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JP3687770B2 - ツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法及びその装置 - Google Patents

ツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン定寸研削制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削方法は特開昭54−71495号公報により既に知られているが、この場合、加工部分であるクランク軸のクランクピン部分はクランク軸のジャーナル部を中心に旋回するので加工部分を直接測定しながら加工を行う場合には、後述する追従式の定寸装置を使用し、各加工部分が所定寸法に至る毎に定寸装置から発せられる信号に基づいて対応する砥石台を後退する方法が採用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削等においては、各砥石台による加工は独立して行われるので、工作物の状態、砥石の状態等により各砥石台による研削加工が同時に完了できないことがある。その場合加工完了した砥石台は早く後退することになり、クランク軸に掛かる抵抗が変化する結果クランク軸に撓みが生じ、加工中のクランクピンの仕上げ真円度に影響を及ぼすという問題がある。
また、加工中に一方の砥石台を後退させると定寸装置等が他の部材と干渉する恐れが生じる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピン等の、同一工作物の2箇所を同時に各々独立して研削することのできるツインヘッド研削において、2つの砥石の研削加工が同時に完了することにより安全で高精度の研削加工のできる定寸研削制御方法及びそのための装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法は、それぞれに定寸装置を備えた2つの砥石台により同一の工作物の異なる加工箇所に同時に各々独立して研削加工を行うことのできるツインヘッド研削盤の研削制御方法であって、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算し、その切込み量により次工程の研削を行うことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法は、それぞれに追従式定寸装置を備えた2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削盤の研削制御方法であって、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算し、その切込み量により次工程の研削を行うことを特徴としている。
【0007】
更に、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法は、前記特徴に加え、 前記ツインヘッド研削の定寸研削制御方法において、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算する回数を複数回とすることを特徴とするものである。
【0008】
更に、本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御装置は、
それぞれに追従式定寸装置を備えた2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削盤において、2つの砥石台を加工位置に割出す手段と、2つの砥石台を研削するために前進させる手段と、2つの砥石台において最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行う手段と、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算する手段と、その演算された切込み量により研削を行うために砥石台を前進させる手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法は、それぞれに定寸装置を備えた2つの砥石台により同一の工作物の異なる加工箇所に同時に各々独立して研削加工を行うことのできるツインヘッド研削盤の研削制御方法であって、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算し、その切込み量により次工程の研削を行うものであり、同一の工作物の異なる加工箇所に同時に各々独立して研削加工を行うことのできる円筒研削、クランクピン研削盤等に適用することにより工作物に掛かる負荷が偏ることなく、精度の高い研削加工が可能となると共に、2つの砥石台が同時に後退することにより定寸装置等の他の部分への干渉が避けられるものである。
【0010】
特に、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法は、それぞれに追従式定寸装置を備えた2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削盤の研削制御方法に適用することによりその特徴的な作用効果を顕著にすることができる。
【0011】
更に、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法は、前記ツインヘッド研削の定寸研削制御方法において、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算する回数を複数回とすること、例えば、粗研削と精研削との間、及び精研削と最終研削との間の2回行うことにより、きめ細かな定寸研削制御方法により、更に高精度の研削作業を行うことができるものである。
【0012】
更に、本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御装置は、
それぞれに追従式定寸装置を備えた2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削盤において、2つの砥石台を加工位置に割出す手段と、2つの砥石台を研削するために前進させる手段と、2つの砥石台において最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行う手段と、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算する手段と、その演算された切込み量により研削を行うために砥石台を前進させる手段とを備えていることにより、工作物であるクランク軸に掛かる負荷が偏ることなく、精度の高い研削加工が可能となると共に、2つの砥石台が同時に後退することにより定寸装置等の他の部分への干渉を避けることができるツインヘッドクランクピン研削盤を提供することができる。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図1〜図6について説明する。
本発明をツインヘッドクランクピン研削盤に適用した実施例であり、ツインヘッドクランクピン研削盤はその平面図を図1に示すように左右2つの加工ヘッドである砥石台8、9を左右方向・前後方向に摺動自在に設け、その砥石台8、9の砥石軸と平行する位置に工作物であるクランクシャフトWを支持する主軸台18及び心押台17が設置されている。すなわち、ベッド1上にはその長手左右方向(Z軸方向)のZ軸案内レール2上に右側砥石台8を載置する右側Z軸テーブル6が送りねじ3により摺動自在に設けられ、それと同列にベッド1上の長手左右方向(Z軸方向)に左側砥石台9を載置する左側Z軸テーブル7が送りねじ4により摺動自在に設けられている。左右のそれぞれのZ軸テーブル6、7には、砥石14、15を回転駆動自在に具備する砥石台8、9が前記長手左右方向(Z軸方向)と直交する前後方向(X軸方向)にそれぞれの送りねじ12、13により摺動自在に設けられている。
【0014】
前記左右砥石台8、9の前方長手方向に主軸台18、心押し台17が設置されており、その間に工作物であるクランクシャフトWを一対のセンターにより支持するようになっている。主軸台18にはクランクシャフト回転駆動用のサーボモータ18Mが設けられ、チャック等によりクランクシャフトWの軸端を把持して回転駆動できるように構成され、一方心押し台17はそのセンターによりクランクシャフトWの軸芯を支持するように構成されている。
【0015】
前記各送りネジにはエンコーダ付きのサーボモータが設けられ、後に説明する制御装置により制御される。すなわち、長手左右方向(Z軸方向)に右側砥石台8を載置する右側Z軸テーブル6を移動するための送りねじ3の端部にはエンコーダ70付きのサーボモータ60が設けられ、左側Z軸テーブル7のための送りねじ4にはエンコーダ72付きのサーボモータ68が設けられている。また、左右のそれぞれのZ軸テーブル6、7上には、砥石台8、9の前後方向(X軸方向)摺動用の送りねじ12、13の端部にエンコーダ50、52付きサーボモータ44、48が設けられている。砥石台8、9には砥石14、15が回転駆動されるように支持されており、当然砥石駆動用の駆動モータが砥石台8、9に内蔵されている。
【0016】
本発明の実施例に係るツインヘッドクランクピン研削盤の概略の構成は以上のようになっており、工作物であるクランクシャフトWを主軸台18、心押し台17間に支持し、左右Z軸テーブル6,7をサーボモータ60、68により砥石14、15がクランクシャフトWの加工位置、図1ではクランクピンCP(イ)及びCP(ハ)と整列する位置に割出す。次に主軸台18のエンコーダ18E付き主軸駆動サーボモータ18Mを回転しクランクシャフトWを制御回転させる。その際クランクシャフトWはその軸受部の軸芯に於いて回転されるので、加工箇所であるクランクピンCP(イ)〜CP(ハ)は旋回運動をすることになる。そして、左右両テーブル6、7上のX軸方向送りネジ12、13を各サーボモータ44、48により前進後退をさせる。その際、加工箇所であるクランクピンCP(イ)、(ハ)は旋回しているので、制御手段により主軸サーボモータ18Mの回転と同期させて砥石台8、9を前後動させながら回転砥石14、15により研削加工を行う。研削作業にあわせて砥石台8,9のサーボモータ44、48により切込み前進運動を与え、徐々に最終仕上げ寸法に仕上げるように作動する。
【0017】
また、本発明の実施例のツインヘッドクランクピン研削盤には、仕上げ寸法を制御するために各砥石台8、9の上面には、図2に示すように定寸装置20が載置されている。この定寸装置20は、旋回するクランクピンに絶えず接触しながら追従して加工箇所の寸法測定を行う形式の公知の追従式定寸装置(例えば、イタリア、マーポス社製)であり、以下、図2に基づいて説明する。砥石台9の上面に定寸装置20の支持部材21が載置され、該支持部材21に枢支され砥石15の前方に延びる第1アーム22の先端に第2アーム23が枢支され、更に第2アーム23の先端に約直角に採寸用の測定棒28が固定されている。該測定棒28は、その先端に固定され、加工箇所であるクランクピンCP(ハ)の外周に接触するVブロック25と、その中心に進退自在に設けられたプローブ27とからなり、該プローブ27の前進後退を電気的に検出して電気信号として出力する構造となっている。該Vブロック25の先端にはガイド部材26が固定されており、測定棒28のVブロック25がクランクピンCP(ハ)に係合するためのガイドの役目をしている。定寸装置20には、休止位置(2点鎖線位置)と測定位置(実線位置)とに測定棒28を移動するための作動装置が設けられている。砥石台9の上面には油圧シリンダ31が設けられ、前記第1アーム22の後端に垂直に、しかもオフセットして取付けられた操作片30を前記シリンダ31のピストン32により押圧することにより第1アーム22を上方へ回動させ、図2に2点鎖線で示される休止位置に保たれる。この時第2アーム23は第1アーム22先端に枢支されているのみであるので位置が保てないので、第1アーム22の先端部下方に第3アーム24が固定されており、第3アーム24先端の支持突起29により第2アーム23の位置を保つように構成されている。2点鎖線の休止位置から、油圧シリンダ31のピストン32を戻すことにより徐々に測定棒28が降下しクランクピンCP(ハ)の位置にくると、まずガイド部材26がクランクピンCP(ハ)に接触し、ガイド部材26に沿ってクランクピンCP(ハ)がVブロック25に係合するようになっており、その時点では第2アーム23は第3アーム24の支持突起29から離れて自由に回動できるようになっている。
【0018】
次に本発明の実施例のツインヘッドクランクピン研削盤の制御装置を説明する。図3に示すように、本制御系は、数値制御装置置78を備えており、数値制御装置78は、右側砥石制御用CPU80及び左側砥石制御用CPU90、ROMI09、RAM111がバス88を介して相互に接続可能に構成されている。
右側砥石制御用CPU80には、インターフェース82を介し、X軸サーボモータ用制御回路84、Z軸サーボモータ用制御回路86が接続されている。X軸サーボモータ用制御回路84には、右側X軸サーボモータ44が接続され、この右側X軸サーボモ一タ44には、前述したようにエンコーダ50が配置され、このエンコーダ50は、X軸サーボモータ用制御回路84に接続されている。
Z軸サーボモータ用制御回路86には、右側Z軸サーボモータ60が接続され右側Z軸サーボモータは、前述したエンコーダ70が配置され、このエンコーダダ70は、Z軸サ一ボモータ用制御回路86に接続されている。
【0019】
また、左側砥石制御用CPU90には、インターフェース92を介して、X軸サーボモータ用制御回路94、Z軸サーボモータ用制御回路96、主軸サーボモータ用制御回路98が接続されている。
X軸サーボモータ用制御回路94には、左側X軸サーボモータ48が接続されこの左側X軸サーボモ一タ48には、エンゴーダ52が配置され、このエンコーダ52は、X軸サーボモータ用制御回路94に接続されている。
Z軸サーボモータ用制御回路96には、左側Z軸サーボモータ68が接続されこの左側Z軸サーボモータにはエンコーダ72が配置され、このエンコーダ72は、Z軸サーボモータ用制御回路96に接続されている。
主軸サーボモ一夕用制御回路98には、主軸サーボモータ18Mが配置され、この主軸サーボモータ18Mには、エンコーダ18Eが配置され、このエンコーダ18Eは、主軸サーボモータ用制御回路98に接続されている。
また,上記バス88には、インターフェース101を介して、CRT103及びテンキー105等を備えた入出力装置107が接続れている。
ROM109には、システム制御プログラムなどが記億され、RAM111には加工プログラムなどが記憶されている。
更に数値制御装置78のほかに、バス88にはシーケンスコントローラ112がインターフェース113を介して接続され、また左右両砥石台に設けられた左右の定寸装置20L,20RがA−D変換器を含むインターフェース114を介して接続されている。
【0020】
次に、本発明の特徴である具体的制御方式について、その制御ステップを示す図4のフローチャートに沿って説明する。まず加工開始120の信号により左右の砥石台8、9を、それぞれ加工箇所のクランクピンCP(イ)、CP(ハ)に整列させるために割出しを行う(121)。次に両砥石台を早送り前進(122)させ、定寸装置をクランクピンの部分に挿入する(123)。砥石がクランクピンの加工部分に接触した段階から両砥石台は粗研削送り前進(124)となり、一定量研削した段階から精研削送り前進(125)となる。そこで砥石台の送りを止め零切り込み研削(126)すなわち、スパークアウトを行いながら定寸装置により寸法値測定(126)を行いその測定結果を元に仕上げ寸法との差により最終研削に於いて研削する量を計算し、ワークをあと何回転して仕上げるかあらかじめきめられたワークの回転数n(通常は3〜5回転程度)で徐して最終研削工程におけるワーク1回転当たりの切込み量を計算し(127)、その値により最終研削前進(128)を行う。再び零切り込み研削(スパークアウト)(129)を行いそのクランクピンCP(イ)、CP(ハ)の研削加工を終了し、定寸装置を休止位置に戻し、砥石台を後退(130)させる。
【0021】
以上の研削サイクルは図5に図示されており、概念的には上の線で表示されるように早送り前進から定寸装置を挿入し加工部分に砥石が接触した段階(イ)からクランクピンの8回転程度の間粗研削送り前進となり、一定量研削した段階(ロ)から精研削送り前進でクランクピンを5回転程度研削し(ハ)、そこで砥石台の送りを止め零切り込み研削(スパークアウト)を1〜2回転分行いながら定寸装置により寸法値測定を行い、その測定結果に基づいて最終研削工程におけるワーク1回転当たりの切込み量を計算し(127)、その値により最終研削前進を3〜5回転程度行い(ホ)、零切り込み研削(スパークアウト)を1回転分行いその部分の研削を終了し(ヘ)、砥石台を後退させる。
【0022】
本発明の場合それぞれ個別に制御されている左右2つの砥石台8、9により別のクランクピンCP(イ)及びCP(ハ)を同時研削するものであり、その加工進捗度が異なることになる。したがって、各クランクピンCP(イ)及びCP(ハ)の直径寸法は図5の下方の線で現されるような軌跡を辿ることになる。工作物であるクランクピンの研削前の直径がDbで、仕上げ直径がDfで、その差が取り代となる。最初の粗研削、続く精研削が行われるが2つの砥石台による研削加工は全く同じではないので、零切り込み研削(スパークアウト)時の寸法値測定では、仕上げ寸法との差すなわち最終の取り代Δd1,Δd2には差異がでる。そこで本発明の特徴として、その後の最終研削仕上げにおけるクランクピンの回転数nを決め(通常3〜5回転程度)、前記最終研削での取り代Δd1,Δd2を徐して、クランクピン1回転当たりの各砥石台の切り込み量Δd1/n,Δd2/nを計算し、最終研削をそれぞれの切り込み量で行うことにより両砥石台による仕上げ寸法はクランクピンをn回回転したときに同時に終了することができる。その後1回程度零切り込み研削(スパークアウト)を行い、その部分CP(イ),CP(ハ)の研削加工を終了し、定寸装置を休止位置に戻し、砥石台を同時に後退させる。
【0023】
したがって、2つの砥石台による研削時にクランクシャフトに掛かる負荷が偏ることなく、精度の高い研削加工が可能となると共に、2つの砥石台が同時に後退することにより定寸装置の他の部分への干渉が避けられる。
更に、図4の[全ピン研削終了?]のステップ(131)に戻り、この場合には未だクランクピンCP(ロ),CP(ニ)の研削加工が残っているので(No)となり、再び最初のステップに戻り、両砥石をクランクピンCP(ロ)、CP(ニ)に整列させる位置に砥石台8、9を割出し(121)、同様の研削サイクルが実行され、全てのクランクピンの研削加工が終了すれば、両砥石台が左右両端の原位置に復帰(132)して全ての研削サイクルが終了(133)する。
【0024】
次に、本発明に係る定寸研削制御方法の変形例を図6について説明する。
概略は前記図4と同様であり、まず加工開始(140)の信号により左右の砥石台を、それぞれ加工箇所であるクランクピンCP(イ)、CP(ハ)に整列させるために割出しを行う(141)。次に両砥石台8,9を早送り前進させ(142)、定寸装置をクランクピンの部分に挿入する(143)。砥石がクランクピンの加工部分に接触した段階から両砥石台は粗研削送り前進(144)となり、一定量研削した段階で寸法測定を行い、その測定値により次の段階の精研削におけるクランクピン1回転当たりの切り込み量を計算(145)し、その計算結果に基づいて精研削送り前進を行う(146)。精研削が終了した段階でまた、定寸装置により寸法測定を行いその測定結果を元に仕上げ寸法との差を計算し、最終研削におけるワークの1回転当たりの切り込み量を計算し(147)、その値により最終研削前進を行う(148)。最終研削が終了してから零切り込み研削(スパークアウト)を行い(149)そのクランクピンCP(イ)、CP(ハ)の研削加工を終了し、定寸装置を休止位置に戻し、砥石台を後退させる(150)。以後の動作は図4の場合と同じである。
2つの左右砥石台8、9の切り込み送り量を2回の寸法測定の結果に基づいて調整して、その研削作業終了時を一致させているので、クランクピンに掛かる研削抵抗が均一となるので、より高精度の研削を行うことができる。
なお、ステップ(145)、(147)における定寸測定は、前工程(144)、(146)の切込みを終了し、スパークアウト状態で行われる。
【0025】
(その他の実施例)
前記の実施例は、ツインヘッドクランクピン研削盤に適用したものであるが、本発明の研削制御方法は、クランクピン研削に限らず、同一の工作物の2つの加工箇所を同時に加工するものであれば適用可能であり、例えばプランジカットのできる円筒研削盤等にも適用できるものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、それぞれに定寸装置を備えた2つの砥石台により同一の工作物の異なる加工箇所に同時に各々独立して研削加工を行うことのできるツインヘッド研削盤の研削制御方法であって、仕上げ研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて工作物1回転当たりの仕上げ研削の切り込み量を演算し、その切り込み量により仕上げ研削を行うようにしたので、2つの研削ヘッドの研削作業終了時を一致させることができ、工作物に掛かる研削抵抗が均一となるので、真円度等に悪影響を与える恐れがなく、高精度の研削を行うことができる。
【0027】
また、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法をクランクピン研削盤に適用することにより、2つのクランクピンの研削加工終了時を一致させることができ、クランク軸に掛かる研削抵抗が均一となるので、クランクピンの真円度等に悪影響を与える恐れがなく、高精度の研削を行うことができると共に、2つの砥石台が同時に後退することになるので、定寸装置等が他の部分に干渉する恐れがなくなる。
【0028】
更に、本発明のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて工作物1回転当たりの研削の切り込み量を演算する回数を複数回とすることにより更に高精度の研削を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の平面図。
【図2】本発明のツインヘッドクランクピン研削盤における定寸装置を現す側面図。
【図3】本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御装置を示すブロック図。
【図4】本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御の制御フローチャート。
【図5】本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御の研削サイクル図。
【図6】本発明のツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御の他の制御フローチャート。
【符号の説明】
1: ベッド
8: 右砥石台
9: 左砥石台
14: 右砥石
15: 左砥石
17: 心押し台
18: 主軸台
22: 定寸装置
28: 測定棒
27: プローブ
78: 数値制御装置

Claims (4)

  1. それぞれに定寸装置を備えた2つの砥石台により同一の工作物の異なる加工箇所に同時に各々独立して研削加工を行うことのできるツインヘッド研削盤の研削制御方法であって、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算し、その切込み量により次工程の研削を行うことを特徴とするツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法。
  2. それぞれに追従式定寸装置を備えた2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削盤の研削制御方法であって、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算し、その切込み量により次工程の研削を行うことを特徴とするツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御方法。
  3. 前記ツインヘッド研削の定寸研削制御方法において、最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行い、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して、次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算する回数を複数回とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のツインヘッド研削盤の定寸研削制御方法。
  4. それぞれに追従式定寸装置を備えた2つの砥石台によりクランク軸の異なるクランクピンを同時に各々独立して研削することのできるツインヘッドクランクピン研削盤において、2つの砥石台を加工位置に割出す手段と、2つの砥石台を研削するために前進させる手段と、2つの砥石台において最終研削加工の前の少なくとも1段階において、同時に工作物の測定を行う手段と、その測定結果に基づいて次の研削加工工程の取り代をあらかじめ決められた次の研削加工工程におけるワーク回転数で除して次の研削加工工程における工作物1回転当たりの研削切込み量をそれぞれの砥石台について演算する手段と、その演算された切込み量により研削を行うために砥石台を前進させる手段とを備えていることを特徴とするツインヘッドクランクピン研削盤の定寸研削制御装置。
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