JP3681722B2 - クッション体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクッション体の製造方法及びその製造装置に関する。本発明に係るクッション体は、後に取付けられる表皮カバーを固定する為の長い吊り溝が表面に凹設されたものである。本発明は、その吊り溝が表面よりも奥が幅広である場合の製造方法及びその製造装置に関する。本発明に係るクッション体は、自動車、電車、航空機、船舶等の乗り物用又は家具用の人が座ったときに背もたれ部となるシートバック、人が座ったときに着座部となるシートクッションに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
乗り物用や家具用のクッション体は一般的にポリウレタン発泡体によって形成される(例えば、特許文献1参照)。そのクッション体には布や革等の表皮カバーが被せられた後に組み付けられ、完成品としてのシートバック、シートクッション等となる。例えば、乗り物用のシートバック等の場合、得られたシートバック等が互いに組み付けられるとともにアームレスト等の他の部材も組み付けられてシートとなり、乗り物に組み付けられる。
【0003】
このため、クッション体には表皮カバーを固定するための所定の幅を有する吊り溝が表面から凹設されている。吊り溝の底部の内部には金属ワイヤー等の剛性を有する細長い固定部材が吊り溝に沿って一体的に埋設されている。一方、表皮カバーの裏面側には長細い袋体からなる吊り部材が縫い付けられており、吊り部材の中には金属ワイヤー等の長細い被固定部材が挿入されている。クッション体に表皮カバーを組付ける際には、表皮カバーの吊り部材及び被固定部材をクッション体の吊り溝に位置させ、吊り溝内で固定部材と被固定部材とをCリングと称する固定具により固定することが行われる。この固定具又はこの固定作業を当業界では「ホグリング」と称することもある。
【0004】
このようなクッション体を製造するためには次の製造装置が用いられる。その製造装置は、クッション体の表面側を形成する第1型と、第1型に対して開閉可能であり、クッション体の裏面側を形成する第2型とを有する発泡成形型を備えている。一般的に、第1型は基台に固定された固定型としての下型であり、第2型は下型に対してヒンジを介して回転するように開閉可能な可動型としての上型である。発泡成形型の下型の成形面には、吊り溝を形成可能な凸条が上型に向けて突出形成されており、上型と下型とを閉じたときにクッション体に対応した形状のキャビティが形成されるようになっている。
【0005】
そして、この製造装置によりクッション体を製造する場合、まず第1工程として、下型と上型とが開いているときに、凸条に沿って固定部材を固定する。この後、第2工程として、キャビティに発泡性原料を注入した後、第3工程として、下型と上型とを閉じ、発泡性原料を発泡させてキャビティ内に充填させる。これにより、凸条により吊り溝を形成するとともに、固定部材を一体的に埋設したクッション体を形成する。その後、第4工程として、下型と上型とを開いて下型からクッション体を脱型する。こうして得られたクッション体が表皮カバーとともにシートバック等とされ、シート又はソファとして乗り物や家具に用いられるのである。
【特許文献1】
特開2002−200626号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近、このようなクッション体において、美観向上のため、吊り溝の幅を可能な限り狭くすることが望まれている。しかし、吊り溝の幅を狭めれば狭めるほど、前記ホグリング作業が困難になる。
【0007】
このための解消策として、クッション体の吊り溝の表面の幅を狭くし、奥に行くほど幅広となる吊り溝に形成することが考えられる。これにより、美観の向上とホグリングの作業性維持とを両立させることができる。
【0008】
しかしながら、このようなクッション体を製造する場合、発泡成形型における下型の凸条は、吊り溝に対応し、根元よりも先端が幅広とする必要がある。このため、クッション体の脱型の際、吊り溝の底部にこの凸条がアンダーカットとなって引っ掛かり、吊り溝の底部で長手方向に沿った亀裂や破損が生じることが予想される。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、表面よりも奥が幅広の吊り溝を有するクッション体を製造する場合でも、亀裂や破損を生じることなくクッション体を製造することができるクッション体の製造方法及びその製造装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題解決のため、表面より奥が幅広の吊り溝を有するクッション体を製造する場合において、下型と発泡体との作動を詳細に観察した。そして、発明者らは、その場合、上型が開くときに発泡体は上型の移動とともに移動しようとするが、根元より先端が幅広の凸条によって発泡体の吊り溝部分の側壁の一部にアンダーカットが生じているため、その部分が凸条に掴まれた状態となることを見出した。また、発明者らは、この状態で上型が更に開くと、発泡体が吊り溝部分を折れ点(曲がり中心)として折れ曲がった状態となり、その後に凸条から外れてクッション体が脱型されることを見出した。そして、発明者らは、これらの知見から、亀裂や破損の発生の原因は、そのような折れ点(曲がり中心)で吊り溝が大きく開口するとき、吊り溝の底部において吊り溝の幅方向に大きな引っ張り力が発生し、限度を超える歪み(変形)が生じるためであることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、第1発明のクッション体の製造方法は、表面に長い吊り溝が凹設され、剛性を有する細長い固定部材が該吊り溝に沿って内部に一体的に埋設された発泡体製のクッション体の製造方法であって、
【0012】
該クッション体の表面側を形成する第1型と、該第1型に対して開閉可能であり、該クッション体の裏面側を形成する第2型とを有し、該第1型と該第2型とを閉じたときに該クッション体に対応した形状のキャビティが形成される発泡成形型を用い、
【0013】
該第1型の成形面には、該吊り溝を形成可能であり、根元よりも先端が幅広の凸条が該第2型に向けて突出形成され、
【0014】
該第2型には、該第1型と該第2型とを閉じたときに該凸条と対向し、該第2型とともに開閉方向に移動する保持手段が形成され、
【0015】
該第1型と該第2型とが開いているときに該凸条に沿って該固定部材を固定する第1工程と、
【0016】
該キャビティに発泡性原料を注入する第2工程と、
【0017】
該第1型と該第2型とを閉じ、該発泡性原料を発泡させて該キャビティ内に充填し、該凸条により表面よりも奥が幅広の該吊り溝を形成するとともに、該固定部材を一体的に埋設した該クッション体を形成する第3工程と、
【0018】
該第1型と該第2型とを開いて該第1型から該クッション体を脱型するとき、該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が移動して該凸条周りの該発泡体に該凸条から離れる方向の力を働かせる第4工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
クッション体は、発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有し得るが、第1発明の製造方法はその補材を必ずしも必要としないクッション体を製造するためのものである。この製造方法では、発泡成形型の第1型の成形面には、吊り溝を形成可能であり、根元よりも先端が幅広の凸条が第2型に向けて突出形成されている。また、発泡成形型の第2型には、第1型と第2型とを閉じたときに凸条と対向し、第2型とともに開閉方向に移動する保持手段が形成されている。そして、第3工程において、凸条により表面よりも奥が幅広の吊り溝を形成する。また、第4工程において、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が移動して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向の力を働かせる。このため、この製造方法によれば、型開き時に凸条周りの発泡体に過度の引き裂き力が生じない。
【0020】
したがって、この製造方法によれば、表面よりも奥が幅広の吊り溝を有するクッション体を製造する場合、亀裂や破損を生じることなくそのクッション体を製造することができる。
【0021】
発泡性原料としては、特に限定されるものではないが、ポリウレタン発泡体を形成するポリオール原料とイソシアネート原料との混合原料に適宜の発泡剤、触媒等を混合した原料が好ましい。また、そのような混合原料に発泡剤として炭酸ガスなどを混合した原料も適用可能である。
【0022】
第1発明の製造方法において、保持手段は、キャビティ内に突出するように形成され、第1型と第2型とを閉じたときに固定部材に接触して固定部材を保持可能なものであり得る。そして、第4工程で、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が固定部材を保持して移動し、固定部材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせる。この場合、第4工程において、第2型が開く力が保持部材を介して固定部材に直接作用し、この力が細長い固定部材の全長に伝わって作用するので、吊り溝の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体を第1型から脱型できる。こうして、この製造方法によっても、型開き時に凸条周りの発泡体に過度の引き裂き力が生じない。
【0023】
第1発明の製造方法において、固定部材がスチールワイヤーである場合、保持手段は磁石であり得る。そして、第4工程で、第2型の開方向への移動に伴って磁石がスチールワイヤーを磁着して移動し、スチールワイヤーを介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることができる。この場合、第4工程において、第2型が開く力が磁石を介して固定部材に作用し、この力が細長い固定部材の全長に伝わって作用するので、吊り溝の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体を第1型から脱型できる。また、第3工程において、発泡性原料の発泡流動時に固定部材が成形面方向へ位置ずれすることも防止できる。磁石としては、永久磁石の他、電磁石を採用することができる。
【0024】
第1発明の製造方法において、保持手段は、固定部材を機械的に係止して固定部材を保持可能なものであり得る。このような保持手段としては、固定部材がスチールワイヤーである場合、フックを採用することができる。そして、第4工程で、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が固定部材を機械的に係止して移動し、固定部材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることができる。この場合、第4工程において、第2型が開く力が保持手段を介して固定部材に安定して作用し、この力が細長い固定部材の全長に伝わって作用するので、吊り溝の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体を第1型から脱型できる。
【0025】
第1発明の製造方法において、クッション体は発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有し得る。補材としては、不織布、織布、紙、可撓性のあるプラスチックシート等を採用することができる。
【0026】
第1発明の製造方法において、クッション体が発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものである場合、保持手段はキャビティ内に突出する保持部材であり得る。そして、第1工程で、補材に形成された保持孔に保持部材を係止する。第3工程で、補材を発泡体と一体化する。第4工程で、第2型の開方向への移動に伴って保持部材が補材を保持したまま移動し、補材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせる。この場合、補材はクッション体を構成する発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高いため、補材に作用する力が保持部材の位置に限られずにその近傍にも及ぶ。このため、凸条周りで発泡体の亀裂や破損をより安定的に防止してクッション体を第1型から脱型できる。また、この場合には、補材に保持部材を通すだけで力を働かせる位置を決めることができるため、優れた作業性を発揮することができる。
【0027】
第1発明の製造方法において、クッション体が発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものである場合、保持手段は第2型の成形面に取り付けられた面ファスナであり得る。そして、第1工程で、補材の一面を面ファスナに係止する。第3工程で、補材の他面を発泡体と一体化する。第4工程で、第2型の開方向への移動に伴って面ファスナが補材を保持したまま移動し、補材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせる。この場合、補材は面ファスナに係止し易い不織布であることが好ましい。こうして、補材はクッション体を構成する発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高いため、吊り溝の長手方向に沿って連続した広い範囲で安定した力を作用させることができる。このため、凸条周りで発泡体の亀裂や破損をより確実に防止してクッション体を第1型から脱型できる。また、この場合には、補材に孔を形成する必要が無く、優れた作業性を発揮する。
【0028】
第1発明の製造方法において、保持手段は吊り溝に沿って間隔を保って複数箇所設けられ、第4工程で、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が吊り溝の長手方向に沿った複数箇所の位置で凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが好ましい。この場合、吊り溝の長手方向の複数箇所で凸条周りに力を作用させられるので、凸条の長手方向に沿って安定した力を作用させることができる。
【0029】
第2発明のクッション体の製造装置は、表面に長い吊り溝が凹設され、剛性を有する細長い固定部材が該吊り溝に沿って内部に一体的に埋設された発泡体製のクッション体の製造装置であって、
【0030】
該クッション体の表面側を形成する第1型と、該第1型に対して開閉可能であり、該クッション体の裏面側を形成する第2型とを有し、該第1型と該第2型とを閉じたときに該クッション体に対応した形状のキャビティが形成される発泡成形型を備え、
【0031】
該第1型の成形面には、該吊り溝を形成可能であり、根元よりも先端が幅広の凸条が該第2型に向けて突出形成され、
【0032】
該第2型には、該第1型と該第2型とを閉じたときに該凸条と対向する部分又はその近傍に位置し、該第2型とともに開閉方向に移動する保持手段が形成され、
【0033】
該第1型と該第2型とが開いているときに該凸条に沿って該固定部材を固定し、該キャビティに発泡性原料を注入し、該第1型と該第2型とを閉じ、該発泡性原料を発泡させて該キャビティ内に充填し、該凸条により表面よりも奥が幅広の該吊り溝を形成するとともに、該固定部材を一体的に埋設した該クッション体を形成し、該第1型と該第2型とを開いて該第1型から該クッション体を脱型するとき、該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が移動して該凸条周りの該発泡体に該凸条から離れる方向の力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0034】
第2発明の製造装置は補材を必ずしも必要としないクッション体を製造するためのものである。この製造装置は上記第1発明の製造方法と実質同一の作用効果を奏する。
【0035】
したがって、この製造装置によっても、表面よりも奥が幅広の吊り溝を有するクッション体を製造する場合、亀裂や破損を生じることなくそのクッション体を製造することができる。
【0036】
第2発明の製造装置において、保持手段は、キャビティ内に突出するように形成され、第1型と第2型とを閉じたときに固定部材に接触して固定部材を保持可能なものであり得る。そして、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が固定部材を保持したまま移動し、固定部材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成され得る。この場合、第2型が開く力が保持部材を介して固定部材に直接作用し、この力が細長い固定部材の全長に伝わって作用するので、吊り溝の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体を第1型から脱型できる。こうして、この製造装置によっても、型開き時に凸条周りの発泡体に過度の引き裂き力が生じない。
【0037】
第2発明の製造装置においても、固定部材が磁性材料からなる場合、保持手段はその固定部材を磁着可能な磁石であり得る。そして、第2型の開方向への移動に伴って磁石が固定部材を磁着して移動し、固定部材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成され得る。この場合、第4工程において、第2型が開く力が磁石を介して固定部材に作用し、この力が細長い固定部材の全長に伝わって作用するので、吊り溝の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体を第1型から脱型できる。また、第3工程において、発泡性原料の発泡流動時に固定部材が成形面方向へ位置ずれすることも防止できる。磁石としては、永久磁石の他、電磁石を採用することができる。
【0038】
第2発明の製造装置においても、保持手段は、固定部材を機械的に係止して固定部材を保持可能なものであり得る。このような保持手段としては、固定部材がスチールワイヤーである場合、フックを採用することができる。そして、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が固定部材を機械的に係止して移動し、固定部材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成され得る。この場合、第4工程において、第2型が開く力が保持手段を介して固定部材に安定して作用し、この力が細長い固定部材の全長に伝わって作用するので、吊り溝の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体を第1型から脱型できる。
【0039】
第2発明の製造装置において、クッション体は発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有し得る。補材としては、不織布、紙、可撓性のあるプラスチックシート等を採用することができる。
【0040】
第2発明の製造装置において、クッション体が発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものである場合、保持手段はキャビティ内に突出する保持部材であり得る。そして、補材に形成された保持孔に保持部材を係止し、補材を発泡体と一体化し、第2型の開方向への移動に伴って保持部材が補材を保持したまま移動し、補材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成され得る。この場合、補材はクッション体を構成する発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高いため、補材に作用する力が保持部材の位置に限られずにその近傍にも及ぶ。このため、凸条周りで発泡体の亀裂や破損をより安定的に防止してクッション体を第1型から脱型できる。また、この場合には、補材に保持部材を通すだけで力を働かせる位置を決めることができるため、優れた作業性を発揮することができる。
【0041】
保持部材の先端には、補材を通ったときに補材を係止する係止部を有することが好ましい。これにより、保持部材が補材を通って先端が補材の裏面から突出するように補材を容易に装着することができる。
【0042】
その係止部は、先端がクッション体の取り出し方向に屈曲していることができる。この場合、第4工程において、係止部が補材とその周辺のクッション体を引き上げるため、クッション体をより安定して移動させることができる。また、係止部がクッション体の取り出し方向を向いているため、第4工程後の取り出し時に引っ掛かりが少なく、亀裂や破損を生じずに取り出し易い。
【0043】
第2発明の製造装置において、クッション体が発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものである場合、保持手段は第2型の成形面に取り付けられた面ファスナであり得る。そして、補材の一面を面ファスナに係止し、補材の他面を発泡体と一体化し、第2型の開方向への移動に伴って面ファスナが補材を保持したまま移動し、補材を介して凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成され得る。この場合、補材はクッション体を構成する発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高いため、吊り溝の長手方向に沿って連続した広い範囲で安定した力を作用させることができる。このため、凸条周りで発泡体の亀裂や破損をより確実に防止してクッション体を第1型から脱型できる。また、この場合には、補材に孔を形成する必要が無く、優れた作業性を発揮する。
【0044】
第2発明の製造装置において、保持手段は吊り溝に沿って間隔を保って複数箇所設けられ、第2型の開方向への移動に伴って保持手段が吊り溝の長手方向に沿った複数箇所の位置で凸条周りの発泡体に凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成され得る。この場合、吊り溝の長手方向の複数箇所で凸条周りに力を作用させられるので、凸条の長手方向に沿って安定した力を作用させることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【0046】
(実施形態1)
実施形態1では、図1に示すように、自動車用シートのシートバックとなる発泡体製のクッション体1を製造する方法及びその装置について説明する。図1はクッション体1を表面側から見た全体斜視図である。図2は図1のII−II線に沿った横断面図である。図3は吊り溝部分の部分拡大図である。
【0047】
このクッション体1は、図2にも示すように、クッション本体1aの下側で裏側に向けて折れ曲がり状に形成される下端部1bと、上側で内部に空間を有するように折り返し状に形成されるスリッパ部1cを一体に備えている。本体部1aの表面には長い吊り溝2が凹設されている。クッション体1は布状の補材3を裏面に一体的に有している。図3に示すように、吊り溝2は表面よりも奥が幅広になっている。この吊り溝2の底部には、剛性を有する細長い固定部材としてのスチールワイヤー4が吊り溝2の長手方向に沿って一体的に埋設されている。補材3は、多数の繊維を絡めた不織布であり、発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高いものである。このクッション体1はその後の工程で布や革等の表皮カバー5が被せられた後に車体に組み付けられ、完成品としてのクッション体1となる。この表皮カバー5の裏面側には長細い袋体からなる吊り部材5aが縫い付けられており、吊り部材5a内には被固定部材としてのスチールワイヤー5bが挿入されている。ホグリングの際、表皮カバー5の吊り部材5a及びスチールワイヤー5bをクッション体1の吊り溝2に位置させ、吊り溝2内でスチールワイヤー4とスチールワイヤー5bとを固定具としてのCリング6により連結固定する。なお、図1において、符号7はヘッドレストの支柱を挿入するための孔であり、符号1dはクッション体1のサイド部である。
【0048】
上記クッション体1を製造するため、図4及び図5に示す発泡成形型10を備えた製造装置を用意する。発泡成形型10は、クッション体1の表面側を形成する下型11と、ヒンジ中心O回りで下型11に対して開閉可能で、クッション体1の裏面側を形成する上型12とからなる。下型11は図示しない基台に固定された固定型であり、上型12は上型本体13とともに同一方向に回転するように開閉可能な可動型である。下型11には吊り溝2を形成可能な凸条11aが上型12に向けて突出形成されている。なお、上型12は、その表面側に上側に向けて突出するアーム12aを有しており、その先端には上型本体13が開方向に移動するときに本体13の一部であるスリッパ形成部13aに引っ掛かって上型12を開方向に移動させるための略く字状の引っ掛かり部12bを有している。また、上型12には、クッション体1の上型12のスリッパ部1cの裏側空間を形成するための突出部12cが形成されている。この突出部12cは、後述するようにクッション体1を脱型するときにクッション体1を保持して上型12の移動方向に移動させる。
【0049】
各凸条11aは根元よりも先端が幅広であり、先端が幅方向で丸く形成されている。各凸条11aの先端には第1永久磁石11bが埋設されている。上型12には補材3を保持するための保持手段である複数個の保持部材21が螺着されている。より詳細には、図6及び図7に示すように、凸条11aに沿う方向で間隔を保って複数箇所に保持部材21が螺着されている。各保持部材21は型閉め時に上型12の成形面から下型11の成形面に向けて突出しており、各保持部材21の補材3の厚さを超えた先端側には根元より大径の係止部21aが形成されている。なお、上型12のヒンジ中心Oに近い部分にも同様の保持部材22が補材3の固定のために設けられている。これら保持部材21、22の発泡成形型10への固着方法は、螺着の他、溶接、接着あるいはこれらの併用等が考えられる。また、発泡成形型10と一体に保持部材21、22を形成することもできる。図5に示すように、下型11と上型12とを閉じたときには、下型11と上型12と上型本体13との各成形面によってクッション体1に対応した形状の実質的に密閉されたキャビティCが形成されるようになっている。図4及び図5において、矢印P1、P2はそれぞれ上型本体13及び上型12の開方向を示す。また、前記各図から明らかなように、型開きのときには、先ず上型本体13が矢印P1の開方向に移動し、上型本体13のスリッパ形成部13aが上型12の引っ掛かり部12bに接し、その後に上型12が矢印P2の開方向に移動して型開きが行われる。
【0050】
この製造装置によりクッション体1を製造する場合、まず第1工程として、図4に示すように、下型11と上型12とが開いているときに、固定部材であるスチールワイヤ4を第1永久磁石11bの磁着によって凸条11aに沿って固定する。また、各保持部材21が補材3に予め形成した保持孔3a(図3参照)を通って先端が補材3の裏面から突出するように補材3を上型12の成形面に沿って装着する。この際、係止部21aによって装着した補材3が上型12から脱落しないようになっている。
【0051】
そして、第2工程として、キャビティCに液状ポリオールと同イソシアネートとの混合材料等の公知の発泡性原料を注入する。この後、第3工程として、図5に示すように、上型12を下型11に向かって移動させて型閉じを行い、発泡性原料を発泡させ、発泡に伴う体積膨張でキャビティC内に充填させて柔軟で弾性力に富んだポリウレタン発泡体を形成する。この工程において、凸条11aにより吊り溝2を形成し、係止部21aを含めて保持部材21を外側から包み込むとともに、スチールワイヤー4を一体的に埋設し、かつ補材3を一体的に接合したクッション体1を形成する。なお、ポリウレタン発泡体は、補材3と溶接で接合するとともに、補材3の繊維間の隙間に入り込んでアンカー効果によりしっかりと固着され、さらに接合部分ではポリウレタン発泡体の気泡が潰されてポリウレタン樹脂分(非発泡分)が内部のポリウレタン発泡体よりも多くなって密度が高くなり、これに伴って内部よりも剛性が高くなっている。これにより、裏面側では補材3の剛性との相乗作用により補材3単体の剛性よりも剛性が高くなっている。
【0052】
その後、第4工程として、図8に示すように、上型12を下型11に対して開く。すなわち、先ず上型本体13が矢印P1の開方向に移動してスリッパ形成部13aが上型12の引っ掛かり部12bに接触し、次いで上型本体13がさらに移動するのに伴って上型12を矢印P2の開方向に移動させる。また、このとき、スリッパ形成部13aと突出部12cとの間にスペースSが形成され、後述するようにクッション体1を上型12から脱型する際にこのスペースSを通して脱型が行われる。この型開きの際、上型12の開方向への移動に伴い、保持部材21が移動し、保持部材21がその係止部21aによってクッション体1と補材3とを開方向に移動させ、補材3を介して補材3と一体化したクッション体1を移動させることにより凸条11a周りの発泡体に凸条11aから離れる方向に力を働かせる。すなわち、上型12が開方向に移動するとき、上型12の突出部12がクッション体1のスリッパ部1c矢印P2方向に移動させてクッション体1を下型11から剥がすように作用すると同時に、凸条11aの部分においても、保持部材21がヒンジ中心Oを基準として突出部12と同一角度だけ移動してクッション対を下型11から剥がすように作用する。このため、型開きの際にクッション体1が凸条11a、吊り溝2の部分で折れ曲がったりせず、吊り溝2内に過度の局部的引っ張り力が生じない。特に、補材3は、クッション体1の大部分を構成する発泡体よりも剛性を有し、かつ発泡体と一体化しているので、補材3に作用する力が保持部材21の位置に限られずにその近傍の発泡体にも広く及ぶ。このため、この製造方法によれば、型開き時に凸条11a周りの発泡体に過度の引き裂き力が生じない。また、保持部材21が凸条11aに沿う方向で間隔を保って複数箇所に設けられているため、吊り溝2の長手方向の複数箇所で凸条11a周りの発泡体に力を作用させられるので、凸条11aの長手方向に沿って安定した力を作用させることができる。こうして、下型11からクッション体1を脱型する。
【0053】
したがって、この製造方法によれば、表面よりも奥が幅広の吊り溝2を有するクッション体1を製造する場合、亀裂や破損を生じることなくそのクッション体1を製造することができる。また、この製造方法によれば、第1工程において、保持部材21を通すだけで補材3の位置を決めることができるため、優れた作業性を発揮することができる。
【0054】
そして、上型12を下型11に対して完全に開けば、発泡成形型10は図9に示す状態となる。この状態において、クッション体1の下方を手前(上型12の成形面から離れる方向)に引っ張り、クッション体1の下方を上型12から外すとともに、保持部材21、22を抜き、クッション体1をスリッパ部1cの折り返し部の折り返しと反対方向に向かって移動させ、スペースSを通して上型12からも脱型する。こうして得られたクッション体1には、図3に示すように、凸条11aによって表面よりも奥が幅広の吊り溝2が凹設される。このクッション体1は、表皮カバー5やフレーム(図示せず)とともにシートバック等とされ、シートとして自動車に用いられる。このシートは、クッション体1の吊り溝2の表面側の幅が狭いため、開口付近にへたりや落ち込みが生じることがなく、表皮カバーの美観が向上している。一方、クッション体1の吊り溝2は奥側に行くほど幅が拡大しているため、ホグリングの作業性に低下を来たさない。
【0055】
(実施形態2)
実施形態2の製造方法では図10に示す発泡成形型10を用いる。この発泡成形型10の上型12には、凸条11aに沿って補材3を保持するための複数個の保持部材23が螺着されている。各保持部材21の先端には、第4工程後のクッション体1の取り出し方向と同じ方向に屈曲した係止部23aが形成されている。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
この場合、第4工程において、係止部23aが補材3とその周辺のクッション体1を引き上げるため、クッション体1をより安定して移動させることができる。また、係止部23aがクッション体1の取り出し方向を向いているため、第4工程後の取り出し時に引っ掛かりが少なく、亀裂や破損を生じずに取り出し易い。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0057】
(実施形態3)
実施形態3の製造方法では図11に示す発泡成形型10を用いる。この発泡成形型10の上型12には、凸条11aに沿って補材3を保持するための1本のテープ状の又は複数個の面ファスナの雄24が接着等により固定されている。なお、面ファスナとしては、「ベルクロ」(登録商標)等の商品名で販売されている市販品を採用できる。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
この場合、補材3を上型12に装着する際、面ファスナの雄24の多数の突起が補材3の繊維の隙間の中に入り込んで繊維に引っ掛かり、補材3が装着される。また、クッション体1の発泡成形の際に発泡圧力により補材3が上型12の成形面に押し付けられるので、面ファスナの雄24は全体に亘って補材3と良く係止する。このため、吊り溝2の長手方向に沿って連続した広い範囲で安定した力を作用させることができる。また、第1工程において、補材3に孔を形成する必要が無く、優れた作業性を発揮する。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0059】
(実施形態4)
実施形態4の製造方法では図12に示す発泡成形型10を用いる。この発泡成形型10の上型12には、凸条11aに沿ってスチールワイヤー4を保持するための複数個の保持部材25が螺着されている。各保持部材25の先端にはスチールワイヤー4を磁着可能な第2永久磁石25aが埋設されている。第2永久磁石25aと第1永久磁石11bとの極性は逆になっており、スチールワイヤー4の保持位置を下型11を基準にして決める場合には、第2永久磁石25aの磁力は第1永久磁石11bの磁力よりも弱く又は小さい形状に設定されていることが好ましい。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
この場合、第4工程において、上型12が開く力が第2永久磁石25aを介してスチールワイヤー4に作用し、この力が細長いスチールワイヤー4の全長に伝わって作用するので、吊り溝2の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体1を下型11から脱型できる。また、第3工程において、発泡性原料の発泡流動時にスチールワイヤー4が所定の固定位置から位置ずれすることも防止できる。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0061】
(実施形態5)
実施形態5の製造方法では図13に示す発泡成形型10を用いる。この発泡成形型10の上型12には、凸条11aに沿ってスチールワイヤー4を保持するための複数個の保持部材26が螺着されている。各保持部材26の先端にはスチールワイヤー4を引掛け可能なフック26aが弾性変形可能に設けられている。他の構成は実施形態1と同一であるため、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0062】
この場合、フック26aは、上型12を下型11に閉じる際、スチールワイヤー4と接触し、破線で示すように、一旦変形した後、復元力によってスチールワイヤー4と係止する。そして、第4工程において、上型12が開く力がフック26aを介してスチールワイヤー4に安定して作用し、この力が細長いスチールワイヤー4の全長に伝わって作用するので、吊り溝2の長手方向に沿う広範囲で発泡体の亀裂や破損を防止してクッション体1を下型11から脱型できる。また、脱型中に係止が外れることがなく、安定して下型11から脱型できる。他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0063】
(比較形態)
比較形態の製造方法では図14に示す発泡成形型10を用いる。この発泡成形型10の上型12には、凸条11aに沿って何も設けられていない。
【0064】
この場合、上記実施形態1〜5の製造方法及び製造装置と異なり、クッション体1の脱型の際、吊り溝2の底部に吊り溝2の長手方向に沿った亀裂clが生じ易かった。より具体的に説明すると、型開きの際に上型12が矢印P2の方向に移動すると、突出部12cがスリッパ部1cを下型11から離れる方向に移動させる。一方、凸条11aの部分においては、クッション体1に凸条11aが食い込んでいるために、この部分ではクッション体1が下型11から離れる方向に移動するのが阻止される。この結果、クッション体1は薄肉になっている凸条11aの部分に沿って折れ曲がり状に変形し、形成された吊り溝2の底部に矢印×で示す方向の限度を超える拡開方向の歪みが発生して亀裂が発生すると推定する。このことは本発明の効果が顕著であることの証憑となる。
【0065】
なお、本発明において、発泡成形型に関し、製造されるクッション体の形状によっては、可動型である上型と同期して、固定型である下型から離れる方向に移動する中子型を組み合わせて用いる場合もある。本発明では、このような中子型は第2型の範疇に含まれるものとしている。また、本発明は各実施形態のシートバックの製造方法及び製造装置に限定されるものではないことは前述のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のクッション体の斜視図である。
【図2】実施形態1のクッション体に係り、図1のII−II矢視断面図である。
【図3】実施形態1のクッション体の要部拡大断面図である。
【図4】実施形態1に係り、型開き状態の発泡成形型の断面図である。
【図5】実施形態1に係り、型閉じ状態の発泡成形型の断面図である。
【図6】実施形態1に係り、型閉じ状態の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【図7】実施形態1に係り、型閉じ状態の発泡成形型等の図6と直交する方向の要部拡大断面図である。
【図8】実施形態1に係り、型開き途中の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【図9】実施形態1に係り、型開き後の発泡成形型等の断面図である。
【図10】実施形態2に係り、型閉じ状態の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【図11】実施形態3に係り、型閉じ状態の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【図12】実施形態4に係り、型閉じ状態の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【図13】実施形態5に係り、型閉じ状態の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【図14】比較形態に係り、型開き途中の発泡成形型等の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
4…固定部材(スチールワイヤー)
2…吊り溝
1…クッション体
11…第1型(下型)
12…第2型(上型)
11a…凸条
C…キャビティ
10…発泡成形型
21、23、24、25、26、3…保持手段(21、23、25、26…保持部材、24…面ファスナ、3…補材)
21a、23a…係止部
25a…第2永久磁石
26a…フック
Claims (16)
- 表面に長い吊り溝が凹設され、剛性を有する細長い固定部材が該吊り溝に沿って内部に一体的に埋設された発泡体製のクッション体の製造方法であって、
該クッション体の表面側を形成する第1型と、該第1型に対して開閉可能であり、該クッション体の裏面側を形成する第2型とを有し、該第1型と該第2型とを閉じたときに該クッション体に対応した形状のキャビティが形成される発泡成形型を用い、
該第1型の成形面には、該吊り溝を形成可能であり、根元よりも先端が幅広の凸条が該第2型に向けて突出形成され、
該第2型には、該第1型と該第2型とを閉じたときに該凸条と対向し、該第2型とともに開閉方向に移動する保持手段が形成され、
該第1型と該第2型とが開いているときに該凸条に沿って該固定部材を固定する第1工程と、
該キャビティに発泡性原料を注入する第2工程と、
該第1型と該第2型とを閉じ、該発泡性原料を発泡させて該キャビティ内に充填し、該凸条により表面よりも奥が幅広の該吊り溝を形成するとともに、該固定部材を一体的に埋設した該クッション体を形成する第3工程と、
該第1型と該第2型とを開いて該第1型から該クッション体を脱型するとき、該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が移動して該凸条周りの該発泡体に該凸条から離れる方向の力を働かせる第4工程とを備えることを特徴とするクッション体の製造方法。 - 前記保持手段は、前記キャビティ内に突出するように形成され、前記第1型と前記第2型とを閉じたときに前記固定部材に接触して該固定部材を保持可能なものであり、
前記第4工程で、該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が該固定部材を保持して移動し、該固定部材を介して前記凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることを特徴とする請求項1記載のクッション体の製造方法。 - 前記固定部材はスチールワイヤーであり、前記保持手段は磁石を有し、
前記第4工程で、前記第2型の開方向への移動に伴って該磁石が該スチールワイヤーを磁着して移動し、該スチールワイヤーを介して前記凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることを特徴とする請求項2記載のクッション体の製造方法。 - 前記保持手段は、前記固定部材を機械的に係止して該固定部材を保持可能なものであり、
前記第4工程で、該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が該固定部材を機械的に係止して移動し、該固定部材を介して前記凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることを特徴とする請求項2記載のクッション体の製造方法。 - 前記クッション体は、前記発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものであり、
前記保持手段は、前記キャビティ内に突出する保持部材であり、
前記第1工程で、該補材に形成された保持孔に該保持部材を係止し、
前記第3工程で、該補材を該発泡体と一体化し、
前記第4工程で、該第2型の開方向への移動に伴って該保持部材が該補材を保持したまま移動し、該補材を介して該凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることを特徴とする請求項1記載のクッション体の製造方法。 - 前記クッション体は、前記発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものであり、
前記保持手段は、前記第2型の成形面に取り付けられた面ファスナであり、
前記第1工程で、該補材の一面を該面ファスナに係止し、
前記第3工程で、該補材の他面を該発泡体と一体化し、
前記第4工程で、該第2型の開方向への移動に伴って該面ファスナが該補材を保持したまま移動し、該補材を介して該凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることを特徴とする請求項1記載のクッション体の製造方法。 - 前記保持手段は前記吊り溝に沿って間隔を保って複数箇所設けられ、
前記第4工程で、前記第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が該吊り溝の長手方向に沿った複数箇所の位置で該凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のクッション体の製造方法。 - 表面に長い吊り溝が凹設され、剛性を有する細長い固定部材が該吊り溝に沿って内部に一体的に埋設された発泡体製のクッション体の製造装置であって、
該クッション体の表面側を形成する第1型と、該第1型に対して開閉可能であり、該クッション体の裏面側を形成する第2型とを有し、該第1型と該第2型とを閉じたときに該クッション体に対応した形状のキャビティが形成される発泡成形型を備え、
該第1型の成形面には、該吊り溝を形成可能であり、根元よりも先端が幅広の凸条が該第2型に向けて突出形成され、
該第2型には、該第1型と該第2型とを閉じたときに該凸条と対向する部分又はその近傍に位置し、該第2型とともに開閉方向に移動する保持手段が形成され、
該第1型と該第2型とが開いているときに該凸条に沿って該固定部材を固定し、該キャビティに発泡性原料を注入し、該第1型と該第2型とを閉じ、該発泡性原料を発泡させて該キャビティ内に充填し、該凸条により表面よりも奥が幅広の該吊り溝を形成するとともに、該固定部材を一体的に埋設した該クッション体を形成し、該第1型と該第2型とを開いて該第1型から該クッション体を脱型するとき、該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が移動して該凸条周りの該発泡体に該凸条から離れる方向の力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とするクッション体の製造装置。 - 前記保持手段は、前記キャビティ内に突出するように形成され、前記第1型と前記第2型とを閉じたときに前記固定部材に接触して該固定部材を保持可能なものであり、
該第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が該固定部材を保持したまま移動し、該固定部材を介して前記凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載のクッション体の製造装置。 - 前記固定部材は磁性材料からなり、前記保持手段は該固定部材を磁着可能な磁石を有し、
前記第2型の開方向への移動に伴って該磁石が該固定部材を磁着して移動し、該固定部材を介して前記凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする請求項9記載のクッション体の製造装置。 - 前記保持手段は、前記固定部材を機械的に係止して該固定部材を保持可能なものであり、
前記第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が該固定部材を機械的に係止して移動し、該固定部材を介して前記凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする請求項9記載のクッション体の製造装置。 - 前記クッション体は、前記発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものであり、
前記保持手段は、前記キャビティ内に突出する保持部材であり、
該補材に形成された保持孔に該保持部材を係止し、該補材を該発泡体と一体化し、該第2型の開方向への移動に伴って該保持部材が該補材を保持したまま移動し、該補材を介して該凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載のクッション体の製造装置。 - 前記保持部材の先端には、前記補材を通ったときに該補材を係止する係止部を有することを特徴とする請求項12記載のクッション体の製造装置。
- 前記係止部は、先端が前記クッションの取り出し方向に屈曲していることを特徴とする請求項13記載のクッション体の製造装置。
- 前記クッション体は、前記発泡体よりも曲げ強度及び剛性が高い布状の補材を裏面に一体的に有するものであり、
前記保持手段は、前記第2型の成形面に取り付けられた面ファスナであり、
該補材の一面を該面ファスナに係止し、該補材の他面を該発泡体と一体化し、該第2型の開方向への移動に伴って該面ファスナが該補材を保持したまま移動し、該補材を介して該凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする請求項8記載のクッション体の製造装置。 - 前記保持手段は前記吊り溝に沿って間隔を保って複数箇所設けられ、
前記第2型の開方向への移動に伴って該保持手段が該吊り溝の長手方向に沿った複数箇所の位置で該凸条周りの前記発泡体に該凸条から離れる方向に力を働かせることが可能に構成されていることを特徴とする請求項8乃至15のいずれか1項記載のクッション体の製造装置。
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