JP3674086B2 - カラーフィルター用ブラックマトリックス及びブラックマトリックス用レジスト組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラーテレビ、液晶表示素子、撮像デバイス等に使用される光学的カラーフィルターのブラックマトリックス及びその製造に使用されるブラックマトリックス用レジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルターはカラーテレビ、液晶表示素子、撮像デバイス等をフルカラー化するために用いられる素子であり、通常はガラス、プラスチックシート等の透明基板上に設けられたブラックマトリックスと呼ばれるストライプ状又は格子状の遮光性材料のパターンの上に、カラーレジストである色材料を含有する光重合性組成物をスピンコート法にて塗布・乾燥し、その上にマスク等を用いて露光し、現像することで、色材画素画像を形成する工程を赤、緑、青の3色について各々繰り返して製造される。
【0003】
上記ブラックマトリックスの遮光性としては透過光濃度が2.5以上であることが要求され、更に該ブラックマトリックス上に赤、緑、青のパターンを形成する際に凹凸が生じ、極端な場合にはその上に設けたITO等の透明電極が断線するおそれもあるため、その膜厚はできるだけ薄いことが望まれている。
【0004】
従来、ブラックマトリックスの製造方法としては、基板上にクロムの膜を設け、それをエッチングすることで所定のブラックマトリックスパターンを得る方法が用いられていたが、この方法は高コストであり、得られる膜の表面反射率が高いといった欠点がある。このため、カーボンブラック等の黒色顔料を用いたレジスト法によるブラックマトリックスの製造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のレジスト法によるブラックマトリックスでは遮光性が充分でなく、透過光濃度を2.5以上とするためには膜厚を1.5μm以上とする必要があった。
【0006】
このような問題を解決するために、単に光重合性組成物中の黒色顔料の配合量を増加させた場合には、均一分散が難しく、得られるブラックマトリックスの膜強度や接着性に問題が生じることから、従来、レジスト法による実用的なブラックマトリックスの製造は実現されていなかった。
【0007】
最近になって、レジストパターンを形成した基板に黒鉛塗料を塗布し、その後、レジストパターン部分を除去するリフトオフ法(特開平7−34031号公報)が提案されたが、この方法では工程が多くなり、製造上不利である。
【0008】
本発明は上記従来の問題点を解決し、製造コストが安く、遮光性に優れ、耐溶剤性、基板との接着性にも優れたカラーフィルター用ブラックマトリックス及びこのようなブラックマトリックスを製造するためのレジスト組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラーフィルター用ブラックマトリックスは、黒色顔料としてカーボンブラックを含有するブラックマトリックスにおいて、該カーボンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であることを特徴とする。
【0010】
即ち、本発明者らは従来の問題を解決すべく鋭意検討の結果、酸素量の大きいカーボンブラックを使用することで、分散性、遮光性に優れたブラックマトリックスが製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
面積酸素濃度9mg/100m2以上という酸素量の大きいカーボンブラックを使用することにより、カーボンブラックの高濃度配合にて、分散性、遮光性、耐溶剤性、基板接着性等に優れたブラックマトリックスを製造することができる。
【0012】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、光重合開始剤組成物、エチレン性化合物、及び、カーボンブラックを含有するレジスト組成物において、該カーボンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、該カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であることを特徴とする。
【0013】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、特に、カーボンブラックの表面のpHが6以下であることが好ましい。
【0014】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、特に、カーボンブラックの含有量が固形分濃度で40重量%以上であることが好ましい。
【0015】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、特に、乾燥膜厚0.8μm以下で透過光濃度が2.7以上であるブラックマトリックスを製造するための組成物として有効である。
【0016】
【発明の実施の型態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明で使用するカーボンブラックについて説明する。
【0018】
本発明で使用するカーボンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が当該カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上のものである。なお、ここで、カーボンブラックの表面積とは窒素吸着量から求めた、所謂BET法表面積である。以下、本明細書においてカーボンブラックの表面積100m2当たりの上記全酸素量を「面積酸素濃度」と称し、単位「mg/100m2」で記す。
【0019】
カーボンブラックの面積酸素濃度が9mg/100m2未満では、カーボンブラックの分散性が悪くなるため、カーボンブラックの配合量を増加させた場合に塗布性等に問題が生じて、均一なブラックマトリックスの製造が困難になる。本発明においては、特にカーボンブラックの面積酸素濃度は9〜100mg/100m2であることが好ましい。
【0020】
カーボンブラックの平均粒子径は、20〜300nmであることが好ましい。また、カーボンブラックは、分散性の観点からは、その表面のpHが6以下、特に、1〜5であることが好ましい。更に、カーボンブラックのDBP量、即ち、比表面積の量は、ストラクチャーの観点から、カーボンブラック100g当り、10〜500mlであることが好ましい。
【0021】
本発明に好適なカーボンブラックの具体例としては、例えば、#2400,#2350,#2200,#970,MA7,MA8,MA11,MA1100,MA220,MA230(以上、三菱化学(株)製)、MTC,FTC,FTC#15(以上、旭カーボン(株)製)、デグッサ社製FWシリーズ等が挙げられる。
【0022】
また、本発明においては、上記カーボンブラックの効果を損なわない範囲において、上記カーボンブラックと共に、調色のために他の黒色染顔料、例えばチタンブラック、酸化鉄系黒色顔料、アニリンブラック等を併用することができる。
【0023】
その他の黒色染顔料の具体例としては、野間化学工業(株)製アニリンブラック D.ブラック#300、三菱マテリアル(株)製チタンブラック 13M・13R・10S、チバガイギー社製Black RL1等が挙げられる。
【0024】
次に、上記カーボンブラックを含有する本発明のカラーフィルター用ブラックマトリックスを製造する方法について説明する。本発明のカラーフィルター用ブラックマトリックスを製造するには、通常、光重合性の本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物が使用される。
【0025】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、光を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤組成物と、該ラジカルにより重合が誘起される付加重合性のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す。)と、上記特定の面積酸素濃度を有するカーボンブラックを含有し、好ましくは、相溶性、皮膜形成性、現像性、接着性の改善のために結合剤としての有機高分子物質、更に、カーボンブラックの分散性向上のための分散剤を含有する光重合性組成物である。
【0026】
これらの構成成分のうち、光重合開始剤組成物としては、下記のような紫外から可視領域に感度を有するものを、使用する露光光源に応じて、適宜選択可能である。
【0027】
即ち、400nm未満の波長の紫外光を吸収してラジカルを発生する光重合開始剤組成物としては、例えば、ファインケミカル,1991年,3月1日号Vol 20,No. 4,P.16〜P.26に記載のジアルキルアセトフェノン系,ベンジルジアルキルケタール系,ベンゾイン,ベンゾインアルキルエーテル系,チオキサントン誘導体,アシルホスフィンオキサイド系等、その他、特開昭58−40302号公報,特公昭45−37377号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール系,s−トリハロメチルトリアジン系,特開昭59−152396号公報に記載のチタノセン系等を用いることができる。
【0028】
一方、波長400nm以上500nm以下の可視光に感応する光重合開始剤組成物としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤及び染料を含む組成物(特公昭45−37377号公報)、ヘキサアリールビイミダゾールと(p−ジアルキルアミノベンジリデン)ケトンを含む組成物(特開昭47−2528号、特開昭54−155292号各公報)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料を含む組成物(特開昭48−84183号公報)、置換トリアジンとメロシアニン色素を含む組成物(特開昭54−151024号公報)、ケトクマリンと活性剤を含む組成物(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号各公報)、置換トリアジンと増感剤を含む組成物(特開昭58−29803号、特開昭58−40302号各公報)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールを含む組成物(特開昭59−56403号公報)、ジアルキルアミノフェニル基を含有する増感剤とビイミダゾールを含む組成物(特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報)、有機過酸化物と色素を含む組成物(特開昭59−140203号、特開昭59−189340号各公報)、チタノセンを含む組成物(特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−10602号、特開昭63−41484号、特開平2−291号、特開平3−12403号、特開平3−20293号、特開平3−27393号、特開平3−52050号各公報)、チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基或はウレタン基を有する付加重合可能なエチレン性飽和二重結合含有化合物を組合せた組成物(特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報)等が挙げられる。
【0029】
波長400nm以上500nm以下の光に感応する光重合開始剤組成物の好適例としては、波長400〜500nmに吸収を有する増感色素と、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−カルボエトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−ブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール等のヘキサアリールビイミダゾール、及び、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機チオール化合物からなる複合光重合開始剤組成物、或いは、波長400〜500nmに吸収を有する増感色素とジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)−フェニル−1−イル、ジシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル(以下、「化合物S−1」と称す。)、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル等のチタノセン化合物、更に、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル(以下、「化合物S−2」と称す。)、ミヒラーズケトン等のジアルキルアミノフェニル化合物からなる複合光重合開始剤組成物が挙げられる。
【0030】
なお、増感色素のうち、ヘキサビイミダゾールを増感する色素としては、例えば特開平2−69号公報,特開昭57−168088号公報,特開平5−107761号公報,特開平5−210240号公報,特願平4−288818号に記載の増感色素を挙げることができる。
【0031】
また、チタノセンを増感する色素としては、例えば特願平5−83588号,特願平5−84817号,特開平5−83587号公報,特願平6−12949号,特願平6−74743号,特願平6−141588号に記載の増感色素を挙げることができる。
【0032】
また、これらの可視光領域に感応する光重合開始剤組成物のうち、可視光と共に紫外部にも吸収を持ち、高い感度を示すものについては、紫外光領域の光源に対する光重合開始剤組成物として利用しても良い。
【0033】
このような可視光及び紫外光領域に共に高い感度を示すものとしては、ヘキサアリールビイミダゾール、或いは、チタノセンを含有する光重合開始剤組成物等を挙げることができる。
【0034】
上記の光重合開始剤組成物のうちでは、ヘキサアリールビイミダゾール、チタノセンを含有する光重合開始剤組成物が高い感度を示すことから好ましく、特に、チタノセンを含有する光重合開始剤組成物であれば、ヘキサアリールビイミダゾールを含有する光重合開始剤組成物に比べて、少量で高い感度を示すと共に、高い乾燥条件でも安定なため、高いカーボンブラック濃度を有するブラックマトリックス用レジスト組成物にはより一層好ましい。
【0035】
本発明に使用されるエチレン性化合物としては、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物と不飽和モノカルボン酸との付加反応、或いは、芳香族ポリヒドロキシ化合物とエポキシモノカルボン酸エステルとの付加反応、で得られるエチレン性不飽和二重結合を2個以上有するエチレン性化合物(以下「エチレン性化合物(A)」と称す。)が好適であるが、該エチレン性化合物(A)と共に、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸との付加反応(エステル反応)で得られる、エチレン性不飽和二重結合を2個以上含有するエチレン性化合物(以下「エチレン性化合物(B)」と称す。)を併用することが好ましい。
【0036】
該エチレン性化合物(A)は透明基板との接着性、特に、アルカリ現像時の接着性(現像画像接着性)を向上させて、ブラシ、スプレー或いはスポンジ等による物理的刺激に対して、画像の欠落を防ぐ機能を果たすものである。
【0037】
該エチレン性化合物(A)の具体的な例としては、ハイドロキノン,レゾルシン,ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA,ポリビスフェノールA,ブロム化ビスフェノールA,ポリブロム化ビスフェノールA等のビスフェノールA誘導体、ノボラック等の芳香族ポリヒドロキシ化合物とエピクロルヒドリンをアルカリ条件下付加反応させて得られる芳香族ポリグリシジルエーテル化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を4級アンモニウム塩等を触媒にして付加反応させることにより得られるエチレン性化合物、或いは、ハイドロキノン,レゾルシン,ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールA,ポリビスフェノールA,ブロム化ビスフェノールA,ポリブロム化ビスフェノールA等のビスフェノールA誘導体、ノボラック等の芳香族ポリヒドロキシ化合物とグリシジル(メタ)アクリレート、下記[T−1]又は[T−2]等の構造のエポキシ(メタ)アクリレートを、“SYNTHETIC COMMUNICATION, 24(21) ”3099-3019(1994) 等に記載の酸又はアルカリの触媒を用いて付加反応させることにより得られるエチレン性化合物が挙げられ、より具体的には、例えば、次の[M−1],[M−2],[M−3],[M−4]等を挙げることができる。
【0038】
【化1】
【0039】
【化2】
【0040】
特に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの共縮重合物タイプのエチレン性化合物(A)を使用した場合、他のエチレン性化合物の場合に比べ現像画像接着性に優れているため好ましい。
【0041】
とりわけ好ましいエチレン性化合物(A)としては、25℃の粘度が100cps以上、更に25℃の粘度が1000cps以上のものが挙げられる。この粘度が100cpsより著しく低いと、現像画像接着性が低下する。
【0042】
一方、エチレン性化合物(B)は、現像時の非画線部の溶解性を高め、高画質の画像を形成させる機能を有する。該エチレン性化合物(B)の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート,グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、これらの例示化合物の(メタ)アクリレートをイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロトネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等がある。これらのうち、特に、4官能〜6官能のジペンタエリスリトールポリアクリレートが画像形成性に優れる点から好ましい。
【0043】
前記エチレン性化合物(A)及びエチレン性化合物(B)の製造に当っては、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、或いは、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させる際に、不飽和モノカルボン酸と共に飽和のモノカルボン酸を付加させ、該エチレン性化合物の粘性等の物性を制御することもできる。
【0044】
本発明において、エチレン性化合物(A)とエチレン性化合物(B)との好適な使用割合は、重量比で、エチレン性化合物(A):エチレン性化合物(B)=100:0〜10:90、好ましくは90:10〜20:80、更に好ましくは80:20〜30:70である。
【0045】
その他、本発明において併用できるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類、フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物、不飽和二価カルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル、不飽和二価カルボン酸とジアミンとの重縮合反応により得られるポリアミド、側鎖に不飽和結合をもつ二価カルボン酸、例えばイタコン酸、プロピリデンコハク酸、エチリデンマロン酸等とジヒドロキシ又はジアミン化合物との縮重合体、側鎖にヒドロキシ基やハロゲン化メチル基の如き反応活性を有する官能基を有する重合体、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリエピクロルヒドリン等とアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸との高分子反応により得られるポリマー等が挙げられる。
【0046】
本発明において、光重合性組成物の結合剤として使用される有機高分子物質としては、メチル(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、ブチル(メタ)アクリル酸、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;ヒドロキシフェニル(メタ)アクリル酸、メトキシフェニル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸の置換基を有していても良いフェニルエステル;アクリロニトリル;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル;スチレン、α−メチル−スチレン等の共重合体、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとのポリエーテル、可溶性ナイロン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートイソフタレート、アセチルセルロース及びポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル又はメタクリル」を示す。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
【0047】
本発明においては、得られる塗膜の皮膜強度、耐塗布溶剤性、基板接着性を高める目的で、上記有機高分子物質のうち、カルボン酸基を有するものの、カルボン酸基の一部又は全部を、グリシジル(メタ)アクリレート、前記[T−1]又は[T−2]の構造のエポキシ(メタ)アクリレートと反応させて、光重合性の有機高分子物質とすることもできる。
【0048】
本発明において、特に好ましい有機高分子物質としては、基板への接着性を高める目的で、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリル酸、メトキシフェニル(メタ)アクリル酸、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のフェニル基を有する共重合モノマーを10〜80モル%、好ましくは20〜70モル%、より好ましくは30〜60モル%の割合で含有し、その他(メタ)アクリル酸を2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%の割合で含有する共重合体、或いは、全共重合モノマーに対して2〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%のエポキシ(メタ)アクリレートが付加された反応物が望ましい。
【0049】
このような有機高分子物質の分子量としては、重量平均分子量(Mw)で1,000〜1000,000、好ましくは2,000〜500,000、より好ましくは3,000〜200,000の範囲である。有機高分子物質のMwがこの範囲より著しく低いと、現像時に画線部分の膜ベリが生じ、逆に有機高分子物質のMwが著しく高いと現像時に非画線部の抜け性不良を生じ易い。
【0050】
また、本発明においては、後述の如く、高い含有量でカーボンブラックを均一に分散させるために、分散剤を配合することが好ましい。分散剤としては、界面活性剤、低分子分散剤、高分子分散剤等が挙げられる。また、前記有機高分子物質が分散剤としても作用するように、リン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を導入することもできる。
【0051】
このうち、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤が好ましく、低分子分散剤としてはゼネカ(株)製Solsperseシリーズ、ビック・ケミー社製Disperbykシリーズ等が好ましい。高分子分散剤としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも良く、熱硬化性樹脂としてはウレタン系、アクリル系、ポリイミド系、アルキッド系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、メラミン系、フェノール系等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、アクリル系、塩化ビニル系、塩化ビニル酢酸ビニル共重合系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリカーボネート系等が挙げられる。
【0052】
これらの分散剤は、カーボンブラックに対して200重量%以下、特に、1〜100重量%の割合で用いるのが好ましい。
【0053】
本発明において、前記光重合開始剤組成物の含有量は、カーボンブラックを除くブラックマトリックス用レジスト組成物に対し、0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、より好ましくは0.2〜20重量%であり、前記エチレン性化合物の含有量は、カーボンブラックを除くブラックマトリックス用レジスト組成物に対し、20〜99重量%、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%であり、前記有機高分子物質の含有量は、カーボンブラックを除くブラックマトリックス用レジスト組成物に対し、0〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
【0054】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、これを用いて、1.0μm以下、好ましくは0.3〜0.8μm、より好ましくは0.3〜0.6μmの膜厚に形成した塗膜の、透過光濃度が2.5以上、好ましくは2.7以上のブラックマトリックスを形成させるために、該レジスト組成物中に含有される前記カーボンブラックの含有量としては、全固形分に対し、30〜90重量%、好ましくは35〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%の範囲とするのが望ましい。
【0055】
本発明に係るブラックマトリックス用レジスト組成物は、このような高いカーボンブラック含有率の状態で、高画質なブラックマトリックス画像を形成させると共に、該ブラックマトリックス上に塗設して形成される色材光重合性層、或いは、ポリアミド,ポリイミド等の保護層等の塗布溶剤に対する耐溶剤性、及び、透明基板に対する高い接着性を与える機能を有する。
【0056】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、前述の各種成分を適当な溶剤で調液した塗布液として提供される。
【0057】
本発明において、溶剤としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略記する。)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、クロロホルム、ジクロロメチン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラハイドロフラン等が挙げられる。
【0058】
本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物は、これらの溶剤を用いて、光重合性組成物(カーボンブラック、光重合開始剤組成物、エチレン性化合物、有機高分子物質及び分散剤の合計)濃度が5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲となるように調液される。
【0059】
以下に、本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物を調製する際のカーボンブラックの分散方法について説明する。
【0060】
カーボンブラックの分散処理に当っては、カーボンブラックを、分散剤と共に、前述の塗布溶剤に添加し、0.1mm〜数mmの粒径のガラスビーズ又はジルコニアビーズを用いたビーズミル、ペイントシェーカー、或いは、バルブホモジナイザー等の各種分散方法により、通常、室温(25〜30℃)で10分間〜48時間、好ましくは30分間〜24時間分散処理を行う。
【0061】
従って、本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物の調液に当っては、一般に、まず、塗布溶剤、分散剤及びカーボンブラックを用いて、上述の方法で分散処理を行い、カーボンブラック濃度が10〜70重量%程度の分散液を得、得られた分散液に更に他の成分(光重合開始剤組成物、エチレン性化合物、有機高分子物質等)を混合し、同様に更に混合分散を行って、カーボンブラックの固形分濃度が上記範囲となるような組成物を調製する。
【0062】
次に、本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物を用いるブラックマトリックス及びカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0063】
本発明のブラックマトリックスの製造に使用される透明基板としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等のプラスチックシート、或いは、各種ガラス板等を挙げることができる。
【0064】
このような透明基板には、表面の接着性等の物性を改良するために、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜形成処理等を行うことができる。
【0065】
なお、透明基板の板厚は、0.05〜10mm、特に0.1〜7mmの範囲であることが好ましい。また、各種ポリマーの薄膜形成処理を行う場合には、その膜厚は0.01〜10μm、特に0.05〜5μmの範囲であることが好ましい。
【0066】
上記透明基板上に、ブラックマトリックス用レジスト組成物を、スピナー,ワイヤーバー,フローコーター,ダイコーター,ロールコーター,スプレー等の塗布装置により塗布した後、50〜200℃、好ましくは100〜150℃の温度で15秒〜10分間、好ましくは30秒〜5分間乾燥させる。なお、ここで、塗布、乾燥して得られる光重合性層の膜厚は、好ましくは0.5〜3μm、より好ましくは1〜2μmである。
【0067】
ここで、乾燥温度は、高温なほど透明基板に対する接着性が向上するが、一方、高過ぎると光重合開始剤組成物が分解し、熱重合を誘発して現像不良を起こし易い。
【0068】
次に、この光重合性層上にブラックマトリックス用のネガフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して、紫外又は可視等の光源を用いて画像露光する。この際、必要に応じて酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を塗設した後、露光を行っても良い。
【0069】
即ち、カラーフィルターの製造に当り、光重合性層の露光の際に、酸素による光重合性層の感度低下を防止する目的で、色材光重合性層の上に、ポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を塗設する場合がある。しかしながら、このような酸素遮断層を塗設することなく、光重合性層を露光、現像して画像形成することが、工程数の大幅な減少の面から好ましい。酸素遮断層を設けない場合、ブラックマトリックス用レジスト組成物中に、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリル酸,ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド,ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のヒドロキシフェニル基等の芳香族水酸基を有するモノマーを共重合モノマー成分として5〜50モル%,好ましくは10〜30モル%の割合で有する有機高分子物質を使用したり、特開平4−218048号公報,特開平5−19453号公報等に記載のジアゾ化合物を1〜20重量%,好ましくは2〜10重量%含有させたりする。これにより、酸素による感度低下を低く抑えることができ、酸素遮断層を不要とすることができる。
【0070】
露光後は、アルカリ現像液或いは含水有機溶剤現像液により現像処理を行い透明基板上にブラックマトリックスを形成させる。なお、必要に応じてこの現像処理の前に、光重合層の感度或いはγ値(階調)を高くする目的で露光試料を70〜200℃で15秒〜20分間、好ましくは80〜150℃で30秒〜10分間の熱処理を施すことができる。
【0071】
現像に使用されるアルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機のアルカリ剤、或いはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム塩等の有機のアルカリ剤を含有し、必要に応じ、画質向上、現像時間の短縮等の目的で界面活性剤、水溶性の有機溶剤、水酸基又はカルボン酸基を有する低分子化合物等を含有させた水溶液を用いることができる。
【0072】
現像液の界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸ナトリウム基、ベンゼンスルホン酸ナトリウム基を有するアニオン性界面活性剤、ポリアルキレンオキシ基を有するノニオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム基を有するカチオン性界面活性剤等を挙げることができ、また、水溶性の有機溶剤としては、エタノール、プロピオンアルコール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
【0073】
また、水酸基又はカルボキシ基を有する低分子化合物としては、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロガロール、安息香酸、コハク酸、グルタル酸等を挙げることができる。
【0074】
一方、含水有機溶剤現像液に使用される有機溶剤としては、前記のアルカリ現像液中に用いられた水溶性の有機溶剤の中より適宜選択して使用することができる。
【0075】
上記の現像処理は、通常、20〜40℃、好ましくは25〜35℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法により行われる。
【0076】
現像後の試料は、必要に応じて、該試料の上に塗布されるカラーフィルターレジスト溶液、或いは、ポリアミド,ポリイミド等の保護層用の塗布溶剤に対する耐久性、又は、ガラス基板等の透明基板との接着性を高める目的で、該試料を100〜250℃,5〜60分間の熱硬化処理を行うか、或いは、適正露光量以上の露光量、好ましくは、適正露光量の1〜10倍の露光量による光硬化処理を施すことができる。
【0077】
このようにしてブラックマトリックスを形成した後は、続いて、該試料の上に赤,緑,青の3色のカラーフィルターレジスト溶液を同様にしてそれぞれ塗布・乾燥した後、該試料を、色材画素用のネガフォトマスクを用いて前記と同様に露光、現像、必要に応じて熱又は光硬化処理を繰り返し行い、ブラックマトリックス間に3色の画素を形成してカラーフィルターを作製する。
【0078】
このようにして作製されたカラーフィルターは、このままの状態で、上にITO(透明電極)が形成され、カラーディスプレーの部品の一部として使用されるが、更にカラーフィルターの表面平滑性、或いは耐久性を高める目的でポリアミド,ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。
【0079】
本発明において画像露光に使用される光源としては、キセノンランプ,ハロゲンランプ,タングステンランプ,高圧水銀灯,メタルハライドランプ,中圧水銀灯,低圧水銀灯等のランプ光源、及びアルゴンイオンレーザー,YAGレーザー,エキシマーレーザー,窒素レーザー等のレーザー光源が挙げられる。これらの光源には、必要とされる照射光の波長領域に応じて、適宜光学フィルターを使用することもできる。
【0080】
以上、ブラックマトリックスが形成された透明基板上に赤,緑,青の画素画像を形成する方法を説明したが、赤,緑,青の画素画像形成後にブラックマトリックスを形成する方法も採用可能である。
【0081】
また、本発明のブラックマトリックス用レジスト組成物を用いて、透明基板上に、ブラックマトリックスを形成させる際に、透明基板との現像画像接着性及び/又は熱硬化画像の接着性を高める目的で、該透明基板上に色材料を含有しないカラーフィルターレジスト溶液を塗布して光硬化させた光硬化接着層を設けても良い。
【0082】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0083】
なお、実施例及び比較例で用いたカーボンブラックのpH,DBP量、比表面積及び揮発分の測定方法、酸素濃度の算出方法、並びにブラックマトリックスの透過光濃度の測定方法は次の通りである。
【0084】
[カーボンブラックの表面のpHの測定]
カーボンブラック10gに蒸留水100mlを加えて、ホットプレート上で10分間煮沸し、室温まで冷却した後、上澄み液をデカンテーションにより捨て、残りの泥状物のpHをガラス電極pHメーターで測定した。
【0085】
[カーボンブラックのDBP量の測定]
150℃±1℃で1時間乾燥した試料20.00g(A)をアブソープトメーター ( Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを所定の位置(リミットスイッチの設定は最大トルクの約70%の位置とする。)に設定した混合室の回転機を回転する。同時に、自動ビューレットからDBP(i−ジブチルフタレート:比重1.045〜1.050)を4ml/分の割合で添加し始める。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それ迄に添加したDBP量(Bml)よりDBP吸油量(Dml/100g)を次式により求める。
D=B÷A×100
[カーボンブラックの比表面積の測定]
ソープトマチック窒素吸着装置(カルロエルバ社製)を用いて、B.E.T法で1g当りの表面積を測定した(m2 /g)。
【0086】
[カーボンブラックの揮発分の測定]
カーボンブラック0.5gを石英サンプル管に入れ、10-2mmHgに減圧後、950℃で30分間加熱し、揮発成分をテプラーポンプを通じてガス捕集管に採取した。該揮発成分をガスクロマトグラフィーで分析して同定し、カーボンブラック1g当りのCO量(mg/g)及びCO2 量(mg/g)を求め、各々、上記で求めた比表面積で割って100倍し、カーボンブラックの表面積100m2 当りのCO量(mg/100m2 )及びCO2 量(mg/100m2 )を求めた。
【0087】
[面積酸素濃度の算出]
上記CO量及びCO2 量より、下記式で面積酸素濃度を算出した。
面積酸素濃度(mg/100m2)=CO量(mg/100m2)×16/28 +CO2 量(mg/100m2)×32/44
[ブラックマトリックスの透過光濃度の測定]
膜厚0.8μmのブラックマトリックスについてTR−927マクベス濃度計で測定した。
【0088】
実施例1,2、比較例1,2
表1に記載のカーボンブラック(いずれも三菱化学(株)製で平均粒径は24nm)1.6gと、分散剤としての機能を持つ有機高分子物質として下記▲1▼のアクリル系樹脂0.9gと、溶剤としてPGMEA7.5gとを混合し、粒子径0.5mmのジルコニアビーズ10mlを加え、ペイントコンディショナーで5時間振動し、カーボンブラックの分散液を得た。
【0089】
【化3】
【0090】
この分散液を用いて、下記組成のブラックマトリックス用レジスト組成物を調製した。なお、この組成物中のカーボンブラックの固形分濃度は52重量%である。
【0091】
高圧水洗浄、紫外線照射及びオゾン処理を施したガラス基板(コーニング社製No. 7059,厚さ1.1mm)上に上記ブラックマトリックス用レジスト組成物をスピンコート法により塗布し、130℃のホットプレート上で乾燥して膜厚0.9μmのレジスト層を形成した。このレジスト層にマスクを用いて紫外線を250mJ/cm2 密着露光した後、0.5重量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像し、ブラックマトリックスパターンとした。その後、該パターンを高圧水銀灯を用いて、基板側及びレジスト側からそれぞれ15000mJ/cm2 ずつ紫外線照射し、200℃のオーブン中で10分間熱処理を施し、厚さ0.8μmのブラックマトリックスを作成した。該ブラックマトリックスの透過光濃度を測定し、その結果をカーボンブラックの諸物性と共に表1に記載した。
【0092】
【表1】
【0093】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のカラーフィルター用ブラックマトリックス及びブラックマトリックス用レジスト組成物であれば、カーボンブラックの配合量を多くできるため、膜厚が薄くても遮光性に優れ、耐溶剤性、基板との接着性にも優れたブラックマトリックスを短時間で製造することができる。
Claims (5)
- 黒色顔料としてカーボンブラックを含有するブラックマトリックスにおいて、該カーボンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であることを特徴とするカラーフィルター用ブラックマトリックス。
- 光重合開始剤組成物、エチレン性化合物、及び、カーボンブラックを含有するレジスト組成物において、該カーボンブラックは、950℃における揮発分中のCO及びCO2から算出した全酸素量が、該カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であることを特徴とするブラックマトリックス用レジスト組成物。
- 請求項2の組成物において、カーボンブラックの表面のpHが6以下であることを特徴とするブラックマトリックス用レジスト組成物。
- 請求項2又は3の組成物において、カーボンブラックの含有量が固形分濃度で40重量%以上であることを特徴とするブラックマトリックス用レジスト組成物。
- 請求項2ないし4のいずれか1項の組成物において、乾燥膜厚0.8μm以下で透過光濃度が2.7以上であるブラックマトリックスを製造するための組成物であることを特徴とするブラックマトリックス用レジスト組成物。
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