JP3697760B2 - 塗布液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電膜付きブラウン管パネルを形成する塗布液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブラウン管パネルは高電圧で作動するために、起動時あるいは終了時にその表面に静電気が誘発される。この静電気によりブラウン管パネル表面にほこりが付着してコントラスト低下を引き起こしたり、あるいはブラウン管パネルに直接手を触れた際に軽い電気ショックによる不快感を生じることが多い。
従来、上述の現象を防止するために、ブラウン管パネル表面に帯電防止膜を付与する試みが種々検討され、例えば、特開昭63−76247号公報には、ブラウン管パネル表面を350℃程度に加熱し、該表面にCVD法により酸化錫および酸化インジウムなどの導電性酸化物層を設ける方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、この方法では成膜装置にコストがかかることに加え、ブラウン管パネル表面を高温に加熱するため、ブラウン管内の蛍光体の脱落を生じたり、寸法精度が低下するなどの問題があった。また、導電層に用いる材料としては酸化錫が最も一般的であるが、酸化錫の場合、低温処理では高性能な膜が得にくいという欠点があった。
また、近年、電磁波ノイズによる電子機器への電波障害が社会問題となり、それらを防止するため規格の作成および規制が行なわれている。
電磁波ノイズは人体について、陰極線管(CRT)上の静電気チャージによる皮膚癌の恐れ、低周波電界(ELF)による胎児への影響、その他X線、紫外線などによる被害が各国で問題視されている。
【0004】
電磁波ノイズの遮断は、導電性塗膜をブラウン管パネル表面に介在させることにより、導電性塗膜に電磁波が当たり、該塗膜内に渦電流を誘導して、この作用で電磁波を反射させることによって可能である。
しかし、このためには導電性塗膜は高い電界強度に耐え得る良導電性であることが必要であるが、それほどの良導電性の膜を得ることは更に困難であった。
一方、導電膜の製造法としては、例えば、特開平6−310058号公報などに記載されているように、ブラウン管パネル表面に金属塩と還元剤の混合液を塗布して導電膜を形成させる方法があるが、この方法では金属導電膜はガラス面にメッキされた状態となり、膜の強度が著しく弱く、かつ該導電膜を洗浄して副生成塩を除去する工程が必要となるという問題が生じていた。
【0005】
また、導電膜および低反射性導電膜のコーティング法による形成は、従来より光学機器においては言うまでもなく、民生用機器、特にTV、コンピューター端末のCRTに関して数多くの検討がなされてきた。
従来の方法は、例えば、特開昭61−118931号公報に記載の如く、ブラウン管パネル表面に防眩効果を持たせるために表面に微細な凹凸を有するSiO2層を付着させたり、フッ酸により表面をエッチングして凹凸を設けるなどの方法が採られてきた。
しかし、これらの方法は、外部光を散乱させるノングレア処理と呼ばれ、本質的に低反射性層を設ける方法でないため、反射率の低減には限界があり、また、ブラウン管パネルなどにおいては、解像度を低下させる原因ともなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術が有していた上述の導電膜および低反射性導電膜の欠点を解消しようとするものであり、ブラウン管パネルに低温熱処理により前記導電膜を形成する塗布液を新規に提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブラウン管パネル表面に塗布することにより導電膜を形成する塗布液であって、RuおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩を還元剤で還元しかつ洗浄してなる微粒子を水または有機溶媒に均一に分散させて調製したRuおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属微粒子のゾル、珪素化合物、およびSn、Sb、In、Zn、Ga、AlおよびRuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含むことを特徴とする塗布液(但し銀コロイドを含む場合を除く)を提供する。
本発明の特徴は、導電膜を形成するにあたり、洗浄した金属微粒子をゾルの形で含有する塗布液を使用することであり、この塗布液を基体上に塗布して導電膜を形成させた場合、従来のメッキ膜とは異なり、微少な孔が導電膜中に導入される。
【0008】
そして、当該導電膜の上に珪素化合物を形成するSiアルコキシドの加水分解物を含有する塗布液を塗布した場合に、この孔に珪素化合物が侵入し、膜強度が著しく向上する。
また、本発明においては、金属塩と還元液からなる塗布液を使用する前記の従来法とは異なり、導電膜の形成時に副生成物が生成せず、導電膜とその上に形成される膜との間での膜強度の劣化も生じない。
従って本発明によれば、ブラウン管パネル面に、前述の問題点を解決した導電膜、または導電膜を少なくとも1層含む低反射性導電膜を形成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で導電膜を形成するために使用する金属は、RuおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属であり、これらの金属は微粒子として用いられる。
金属微粒子としては、例えば、上記金属の蒸発凝縮により生成される金属微粒子、あるいは上記金属の塩を化学還元することにより生成する金属微粒子が好適に使用される。
【0010】
本発明において化学還元による金属微粒子の生成に用いられる金属塩としては、例えば、塩化ルテニウム、塩化ルテニウムアンモニウム、塩化ルテニウムカリウム、塩化ルテニウムナトリウム、塩化第一金、塩化第二金、塩化金酸などの塩化物;酢酸ルテニウムなどの酢酸塩などが挙げられる。
【0011】
上記金属塩の還元剤としては、例えば、水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウムなどの水素化物や蟻酸、シュウ酸、ホスフィン酸、ホスフィン酸ナトリウムなどの有機酸、無機酸、塩が使用可能である。金属微粒子の還元析出法は、特に限定されないが、例えば、金属塩を水または有機溶媒に溶解させ、必要に応じアンモニアなどでpHを調整した後、還元剤を添加する方法が使用可能である。この方法においては、金属塩の種類により反応温度を調整することが好ましい。生成した金属微粒子は、適宜洗浄および乾燥される。以上の如くして得られる金属微粒子の粉体体積抵抗は、0.01Ωcm以下であることが好ましい。
【0012】
導電性膜を形成するための塗布液は、上記の金属微粒子を水や有機溶媒などにゾルの形に均一に分散させることによって調製される。金属微粒子の粉末は、粒子径があまり大きいと分散しにくくなるため、平均粒径は1000Å以下であることが好ましい。さらに好ましくは50〜800Åである。また、金属微粒子の分散性向上のために、加熱、紫外線の照射、酸化剤への浸漬などにより金属微粒子の表面を一部酸化してもよい。塗布液中の金属微粒子の含有量は、特に限定されないが、通常は0.05〜10重量%程度であり、形成される導電膜が所定の厚さとなるように含有量を調整する。
【0013】
塗布液の調製においては金属微粒子を水や有機溶媒などに均一に分散させることが重要である。そのためには、溶媒と金属微粒子との接触を容易ならしめるために十分な攪拌を行なうことが必要である。攪拌手段としては、例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどの市販の粉砕・分散機を用いることができる。また、分散させる際には、20〜200℃の範囲で加熱することもできる。溶媒の沸点以上で攪拌する場合には、加圧して液層が保持できるようにする。
かくして、RuおよびAuから選ばれる少なくとも1種の金属微粒子がコロイド粒子として分散した水性ゾル、あるいはオルガノゾル得られる。
【0014】
本発明においては、水性ゾルをそのまま塗布液として用いることもできるが、基体に対する塗布性を増すために、金属微粒子を有機溶媒に分散させるか、あるいは水性ゾルの水分を有機溶媒で置換して用いることも可能である。
オルガノゾルの形成および上記の媒体の置換などに使用される有機溶媒としては、親水性有機溶媒が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルなどのエーテル類;2,4−ペンタジオン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;乳酸エチル、乳酸メチルなどのエステル類がなどが挙げられる。
【0015】
上記金属微粒子が分散したゾルを含む塗布液には、液の粘度、表面張力、広がり性等を調整する点から、Si(OR)y・R′4-y(y=3または4、R、R′はアルキル基)などの加水分解性珪素化合物、あるいはその部分加水分解物を添加することも可能である。金属微粒子に対して該珪素化合物は任意の割合で添加することができるが、導電性および導電膜の強度を考慮すると、金属微粒子/SiO2換算の該珪素化合物(重量比)は1/6〜10/1が好ましく、さらに好ましくは1/4〜5/1程度である。
【0016】
また、塗布液には、導電膜の膜厚調整などのために、Sn、Sb、In、Zn、Ga、AlおよびRuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を金属微粒子と同様なゾルの形で含有させることもできる。金属酸化物は金属微粒子に対して任意の割合で使用することができるが、好ましい金属微粒子/金属酸化物(重量比)=99/1〜60/40であり、さらに好ましくは95/5〜70/30である。
さらに、基体との濡れ性を向上させるために種々の界面活性剤を塗布液に添加することもできる。金属微粒子とともに珪素化合物や金属酸化物などを含む場合の塗布液の濃度(固形分)は、0.05〜10重量%程度が好ましい。
【0017】
かくして得られた塗布液を基体上に、乾燥後に所定の厚さとなるように塗布し、加熱して導電膜を形成させる。導電膜の厚さは、特に限定されないが、通常は50〜150nm程度である。
塗布液を基体に塗布する方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート、ディップコート、スプレーコートなどの方法が好適に使用可能である。また、スプレーコート法を用いて表面に凹凸を形成し、防眩効果を付与してもよく、また、その上にシリカ被膜などのハードコートを設けてもよい。さらには、本発明における導電膜をスピンコートまたはスプレーコートのいずれかの方法で形成し、その上に上記のシリコンアルコキシドを含む溶液をスプレーコートして、表面に凹凸を有するシリカ被膜のノングレアコートを設けてもよい。
【0018】
本発明における上記の金属微粒子ゾルを含む塗布液それ自体で基体上への塗布液として供するために、低沸点溶媒を用いる場合には、室温での乾燥で均一な塗膜が得られるが、沸点が100℃〜250℃の範囲にある中〜高沸点溶媒を用いる場合には、室温乾燥では溶媒が塗膜中に残留するため、加熱処理を行う。加熱温度の上限は基体に用いられるガラス、プラスチックなどの基体の軟化点によって決定される。この点も考慮すると好ましい加熱温度範囲は100℃〜500℃である。
【0019】
本発明においては、上記方法で形成した導電膜の上に、光の干渉作用を利用して低反射性膜を形成することができる。例えば、基体がガラスの場合(屈折率n=1.52)、導電膜の上に、n(導電膜)/n(低屈折率膜)の比の値が約1.23となるような低屈折率膜を形成することによって反射率を最も低減させることができる。
反射率の低減には可視光領域において、特に555nmの光の反射率を低減させることが好ましいが、実用上は反射外観などを考慮して適宜決定することが好ましい。
【0020】
かかる2層からなる低反射性導電膜の最外層の低屈折率膜は、MgF2ゾルを含む溶液やSiアルコキシドを含む溶液から選ばれる少なくとも1種の溶液を用いて形成した膜が好ましい。屈折率の点では上記材料の内ではMgF2が最も低く、反射率低減のためにはMgF2ゾルを含む溶液を用いることが好ましいが、膜の硬度や耐擦傷性の点ではSiO2を主成分とする膜が好ましい。
かかる低屈折率膜形成用のSiアルコキシドを含む溶液としては種々のものが使用可能であるが、Si(OR)y・R′4-y(y=3または4、R、R′はアルキル基)で示されるSiアルコキシドあるいはその部分加水分解物を含む液が好ましいものとして挙げられる。Siアルコキシドとしては、例えば、シリコンエトキシド、シリコンメトキシド、シリコンイソプロポキシド、シリコンブトキシドなどのモノマー、あるいはそれらの重合体が好ましいものとして挙げられる。
【0021】
Siアルコキシドは、通常アルコール、エステル、エーテルなどに溶解して用いられるが、また、前記溶液に塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、ぎ酸、マレイン酸、フッ酸、あるいはアンモニア水溶液を添加して加水分解して用いることもできる。
溶液中のSiアルコキシドの含有量は特に限定されないが、固形分量が多すぎると保存安定性が低下するので溶媒に対して30重量%以下の固形分量で使用することが好ましい。
また、低屈折率膜形成用にMgF2を使用する場合には、MgF2の微粒子を用い、前記と同様にして該微粒子を水や有機溶媒などの溶媒に安定なコロイド粒子として均一に分散させた水性ゾル、あるいはオルガノゾルして使用する。分散液中のMgF2の好ましい濃度はSiアルコキシドの場合と同様である。有機溶媒としては前記の有機溶媒が使用可能である。
【0022】
また、上記の溶液、あるいは分散液には膜の強度を向上させるために、バインダーとしてZr、Ti、Sn、Alなどのアルコキシドや、これらの部分加水分解物を添加して、ZrO2、TiO2、SnO2、Al2O3などの1種、または2種以上の複合物をMgF2やSiO2と同時に析出させてもよい。上記溶液、あるいは分散液へのこれらのアルコキシドなどの添加量は、Siアルコキシドおよび/またはMgF2に対して0.1〜10重量%程度が好ましい。
さらに、必要により、基体との濡れ性を向上させるために、上記の溶液、あるいは分散液に界面活性剤を添加してもよい。添加される界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルなどが挙げられる。
以上の低屈折率膜形成用溶液、あるいは分散液を用い、導電膜形成の場合と同様の方法で導電膜上に低屈折率膜を形成させる。
【0023】
本発明の低反射性導電膜の形成方法は、多層干渉効果による低反射性の導電膜にも応用することもできる。反射防止性能を有する多層の低反射性膜の構成としては、例えば、反射防止をしたい光の波長をλとして、基体側より、高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ/2−λ/4、あるいはλ/4−λ/4で形成した2層の低反射性膜、基体側より中屈折率層−高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ/4−λ/2−λ/4で形成した3層の低反射性膜、基体側より低屈折率層−中屈折率層−高屈折率層−低屈折率層を光学厚みλ/2−λ/2−λ/2−λ/4で形成した4層の低反射性膜などが典型的な例として知られている。
【0024】
以上の如く本発明の方法により、RuおよびAuから選ばれる少なくとも1種の金属微粒子を含有する導電膜は、可視光領域全般にわたって吸収を生じるため、コントラストの向上にも寄与し、かつ低反射性にも優れている。
【0025】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
尚、実施例および比較例における使用割合および%は重量基準である。また、実施例および比較例において得られた膜の評価方法は次の通りである。
1)導電性評価
ローレスタ抵抗測定器(三菱化学製)により膜表面の表面抵抗を測定した。
2)耐擦傷性
擦傷性測定器(LION社製50−50)により1Kg荷重下で、膜表面を50回往復後、その表面の傷付きを目視で判断した。
【0026】
評価基準は以下の通りとした。
○:傷が全く付かない
△:傷が多少つく
×:一部に膜剥離が生じる
3)鉛筆硬度
1Kg荷重下において、種々の硬度の鉛筆で膜表面を走査し、その後目視により表面に傷が生じ始める鉛筆の硬度を膜の鉛筆硬度と判断した。
【0027】
4)視感反射率
GAMMA分光反射率スペクトル測定器により多層膜の400〜700nmでの視感反射率を測定した。
5)視感透過率
日立製作所製 Spectrophotometer U−3500により380〜780nmでの視感透過率を測定した。
また、得られた金属微粒子の粉体体積抵抗は4端子法により測定し、得られたゾルの平均粒径は大塚電子製レーザー回折式粒径測定装置LPA−3100により測定した。
【0028】
例1
三塩化ルテニウム水溶液(固形分10%)に水素化硼素ナトリウム液をルテニウムに対して4倍モル添加して金属ルテニウムを還元析出させた。この金属ルテニウムを十分洗浄した後、100℃で24時間乾燥を行い金属ルテニウム粉末を得た。
この金属ルテニウム粉末をサンドミルで20分間粉砕した。この時の液中の金属ルテニウムの平均粒経は89nmであった。その後濃縮を行ない固形分5%の分散液を得た。これをA液とする。
【0029】
珪酸エチルをエタノールに溶かし塩酸酸性水溶液で加水分解を行なわせ、SiO2換算で5%となるようにエタノールで調整した。これをB液とする。
A液とB液をA液/B液=8/2となるように混合し、その後超音波を1時間照射して混合液を得た。これをC液とする。
水:エタノール:メタノール:プロピレングリコールモノメチルエーテルが50:42:5:3からなる溶液を調製した。これをD液とする。
C液をD液で固形分が1.0%となるように希釈した。これをE液とする。
E液を14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で塗布し、180℃で30分間加熱して導電膜を形成させた。
【0030】
例2
塩化第一金を水に溶解し、水素化硼素ナトリウムを金に対して5倍モル徐々に添加して金を還元析出させた。この沈殿物を洗浄および濾過分離し、140℃で12時間乾燥して金微粒子を得た。この金微粒子をサンドミルで4.5時間粉砕した。この時の液中の金微粒子の平均粒経は96nmであった。その後濃縮を行ない固形分5%の液を得た。これをG1液とする。
C液とG1液をC液/G1液=20/80となるように混合し、その後超音波を1.0時間照射して混合液を得た。これをH1液とする。H1液をE液で固形分が0.8%となるように希釈した。これをJ1液とする。
J1液を14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で塗布し、160℃で30分間加熱して導電膜を形成させた。
【0031】
例3
イソプロピルアルコール:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:ジアセトンアルコールが6:3:1からなる溶液を調製した。これをU1液とする。
例1で調整したA液をD液で固形分が0.8%となるように希釈し、この液を14インチブラウン管パネル表面にスピンコート法で塗布し、60℃で10分間乾燥させて導電膜を形成させた。
その後、この膜の上にB液をU1液で0.85%に希釈した液をスピンコート法で塗布し、160℃で30分間焼成して低反射性導電膜を形成させた。
【0032】
例4
例3におけるA液をJ1液に変更した以外は例3と同様にして低反射性導電膜を形成させた。
【0033】
例5
塩化スズと塩化アンチモンをSn/Sb=85/15となるように混合し、この溶液をアンモニア水でpH10に調整し、50℃に保持した溶液中に添加し、沈殿析出させた。この沈殿物を洗浄、濾別し、100℃で12時間乾燥後650℃で3時間大気中で焼成し、アンチモンドープ酸化錫微粒子を得た。この微粒子をサンドミルで2時間粉砕した。この時の液中のアンチモンドープ酸化錫微粒子の平均粒経は65nmであった。その後濃縮を行ない固形分が5%の液を得た。
この液をD液で固形分1.2%に希釈し、14インチブラウン管パネル表面にスピンコートした。更にこの膜の上にB液をU1液で0.9%に希釈した液をスピンコート法で塗布し、160℃で20分間焼成し2層膜を形成させた。
以上において例1、2、4が実施例で、例3が参考例で、例5が比較例である。これらの例1〜5の導電膜および低反射性導電膜を評価した。結果を表1に示す。
【0034】
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、スプレーまたはスピンコートなどの簡便な方法により効率よく優れた導電膜を提供することが可能となる。本発明は金属微粒子による導電膜を提供するため、電磁波を容易にシールドでき、かつ比較的安価に製造することできる。特に、CRTのパネルフェイス面などの大面積の基体にも充分適用でき、量産も可能であるため工業的価値は非常に高い。
Claims (1)
- ブラウン管パネル表面に塗布することにより導電膜を形成する塗布液であって、RuおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属塩を還元剤で還元しかつ洗浄してなる微粒子を水または有機溶媒に均一に分散させて調製したRuおよびAuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属微粒子のゾル、珪素化合物、およびSn、Sb、In、Zn、Ga、AlおよびRuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含むことを特徴とする塗布液(但し銀コロイドを含む場合を除く)。
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