JP3686191B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用空気調和装置に関し、特に一つのユニットケース内にエバポレータとヒータコアが設けられた自動車用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な自動車用空気調和装置においては、図5に示すように、外気又は内気を取り入れるインテークユニット10、取り入れられた空気を冷却するエバポレータ11が設けられたクーラユニット12、及び取り入れられた空気を加熱するヒータコア13が設けられ所望の温度の調和空気とするヒータユニット14が、車室内のインストルメントパネル下部に車両左右方向に延伸して取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車室内が狭小な小型車などにおいては、上述した自動車用空気調和装置を車両左右方向に延伸して取り付けると、乗員の足元スペースが狭くなるという問題があり、従来より、室内の余剰スペースを利用できるコンパクトな自動車用空気調和装置の開発が望まれていた。
【0004】
また、自動車用空気調和装置を設計する場合には、レイアウトの問題を解消する以前の問題として、適切な調和空気を供給するという本来的な機能を発揮させる必要があり、例えば、ユニットケース内の通気抵抗を最小限にするための配置や、車室内に吹出される空気の温度を所望の温度に調節するいわゆる温調性能を確保することが必要不可欠となる。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、コンパクト化され、加えて通気抵抗の低減や温調性能を高めた自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、ユニットケースと、前記ユニットケース内に収納され空気を冷却するエバポレータと、前記ユニットケース内に収納され空気を加熱するヒータコアと、前記ユニットケースに設けられ主として冷風を導出し車室内の乗員の上半身に向けて吹き出すための冷風吹出口と、前記ユニットケースに設けられ主として温風を導出する温風吹出口であって車室内の乗員の足下に向けて吹き出すためのフット吹出口およびフロントガラスやサイドガラスの内面に向けて吹き出すためのデフロスト吹出口と、を有し、前記エバポレータ以降の空気通路が、前記ヒータコアを通過する温風通路と、前記ヒータコアを迂回して流れる冷風通路とに分岐されてなる自動車用空気調和装置において、
前記エバポレータと前記ヒータコアとを略平行に配置し、
前記冷風通路を前記ユニットケースに沿って直線的に形成する一方、前記温風通路を前記冷風通路に対して湾曲して形成し、
前記冷風通路の側から順に、前記冷風吹出口、前記フット吹出口、前記デフロスト吹出口を配置し、
前記冷風吹出口と前記温風吹出口とを仕切ると共に前記温風吹出口と前記温風通路とを仕切る仕切壁に、主として冷風が流れ込む領域に臨む第1開口と、前記ヒータコアの空気出口に臨む第2開口とを形成し、
前記第1開口に、第1ドアを開閉自在に取り付け、
前記第2開口に、第2ドアを開閉自在に取り付け、
空調モードに応じて前記第1と第2のドアは開閉ないし開度調整され、
前記空調モードのうち、温風系空調モード時に、前記第2開口は開かれ、
前記空調モードのうち、前記冷風吹出口から導出した冷風を乗員の上半身に向けて吹出すと共に前記フット吹出口から導出した温風を乗員の足元に向けて吹出すバイレベルモード時に、前記第1開口は開かれ、前記第2開口は閉じられることを特徴とする自動車用空気調和装置である。
【0007】
かかる構成の自動車用空気調和装置は、ユニットケース内にエバポレータとヒータコアとが略平行に配置されているので、きわめてコンパクト化されたものとなり、車室内の余剰スペースを利用して配置することができる。また、冷風通路をユニットケースに沿って直線的に形成することにより、フルクール時における通気抵抗を低減することができ、急冷効果が高まることになる。さらに、温風系空調モード時に第2開口を開くことにより、温風通路の湾曲形状がヒータコアの空気出口からは直線形状に変更されるため、温風が通る経路の通気抵抗が著しく低減される。この結果、温風吹出口まで、騒音の増大を招くことなく大風量の温風を流下させることが可能となり、暖房性能や窓晴れ性能などを高めることが可能となる。しかも、バイレベルモード時に、第1開口は開かれ、第2開口は閉じられるので、ヒータコアを通過した温風は第2開口からフット吹出口へは流下せずに、湾曲形状をなす温風通路を通り、第1開口からフット吹出口に流下して、乗員の足元に向けて吹き出される。したがって、必要以上に多量の温風がフット吹出口に流下しないため、乗員の上半身に向けて吹き出される冷風と、足元に向けて吹き出される温風との温度差が大きくなり過ぎることはなく、快適な頭寒足熱タイプの空調を実現できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記ヒータコアが、前記エバポレータの上部に略水平に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、ヒータコアとエバポレータとは略平行であれば良く、両者を縦置き(空気の通過面が略鉛直をなす)に配置することも、両者を横置き(空気の通過面が略水平をなす)に配置することも、あるいは両者を斜め置きに配置することも可能であるが、請求項2に記載の発明のように、ヒータコアが、エバポレータの上部に略水平に設けられていることがより好ましい。このように、ヒータコアを上部に、エバポレータを下部に設けると、ユニットケースの高さ方向の寸法を所定内に抑えつつ、該ユニットケースの車両左右方向または前後方向の寸法を小さくすることができるため、ユニットケースの車室内における設置スペースを大幅に低減することが可能となる。また、エバポレータを下部に配置することにより、エバポレータで発生する凝縮水の排水構造が容易となる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記バイレベルモード時において、前記第2ドアは、開度が調整されて開閉されることを特徴とする。
【0015】
乗員の温度感覚や車両の使用環境は個々に異なるものであることから、上記のように構成すれば、バイレベルモード時の前記温度差を広範囲の中から所望に応じて設定することができ、ユーザの要望を広く受け入れることが可能となる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、前記第1ドアは、前記冷風吹出口に開閉自在に設けられた冷風吹出口用ドアと一体的に構成されていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、冷風吹出口用ドアの駆動系を流用して第1ドアを開閉できるため、第1ドア用の駆動系が複雑になることはない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態である自動車用空気調和装置のユニットを示す断面図である。
【0019】
図示するユニット21のユニットケース22内には、エバポレータ23と、ヒータコア24とが収納されている。これらヒータコア24およびエバポレータ23は、空気の通過面が略水平をなし、エバポレータ23の上部にヒータコア24が位置するように収納されている。エバポレータ23とヒータコア24との間には、エバポレータ23を通過した空気を案内する湾曲状の案内板25が形成されている。エバポレータ23には図示しない冷房サイクルからの冷媒が循環し、取り入れ空気との間で熱交換することにより当該取り入れ空気を冷却する。また、ヒータコア24にはエンジンの冷却水が循環し、当該ヒータコア24を通過する空気との間で熱交換することにより空気を加熱する。
【0020】
ユニット21は、図示しないインテークユニットに接続されており、インテークユニットにより取り入れられた外気および/または内気は、エバポレータ23の下側に形成された導入口26からユニットケース22内へ導入され、エバポレータ23を通過し、上方へ向かって流れる。
【0021】
このようにエバポレータ23とヒータコア24とを水平に上下に配置することで、ユニットケースの高さ方向の寸法を所定内に抑えつつ、該ユニットケースの車両左右方向又は前後方向の寸法を小さくすることができる。これにより、きわめてコンパクト化されたユニット21が構成され、ユニットケース22の車室内における設置スペースを大幅に低減することが可能となるため、車室内の余剰スペースを利用して配置することができる。
【0022】
ヒータコア24の近傍には、ヒータコア24を通過して混合室27へ流下する温風通路28が湾曲して形成されており、またヒータコア24を迂回してユニットケース22に沿ってそのまま混合室27へ上昇する冷風通路29が形成されている。換言すれば、ユニットケース22に沿って直線的に形成された冷風通路29に対して、ヒータコア24がオフセットされ、これにより温風通路28が湾曲して形成されている。また、ヒータコア24の前面であって、温風通路28と冷風通路29との分岐点には、ミックスドア30が回動可能に設けられている。
【0023】
このミックスドア30は、乗員が設定した温度に応じて、モータアクチュエータなどによってその開度が調節され、温風通路28を全閉するフルクール位置FC(図1の二点鎖線で示す位置)と、冷風通路29を全閉するフルホット位置FH(図1に実線で示す位置)との間を回動する。ミックスドア30の開度によって温風通路28へ流れる空気量と冷風通路29へ流れる空気量との比率が調節される。エバポレータ23を通過した空気は、ミックスドア30によって温風通路28と冷風通路29とに分岐され、温風通路28に導かれた空気はヒータコア24を通過することにより加熱される。一方、冷風通路29に導かれた空気はそのままの温度を維持するが、混合室27に流下すると温風通路28を通過した温風と混合することにより所望の温度に調節された空気となる。
【0024】
ユニットケース22の上部には、主として冷風を導出する冷風吹出口としてのベント吹出口31と、主として温風を導出する温風吹出口としてのフット吹出口32およびデフロスト吹出口33とが形成されている。フット吹出口32は、ユニットケース22の側面部にベント吹出口31に近接して形成されている。これらベント吹出口31、フット吹出口32およびデフロスト吹出口33は、それぞれ、車室内の乗員の上半身に向けて調和空気を供給するための吹出口、車室内の乗員の足下に向けて調和空気を吹き出すための吹出口、フロントガラスやサイドガラスの内面に向けて調和空気を吹き出すための吹出口である。また、ベント吹出口31を開閉するベントドア(冷風吹出口用ドアに相当する)34、デフロスト吹出口33およびフット吹出口32を開閉するデフ−フットドア35が開閉自在に取付けられ、空調モードに応じて各吹出口31,32,33を開閉するようになっている。
【0025】
特に、本実施の形態である自動車用空気調和装置のユニット21では、ユニットケース22の上部に、冷風吹出口31(ベント吹出口)と温風吹出口32,33(フット吹出口およびデフロスト吹出口)とを仕切ると共に温風吹出口32,33と温風通路28とを仕切る仕切壁40が設けられている。この仕切壁40には、混合室27のうち主として冷風が流れ込む領域に臨みフット吹出口32に近接する第1開口41と、ヒータコア24の空気出口24aに臨む第2開口42とが形成されている。また、第1開口41を開閉する第1ドア43、第2開口42を開閉する第2ドア44が開閉自在に取付けられ、空調モードに応じて第1開口41、第2開口42を開閉するようになっている。
【0026】
さらに、図示する実施例では、第1ドア43は、ベントドア34と一体的に構成され、全体としてバタフライドア45となっている。このバタフライドア45は、ベントドア34がベント吹出口31を閉じると第1ドア43も第1開口41を閉じ、ベントドア34がベント吹出口31を開くにつれて第1ドア43も第1開口41を開くように回動する。また、ベントドア34がベント吹出口31を最大限に開くと、この位置に回動したベントドア34によって第1開口41が閉じられるようになっている。第1ドア43とベントドア34とを一体化してバタフライドア45とすることにより、ベントドア34の駆動系を流用して第1ドア43も開閉できるため、第1ドア43用の駆動系が複雑にならない。
【0027】
次に、作用を説明する。
【0028】
上記構成の自動車用空気調和装置のユニット21によれば、インテークユニットからの空気は導入口26からユニットケース22内に導入され、エバポレータ23を通過することにより冷却される。このエバポレータ23を通過した空気は案内板25により案内されつつ上昇し、ミックスドア30に至る。このミックスドア30によって、エバポレータ23を通過した空気は、温風通路28と冷風通路29とに分岐され、温風通路28に導かれた空気はヒータコア24を通過して温風となって混合室27に流下し、冷風通路29に導かれた空気は冷風のまま混合室27に流下する。混合室27において温風と冷風とが混合され、所望の温度に調節された空気となる。
【0029】
混合室27の空気は、乗員が設定した空調モードに対応した吹出口31,32,33から吹き出される。空調モードは、車室内に設けられた空調モードレバーの操作などによって設定される。空調モードごとの空気の流れを図2および図3に基づいて説明する。
【0030】
図2(A)(B)は、主として温風を車室内に吹出す温風系空調モード時の空気の流れを示す図である。温風系空調モードには、乗員の足元に向けて温風を吹出して車室内の暖房を行うフットモードと、ガラスの曇り除去を行うデフロストモードとがあり、図2(A)は、フットモード時の空気の流れを示し、同図(B)は、デフロストモードの空気の流れを示す図である。
【0031】
図2(A)(B)に示すように、温風系空調モード時には、ベント吹出口31はベントドア34により全閉され、第1開口41も第1ドア43により全閉される一方、第2開口42が第2ドア44により全開される。そして、フットモードが選択されている場合には、図2(A)に示すように、デフ−フットドア35により、フット吹出口32が全開され、デフロスト吹出口33が全閉される。また、デフロストモードが選択されている場合には、図2(B)に示すように、デフ−フットドア35により、フット吹出口32が全閉され、デフロスト吹出口33が全開される。
【0032】
温風系空調モード時には第2開口42が開かれているので、ヒータコア24の空気出口24aが第2開口42に臨み、ヒータコア24を通過した温風が温風吹出口32,33に向けてそのまま流下する。ミックスドア30が冷風通路29を全閉するフルホット位置FH以外にあるときには、冷風通路29を流下してきた冷風は、混合室27において温風と混合され、所望の温度に調節された空気が温風吹出口32,33に向けて流下する。これにより、フットモード時には、主に温風を乗員の足元に向けて吹出して車室内の暖房を行うことができ、デフロストモード時には、主に温風をフロントガラスやサイドガラスの内面に向けて吹出してガラスの曇り除去を行うことができる。
【0033】
上記のように温風系空調モード時に第2開口42を開くことにより、温風通路28の湾曲形状がヒータコア24の空気出口24aからは直線形状に変更されるため、温風が通る経路の通気抵抗が著しく低減される。この結果、フット吹出口32またはデフロスト吹出口33まで、騒音の増大を招くことなく大風量の温風を流下させることが可能となり、暖房性能や窓晴れ性能を高めることが可能となる。
【0034】
なお、車室内を暖房しながら窓の曇りを防止するデフ/フットモードも温風系空調モードの一つであり、このデフ/フットモードの場合には図示省略するが、デフ−フットドア35により、フット吹出口32が大きく開かれ、デフロスト吹出口33が微開とされている。空気の流れは上述したのと同様であり、温風が通る経路の通気抵抗が低減される結果、暖房性能および窓晴れ性能を高めることが可能となる。
【0035】
図3(A)は、ベントモード時の空気の流れを示す図である。
【0036】
図3(A)に示すように、ベントモード時には、ベント吹出口31のみがベントドア34により全開され、デフロスト吹出口33はデフ−フットドア35により、フット吹出口32に連なる第1開口41はベントドア34により、第2開口42は第2ドア44により、それぞれ全閉される。
【0037】
ベントモード時には第1、第2開口41,42がともに閉じられているので、空気は、フット吹出口32およびデフロスト吹出口33に向けて流れない。ミックスドア30が温風通路28を全閉するフルクール位置FC以外にあるときには、温風通路28を流下してきた温風は、混合室27において冷風と混合され、所望の温度に調節された空気がベント吹出口31に向けて流下する。これにより、主に冷風を乗員の上半身に向けて吹出して車室内の冷房を行うことができる。
【0038】
ベントモード時には第2開口42が閉じられるので温風通路28は湾曲形状のままであるが、当該モードでは温風量が比較的少量であるため、温風通路28の通気抵抗が多少増加しようとも温調性能に支障を来すことはない。
【0039】
本実施の形態である自動車用空気調和装置のユニット21では、特に、ミックスドア30が温風通路28を全閉するとともにベント吹出口31のみが全開するフルクールモードにおいて、エバポレータ23を通過した冷風は、ユニットケース22に沿って直線的に冷風通路29を上昇するため、通気抵抗が小さく、急冷効果を高めることができる。
【0040】
また、冷房サイクルを作動させてエバポレータ23に冷媒を循環させると、取り入れ空気との間で熱交換が行われ、これによりエバポレータ23の表面に凝縮水が付着するが、本実施の形態である自動車用空気調和装置のユニット21では、エバポレータ23をユニットケース22の下部に配置しているので、凝縮水をそのままユニットケース22に落下させ、ドレン口36から排水することができる。
【0041】
図3(B)は、バイレベルモード時の空気の流れを示す図である。バイレベルモードは、ベント吹出口31から導出した冷風を乗員の上半身に向けて吹出すと共にフット吹出口32から導出した温風を乗員の足元に向けて吹出して、頭寒足熱タイプの空調モードである。
【0042】
図3(B)に示すように、バイレベルモード時には、ベント吹出口31がベントドア34により半開され、これに伴い第1開口41が第1ドア43により半開される。デフロスト吹出口33はデフ−フットドア35により、第2開口42は第2ドア44により、それぞれ全閉される。
【0043】
バイレベルモード時には第1開口41が半開されているので、温風通路28を流下してきた温風は第1開口41を通ってフット吹出口32に向けて主として流下し、冷風通路29を流下してきた冷風はベント吹出口31に向けて主として流下する。これにより、乗員の上半身には冷風が吹出される一方で、足元には温風が吹出され、頭寒足熱タイプの空調を行うことができる。
【0044】
特に、本実施の形態である自動車用空気調和装置のユニット21では、温風通路28の通気抵抗の低減を図る第2開口42および第2ドア44を設けてあるので、バイレベルモード時において、第2ドア44を開度制御して開閉することで、車室内に吹出されるフット風とベント風との温度差の制御を簡単に行うことができる。
【0045】
すなわち、図4に示されるバイレベルモードにおける温度特性線図から明らかなように、フット風とベント風との温度差は、第2開口42を全閉しているときを最小にし、第2ドア44を回動して第2開口42を弱開、中開にするにつれて大きくなり、第2開口42を全開にすると最大となる。バイレベルモード時のフット風とベント風との温度差いわゆる上下差温は、通常10〜30℃に設定するのが好ましいとされているが、乗員の温度感覚や車両の使用環境は個々に異なるものであることから、上下差温を広範囲の中から所望に応じて設定し得る本実施の形態のユニット21は、ユーザの要望を広く受け入れることが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1に記載の発明によれば、ユニットケース内にエバポレータとヒータコアとが略平行に配置されているので、きわめてコンパクト化された自動車用空気調和装置となる。したがって、車室内の余剰スペースを有効に利用して配置することができる。また、冷風通路をユニットケースに沿って直線的に形成することにより、フルクール時における通気抵抗を低減することができ、急冷効果が高まることになる。さらに、温風系空調モード時に第2開口を開くので、温風通路の湾曲形状がヒータコアの空気出口からは直線形状に変更され、温風が通る経路の通気抵抗が著しく低減される。この結果、温風吹出口まで、騒音の増大を招くことなく大風量の温風を流下させることが可能となり、暖房性能や窓晴れ性能などを高めることが可能となる。しかも、バイレベルモード時に、第1開口は開かれ、第2開口は閉じられるので、バイレベルモード時に必要以上に多量の温風がフット吹出口に流下しないため、乗員の上半身に向けて吹き出される冷風と、足元に向けて吹き出される温風との温度差が大きくなり過ぎることはなく、快適な頭寒足熱タイプの空調を実現できる。
【0047】
また、請求項2に記載の発明によれば、ユニットケースの高さ方向の寸法を所定内に抑えつつ、該ユニットケースの車両左右方向または前後方向の寸法を小さくすることができるため、ユニットケースの車室内における設置スペースを大幅に低減することが可能となる。また、エバポレータを下部に配置することにより、エバポレータで発生する凝縮水の排水構造が容易となる。
【0050】
また、請求項3に記載の発明によれば、バイレベルモード時の前記温度差を広範囲の中から所望に応じて設定することができ、乗員の温度感覚や車両の使用環境は個々に異なるものであることから、ユーザの要望を広く受け入れることが可能となる。
【0051】
また、請求項4に記載の発明によれば、冷風吹出口用ドアの駆動系を流用して第1ドアを開閉できるため、第1ドア用の駆動系が複雑にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である自動車用空気調和装置のユニットを示す断面図である。
【図2】 図2(A)(B)は、主として温風を車室内に吹出す温風系空調モード時の空気の流れを示す図であり、同図(A)は、フットモード時の空気の流れを示し、同図(B)は、デフロストモードの空気の流れを示す図である。
【図3】 図3(A)は、ベントモード時の空気の流れを示し、同図(B)は、バイレベルモードの空気の流れを示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態のバイレベルモードにおける温度特性線図を示すグラフである。
【図5】 従来の自動車用空気調和装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
21…自動車用空気調和装置のユニット
22…ユニットケース
23…エバポレータ
24…ヒータコア
24a…ヒータコアの空気出口
27…混合室
28…温風通路
29…冷風通路
31…ベント吹出口(冷風吹出口)
32…フット吹出口(温風吹出口)
33…デフロスト吹出口(温風吹出口)
34…ベントドア(冷風吹出口用ドア)
35…デフ−フットドア
40…仕切壁
41…第1開口
42…第2開口
43…第1ドア
44…第2ドア
Claims (4)
- ユニットケース(22)と、前記ユニットケース(22)内に収納され空気を冷却するエバポレータ(23)と、前記ユニットケース(22)内に収納され空気を加熱するヒータコア(24)と、前記ユニットケース(22)に設けられ主として冷風を導出し車室内の乗員の上半身に向けて吹き出すための冷風吹出口(31)と、前記ユニットケース(22)に設けられ主として温風を導出する温風吹出口(32,33)であって車室内の乗員の足下に向けて吹き出すためのフット吹出口(32)およびフロントガラスやサイドガラスの内面に向けて吹き出すためのデフロスト吹出口(33)と、を有し、前記エバポレータ(23)以降の空気通路が、前記ヒータコア(24)を通過する温風通路(28)と、前記ヒータコア(24)を迂回して流れる冷風通路(29)とに分岐されてなる自動車用空気調和装置において、
前記エバポレータ(23)と前記ヒータコア(24)とを略平行に配置し、
前記冷風通路(29)を前記ユニットケース(22)に沿って直線的に形成する一方、前記温風通路(28)を前記冷風通路(29)に対して湾曲して形成し、
前記冷風通路(29)の側から順に、前記冷風吹出口(31)、前記フット吹出口(32)、前記デフロスト吹出口(33)を配置し、
前記冷風吹出口(31)と前記温風吹出口(32,33)とを仕切ると共に前記温風吹出口(32,33)と前記温風通路(28)とを仕切る仕切壁(40)に、主として冷風が流れ込む領域に臨む第1開口(41)と、前記ヒータコア(24)の空気出口(24a)に臨む第2開口(42)とを形成し、
前記第1開口(41)に、第1ドア(43)を開閉自在に取り付け、
前記第2開口(42)に、第2ドア(44)を開閉自在に取り付け、
空調モードに応じて前記第1と第2のドア(43,44)は開閉ないし開度調整され、
前記空調モードのうち、温風系空調モード時に、前記第2開口(42)は開かれ、
前記空調モードのうち、前記冷風吹出口(31)から導出した冷風を乗員の上半身に向けて吹出すと共に前記フット吹出口(32)から導出した温風を乗員の足元に向けて吹出すバイレベルモード時に、前記第1開口(41)は開かれ、前記第2開口(42)は閉じられることを特徴とする自動車用空気調和装置。 - 前記ヒータコア(24)が、前記エバポレータ(23)の上部に略水平に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用空気調和装置。
- 前記バイレベルモード時において、前記第2ドア(44)は、開度が調整されて開閉されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用空気調和装置。
- 前記第1ドア(43)は、前記ベント吹出口(31)に開閉自在に設けられた冷風吹出口用ドア(34)と一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用空気調和装置。
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