JP3678382B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本スキャン前に例えば造影剤の有無等を確認するためのプリスキャンを行うX線CT(Computed Tomography )装置に関し、特に、プリスキャン時に得られる、例えばCT値,投影データレベル,注入した造影剤の注入量等のデータに対して複数の閾値を設定し、この各閾値に基づいて、プリスキャン間隔を制御することにより、プリスキャン時における被爆低減及び適性なタイミングでの本スキャンの開始等を可能としたX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被検体に対してX線を曝射して該被検体の断層像を撮像するX線CT装置においては、診断用の画像を得る前に、被検体に注入した造影剤が、撮像を行う目的の部位(血管等)に行き渡ったか否かを判別するためのプリスキャンを行う場合がある。
【0003】
このプリスキャンとしては、図8(a)に示す連続スキャン方法と、同図(b)に示す離散スキャン方法とが知られている。
【0004】
前記図8(a)に示す連続スキャン方法においては、被検体に対して連続的にX線を曝射し、これにより得られた断層像に基づいて前記造影剤の有無を確認すると共に、前記造影剤の有無の確認を行う血管のCT値(物質のX線吸収率を数値化したデータ)を検出する。そして、前記血管に流れる造影剤の量に応じて上昇する該血管のCT値が、同図(a)中一点鎖線で示す所定の閾値を超過したタイミングで本スキャンに移行するようになっている。
【0005】
このような連続スキャン方法は、被検体に対して連続的にX線を曝射するようにしているため、前記CT値が閾値レベルとなったことを、殆ど誤差なく検出することができる。
【0006】
すなわち、前記CT値は、その曝射によりX線検出器で形成された投影データに基づいて検出される。また、連続スキャン方法は、実際には曝射と次の曝射との間に僅かな間がある。このため、図8(a)に示すようにCT値が閾値近傍の値となった際において、該閾値を跨ぐかたちで曝射と次の曝射とが行われると、CT値が閾値を超過したことは、該閾値を超過した直後のX線の曝射によりはじめて検出されることとなる。
【0007】
従って、実際にCT値が閾値を超過したタイミングから、これが検出されるまでの間にずれ(誤差)を生ずるのであるが、上述のようにこの連続スキャン方法における曝射と次の曝射との間は僅かな時間であるため、CT値が閾値を超過したことを少ない誤差で検出することができ、造影剤が目的の血管に行き渡った略々最適なタイミングで本スキャンを開始することができる。
【0008】
一方、前記図8(b)に示す離散スキャン方法においては、被検体に対して断続的にX線を曝射し、これにより得られた断層像に基づいて前記造影剤の有無を確認すると共に、前記造影剤の有無の確認を行う血管のCT値(物質のX線吸収率を数値化したデータ)を検出する。そして、前記血管に流れる造影剤の量に応じて上昇する該血管のCT値が、同図(b)中一点鎖線で示す所定の閾値を超過したタイミングで本スキャンに移行するようになっている。
【0009】
このような離散スキャン方法は、被検体に対して断続的にX線を曝射するようにしているため、前記連続スキャン方法よりも被検体の被爆量の低減を図ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の連続スキャン方法は、連続的にX線の曝射を行うようにしているため、略々最適なタイミングで本スキャンを開始することができるのであるが、この反面、被検体に対する被爆量が多くなる問題があった。
【0011】
一方、上述の離散スキャン方法は、断続的にX線の曝射を行うようにしているため、被検体に対する被爆量の低減を図ることができるのであるが、この反面、図8(b)に示すように曝射と次の曝射との間に間があるため、CT値が実際に閾値を超過したタイミングからこれが検出されるまでに大きな時間的誤差を生じ、本スキャンを開始するタイミングにずれを生ずる問題があった。
【0012】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、プリスキャン時の被爆低減を図ることができるうえ、適性なタイミングで本スキャンを開始することができるようなX線CT装置の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るX線CT装置は、撮像手段により検査部位の断層像を撮像する本スキャンを行う前に、該検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのプリスキャンを行うX線CT装置において、上述の課題を解決するために以下の特徴的な各手段を有する。
【0014】
すなわち、本発明に係るX線CT装置は、プリスキャン時に得られる前記検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのデータに対して複数の閾値を設定する閾値設定手段と、前記プリスキャン時に得られるデータのレベルが、前記閾値設定手段により設定された所定の閾値を超過するまではプリスキャン間隔が粗となるように前記撮像手段を制御し、前記プリスキャン時に得られるデータのレベルが、前記所定の閾値を超過し、本スキャンを行うレベルとなるまでの間は、プリスキャン間隔が密となるように前記撮像手段を制御する制御手段とを有する。
【0015】
具体的には、前記検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのデータは、前記撮像手段より得られる、物質のX線吸収率を数値化したデータである、いわゆるCT値,前記撮像手段より得られる投影データ、或いは被検体に造影剤を注入する造影剤注入手段からの造影剤注入量を示すデータとなっている。
【0016】
このような本発明は、前記閾値設定手段により、例えば第1,第2の2種類の閾値が設定されると、前記制御手段は、まず、前記CT値,投影データ、或いは造影剤注入量を示すデータが、第1の閾値を超過するまではプリスキャン間隔を粗にしたプリスキャンを行うように前記撮像手段を制御する。また、このCT値,投影データ、或いは造影剤注入量を示すデータが第1の閾値を超過した後は、該データが第2の閾値を超過するまでの間、プリスキャン間隔を密にしたプリスキャンを行うように前記撮像手段を制御する。そして、前記データが第2の閾値を超過したタイミングで本スキャンを開始する。
【0017】
これにより、造影剤が目的の血管に行き渡るまでの前半は、前記プリスキャン間隔を粗としたプリスキャンにより、被検体に対する被爆量を低減しながら前記データのレベルを検出することができ、該データのレベルが上昇する後半は、前記プリスキャン間隔を密としたプリスキャンにより、細かなタイミングでデータレベルを検出し、本スキャンへの移行タイミングを測ることができる。従って、プリスキャン時の被爆低減を図ることができるうえ、適性なタイミングで本スキャンを開始可能とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るX線CT装置の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明の第1の実施の形態に係るX線CT装置は、図1に示すように被検体に対してX線を曝射し、これにより被検体を透過したX線をX線検出器で検出して投影データを形成する撮像部1と、前記撮像部1からの投影データに基づいてモニタ表示用の再構成画像データを形成する再構成部2と、前記再構成画像データに表示制御を行う表示制御部3と、前記表示制御部3により表示制御される前記再構成画像データに応じた画像を表示するモニタ装置とを有している。
【0020】
また、当該X線CT装置は、観察を行う部位のリファレンス画像やプリスキャン時に使用する閾値としての複数のCT値を記憶し再生する記録再生部5と、前記閾値としての複数のCT値を入力するための入力部6と、前記再構成部2から供給されるプリスキャン時のプリスキャン画像のCT値と、前記記録再生部5ににより再生された閾値としての複数のCT値、或いは入力部6から入力された閾値としての複数のCT値とに基づいて、前記撮像部1のプリスキャン時におけるプリスキャン間隔を制御するシステム制御部7とを有している。
【0021】
前記撮像部1は、図4に示すように例えばリング状のガントリの内径の相対向する位置にX線管1a及びX線検出器1bが回転自在に設けられた、いわゆる第3世代(Rotate-Rotate 方式)のX線CT装置の撮像部となっており、被検体の断層像の撮像の際には、寝台上の被検体を前記ガントリの中心軸上に位置させると共に、前記X線管1a及びX線検出器1bをガントリの内径に沿って回転させ、該1回転する間に所定間隔でX線管1aを駆動して複数回のX線の曝射を行う。そして、このX線の曝射毎に被検体を透過するX線を前記X線検出器1bで検出し、前記1回転する間に得られるX線検出器1bからの複数の投影データに基づいて、再構成部2が1枚の断層像を再構成する。そして、この再構成された断層像を表示制御部3がモニタ装置4に表示制御するようになっている。
【0022】
また、このような撮像を、前記寝台上の被検体をガントリの中心軸に沿って徐々に移動させながら繰り返し行うことにより、該移動間隔に応じた被検体の複数の断層像を得ることができ(ヘリカルスキャン)、病変部等の細部にわたる観察等を可能とすることができるようになっている。
【0023】
ここで、例えば患部の血流の良否等を診察するには、被検体に造影剤を注入し、この造影剤が患部に行き渡ったタイミングで撮像を行うことで、はじめてこの診察の有用な画像を得ることができる。このため、当該X線CT装置には、被検体に注入した造影剤が、撮像を行う目的の血管に行き渡ったか否かの判別を可能とするプリスキャン機能が設けられている。
【0024】
このプリスキャンを行う場合、オペレータは、まず、入力部6を操作して目的の血管が位置する部位を撮像し、これをリファレンス画像としてモニタ装置4に表示し、或いは前記目的の血管が位置する部位が予め撮像され前記記録再生部5に記憶されている場合は、入力部6を操作してこれを読み出し前記モニタ装置4に表示する。
【0025】
次にオペレータは、前記入力部6を操作して前記モニタ装置4に表示されたリファレンス画像に対して、前記造影剤の有無の確認を行う血管を含むように関心領域(ROI)を設定すると共に、図2中一点鎖線で示すような前記血管に流れる造影剤の量が増すに連れ上昇する該血管のCT値に対する第1,第2の2種類の閾値を入力する。
【0026】
このCT値(CT Number :CT Value)は、水分を基準値(0)とするX線の吸収率をあらわす値であり、組織により固有の値を有している。例えば、水は「0」、脂肪は「−100」、血液は「16」、骨は「800〜1000」等の値を有している。
【0027】
このような2種類の閾値が設定されると、前記システム制御部7は、最初に所定の時間毎に断続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。これにより、この断続的なプリスキャンによる断層像が前記モニタ装置4に表示されるが、この際、前記再構成部2は、この断続的なプリスキャンによる断層像のCT値をシステム制御部7に供給する。
【0028】
システム制御部7は、前記断層像のCT値の中から前記関心領域内の画像(この場合、主に血管)のCT値を検出し、このCT値が図2に示す第1の閾値を超過するまでは前記断続的なプリスキャンを継続するように撮像部1を制御し、前記CT値が第1の閾値を超過したタイミングで連続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。そして、前記CT値が第2の閾値を超過したタイミングで本スキャンを行うように撮像部1を制御する。
【0029】
これにより、造影剤が目的の血管に行き渡るまでの前半は、前記離散的なプリスキャンにより、被検体に対する被爆量を低減しながら前記CT値を検出することができ、造影剤が目的の血管に徐々に行き渡り該CT値のレベルが上昇する後半は、前記連続的なプリスキャンにより、誤差の少ない細かなタイミングでCT値を検出し、本スキャンへの移行タイミングを測ることができる。
【0030】
従って、プリスキャン時における被検体に対する被爆低減を図ることができるうえ、造影剤が目的の血管に十分に行き渡った適性なタイミングで本スキャンを開始することができ、失敗なく診察に有用な断層像の撮像を行うことができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るX線CT装置の説明をする。
【0032】
前記第1の実施の形態に係るX線CT装置は、血管のCT値に対して複数の閾値を設定するものであったが、この第2の実施の形態に係るX線CT装置は、前記撮像部1のX線検出器1bで形成された投影データに対して複数の閾値を設定して上述のプリスキャン制御を行うようにしたものである。
【0033】
なお、この第2の実施の形態に係るX線CT装置の説明においては、上述の第1の実施の形態に係るX線CT装置と同じ動作を示す箇所には、これと同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
すなわち、この第2の実施の形態に係るX線CT装置は、図4に示すように撮像部1の第1チャンネル〜第nチャンネルを有するX線検出器1bにより形成された投影データと、入力部6を介して入力された複数の閾値とを比較し、この比較結果に基づいてプリスキャンの間隔を制御するシステム制御部17を有している。
【0035】
このようなX線CT装置は、前記入力部6を介して例えば上述のように第1,第2の2種類の閾値が設定されると、まず、断続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。撮像部1は、この断続的なプリスキャンにより得られる投影データをシステム制御部17に供給する。システム制御部17は、前記断続的なプリスキャンによる投影データが供給されると、この投影データと、前記リファレンス画像の投影データとの差分を検出し、この差分値と前記各閾値とを比較する。
【0036】
具体的には、図5に示すように前記投影データは、造影剤がその血管に行き渡ると該投影データの値に変化を生ずる。そして、この変化は、その血管に行き渡る造影剤の量が増すに連れ徐々に大きくなる。このため、造影剤注入前のリファレンス画像の投影データと、造影剤注入後において前記プリスキャンにより得られる投影データとの差分を検出し、この差分と前記各閾値とを比較することにより、本スキャンに移行する最適なタイミングを測ることができる。
【0037】
すなわち、前記システム制御部17は、前記差分値が第1の閾値を超過するまでは断続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御し、該差分値が第1の閾値を超過したタイミングで連続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。そして、前記差分値が第2の閾値を超過したタイミングで本スキャンに移行するように撮像部1を制御する。
【0038】
これにより、上述の第1の実施の形態に係るX線CT装置と同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、前記投影データとしては、各曝射毎に得られる投影データをそれぞれ前記閾値との比較対象として用いればよいが、これは、複数曝射分(例えば1回転分)の各投影データを加算し、この平均値と前記各閾値を比較するようにしてもよい。これにより、前記各閾値の比較対象となる投影データを正規化することができ、ノイズ等による悪影響を軽減することができる。
【0040】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るX線CT装置の説明をする。
【0041】
前記各実施の形態に係るX線CT装置は、血管のCT値或いは投影データに対して複数の閾値を設定するものであったが、この第3の実施の形態に係るX線CT装置は、被検体に造影剤を注入する造影剤注入器からの該造影剤の注入量を示すデータに対して複数の閾値を設定して上述のプリスキャン制御を行うようにしたものである。
【0042】
なお、この第3の実施の形態に係るX線CT装置の説明においては、上述の第1の実施の形態に係るX線CT装置と同じ動作を示す箇所には、これと同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
すなわち、この第3の実施の形態に係るX線CT装置は、図6に示すように被検体に造影剤を注入すると共に、この造影剤の注入量を示すデータ(注入量データ)を出力する造影剤注入器26と、前記造影剤注入器26からの注入量データと、入力部6を介して入力された複数の閾値とを比較し、この比較結果に基づいてプリスキャンの間隔を制御するシステム制御部27とを有している。
【0044】
このようなX線CT装置は、前記入力部6を介して例えば上述のように第1,第2の2種類の閾値が設定されると、システム制御部27が、まず、断続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御すると共に、前記造影剤注入器26からの注入量データに基づいて、被検体に注入された造影剤の注入量を検出する。
【0045】
被検体に注入された造影剤の注入量と、目的の血管がその造影剤により満たされるまでに要する時間は比例する。このため、システム制御部27は、逐次、前記造影剤注入器26から供給される注入量データと前記複数の閾値とを比較し、該注入量が第1の閾値を超過するまでは断続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御し、該注入量が第1の閾値を超過したタイミングで連続的なプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。そして、前記注入量が第2の閾値を超過したタイミングで本スキャンに移行するように撮像部1を制御する。
【0046】
これにより、上述の第1の実施の形態に係るX線CT装置と同様の効果を得ることができる。
【0047】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るX線CT装置の説明をする。
【0048】
前記各実施の形態に係るX線CT装置は、それぞれ各データに対する閾値として2種類の閾値を設定するものであったが、この第4の実施の形態に係るX線CT装置は、4種類の閾値を設定すると共に、システム制御部がこの閾値に基づいてプリスキャン間隔を徐々に狭めるように撮像部を制御するようにしたものである。
【0049】
すなわち、図7に示すように上述の第1の実施の形態に係るX線CT装置と同様にCT値に対して4種類の閾値が設定された場合を例にとって説明すると、前記システム制御部7は、最初は時間T間隔でプリスキャンを行うように撮像部1を制御すると共に、このプリスキャンによる再構成部2からのCT値を検出し前記各閾値と比較する。そして、前記CT値が第1の閾値を超過したことを検出すると、このタイミングで時間T/2間隔でプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。
【0050】
次に、システム制御部7は、時間T/2間隔のプリスキャンにより得られるCT値が第2の閾値を超過したことを検出すると、このタイミングで時間T/4間隔でプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。そして、この時間T/4間隔のプリスキャンにより得られるCT値が第3の閾値を超過したことを検出すると、このタイミングで時間T/8間隔でプリスキャン(連続スキャン)を行うように撮像部1を制御し、該CT値が第4の閾値を超過したことを検出したタイミングで本スキャンに移行するように撮像部1を制御する。
【0051】
このように複数の閾値が設定された場合に、プリスキャンにより得られるCT値が各閾値を超過する毎に、徐々にプリスキャン間隔を狭めてプリスキャンを行うように撮像部1を制御することにより、上述と同様に被検体に対する被爆量の低減を図ることができるうえ、前記CT値のレベルが上昇するに連れ、これに応じた間隔でプリスキャンを行うことができ、より最適なタイミングでの本スキャンへの移行を可能とすることができる。
【0052】
この第4の実施の形態の説明では、閾値との比較対象としてCT値を用いることとしたが、これは上述の第2或いは第3の実施の形態に係るX線CT装置と同様に投影データ或いは造影剤に注入量を用いるようにしても同じ効果を得ることができる。
【0053】
なお、上述の各実施の形態の説明では、閾値との比較対象としてCT値,投影データ或いは造影剤の注入量を用いることとしたが、これは、「プリスキャンに関するデータ」であれば何を用いるようにしてもよい。
【0054】
また、本発明に係るX線CT装置を、いわゆる第3世代のX線CT装置に適用することとしたが、これは第1世代,第2世代,第4世代,第5世代等の他のX線CT装置に適用するようにしてもよい。
【0055】
また、2種類或いは4種類の閾値を設定することとしたが、これは、3種類,5種類,6種類等のように所望の種類の閾値を設定すればよい。
【0056】
例えば、3種類の閾値が設定された場合、システム制御部7は、前記CT値,投影データ、或いは造影剤注入量を示すデータが、第1の閾値を超過するまでは時間Tの間隔でプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。また、前記データが第1の閾値を超過した後は、該データが第2の閾値を超過するまでの間、時間T/2の間隔でプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。また、前記データが第2の閾値を超過した後は、該データが第3の閾値を超過するまでの間、プリスキャン間隔を密にしたプリスキャンを行うように撮像部1を制御する。そして、前記データが第3の閾値を超過したタイミングで本スキャンを開始するように撮像部1を制御する。
【0057】
これにより、上述と同様に被検体に対する被爆量の低減を図ることができるうえ、前記データのレベルが上昇するに連れ、これに応じた間隔でプリスキャンを行うことができ、より最適なタイミングでの本スキャンへの移行を可能とすることができる。
【0058】
最後に、上述の各実施の形態は一例であり、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0059】
【発明の効果】
本発明に係るX線CT装置は、プリスキャン時の被爆低減を図ることができるうえ、適性なタイミングで本スキャンを開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るX線CT装置のブロック図である。
【図2】前記第1の実施の形態に係るX線CT装置において、2つの閾値によりプリスキャン間隔が制御される様子を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るX線CT装置のブロック図である。
【図4】前記X線CT装置に設けられている撮像部の構成を示す図である。
【図5】造影剤の投入前後で前記撮像部から得られる投影データの値が変化する様子を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るX線CT装置のブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るX線CT装置において、4つの閾値によりプリスキャン間隔が制御される様子を説明するための図である。
【図8】従来のX線CT装置のプリスキャン動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1…撮像部,2…再構成部,3…表示制御部,4…モニタ装置
5…記録再生部,6…入力部,7,17,27…システム制御部
26…造影剤注入機
Claims (5)
- 撮像手段により検査部位の断層像を撮像する本スキャンを行う前に、該検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのプリスキャンを行うX線CT装置において、
プリスキャン時に得られる前記検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのデータに対して複数の閾値を設定する閾値設定手段と、
前記プリスキャン時に得られるデータのレベルが、前記閾値設定手段により設定された所定の閾値を超過するまではプリスキャン間隔が粗となるように前記撮像手段を制御し、前記プリスキャン時に得られるデータのレベルが、前記所定の閾値を超過し、本スキャンを行うレベルとなるまでの間は、プリスキャン間隔が密となるように前記撮像手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とするX線CT装置。 - 前記閾値設定手段により、前記プリスキャン間隔が密のプリスキャンを開始するレベルまでの間に複数の閾値が設定された場合、前記制御手段は、前記プリスキャン時に得られるデータのレベルが各閾値を超過する毎に、徐々にプリスキャン間隔を狭めたプリスキャンを行うように前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
- 前記検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのデータは、前記撮像手段より得られる、物質のX線吸収率を数値化したデータであるCT値であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線CT装置。
- 前記検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのデータは、前記撮像手段より得られる投影データであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線CT装置。
- 前記検査部位が検査可能であるか否かを判定するためのデータは、被検体に造影剤を注入する造影剤注入手段からの造影剤注入量を示すデータであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のX線CT装置。
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