JP3687383B2 - 2軸延伸ブロー成形用プロピレン系重合体または重合体組成物、及び容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2軸延伸ブロー成形用プロピレン系重合体または重合体組成物、及び2軸延伸ブロー成形容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンは耐熱性、剛性等に優れているため、フィルム、シート、容器などの分野で幅広く利用されている。特に、容器の分野ではシートを成形しておいて2次加工で真空成形法や圧空成形法、またはチューブ状に押し出されたパリソンに空気を吹き込む押出ブロー成形法などが用いられている。
【0003】
近年、射出成形後に空気を吹き込む2軸延伸ブロー成形法が、ボトル物性や成形サイクルなどの改良の点から好んで用いられており、この成形方法はプリフォームの射出成形後に同一機械で延伸ブロー成形する1ステージ法と、プリフォームを射出成形で得た後に再度加熱して延伸ブロー成形する2ステージ法に大別される。
【0004】
ポリプロピレンのボトル物性、成形性を改良するために、例えば特公平4−3727号公報には、エチレン含有量1〜6重量%、かつメルトフローレート4〜50g/10分のプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いて射出成形によるプリフォーム成形、予備ブロー、延伸ブロー成形することによって得られた延伸ブロー容器が開示されている。
【0005】
また、特開平9−24538号公報には、メルトフローレート5〜80g/10分のポリプロピレンを延伸ブロー成形して成る容器が開示されている。
【0006】
また、特開平10−58528号公報には、エチレン含量2〜6重量%、かつメルトフローレート10〜50g/10分のプロピレン・エチレンランダム共重合体100重量部及びロジン金属塩0.03〜2重量部から構成されているコールドパリソンブロー成形容器が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特公平4−3727号公報に記載の容器は、透明性が必ずしも十分ではなく、また均一延伸性についても十分ではなかった。また、特開平9−24538号公報及び特開平10−58528号公報に記載の容器は、透明性に優れるが、均一延伸性については十分ではなかった。
【0008】
本発明の目的は、耐衝撃性と透明性が良好であり、かつ均一延伸性に優れた2軸延伸ブロー成形用プロピレン系重合体または重合体組成物、及び2軸延伸ブロー成形容器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来の重合体組成物の欠点を解消すべく検討を行った結果、第一段階および第二段階以降で製造される特定のプロピレン系重合体またはその重合体組成物が本発明の目的を達成することを見い出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、下記プロピレン系重合体(A)1〜98重量部、プロピレン系共重合体(B)98〜1重量部及びプロピレン系重合体(C)1〜20重量部を含有する重合体組成物からなる2軸延伸ブロー成形容器である(ただし、プロピレン系共重合体(B)とプロピレン系重合体(C)が同一である場合を除き、かつプロピレン系共重合体(B)は、プロピレン系重合体(C)に対して、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が2重量%以上多い、または、プロピレン系重合体(C)に対して、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量が4重量%以上多い共重合体である。)。
(A):第一段階でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体成分(a)を製造し、第二段階以降でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体成分(b)を連続的に製造して得られるプロピレン系重合体であり、かつ該プロピレン系重合体中の成分(a)の割合が0.05重量%以上25重量%未満、該プロピレン系重合体全体の極限粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満であるプロピレン系重合体
(B):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜15重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体
(C):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量100〜93重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜2重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなるプロピレン系重合体
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本文中、単に「成分(a)」とは結晶性プロピレン系重合体成分(a)を指し、単に「成分(b)」とは結晶性プロピレン系重合体成分(b)を指す。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)は、成分(a)と成分(b)とから構成される。
ここに、成分(a)は、アイソタクチックプロピレン系重合体が好ましく用いられる、中でもプロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、結晶性を失わない程度のエチレン、炭素数4〜12のα−オレフィン等との共重合体が特に好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
共重合は、柔軟性・透明性などを制御する目的で行われ、プロピレン以外のモノマーの含量としては、エチレンの場合は10重量%以下、該α−オレフィンの場合は30重量%以下が好ましい。
これらのうち、プロピレンの単独重合体、プロピレンと10重量%以下のエチレンとのランダム共重合体、プロピレンと30重量%以下の炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体、またはプロピレンと10重量%以下のエチレンと30重量%以下の炭素数4〜12のα−オレフィンとの3元ランダム共重合体から選ばれた結晶性プロピレン系共重合体成分がより好適に使用され、さらに好ましいα−オレフィンとしては1−ブテンがあげられる。
柔軟性、透明性に関して特に好ましい成分(a)としてはエチレンを1重量%以上10重量%以下含む共重合体である。
【0012】
成分(a)の極限粘度は5dl/g以上でなくてはならない。好ましくは6dl/g以上、さらに好ましくは7dl/g以上である。5dl/g未満であると、プロピレン系重合体は均一延伸性に劣り、本発明の目的は達成されない。
【0013】
成分(a)のプロピレン系重合体全体に占める割合は0.05重量%以上25重量%未満でなくてはならない。好ましくは0.3重量%以上20重量%未満である。0.05重量%未満であると均一延伸性に劣る。また成分(a)の量が25重量%以上であると流動性が著しく低下するため、本発明の目的は達成されない。
【0014】
均一延伸性の面から成分(a)の量は、以下の(式1)を満足するものが特に好ましい。成分(a)の量がこの(式1)を満足する場合、均一延伸性の改良効果が大きい。ここで、EXP(X)はeXを表し、eは自然対数の底である。
(式1)成分(a)の割合(重量%)≧400×EXP(−0.6×成分(a)の極限粘度(dl/g))
特に流動性を重視する場合は、均一延伸性の要求(例えば(式1)があげられる)を満たす限り成分(a)の量は少ない方が好ましい。
【0015】
本発明における成分(b)は、成分(a)の製造以降で連続的に製造して得られるプロピレン系重合体でなくてはならない。すなわち、チーグラー・ナッタ系触媒に代表される立体規則性オレフィン重合触媒存在下にプロピレンを主体とするモノマーを重合して成分(a)を製造し、引き続き該触媒および該重合体存在下にプロピレンを主体とするモノマーを重合して成分(b)を製造することが必要で、単なる極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体と極限粘度が3dl/g未満のプロピレン系重合体のブレンドでは、均一延伸性の改良効果が発現しないか不十分である。
【0016】
具体的な重合体の製造方法としては、同一の重合槽にて成分(a)を重合した後、引き続いて成分(b)を重合する回分式重合法、または少なくとも2槽からなる重合槽を直列に配置し、成分(a)の重合後生成物を次の重合槽に移し、ついでその重合槽で成分(b)を重合する重合法などがあげられる。
【0017】
成分(b)の極限粘度は3dl/g未満でなくてはならない。好ましくは2dl/g未満である。3dl/g以上であると重合体全体の極限粘度が大きくなり過ぎるので、流動性に劣り、加工上問題がある。また仮に他の成分の添加で系全体の粘度を調整するとしても混和性などに問題がある。なお、成分(b)の極限粘度[η]bは下記式より計算した値である。
[η]b=([η]T×100−[η]a×Wa)/Wb
[η]T:結晶性プロピレン系重合体全体の極限粘度
[η]a:成分(a)の極限粘度
Wa:成分(a)の割合(重量%)
Wb:成分(b)の割合(重量%)
【0018】
成分(b)には上記の条件を満たすアイソタクチックプロピレン系重合体が好ましく用いられる、中でもプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、α−オレフィン等との結晶性共重合体、結晶性のプロピレン系重合体中に非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体が分散している重合体などが特に好ましい。
特に好ましい成分(b)としてはプロピレンの単独重合体、プロピレンと10重量%以下のエチレンとのランダム共重合体、プロピレンと30重量%以下の炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体、またはプロピレンと10重量%以下のエチレンと30重量%以下の炭素数4〜12のα−オレフィンとの3元ランダム共重合体があげられる。プロピレン以外のモノマーの量がこの範囲を超えると、結晶性のほとんどが失われ、製品としての価値が失われる場合がある。さらに好ましいα−オレフィンとしては例えば1−ブテンがあげられる。
【0019】
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)全体の極限粘度は3dl/g未満でならなくてはならない。極限粘度が3dl/g以上であると、系全体の流動性に劣り加工上問題がある。好ましくは1dl/g以上3dl/g未満、さらに好ましくは1dl/g以上2dl/g未満である。
【0020】
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)は、Mw/Mnが10未満である必要がある。Mw/Mnが10以上であると、成形品の外観に劣ったり、伸び特性が失われる場合がある。好ましくは4以上8未満である。
【0021】
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)は、立体規則性オレフィン重合触媒系を用いて得ることができる。好ましくは、例えば、Ti、Mg、ハロゲンを必須成分とする触媒系である。さらに好ましくは、成分(a)はモノマー重合時の重合速度が触媒1g、1時間あたり2000g以上の重合活性を与える触媒系および製造条件を採ることによって得られる。なお、ここでいう「触媒1g」とは、Ti、Mg、ハロゲンを必須成分とする固体触媒の1gを指す。
【0022】
触媒系については、例えば、特開平07−216017号公報にあげられるものを好適に用いることができる。
具体的には、(a)Si−O結合を有する有機ケイ素化合物(好ましいものは、一般式Si(OR1)m(R2)4-mで表されるアルコキシシラン化合物である。同式でR1およびR2は炭素数が1〜20の炭化水素基を表す。またmは、1≦m≦4のものが好ましく、特にm=4のテトラアルコキシシラン化合物が好ましい。)およびエステル化合物(モノおよび多価のカルボン酸エステルが用いられ、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル等のオレフィンカルボン酸エステルおよびフタル酸エステルが好ましく、特にフタル酸のジエステルが好ましい。)の存在下、一般式Ti(OR3)aX4-a(式中、R3は炭素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、aは0<a≦4の数字を表し、好ましくは2≦a≦4、特に好ましくはa=4である。)で表されるチタン化合物を有機マグネシウム化合物(特にグリニャール化合物、ジアルキルマグネシウム化合物、ジアリールマグネシウム化合物が好ましく用いられる。)で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物で処理したのち、エーテル化合物(ジアルキルエーテルが用いられ、特にジブチルエーテルとジイソアミルエーテルが好ましく用いられる)と四塩化チタンの混合物もしくはエーテル化合物と四塩化チタンとエステル化合物の混合物で処理することにより、得られる三価のチタン化合物含有固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサン等が好ましく用いられる)、
(c)電子供与性化合物(tert−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン等が好ましく用いられる)
よりなる触媒系があげられる。
【0023】
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)の製造条件としては、例えば、(b)有機アルミニウム化合物中のAl原子/(a)固体触媒中のTi原子のモル比を通常1〜2000、好ましくは5〜1500、(c)電子供与性化合物/(b)有機アルミニウム化合物中のAl原子のモル比を通常0.02〜500、好ましくは0.05〜50となるような条件が用いられる。
【0024】
成分(a)の重合体の製造方法としてはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法を用いることができる。この中でも、塊状重合法、気相重合法が後処理も容易であるために好ましい。
【0025】
成分(a)の重合温度は通常20〜150℃、好ましくは35〜95℃の範囲が用いられる。この温度範囲での重合が生産性の面からは好ましく、所望する成分(a)、成分(b)の量比を得るのにも好ましい。
【0026】
成分(a)の重合時の重合速度が触媒1g、1時間あたり2000g以上である触媒系ならびに製造方法を用いることにより、生産効率が高く、重合体中の触媒残さによる耐熱性の低下、着色などがないので触媒除去が不要となり好ましい。
【0027】
成分(b)の製造は前述の通り、成分(a)を製造した後、同一の重合槽にて引き続いて重合する場合と、成分(a)の製造後、異なる重合槽で重合する場合が考えられるが、後者の場合の重合法に関しても溶剤重合法、塊状重合法、気相重合法、またはこれらの組み合わせからなる重合法を用いることができる。特に塊状重合法、気相重合法、またはこれらの組み合わせからなる重合法が重合活性が高く、後処理も容易であるため好ましい。
【0028】
好ましくは成分(b)製造における重合速度は、触媒1g、1時間あたり成分(a)製造におけるの重合速度の2倍以上であるように重合条件によって調節される。より好ましくは3倍以上である。このときの重合温度は成分(a)の重合温度と同一でもよいし、異なっていてもよいが、通常20〜150℃、好ましくは35〜95℃の範囲が用いられる。成分(b)の重合速度が触媒1g、1時間あたり成分(a)の重合速度の2倍未満であると、生産効率に劣るのみならず、この重合体に要求される成分(a)、成分(b)の量比を達成することは困難となる場合がある。
【0029】
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)は、必要な場合に後処理として触媒の失活、脱溶剤、脱モノマー、乾燥、造粒などを行った後、製品として提供される。
【0031】
本発明で用いるプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系共重合体(A)1〜98重量部、下記プロピレン系共重合体(B)98〜1重量部及び下記プロピレン系重合体(C)1〜20重量部を含有する重合体組成物(ただし、プロピレン系共重合体(B)とプロピレン系重合体(C)が同一である場合を除き、かつプロピレン系共重合体(B)は、プロピレン系重合体(C)に対して、エチレン単位の含有量が2重量%以上多い、または、プロピレン系重合体(C)に対して、1−ブテン単位の含有量が4重量%以上多い共重合体である。)が好ましい。この重合体組成物が良好な均一延伸性を発現するためには、プロピレン系共重合体(A)3〜90重量部、プロピレン系共重合体(B)94〜7重量部及び下記プロピレン系重合体(C)3〜15重量部を含有する重合体組成物がより好ましい。また、ブロー成形可能な成形温度幅を広げるためにも、プロピレン系共重合体(C)を3重量%以上含有することが、より好ましい。なお、重合体組成物の合計は、100重量部になるように調整される。以下の重合体組成物についても同様である。
(B):プロピレンから誘導される繰り返し単位(以下、「プロピレン単位」と称する)の含有量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位(以下、「エチレン単位」と称する)の含有量0〜15重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位(以下、「1−ブテン単位」と称する)の含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体
【0032】
本発明において、ブロー成形可能な成形温度幅を広げるために、前記プロピレン系重合体(A)または重合体組成物100重量部に、さらに結晶造核剤0.5重量部以下を含有する重合体組成物が好ましい。さらに、前記プロピレン系重合体(A)または重合体組成物100重量部に、さらに結晶造核剤0.05〜0.5重量部を含有する重合体組成物がより好ましい。結晶造核剤が、0.5重量部を超えるとその効果は飽和し、余分にコストがかかる場合がある。また、プロピレン系重合体組成物中に結晶造核剤を含有させると射出成形サイクルが短縮化できるため好ましい。
結晶造核剤としては、例えばソルビトール系造核剤、特殊リン酸塩系造核剤、ポリビニルシクロアルカンなどが挙げられ、これらの一種または二種以上が用いられる。
【0033】
本発明の2軸延伸ブロー成形容器は、前記のプロピレン系重合体(A)または前記プロピレン系重合体組成物から構成される容器である。成形方法としては、1ステージ法でも2ステージ法でもよいが、特に、2ステージ法が良好なブロー成形性と容器物性を発現する点で好ましい。
【0034】
本発明で用いるプロピレン系重合体または重合体組成物は、重合後の溶融混練時に有機過酸化物の存在下、不存在下に公知の方法で、例えばメルトフローレートで代表される流動性を変化させることができる。
また、本発明で用いるプロピレン系重合体または重合体組成物には、必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、顔料などを含ませてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、耐衝撃性と透明性が良好であり、かつ均一延伸性に優れた2軸延伸ブロー成形用プロピレン系重合体または重合体組成物、及び2軸延伸ブロー成形容器が提供できる。
また、本発明の容器は、上記の優れた特性を有するため透明性、均一延伸性及び低温での耐衝撃性に優れ、各種液体の包装、輸送容器として最適である。
さらに、本発明の容器は、食品用容器、レトルト食品用容器、洗剤などの非食品用容器、輸液などの医療用容器などにも適している。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例中の各項目の測定は下記の方法で実施した。
(1)プロピレン系重合体成分(a)および成分(b)の割合
重合時の物質収支から求めた。
(2)コモノマー含量
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616頁以降に記載されている方法により、赤外分光法で測定した。
(3)Mw/Mn値
G.P.C.(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
(4)極限粘度
ウベローデ型粘度計を用いてテトラリン溶媒で135℃にて測定した。
(5)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kg−fで測定した。
(6)容器の偏肉(均一延伸性)
重合体組成物を用いて成形した中空容器における胴部中央の高さ10〜210mmの箇所を縦方向に幅1cmに試験片として切り出した。この試験片は各中空容器につき4面切り出した。この4面の試験片の厚さをミツトヨ製マイクロメーターを用いて測定し、最大値と最小値の差を計算した。
(7)アイゾット衝撃強度
加熱プレス機にて、230℃、5分間余熱後、30kgf/cm2に加圧してさらに5分間加熱し、その後冷却プレス機にて、30℃、30kgf/cm2に加圧、5分間冷却して所定のサンプルを得た。そのサンプルを、23℃、相対湿度50%の条件にて40時間以上静置後、その条件またはさらに温度0℃の恒温槽内で24時間以上静置後、JIS K7110に従い測定した。
(8)落下強度
重合体組成物を用いて成形した中空容器内に水を1kg充填し、該容器を5℃の低温恒温槽で24時間以上静置後、1.5mの高さからコンクリート床に容器の底を下にして10回繰り返し正立自由落下後、容器の変形、破損の有無を観察した。10本の試験容器の未破壊本数から残存率を測定した。
(9)透明性(ヘイズ)
成形した中空容器の高さ220mmの肩部を試験片として切り出し、JIS K7105に従い内部ヘイズを測定した。
【0037】
実施例1
(固体触媒の合成)
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間攪拌した後室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2kg/Lになるようにトルエンを加えた後、フタル酸ジイソブチル47.6モルを加え、95℃で30分間反応を行った。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行った。次いで、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン274モルを加え、105℃で3時間反応を行った。反応終了後同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4kg/Lに調整した後、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.4kgを得た。固体触媒成分はチタン原子1.8重量%、マグネシウム原子20.1重量%、フタル酸エステル8.4重量%、エトキシ基0.3重量%、ブトキシ基0.2重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
(固体触媒成分の予備活性化)
内容積3LのSUS製、攪拌機付きオートクレーブに十分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン3.75ミリモル、上記固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gを30分かけて連続的に供給して予備活性化を行った。
(プロピレン系重合体成分(a)の重合)
SUS製の内容積300Lの重合槽において、重合温度55℃、重合圧力27kg/cm2Gを保持するように液状プロピレンを57kg/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム76.8ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン7.95ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分1.24g/hを連続的に供給し、水素の実質的非存在下でプロピレン重合を行い、2.55kg/hの重合体が得られた。この時の重合体生成量は触媒1g、1時間あたり4100gであり、その一部をサンプリングして分析した結果、極限粘度は7.5dl/gであった。得られた重合体は失活することなく第二槽目に連続的に移送した。
(プロピレン系重合体成分(b)の重合)
内容積の1m3の攪拌機付き流動床反応器において、重合温度80℃、重合圧力18kg/cm2G、気相部の水素濃度3vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給しながら、第一槽目より移送された触媒含有重合体でのプロピレン重合を連続的に継続することにより15.9kg/hの重合体が得られた。このプロピレン系重合体(A)の極限粘度は2.3dl/gであった。また、このプロピレン系重合体(A)のMw/Mnは4.8であった。
以上の結果から成分(b)の重合時の重合体生成量は触媒1g、1時間あたり22000gであり、第一槽目と第二槽目の重合重量比は16:84であり、成分(b)の極限粘度は1.3dl/gと求められた。
(重合体のペレット化)
この重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業社製)0.2重量部を加えて混合、溶融混練し、MFRが5.1g/10分のペレット(X)を得た。
次に、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(B)(住友化学工業(株)製、ノーブレン、エチレン単位の含有量:4.2重量%、1−ブテン単位の含有量:4.1重量%)の粉末95重量%と、プロピレン単独重合体(C)粉末5重量%と、結晶造核剤(旭電化製アデカスタブNA21)を前記重合体混合物100重量%に対して0.2重量%配合し、さらにパーオキサイド存在下で溶融混練し、MFRが30g/10分になるように調整したペレット(Y)を得た。
最後にペレット(X)を20重量%、ペレット(Y)を80重量%混合、溶融混練後、MFRが30g/10分の重合体組成物を得た。
次に、前記重合体組成物を(株)日本製鋼所製射出成形機(J100E型)にてシリンダー温度190℃で射出成形し、直径29mm、長さ123mm、厚さ3.9mm、重量29gのプリフォームを得た。このプリフォームを(株)フロンティア製延伸ブロー成形機(EFB2000型)に供給して、赤外線ヒーターによる加熱、空気による冷却を行い、プリフォーム表面温度を110〜140℃に加熱調整した後、ストレッチロッドによる縦延伸、および圧縮空気によるブローを行い、容量1L、高さ275mm、幅72mmの角形2軸延伸ブロー成形容器を製造した。樹脂組成物の物性および得られた容器の評価結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(住友化学工業(株)製、ノーブレン、エチレン単位の含有量:2.2重量%、1−ブテン単位の含有量:6.0重量%)粉末95重量%と、プロピレン単独重合体5重量%と、結晶造核剤(旭電化製アデカスタブNA21)を前記重合体混合物100重量%に対して0.2重量%配合し、パーオキサイド存在下で溶融混練し、MFRが30g/10分になる様に調整した重合体組成物を得た。該重合体組成物を実施例1と同様に実施して2軸延伸ブロー成形容器を製造した。重合体組成物の物性および得られた容器の評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Claims (5)
- 下記プロピレン系重合体(A)1〜98重量部、プロピレン系共重合体(B)98〜1重量部及びプロピレン系重合体(C)1〜20重量部を含有する重合体組成物からなる2軸延伸ブロー成形容器(ただし、プロピレン系共重合体(B)とプロピレン系重合体(C)が同一である場合を除き、かつプロピレン系共重合体(B)は、プロピレン系重合体(C)に対して、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が2重量%以上多い、または、プロピレン系重合体(C)に対して、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量が4重量%以上多い共重合体である。)。
(A):第一段階でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体成分(a)を製造し、第二段階以降でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体成分(b)を連続的に製造して得られるプロピレン系重合体であり、かつ該プロピレン系重合体中の成分(a)の割合が0.05重量%以上25重量%未満、該プロピレン系重合体全体の極限粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満であるプロピレン系重合体
(B):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜15重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体
(C):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量100〜93重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜2重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなるプロピレン系重合体 - 下記プロピレン系重合体(A)1〜98重量部、プロピレン系共重合体(B)98〜1重量部及びプロピレン系重合体(C)1〜20重量部を含有する重合体組成物100重量部に、さらに結晶造核剤0.5重量部以下を含有する重合体組成物からなる2軸延伸ブロー成形容器(ただし、プロピレン系共重合体(B)とプロピレン系重合体(C)が同一である場合を除き、かつプロピレン系共重合体(B)は、プロピレン系重合体(C)に対して、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が2重量%以上多い、または、プロピレン系重合体(C)に対して、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量が4重量%以上多い共重合体である。)。
(A):第一段階でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体成分(a)を製造し、第二段階以降でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体成分(b)を連続的に製造して得られるプロピレン系重合体であり、かつ該プロピレン系重合体中の成分(a)の割合が0.05重量%以上25重量%未満、該プロピレン系重合体全体の極限粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満であるプロピレン系重合体
(B):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜15重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体
(C):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量100〜93重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜2重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなるプロピレン系重合体 - 下記プロピレン系重合体(A)1〜98重量部、プロピレン系共重合体(B)98〜1重量部及びプロピレン系重合体(C)1〜20重量部を含有する重合体組成物を用いて2軸延伸ブロー成形することを特徴とする2軸延伸ブロー成形容器の製造方法(ただし、プロピレン系共重合体(B)とプロピレン系重合体(C)が同一である場合を除き、かつプロピレン系共重合体(B)は、プロピレン系重合体(C)に対して、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が2重量%以上多い、または、プロピレン系重合体(C)に対して、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量が4重量%以上多い共重合体であ る。)。
(A):第一段階でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体成分(a)を製造し、第二段階以降でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体成分(b)を連続的に製造して得られるプロピレン系重合体であり、かつ該プロピレン系重合体中の成分(a)の割合が0.05重量%以上25重量%未満、該プロピレン系重合体全体の極限粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満であるプロピレン系重合体
(B):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜15重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体
(C):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量100〜93重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜2重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなるプロピレン系重合体 - 下記プロピレン系重合体(A)1〜98重量部、プロピレン系共重合体(B)98〜1重量部及びプロピレン系重合体(C)1〜20重量部を含有する重合体組成物100重量部に、さらに結晶造核剤0.5重量部以下を含有する重合体組成物を用いて2軸延伸ブロー成形することを特徴とする2軸延伸ブロー成形容器の製造方法(ただし、プロピレン系共重合体(B)とプロピレン系重合体(C)が同一である場合を除き、かつプロピレン系共重合体(B)は、プロピレン系重合体(C)に対して、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量が2重量%以上多い、または、プロピレン系重合体(C)に対して、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量が4重量%以上多い共重合体である。)。
(A):第一段階でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体成分(a)を製造し、第二段階以降でプロピレンを主成分とするモノマーを重合して極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体成分(b)を連続的に製造して得られるプロピレン系重合体であり、かつ該プロピレン系重合体中の成分(a)の割合が0.05重量%以上25重量%未満、該プロピレン系重合体全体の極限粘度が3dl/g未満、Mw/Mnが10未満であるプロピレン系重合体
(B):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量98〜60重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜15重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜25重量%からなるプロピレン系共重合体
(C):プロピレンから誘導される繰り返し単位の含有量100〜93重量%、エチレンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜2重量%、1−ブテンから誘導される繰り返し単位の含有量0〜5重量%からなるプロピレン系重合体 - 2軸延伸ブロー成形が2ステージ法による2軸延伸ブロー成形であることを特徴とする請求項3または4に記載の2軸延伸ブロー成形容器の製造方法。
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