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JP3680208B2 - ロープの間隔保持装置 - Google Patents

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JP3680208B2 JP2001161198A JP2001161198A JP3680208B2 JP 3680208 B2 JP3680208 B2 JP 3680208B2 JP 2001161198 A JP2001161198 A JP 2001161198A JP 2001161198 A JP2001161198 A JP 2001161198A JP 3680208 B2 JP3680208 B2 JP 3680208B2
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吉田博
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有限会社吉田構造デザイン
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロープの間隔保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
落石や雪崩等の落下物から道路や民家等を防護するために、斜面上に落石防護柵、雪崩防護柵を設置し、また雪崩の発生を予防するための雪崩予防柵を設置している。
これら落石防護柵、雪崩防護柵及び雪崩予防柵(以後、総称して防護柵という)には、所定の間隔を隔てて立設した支柱間にロープを互いに平行に一定間隔で張設している。
落石または雪崩発生時には防護柵に衝突する落石や雪崩によってロープの間隔が広がろうとする。
過去においてロープの間隔が落石などの衝突により広がり、落石がその間を通り抜けて近くを走行中の車両に衝突するなどの事故が多発していた。
これを防止するため、ロープ間をワイヤロープ、チェーン、鋼板などで連結して、ロープ相互の間隔の広がりを防止しているのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】
従来の防護柵のロープの間隔保持方法は、ロープの間隔の広がりを防止する観点からは、その目的を達しているが、以下の点に問題が認められる。
<イ>落石や雪崩の衝突によって、防護柵に張られている金網(ネット)は衝突位置を中心にして大きく撓んで広がろうとするが、間隔保持材により広がりが拘束され、金網が有するエネルギー吸収機能が損なわれる。
<ロ>間隔保持材の延びが少ないので、防護柵の衝撃エネルギー吸収能力が減少し、衝撃力が増大して、より剛性の大きい支柱及び支持構造を必要とする。
<ハ>落石などの衝撃力が防護柵に作用し、防護柵(ネット、ロープ)が斜面谷側へはらみ出した場合、間隔保持材の伸びがほとんど期待できないので、防護柵の上下縁が柵中央へ接近するように撓み、受撃面となるべき防護ネットの縦幅が減少する。そのため、次の落石が落下してくると防護柵の下方の隙間から通過したり、抜け出しが生じ、また防護柵の高さの減少から防護柵からの飛び越えが考えられる。
【0004】
【発明の目的】
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、防護ネット(金網)のエネルギー吸収効果を最大限に発揮することができ、衝撃力を小さく抑制することができるロープの間隔保持装置を提供することを目的とする。
また本発明は、落石などの衝撃時に防護柵の上下間隔の減少を極力抑えることができるロープの間隔保持装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的のうち少なくとも一つを達成するようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のロープの間隔保持装置は、互いに略平行に張設したロープの間隔保持装置であって、前記ロープ間に互いに重ね合わせて配置する複数の間隔保持材と、前記各間隔保持材を前記ロープに固定する保持ボルトと、前記重ね合わせた間隔保持材同士を所定の力で締め付けて摩擦連結する摩擦連結手段と、からなり、前記間隔保持材に一定値以上の力が作用したとき、該間隔保持材が相互に摺動してロープの間隔を開くようにしたものである。
また本発明のロープの間隔保持装置は、ロープの開き量を一定値以内に制限することを特徴とするものである。
また本発明のロープの間隔保持装置は、ロープの開き量を間隔保持材の長さ方向に形成した長孔の長さによって制限されることを特徴とするものである。
また本発明のロープの間隔保持装置は、摩擦連結手段を締付ボルト及びナットとで構成し、間隔保持材の長さ方向に開設した長孔に締付ボルトを挿通してナットで間隔保持材同士を締め付けて摩擦連結したことを特徴とするものである。
また本発明のロープの間隔保持装置は、間隔保持材の重ね合わせ面を摩擦力が増大するように成形したことを特徴とするものである。
また本発明のロープの間隔保持装置は、間隔保持材の相互の摺動量とともに間隔保持力が増大するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態について説明する。
【0007】
<イ>間隔保持装置1
間隔保持装置1は、互いに重ね合わせた複数の間隔保持材2と、この間隔保持材2をロープ4に固定する保持ボルト3と、重ね合わせた間隔保持材2同士を摩擦連結する摩擦連結手段5とから構成する。
本発明は、間隔保持材2に一定値以上の力が作用したとき、間隔保持材2が相互に摺動してロープ4の間隔を開き、かつその開き量を一定値以内に制限するようにしたものである。
【0008】
<ロ> 間隔保持材2
間隔保持材2は、ロープ4の上下方向の間隔を保持するためのものである。
この間隔保持材2を互いに重ね合わせてロープ4間に配置する。
間隔保持材2は、鋼、繊維強化プラスチック(FRP)などの剛性を有する細長い板体で、この板体の中央に長さ方向に細長い長孔21を形成して構成する。長孔21には、保持ボルト3及び締付ボルト51が挿通する。なお、保持ボルト3のボルト径を長孔21の幅より太く形成し、間隔保持材2のほぼ中央部に保持ボルト3挿通用の開口23を設ける(図2(a)参照)。
間隔保持材2の幅を中央部で細く、両端に向かって徐々に広くなるように形成する。
また、間隔保持材2は、長さ方向に屈曲して形成してもよい(図2(b)参照)。なお、屈曲する箇所は、重ね合わせ面のみを屈曲して形成してもよい。
このように形成した間隔保持材2を保持ボルト3でロープ4に固定する。
【0009】
<ハ> 保持ボルト3
保持ボルト3は、ロープ4に間隔保持材2を固定するためのもので、例えばUボルトなどからなる。
ロープ4を跨いでUボルト3を開口23に挿通し、反対側からUボルト3にナット31をねじ込んで、間隔保持材2とUボルト3との間にロープ4を締め付ける。
これによって、ロープ4とほぼ直交する上下方向に間隔保持材2を固定することができる。
【0010】
<ニ> 摩擦連結手段5
各間隔保持材2をロープ4に固定することによって、間隔保持材2の幅広く形成した部分が重なり、長孔21が一致する(図1参照)。
この一致した長孔21に締付ボルト51を挿通し、反対側から締付ボルト51にナット52をねじ込んで、重なった部分を所定の力で締め付けて、間隔保持材2同士を摩擦連結する。
なお、締付ボルト51のボルト径は、長孔21の幅より細く形成し、長孔21の長手方向に沿って移動可能とする。
締付ボルト51の締付力を調整することによって、間隔保持材2同士のスリップ力(間隔保持力)を調節できる。
したがって、長孔21に挿通する締付ボルト51、及びこの締付ボルト51にねじ込むナット52は、互いに重ね合わせた間隔保持材2同士を摩擦連結する摩擦連結手段5を構成する。
【0011】
間隔保持材2に摩擦力を超える一定値以上の力(滑り開始力以上の力)が作用すると、これら間隔保持材2が相互に摺動(スリップ)して間隔を広げる。
滑り開始力以下の場合は、ロープ4の間隔は、間隔保持装置1で保持される間隔A(図3(a))となっているが、滑り開始力以上の力が作用し、間隔保持材2が相互にスリップすると、ロープ4が上下に開き、その間隔は図3(b)に示す間隔Bとなる。
間隔保持材2のスリップは、長孔21の一端22が締付ボルト51に当接するまでつづき、したがって、ロープ4の開き量は、間隔保持材2の長さ方向に形成した長孔21の長さによって制限される。
【0012】
間隔保持材2を長さ方向に屈曲を形成した場合は、摩擦力が増大するので、さらに大きいスリップ力を期待することができる。屈曲の大きさを変えることによって摩擦力を調節できる。
なお、屈曲に限定することなく、間隔保持材2の重ね合わせ面を摩擦力が増大するように成形加工してもよい。
また、間隔保持材2の幅を中央部で細く、両端に向かって広くなるように形成した場合は、スリップ量とともに摩擦力が増大するので、スリップ力(間隔保持力)を増大することができる(図4参照)。
図4において滑り開始力は、締付ボルト51で締め付けて得られる摩擦力に相当し、間隔保持材ロック力は、長孔21の一端22が締付ボルト51に当接することによって得えられるストッパーとしてのロック力である。
このように間隔保持材2同士のスリップ量とともにスリップ力(間隔保持力)を増大させることにより、ある特定の間隔保持材2のみにスリップが集中しないようにすることができる。
金網(防護ネット)の伸び能力には限界があるので、その限界値付近に到達すると、それ以上はロープ4相互の間隔が開かないように長孔21の一端22が締付ボルト51に当接してストッパーが作用する。
なお、間隔保持材2のスリップ量とともに摩擦力を増大し、スリップ力(間隔保持力)を増大することができるものであれば、間隔保持材2の幅を両端に向かって広く形成すること以外の方法を用いてもよい。
【0013】
<ホ> 防護柵に使用した例
本発明の間隔保持装置1を防護柵10に使用することができる(図5参照)。
防護柵10は、支柱11間に互いに平行に複数のロープ4を張設し、防護ネット12を張り巡らし、さらに支柱11の傾倒を阻止するために山側控えロープ13、谷側控えロープ14を設置した通常のものである。
互いに平行に張設したロープ4の1本に、間隔保持材2を保持ボルト3で固定して取り付ける。
各ロープ4に夫々間隔保持材2を保持ボルト3で固定して取り付け、幅広く形成した部分が重なるように配置する。重なった部分の長孔21に締付ボルト51を挿通し、ナット52をねじ込んで締め付けて間隔保持材2同士を摩擦連結する。
このように間隔保持材2同士を摩擦連結して、互いに平行に張設した複数のロープ4とほぼ直交する上下方向に間隔保持装置1を設置する。間隔保持装置1はロープ4の長手方向に適宜間隔で設置する。
なお、予め間隔保持材2同士を摩擦連結して間隔保持装置1を構成してから、間隔保持装置1をロープ4に保持ボルト3で固定して設置してもよい。
【0014】
【作用】
以下、本発明の間隔保持装置の作用について説明する。
【0015】
<イ> 滑り開始時
複数のロープ4は、それぞれ間隔保持材2に保持ボルト3で固定されてロープ4は間隔Aを保っている(図3(a)参照)。
落石等が防護ネット12に衝突すると、防護ネット12は落石等を包み込むように変形して、ネット面は斜面谷側にはらみだし、防護ネット12が上下方向へ伸びようとする。
これにより、ロープ4も上下方向へ力を受け、上下の間隔を広げようとし、間隔保持材2に引張力が生じる。
このとき、摩擦連結手段5を構成する締付ボルト51の締付力を調整することによって、間隔保持材2同士が相互にスリップし始める滑り開始力を調節することができる。
【0016】
<ロ> 滑り時
本発明では、ロープ4を相互に連結する間隔保持材2同士を摩擦連結している。
このため、前記のごとく落石等が防護ネット12に衝突すると、ネット面は斜面谷側にはらみだし、防護ネット12が上下方向へ伸び、ロープ4も上下の間隔を広げようとし、間隔保持材2に引張力が生じるが、この引張力が滑り開始力に達すると、間隔保持材2が相互にスリップする。
間隔保持材2が相互にスリップすることによって、ロープ4も上下の間隔を広げる。
従来の間隔保持材(ワイヤロープ、チェーン、鋼板など)のようにロープ相互の間隔の広がりを拘束するものでは、防護ネットが有するエネルギー吸収機能が損なわれるが、本発明では、間隔保持材2のスリップに応じてロープ4も間隔を広げるので、防護ネット12のエネルギー吸収機能を損なうことがない。
【0017】
<ハ> 衝撃の吸収
前記したごとく、引張力が滑り開始力に達し、これを超えると、間隔保持材2が相互にスリップし、防護ネット12の上下方向の伸びに追随する。この間、防護ネット12の伸び及び間隔保持材2相互のスリップにより衝撃エネルギーの一部を吸収する。
間隔保持材2相互のスリップは、図3に示すようにロープ4の間隔Aが間隔Bに広がるまでつづく。
このとき、締付ボルト51の締付力を調整することによって、間隔保持材2同士のスリップ力を調節できる。
また、間隔保持材2の長さ方向に屈曲を形成して摩擦力を増大するようにしているので、さらに大きいスリップ力を期待することができる。
さらに本発明では、間隔保持材2同士のスリップ量とともにスリップ力(間隔保持力)を増大させるようにしているので、ある特定の間隔保持材2のみにスリップが集中することがなく、防護ネットのエネルギー吸収効果を最大限に発揮することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明のロープの間隔保持装置は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>互いに平行に張設したロープ間に間隔保持材を重ね合わせて配置し、重ね合わせた間隔保持材同士を所定の力で締め付けて摩擦連結し、間隔保持材に一定値以上の力が作用したとき、間隔保持材が相互に摺動してロープの間隔を開くようにしたものであるから、防護ネットのエネルギー吸収効果を最大限に発揮することができ、衝撃力を小さく抑制することができる。
<ロ>また、衝撃力を小さく抑制することができるので、剛性の大きな支柱や支持構造を必要とすることはない。
<ハ>落石などの衝撃力が防護柵に作用した場合、防護柵(ネット、ロープ)が斜面谷側へのはらみ出しに応じて間隔保持材がスリップするので、防護柵の上下縁が柵中央へ接近することがなく、防護柵の上下間隔の減少を極力抑えることができる。
<ニ>締付ボルトや保持ボルトで間隔保持材を着脱自在としているので、一度スリップした間隔保持材は,容易に補修・取替えが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の間隔保持装置を示す正面図。
【図2】(a)は間隔保持材の正面図。(b)は間隔保持材の側面図。
【図3】間隔保持装置の一部を示すもので、(a)はスリップ開始前を示す正面図。(b)はスリップ開始後を示す正面図。
【図4】ロープの間隔開き量と間隔保持力との関係を示す図。
【図5】防護柵に間隔保持装置を取り付けた斜視図。
【符号の説明】
1・・・間隔保持装置
2・・・間隔保持材
21・・長孔
3・・・保持ボルト
4・・・ロープ
5・・・摩擦連結手段
51・・締付ボルト
10・・防護柵
12・・防護ネット

Claims (6)

  1. 互いに略平行に張設したロープの間隔保持装置であって、
    前記ロープ間に互いに重ね合わせて配置する複数の間隔保持材と、
    前記各間隔保持材を前記ロープに固定する保持ボルトと、
    前記重ね合わせた間隔保持材同士を所定の力で締め付けて摩擦連結する摩擦連結手段と、からなり、
    前記間隔保持材に一定値以上の力が作用したとき、該間隔保持材が相互に摺動してロープの間隔を開くようにした、
    ロープの間隔保持装置。
  2. 請求項1に記載するロープの間隔保持装置において、ロープの開き量を一定値以内に制限することを特徴とする、ロープの間隔保持装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載するロープの間隔保持装置において、ロープの開き量は、間隔保持材の長さ方向に形成した長孔の長さによって制限されることを特徴とする、ロープの間隔保持装置。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載するロープの間隔保持装置において、摩擦連結手段は、締付ボルト及びナットとからなり、間隔保持材の長さ方向に開設した長孔に締付ボルトを挿通してナットで間隔保持材同士を締め付けて摩擦連結したことを特徴とする、ロープの間隔保持装置。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載するロープの間隔保持装置において、間隔保持材の重ね合わせ面を摩擦力が増大するように成形したことを特徴とする、ロープの間隔保持装置。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載するロープの間隔保持装置において、間隔保持材の相互の摺動量とともに間隔保持力が増大するようにしたことを特徴とする、ロープの間隔保持装置。
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