JP3699279B2 - 攪拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品材料等の粘性が非常に高い被攪拌材料を効率的かつ均一に攪拌する攪拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
実開昭62−43628号公報には、底部が球面である攪拌容器内に、傾斜した軸部材を配置し、該軸部材に一個の環状攪拌部材を回転駆動可能に配置してなる攪拌装置を開示されている。この攪拌装置には、攪拌容器のほぼ中心に垂直に被攪拌材料を粉砕するためのカッター軸が配置されている。
特開平1−168323号公報には、攪拌物を収納する攪拌室内に、水平な同一軸芯で回転する軸部材に内外二重の攪拌羽根を設け、その外側羽根を攪拌室の外周部を一方向へ回転させ、内側羽根を攪拌室の中心部において前記外側羽根と干渉しないように他方向へ回転させるように構成した攪拌機を開示している。
特開平9−308574号公報においては、底部が半球状の円筒状容器内に電動機によって駆動される斜軸を円筒状容器上方から斜めに挿入した斜軸攪拌機であって、前記斜軸の下端に円環状の攪拌子フレームを固定し、このフレームの直径を斜軸に軸心の延長線と一致させるとともに、攪拌子フレームの下部を円筒状の底部に近接させて沿わせ、斜軸の軸心の延長線と交差する複数本の丸パイプ、平鋼板等からなる攪拌棒を相互間隔を設けて攪拌フレーム内に架設した攪拌機を開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
実開昭62−43628号公報に開示された攪拌装置においては、傾斜した軸部材を配置し、さらに攪拌容器のほぼ中心に垂直に被攪拌材料を粉砕するためのカッター軸が配置している。しかし、カッター軸によって切断され攪拌される領域は限られたものであり、また被攪拌材料が粘性及び結合力が大きい場合には軸部材に被攪拌材料が付着するいわゆる伴回りが発生するおそれが高い。
特開平1−168323号公報に開示された攪拌機においては、被攪拌材料が粘性及び結合力が大きい場合には水平な回転軸の周囲に被攪拌材料が付着して供回りが発生するおそれが高い。
【0004】
特開平9−308574号公報に開示された攪拌機においては、電動機によって駆動される斜軸を円筒状容器上方から斜めに挿入し、前記斜軸の下端に円環状の攪拌子フレームを固着し、斜軸の軸心の延長線と交差する複数本の丸パイプ、平鋼板等からなる攪拌棒を相互間隔を設けて攪拌フレームを構成して、斜軸に被攪拌材料が付着し供回りして攪拌が行われないことを解決している。しかし、円環状の攪拌子フレームの付着物を払い落とす構成は何ら存在せず、被攪拌材料が粘性及び結合力が大きい場合には被攪拌材料が攪拌子フレームに付着して伴回りする問題が存続している。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、従来の攪拌装置の上述した問題点に鑑みてなされたものであって、被攪拌材料が攪拌羽根に付着して供回りすることがなく、かつ攪拌羽根が高い破壊効率及び攪拌効率を発揮し、高度に均等混合した攪拌製品を高率的に得られる攪拌装置を提供することを目的とする。
本発明はまた、被攪拌材料を効率的に攪拌しかつ均一に効率的に加熱等の調理を行うことができる攪拌調理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】
第1発明は、底部が球面である攪拌容器内に、攪拌部材を傾斜した軸線を中心に回転駆動可能に配置してなる攪拌装置において、前記攪拌部材は、同一軸線を中心に回転駆動される環状の内側攪拌部材と環状の外側攪拌部材とからなり、前記内側攪拌部材は回転軸線を中心に非対称であり、前記内側攪拌部材と外側攪拌部材とが互いの反対方向に回転駆動されることを特徴とする攪拌装置である。
第2発明は、底部が球面である攪拌容器内に、攪拌部材を傾斜した軸線を中心に回転駆動可能に配置してなる攪拌装置において、前記攪拌部材は、同一軸線を中心に回転駆動される環状の内側攪拌部材と環状の外側攪拌部材とからなり、前記内側攪拌部材は回転軸線を中心に非対称であり、前記内側攪拌部材と外側攪拌部材とが同一方向に異なった回転速度で回転駆動されることを特徴とする攪拌装置である。
【0007】
本発明の実施形態は以下のとおりである。前記内側攪拌部材が、環状部分の内側及び外側の少なくとも一方に攪拌突起を有する。前記外側攪拌部材が、前記攪拌容器に接する掻き取り部材を有する。前記攪拌容器が、加熱機能を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて説明する。第1実施形態の攪拌装置は,図1に示すように、架台10に支持された半球形の釜12に、回転軸線Aが垂直線に対し25ないし40°、好ましくは30°傾斜した回転軸14に内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18が配置されている。釜12は、所望により外面周囲に蒸気、高熱水、冷水等を供給するようにジャケット構造にし、攪拌装置に調理機能を持たせてもよい。
【0009】
釜12の上端部は蓋部材20によって開放自在に閉塞され、蓋部材20には被攪拌材料投入口22及び回転軸14が取り付けられている。回転軸14の上端には攪拌羽根の駆動源となる反転変速機能付きのモータ30が取り付けられ、従って内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18は同一方向にも反対方向にも回転駆動され、しかもその回転速度も任意に選択制御可能である。内側攪拌羽根16の回転速度は30ないし150rpm の範囲であり、外側攪拌羽根18の回転速度は20ないし50rpm の範囲である。内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18の下端部は、軸支部材32によって回転軸線Aを中心に回転可能に支持されている。
【0010】
内側攪拌羽根16は、回転軸線Aからの距離が異なるようにアーム34,35によって支持された攪拌軸36,37を有し、攪拌軸36,37には回転軸線Aに関し対称でなく配設された複数の攪拌棒40が取り付けられている。攪拌棒40は回転軸線Aに対し直交する方向に延びており、攪拌棒40の少なくともあるものは外側攪拌羽根18の近傍まで延びた長さを有する。内側攪拌羽根16の回転軸線Aを含む平面の断面は、上述した矩形に限らず、変形矩形であってもよい。
【0011】
外側攪拌羽根18は環状であって、周囲に釜12の内面に接触して被攪拌材料を掻き取る合成樹脂製の掻取羽根50が取り付けられている。掻取羽根50は、回転軸線Aの両側の掻取羽根50が釜12の同一の領域を掻き取ることがないように回転軸線Aに関し非対称に配置される。外側攪拌羽根18の回転軸線Aを含む平面の断面は、上述した円形に限らず、楕円形や矩形であってもよい。また、外側攪拌羽根18には、内側攪拌羽根16に近傍まで延び得る攪拌棒を取り付けてもよい。内側攪拌羽根16には、回転軸線Aの近くに釜12の下方部に当たる位置に、回転軸線Aから若干ずらして設けられた温度センサー取り付け部材70を介して温度センサー72が取り付けられ、攪拌中の被攪拌材料の温度を測定する。
【0012】
【実験例】
油脂と小麦粉とを調理してなる小麦粉ルウは、加熱調理時すなわち攪拌中の品温の変化によってその物性が大きく異なる。従って、以下に示すように攪拌羽根の回転速度及び回転方向を順次変えて攪拌した。
(1)加熱工程の前半 油脂と小麦粉からなる被攪拌材料は低品温では軟らかく流動状である。内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18は、同一回転方向に30rpm で回転させた。釜12内の被攪拌材料は流動的であり、効率的に流動させて高い攪拌効率でかつ速やかに昇温させることができた。
【0013】
(2)加熱工程の後半及び冷却工程の前半 本実験の被攪拌材料は、70ないし90℃の品温において急激に硬い物性になりかつ塊になり易くなる。従って、内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18を互いに逆方向に回転させ、かつ内側攪拌羽根16を60rpm で回転させ、外側攪拌羽根18を30rpm で回転させた。こうして内側攪拌羽根16と外側攪拌羽根18とによって塊かけた被攪拌材料を挟み込むようにして捕らえて破壊粉砕し、また回転軸Aに関し非対称に設けられた攪拌軸36、37及び攪拌棒40によって攪拌混合することができた。さらに、内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18はこの回転によって回転軸Aの近傍の被攪拌材料を遠心力によって釜12の内面に向けて送り出し、被攪拌材料の均一かつ効率的な攪拌調理を行うことができた。
【0014】
(3)冷却工程の後半 被攪拌材料は60ないし80℃の品温において再び軟らかい物性で流動状になり、内側攪拌羽根16及び外側攪拌羽根18を同一方向に30rpm で回転させた。釜12内の被攪拌材料は高率的に流動攪拌され、かつ速やかに冷却することができた。
【0015】
第2実施形態の攪拌装置は,図2に示されるが、第1実施形態の攪拌装置と同一の構成要素を付することによってその説明を省略する。内側攪拌羽根16は、回転軸線Aに関し非対称であり、第1実施形態の攪拌棒に対応する部材を有しない。
【0016】
第3実施形態の攪拌装置は,図3に示されるが、第1実施形態の攪拌装置と同一の構成要素を付することによってその説明を省略する。攪拌棒40は、上述したように攪拌軸36,37の両方に取り付けず、図3に示すように、攪拌軸のいずれか一方にのみ取り付けてなる。
【0017】
第4実施形態の攪拌装置は,図4に示されるが、第1実施形態の攪拌装置と同一の構成要素を付することによってその説明を省略する。攪拌棒40は、攪拌軸36,37の内側には取り付けず、図4に示すように、 外側にのみ取り付けなる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、被攪拌材料が攪拌羽根に付着して供回りすることがなく、かつ攪拌羽根が高い破壊効率及び攪拌効率を発揮し、効率的に高い均等混合の攪拌製品が得られる効果を有する。
本発明によればまた、被攪拌材料を効率的に攪拌しかつ均一に加熱等の調理を行うことができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の攪拌装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の攪拌装置の断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態の攪拌装置の断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態の攪拌装置の断面図である。
【符号の説明】
A 回転軸線
10 架台
12 釜
14 回転軸
16 内側攪拌羽根
18 外側攪拌羽根
20 蓋部材
22 被攪拌材料投入口
30 モータ
32 軸支部材
34,35 アーム
36,37 攪拌軸
40 攪拌棒
50 掻取羽根
70 温度センサー取り付け部材
72 温度センサー
Claims (5)
- 底部が球面である攪拌容器内に、攪拌部材を傾斜した軸線を中心に回転駆動可能に配置してなる攪拌装置において、
前記攪拌部材は、同一軸線を中心に回転駆動される環状の内側攪拌部材と環状の外側攪拌部材とからなり、前記内側攪拌部材は回転軸線を中心に非対称であり、
前記内側攪拌部材と外側攪拌部材とが互いの反対方向に回転駆動されることを特徴とする攪拌装置。 - 底部が球面である攪拌容器内に、攪拌部材を傾斜した軸線を中心に回転駆動可能に配置してなる攪拌装置において、
前記攪拌部材は、同一軸線を中心に回転駆動される環状の内側攪拌部材と環状の外側攪拌部材とからなり、前記内側攪拌部材は回転軸線を中心に非対称であり、
前記内側攪拌部材と外側攪拌部材とが同一方向に異なった回転速度で回転駆動されることを特徴とする攪拌装置。 - 前記内側攪拌部材が環状部分の内側及び外側の少なくとも一方に攪拌突起を有する請求項1又は2に記載された攪拌装置。
- 前記外側攪拌部材が前記攪拌容器に接する掻き取り部材を有する請求項1又は2に記載された攪拌装置。
- 前記攪拌容器が加熱機能を有する請求項1又は2に記載された攪拌装置。
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