JP3689095B2 - Ultrasonic diagnostic equipment - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、超音波造影剤を被検体内に注入し、この造影剤の超音波に対する強い散乱特性によりエコーが増強される性質を利用してコントラスト像を得るようにした超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、超音波造影剤を用いたコントラストエコー法が心筋画像の解析分野で注目されている。
【0003】
このコントラストエコー法の一つとして、超音波造影剤を動脈から注入する動脈注入による心筋コントラストエコー法が研究されており、心筋分布像(perfusion)による心筋内血流の灌流域の評価に利用されている。この心筋コントラストエコー法は大動脈に留置されたカテーテルより超音波造影剤(例えば、用手的あるいはソニケータにより気泡の生成された5%ヒトアルブミン)を注入するものである。造影剤により心筋内血流の灌流域は、Bモード上の輝度増強領域として表示される。同様に、血流の灌流域の評価あるいは腫瘍の支配血管系を評価するために、腹部領域でも動脈注入によるコントラストエコー法が研究されている。これらのコントラストエコー法を実施する診断装置は、一般検査用の超音波診断装置あるいはさらにワークステーションが用いられる。これにより、目視によりBモード像の輝度増強を評価したり、あるいはメモリに記憶された画像データをワークステーション上で適当な処理後、輝度レベルの変化を定量評価したりするようになっている。
【0004】
また、近年、超音波造影剤を静脈から注入して左心系の評価が可能な超音波造影剤が開発され、これを用いた超音波コントラストエコー法が試みられている。
【0005】
この超音波造影剤としては、塩野義製薬株式会社により輸入販売されている、『5%人血清アルブミンを超音波処理するときに生成するアルブミン膜の中に、空気を封じ込めた平均粒子径約4μmの空気小球体』(販売名:アルブネックス注5ml)がある。
【0006】
この静脈注入によるコントラストエコー法は、現在、試験,研究段階であり、今後、頭部・心腔・腹部などの診断で、その有用性に期待が高まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のコントラストエコー法のうち、動脈注入によるコントラストエコー法は、カテーテルを大動脈に留置させる必要があるため、それを施行できる施設(手術室)が比較的大きい病院に限られること、また侵襲性が伴う診断のため患者の負担も大きいことなどの理由に因って、一般の臨床には今後も容易には普及し難いと想定されている。
【0008】
一方、静脈注入よるコントラストエコー法では、侵襲性は著しく小さく、患者の負担は小さくて済むものの、造影剤を、肺を通って心筋やその他の目的部位に到達することになるため、動脈注入によるコントラストエコー法に比べて、造影剤濃度が薄くなり、輝度増強の程度が下がる。このため、心筋、腹部の末梢部位など、その周囲からの組織エコーの影響が大きい部位では、造影剤による輝度増強を観測することは極めて困難であり、心筋分布像による心筋内血流の灌流域の評価には適用できないという現状にある。
【0009】
本発明は、このような従来の超音波造影剤を用いたコントラストエコー法の現状に鑑みてなされたもので、とくに、周囲からの組織エコーの影響が大きい部位(心筋、臓器実質など)でも、静脈注入によるコントラストエコー法を実施して、造影剤による輝度増強の像を的確に得ることができるようにし、心筋、臓器実質などを総合的に評価可能な超音波診断装置を提供することを、その目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る超音波診断装置は次のように構成される。
【0011】
本発明に係る超音波診断装置は、超音波パルス信号と電気量の信号との間で互いに双方向に変換可能なプローブと、所望の励振周波数の基本波成分を有する電気量の駆動パルス信号を前記プローブに与える送信手段と、前記プローブが前記駆動パルス信号に応じて前記超音波パルス信号を放射するとともに当該超音波パルス信号の反射信号を受信したことに応じて当該プローブから出力される電気量のエコー信号を入力して当該エコー信号に受信処理を施す受信処理手段と、この受信処理手段により受信処理されたエコー信号から前記基本波成分と当該基本波成分に対する非基本波成分とを並行してそれぞれ抽出する抽出手段と、この抽出手段により抽出された前記基本波成分に基づいて組織の形態情報の画像データを得る第1の演算手段と、前記抽出手段により抽出された前記基本波成分に基づいて組織の運動情報の画像データを得る第2の演算手段と、前記抽出手段により抽出された前記非基本波成分に基づいて当該非基本波成分を発生させる組織内の血流情報の画像データを得る第3の演算手段と、前記第1、第2、及び第3の演算手段により演算された前記組織の形態情報、組織の運動情報、および組織内の血流情報の画像データのうちの少なくとも1つの画像データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
好適には、前記送信手段は、前記非基本波成分の信号のレベルを積極的に抑圧して実質的に前記基本波成分を励振周波数とする前記駆動パルス信号を前記プローブに与えるように構成される。また、好適には、前記送信手段は、前記非基本波成分を積極的に抑圧する抑圧手段を備える。この抑圧手段は、例えば、前記駆動パルス信号の基本波成分のみを通過させる送信系フィルタ、前記非基本波成分をカットする送信系ノッチフィルタ、または送信時にのみ共振状態となり前記駆動パルス信号の基本波成分のみを通過させる送信共振回路を有する。
【0014】
また、前記送信手段は、前記抑圧手段を兼ねる送信用のパルサ回路を備え、このパルサ回路はデューティ比50%の前記駆動パルス信号を発生する回路構成を含むように構成してもよいし、前記抑圧手段を兼ねる送信用のパルサ回路を備え、このパルサ回路はA級動作で前記駆動パルス信号を発生する回路構成を含むように構成してもよい。
【0015】
さらに、一例として、前記基本波成分は1つの基本波周波数の信号成分から成り、前記非基本波成分はその基本波成分の高調波成分、分調波成分、および超調波成分の内の少なくとも1つの信号成分から成る。例えば、前記非基本波成分は、前記基本波成分の二次高調波成分である。
【0016】
さらに、前記基本波成分は複数の異なる基本周波数の信号成分から成り、前記非基本波成分は、前記複数の基本波周波数の間または当該基本周波数の高調波成分の周波数の和もしくは差の周波数のうちの少なくとも一つを有する信号成分から成るように構成してもよい。
【0017】
【作用】
本発明に係る超音波診断装置によれば、受信処理手段及び抽出手段を介して並行して得られる基本波成分及び非基本波成分を用いて、組織の形態情報、組織の運動情報、および組織内の血流情報の少なくとも1つの画像データの表示する処理が実行される。このため、心筋内診断には有効で心壁の運動情報も同時に収集することで心筋血流との関係において、心臓の機能評価を総合的に行なえる。
【0018】
このときに、とくに、送信手段からプローブに与えられる駆動パルス信号は、その非基本波成分(2次高調波成分など)のレベルが実質的に且つ積極的に減少され、その殆どが基本波成分のみとなって、プローブに与えられる。この非基本波成分の意図的な抑圧は、例えば、送信時にのみ共振して基本波成分のみを通過させる送信共振回路によって、好適に実施される。
【0019】
このため、超音波造影剤を静脈から注入する超音波コントラストエコー法を実施したとき、超音波造影剤の非線形の超音波ビーム散乱はそのままエコー信号の非基本波成分に反映する。すなわち、被検体に入射させる超音波ビームは実質的に基本波成分のみであるから、エコー信号に含まれる非基本波成分は造影剤の非線形散乱に依存したものとなる。したがって、非基本波成分を画像化することにより、造影剤の流れを把握することができる。このように、予め基本波成分のみに実質的に加工した超音波ビーム信号を入射させるようにしたので、組織エコーの影響が大きい部位に対しても、静脈注入のコントラストエコー法を適用して、例えば心筋分布像による心筋内血流の灌流域の評価を好適に行なうことができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施例)
第1実施例を図1〜図3に基づいて説明する。この第1実施例に係る超音波診断装置は超音波造影剤に含まれる気泡の非線形散乱により生成される2次高調波成分を効率良く検出し、その分布像を2次元表示するコントラストエコー法を実施するものである。
【0022】
図1に示す如く、この超音波診断装置は、被検体との間で超音波信号の送受信を行なう超音波プローブ10と、この超音波プローブ10を駆動するとともに、超音波プローブ10の受信信号を処理する装置本体11からなる。
【0023】
超音波プローブ(以下「プローブ」という)10は、複数の振動子が走査方向に配列されたフェーズド・アレイ・タイプに構成されている。各振動子の受信特性は同一に形成され、振動子を駆動する基本波成分と生体で発生する2次高調波成分を検出可能な、十分に広い信号通過帯域を有している。
【0024】
装置本体11はプローブ10を駆動する送信系、プローブ10からの信号を受信処理する受信・処理系、および処理された画像を表示する表示系の各回路を有している。この他に、操作パネルなどの入力系やECGなどの生体信号の検出系などがあるが、図面では割愛している。
【0025】
送信系は、クロック発生回路20、送信遅延回路21、パルサ回路22および送信共振回路23を備えている。クロック発生回路20は超音波信号の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生する回路であり、送信遅延回路21は送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する回路である。パルサ回路22は各振動子に対応した個別経路(以下、「チャンネル」という)の数分のパルサを内蔵し、遅延が掛けられた送信タイミングで駆動パルスを発生し、プローブ10の各振動子に供給するようになっている。
【0026】
また、送信共振回路23は本発明の特徴の1つに対応する回路であり、生体内の超音波造影剤により発生するエコー信号の2次高調波成分を効率良く検出するために装備されている。すなわち、送信時にパルサが完全なサイン波駆動でない限り、必ず発生する高調波成分を除去する機能を有する。この送信共振回路23は具体的には図2に示すように、ダイオード逆並列回路より成るリミッタ24と、プローブやケーブルなどの容量性インピーダンスと共振し、基本波付近にのみ通過帯域をもつコイル部25とを有する。リミッタ24は印加される信号値があるレベル以上でオン状態になるため、この送信共振回路23は信号レベルが高い送信時にのみ共振状態になり、受信時には非共振状態のままである。リミッタ24及びコイル部25の直列回路は実際にはチャンネル毎に装備されている。
【0027】
さらに、受信・処理系は、プローブ10の出力側に、プリアンプ回路30、受信遅延・加算回路31、バンドパスフィルタ(BPF)32a,32bおよびレシーバ回路33を例えばこの順に備えている。プリアンプ回路30は受信エコーの電力を受信チャンネル毎に増幅し、受信遅延・加算回路31に送る。受信遅延・加算回路31は、受信チャンネル毎の遅延部とこれらの遅延結果を加算する加算部とを有し、受信エコー信号に対する受信フォーカスを実施する。この受信遅延・加算回路31の出力側には、上記基本波用および非線形波用のバンドパスフィルタ32a,32bが並列接続されている。基本波用バンドパスフィルタ32aの通過帯域はエコー信号の基本波成分に合致し、一方、非線形波用のバンドパスフィルタ32bのそれはエコー信号の2次高調波成分に合致している。さらに、レシーバ回路33は基本波成分および2次高調波成分毎に、包絡線検波、ログ圧縮などの処理を行なってBモード像の画像信号を得る受信処理回路である。
【0028】
さらにまた、この受信・処理系はDSC(デジタルスキャンコンバータ)35と、モニタ36とを有する。DSC35は、A/D変換器、マルチプレクサ、フレームメモリ、書込み/読出し回路、D/A変換器などを含み、指令された表示態様に対応した1フレームの画像信号を形成するとともに、その画像信号を標準TV方式で読出し可能になっている。このDSC35から読み出された画像信号はモニタ36に出力され、表示される。
【0029】
続いて、第1実施例の作用効果を説明する。
【0030】
送信時には、送信遅延回路21によって送信フォーカスを掛けられた状態で、チャンネル毎にパルサ回路22から送信共振回路23を介して駆動電圧信号がプローブ10の各振動子に供給される。このとき、送信共振回路23のリミッタ24は駆動電圧信号が所定レベルより高いためキックオンされ、共振部24が共振する。この共振によって、駆動電圧信号の基本波成分のみがこの送信共振回路23を通過してプローブ10の各振動子に供給される。
【0031】
パルサ回路22の完全なサイン波駆動は実際上困難で、通常、その発生した駆動電圧信号に高調波成分を含んでいるが、上記の送信共振回路23により、そのような高調波成分は意図的に遮断され、基本波成分のみの駆動電圧信号によって各振動子が励振される。
【0032】
このようにしてプローブ10の各振動子が励振されると、プローブ10から被検体の心筋などの診断部位に向けて送信フォーカスが掛けられた超音波ビーム信号が送出される。この超音波ビーム信号は、診断部位の各組織および注入されている超音波造影剤(例えば、前述した「アルブネックス注5ml」:販売名)により反射および散乱された超音波エコー信号となる。特に、超音波造影剤は微小な気泡にて構成されており、気泡による強い散乱特性によりエコー信号が増強される。この散乱には非線形特性があり、その非線形特性の散乱によって高調波成分も発生する。この結果、超音波エコー信号には造影剤(気泡)以外の生体組織からエコー成分(基本波成分)と造影剤からのエコー成分(基本波成分およびその高調波成分)が含まれている。
【0033】
この超音波エコー信号は、プローブ10の振動子の各々で受信され、対応する電気信号に変換される。この電気量のエコー信号のパワーは微弱であるから、送信共振回路23の各リミッタ24をキックオンさせることはなく、送信共振回路23は非共振状態のままである。この結果、基本波成分および高調波成分を含むエコー信号は送信共振回路23には何ら関与されずプリアンプ回路30に到達し電力増幅された後、受信遅延・加算回路30で各チャンネル毎に受信遅延され、加算される。これにより、受信フォーカスが掛けられる。この受信エコー信号は基本波用BPF32aおよび非線形波用BPF32bに並行して送られる。基本波用BPF32aでは、エコー信号のうちの基本波成分Sfが抽出され、後段のレシーバ回路33に送られるとともに、非線形波用BPF32aではエコー信号のうちの2次高調波成分S2fのみが抽出され、同様にレシーバ33に送られる。
【0034】
レシーバ回路33に送られた基本波成分Sfのエコー信号は包絡線検波や対数圧縮などの処理を受けて、基本波成分のBモード像(振幅の輝度変調画像)の画像データが生成される。一方、レシーバ回路33に送られた2次高調波成分S2fのエコー信号も同様の処理を受けて、2次高調波成分のBモード像の画像データが生成される。
【0035】
これらの基本波成分および2次高調波成分の各Bモード像の画像データは、その後、DSC35において、指令された表示態様の画像データに変換される。基本波成分によるBモード像IMf(以下、単に「基本波像」という)と2次高調波成分によるBモード像IM2f(以下、単に「2次高調波像」という)の表示態様としては様々なものがあり、コントラストエコー法施行時に例えば基本波像IMf上に2次高調波像IM2fを重畳表示する表示態様の指令がなされる。これに応じてDSC35も両画像データを合成して、モニタ36に供給するから、モニタ36には図3に示す如く、基本波像IMfに2次高調波像IM2fが重畳された画像「IMf+2f」が表示され、生体組織の形態とその中での超音波造影剤の分布を観察することができる。
【0036】
このように、本実施例では、送信共振回路23により基本波成分以外の高調波成分を意図的に(積極的に)カットして実質的に基本波成分のみの状態で超音波ビームを送信しているため、エコー信号に含まれる2次高調波成分は、その殆どが超音波造影剤の非線形の散乱特性に起因したもののみとなる。つまり、送信された基本波成分の超音波信号に対して、造影剤の散乱に因る2次高調波成分のみを選択的に信号処理して画像化できるから、生体減衰や送受信系の帯域を考慮すると、優れた2次高調波成分の利用になる。
【0037】
なお、前記実施例では、抽出する非線形波成分として2次高調波成分の場合を例示したが、本発明は必ずしもそれに限定されない。例えばその他の非線形波成分として、N次高調波成分(N×f:fは基本周波数、Nは正の整数)、N次低調波成分(f/N:fは基本周波数、Nは正の整数)、さらには超調波(M×f/N:fは基本周波数、M,Nは1以外の正の整数)を採用し、それらの周波数成分を前述と同様に非線形波用BPFで選択的に抽出してもよい。また、複数の高調波成分を同時に対象とするために、それを信号抽出/処理系をその複数毎、個別に装備したり、1系統に複数の非線形波成分を分離せずに通したりするという構成としてもよい。
【0038】
また、上記実施例では基本波成分と非線形波成分の信号処理をそれぞれ別々の系統で行なうように構成しているが、プリアンプ回路で受信後、デジタル化し、その後の信号処理系は1系統のみを設け、基本波成分と非線形波成分の信号処理を時分割で行なうようにしてもよい。また、メモリを設け、所望の成分について信号処理することもできる。
【0039】
さらに、上記実施例では、基本波成分と非線形波成分を抽出する2つのBPFを受信遅延・加算回路の後段に挿入させるとしたが、それらのBPFをその他にも例えば、プリアンプの後段などの位置に設けてもよい。但し、上記実施例のように、BPFを受信遅延・加算回路の出力側に設けた方が、フィルタ数が少なくて済むので、装置大形化や製造コストの上昇を回避するためには有利である。
【0040】
さらに、この超音波診断装置に係るプローブは、電子式アレイプローブのみに限定されず、機械走査式プローブであってもよい。
【0041】
さらにまた、上記第1実施例に係る超音波診断装置に対して種々の変形例が可能である。
【0042】
まず図4に、送信共振回路23の変形例を示す。この送信共振回路23はリミッタ24と送受信ラインとの間にオン・オフの電子スイッチSWを挿入し、造影剤の非線形散乱成分を対象とする診断モードのときは電子スイッチSW=オンにし、前記第1実施例と同様の送信時の共振状態を得るとともに、線形散乱成分(基本波成分)を対象とする通常の診断モードのときは、電子スイッチSW=オフに切り換え、送信/受信時共に非共振状態を得るようにしたものである。この電子スイッチSWのオン、オフは、例えば図示しないコントローラからの制御信号に付勢して切り換えられる。このように構成し機能させることで、通常モードでは送信共振回路23を回路から切り離すことができ、機能の充実を図ることができる。
【0043】
さらにまた、上記第1実施例ではRF(高周波)信号のままビームフォーミング(整相加算)を行なう構成になっているが、信号帯域を中間周波数にシフトした後、ビームフォーミングを行なう受信系も可能で、その変形例を図5および図6に示す。図5に示す受信系は、プリアンプ回路30と受信遅延・加算回路31の間に、参照信号発生器40から参照周波数frの参照信号が供給されるミキサ回路41と、中間周波数にシフトした信号より基本波成分および非線形成分を抽出するBPF32a,32bとで構成されている。また図6に示す変形例に係る受信系は図5のものと同等の機能のほか、参照信号発生器40*はその参照信号の参照周波数frを、基本波用fr=fr(1)と非線形波用fr=fr(2)とに変更可能になっている。これにより、ミキサ回路41に与える参照信号の周波数を基本波成分検出時と非線形波成分検出時とで変えることができ、1系統の受信回路で両成分の検出を行なえるようにしたものである。この参照周波数frの変更は、同一チャンネルに対して時分割で行なってもよいし、受信チャンネル群を基本波成分検出用と非線形波成分検出用にグループ分けしたチャンネル毎に行なうようにしてもよい。
【0044】
さらにまた、上記第1実施例では送信パルサ回路22で発生する高調波成分を低減させる構成になっていたが、これに対応する変形例を図7および図8に示す。図7に係る変形例では第1実施例のパルサ回路22に代えて、サイン波駆動可能なsin波駆動パルサ回路43を備えている。このパルサ回路43は具体的には、例えば2次高調波成分を低減させる場合、デューティ比50%の矩形波駆動できるパルサやA級動作可能なパルサをチャンネル分備えた回路構成で実現される。これにより、前述したような送信共振回路を用いずとも、高調波成分を低減させることができ、装置の簡素化、小形化に寄与する。
【0045】
一方、図8に示す変形例に係る超音波診断装置は、パルサ回路22およびプローブ10間の送信回路に、送信時における基本波成分以外の高調波成分、分調波成分などを除去する送信系フィルタ回路44を挿入し、送信共振回路を外したものである。これによっても、送信共振回路を装備した場合に比べて回路がある程度大きくなるものの、送信時の高調波成分を所望レベルまで低減できる。
【0046】
(第2実施例)
次に、第2実施例を図9に基づいて説明する。なお、この第2実施例以降の実施例において、前述した第1実施例と同一または同等の構成要素には同一符号を用いてその説明を省略または簡素化する。
【0047】
図9に示す超音波診断装置は複数の振動子101・・・10n(nは正の偶数)を配列させたフェーズド・アレイ・タイプのプローブ10を備え、振動子101・・・10nの各々には、扱う信号の基本波成分の周波数帯域とその2次高調波成分の周波数帯域の両方に十分な送・受信感度を持たせている。このプローブ10の振動子群は、基本波成分の送受信用の振動子グループAと2次高調波成分の受信用の振動子グループBとに、その機能上、分けられている。この分け方の一例として、図示の如く、奇数番目の振動子を振動子グループAに、偶数番目の振動子を振動子グループBに各々割り当てている。
【0048】
振動子グループAの振動子101、103、・・・、10n−1には、第1実施例と同様に形成され機能する送信共振回路23が接続されている。この送信共振回路23は、クロック発生回路20、送信遅延回路21、及びパルサ回路22と共に送信系を成す。
【0049】
さらに、送信共振回路23には、パルサ回路22と並列に、基本波成分用の受信・処理系を成すプリアンプ回路30a、受信遅延・加算回路31a、基本波用BPF32a、及びレシーバ33回路が接続されている。一方、振動子グループBの振動子102、104、・・・10nには、非線形波成分用の受信・処理系を成すプリアンプ30b、受信遅延・加算回路31b、非線形波成分用BPF32b、及びレシーバ回路33が接続されている。このレシーバ回路33の出力側は、表示系を成すDSC35及びモニタ36に接続されている。
【0050】
この第2実施例の作用効果を説明する。送信系の各回路により振動子グループAの振動子101、103、・・・10n−1が励振され、超音波ビーム信号が被検体内に送波される。このとき、パルサ回路22の各パルサが完全なサイン波駆動ではないことに因り高調波成分を含む振動信号を出力する場合でも、その高調波成分が送信共振回路23によって的確に除去され、殆が基本波成分から成る駆動信号がチャンネル毎に振動子グループAの各振動子に供給されるから、被検体内に送波される超音波ビーム信号はその殆が基本波成分から成る。この超音波ビーム信号は被検体内の組織や超音波造影剤により反射・散乱され、第1実施例の場合と同様にプローブ10の全振動子により受信され、対応する電気量のエコー信号に変換される。
【0051】
この内、振動子グループAの振動子101、103、・・・10n−1から出力された、基本波成分及び2次高調波成分を含むエコー信号は、非共振状態の送信共振回路23を通り、一方のプリアンプ回路30aの奇数チャンネル毎のプリアンプで増幅される。この増幅されたエコー信号は、受信遅延・加算回路31aでチャンネル毎に受信遅延された後、加算されることで、受信フォーカスが掛けられる。この遅延・加算されたエコー信号は基本波成分用のBPF32aにより基本波成分Sfのみが抽出され、レシーバ回路33に送られる。
【0052】
これに対し、振動子グループBの振動子102、104、・・・10nから出力された、基本波成分及び2次高調波成分を含むエコー信号は、もう一方のプリアンプ回路30bで増幅された後、もう一方の受信遅延・加算回路31bで同様に受信フォーカスが掛けられる。このエコー信号はさらに非線形波成分用のバンドパスフィルタ32bに送られ、2次高調波成分S2fが抽出され、この成分S2fもレシーバ回路33に出力される。
【0053】
レシーバ回路33に送られた基本波成分Sfのエコー信号及び2次高調波成分S2fのエコー信号は、各々、包絡線検波や対数圧縮の処理に付され、Bモード像の画像信号に変換され、DSC35に送られる。このため、モニタ36により、第1実施例の場合と同様に、所望の表示態様に係る基本波像IMf及び2次高調波像IM2fの画像(例えば、それらの重量像)が表示される。
【0054】
したがって、この第2実施例によっても第1実施例の場合と同等の効果が得られるほか、とくにプローブ10の振動子群を、送受信用の振動子グループAと受信専用の振動子グループBとに分けたことから送信共振回路等に送信時のみONする回路構成を必要としない。したがって、直列共振等の機構を簡単に実現できるという利点がある。なお、この「送信時のみONする回路構成」の例は後述する図31で説明する。
【0055】
なお、基本波成分抽出及び2次高調波成分抽出のためのバンドパスフィルタ32a、32bは、上述した挿入位置に限定されるものではなく、プリアンプ回路30a、30bの出力段など、他の位置であってもよい。また、前述した図8の場合と同様に、送信共振回路23に代えて、送信共振フィルタ回路(図8の符号44参照)を設け、このフィルタ回路23を受信時にも動作状態とさせておくようにしてもよい。
【0056】
さらに、この第2実施例に係る一変形例を図10及び図11に示す。図10に示す超音波診断装置のフェーズド・アイレ・タイプのプローブ10は、第2実施例(図9)と同一に振動子グループA及びBに分けられている。そして、振動子グループAの振動子101、103、・・・10n−1の各々は、基本波成分fのみに応答するように、その周波数帯域が設定されている(図11(a)参照)。振動子グループBの振動子102、104、・・・10nの各々は、2次高調波成分「2・f」のみに応答するように、その周波数帯域が設定されている(図11(b)参照)。これらの周波数帯域は、例えば、振動子の共振周波数をグループ毎に変えることで設定される。
【0057】
このようにプローブ10を形成することで、振動子グループAを介して基本波成分のみの超音波信号の送受が行われ、この振動子グループAに接続されたプリアンプ回路30a及び受信遅延・加算回路31aから直接、基本波成分Sfのみのエコー信号が得られる。同様に振動子グループBを介して超音波造影剤の非線形の散乱によって生じた非線形波成分の内の2次高調波成分S2fのみのエコー信号が受信され、この振動子グループBに接続されたプリアンプ回路30b及び受信遅延・加算回路31bから直接、2次高調波成分S2fのエコー信号が得られる。従って、第2実施例で用いた送信共振回路23及び受信時のバンドパスフィルタ32a、32bを設ける必要が無く、回路構成が簡単になり、これによっても第2実施例のものと同等の作用効果が得られる。また、バンドパスフィルタも設置した場合は、よりS/N比の高い2次高調波の検出ができる。
【0058】
さらに、上記図10記載の変形例には種々の回路構成が付加されている。
【0059】
その第1は、非基本波成分の信号強度は基本波成分のそれよりも小さいことを考慮したものである。基本波成分系および非基本波成分系の各プリアンプ回路30a,30bはそのプリアンプゲインが可変になっており、そのゲイン設定のための信号がゲイン設定器30Sから供給されるようになっている、ゲイン設定器30Sは、基本波成分系のプリアンプ回路30aよりも非基本波成分系のプリアンプ回路30bのゲインを高く設定する。これにより、基本波成分および非基本波成分の信号強度を同一またはほぼ同一に調整することができ、両者間のS/N比のアンバランスを解消できる。
【0060】
第2は、超音波ビーム信号が被検体内に入射したとき、被検体内での深さに応じて超音波信号の減衰が変わることへの配慮である。具体的には駆動電圧制御回路22Sがパルサ回路22に接続されている。この駆動電圧制御回路22Sは、図示しないコントローラから送信フォーカス位置情報を入力し、その送信フォーカス位置が被検体表面から深くなるに連れてパルサ回路22の駆動電圧を例えば多段階でステップ状に上げる。
【0061】
これにより、フォーカス位置が深くなっても送信音圧はほぼ一定に保たれるので、深さ位置に拘らず、同等の血流状態であればほぼ同一の輝度の組織画像が得られる。
【0062】
第3は、画像(断層)内の位置に拠る各種条件の不均一性を受信処理側で対処するようにしたものである。これを行なうため、受信処理系のDSC35にはデータテーブル35Sが接続されている。このデータテーブル35Sには、断層内の送信音圧,超音波ビーム幅,スキャンモード,対象組織の特異性など、画像内の位置によって変わる各種条件についての「位置−補正係数」の対応データが予め格納されている。そこで、DSC35は、非基本波成分に基づく画像を生成するとき、データテーブル35Sを参照して対応する補正係数を断層内の位置毎に読み出し、非基本波成分のエコーレベルを読み出した補正係数で補正しながら画像データを生成する。この結果、断層面内の位置によって画質が変わってしまうという事態を的確に回避できる。
【0063】
すなわち、この第2,第3の回路構成に係る制御または補正によって、超音波造影剤の静脈注入による超音波コントラストエコー法適用時に、断層像内で造影剤の分布が均一ならば、同一輝度または同一色彩の画像が得られる。
【0064】
なお、上記データテーブル35Sを使った補正は、必ずしもDSC35で行なう回路構成に限定されない。例えば、読み出した補正係数でプリアンプ回路30bのゲインをチャンネル毎に調整してもよいし、レシーバ回路33のゲインを変えるようにしてもよい。
【0065】
さらに、上記データテーブル35Sによる受信処理側の補正と前述した駆動電圧制御回路22Sによる送信音圧の補正とを併用してもよい。
【0066】
一方、上記第2実施例及びその変形例に対して、第1実施例で述べたと同一の様々な変形が可能である(例えば図4〜図8参照)。また、非線形波成分として2次高調波成分を例示したが、その他の高調波成分、又は低調波成分、超調波成分を対象として画像化するようにしてもよい。
【0067】
(第3実施例)
続いて第3実施例を図12に基づき説明する。同図に示す超音波診断装置は前述した図9(第2実施例)と同一に形成したプローブ10を備えている。つまり、プローブ10の各振動子は基本波帯域と2次高調波帯域の両方に十分な感度を有し、振動子グループA及びBに機能上、分けられるとともに、本実施例では振動子グループAが送信用に、振動子グループBが受信用に割り当てられている。
【0068】
振動子グループAの振動子101、103、・・・10n−1には図示のごとく、クロック発生回路20、送信遅延回路21、パルサ回路22、及び送信共振回路23がこの順に直列に接続されている。一方、振動子グループBの振動子102、104、・・・10nはプリアンプ回路30を介して受信遅延・加算回路31に接続されると共に、この回路31の出力側は基本波用及び非線形波用のバンドパスフィルタ32a、32bを並列に介してレシーバ回路33、DSC35、及びモニタ36へと至る。
【0069】
続いて、この第3実施例の作用効果を説明する。振動子グループAの各振動子は、パルサ回路22からの奇数チャンネル毎の駆動信号を送信共振回路23を通過させることで、高調波成分が殆ど除去されて基本波成分を主体とした駆動信号により励振される。この結果、被検体内には殆が基本波のみから成る超音波ビーム信号が送波される。
【0070】
これに対し、被検体内で反射・散乱された超音波信号に対応して、基本波成分及び2次高調波成分を含むエコー信号が振動子グループBの各振動子から出力される。このエコー信号はプリアンプ回路30で増幅され、受信遅延・加算回路31で受信フォーカス処理された後、両方のBPF32a、32bに供給される。この結果、一方の基本波用のBPF32aにより基本波成分Sfが抽出され、もう一方の非線形波用のBPF32bにより2次高調波成分S2fが抽出される。この両方の成分はレシーバ回路33にて前述と同様に信号処理されて、各々のBモード像用の画像信号に変換される。この基本波用及び2次高調波用の画像信号に基づいてモニタ36にBモードの基本波像及び2次高調波像が表示される。
【0071】
この結果、前述した各実施例と同等の効果が得られるとともに、図9の構成(第2実施例)に比べてプリアンプ回路及び受信遅延・加算回路の組を1組に減らすことができる。
【0072】
この第3実施例の一変形例を図13、14に示す。図13に示す超音波診断装置はフェーズド・アレイ・タイプのプローブ10を備え、このプローブ10の振動子群は第3実施例と同様に振動子グループA及びBに、機能上、分けられている。この内、振動子厚を変えること等の手法を用いて、振動子グループAの振動子101、103、・・・10n−1は基本波成分fのみに応答するように(図14(a)参照)、周波数帯域が設定されているのに対し、振動子グループBの振動子102、104、・・・10nは基本波成分f及び2次高調波成分「2・f」に応答するように(図14(b)又は(c)参照)、その周波数帯域が設定されている。そして、振動子グループAの各振動子には図示の如く、クロック発生回路20、送信遅延回路21、パルサ回路22が接続され、振動子グループBの各振動子の出力側にはプリアンプ回路30、受信遅延・加算回路31、基本波用及び非線形波用のBPF32a及び32b、レシーバ回路33、DSC35、及びモニタ36が設けられている。これによって、第3実施例(図12)と同等の作用効果を得ることができるとともに、図12のものに比べて、送信共振回路23が不要になる。
【0073】
なお、上記第3実施例及びその変形例に対しても、第1実施例におけるのと同様な変形がさらに可能である(例えば図4〜図8参照)。また、非線形波成分として2次高調波成分を例示したが、その他の高調波成分、又は低調波成分、超調波成分を画像化の対象としてもよい。
【0074】
(第4実施例)
第4実施例を、図15を参照して説明する。同図に示す超音波診断装置は前述した図9(第2実施例)と同一に形成したプローブ10を備えている。つまり、プローブ10の各振動子は基本波帯域と2次高調波帯域の両方に十分な感度を有し、振動子グループA及びBに機能上、分けられるとともに、本実施例では振動子グループAが送受信用に、振動子グループA及びBが受信用に割り当てられている。
【0075】
振動子グループAの振動子101、103、・・・10n−1には図示の如く、クロック発生回路20、送信遅延回路21、パルサ回路22、及び送信共振回路23がこの順に直列に接続されている。一方、振動子グループBの振動子と、送信共振回路23及びパルサ回路22間の振動子グループAとに相当する各チャンネルはプリアンプ回路30のプリアンプを個別に介して受信遅延・加算回路31の遅延部に個別に接続されると共に、この回路31の出力側は基本波用及び非線形波用のバンドパスフィルタ32a、32bを並列に介してレシーバ回路33、DSC35、及びモニタ36へと至る。
【0076】
続いて、この第4実施例の作用効果を説明する。振動子グループAの各振動子は、パルサ回路22からのチャンネル毎の駆動信号を、送信共振回路23を通過させることで、高調波成分が殆ど除去され基本波成分を主体とした駆動信号により励振される。この結果、被検体内には殆どが基本波のみから成る超音波ビーム信号が送波される。
【0077】
これに対し、被検体内で反射・散乱された超音波信号に対応して、基本波成分及び2次高調波成分を含むエコー信号が振動子グループA及びBの各振動子から出力される。このエコー信号は両グループA及びB共にプリアンプ回路30で増幅され、受信遅延・加算回路31で受信フォーカス処理された後、両方のBPF32a、32bに供給される。この結果、一方の基本波用のBPF32aにより基本波成分Sfが抽出され、もう一方の非線形波用のBPF32bにより2次高調波成分S2fが抽出される。この両方の成分はレシーバ回路33にて前述と同様に信号処理されて、各々のBモード像用の画像信号に変換される。この基本波用及び2次高調波用の画像信号に基づいてモニタ36にBモードの基本波像IMf及び2次高調波像IM2fが表示される。
【0078】
この結果、前述した各実施例と同等の効果が得られるとともに、図12、13の構成(第3実施例及びその変形例)に比べて受信対象の振動子数が多い(振動子グループA及びB共に受信に関与するから2倍)から、より高レベルのエコー信号が得られ、S/N比の点で有利となる。
【0079】
(第5実施例)
第5実施例を、図16、17を参照して説明する。この第5実施例は、超音波造影剤を用いたコントラストエコー法を実施するに際しての、造影剤注入の作業性向上及び注入後の画像認識の利便性向上を図ったものである。
【0080】
図16に示す超音波診断装置は、第1実施例(図1参照)で説明したと同一のプローブ10及び装置本体11を有する一方で、オペレータが操作する入力器50、予め格納してある手順(図17参照)に従って処理を行うマネージャ51、並びにこのマネージャ51の指令を受けて動作するイメージメモリ回路52及びスピーカ53を有する。この内、入力器50はキーボード、トラックボール、マウス、及び音声入力器の内の一つまたは複数から成り、この入力器50を使ってコントラストエコー法施行のスケジュール(例えば、造影剤注入時刻など)のデータがマネージャ51に入力される。この入力器50としては、その他に、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CDーROM、DAT(ダットテープ)、MT(マグネティックテープ)などの記憶媒体を使うようにすることもできる。また、イメージメモリ回路52はDSC35で変換された、例えば基本波像と2次高調波像との重畳像の画像データを逐次格納する。DSC35は、画像データを表示用に変換するとともに、マネージャ51から指示された文字データを合成してモニタ36に出力する。
【0081】
さらに、マネージャ51は専用のCPUおよび内部メモリ入出力インターフェイスなどのコンピュータ構成を有し、図17(A)の処理を行う。
【0082】
すなわち、最初に、コントラストエコー法試行の条件(画質条件,TDC(Time-Density-Curve)の測定条件(ROI,測定時間間隔),ECG同期条件など)およびコントラストエコー法試行のスケジュール(造影剤注入(予定)時刻,他の薬剤を併用する場合はその量やタイミングのデータ)を各々、フロッピーディスクなどから入力する(ステップ60)。
【0083】
次いで、計時を開始するとともに、モニタ36の画面に計時時間の表示を開始させる(ステップ61)。これが済むと造影剤の注入前に、必要なデータの収集を開始する(ステップ62)。このデータとしては、造影剤注入前の画像および輝度データ,所望のタイミングおよび時間間隔での画像データ,所望のタイミングおよび時間間隔でのROIの輝度データなどである。また、これらのデータをMOやワークステーションへ転送する。
【0084】
そして、予定していた注入時刻に達すると、スピーカ53を介して音声で造影剤注入タイミングを指示させる(ステップ63)。
【0085】
この後、注入後のデータを前述と同様に収集しながら(ステップ64)、所定の時刻になると他の薬剤の注入を音声などにより指示し(ステップ65)、薬剤注入後のデータを収集する(ステップ66)。そして、予め定めたスケジュールの終了時刻に達すると、画像データの収集,ROIの輝度データの収集,MOやワークステーションへのデータ転送,および計時を終了させる(ステップ67)。
【0086】
なお、マネージャ51に実行させる処理は図17(B)で示すように構成することもできる。これは造影剤注入のタイミングをオペレータが音声で指示できるようにしたものである。同図(A)と同一の処理については同一のステップNo.を付す。
【0087】
最初に図17(A)のステップ60と同様にデータを入力するが(ステップ60a)、このデータの中に「造影剤注入(予定)時刻」は含まれていない。このステップでのデータ入力が済むと、注入前のデータ(注入前の画像,ROIの輝度データ)を収集開始させるとともに、MOやワークステーションへのデータ転送を開始させる(ステップ60b)。
【0088】
次いで、オペレータが任意の適宜な時刻で入力器50のマイクから造影剤の注入(タイミング)を指令する(ステップ60c)。これに伴って、計時も開始される。
【0089】
そして、この造影剤注入後に、所望のタイミングおよび時間間隔で画像を収集開始させるとともに、所望のタイミングおよび時間間隔でROIの輝度データを収集開始させる。
【0090】
この後、図17(A)と同様に処理する(ステップ65〜67)。
【0091】
以上のように構成し機能させることで、超音波造影剤を用いたコントラストエコー法を実施する場合、オペレータやドクタが造影剤の注入タイミングを的確に知覚することができるとともに、その注入タイミングに同期し、その後の経過時間を含んだ画像データを自動的に得ることができ、後々の画像処理や画像読影が容易になる。
【0092】
なお、この第5実施例において、ECGデータを取り込んで、造影剤注入後の所望の時刻における所望の心時相の画像を自動で収集するように制御しても良い。また、マネージャは必ずしも専用CPUを搭載する構成に限定されることなく、この診断装置に固有のCPUを兼用するようにしてもよい。
【0093】
さらに、本実施例の変形例として、図16に示す如く、制御回路54および演算回路55を付加した構成の装置がある。制御回路54はECG信号を入力して、このECG信号に同期してデータ収集を行なうべく、収集タイミングを指令する同期信号を送信系および受信・処理例に出力する。その一方で制御回路54は、オペレータなどから出される信号を入力し、画像処理開始の指令信号を演算回路55に出力する。演算回路55は指令信号を受けると、ECG同期によってイメージメモリ回路52に記憶された複数フレームの断層像データについて、各画像間でのサブトラクションや最大値ホールドの演算を画像間の画素同士で行い、画像間の変化を示す画像がDSC35を介してモニタ36に表示される。これにより、例えば二次高調波像の画像間の変化の様子を視覚的に容易に把握することができる。
【0094】
なお、サブトラクションを演算する場合は、造影剤を注入する前の参照画像IMref(図20参照)に対して引き算をすることが特に望ましい。
【0095】
さらに、図16の構成に係る超音波診断装置を超音波ストレスエコー法と併用することができる。すなわち、超音波造影剤を静脈注入することによる超音波コントラストエコー法を、薬物負荷の前後に実施するのである。このためには、制御回路54は薬物負荷の前後における同一時相および断面の非基本波成分S2fに係る断層像データをイメージメモリ回路52に記憶させる。そして、演算回路55に負荷前後における画像間の画素同士のサブトラクションなど所望の演算を行なわせ、その演算結果の画像をDSC35を介してモニタ36に表示させる。これにより、負荷の前後で血行が無くなる心筋部位を明瞭に観察できる。
【0096】
(第6実施例)
第6実施例を図16(第5実施例と兼用)及び図18〜20に基づいて説明する。この第6実施例は心筋にコントラストエコー法を適用する場合であって、とくに心筋分布像を得る場合に好適な超音波診断装置に関する。詳しくは、心筋分布像を得る場合、心腔内の造影剤による輝度増強が心筋のそれよりも著しく大きいことから、心筋の造影剤による輝度増強の同定が妨げられる可能性があり、そのような事態に至ると、心筋の分布像の輝度が正確に識別できない恐れがある。
【0097】
このような事態に至るのを防ぐために、この実施例の超音波診断装置は図16に示す構成を備える一方で、マネージャ51に図18に示す処理を、またDSC35に図19に示す処理を実行させるようにしている。
【0098】
図18を説明すると、心筋の分布像をコントラストエコー法で表示させる場合、マネージャ51はまず造影剤を注入する時刻t0前の適宜なタイミングt0-1において(図20参照)、図示しない装置のコントローラなどに心筋のBモードの参照画像の撮影を指示する(ステップ70、71)。この撮影によって参照画像IMrefが図20に示す如く得られ、この画像IMrefがモニタ36に表示されるとともに、その画像データがイメージメモリ回路52のイメージメモリに記憶される。
【0099】
次いで、参照画像IMrefを使って心腔領域を手動又は自動で同定する(ステップ72)。手動の場合は、オペレータがモニタ36に表示された参照画像IMref上の心腔領域の輪郭を入力器50を操作してトレースすることで同定される。自動の場合は、例えばBモード像(参照画像IMref)の輝度レベルを所望のしきい値で弁別することで同定できる。この結果、心腔領域HSPが例えば図20のように決まる(心腔領域像IMHSP参照)。
【0100】
そこで、この心腔領域像IMHSPからマスク像を作成し、そのデータをイメージメモリ回路52に記憶させる(ステップ73)。
【0101】
さらに、図19の処理はDSC35によって造影剤注入時刻t0以降、フレーム毎に実施される。まず、1フレームの画像データ(例えば、基本波像と2次高調波像との重畳画像のデータ)が生成されると、ピクセル毎に、マスク像(心腔領域像IMHSP)の対応するピクセルの画素値を参照する(ステップ75)。このマスク像の対応ピクセルの画素値=零のときは表示ピクセルであると認識し、何もせずに次のピクセルのチェックに移行する(ステップ76、78)。しかし、マスク像の対応ピクセルの画素値≠零のときは、そのピクセルが非表示ピクセルであると認識し、その画素データを零にする(ステップ77)。
【0102】
この結果、造影剤の注入後は、その後の時間経過に伴って造影剤の広がり及びその強度(輝度)が変化し、心腔HSPがマスクされた心筋HMの画像(例えば、図20のIM1〜IM3参照)が刻々形成され表示されることになる。したがって、心筋分布像を得る場合、心腔領域は表示されず、心筋領域の輝度変化のみがリアルタイムに表示され、心筋の造影剤による輝度増強が的確に行える。
【0103】
なお、図20の輝度曲線は、造影剤による輝度増強を分かり易く示すために、心筋の一部分の平均輝度値の変化の様子を全体像の代表値として示している。
【0104】
(第7実施例)
第7実施例を、図21を参照して説明する。この第7実施例も第6実施例と同様に、心筋にコントラストエコー法を施行する場合、心腔内の造影剤による輝度増強が心筋のそれより著しく強いことに伴う表示への影響を改善しようとするもので、第6実施例のときと同様に、心腔領域を非表示領域にし、心筋領域の輝度変化のみを表示する。第6実施例と相違するのは、心腔領域を同定する手法にあり、基本波成分と非線形波成分とのレベル差あるいはレベル比に着目している。
【0105】
この実施例に係る超音波診断装置は図21に示すように、第1実施例に係る図1と同一の構成を含むとともに、レシーバ回路33とDSC35の間に、心腔域同定回路80及び心腔域表示制御回路81を設けている。
【0106】
ここで、レシーバ回路33から得られる基本波成分SfのエコーレベルをP1、非線形波成分SNLのエコーレベルをP2とする。静脈注入によるコントラストエコー法の場合、心腔領域では基本波成分及び非線形波成分の発生は共に心腔内の造影剤に起因するのに対し、心筋領域では基本波成分は主に心筋組織に起因して発生し、非線形波成分は心筋内の造影剤に起因して発生する。この状態が起こるとき、
【外1】
(P1(心腔)/P2(心腔))<(P1(心筋)/P2(心筋))
となることが考えられるから、適当なしきい値Kを導入し、
【数1】
(P1/P2)<K
となるピクセル領域を心腔領域(又は非心筋領域)と定義することができる。
【0107】
そこで、前記心腔域同定回路80は、ピクセル毎に、レシーバ回路33の出力信号のレベルP1、P2を比較して、「P1/P2」がしきい値Kよりも小さい領域を心腔領域のピクセルとして自動的に同定する。この同定結果(すなわち、“(P1/P2)<K”か否か)に基づいて心腔域表示制御回路81はDSC35に画像データの各ピクセルの表示/非表示情報を送る。DSC35は、その表示/非表示情報に応じてフレーム画像データの各ピクセルをマスク(非表示)する。この結果、第6実施例の場合と同様に、心腔領域を表示しない心筋分布像が得られ、心筋の造影剤による輝度増強の変化を容易に且つ精度良く画像上で同定できる。
【0108】
なお、上記心腔域同定回路80で用いられる論理式は上述したものに限定されることなく、診断対象の状態に応じて変更できる。当然にしきい値Kも適宜選択するようにしてよい。
【0109】
なおまた、上記第6及び第7実施例では診断対象を心筋とする場合について説明したが、これ以外にも、例えば大血管系であってもよく、その血管壁と血管内部との間の同様の表示/非表示制御に適用してもよい。
【0110】
(第8実施例)
第8実施例を図22及び図23を参照して説明する。この実施例は、異なる周波数の複数の超音波ビームを同時に生体内に送信し、これに基づくコントラストエコー法を実施する超音波診断装置に関する。すなわち、異なる周波数(基本波成分f1、f2、f3・・・)の複数の超音波ビームを同時に生体内に送信する送信系と、生体内にて生成される、それらの基本周波数間並びにそれらの基本周波数の高調波成分間の和の周波数成分(f1+f2、f2+f3、……、Nf1+Mf3、……;M、Nは整数)及び差の周波数成分(f1−f2、f2−f3、・・・、Nf1−Mf3、・・・;M、Nは整数)の内の少なくとも1成分以上を含む周波数帯域のエコー信号を受信し信号処理できる受信・処理系と、基本波成分及び非基本波成分のコントラスト像を表示できる表示系とを備えたものであり、生体内の造影剤の非線形散乱に拠る送信周波数成分の和又は差周波数を検出し、これに基づいて生体内に超音波造影剤の分布を映像化するものである。
【0111】
これの具体例を示す図22の超音波診断装置は、2周波数成分(f1、f2)の同時駆動を行い、その差周波数成分(f1−f2)を映像化しようとするものである。
【0112】
この超音波診断装置に備えたプローブ10は前述と同様に振動子グループA及びBに機能上振り分けられ、この内、振動子グループAの振動子群を第1基本波成分f1の送信用に、また振動子グループBの振動子群を第2基本波成分f2の送信用に各々当てている。プローブ10の全振動子は、基本波帯域(f1、f2)とその差周波数帯域(f1−f2)の両方に十分な送受信感度を持たせている。
【0113】
送信系としては図示の如く、クロック発生回路20及び送信フォーカス用の送信遅延回路21が設けられ、この送信遅延回路21の出力側に、第1のパルサ回路22a及び第1の送信共振回路23aの直列回路と第2のパルサ回路22b及び第2の送信共振回路23bの直列回路とが併設されている。この内、第1のパルサ回路22aの各パルサは第1基本波成分f1を中心周波数にもつ駆動パルスを発生し、第2のパルサ回路22bの各パルサは第2基本波成分f2を中心周波数にもつ駆動パルスを発生する。そして、第1の送信共振回路23aは第1基本波成分f1を中心周波数とする設定帯域に共振可能で、振動子グループAの各振動子に接続されている。第2の送信共振回路23bは第2基本波成分f2を中心周波数とする設定帯域に共振可能で、振動子グループBの各振動子に接続されている。これらの送信共振回路23a、23bは、各々、前述したと同様に機能するので、パルサが完全なSin波駆動ではなくて駆動パルスの高調波成分が含まれていたとしても、それらの高調波成分は除去され、第1、第2基本波成分f1、f2からなる駆動パルスが各々、振動子グループA、Bに供給される。
【0114】
上記第1,第2の送信共振回路23a、23bのパルサ側端は、全チャンネル分のプリアンプを搭載したプリアンプ回路30を介して受信遅延・加算回路31に接続されている。この回路31の出力端は、第1基本波成分f1を抽出する基本波用BPF32aと差周波数成分「f1−f2」を抽出する差周波用のBPF32bとを並列に介して、レシーバ回路33に接続されている。このレシーバ回路33の出力側にはDSC35、モニタ36が順次設けられている。
【0115】
このため、プローブ10により受信された基本波成分(f1、f2)および差周波数成分「f1−f2」を含むエコー信号は、非共振状態の送信共振回路23a、23bを経てプリアンプ回路30に送られる。このプリアンプ回路30でチャンネル毎に増幅されたエコー信号は、受信遅延・加算回路31で受信フォーカスが掛けられる。この受信処理がなされたエコー信号の中から、基本波用BPF32aにより一方の基本波成分f1のエコー信号Sf1が抽出され、差周波数用BPF32bにより差周波数成分「f1−f2」のエコー信号Sf1−f2が抽出され、各々がレシーバ回路33に送られ、包絡線検波や対数圧縮の処理に付される。この結果、一方の基本波成分f1及び差周波数成分「f1−f2」のエコー信号Sf1、Sf1−f2に基づくBモード像の画像データが個別につくられ、これらがDSC35を介してモニタ36に送られて分割像或いは重畳像として表示される。
【0116】
したがって、本実施例によっても第1〜第4実施例と同等の効果が得られるほか、差周波数成分に基づくBモード像を映像化するため、2次高調波は、送信時に発生し易いが、差周波数成分が発生することはない。したがって、2次高調波を利用するよりS/N比良く検出できる可能性があるという特別の利点もある。
【0117】
なお、この第8実施例では超音波ビームの同時駆動数を「2周波」としたが、「3周波」以上であってもよい。また、基本波像を形成する基本波成分としては上述していないもう一方の第2基本波成分f2を用いるようにしてもよい。さらに、基本波像とペアを成す、造影剤の散乱に基づく画像は和周波数成分を使って生成するようにしてもよい。さらに、この実施例において、第1実施例同様に送受信系に対して種々の変形が可能である。
【0118】
さらに、複数の周波数の超音波ビームを同時に送信する構成に対しては、複数の周波数成分が線形加算された時間波形を送信できる送信器、シンセサイザー等を備えることもできる。
【0119】
(第9実施例)
第9実施例を図24に基づいて説明する。この実施例に係る超音波診断装置も第8実施例と同様に、生体内で発生した、送信ビーム信号の周波数成分間の和または差の周波数成分を検出・表示することにより、生体内の造影剤の分布の映像化を目的にしている。
【0120】
この超音波診断装置に用いるプローブ10は複合型プローブであって、フェーズド・アレイ・プローブ10aとシングルプローブ10bとを備えている。フェーズド・アレイ・プローブ10aは、2つの基本波成分f1、f2の内の一方f1の送受信及びそれらの差周波数成分「f1−f2」の受信を担っており、「f1−f2」〜f1の周波数帯域に十分な超音波送受信感度を有している(図23(a)または(b)参照)。これに対し、シングルプローブ10bはもう一方の基本波成分f2の送信専用であり、その基本波成分f2の帯域に十分な送信感度を持たせている。
【0121】
また、第8実施例と同様に、送信系には第1、第2のパルサ回路22a、22bが設けられ、第1基本波成分f1の駆動パルスを出力する第1のパルサ回路22aがフェーズド・アレイ・プローブ10aにチャンネル毎に接続されるとともに、第2基本波成分f2の駆動パルスを出力する第2のパルサ回路22bがシングルプローブ10bに接続されている。また、フェーズド・アレイ・プローブ10aには受信・処理系のプリアンプ回路30が接続され、これ以降は、第8実施例と同一に信号処理される。フェーズド・アレイ・プローブ10aとシングルプローブ10bから個々に放射される2つの超音波ビーム信号は、所望の診断部位の位置で交差するようにビーム方向、位置が設定されるとともに、その交差領域を示す画像がモニタ36に表示されるようになっている。
【0122】
この結果、上記交差領域、すなわち診断部位に受信フォーカスされるように受信遅延・加算回路31により遅延加算処理することで、第8実施例と同様に、第1基本波成分f1及び差周波数成分「f1−f2」のエコー信号に基づくBモード像が得られる。この実施例では、2つの基本波成分f1、f2の内、第2基本波成分f2をシングルプローブ10bで送信するので、フェーズド・アレイ・プローブは従来用いられているプローブを流用して構成できるという独特の効果がある。
【0123】
なお、上記シングルプローブはビーム方向を機械的に偏向可能な構成であってもよい。また、送信共振回路を第1のパルサ回路及びシングルプローブ間と第2のパルサ回路及びフェーズド・アレイ・プローブ間とに各々介挿させる構成も可能である。
【0124】
(第10実施例)
本発明の第10実施例を、図25を参照して説明する。
【0125】
この第10実施例は受信可能な非線形波成分(高周波,分調波,超音波または和/差周波数)を発する反射エコー源の移動速度の演算および表示に関する。
【0126】
同図に示す超音波診断装置は、第1実施例、すなわち図1と同一の構成に加えて、速度演算部90を受信・処理系に備えている。具体的には、2次高調波成分を抽出する非線形波用BPF32bの出力側が速度演算部90を介してDSC35に至るとともに、基本波用BPF32aの出力側がレシーバ回路33を介してDSC35に至る。速度演算部90は、従来周知のドプラ法または相互相関法などの手法を用いて2次元の運動速度データを演算するようになっている。
【0127】
このため、受信遅延・加算回路31により受信フォーカスが掛けられた基本波成分および非基本波成分を含むエコー信号は、基本波用BPF32aから基本波成分のみのエコー信号Sfとしてレシーバ回路33に送られる。このため、レシーバ回路33から、組織の形態情報としてのBモード像(基本波像)データがDSC35に供給される。これに対して、非基本波用BPF32bからは、全エコー信号の内の2次高調波成分から成るエコー信号S2fが抽出されて速度演算部90に送られる。速度演算部90は例えば特開平6−114059号公報に示す如く構成されており、特に、対象部位の先験的に知られている速度範囲に対応する周波数帯域のみのドプラ信号を抽出するフィルタを備えている。この速度演算部90により、このエコー信号S2fに基づいて、2次高調波成分を発生させるエコー反射源、例えばコントラストエコー法施行時の超音波造影剤(すなわち静脈血流)を含む2次元分布の運動速度データが演算される。この運動速度データはDSC35を介して、前述のBモード像データと共にモニタ36に送られ、例えばBモード像を背景とした速度分布像が表示される。これにより、組織内(例えば心筋内)の血流速度が評価できるという利点がある。
【0128】
なお、スキャン面のBモード像上に設定した関心領域のエコー源の運動速度を同時に演算させ、その時間変化を表示させるようにしてもよい。
【0129】
(第11実施例)
本発明の第11実施例を、図26を参照して説明する。この実施例に係る超音波診断装置は、超音波造影剤によるコントラストエコー法適用時に、基本波成分のエコーレベルに基づく心筋のような組織の形態情報と、非基本波成分のエコーレベルに基づく組織内血流情報とに加え、基本波成分のエコーレベルに基づいて組織(例えば心筋)の運動速度を演算できるようにし、それら三者、すなわち「組織形態情報」,「組織内血流情報」,及び「組織運動速度」を同時に表示できるようにしたものである。
【0130】
これを具体的に説明すると、この超音波診断装置は図1(第1実施例)と同等の構成に加えて、クラッタ除去フィルタ91,血流用速度演算部92,及び組織用速度演算部93を図示の如く備えている。すなわち、基本波用BPF32aの出力端とDSC35の間に、一方のレシーバ回路32a、不要なクラッタ成分を除するクラッタ除去フィルタ91及び血流の運動速度を演算する血流用速度演算部92の直列構成、ならびに心筋などの組織の運動速度を演算する組織用速度演算部93が並設されている。
【0131】
非基本波用BPF32bは、もう一方のレシーバ回路32bを介してDSC35に至る。
【0132】
この内、組織用速度演算部93としては例えば特開平5−84246号で開示された構成のものが知られている。すなわち、受信フォーカスが掛けられたエコー信号を位相検波部でドプラ周波数について位相検波し、この位相検波信号からフィルタ部のLPFにより血流や心臓の弁などに因るドプラ信号を除去し、このフィルタリングされたエコー信号を使って、周波数解析部により、自己相関法やFFT法の手法に基づいて組織のドプラ偏移周波数の2次元分布のデータを算出するようにしたものである。したがって、この血流用組織演算部92では、上記ドプラ偏向移周波数の2次元分布データを使って組織の運動速度の最大値や平均値が求められる。なお、上記周波数解析部の解析手法としては、相互相関法であってもよい。
【0133】
このために、受信遅延・加算回路31により受信フォーカスを掛けられた、基本波成分及び非基本波成分を含むエコー信号の中から、基本波用BPF32aで基本波成分Sfが抽出され且つ非基本波用BPF32bで2次高周波成分S2fが抽出される。この内、基本波成分Sfのエコー信号は、レシーバ回路32aによりBモード像の画像データに生成される一方で、クラッタ除去フィルタ91及び血流用速度演算部92により血流の速度分布像(例えばカラードプラ(CFM)像)の画像データに生成され、且つ、組織用速度演算部93により組織(例えば心筋)の運動速度分布像の画像データに生成される。一方、2次高調波成分S2fのエコー信号は、もう一方のレシーバ回路33bにより2次高調波成分のBモード像の画像データに生成される。これら4通りの画像データはDSC35に各々送られた後、その時点で指令されている表示態様のフレーム画像データに変換され(各画像データの取捨選択及び合成を含む)、モニタ36で表示される。
【0134】
この表示例を、静脈注入による超音波造影剤に係るコントラストエコー法を心臓に適用した場合について図27で説明する。同図に示すように、受信・処理系の基本波系のレシーバ回路33aを通過したエコー信号が心臓のBモード像IMfの画像データを成し、これにより心筋の形態情報や心筋の動きの視覚情報を提供する。また、受信・処理系の2次高調波系を通過したエコー信号が心筋内血流の分布像(perfusion)IM2fの画像データを提供する。表示の一態様として、DSC35にて、両者IMf及びIM2fの画像データを重畳することで、複合画像IMf+2fがモニタ36に表示され、この心筋内の血流灌流領域RB(画像IMf+2f中の黒塗りの部分)がリアルタイムに可視化される。
【0135】
また上記基本波系の組織用速度演算部93を通過したエコー信号が心筋の運動速度の2次元分布像の画像データを成す。そこで、この運動速度の2次元分布像(図示せず)をそのまま表示させるようにしてもよいし、また例えばDSC35にてピクセル毎に速度V>Vt(Vt:与えられた閾値)か否かを判定し、この判定条件に合致した、閾値Vt以上の運動速度の2次元分布像IMvの画像データが形成される。この2次元分布像IMvを表示させることにより、心筋の壁運動異常領域Rw(画像IMv中の白抜きの部分)が可視化される。さらに別の表示態様として、上述の如く閾値処理された心筋運動速度の2次元分布像IMvと心筋Bモード像IMf及び心筋内血流分布像IM2fとの三者をDSC35にて重畳演算する(壁運動異常領域Rwと血流灌流領域RBとの論理積を演算する)。これにより、モニタ36には、複合画像IMf+2f+vが表示され、心筋Bモード像を背景にして、心筋壁の運動は止まっている(詳細には、壁運動速度がある閾値以下)が、血流は灌流しているという、診断上興味深い領域RW+Bがリアルタイムに可視化される。
【0136】
このように、本実施例によれば、例えば心筋を形態・運動・血液灌流の各観点から個別にリアルタイムに診断できる一方で、それらを総合的にリアルタイムに診断でき、いわゆる心筋のバイアビリティ評価が可能になる。これにより、従来に無い有用な情報を提供することができる。
【0137】
(第12実施例)
本発明の第12実施例を図28〜図30に基づいて説明する。この実施例の超音波診断装置は超音波造影剤に係る非基本波成分による画像データを一定時間間隔で収集し、この収集データから輝度変化曲線(TDC:Time Density Curve)を演算するとともに、この変化曲線の特徴量(パラメータ)を演算するようにしたものである。
【0138】
図28に示すこの実施例の超音波診断装置は、前述した図1(第1実施例)の構成に加えて、上述の一定時間間隔の画像データ収集を行うために、ECG(心電計)95,ECG用アンプ96,及びトリガ信号発生器97を備えている。ECG95は被検者の各心時相の心電図情報(ECG信号)を、ECG用アンプ96を介してトリガ信号発生器97に送ってくる。このトリガ信号発生器97は、ECG信号の内の例えばR波の立ち上がりに応答したトリガパルスを生成してクロック発生回路20の送受タイミング決定部及びDSC35に送る。このため、クロック発生回路20の送受タイミング決定部は、トリガパルス到来からの一定時間のカウントによって、ECG信号の各周期における最適なデータ収集タイングTnを決め、このタイミングTnに合致した送受信タイミングを含む一連の送受信を送信系及び受信・処理系に行なわせる。このデータ収集タイミングTnは、例えば図29(a)に示す如く左心室拡張末期(例えばR波から一定時間後)に設定される。したがって、このようにECG同期されたデータ収集タイミングTnの到来毎に画像データが収集されることになる。
【0139】
さらに、この超音波診断装置はその受信・処理系の一部として、DSC35に接続されたイメージメモリ回路98,輝度変化曲線演算部99,及びパラメータ演算部100を備えている。イメージメモリ回路98はDSC35に送られてきた非基本波成分としての2次高調波成分の画像データをデータ収集タイミングTn毎に逐一記憶する。輝度変化曲線演算部99はCPU機能を有し、イメージメモリ回路98に記憶した画像データの内、心筋の一部に設定されたROI(このROIは事前に、又は画像収集後に設置される)の位置に対応した画像データを読み出して輝度変化曲線TDCのデータを演算する。
【0140】
これにより、各心周期におけるECG同期されたデータ収集タイミングTn毎に(図29(a)参照)、例えば左室短軸像(同図(b)参照)の画像データが収集され、これらの画像データがイメージメモリ回路98に格納される。そこで、輝度変化曲線演算部99により全画像データ収集後に、各画像データのROI位置相当のデータが読み込まれ、ROI内データを平均するなどの演算を行なって、造影剤注入時刻t0からの経過時間tに対する輝度の変化データ(図29(c)参照)が演算される。なお、この演算は画像データ収集中に一定タイミング毎に行なうことも可能で、これによりイメージメモリ回路98のメモリ容量を減らすことができる。
【0141】
さらに輝度変化曲線演算部99とDSC35の間にはパラメータ演算部100を設けている。このパラメータ演算部100はCPU機能を有し、図30の処理を順次行なうようになっている。すなわち、輝度変化曲線演算部99における輝度変化曲線のデータ演算が完了したか否かを判断し(図30ステップ100a)、完了した場合、その曲線データのフィッティング処理を行なう(同図ステップ100b)。このフィッティング処理は、得られた輝度変化曲線のデータに対して適当な関数(ガンマ関数,ガウス関数,指数関数など)でフィッティングするもので、これによりノイズや測定誤差の影響を低減させ、本質的な輝度変化が抽出される。なお、このフィッティング処理は輝度変化曲線演算部99で行なう構成にすることもできるし、必要ある場合のみ行なうようにすることもできる。
【0142】
パラメータ演算部100ではさらに、フィッティング処理した輝度変化曲線データを使って、輝度変化曲線の特徴量を表わす各種のパラメータ、例えば最大輝度レベルLMAX,最大輝度時刻tMAX,輝度半減レベルLHF,輝度半減時刻tHF輝度半減時間(=最大輝度時刻tMAX−輝度半減時刻tHF),最大輝度到達時間(注入時刻t0−最大輝度時刻tMAX),コントラスト持続時間(閾値以上の輝度レベルの持続時間)などが演算される(同図ステップ100c参照)。
【0143】
このように演算されたパラメータのデータは、輝度変化曲線のデータと共にDSC35に送られ(同図ステップ100d参照)、例えば基本波像IMf及び2次高調波像IM2fの重畳画像IMf+2fとの分割表示の態様にて、モニタ36に表示される。
【0144】
これにより、前述した第1実施例と同等な利点のほか、超音波造影剤を用いたコントラストエコー法の実施時に、造影剤、すなわち組織内血流分布像のみの輝度変化及びその特徴量を心周期に影響されない状態で自動的に把握することができ、診断上有益な情報を得ることができる。
【0145】
なお、この実施例で設定するROI数は複数であってもよい。また画像の収集タイミングはECG同期タイミングに限らず、単に定時間間隔やフレーム毎のタイミングであってもよい。さらに収集した画像データの記憶手段も自己の装置内のイメージメモリ回路に限定されず、装置に接続されたMO(光磁気ディスク)やワークステーションであってもよい。
【0146】
なお、上記第12実施例において、周知の如く、輝度変化曲線は組織の同一部位を対象とした場合でないとその意味をなさない可能性が大きい。このため、輝度変化曲線のデータは通常、(1)動かない組織(腹部臓器など)、(2)ECG同期された心筋像、などを対象としている。しかし、これでも組織がわずかに動く場合、フレーム毎にROIの位置を微調整する手段を付加するようにしてもよい。ROIの微調整は、簡便的には、マウス等でROIの位置を微調整するマニュアル微調機構で行うようにしてもよい。
【0147】
さらに、上述した第12実施例の処理を拡大して、収集された各画像の全ピクセルまたは全ての複数ピクセルの組に対して同様の演算を、輝度変化曲線演算部及びパラメータ演算部に実行させるように構成し、これにより例えば最大輝度レベルなどのパラメータを2次元表示させることもできる。この結果、最大輝度レベルの2次元分布を一目で観察できるようになり、診断上有益な手立てとなる。
【0148】
なお、本発明によれば非基本波成分を意図的(又は積極的)に抑圧する抑圧手段としては、基本波成分のみを通す送信系フィルタを用いることもできる。
【0149】
また本発明における抑圧手段としてフィルタや直列共振による送信共振回路を用いる場合、図31(a),(b)のような配置構成を採ることもできる。すなわち同図(a)では、プローブ10とパルサ回路22及びプリアンプ回路30との間にフィルタ110を挿入するとともに、送信時にこのフィルタ110のみを作動させ、且つ受信時にこのフィルタ110を回路から切り離して受信用のバイパス路を形成する切換スイッチ111を設けたものである。また同図(b)では、同じくプローブ10とパルサ回路22及びプリアンプ回路30との間に送信共振回路としての直列共振用インダクタンス112を挿入し、このインダクタンス112と並列に送信時オフ、受信時オンとする切換スイッチ113を設けたものである。これらの回路構成によっても前述のものと同等の作用効果が得られる。
【0150】
【発明の効果】
本発明の超音波診断装置は、プローブが駆動パルス信号に応じて超音波パルス信号を放射するとともに当該超音波パルス信号の反射信号を受信したことに応じて、受信処理後のエコー信号から抽出手段がエコー信号の基本波成分と非基本波成分とを並行して生成し、これらの基本波成分及び非基本波成分を用いた画像処理、表示などを行うので、心壁の運動情報と心筋血流の灌流情報を同時に収集・評価できるとともに、総合的な診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図2】 送信共振回路の一例を示す回路図。
【図3】 第1実施例で得られる画像の例を示す図。
【図4】 送信共振回路の他の例を示す回路図。
【図5】 第1実施例の変形例に係る超音波診断装置の部分ブロック図。
【図6】 第1実施例の別の変形例に係る超音波診断装置の部分ブロック図。
【図7】 第1実施例のさらに別の変形例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図8】 第1実施例のさらに別の変形例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図9】 本発明の第2実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図10】 本発明の第2実施例の変形例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図11】 (a),(b)は各々、振動子の周波数特性を示す図。
【図12】 本発明の第3実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図13】 本発明の第3実施例の変形例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図14】 (a)〜(c)は各々、振動子の周波数特性を示す図。
【図15】 本発明の第4実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図16】 本発明の第5および第6実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図17】 (a),(b)は各々、マネージャの処理例を示す概略フローチャート。
【図18】 本発明の第6実施例に係る超音波診断装置のマネージャの処理例を示す概略フローチャート。
【図19】 本発明の第6実施例に係る超音波診断装置のDSCの処理例を示す概略フローチャート。
【図20】 造影剤の注入に伴う輝度変化曲線と心筋の2次高調波像の変化を示す説明図。
【図21】 本発明の第7実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図22】 本発明の第8実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図23】 (a),(b)は振動子の周波数特性を示す図。
【図24】 本発明の第9実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図25】 本発明の第10実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図26】 本発明の第11実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図27】 第11実施例における各種画像の組合せ例を示す図。
【図28】 本発明の第12実施例に係る超音波診断装置のブロック図。
【図29】 ECG信号,画像収集タイミング,および輝度変化曲線(TDC)の関係を説明する図。
【図30】 輝度変化曲線の特徴量のパラメータを演算するためのフローチャートの概略図。
【図31】 (a),(b)は抑圧手段及びその配置の変形例を示す図。
【符号の説明】
10,10a,10b プローブ
11 装置本体
20 クロック発生回路(送信手段)
21 送信遅延回路(送信手段)
22,22a,22b パルサ回路(送信手段)
23,23a,23b 送信共振回路(送信手段/抑圧手段)
30,30a,30b プリアンプ回路(受信処理手段)
31,31a,31b 受信遅延・加算回路(受信処理手段)
32a,32b BPF(第1、第2の抽出手段)
33 レシーバ回路
33a,33b レシーバ回路(第1、第3の演算手段)
35 DSC(表示手段)
36 モニタ(表示手段)
50 入力器
51 マネージャ
52 イメージメモリ回路
53 スピーカ
54 制御回路
55 演算回路
80 心腔同定回路
81 心腔表示制御回路
90 速度演算部
91 クラッタ除去フィルタ(第2の演算手段)
92 血流用速度演算部(第2の演算手段)
93 組織用速度演算部
95 ECG
96 ECG用アンプ
97 トリガ信号発生器
98 イメージメモリ回路
99 輝度変化曲線演算部
100 パラメータ演算部[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to an ultrasonic diagnostic apparatus in which an ultrasound contrast agent is injected into a subject and a contrast image is obtained by utilizing the property that echo is enhanced by the strong scattering characteristic of the contrast agent with respect to ultrasound.
[0002]
[Prior art]
In recent years, a contrast echo method using an ultrasonic contrast agent has attracted attention in the field of myocardial image analysis.
[0003]
As one of the contrast echo methods, a myocardial contrast echo method using arterial injection in which an ultrasound contrast agent is injected from an artery has been studied and used for evaluating a perfusion region of intramyocardial blood flow based on a myocardial distribution image (perfusion). ing. In this myocardial contrast echo method, an ultrasound contrast agent (for example, 5% human albumin in which bubbles are generated manually or by a sonicator) is injected from a catheter placed in the aorta. The perfusion region of the intramyocardial blood flow due to the contrast agent is displayed as a luminance enhancement region on the B mode. Similarly, in order to evaluate the perfusion zone of the blood flow or the dominant vasculature of the tumor, a contrast echo method using arterial injection has also been studied in the abdominal region. As a diagnostic apparatus for performing these contrast echo methods, an ultrasonic diagnostic apparatus for general examination or a workstation is used. Thereby, the luminance enhancement of the B-mode image is visually evaluated, or the change in the luminance level is quantitatively evaluated after the image data stored in the memory is appropriately processed on the workstation.
[0004]
In recent years, an ultrasound contrast agent capable of evaluating the left heart system by injecting an ultrasound contrast agent from a vein has been developed, and an ultrasonic contrast echo method using the same has been attempted.
[0005]
This ultrasound contrast agent is imported and sold by Shionogi Pharmaceutical Co., Ltd. “The average particle diameter of about 4 μm in which air is contained in an albumin film produced when ultrasonically treating 5% human serum albumin. No air spherules "(Brand name: Albnex Note 5ml).
[0006]
The contrast echo method using intravenous injection is currently in the testing and research stages, and in the future, its usefulness is expected to increase in the diagnosis of the head, heart chamber, abdomen, and the like.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
Among the conventional contrast echo methods described above, the contrast echo method by arterial injection requires that the catheter be placed in the aorta, so that the facility (operating room) where it can be performed is limited to a relatively large hospital, and is invasive. It is assumed that it will not be easily spread to general clinics in the future due to the large burden on patients due to the diagnosis accompanied by sex.
[0008]
On the other hand, the contrast echo method using intravenous injection is extremely invasive and requires less burden on the patient, but the contrast agent reaches the myocardium and other target sites through the lung. Compared with the contrast echo method, the contrast agent concentration is reduced, and the degree of brightness enhancement is reduced. For this reason, it is extremely difficult to observe brightness enhancement by contrast agents in areas where the influence of tissue echoes from the surroundings such as the myocardium and the peripheral part of the abdomen is large. of the evaluation is in the status quo that it can not be applied.
[0009]
The present invention has been made in view of the current state of contrast echo method using such a conventional ultrasonic contrast agent, and in particular, even in sites where the influence of tissue echo from the surroundings is large (myocardium, organ parenchyma, etc.) intravenous infusion was performed a contrast echo method using the image of the luminance enhancement by the contrast medium to be able to obtain accurately, myocardium, to provide a comprehensive assessment possible ultrasonic diagnostic apparatus and an organ substantially And its purpose.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, an ultrasonic diagnostic apparatus according to the present invention is configured as follows.
[0011]
The ultrasonic diagnostic apparatus according to the present invention, the driving of the electric quantity of chromatic and probes that can be converted bidirectionally with each other between the base NamiNaru amount of the desired excitation frequency of the signal of the ultrasonic pulse signal and the electric quantity Transmitting means for providing a pulse signal to the probe; and output from the probe in response to the probe radiating the ultrasonic pulse signal in response to the drive pulse signal and receiving a reflected signal of the ultrasonic pulse signal. Receiving processing means for inputting an echo signal having a quantity of electricity to receive processing on the echo signal, the fundamental wave component from the echo signal received by the receiving processing means, and a non-fundamental wave component for the fundamental wave component, Extraction means for extracting each of them in parallel; and first calculation means for obtaining image data of tissue morphology information based on the fundamental wave component extracted by the extraction means; Second computing means for obtaining image data of tissue motion information based on the fundamental wave component extracted by the extracting means; and the non-fundamental wave component based on the non-fundamental wave component extracted by the extracting means. A third computing means for obtaining image data of blood flow information in the tissue that generates the tissue, the morphological information of the tissue computed by the first, second, and third computing means, tissue motion information, and And display means for displaying at least one of the image data of blood flow information in the tissue .
[0013]
Preferably, the transmitting means may constitute the driving pulse signal to be actively suppressed to substantially the basic NamiNaru partial excitation frequency the signal level of the non-fundamental component to provide said probe Is done. Preferably, the transmission means includes suppression means for positively suppressing the non-fundamental wave component. This suppression means may be, for example, a transmission system filter that passes only the fundamental wave component of the drive pulse signal, a transmission system notch filter that cuts the non-fundamental wave component, or a resonance state that occurs only during transmission, and the fundamental wave of the drive pulse signal. A transmission resonance circuit that allows only components to pass is included.
[0014]
In addition, the transmission unit may include a transmission pulser circuit that also serves as the suppression unit, and the pulser circuit may include a circuit configuration that generates the drive pulse signal with a duty ratio of 50%. A pulsar circuit for transmission that also serves as suppression means may be provided, and the pulsar circuit may be configured to include a circuit configuration that generates the drive pulse signal in a class A operation.
[0015]
Further, as an example, the fundamental wave component includes a signal component having one fundamental frequency , and the non-fundamental wave component includes at least one of a harmonic component, a subharmonic component, and a superharmonic component of the fundamental wave component. one made sure signal formed. For example, the non-fundamental wave component is a second harmonic component of the fundamental wave component.
[0016]
Further, the fundamental wave component consists signal components of a plurality of different fundamental frequencies, wherein the non-fundamental component frequency of the sum or difference of the frequencies of the harmonic components or between the fundamental frequency of said plurality of fundamental frequency it may be configured to consist of caries Chino signal component having at least one scratch.
[0017]
[Action]
According to the ultrasonic diagnostic apparatus of the present invention, using the fundamental wave component and the non-fundamental wave component obtained in parallel via the reception processing unit and the extraction unit , the tissue morphology information, the tissue motion information, and the tissue A process of displaying at least one image data of the blood flow information inside is executed. For this reason, it is effective for intramyocardial diagnosis, and heart wall motion information can be collected at the same time, thereby making it possible to comprehensively evaluate the heart function in relation to myocardial blood flow.
[0018]
At this time, in particular, in the drive pulse signal given from the transmitting means to the probe, the level of the non-fundamental wave component (second harmonic component, etc.) is substantially and actively reduced, and most of it is the fundamental wave component. Only given to the probe. This intentional suppression of the non-fundamental component is preferably performed by, for example, a transmission resonance circuit that resonates only during transmission and passes only the fundamental wave component.
[0019]
For this reason, when the ultrasonic contrast echo method of injecting an ultrasonic contrast agent from a vein is performed, the nonlinear ultrasonic beam scattering of the ultrasonic contrast agent is directly reflected in the non-fundamental wave component of the echo signal. That is, since the ultrasonic beam incident on the subject is substantially only the fundamental wave component, the non-fundamental wave component included in the echo signal depends on the nonlinear scattering of the contrast agent. Therefore, the flow of the contrast agent can be grasped by imaging the non-fundamental wave component. Thus, since the ultrasonic beam signal substantially processed only in advance to the fundamental wave component is made incident, the contrast echo method of intravenous injection is applied even to a portion where the influence of the tissue echo is large, For example, the perfusion region of the intramyocardial blood flow based on the myocardial distribution image can be suitably evaluated.
[0020]
【Example】
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings.
[0021]
(First embodiment)
A first embodiment will be described with reference to FIGS. The ultrasonic diagnostic apparatus according to the first embodiment uses a contrast echo method for efficiently detecting a second harmonic component generated by nonlinear scattering of bubbles contained in an ultrasonic contrast agent and displaying the distribution image two-dimensionally. To implement.
[0022]
As shown in FIG. 1, this ultrasonic diagnostic apparatus drives an
[0023]
The ultrasonic probe (hereinafter referred to as “probe”) 10 is configured in a phased array type in which a plurality of transducers are arranged in the scanning direction. Each transducer has the same reception characteristic, and has a sufficiently wide signal passband that can detect the fundamental wave component that drives the transducer and the second-order harmonic component generated in the living body.
[0024]
The apparatus
[0025]
The transmission system includes a
[0026]
The
[0027]
Further, the reception / processing system includes a
[0028]
Furthermore, the reception / processing system includes a DSC (digital scan converter) 35 and a
[0029]
Then, the effect of 1st Example is demonstrated.
[0030]
At the time of transmission, a driving voltage signal is supplied from the
[0031]
It is practically difficult to drive the
[0032]
When each transducer of the
[0033]
This ultrasonic echo signal is received by each transducer of the
[0034]
The echo signal of the fundamental wave component Sf sent to the
[0035]
The image data of each B-mode image of these fundamental wave components and second-order harmonic components is then converted into image data of the commanded display mode in the
[0036]
As described above, in this embodiment, the
[0037]
In the above embodiment, the second harmonic component is exemplified as the nonlinear wave component to be extracted, but the present invention is not necessarily limited thereto. For example, as other nonlinear wave components, N-order harmonic components (N × f: f is a fundamental frequency, N is a positive integer), N-order subharmonic components (f / N: f is a fundamental frequency, and N is a positive integer) ) And super harmonics (M × f / N: f is a fundamental frequency, and M and N are positive integers other than 1), and their frequency components are selectively selected by the nonlinear wave BPF as described above. May be extracted. In addition, in order to simultaneously target a plurality of harmonic components, it is said that a plurality of signal extraction / processing systems are individually provided for each of them, or a plurality of nonlinear wave components are passed through one system without being separated. It is good also as a structure.
[0038]
In the above embodiment, the signal processing of the fundamental wave component and the nonlinear wave component is performed by separate systems. However, after reception by the preamplifier circuit, the signal processing system is digitized and only one system is used thereafter. The signal processing of the fundamental wave component and the nonlinear wave component may be performed by time division. Further, a memory can be provided to perform signal processing on a desired component.
[0039]
Furthermore, in the above-described embodiment, two BPFs for extracting the fundamental wave component and the nonlinear wave component are inserted in the subsequent stage of the reception delay / adder circuit. May be provided. However, as in the above embodiment, it is advantageous to provide a BPF on the output side of the reception delay / adder circuit because the number of filters can be reduced, so that an increase in device size and an increase in manufacturing cost can be avoided. is there.
[0040]
Furthermore, the probe according to the ultrasonic diagnostic apparatus is not limited to the electronic array probe, but may be a mechanical scanning probe.
[0041]
Furthermore, various modifications can be made to the ultrasonic diagnostic apparatus according to the first embodiment.
[0042]
First, FIG. 4 shows a modification of the
[0043]
Furthermore, in the first embodiment, the beam forming (phased addition) is performed with the RF (high frequency) signal as it is, but a receiving system that performs beam forming after shifting the signal band to the intermediate frequency is also possible. FIG. 5 and FIG. 6 show the modification examples. 5 includes a
[0044]
Furthermore, in the first embodiment, the harmonic component generated in the
[0045]
On the other hand, the ultrasonic diagnostic apparatus according to the modification shown in FIG. 8 is a transmission system that removes harmonic components other than the fundamental wave component, subharmonic components, and the like in the transmission circuit between the
[0046]
(Second embodiment)
Next, a second embodiment will be described with reference to FIG. In the second and subsequent embodiments, the same reference numerals are used for the same or equivalent components as those in the first embodiment, and the description thereof is omitted or simplified.
[0047]
The ultrasonic diagnostic apparatus shown in FIG. 9 includes a phased
[0048]
.., 10n-1 of the transducer group A is connected to a
[0049]
Furthermore, a preamplifier circuit 30a, a reception delay /
[0050]
The effect of this 2nd Example is demonstrated. The
[0051]
Among these, echo signals including fundamental wave components and second harmonic components output from the
[0052]
On the other hand, echo signals including fundamental wave components and second harmonic components output from the
[0053]
The echo signal of the fundamental wave component Sf and the echo signal of the second harmonic component S2f sent to the
[0054]
Therefore, the second embodiment can obtain the same effect as that of the first embodiment. In particular, the transducer group of the
[0055]
Note that the
[0056]
Furthermore, a modification according to the second embodiment is shown in FIGS. The phased
[0057]
By forming the
[0058]
Further, various circuit configurations are added to the modification shown in FIG.
[0059]
The first is that the signal intensity of the non-fundamental wave component is smaller than that of the fundamental wave component. The
[0060]
Secondly, when the ultrasonic beam signal is incident on the subject, the attenuation of the ultrasonic signal changes according to the depth in the subject. Specifically, the drive
[0061]
As a result, the transmission sound pressure is kept substantially constant even when the focus position is deepened, so that a tissue image having substantially the same luminance can be obtained in the same blood flow state regardless of the depth position.
[0062]
Thirdly, the reception processing side deals with non-uniformity of various conditions depending on the position in the image (tomogram). In order to do this, a data table 35S is connected to the
[0063]
That is, with the control or correction related to the second and third circuit configurations, if the contrast agent distribution is uniform in the tomographic image when applying the ultrasonic contrast echo method by intravenous injection of the ultrasonic contrast agent, the same luminance or Images with the same color can be obtained.
[0064]
The correction using the data table 35S is not necessarily limited to the circuit configuration performed by the
[0065]
Further, the correction on the reception processing side by the data table 35S and the correction of the transmission sound pressure by the drive
[0066]
On the other hand, the same various modifications as described in the first embodiment can be made to the second embodiment and its modifications (see, for example, FIGS. 4 to 8). Further, although the second harmonic component is exemplified as the nonlinear wave component, other harmonic components, subharmonic components, and superharmonic components may be imaged.
[0067]
(Third embodiment)
Next, a third embodiment will be described with reference to FIG. The ultrasonic diagnostic apparatus shown in the figure includes a
[0068]
As shown in the figure, a
[0069]
Subsequently, the function and effect of the third embodiment will be described. Each transducer of the transducer group A passes the drive signal for each odd-numbered channel from the
[0070]
On the other hand, an echo signal including a fundamental wave component and a second harmonic component is output from each transducer of the transducer group B corresponding to the ultrasonic signal reflected / scattered in the subject. This echo signal is amplified by the
[0071]
As a result, the same effects as those of the above-described embodiments can be obtained, and the set of the preamplifier circuit and the reception delay / adder circuit can be reduced to one set as compared with the configuration of FIG. 9 (second embodiment).
[0072]
A modification of the third embodiment is shown in FIGS. The ultrasonic diagnostic apparatus shown in FIG. 13 includes a phased
[0073]
Note that the third embodiment and its modifications can be further modified in the same manner as in the first embodiment (see, for example, FIGS. 4 to 8). Further, although the second harmonic component is exemplified as the nonlinear wave component, other harmonic components, subharmonic components, and superharmonic components may be imaged.
[0074]
(Fourth embodiment)
A fourth embodiment will be described with reference to FIG. The ultrasonic diagnostic apparatus shown in the figure includes a
[0075]
As shown in the figure, a
[0076]
Then, the effect of this 4th Example is demonstrated. Each vibrator of the vibrator group A is excited by a drive signal mainly composed of a fundamental wave component from which the harmonic component is almost removed by passing the drive signal for each channel from the
[0077]
On the other hand, an echo signal including a fundamental wave component and a second harmonic component is output from each transducer of the transducer groups A and B corresponding to the ultrasonic signal reflected and scattered in the subject. Both echo groups A and B are amplified by the
[0078]
As a result, the same effects as those of the above-described embodiments can be obtained, and the number of transducers to be received is larger than that of the configurations of FIGS. 12 and 13 (third embodiment and its modifications) (the transducer groups A and Since both B are involved in reception), a higher level echo signal is obtained, which is advantageous in terms of the S / N ratio.
[0079]
(5th Example)
A fifth embodiment will be described with reference to FIGS. The fifth embodiment is intended to improve the workability of contrast medium injection and the convenience of image recognition after injection when performing a contrast echo method using an ultrasonic contrast medium.
[0080]
The ultrasonic diagnostic apparatus shown in FIG. 16 has the
[0081]
Further, the
[0082]
That is, first, contrast echo method trial conditions (image quality conditions, TDC (Time-Density-Curve) measurement conditions (ROI, measurement time interval), ECG synchronization conditions, etc.) and contrast echo trial schedule (contrast agent injection) (Schedule) Time, and when using other drugs together, the amount and timing data) are input from a floppy disk or the like (step 60).
[0083]
Next, the time measurement is started and the display of the time measurement is started on the screen of the monitor 36 (step 61). When this is done, the collection of necessary data is started before injection of the contrast agent (step 62). This data includes an image and luminance data before injection of contrast medium, image data at a desired timing and time interval, ROI luminance data at a desired timing and time interval, and the like. These data are transferred to the MO and workstation.
[0084]
Then, when the scheduled injection time is reached, the contrast agent injection timing is instructed by voice through the speaker 53 (step 63).
[0085]
After that, while collecting the data after injection in the same manner as described above (step 64), when a predetermined time is reached, the injection of another drug is instructed by voice or the like (step 65), and the data after drug injection is collected (step 65). Step 66). When the end time of the predetermined schedule is reached, the collection of image data, the collection of ROI luminance data, the data transfer to the MO or workstation, and the timing are terminated (step 67).
[0086]
Note that the process executed by the
[0087]
First, data is input in the same manner as in
[0088]
Next, the operator commands the injection (timing) of the contrast medium from the microphone of the
[0089]
Then, after the injection of the contrast agent, collection of images is started at a desired timing and time interval, and luminance data of ROI is started to be collected at a desired timing and time interval.
[0090]
Thereafter, the same processing as in FIG. 17A is performed (
[0091]
By configuring and functioning as described above, when the contrast echo method using the ultrasonic contrast agent is performed, the operator or doctor can accurately perceive the injection timing of the contrast agent and synchronized with the injection timing. In addition, image data including the elapsed time thereafter can be automatically obtained, and later image processing and image interpretation are facilitated.
[0092]
In the fifth embodiment, control may be performed so that ECG data is acquired and an image of a desired cardiac phase at a desired time after injection of a contrast agent is automatically collected. Further, the manager is not necessarily limited to the configuration in which the dedicated CPU is mounted, and the manager may also be used as a CPU unique to the diagnostic apparatus.
[0093]
Furthermore, as a modification of the present embodiment, there is an apparatus having a configuration in which a control circuit 54 and an
[0094]
Note that when subtraction is calculated, it is particularly desirable to perform subtraction on the reference image IMref (see FIG. 20) before the contrast agent is injected.
[0095]
Furthermore, the ultrasonic diagnostic apparatus according to the configuration of FIG. 16 can be used in combination with the ultrasonic stress echo method. That is, an ultrasonic contrast echo method by intravenously injecting an ultrasonic contrast agent is performed before and after drug loading. For this purpose, the control circuit 54 causes the
[0096]
(Sixth embodiment)
A sixth embodiment will be described with reference to FIG. 16 (also used as the fifth embodiment) and FIGS. The sixth embodiment relates to an ultrasound diagnostic apparatus suitable for applying a contrast echo method to the myocardium, and particularly suitable for obtaining a myocardial distribution image. Specifically, when obtaining a myocardial distribution image, the brightness enhancement by the contrast medium in the heart chamber is significantly larger than that of the myocardium, which may prevent identification of the brightness enhancement by the myocardial contrast medium. When this happens, there is a possibility that the brightness of the distribution image of the myocardium cannot be accurately identified.
[0097]
In order to prevent such a situation, the ultrasonic diagnostic apparatus of this embodiment has the configuration shown in FIG. 16, while the
[0098]
Referring to FIG. 18, in the case of displaying a myocardial distribution image by the contrast echo method, the
[0099]
Next, the cardiac chamber region is identified manually or automatically using the reference image IMref (step 72). In the case of manual operation, the operator identifies the contour of the heart chamber region on the reference image IMref displayed on the
[0100]
Therefore, a mask image is created from the cardiac cavity region image IMHSP, and the data is stored in the image memory circuit 52 (step 73).
[0101]
Further, the processing of FIG. 19 is performed for each frame by the
[0102]
As a result, after injection of the contrast agent, the spread of the contrast agent and its intensity (luminance) change with the passage of time thereafter, and an image of the myocardium HM in which the cardiac chamber HSP is masked (for example, IM1 to IM1 in FIG. 20). IM3) is formed and displayed every moment. Therefore, when a myocardial distribution image is obtained, the heart cavity region is not displayed, only the luminance change of the myocardial region is displayed in real time, and the luminance enhancement by the myocardial contrast agent can be accurately performed.
[0103]
Note that the luminance curve in FIG. 20 shows how the average luminance value of a part of the myocardium changes as a representative value of the whole image in order to easily show the luminance enhancement by the contrast agent.
[0104]
(Seventh embodiment)
A seventh embodiment will be described with reference to FIG. Similarly to the sixth embodiment, in the seventh embodiment, when the contrast echo method is performed on the myocardium, the influence on the display due to the brightness enhancement by the contrast medium in the heart chamber being significantly stronger than that of the myocardium will be improved. Thus, as in the sixth embodiment, the heart chamber region is set as a non-display region, and only the luminance change of the myocardial region is displayed. What is different from the sixth embodiment is a method for identifying a heart chamber region, and pays attention to a level difference or level ratio between a fundamental wave component and a nonlinear wave component.
[0105]
As shown in FIG. 21, the ultrasonic diagnostic apparatus according to this embodiment includes the same configuration as that of FIG. 1 according to the first embodiment, and includes a cardiac
[0106]
Here, the echo level of the fundamental wave component Sf obtained from the
[Outside 1]
(P1 (heart chamber) / P2 (heart chamber)) <(P1 (myocardium) / P2 (myocardium))
Since an appropriate threshold value K is introduced,
[Expression 1]
(P1 / P2) <K
Can be defined as a cardiac chamber region (or non-myocardial region).
[0107]
Therefore, the heart
[0108]
The logical expression used in the cardiac cavity
[0109]
In addition, in the sixth and seventh embodiments, the case where the diagnosis target is the myocardium has been described. However, other than this, for example, a large vascular system may be used, and the same between the vascular wall and the inside of the blood vessel. The display / non-display control may be applied.
[0110]
(Eighth embodiment)
An eighth embodiment will be described with reference to FIGS. This embodiment relates to an ultrasonic diagnostic apparatus that simultaneously transmits a plurality of ultrasonic beams having different frequencies into a living body and performs a contrast echo method based on the transmitted ultrasonic beams. That is, a transmission system that transmits a plurality of ultrasonic beams of different frequencies (fundamental wave components f1, f2, f3...) Simultaneously into the living body, and between the basic frequencies generated in the living body and their Sum frequency components between harmonic components of the fundamental frequency (f1 + f2, f2 + f3,..., Nf1 + Mf3,..., M and N are integers) and difference frequency components (f1-f2, f2-f3,..., Nf1 -Mf3, ...; where M and N are integers), a reception / processing system capable of receiving and processing an echo signal in a frequency band including at least one component and a contrast image of the fundamental wave component and the non-fundamental wave component A display system that can display the image, and the sum or difference frequency of transmission frequency components due to nonlinear scattering of the contrast agent in the living body is detected, and based on this, the distribution of the ultrasonic contrast agent is imaged in the living body Turn into It is.
[0111]
The ultrasonic diagnostic apparatus of FIG. 22 showing a specific example of this is intended to simultaneously drive the two frequency components (f1, f2) and to visualize the difference frequency component (f1-f2).
[0112]
The
[0113]
As shown in the figure, a
[0114]
The pulser side ends of the first and second transmission resonance circuits 23a and 23b are connected to a reception delay /
[0115]
Therefore, the echo signal including the fundamental wave components (f1, f2) and the difference frequency component “f1-f2” received by the
[0116]
Therefore, in addition to obtaining the same effect as the first to fourth embodiments according to the present embodiment, in order to visualize the B-mode image based on the difference frequency component, the second harmonic is easily generated at the time of transmission. No difference frequency component is generated. Therefore, there is a special advantage that there is a possibility that detection can be performed with a better S / N ratio than using the second harmonic.
[0117]
In the eighth embodiment, the number of ultrasonic beams simultaneously driven is “2 frequencies”, but may be “3 frequencies” or more. Further, the other second fundamental wave component f2 not described above may be used as the fundamental wave component forming the fundamental wave image. Furthermore, an image based on the scattering of the contrast agent that is paired with the fundamental wave image may be generated using the sum frequency component. Furthermore, in this embodiment, various modifications can be made to the transmission / reception system as in the first embodiment.
[0118]
Furthermore, for a configuration in which ultrasonic beams having a plurality of frequencies are transmitted simultaneously, a transmitter, a synthesizer, or the like that can transmit a time waveform in which a plurality of frequency components are linearly added can be provided.
[0119]
(Ninth embodiment)
A ninth embodiment will be described with reference to FIG. Similarly to the eighth embodiment, the ultrasound diagnostic apparatus according to this embodiment also detects and displays the sum or difference frequency components of the transmission beam signals generated in the living body, thereby contrasting in the living body. The purpose is to visualize the distribution of the agent.
[0120]
The
[0121]
Similarly to the eighth embodiment, the transmission system is provided with first and
[0122]
As a result, by performing delay addition processing by the reception delay /
[0123]
The single probe may be configured to mechanically deflect the beam direction. Further, it is possible to adopt a configuration in which the transmission resonance circuit is inserted between the first pulsar circuit and the single probe and between the second pulsar circuit and the phased array probe.
[0124]
(Tenth embodiment)
A tenth embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
[0125]
The tenth embodiment relates to calculation and display of the moving speed of a reflection echo source that emits a receivable nonlinear wave component (high frequency, subharmonic, ultrasonic wave, or sum / difference frequency).
[0126]
The ultrasonic diagnostic apparatus shown in the figure includes a
[0127]
For this reason, the echo signal including the fundamental wave component and the non-fundamental wave component focused by the reception delay /
[0128]
Note that the motion speed of the echo source of the region of interest set on the B-mode image on the scan plane may be calculated simultaneously, and the change with time may be displayed.
[0129]
(Eleventh embodiment)
An eleventh embodiment of the present invention will be described with reference to FIG. The ultrasonic diagnostic apparatus according to this embodiment is configured to apply tissue contrast information based on an echo level of a fundamental wave component and tissue information based on an echo level of a non-fundamental wave component when applying a contrast echo method using an ultrasound contrast agent. In addition to the internal blood flow information, the motion speed of the tissue (for example, myocardium) can be calculated based on the echo level of the fundamental wave component. And “tissue motion speed” can be displayed simultaneously.
[0130]
More specifically, this ultrasonic diagnostic apparatus has a configuration equivalent to that of FIG. 1 (first embodiment), a
[0131]
The
[0132]
Among these, as the tissue
[0133]
For this purpose, the fundamental wave component Sf is extracted by the fundamental wave BPF 32a from the echo signal including the fundamental wave component and the non-fundamental wave component, which is focused by the reception delay /
[0134]
This display example will be described with reference to FIG. 27 in the case where the contrast echo method related to the ultrasonic contrast agent by intravenous injection is applied to the heart. As shown in the figure, the echo signal that has passed through the
[0135]
The echo signal that has passed through the
[0136]
Thus, according to this embodiment, for example, the myocardium can be individually diagnosed in real time from the viewpoints of morphology, movement, and blood perfusion, while they can be diagnosed comprehensively in real time, and so-called myocardial viability evaluation can be performed. It becomes possible. Thereby, useful information which has not existed before can be provided.
[0137]
(Twelfth embodiment)
A twelfth embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. The ultrasonic diagnostic apparatus of this embodiment collects image data of non-fundamental wave components related to an ultrasonic contrast agent at regular time intervals, calculates a luminance change curve (TDC: Time Density Curve) from this collected data, The feature amount (parameter) of the change curve is calculated.
[0138]
The ultrasonic diagnostic apparatus of this embodiment shown in FIG. 28 has an ECG (electrocardiograph) in order to collect the above-mentioned image data at regular intervals in addition to the configuration of FIG. 1 (first embodiment) described above. 95, an
[0139]
Further, the ultrasonic diagnostic apparatus includes an
[0140]
As a result, for each ECG-synchronized data collection timing Tn in each cardiac cycle (see FIG. 29A), for example, image data of a left ventricular short axis image (see FIG. 29B) is collected, and these images are collected. Data is stored in the
[0141]
Further, a
[0142]
The
[0143]
The parameter data calculated in this way is sent to the
[0144]
As a result, in addition to the advantages equivalent to those of the first embodiment described above, when the contrast echo method using the ultrasonic contrast agent is performed, the luminance change and the characteristic amount of only the contrast agent, that is, the blood flow distribution image in the tissue, are considered. It is possible to automatically grasp in a state that is not influenced by the cycle, and it is possible to obtain information useful for diagnosis.
[0145]
Note that the number of ROIs set in this embodiment may be plural. Further, the image collection timing is not limited to the ECG synchronization timing, but may be simply a fixed time interval or a timing for each frame. Further, the means for storing the collected image data is not limited to the image memory circuit in its own apparatus, and may be an MO (magneto-optical disk) or a workstation connected to the apparatus.
[0146]
In the twelfth embodiment, as is well known, it is highly possible that the luminance change curve does not make sense unless it is for the same part of the tissue. For this reason, the luminance change curve data is usually intended for (1) non-moving tissues (such as abdominal organs) and (2) ECG-synchronized myocardial images. However, if the tissue still moves slightly, a means for finely adjusting the position of the ROI may be added for each frame. The ROI fine adjustment may be simply performed by a manual fine adjustment mechanism that finely adjusts the position of the ROI with a mouse or the like.
[0147]
Further, the process of the twelfth embodiment described above is expanded to cause the luminance change curve calculation unit and the parameter calculation unit to execute the same calculation for all the pixels of each acquired image or a set of all the plurality of pixels. Thus, for example, a parameter such as a maximum luminance level can be displayed two-dimensionally. As a result, the two-dimensional distribution of the maximum luminance level can be observed at a glance, which is a useful diagnostic tool.
[0148]
According to the present invention, a transmission filter that passes only the fundamental wave component can also be used as a suppression means that intentionally (or actively) suppresses the non-fundamental wave component.
[0149]
Further, when a filter or a transmission resonance circuit using series resonance is used as suppression means in the present invention, an arrangement configuration as shown in FIGS. 31 (a) and 31 (b) can be employed. That is, in FIG. 2A, the
[0150]
【The invention's effect】
The ultrasonic diagnostic apparatus of the present invention, in response to the probe receives the reflected signal of the ultrasonic pulse signal with radiates an ultrasonic pulse signal in response to the drive pulse signals, extracted from the echo signal after receiving processing means generates in parallel the basic NamiNaru min and Himoto the fundamental component of the echo signal, the image processing using these fundamental wave component and a non-fundamental component, since the like displayed, motion information of the cardiac wall And perfusion information of myocardial blood flow can be collected and evaluated simultaneously, and comprehensive diagnosis is possible.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a circuit diagram showing an example of a transmission resonance circuit.
FIG. 3 is a view showing an example of an image obtained in the first embodiment.
FIG. 4 is a circuit diagram showing another example of a transmission resonance circuit.
FIG. 5 is a partial block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a modification of the first embodiment.
FIG. 6 is a partial block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to another modification of the first embodiment.
FIG. 7 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to still another modification of the first embodiment.
FIG. 8 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to still another modification of the first embodiment.
FIG. 9 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 10 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a modification of the second embodiment of the present invention.
FIGS. 11A and 11B are diagrams showing frequency characteristics of a vibrator. FIG.
FIG. 12 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a third embodiment of the present invention.
FIG. 13 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a modification of the third embodiment of the present invention.
FIGS. 14A to 14C are diagrams each showing frequency characteristics of a vibrator.
FIG. 15 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a fourth embodiment of the present invention.
FIG. 16 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to fifth and sixth embodiments of the present invention.
FIGS. 17A and 17B are schematic flowcharts each showing an example of processing of a manager.
FIG. 18 is a schematic flowchart showing a processing example of a manager of the ultrasonic diagnostic apparatus according to the sixth embodiment of the present invention.
FIG. 19 is a schematic flowchart showing an example of DSC processing of the ultrasonic diagnostic apparatus according to the sixth embodiment of the present invention.
FIG. 20 is an explanatory diagram showing changes in the luminance change curve and the second harmonic image of the myocardium accompanying the injection of contrast medium.
FIG. 21 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a seventh embodiment of the present invention.
FIG. 22 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to an eighth embodiment of the present invention.
23A and 23B are diagrams showing frequency characteristics of a vibrator.
FIG. 24 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a ninth embodiment of the present invention.
FIG. 25 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a tenth embodiment of the present invention.
FIG. 26 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to an eleventh embodiment of the present invention.
FIG. 27 is a diagram showing a combination example of various images in the eleventh embodiment.
FIG. 28 is a block diagram of an ultrasonic diagnostic apparatus according to a twelfth embodiment of the present invention.
FIG. 29 is a diagram for explaining the relationship between an ECG signal, image collection timing, and a luminance change curve (TDC).
FIG. 30 is a schematic diagram of a flowchart for calculating a feature amount parameter of a luminance change curve.
FIGS. 31A and 31B are diagrams showing a modification of the suppression means and its arrangement. FIGS.
[Explanation of symbols]
10, 10a,
21 Transmission delay circuit (transmission means)
22, 22a, 22b Pulser circuit (transmission means)
23, 23a, 23b Transmission resonance circuit (transmission means / suppression means)
30, 30a, 30b Preamplifier circuit ( reception processing means )
31, 31a, 31b Reception delay / addition circuit ( reception processing means )
32a, 32b BPF ( first and second extraction means )
33
35 DSC (display means)
36 Monitor (display means)
DESCRIPTION OF
91 clutter removal filter (second computing means)
92 Blood flow velocity calculation unit (second calculation means)
93 Speed calculator for
96 ECG amplifier 97
Claims (9)
所望の励振周波数の基本波成分を有する電気量の駆動パルス信号を前記プローブに与える送信手段と、
前記プローブが前記駆動パルス信号に応じて前記超音波パルス信号を放射するとともに当該超音波パルス信号の反射信号を受信したことに応じて当該プローブから出力される電気量のエコー信号を入力して当該エコー信号に受信処理を施す受信処理手段と、
この受信処理手段により受信処理されたエコー信号から前記基本波成分と当該基本波成分に対する非基本波成分とを並行してそれぞれ抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出された前記基本波成分に基づいて組織の形態情報の画像データを得る第1の演算手段と、
前記抽出手段により抽出された前記基本波成分に基づいて組織の運動情報の画像データを得る第2の演算手段と、
前記抽出手段により抽出された前記非基本波成分に基づいて当該非基本波成分を発生させる組織内の血流情報の画像データを得る第3の演算手段と、
前記第1、第2、及び第3の演算手段により演算された前記組織の形態情報、組織の運動情報、および組織内の血流情報の画像データのうちの少なくとも1つの画像データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする超音波診断装置。A probe capable of bidirectional conversion between an ultrasonic pulse signal and an electric quantity signal;
And transmitting means for providing a driving pulse signal of an electrical quantity which have a basic NamiNaru amount of the desired excitation frequency to the probe,
The Enter the amount of electricity echo signal outputted from the probe in response to the probe receives the reflected signal of the ultrasonic pulse signal with emitting the ultrasonic pulse signal in response to the drive pulse signal Reception processing means for performing reception processing on the echo signal ;
Extraction means for extracting in parallel each of the fundamental wave component and the non-fundamental wave component corresponding to the fundamental wave component from the echo signal received and processed by the reception processing means;
First computing means for obtaining image data of morphological information of the tissue based on the fundamental wave component extracted by the extracting means;
Second computing means for obtaining image data of tissue motion information based on the fundamental wave component extracted by the extracting means;
Third computing means for obtaining image data of blood flow information in the tissue that generates the non-fundamental wave component based on the non-fundamental wave component extracted by the extracting means;
A display for displaying at least one of the image data of the tissue morphology information, tissue motion information, and blood flow information in the tissue calculated by the first, second, and third calculation means ultrasonic diagnostic apparatus characterized by comprising a means.
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