JP3680278B2 - 冷凍装置の施工方法及び冷凍装置 - Google Patents
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Description
このような空気調和装置において、機器据付、配管、配線工事から運転開始に至るまでの一連の施工は、主に、以下の4つの工程から構成されている。
(2)冷媒連絡配管の真空引き
(3)追加冷媒充填(必要に応じて行う)
(4)運転開始
上記のような空気調和装置の施工において、冷媒連絡配管の真空引き作業については、冷媒の大気放出、酸素ガスの残留による冷媒及び冷凍機油の劣化や、酸素ガス及び窒素ガス等の空気成分を主成分とする非凝縮性ガスによる運転圧力の上昇等を防ぐために、重要な作業であるが、真空ポンプを液冷媒連絡配管及びガス冷媒連絡配管に接続する等の作業が必要となり、手間がかかるという問題がある。
この冷凍装置では、第1逆止弁及び第2逆止弁と膨張弁との間に設けられたレシーバにガス分離装置が接続されており、液側冷媒回路を流れる冷媒を非凝縮性ガスを含むガス冷媒と液冷媒とに気液分離して処理ガス量を減少させた後に、ガス分離装置によって非凝縮性ガスを分離することができるようになっているため、ガス分離装置のサイズを小さくすることができる。
この冷凍装置では、分離された非凝縮性ガスを溜める容器等が不要になるため、ガス分離装置のサイズをさらに小さくすることができる。
請求項1にかかる発明では、冷媒連絡配管内に残留した非凝縮性ガスを冷媒回路内の冷媒とともに圧縮機を運転して循環させているため、分離膜における非凝縮性ガスの分離効率を向上させることができる。
請求項2にかかる発明では、第1逆止弁及び第2逆止弁と膨張弁との間に設けられたレシーバにガス分離装置が接続されており、液側冷媒回路を流れる冷媒を非凝縮性ガスを含むガス冷媒と液冷媒とに気液分離して処理ガス量を減少させた後に、ガス分離装置によって非凝縮性ガスを分離することができるようになっているため、ガス分離装置のサイズを小さくすることができる。
[本発明の前提となる構成]
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の前提となる構成にかかる冷凍装置の一例としての空気調和装置1の冷媒回路の概略図である。空気調和装置1は、本構成において、冷房専用の空気調和装置であり、熱源ユニット2と、利用ユニット5と、熱源ユニット2と利用ユニット5とを接続するための液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。
利用側熱交換器51は、内部を流れる冷媒によって室内の空気を冷却することが可能な機器である。
熱源ユニット2は、主に、圧縮機21と、熱源側熱交換器23と、熱源側膨張弁26と、液側仕切弁27と、ガス側仕切弁28とを有している。
熱源側熱交換器23は、空気又は水を熱源として冷媒を凝縮させることが可能な機器である。熱源側膨張弁26は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うために、熱源側熱交換器23の出口側に接続された弁である。液側仕切弁27及びガス側仕切弁28は、それぞれ、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7に接続されている。
分離膜装置34は、圧縮機21を運転して冷媒回路10内の冷媒を循環させることによって、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7に残留した非凝縮性ガスを冷媒中から冷媒回路10の外部に排出することが可能である。ここで、非凝縮性ガスとは、酸素ガスや窒素ガス等の空気成分を主成分とするガスである。このため、冷媒回路10内の冷媒を循環させると、熱源側熱交換器23において凝縮されずに、レシーバ25に流入することになり、ガス冷媒とともに、レシーバ25の上部に溜まることになる。
分離膜34bは、ポリイミド膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜や炭素膜等の材料からなり、比較的分子量が小さな成分である水蒸気、酸素ガスや窒素ガスは透過するが、分子量の大きなガス冷媒は透過しないという機能を有する膜であり、多孔質膜と呼ばれるものである。ここで、多孔質膜とは、多数の非常に微細な細孔を有する膜であり、これらの細孔中をガスが透過する際の速度差によって分離する膜、すなわち、分子径の小さな成分は透過するが分子径の大きな成分は透過しない膜である。例えば、図3に示すように、空気調和装置の冷媒として用いられるR22、R134a、及び混合冷媒のR407CやR410Aに含まれるR32やR125の分子量(より具体的には、分子径)は、いずれも、水蒸気、酸素ガスや窒素ガスの分子量(より具体的には、分子径)よりも大きいため、分離膜34bによって、分離可能である。空間S1は、レシーバ25の上部に連通された空間である。空間S2は、分離膜34bを透過した空気成分が流入する空間である。排出弁34cは、空間S2を大気開放するために設けられた弁であり、分離膜34bを透過して流入した酸素ガスや窒素ガス等の空気成分を空間S2から大気放出させることが可能である。
次に、空気調和装置1の施工方法について説明する。
<機器設置ステップ(冷媒回路構成ステップ)>
まず、新設の利用ユニット5及び熱源ユニット2を据え付け、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を設置し、利用ユニット5及び熱源ユニット2に接続して、空気調和装置1の冷媒回路10を構成する。ここで、新設の熱源ユニット2の液側仕切弁27及びガス側仕切弁28は閉止されており、熱源ユニット2の冷媒回路内には所定量の冷媒が予め充填されている。そして、分離膜装置34の排出弁34cは、閉止されている。
<気密試験ステップ>
空気調和装置1の冷媒回路10を構成した後、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の気密試験を行う。尚、利用ユニット5に液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7と仕切弁等が設けられていない場合には、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の気密試験は、利用ユニット5に接続された状態で行われる。
気密試験が終了した後、気密試験部分の圧力を減圧するために、気密試験部分の雰囲気ガス(気密ガス)を大気放出する。ここで、気密試験部分の雰囲気ガスには気密試験に使用された大量の窒素ガスが含まれているため、大気放出後の気密試験部分の雰囲気ガスの大部分は、窒素ガスに置換されて、酸素ガスの量が減少している。ここで、大気放出作業においては、冷媒回路10の外部からの空気の侵入を防ぐために、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7を含む気密試験部分の圧力が大気圧よりもわずかに高い圧力になるまで減圧している。
気密ガスを放出した後、熱源ユニット2の液側仕切弁27及びガス側仕切弁28を開けて、利用ユニット5の冷媒回路と熱源ユニット2の冷媒回路とが接続された状態にする。これにより、熱源ユニット2に予め充填されていた冷媒が冷媒回路10全体に供給される。そして、冷媒連絡配管6、7の配管長が長い場合等のように、熱源ユニット2に予め充填されていた冷媒量だけで冷媒充填量が十分でない場合には、必要に応じて、外部から冷媒が追加充填される。尚、熱源ユニット2に予め冷媒が充填されていない場合には、必要冷媒量の全てが外部から充填される。これにより、冷媒回路10内において、気密ガス放出ステップ後に冷媒連絡配管6、7に残留した非凝縮性ガスとしての気密ガス(利用ユニット5の気密試験も同時に行った場合には利用ユニット5に残留した非凝縮性ガスも含まれる)と冷媒とが混合されることになる。
(3)空気調和装置及びその施工方法の特徴
本構成の空気調和装置1及びその施工方法には、以下のような特徴がある。
(A)
本構成の空気調和装置1では、液側冷媒回路11に分離膜34bを有するガス分離装置31が接続されており、機器設置ステップ(冷媒回路構成ステップ)後に、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7に残留した酸素ガス及び窒素ガス等の非凝縮性ガスを膜分離して冷媒回路10の外部に排出することが可能になっているため、従来のような多量の吸着剤を使用するガス分離装置を使用する場合に比べて、ガス分離装置31のサイズを小さくすることができる。これにより、冷凍装置全体(本構成では、熱源ユニット2)のサイズを大きくすることなく、施工時の真空引き作業を省略することができる。
空気調和装置1では、機器設置ステップ(冷媒回路構成ステップ)において、熱源ユニット2と利用ユニット5とを冷媒連絡配管6、7を介して接続した後に、非凝縮性ガス排出ステップにおいて、冷媒連絡配管6、7内に残留した非凝縮性ガスを冷媒回路10内の冷媒とともに圧縮機21を運転(具体的には、冷房運転又は暖房運転)して循環させることによって、熱源側熱交換器23と利用側熱交換器51との間を流れる冷媒及び非凝縮性ガスの圧力を高めて、この高圧にされた非凝縮性ガスを含む冷媒中からガス分離装置31を用いて非凝縮性ガスを分離して冷媒回路10の外部に排出している。このように、ガス分離装置31を構成する分離膜装置34の分離膜34bの1次側(すなわち、空間S1側)と2次側(すなわち、空間S2側)との圧力差を大きくすることができるため、分離膜34bにおける非凝縮性ガスの分離効率を向上させることができる。
また、空気調和装置1では、ガス分離装置31が液側冷媒回路11に設けられたレシーバ25に接続されており(本構成において、レシーバ25に一体に設けられている)、液側冷媒回路11を流れる冷媒を非凝縮性ガスを含むガス冷媒と液冷媒とに気液分離して処理ガス量を減少させた後に、ガス分離装置31によって非凝縮性ガスを分離・排出することができるようになっているため、ガス分離装置31のサイズを小さくすることができる。
(D)
空気調和装置1の施工方法では、窒素ガス等の気密ガスを用いて、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7の気密試験を行い、気密ガスを大気放出しているため、これらのステップ後に、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7内に残留する酸素ガスの量を減少させることができる。これにより、冷媒とともに冷媒回路10内を循環する酸素ガスの量を減少させることができて、冷媒や冷凍機油の劣化等の不具合のおそれをなくすことができる。
前記構成のガス分離装置31は、レシーバ25の上部のガス冷媒中から非凝縮性ガスを分離するように設けられているため、レシーバ25内においてガス冷媒中に水蒸気として存在する水分については分離・除去することが可能であるが、液冷媒中に存在する水分については分離・除去することができない。
これに対応するために、図4に示される本変形例の空気調和装置101の熱源ユニット102に組み込まれたガス分離装置131のように、レシーバ25に分離膜装置34を接続するとともに、液側冷媒回路11にドライヤ44を接続してもよい。尚、図4において、ドライヤ44は、レシーバ26の上流側、すなわち、熱源側熱交換器23とレシーバ25との間に接続されているが、レシーバ25の下流側、すなわち、レシーバ25と熱源側膨張弁26との間に接続してもよい。
(5)変形例2
上記のガス分離装置31、131では、分離膜装置34がレシーバ25と一体に構成されているが、図5及び図6に示される本変形例の空気調和装置201の熱源ユニット202に組み込まれたガス分離装置231のように、分離膜装置34がガス冷媒導入回路238を介してレシーバ25の上部に接続されていてもよい。ここで、ガス冷媒導入回路238は、レシーバ25の上部に溜まった非凝縮性ガスを含むガス冷媒を分離膜装置34に導入するための管路であり、レシーバ25の上部から分離膜装置34に導入される非凝縮性ガスを含むガス冷媒を流通/遮断させるためのガス冷媒導入弁238aを有している。
(1)空気調和装置の構成
図7は、本発明の第1実施形態にかかる冷凍装置の一例としての空気調和装置501の冷媒回路の概略図である。空気調和装置501は、本実施形態において、冷房運転及び暖房運転が可能な空気調和装置であり、熱源ユニット502と、利用ユニット5と、熱源ユニット502と利用ユニット5とを接続するための液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。尚、本実施形態の空気調和装置501の利用ユニット5及び冷媒連絡配管6、7の構成は、本発明の前提となる構成及びその変形例の利用ユニット5及び冷媒連絡配管6、7と同様であるため、説明を省略する。
(2)空気調和装置の施工方法
次に、空気調和装置501の施工方法について説明する。尚、非凝縮性ガス排出ステップを除く手順については、本発明の前提となる構成の空気調和装置1の施工方法と同様であるため、説明を省略する。
気密ガスを放出した後、熱源ユニット502の液側仕切弁27及びガス側仕切弁28を開けて、利用ユニット5の冷媒回路と熱源ユニット502の冷媒回路とが接続された状態にする。これにより、熱源ユニット502に予め充填されていた冷媒が冷媒回路510全体に供給される。そして、冷媒連絡配管6、7の配管長が長い場合等のように、予め熱源ユニット502に充填されていた冷媒量だけで必要な冷媒充填量に満たない場合には、必要に応じて、外部から冷媒が追加充填される。尚、熱源ユニット502に予め冷媒が充填されていない場合には、必要冷媒量の全てが外部から充填される。これにより、冷媒回路510内において、気密ガス放出ステップ後に冷媒連絡配管6、7に残留した非凝縮性ガスとしての気密ガス(利用ユニット5の気密試験も同時に行った場合には利用ユニット5に残留した非凝縮性ガスも含まれる)と冷媒とが混合されることになる。
(冷房運転を行いながら非凝縮性ガスを排出する場合)
まず、冷媒回路510内の冷媒を循環させる運転を冷房運転によって行う場合について説明する。このとき、四路切換弁522は、図7の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が熱源側熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側仕切弁28に接続された状態となっている。また、熱源側膨張弁26は、開度調節された状態となっている。さらに、ガス分離装置231を構成するガス冷媒導入弁238a及び排出弁34cは、いずれも閉止されており、ガス分離装置231を使用しない状態となっている。
(暖房運転を行いながら非凝縮性ガスを排出する場合)
次に、冷媒回路510内の冷媒を循環させる運転を暖房運転によって行う場合について説明する。このとき、四路切換弁522は、図7の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側仕切弁28に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が熱源側熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。また、熱源側膨張弁26は、開度調節された状態となっている。さらに、ガス分離装置231を構成するガス冷媒導入弁238a及び排出弁34cは、いずれも閉止されており、ガス分離装置231を使用しない状態となっている。
このように、本実施形態の空気調和装置501においても、本発明の前提となる構成及びその変形例と同様に、冷媒回路510内の冷媒を循環させることによって、ガス分離装置231を用いて、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7に残留した非凝縮性ガスを冷媒回路510内から排出させる運転を行うことができる。
上記のガス分離装置231では、レシーバ25と分離膜装置34とがガス冷媒導入回路238を介して接続されているが、図8に示される本変形例の空気調和装置601の熱源ユニット602に組み込まれたガス分離装置31のように、本発明の前提となる構成のガス分離装置31と同様、レシーバ25と分離膜装置34とが一体に構成されていてもよい。
上記のガス分離装置31、231を備えた空気調和装置501、601において、本発明の前提となる構成の変形例の空気調和装置101と同様、冷媒回路10に残留する水分を除去するためのドライヤを液側冷媒回路510に接続してもよい。
[第2実施形態]
(1)空気調和装置の構成
図9は、本発明の第2実施形態にかかる冷凍装置の一例としての空気調和装置1001の冷媒回路の概略図である。空気調和装置1001は、本実施形態において、第1実施形態の空気調和装置501と同様、冷房運転及び暖房運転が可能な空気調和装置であり、熱源ユニット1002と、利用ユニット5と、熱源ユニット1002と利用ユニット5とを接続するための液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。尚、本実施形態の空気調和装置1001のガス分離装置1031を除く構成は、第1実施形態の空気調和装置501と同様であるため、説明を省略する。
分離膜装置1034は、本発明の前提となる構成及び第1実施形態の分離膜装置34と同様に、レシーバ25の上部に溜まった非凝縮性ガスを含むガス冷媒中から非凝縮性ガスを分離して、分離された非凝縮性ガスを冷媒回路510の外部に排出するための装置である。分離膜装置1034は、ガス冷媒導入回路238を介してレシーバ25に接続されている。分離膜装置1034は、図10に示されるように、本実施形態において、装置本体1034aと、装置本体1034a内の空間をガス冷媒導入回路238に連通された空間S3(1次側)と空間S4(2次側)とに分割するように配置された分離膜1034bと、空間S3に接続された排出弁1034cと、空間S4に接続されたガス冷媒流出回路1041とを有している。分離膜1034bは、本実施形態において、非凝縮性ガスを含むガス冷媒中からガス冷媒を選択的に透過させることが可能な膜を使用している。このような分離膜としては、ポリスルホン膜やシリコンゴム膜等からなる非多孔質膜が使用される。ここで、非多孔質膜とは、多孔質膜が有するような多数の非常に微細な細孔を有しない均質な膜であり、ガスが溶解−拡散−脱溶解の過程を経て膜内を透過する際の速度差によって分離する膜、すなわち、沸点が高く膜への溶解度が大きい成分は透過するが沸点が低く膜への溶解度が小さい成分は透過しない膜である。ここで、空気調和装置の冷媒として用いられるR22、R134a、及び混合冷媒のR407CやR410Aに含まれるR32やR125は、いずれも、水蒸気、酸素ガスや窒素ガスよりも沸点が高いため、この非多孔質膜によって分離することが可能である。これにより、分離膜1034bは、非凝縮性ガスを含むガス冷媒(具体的には、レシーバ25の上部に溜まった非凝縮性ガスとガス冷媒との混合ガスである供給ガス)中からガス冷媒を選択的に透過させて、ガス冷媒を空間S3から空間S4に流入させることができる。ガス冷媒流出回路1041は、分離膜装置1034の空間S4と圧縮機21の吸入側とを接続するように設けられており、分離膜1034bを透過して冷媒回路10内に戻されるガス冷媒を流通/遮断するためのガス冷媒戻し弁1041aを有している。ここで、ガス冷媒流出回路1041は、冷媒回路10内で最も冷媒圧力の低い圧縮機21の吸入側にガス冷媒が戻されるように設けられているため、空間S3と空間S4との間の差圧を大きくすることが可能である。排出弁1034cは、分離膜1034bにおいてガス冷媒を透過させることによって空間S3内に残った非凝縮性ガスを大気放出して、冷媒回路510の外部に排出することが可能である。
次に、空気調和装置1001の施工方法について説明する。尚、非凝縮性ガス排出ステップを除く手順については、本発明の前提となる構成の空気調和装置1の施工方法と同様であるため、説明を省略する。
<非凝縮性ガス排出ステップ>
気密ガスを放出した後、熱源ユニット1002の液側仕切弁27及びガス側仕切弁28を開けて、利用ユニット5の冷媒回路と熱源ユニット1002の冷媒回路とが接続された状態にする。これにより、熱源ユニット1002に予め充填されていた冷媒が冷媒回路10全体に供給される。そして、冷媒連絡配管6、7の配管長が長い場合等のように、予め熱源ユニット1002に充填されていた冷媒量だけで必要な冷媒充填量に満たない場合には、必要に応じて、外部から冷媒が追加充填される。尚、熱源ユニット1002に予め冷媒が充填されていない場合には、必要冷媒量の全てが外部から充填される。これにより、冷媒回路510内において、気密ガス放出ステップ後に冷媒連絡配管6、7に残留した非凝縮性ガスとしての気密ガス(利用ユニット5の気密試験も同時に行った場合には利用ユニット5に残留した非凝縮性ガスも含まれる)と冷媒とが混合されることになる。
(冷房運転を行いながら非凝縮性ガスを排出する場合)
まず、冷媒回路510内の冷媒を循環させる運転を冷房運転によって行う場合について説明する。このとき、四路切換弁522は、図9の実線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側が熱源側熱交換器23のガス側に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側がガス側仕切弁28に接続された状態となっている。また、熱源側膨張弁26は、開度調節された状態となっている。さらに、ガス分離装置1031を構成するガス冷媒導入弁238a、ガス冷媒戻し弁1041a及び排出弁1034cは、いずれも閉止されており、ガス分離装置1031を使用しない状態となっている。
次に、ガス分離装置1031を使用して冷媒回路510内から非凝縮性ガスを排出する運転動作について説明する。まず、ガス冷媒導入弁238aを開けて、レシーバ25の上部に溜まった非凝縮性ガスを含むガス冷媒(供給ガス)を分離膜装置1034内に導入する。続いて、分離膜装置1034のガス冷媒戻し弁1041aを開けて、分離膜装置1034の空間S4内の冷媒圧力を圧縮機21の吸入側を流れる冷媒圧力と同じ圧力になるようにする。すると、分離膜装置1034の空間S3は、レシーバ25の上部に連通されているため、空間S3と空間S4との間に、冷媒の凝縮圧力と圧縮機21の吸入側の圧力との圧力差に相当する差圧が生じる。このため、空間S3内に溜まった供給ガス中に含まれるガス冷媒は、この差圧が推進力となって、分離膜1034bを透過して、空間S4側に流れてガス冷媒戻し弁1041aを通じて圧縮機21の吸入側に戻される。一方、ガス冷媒が分離膜1034bを透過して空間S4側に流れることによって空間S3内に残った非凝縮性ガス(非透過ガス)は、排出弁1034cを開けることによって大気放出される。この運転を所定時間にわたって実施すると、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7に残留した非凝縮性ガスが冷媒回路510内から排出される。
(暖房運転を行いながら非凝縮性ガスを排出する場合)
次に、冷媒回路510内の冷媒を循環させる運転を暖房運転によって行う場合について説明する。このとき、四路切換弁522は、図9の破線で示される状態、すなわち、圧縮機21の吐出側がガス側仕切弁28に接続され、かつ、圧縮機21の吸入側が熱源側熱交換器23のガス側に接続された状態となっている。また、熱源側膨張弁26は、開度調節された状態となっている。さらに、ガス分離装置1031を構成するガス冷媒導入弁238a、ガス冷媒戻し弁1041a及び排出弁1034cは、いずれも閉止されており、ガス分離装置1031を使用しない状態となっている。
(3)空気調和装置及びその施工方法の特徴
本実施形態の空気調和装置1001では、分離膜装置1034を構成する分離膜1034bとして冷媒を選択的に透過させる膜としての非多孔質膜を採用している点で、本発明の前提となる構成及び第1実施形態の空気調和装置1〜201、501、601の構成と異なるが、本発明の前提となる構成及び第1実施形態の空気調和装置1〜201、501、601及びその施工方法における特徴と同様な特徴を有している。
上記のガス分離装置1031では、分離膜装置1034において分離されたガス冷媒が、ガス冷媒流出回路1041を介して、圧縮機21の吸入側に戻されるようになっているが、図11に示される本変形例の空気調和装置1101の熱源ユニット1102に組み込まれたガス分離装置1131のように、ガス冷媒流出回路1141が分離膜装置1034と熱源側膨張弁26の下流側(具体的には、熱源側膨張弁26の下流側とブリッジ回路524の逆止弁524c、524dとの間)との間を接続するように設けられていてもよい。
上記のガス分離装置1031、1131では、レシーバ25と分離膜装置1034とがガス冷媒導入回路238を介して接続されているが、図12に示される本変形例の空気調和装置1201の熱源ユニット1202に組み込まれたガス分離装置1231のように、本発明の前提となる構成のガス分離装置31と同様、レシーバ25と分離膜装置1034とが一体に構成されていてもよい。この際、レシーバ25の上部空間(すなわち、分離膜34bの一次側の空間)を排出弁1034cに接続し、分離膜1034bの二次側の空間をガス冷媒流出回路1041に接続することになる。
上記のガス分離装置1131において、ガス分離装置1231のように、レシーバ25と分離膜装置1034とが一体に構成されていてもよい。
また、本発明の前提となる構成及び第1実施形態及びその変形例の空気調和装置1、101、201、501、601において、ガス分離装置を構成する分離膜装置として、本実施形態及びその変形例の分離膜装置1034を採用してもよい。
[参考例]
(1)空気調和装置の構成及び特徴
図13は、参考例にかかる冷凍装置の一例としての空気調和装置1501の冷媒回路の概略図である。空気調和装置1501は、冷房運転及び暖房運転が可能な空気調和装置であり、熱源ユニット1502と、複数(本参考例では、2台)の利用ユニット1505と、熱源ユニット1502と複数の利用ユニット1505とを接続するための液冷媒連絡配管1506及びガス冷媒連絡配管1507とを備えており、いわゆるマルチ式の空気調和装置を構成している。
利用側膨張弁1552は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、利用側熱交換器51の液側に接続された弁である。利用側膨張弁1552は、本参考例において、特に、冷房運転時において、冷媒を膨張させる機能を有している。
特に、本参考例の空気調和装置1501のようなマルチ式の空気調和装置の場合、冷媒連絡配管1506、1507の配管長及び配管径がルームエアコン等のような比較的小型の空気調和装置の冷媒連絡配管に比べて大きく、冷媒回路1510内から排出させなければならない非凝縮性ガスの量が多いため、この施工方法が有用である。
本発明の前提となる構成及び第1実施形態にかかるガス分離装置31のように、レシーバ25と分離膜装置34とが一体に構成されていてもよい。
また、ガス分離装置として、第2実施形態及びその変形例にかかる非多孔質膜からなる分離膜1034bを有するガス分離装置1031、1131、1231を採用してもよい。
以上、本発明の前提となる構成、実施形態及び参考例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、前記実施形態においては、本発明を冷暖房運転を切り換えて運転可能な空気調和装置に適用したが、これに限定されず、氷蓄熱式の空気調和装置や他のセパレート式の冷凍装置に適用してもよい。
2〜202、502、602、1002〜1202、1502 熱源ユニット
5、1505 利用ユニット
6、1506 液冷媒連絡配管
7、1507 ガス冷媒連絡配管
10、510、1510 冷媒回路
11、511、1511 液側冷媒回路
21 圧縮機
23 熱源側熱交換器
25 レシーバ
31〜231、1031〜1231 ガス分離装置
34b、1034b 分離膜
34c、1034c 排出弁
51 利用側熱交換器
Claims (3)
- 圧縮機と熱源側熱交換器(23)とを有する熱源ユニット(502、602、1002〜1202)と、利用側熱交換器(51)を有する利用ユニット(5)とが冷媒連絡配管(6、7)を介して接続されて、冷媒回路(510)を構成する冷凍装置であって、
前記熱源側熱交換器及び前記利用側熱交換器の一方を凝縮器として機能させるとともに前記熱源側熱交換器及び前記利用側熱交換器の他方を蒸発器として機能させる切り換えが可能な切換弁(522)と、
前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器とを接続する液側冷媒回路(511)に接続された膨張弁(26)と、
前記液側冷媒回路に接続されており、前記熱源側熱交換器から前記膨張弁への冷媒の流通のみを許容する第1逆止弁と、前記利用側熱交換器から前記膨張弁への冷媒の流通のみを許容する第2逆止弁と、前記膨張弁から前記利用側熱交換器への冷媒の流通のみを許容する第3逆止弁と、前記膨張弁から前記熱源側熱交換器への冷媒の流通のみを許容する第4逆止弁とを有するブリッジ回路と、
前記第1逆止弁及び前記第2逆止弁と前記膨張弁との間に接続されており、前記圧縮機を運転して前記冷媒回路内の冷媒を循環させることによって、前記冷媒連絡配管内に残留した空気成分を主成分とする非凝縮性ガスを冷媒中から分離して前記冷媒回路の外部に排出することが可能な分離膜(34b、1034b)を有するガス分離装置(231、1031〜1231)と、
を備えた冷凍装置(501、601、1001〜1201)。 - 前記液側冷媒回路(511)は、前記第1逆止弁及び前記第2逆止弁と前記膨張弁との間を流れる冷媒を溜めることが可能なレシーバ(25)をさらに有しており、
前記ガス分離装置(231、1031〜1231)は、前記レシーバに接続され、前記レシーバの上部に溜まったガス冷媒中に含まれる非凝縮性ガスを分離している、
請求項1に記載の冷凍装置(501、601、1001〜1201)。 - 前記ガス分離装置(231、1031〜1231)は、分離された非凝縮性ガスを大気放出するための排出弁(34c、1034c)をさらに有している、請求項2に記載の冷凍装置(501、601、1001〜1201)。
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