈折率である。また、抵抗値変化率は、通電前の抵抗値に対する(通電後の抵抗値−通電前の抵抗値)の割合である。また、保護膜5の屈折率は830nmの波長の光で測定した。そして、保護膜5であるシリコン窒化膜のSiとNとの元素比率を変えて屈折率を変化させている。
【0015】
図5から、保護膜5の屈折率が大きくなるにつれ抵抗値変化率が大きくなることがわかる。そして、保護膜5の屈折率が2.25未満では、抵抗変化率が0.15%以下に安定しているが、屈折率が2.25を超えると抵抗値変化率が急激に増加して0.2%以上となった。
これは、屈折率が2.25以上であると、シリコン窒化膜中の余剰Siが多くなり過ぎ、過剰な余剰Siが発熱抵抗6の発熱中に発熱抵抗6を構成する白金膜のシリサイド化を助長し、発熱抵抗6の抵抗値変動を大きくしてしまう。そして、屈折率が2.25未満であると、シリコン窒化膜中のSi比率が適正化されており、余剰Siが少なくなり、余剰Siによる発熱抵抗6を構成する白金膜のシリサイド化の助長作用が軽減され、発熱抵抗6の抵抗値変動が抑制されたもの、と考えられる。
【0016】
そして、発熱抵抗6の抵抗値変化率が0.2%以上となると、センシング感度が得られにくい条件下、増幅率を高めて出力するような場合、出力特性に影響を及ぼしてしまう。
しかしながら、この実施の形態1では、シリコン窒化膜で構成された保護膜5の屈折率を2.25未満とし、白金膜のシリサイド化に起因する発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくしているので、過酷な使用条件下でも、出力特性変動が小さく、安定した信頼性の高い発熱構造体8が得られる。
【0017】
ここで、自動車の内燃機関の吸入空気流量を測定する場合、雰囲気温度130℃といった厳しい条件下で、発熱抵抗6の発熱温度が雰囲気温度より100℃以上高い温度に維持されるように発熱抵抗6への通電が制御される。さらに、センシング感度が得られにくい条件下では、増幅率を高めて出力することになる。
従って、シリコン窒化膜で構成された保護膜5の屈折率を2.25未満とする発熱構造体8を自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用した場合、過酷な使用条件下、発熱抵抗6の抵抗値変化が少ないので、出力特性変動が小さく、吸入空気流量を安定して信頼性よく検出することができる。
【0018】
また、この実施の形態1では、発熱抵抗6(白金膜)に真空中で熱処理している。
そして、熱処理温度が600℃未満であると、白金膜の抵抗温度係数TCR(Temperature Coefficient of Resistance)が2800ppm/℃より小さく、白金膜の抵抗変動に対する出力特性変動の割合が大きくなってしまう。また、熱処理温度が750℃を超えると、発熱抵抗6の発熱中におけるシリコン窒化膜中の余剰Siによる白金膜のシリサイド化が助長され、発熱抵抗6の抵抗値変化率がおおきくなってしまう。そこで、白金膜の熱処理温度を600℃〜750℃とすることが望ましい。そして、白金膜を600℃〜750℃で熱処理することにより、白金膜の抵抗温度係数TCRを2800ppm/℃〜3300ppm/℃に高めることができる。
そこで、この実施の形態1では、発熱抵抗6(白金膜)に真空中で600℃〜750℃の温度で熱処理しているので、白金膜のシリサイド化に起因する発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくでき、白金膜の抵抗温度係数TCRが2800ppm/℃〜3300ppm/℃に高まり、白金膜の抵抗変動に対する出力特性変動の割合を比較的低くすることができる。
【0019】
なお、上記実施の形態1では、下地膜3にアルミナ膜を用いるものとしているが、下地膜に熱酸化膜(SiO2)やPSG膜(Phosphorous Silicate Glass)等のシリコン酸化膜、シリコン窒化膜を用いてもよい。そして、下地膜にシリコン窒化膜を用いる場合には、シリコン窒化膜の屈折率を2.25未満にすることになる。
また、上記実施の形態1では、基材1としてシリコン基板を用いるものとして説明しているが、基材1の材料は特に特定されるものではなく、例えばアルミナ基板やガラス基板を用いてもよい。そして、基材1がアルミナ基板で作製されている場合には、下地膜3を省略して、発熱抵抗6および保護膜5を基材1上に直接形成するようにしてもよい。
また、上記実施の形態1では、保護膜5が発熱抵抗6を覆うように下地膜3上に形成されているものとしているが、保護膜5が発熱抵抗6の上面のみを覆うように形成され、別の保護膜が保護膜5と発熱抵抗6とを覆うように形成されていてもよい。
【0020】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2に係る熱式センサの発熱構造体の構造を説明するための断面図、図3はこの発明の実施の形態2に係る熱式センサの発熱構造体周りを示す平面図である。なお、図3は保護膜5を除去した状態を示している。
【0021】
図2および図3において、熱式センサ20は、開口としてのキャビティ2が穿設された平板状の基材1と、基材1の表面(第1の面)上にキャビティ2を覆うように形成されたダイヤフラム部(ダイヤフラム構造)の発熱構造体8Aとを備えている。
基材1は、平板状のシリコン基板であり、その表面の全面が熱酸化膜等の基材保護膜9で覆われている。そして、キャビティ2が基材1の裏面(第2の面)側から基材1および基材保護膜9の一部を除去して形成されている。
発熱構造体8Aは、シリコン窒化膜からなる絶縁性の支持膜4が基材1の表面上にキャビティ2を塞口するように形成され、白金膜からなる発熱抵抗6および感熱抵抗7がキャビティ2上の支持膜4の部位に形成され、さらにシリコン窒化膜からなる絶縁性の保護膜5が支持膜4上に発熱抵抗6および感熱抵抗7を覆うように形成されて構成されている。そして、支持膜4および保護膜5を構成するシリコン窒化膜が2.25未満の屈折率となるように成膜されている。
【0022】
つぎに、この熱式センサ20の製造方法について説明する。
まず、スパッタリング、プラズマCVD等の方法を用いて、基材1の基材保護膜9の表面の全面に例えば2μmの厚さにシリコン窒化膜を成膜して、基材1上に絶縁性の支持膜4を形成する。ついで、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、支持膜4の表面の全面に例えば0.2μmの厚さに白金膜を成膜する。そして、白金膜が成膜された基材1を真空中で600℃〜750℃の熱処理を施す。ついで、写真製版、ウエットエッチング(あるいはドライエッチング)等の方法を用いて、白金膜をパターニングし、所定パターンの発熱抵抗6、感熱抵抗7および電流路10を形成する。さらに、スパッタ、プラズマCVD等の方法を用いて、発熱抵抗6、感熱抵抗7および電流路10を覆うように支持膜4の表面の全面に例えば3μmの厚さにシリコン窒化膜を成膜して、絶縁性の保護膜5を形成する。
【0023】
ついで、基材1の裏面の全面にレジストを塗布し、裏面保護膜(図示せず)を形成する。そして、写真製版等を用いて、裏面保護膜の一部を除去して、エッチングホール(図示せず)を形成する。その後、例えばアルカリエッチングを施して、基材1の裏面側から支持膜4に至るように基材1および基材保護膜9を除去し、キャビティ2を形成する。このキャビティ2は、発熱抵抗6および感熱抵抗7の形成領域の下部に対応して形成されている。これにより、発熱抵抗6および感熱抵抗7が支持膜4に支持されてキャビティ2上に形成され、さらに保護膜5が発熱抵抗6および感熱抵抗7を覆うように支持膜4上に形成されてダイヤフラム構造の発熱構造体8Aが構築される。
ここでは、KOH、TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)、NaOH等がエッチャントとして使用される。
【0024】
この実施の形態2の熱式センサ20は、キャビティ2の基材1の表面側を塞口するように基材1の表面上に形成されたダイヤフラム部の発熱構造体8Aを備えている。このダイヤフラム部の発熱構造体8Aは、1.5mm×4mmの矩形形状を有し、発熱抵抗6および感熱抵抗7が発熱構造体8Aの中央部に0.8mm×2mmの大きさに形成されている。そして、熱式センサ20は、感熱抵抗7が発熱抵抗6の温度を検出する測温抵抗素子として機能する。
【0025】
つぎに、支持膜4の屈折率を2.0に固定し、保護膜5の屈折率を変化させた発熱構造体8Aを有する熱式センサ20を作製し、130℃の雰囲気温度の下、発熱構造体8Aの発熱抵抗6の発熱温度が雰囲気温度より120℃高い温度(250℃)を維持するように発熱抵抗6に200時間、連続通電し、連続通電の前後における発熱抵抗6の抵抗値変化率を測定した結果を図5に△で示す。
なお、支持膜4および保護膜5の屈折率は830nmの波長の光で測定した。そして、保護膜5であるシリコン窒化膜のSiとNとの元素比率を変えて屈折率を変化させている。
【0026】
図5から、保護膜5の屈折率が大きくなるにつれ抵抗値変化率が大きくなることがわかる。そして、保護膜5の屈折率が2.25未満では、抵抗変化率が0.15%以下に安定しているが、屈折率が2.25を超えると抵抗値変化率が急激に増加して0.2%以上となった。
従って、この実施の形態2においても、シリコン窒化膜で構成された支持膜4および保護膜5の屈折率を2.25未満とすることにより、発熱抵抗6の発熱時の白金膜のシリサイド化に起因する発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくでき、自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定のような過酷な使用条件下でも、出力特性変動が小さく、安定した信頼性の高い熱式センサ20が得られる。
なお、保護膜5の屈折率を2.25以上とした熱式センサを自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用したところ、感度が得られにくい低流量域で、流量換算出力±3%以内というドリフト規格から外れる結果が得られた。
【0027】
また、この実施の形態2においても、発熱抵抗6(白金膜)に真空中で600℃〜750℃の温度で熱処理を施しているので、白金膜のシリサイド化に起因する発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくでき、かつ、白金膜の抵抗変動に対する出力特性変動の割合を比較的低くすることができる。
【0028】
また、この実施の形態2では、支持膜4および保護膜5が化学量論組成であるSi3N4膜の組成比率よりSiリッチなシリコン窒化膜で形成されているので、基材1に対して引張応力を有する支持膜4および保護膜5を容易に形成することができ、発熱抵抗6の発熱時の熱膨張による発熱構造体8Aのダイヤフラム部の変形に伴う出力のバラツキを抑えることができる。
【0029】
ここで、上記実施の形態2では、シリコン窒化膜をスパッタリングやプラズマCVDの方法で成膜するものとしているが、スパッタリングの成膜方法は、ArとN2との流量、真空室内のガス圧等を制御することでSiとNとの組成比率を調整することができる。従って、スパッタリングの成膜方法は、プラズマCVDの成膜方法に比べて制御パラメータが少なく、さらにシランガス等の危険なガスを用いることがなく、シリコン窒化膜の成膜に有効である。
【0030】
なお、上記実施の形態2では、発熱抵抗6と感熱抵抗7とが発熱構造体8A内に形成されているものとしているが、発熱抵抗6のみが発熱構造体8A内に形成されてしてもよい。また、発熱抵抗6と感熱抵抗7とが発熱構造体8A内にそれぞれ複数形成されていてもよい。
また、上記実施の形態2では、支持膜4にシリコン窒化膜を用いるものとしているが、支持膜にシリコン酸化膜(熱酸化膜、PSG膜)を用いても、同様の効果が得られる。この場合、シリコン酸化膜はシリコン窒化膜に比べて白金膜のシリサイド化への関与が極めて少ないので、シリコン窒化膜からなる保護膜5の屈折率のみを2.25未満に調整することになる。
【0031】
実施の形態3.
この実施の形態2では、支持膜4および保護膜5の屈折率を2.25未満とするようにシリコン窒化膜を成膜するものとしているが、この実施の形態3では、支持膜4および保護膜5が基材1に対して50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有するようにシリコン窒化膜を成膜するものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態2と同様に構成されている。
【0032】
この実施の形態3では、発熱構造体は、上記実施の形態2と同様に、発熱抵抗6および感熱抵抗7を支持膜4と保護膜5とで挟み込んでダイヤフラム部(ダイヤフラム構造)を採っている。このダイヤフラム部においては、発熱抵抗6の発熱によりダイヤフラム部が熱膨張して変形することになる。そして、このダイヤフラム部の変形は、ダイヤフラム部からの放熱性を変動させ、出力のバラツキを引き起こすことになる。そこで、出力特性の信頼性の観点から、ダイヤフラム部の変形を抑えることが重要となる。
【0033】
ここで、このダイヤフラム部におけるダイヤフラム部の基材1に対する応力と発熱抵抗6の発熱によるダイヤフラム部の変形との関係について検討する。
まず、ダイヤフラム部を構成する支持膜4および保護膜5が基材1に対して圧縮応力を有していると、発熱抵抗6の発熱によりダイヤフラム部が熱膨張して大きく変形してしまう。
そして、支持膜4および保護膜5が基材1に対して引張応力を有していると、発熱抵抗6の発熱に起因するダイヤフラム部の変形が低減される。
しかし、短辺が1mmを超える矩形のダイヤフラム部の場合、ダイヤフラム部を構成する支持膜4および保護膜5の引張応力が50MPa未満であると、発熱抵抗6の発熱に起因するダイヤフラム部の変形が十分に低減できない。
従って、出力特性の信頼性を高めるには、ダイヤフラム部を構成する支持膜4および保護膜5の引張応力を50MPa以上にすることが望ましい。
【0034】
また、ダイヤフラム部を構成する支持膜4および保護膜5の引張応力が250MPaを超えると、熱式センサ20の製造時、著しく大きな反りが基材1に発生し、熱式センサ20の搬送時にチャッキングエラーや基材1の割れを発生させることになる。
そこで、製造時の基材1の反りを抑制するためには、ダイヤフラム部を構成する支持膜4および保護膜5の引張応力を250MPa以下にすることが望ましい。
【0035】
この実施の形態3によれば、スパッタリングやプラズマCVDの成膜方法を用い、支持膜4および保護膜5を構成するシリコン窒化膜の成膜条件を制御して、基材1に対して50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有するように形成しているので、発熱抵抗6の発熱による発熱構造体のダイヤフラム部の変形に起因する出力のバラツキが低減され、検出特性の信頼性が向上されるとともに、熱式センサの製造時に基材1に発生する反りが低減され、熱式センサの搬送時のチャッキングエラーや基材1の割れの発生を抑えることができる。
【0036】
そこで、この熱式センサを自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用しても、出力特性変動が小さく、吸入空気流量を安定して信頼性よく測定できる。
また、このように構成された熱式センサは、支持膜4および保護膜5が50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有しているので、外力による大きな変形に対しても復元力を有し、機械的な強度に優れている。そこで、この熱式センサを自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用しても、ダストの衝突による割れの問題を回避できる。
【0037】
なお、この実施の形態3において、支持膜4および保護膜5が基材1に対して50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有し、かつ、2.25未満の屈折率を有するようにシリコン窒化膜を成膜してもよい。この場合、発熱抵抗6の発熱による熱膨張に起因する発熱構造体のダイヤフラム部の変形を小さくでき、かつ、発熱抵抗6の発熱時に白金膜のシリサイド化に起因する発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくできる。
【0038】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4に係る熱式センサの発熱構造体の構造を説明するための断面図である。
【0039】
図4において、熱式センサ20Aは、開口としてのキャビティ2が穿設された平板状の基材1と、基材1の表面(第1の面)上にキャビティ2を覆うように形成されたダイヤフラム部(ダイヤフラム構造)の発熱構造体8Bとを備えている。
基材1は、平板状のシリコン基板であり、その表面の全面が熱酸化膜等の基材保護膜9で覆われている。そして、キャビティ2が基材1の裏面(第2の面)側から基材1および基材保護膜9の一部を除去して形成されている。
発熱構造体8Bは、シリコン窒化膜からなる絶縁性の支持膜4が基材1の表面上にキャビティ2を塞口するように形成され、白金膜からなる発熱抵抗6および感熱抵抗7がキャビティ2上の支持膜4の部位に形成され、シリコン窒化膜からなる第1保護膜5aが発熱抵抗6および感熱抵抗7と同一のパターンに形成されて発熱抵抗6および感熱抵抗7上に形成され、中間膜11が第1保護膜5a、発熱抵抗6および感熱抵抗7を覆うように支持膜4上に被覆され、さらに窒化シリコン膜からなる絶縁性の第2保護膜5bが中間膜11上に形成されて構成されている。そして、支持膜4および第1保護膜5aを構成するシリコン窒化膜が2.25未満の屈折率となるように成膜されている。
【0040】
つぎに、この熱式センサ20Aの製造方法について説明する。
まず、スパッタリング、プラズマCVD等の方法を用いて、基材1の基材保護膜9の表面の全面に例えば2μmの厚さにシリコン窒化膜を成膜して、基材1上に絶縁性の支持膜4を形成する。ついで、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、支持膜4の表面の全面に例えば0.2μmの厚さに白金膜を成膜する。さらに、スパッタ、プラズマCVD等の方法を用いて、白金膜の全面に例えば0.2μmの厚さにシリコン窒化膜を成膜する。そして、白金膜およびシリコン窒化膜が成膜された基材1に真空中で600℃〜750℃の熱処理を施す。ついで、写真製版、ウエットエッチング(あるいはドライエッチング)等の方法を用いて、白金膜およびシリコン窒化膜をパターニングし、所定パターンの発熱抵抗6、感熱抵抗7および電流路(図示せず)を形成する。これにより、0.2μmの厚のシリコン窒化膜からなる第1保護膜5aが発熱抵抗6、感熱抵抗7および電流路上のみに形成される。
ついで、SOG(Spin On Glass)膜(塗布シリコン酸化膜)が、第1保護膜5aが被覆された発熱抵抗6、感熱抵抗7および電流路を覆うように支持膜4の表面の全面に例えば0.2μmの厚さに形成され、中間膜11を得る。さらに、スパッタ、プラズマCVD等の方法を用いて、中間膜11の全面に例えば3μmの厚さにシリコン窒化膜を成膜して、第2保護膜5bを形成する。
【0041】
ついで、基材1の裏面の全面にレジストを塗布し、裏面保護膜(図示せず)を形成する。そして、写真製版等を用いて、裏面保護膜の一部を除去して、エッチングホール(図示せず)を形成する。その後、例えばアルカリエッチングを施して、基材1の裏面側から支持膜4に至るように基材1および基材保護膜9の一部を除去し、キャビティ2を形成する。このキャビティ2は発熱抵抗6および感熱抵抗7の形成領域の下部に対応して形成されている。これにより、発熱抵抗6および感熱抵抗7が支持膜4に支持されてキャビティ2上に形成され、第1保護膜5aが発熱抵抗6および感熱抵抗7上に被覆され、中間膜11が第1保護膜5aが被覆された発熱抵抗6および感熱抵抗7を覆うように支持膜4上に形成され、さらに第2保護膜5bが中間膜11の全面に被覆されて構成されたダイヤフラム構造の発熱構造体8Bが構築される。
ここでは、KOH、TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)、NaOH等がエッチャントとして使用される。
【0042】
この実施の形態4の熱式センサ20Aは、キャビティ2の基材1の表面側を塞口するように基材1の表面上に形成されたダイヤフラム部の発熱構造体8Bを備えている。このダイヤフラム部の発熱構造体8Bは、1.5mm×4mmの矩形形状を有し、発熱抵抗6および感熱抵抗7が発熱構造体8Bの中央部に0.8mm×2mmの大きさに形成されている。そして、熱式センサ20Aは、感熱抵抗7が発熱抵抗6の温度を検出する測温抵抗素子として機能する。
【0043】
つぎに、支持膜4の屈折率を2.0に固定し、第1保護膜5aの屈折率を変化させた発熱構造体8Bを有する熱式センサを作製し、130℃の雰囲気温度の下、発熱構造体8Bの発熱抵抗6の発熱温度が雰囲気温度より120℃高い温度(250℃)を維持するように発熱抵抗6に200時間、連続通電し、連続通電の前後における発熱抵抗6の抵抗値変化率を測定した結果を図5に□で示す。
なお、支持膜4および第1保護膜5aの屈折率は830nmの波長の光で測定した。そして、第1保護膜5aであるシリコン窒化膜のSiとNとの元素比率を変えて屈折率を変化させている。
【0044】
図5から、第1保護膜5aの屈折率が大きくなるにつれ抵抗値変化率が大きくなることがわかる。そして、第1保護膜5aの屈折率が2.25未満では、抵抗変化率が0.15%以下に安定しているが、屈折率が2.25を超えると抵抗値変化率が急激に増加して0.2%以上となった。
従って、この実施の形態4においても、シリコン窒化膜で構成された支持膜4および第1保護膜5aの屈折率を2.25未満とすることにより、発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくでき、自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定のような過酷な使用条件下でも、出力特性変動が小さく、安定した信頼性の高い熱式センサ20Aが得られる。
なお、第1保護膜5aの屈折率を2.25以上とした熱式センサを自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用したところ、感度が得られにくい低流量域で、流量換算出力±3%以内というドリフト規格から外れる結果が得られた。
【0045】
また、この実施の形態4においても、支持膜4、第1保護膜5aおよび第2保護膜5bが化学量論組成であるSi3N4膜の組成比率よりSiリッチなシリコン窒化膜で形成されているので、基材1に対して引張応力を有する支持膜4、第1保護膜5aおよび第2保護膜5bを容易に形成することができ、発熱抵抗6の発熱による発熱構造体8Bのダイヤフラム部の変形に伴う出力のバラツキを抑えることができる。
【0046】
また、この実施の形態4の熱式センサ20Aでは、SOG膜の中間膜11が形成されている。このSOG膜は、SiとOとを主成分とし、極めて高い流動性を有している。そこで、このSOG膜からなる中間膜11を形成することにより、発熱抵抗6、感熱抵抗7および第1保護膜5aと支持膜4との間に形成される急峻な段差が平滑化される。その結果、発熱抵抗6、感熱抵抗7および第1保護膜5aと支持膜4との段差部における第2保護膜5bの被覆性が格段に向上し、外力により発熱構造体8Bが変形しても、第2保護膜5bが該段差部で亀裂を発生することも防止される。即ち、外力による変形に対する耐性が強化される。さらに、この熱式センサを自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用した場合、雰囲気中の水分や燃料などの侵入が防止され、腐食やクラックの発生が抑制され、信頼性が向上される。
【0047】
また、この実施の形態4においても、発熱抵抗6(白金膜)に真空中で600℃〜750℃の温度で熱処理を施しているので、発熱抵抗6の発熱中におけるシリコン窒化膜中の余剰Siによる白金膜のシリサイド化が低減され、発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくできる。また、この白金膜の熱処理により、白金膜の抵抗温度係数を2800ppm/℃〜3300ppm/℃に高めることができるので、白金膜の抵抗変動に対する出力特性変動の割合を比較的低くすることができる。
【0048】
なお、上記実施の形態4では、発熱抵抗6と感熱抵抗7とが発熱構造体8B内に形成されているものとしているが、発熱抵抗6のみが発熱構造体8B内に形成されてしてもよい。また、発熱抵抗6と感熱抵抗7とが発熱構造体8B内にそれぞれ複数形成されていてもよい。
また、上記実施の形態4では、支持膜4にシリコン窒化膜を用いるものとしているが、支持膜にシリコン酸化膜(熱酸化膜、PSG膜)を用いても、同様の効果が得られる。この場合、シリコン酸化膜はシリコン窒化膜に比べて白金膜のシリサイド化への関与が極めて少ないので、発熱抵抗6に接しているシリコン窒化膜からなる第1保護膜5aの屈折率を2.25未満に調整することになる。
【0049】
実施の形態5.
この実施の形態4では、支持膜4および第1保護膜5aの屈折率を2.25未満とするようにシリコン窒化膜を成膜するものとしているが、この実施の形態5では、支持膜4および第2保護膜5bが基材1に対して50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有するようにシリコン窒化膜を成膜するものとしている。
なお、他の構成は上記実施の形態4と同様に構成されている。
【0050】
従って、この実施の形態5によれば、発熱構造体は、支持膜4および第2保護膜5bを構成するシリコン窒化膜の成膜条件を制御して、基材1に対して50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有するように形成されているので、上記実施の形態3と同様に、発熱抵抗6の発熱による発熱構造体のダイヤフラム部(ダイヤフラム構造)の変形が抑制され、発熱構造体のダイヤフラム部の変形に起因する出力のバラツキが低減され、検出特性の信頼性が向上される。また、この熱式センサは、外力による大きな変形に対しても復元力を有し、機械的な強度に優れているので、自動車の内燃機関の吸入空気流量の測定に適用しても、ダストの衝突による割れの問題を回避できる。
また、SOG膜自体の応力が極めて小さいので、中間膜11の膜厚を支持膜4の膜厚と第2保護膜5bの膜厚との総和の1/10以下にしておけば、支持膜4および第2保護膜5bのシリコン窒化膜による引張応力の調整に寄与せず、有効である。
【0051】
なお、この実施の形態5において、支持膜4および第2保護膜5bが基材1に対して50MPa以上、250MPa以下の引張応力を有し、かつ、支持膜4および第1保護膜5aが2.25未満の屈折率を有するようにシリコン窒化膜を成膜してもよい。この場合、発熱抵抗6の発熱による熱膨張に起因する発熱構造体のダイヤフラム部の変形を小さくでき、かつ、発熱抵抗6の発熱時に白金膜のシリサイド化に起因する発熱抵抗6の抵抗値変化率を小さくできる。
【0052】
また、上記実施の形態2乃至5では、基材1としてシリコン基板を用いるものとして説明しているが、基材1の材料は特に特定されるものではなく、例えばアルミナ基板やガラス基板を用いてもよい。
【0053】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように、第1絶縁性膜と、上記第1絶縁性膜上に配設された白金膜からなる発熱抵抗と、上記発熱抵抗上に形成された第2絶縁性膜とを備え、上記第1および第2絶縁性膜との少なくとも一方の絶縁性膜が2.25未満の屈折率を有するシリコン窒化膜で構成されているので、発熱抵抗の発熱に起因する白金膜のシリサイド化が抑制され、出力特性の信頼性の高い発熱構造体が得られる。
【0054】
また、開口が穿設された平板状の基材と、支持膜が上記基材の第1の表面上に上記開口を塞口するように形成され、白金膜からなる発熱抵抗が上記開口上の上記支持膜の部位に形成され、さらに保護膜が上記発熱抵抗上に形成されて構成されたダイヤフラム構造の発熱構造体とを備え、上記支持膜および上記保護膜の少なくとも一方の膜が2.25未満の屈折率を有するシリコン窒化膜で構成されているので、発熱抵抗の発熱に起因する白金膜のシリサイド化が抑制され、出力特性の信頼性の高い熱式センサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る発熱構造体を示す断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2に係る熱式センサの発熱構造体の構造を説明するための断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る熱式センサの発熱構造体周りを示す平面図である。
【図4】 この発明の実施の形態4に係る熱式センサの発熱構造体の構造を説明するための断面図である。
【図5】 この発明における抵抗値変化率と窒化シリコン膜の屈折率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 基材、2 キャビティ(開口)、3 下地膜、4 支持膜、5 保護膜、5a 第1保護膜、5b 第2保護膜、6 発熱抵抗、8、8A、8B 発熱構造体、11 中間膜、20、20A 熱式センサ。
Claims (5)
- 第1絶縁性膜と、上記第1絶縁性膜上に配設された白金膜からなる発熱抵抗と、上記発熱抵抗上に形成された第2絶縁性膜とを備えた発熱構造体において、
上記第1および第2絶縁性膜との少なくとも一方の絶縁性膜が2.25未満の屈折率を有するシリコン窒化膜で構成されていることを特徴とする発熱構造体。 - 上記発熱抵抗は、600℃以上、750℃以下の温度で熱処理されていることを特徴とする請求項1記載の発熱構造体。
- 開口が穿設された平板状の基材と、支持膜が上記基材の第1の表面上に上記開口を塞口するように形成され、白金膜からなる発熱抵抗が上記開口上の上記支持膜の部位に形成され、さらに保護膜が上記発熱抵抗上に形成されて構成されたダイヤフラム構造の発熱構造体とを備えた熱式センサにおいて、
上記支持膜および上記保護膜の少なくとも一方の膜が2.25未満の屈折率を有するシリコン窒化膜で構成されていることを特徴とする熱式センサ。 - 上記発熱抵抗は、600℃以上、750℃以下の温度で熱処理されていることを特徴とする請求項3に記載の熱式センサ。
- 上記シリコン窒化膜が化学量論組成であるSi3N4膜の組成比率よりSiリッチな膜に形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の熱式センサ。
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