JP3671726B2 - Magnetization method of superconductor and superconducting magnet device - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,バルク形状(塊状)の超電導体に高い磁場を捕捉させて磁石として用いる場合の,超電導体の着磁方法及び超電導体磁石装置に関する。
【0002】
【従来技術】
溶融法により作製されたRE−Ba−Cu−O系(REはY又は希土類元素)の高温超電導体は1T(テスラ)を越える大きな磁場を捕捉することができ,従来の永久磁石を凌ぐ性能の磁石となることが知られている。
この超電導体を簡便に着磁する方法としては,例えば,特開平6−168823号公報(文献1),Japanese Journal of Applied Physics Vol.35 (1996) p.p. 2114-2125(文献2),特開平10−012429号公報(文献3),特開平10−154620号公報(文献4)に記載されているごとく,パルス磁場を超電導体に印加する方法(パルス着磁法)が開示されている。
【0003】
上記文献1によれば,高温超電導体を77Kに冷却した後,高温超電導体の周囲に配置した着磁コイルにパルス電流を通電することにより超電導体に図4に示すごときパルス磁場Pを印加する。これにより,超電導体は,いわゆるピン止め力によって磁場を捕捉して強力な磁石となる。
このパルス着磁法によれば,従来のFC(Field Cooling:磁場中冷却)法やZFC(Zero Field Cooling:ゼロ磁場冷却)法などの静磁場による着磁方法に比べて非常に簡便に超電導体を着磁することができ,この方法を利用した超電導磁石装置はコンパクトにすることができる。
【0004】
また,文献2においては,超電導体に最大の磁場を捕捉させるためには,印加する磁場の大きさに最適値があり,それより大きな磁場を印加すると,捕捉される磁場が減少することが報告されている。
また,文献3には,液体窒素に代えて冷凍機を用いて超電導体を冷却する方法が示されている。
また,文献4には,超電導体にパルス磁場を複数回印加する着磁方法が示されている。この方法によれば,パルス磁場を1回だけ印加する場合よりも大きな磁場を超電導体に捕捉させることができる。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来のパルス着磁法においては,次のような問題点がある。この問題点を明らかにするために,超電導体が磁場を捕捉するメカニズムを簡単に説明する。
【0006】
一般に,超電導遷移温度以下に冷却された超電導体に外部から磁場を印加すると,ある定まった量の磁場が磁束線1本の単位(量子化磁束)となって,多くの磁束線の形で超電導体の内部に侵入する。この磁束線は超電導体内部に分散するピン止め点に捕捉され,外部の磁場が無くなっても磁場が超電導体内部に残る。その結果,超電導体は着磁されて磁石となる。
【0007】
超電導体内のピン止め点が磁束線を捕捉する力(ピン止め力)は,超電導体の材料固有の特性であり,一般に低温になるほど強くなる。そのため,超電導体を冷却して低い温度にすれば,ピン止め力は向上し,超電導体が捕捉できる磁場は多くなる。
【0008】
パルス着磁においては,図4に示したように,磁場が短時間で大きく変化するため,原理的に超電導体内に侵入する磁束線が外部磁場の変化に追随できず,印加したパルス磁場が超電導体の中心まで有効に伝わらない。従って,同じ強さの磁場を印加したときに超電導体に捕捉される磁場は,静磁場着磁の場合よりも小さくなってしまう。
【0009】
また,パルス磁場の印加中には磁束線が超電導体内部で激しく動くため,超電導体の温度が上昇する。そのため,ピン止め力が低下し,最終的に超電導体に捕捉される磁場は,静磁場着磁の場合よりも小さくなってしまう。
これらの問題は,捕捉磁場特性の優れた(ピン止め力の強い)超電導体であるほど,また,より低温で着磁する場合ほど深刻になり,上記従来のパルス着磁法では十分な強度の磁場が捕捉できないという問題があった。
【0010】
さらに,上記文献4に開示されているように,超電導体にできる限り大きな磁場を捕捉させるためには,捕捉される磁場より十分大きなパルス磁場を印加することが必要となる。この場合,着磁コイルの巻数を多くしたり,パルス電流を供給する電源を大型化したり,さらには,大きな電磁力に耐えうる様に着磁コイル全体を頑丈な構造にする必要がある。これらのことは,パルス着磁法が他のFC法やZFC法よりも簡便な装置で超電導体を容易に着磁できるという大きな特徴を損なってしまう。
【0011】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,捕捉磁場特性の優れた超電導体に,コンパクトな装置で高い磁場を捕捉させることができる,超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,超電導遷移温度以下の温度に冷却した超電導体に強磁性体を近接させた状態で,着磁コイルにより発生するパルス磁場を印加するに当たり,上記強磁性体は,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設することを特徴とする超電導体の着磁方法にある。
【0013】
本発明において最も注目すべきことは,パルス着磁の際に上記強磁性体を上記超電導体に近接させておくことである。
ここで,強磁性体を超電導体に近接させるとは,少なくとも,上記着磁コイルにより超電導体に印加するパルス磁場が上記強磁性体にも印加され,それにより誘起された強磁性体の磁化の効果が超電導体に及ぶように,該強磁性体を位置させることをいう。
【0014】
上記強磁性体は,飽和磁化,又は残留磁化が大きいことが好ましい。具体的には,例えば表1に示すように,パーメンジュール(Fe-50Co-2V),電磁軟鉄,ケイ素鋼(Fe-3Si),Fe-3.5Al,センダスト(Fe-9.5Si-5.5Al),メタグラス2605SC(Fe-3B-2Si-0.5C),メタグラス2605S2(Fe-3B-5Si)などの高透磁率材料,Sm-Co,Nd-Fe-Bなどの永久磁石材料,Gd,Dy,Tb,EuOなどの希土類材料がある。
【0015】
次に,本発明の作用について説明する。
強磁性体は磁場がかかると強く磁化され,それ自体が磁場を発生するようになる。そのため,強磁性体を超電導体に近接させて上記着磁コイルによりパルス磁場を印加すると,超電導体には着磁コイルが発するパルス磁場だけでなく,そのパルス磁場により磁化された強磁性体による磁場が重畳して印加される。それ故,超電導体に実効的にかかる磁場は,上記強磁性体のない場合よりも大きくなる。従って,着磁コイルからの印加磁場の大きさが同じであっても,強磁性体を用いることにより,これを用いない場合よりも多くの磁場を超電導体に捕捉させることができる。
【0016】
また,着磁コイルの磁場がゼロになった後でも,残留磁化,もしくは超電導体に捕捉された磁場により誘起される磁化が強磁性体に残るので,超電導体には引き続き磁場がかかった状態が継続される。これにより,上述した発熱による捕捉磁場の減少が抑制され,従来のパルス着磁法よりも多くの磁場を捕捉することが可能となる。
【0017】
即ち,上述したように,強磁性体がないと超電導体の発熱によりピン止め力が弱くなり,磁束線が超電導体から抜け出てしまうが,強磁性体が近接して存在すると,磁束線が強磁性体に引きつけられ超電導体から抜けにくくなる。発熱した超電導体は時間の経過と共に冷却され,一定時間後には着磁前の温度に戻るので,強磁性体により保持されていた超電導体内の磁束線がピン止め点に捕捉され,強磁性体を取り除いた後も多くの磁場を捕捉できるようになる。
【0018】
【表1】
【0019】
また,請求項2の発明のように,上記強磁性体は予め磁化されており,かつ上記超電導体を超電導遷移温度以下に冷却する以前に,上記強磁性体を上記超電導体に近接させておくことが好ましい。この場合には,上記強磁性体の磁化による磁場が上記超電導体にかかったまま超電導遷移温度以下に冷却されるため,上記超電導体に一定量の磁場が捕捉された状態でパルス磁場が印加される。その結果,パルス磁場の印加による超電導体の発熱が少なくなり,さらに多くの磁場捕捉が可能となる。
【0020】
また,上記強磁性体は,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設する。この場合には,磁場を発する超電導体の面に対向して強磁性体が近接するので,より効果的に超電導体に磁場を捕捉させることができる。強磁性体の効果を十分に発揮するためには,対向する超電導体とのギャップはできるだけ狭いことが望ましい。また,強磁性体の形状は,反磁場ができるだけ小さくなるように,着磁方向に細長いことが好ましい。
【0021】
また,請求項3の発明のように,上記強磁性体は,上記超電導体と磁気回路を構成するように配設することが好ましい。磁気回路を構成することにより,強磁性体の反磁場が最小に抑えられ,強磁性体の効果がより増大する。この場合も,近接する超電導体とのギャップはできるだけ狭いことが望ましい。
【0022】
さらに,請求項4の発明のように,上記強磁性体は室温以下の温度に冷却されていることが好ましい。一般に,強磁性体は,キュリー温度以下で,かつ温度が低いほどその飽和磁化が高くなる傾向にあり,超電導体の捕捉磁場を向上させる効果がより大きくなる。特に,表1に示したGd,Dy,Tb,EuOの希土類材料は,いずれも室温(300K)以下のキュリー温度を持ち,それぞれ292K,88K,224K,69K以下で強磁性体となる。
【0023】
次に,上記超電導体の着磁方法を利用した超電導磁石装置としては,次の装置がある。
即ち,請求項5の発明のように,断熱容器内に配設された超電導体と,該超電導体に近接して配設された強磁性体と,上記超電導体を固定するための試料ホルダーと,上記超電導体を冷却するための冷却装置と,上記超電導体にパルス磁場を印加するための着磁コイルとからなることを特徴とする超電導磁石装置がある。
【0024】
本発明の超電導磁石装置において最も注目すべきことは,上述した発明の着磁方法を適用するために,高い捕捉磁場を実現するための上記強磁性体と,上記超電導体を固定するための上記試料ホルダーを有することである。
【0025】
上記強磁性体としては,例えば表1の各種材料などを用いることができる。形状は,上述したように,着磁方向に細長いものが好ましい。また,後述するように,超電導体が複数個ある場合には,それぞれの超電導体に磁場を絞り込むように,超電導体に対向する面に凹凸を設けることもできる。
【0026】
上記試料ホルダーは,パルス磁場の印加中や,着磁後強磁性体を取り除く時に,上記超電導体が上記強磁性体と引き合うことにより移動し,上記断熱容器に接触するのを防ぐためのものである。また,上記冷却装置の冷却部に強く接触させ,上記超電導体を効率よく冷却する役割もある。
【0027】
試料ホルダーの材質は,上記超電導体に働く電磁力に耐えうる機械的強度を有するもの用いる。また,上記超電導体の捕捉磁場に影響を及ばさない非磁性体であることが望ましい。また,上記超電導体を効率よく冷却する点から,熱伝導率が高いことが望ましい。これらの性質を持つ材料としては,SUS304,SUS316などのステンレス材料,FRP,スタイキャストなどの複合強化樹脂などがある。
【0028】
上記断熱容器は,外部からの熱の侵入を防いで上記超電導体の温度の上昇を防止し,かつ超電導体の冷却を容易にするためのものである。具体的には,例えば,輻射シールド板を備えた真空断熱槽といった本格的な断熱対策を施したものがある。また,例えば,単にFRPや発泡スチロールといった熱伝導度の極めて低い材料を構成材料として用いた簡便なものもある。
【0029】
上記着磁コイルは,鋸波,矩形波,正弦波,コンデンサ放電波形等の種々の波形で単発または複数の短時間電流(パルス電流)を通電することにより,パルス磁場を発生するものである。例えばコンデンサ放電を利用する場合には,着磁コイルの寸法,コイルの巻数,全回路の抵抗・インダクタンス・静電容量等を調整することにより,パルス磁場の大きさやパルスの立ち上がり時間を制御することができる。
【0030】
また,着磁コイルは液体窒素等の冷媒や冷凍機などで冷却してもよい。この場合には,コイルの抵抗が小さくなるので,小型の電源で大きな磁場を印加することが可能となる。
また,着磁コイルの材質は,低抵抗の銅やアルミニウムもしくは超電導材料が用いられる。
【0031】
着磁コイルの配置は,上述した文献1,2に示されているごとく,上記断熱容器の中に超電導体と共に収納されていてもよいし,文献3に示されているごとく,上記断熱容器の外に配設してあってもよい。また,着磁コイルは,必ずしも上記超電導体の周囲にある必要はなく,超電導体の着磁方向の片側もしくは両側の面に対向していればよい。
【0032】
上記冷却装置は,上記超電導体を直接冷却するものであって,後述する冷凍機や,冷却した冷媒を循環させながら冷却する冷媒循環型の冷却装置,冷媒に浸漬してその蒸気圧を調整して冷却する冷媒貯留型の冷却装置など,種々の構成をとることができる。
【0033】
上記超電導体は,バルク形状(塊状)であり,その形状は,円柱状,角柱状等,種々の形状をとることができる。また,必ずしも1個である必要はなく,複数個が着磁方向に積み重なっていてもよい。この場合は,長さが有限であることの影響が弱められるので,捕捉磁場を高めることができる。また,着磁方向に対して横に並べてもよい。この場合には,捕捉された強力な磁場をより遠くまで及ばせることが可能となる。
【0034】
また,上記超電導体は,いわゆるピン止め点を有するものであって,例えば後述する高温超電導体を用いる。超電導体の捕捉磁場特性に異方性がある場合には,捕捉磁場特性が最大となる方位と着磁の方向が一致するように配置することが好ましい。
また,上記超電導体は,スタイキャスト,エポキシ樹脂等の充填含浸剤や金属リングなどで補強処理が施されていてもよい。
【0035】
次に,本発明の超電導磁石装置の作用について説明する。
本発明の装置において超電導体を着磁する際には,まず,上記試料ホルダーにより固定された上記超電導体に上記強磁性体を近接させて配置する。次に,上記冷却装置によって超電導体を超電導遷移温度以下まで冷却する。所定の温度になった後,上記着磁コイルによって超電導体にパルス磁場を印加する。また,上述したように,超電導体を冷却した後に,強磁性体を近接させてもよい。これにより,上記のごとく,超電導体に多くの磁場が捕捉される。
【0036】
このように,本発明の超電導磁石装置によれば,上記の超電導体の着磁方法を確実かつ容易に実施することができる。
また,本発明の超電導磁石装置は,上記のごとく簡単な構成であるため非常にコンパクトにすることができる。それ故,本発明の超電導磁石装置は,種々の機器における磁石装置として有効に利用することができる。
【0037】
また,請求項6の発明のように,上記強磁性体は,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設することができる。この場合には,上述のように,効果的により多くの磁場を捕捉させることができる。
【0038】
また,請求項7の発明のように,上記強磁性体は,上記超電導体と磁気回路を構成するように配設することができる。この場合には,上述のように,強磁性体の効果がさらに増大する。
【0039】
また,請求項8の発明のように,上記試料ホルダーは,上記強磁性体と対向している面により上記超電導体を支えていることが好ましい。この場合には,パルス磁場の印加中,または着磁後強磁性体を取り除く時に,磁場を捕捉した超電導体が強磁性体に引きつけられてその電磁力により破壊されるのを防止することができる。
【0040】
また,請求項9の発明のように,上記着磁コイル,又は,上記強磁性体の一部または全部が脱着可能であることが好ましい。この場合には,超電導体の周囲の空間を広く確保することができ,超電導体から発せられる磁場を有効に利用することが可能となる。
【0041】
また,請求項10の発明のように,上記冷却装置としては冷凍機を用い,該冷凍機には上記超電導体を冷却するためのコールドヘッドを設けることができる。この場合には,超電導体を簡便に,かつ継続的に冷却することができ,上記の超電導体の着磁方法により実現した強力な磁場をより安定して利用することができる。
【0042】
また,請求項11の発明のように,上記超電導体は,溶融法により作製した,Ag,Au,Ptのうちの少なくとも1つを含むRE−Ba−Cu−O系(ここに,REはY, 希土類元素,又はこれらの元素の組合せ)であることが好ましい。RE−Ba−Cu−O系の超電導体は,溶融法で作製することにより,強力なピン止め点を無数に含ませることができ,かつ捕捉磁場特性の強い方位を揃えて結晶を大きく成長させることができる。また,Ptを混ぜることにより,ピン止め点をより強力にすることができる。さらに,AgやAuを混ぜることにより,超電導体の機械的強度が増加し,上記の超電導体の着磁方法において働く電磁力によって超電導体が破壊するのを防ぐことができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる超電導体の着磁方法につき,図1〜図5を用いて説明する。
本例の着磁方法は,図1,図2に示すごとく,超電導遷移温度以下の温度に冷却した超電導体2に強磁性体3を近接させた状態で,着磁コイル4により発生するパルス磁場を印加する着磁方法である。
【0044】
即ち,本例では,超電導体の着磁方法の効果を調べるため,図1,図2に示すように,超電導体2の片側あるいは両側に強磁性体3を近接して配置し,液体窒素8中でパルス着磁を行って捕捉される磁場の量を測定した。また,比較のために,図1における強磁性体3を取り除いた場合についても同様に捕捉される磁場の量を測定した。
【0045】
強磁性体3の材質としては,電磁軟鉄とパーメンジュールの2種類を用いた。これらのサイズはいずれもφ38×t30(mm)である。
超電導体2は,10重量%のAg2O(酸化銀)と0.5重量%のPt(白金)を添加して溶融法で作製したSm−Ba−Cu−O系である。サイズはφ36×t18(mm)である。超電導体2は,図3に示すごとく,急冷や電磁力によるクラックの発生を防ぐため,SUSリング29とスタイキャスト28により補強した。
【0046】
また,超電導体2と強磁性体3の間のギャップG(図1,図2)は0.5mmとした。
また,着磁コイル4としては,巻数27ターンのものを用いた。
【0047】
次に,パルス磁場を1回だけ印加したときの効果を調べた。
まず,超電導体2を,強磁性体3,着磁コイル4と共に液体窒素8中に浸漬し,77Kに冷却した。
次に,パルス電源より着磁コイル4に単発のパルス電流を通電し,図4に示すパルス磁場Pを超電導体2に印加した。このときのパルス磁場PのピークP0までの時間(立ち上がり時間)は1msである。
【0048】
強磁性体3と着磁コイル4を取り除いた後,液体窒素8中で,超電導体2の表面から0.5mm離れた水平面内でホール素子をスキャンして捕捉磁場分布を測定した。この測定を印加磁場の強度を変えて実施した。
また,それぞれのパルス磁場の印加は,試料を液体窒素8から取り出して温度を上げ,捕捉磁場をゼロに(消磁)してから行った。
また,この一連のパルス磁場の印加は,上記強磁性体3の個数及び種類を変えてそれぞれ行った。
【0049】
このようにして測定した捕捉磁場の総量(捕捉磁束)の印加磁場に対する変化を図5に示す。同図は,横軸に印加磁場(T)を,縦軸に捕捉磁束(10-4Wb)をとったものである。そして,測定結果の代表として,電磁軟鉄よりなる強磁性体3を2つ用いた場合(図2)を符号E1,パーメンジュールよりなる強磁性体3を2つ用いた場合(図2)を符号E2,強磁性体3を用いなかった場合を符号C1により示した。
【0050】
図5より知られるごとく,強磁性体3が電磁軟鉄,パーメンジュールのいずれであっても(E1,E2),捕捉磁場の最大値は,強磁性体を用いない場合(C1)に比べ約1.3倍に増加するのがわかる。また,特にパーメンジュールの強磁性体を2つ用いた場合(E2)には,同じ大きさの印加磁場で捕捉される磁場が,強磁性体がない場合(C1)より大きくなっているのがわかる。
以上より,本発明の超電導体の着磁方法によれば,超電導体の捕捉磁場が向上することが確認できた。
【0051】
実施形態例2
本例では,実施形態例1におけるパルス磁場の印加回数を複数回に増やした場合の捕捉磁束を測定した。
即ち,実施形態例1における1回のパルス磁場印加に代えて,まず,4T(テスラ)のパルス磁場を印加して捕捉磁場を測定し,そのまま消磁しないで,次に少しだけ弱い磁場を印加した。このように磁場の強度を弱くしながらパルス磁場を繰り返して印加した。
【0052】
この時の捕捉磁束の変化を図6に示す。同図は,横軸に印加磁場(T)を,縦軸に捕捉磁束(10-4Wb)をとったものである。そして,測定結果の代表として,電磁軟鉄よりなる強磁性体3を1つ用いた場合(図1)を符号E3,電磁軟鉄よりなる強磁性体3を2つ用いた場合(図2)を符号E4,パーメンジュールよりなる強磁性体3を2つ用いた場合(図2)を符号E5,強磁性体3を用いなかった場合を符号C2により示した。
【0053】
同図より知られるごとく,いずれの場合も印加磁場を下げながら繰り返し印加することにより捕捉磁束は増加し飽和したが,強磁性体3を用いると(E3〜E5),用いない場合(C2)に比べ,捕捉磁束はほぼ1.2倍に増加することがわかる。また,強磁性体3を片側に配置した場合(E3)でも,捕捉磁場増加の効果があることがわかる。
【0054】
実施形態例3
本例では,本発明の超電導体の着磁方法を利用した超電導磁石装置について,図7,図8を用いて説明する。
本例の超電導磁石装置1は,図7に示すごとく,断熱容器10内に配設された超電導体2と,該超電導体2に近接して配設された強磁性体3と,上記超電導体2を固定するための試料ホルダー5と,上記超電導体1を冷却するための冷却装置としての冷凍機6と,上記超電導体2にパルス磁場を印加するための着磁コイル4とからなる。
【0055】
超電導体2は,15重量%のAg2O(酸化銀)と0.5重量%のPt(白金)を添加して溶融法で作製したSm−Ba−Cu−O系である。サイズはφ30×t15(mm)であり,実施形態例1と同様に,図3に示すごとく,SUSリング29とスタイキャスト29で補強した。
【0056】
断熱容器10は,SUS304を用い,超電導体2と冷凍機6のコールドヘッド61を収納している。断熱容器10の内部は,外部からの熱の侵入をできる限り防ぐために,真空状態にしてある。
強磁性体3は,超電導体2上方の断熱容器10の外に,超電導体2との距離が3mmとなるように近接して配置してある。材質は,電磁軟鉄,またはパーメンジュールを用い,サイズはφ40×t65(mm)である。
【0057】
着磁コイル4は,超電導体2の周囲に位置するように,断熱容器10の外部に配設してあり,コンデンサ放電を利用したパルス電源41に電気的に接続されている。また着磁コイル4は,図8に示すように液体窒素8に浸漬される構造になっている。また,同図に示すように,着磁コイル4と強磁性体3とは一体構造に設けてあり,その全体が超電導体2に対して脱着できるよう構成してある。このような構成により,上記強磁性体3は室温の状態で使用される。
【0058】
冷却装置は,図7に示すごとく,コンプレッサ62,コールドヘッド61を有する冷凍機6よりなる。コールドヘッド61は,熱を奪って冷却する部分であり,図8に示すように,熱伝導性に優れ,かつ渦電流を生じないサファイアブロック69を介して超電導体に連結してある。
【0059】
超電導体取付部の詳細を図8に示す。
試料ホルダー5は,SUS304製で,ハット型をしており,内側に超電導体2が収納されている。上面の中央には穴19を設けてあり,捕捉磁場を測定するためのホール素子18が取り付けてある。試料ホルダー5の内側の高さは超電導体2の高さより低くしてあり,ボルト15で試料ホルダー5のつばを下方に押しやることにより,超電導体2の上面が試料ホルダー5の天井12に押され,超電導体2がサファイアブロック69を介してコールドヘッド61に固定されている。
【0060】
次に,本例の超電導磁石装置1において超電導体2を着磁する手順の一例を説明する。
図8のように強磁性体3を配置した後,冷凍機6を作動させて超電導体2を超電導遷移温度以下に冷却する。次いで,実施形態例2と同様にして,磁場の強さが順次弱くなるように超電導体2に繰り返してパルス磁場を印加する。その後,着磁コイル4と強磁性体3を取り外すことにより,着磁された超電導体2による強磁場空間を断熱容器外に作ることができる。
【0061】
次に,本例の超電導磁石装置1における発生磁場強度を,強磁性体3を用いない従来の磁石装置と比較する。
上記の手順により33Kで着磁したときの,超電導体表面のホール素子で測定した捕捉磁場の変化を,従来の磁石装置の場合と比較して図9に示す。同図の横軸は印加磁場(T),縦軸はホール素子18により測定した捕捉磁場(T)である。そして,本例の超電導磁石装置1において上記強磁性体3として電磁軟鉄を用いた場合を符号E6,パーメンジュールを用いた場合を符号E7,強磁性体を用いなかった場合を符号C3として示した。
【0062】
また,E6,E7については,図9中において,印加磁場ゼロにおける縦軸の値が,強磁性体3を取り外した後の捕捉磁場である。
図9より知られるごとく,同じ超電導体2を用いているにもかかわらず,本発明の超電導磁石装置1では,強磁性体3を用いない従来の磁石装置の約1.2倍の発生磁場が得られることがわかる。
【0063】
実施形態例4
本例の超電導磁石装置は,図10に示すように,強磁性体3を超電導体2の上側だけでなく,下側にも取り付けてある。さらに,上側の強磁性体3(a)は着磁コイル4を冷却する液体窒素8により,下側の強磁性体3(b)は超電導体2と共に冷凍機6のコールドヘッド61により室温以下に冷却されるよう構成した。
【0064】
この場合には,強磁性体3が室温以下に冷却されることにより,超電導体2にさらに効果的に磁場を捕捉させることができ,高い発生磁場が得られる。
また,試料ホルダー5は,つばの部分を下方からボルト15で引っ張るようにして固定している。そのため,実施形態例3よりも径の大きな超電導体2を取り付けることができ,より大きな磁場をより遠くまで発生できる磁石装置となる。
その他は実施形態例3と同様の効果が得られる。
【0065】
実施形態例5
本例の超電導磁石装置を図11〜図13を用いて説明する。
本例の超電導磁石装置は,図11に示すように,着磁方向がコールドヘッド61に対して直角となるように超電導体2が取り付けられており,2個の着磁コイル4が,超電導体2を両側から挟み込むように対向して断熱容器10の外に配設されている。2個の着磁コイル4に同じ向きに電流を流して超電導体2を着磁する。
【0066】
また,図12に示すように,円柱状の7個の超電導体2を同一平面内に並べ,SUSリング29とスタイキャスト28で補強した超電導複合体20を使用している。この超電導複合体20をハット型の試料ホルダー5で両側からコールドヘッド61に押しつけて固定している。
【0067】
また,強磁性体3は左右の着磁コイル4内に収納され,その超電導複合体20と対向する面は,図13に示すように,個々の超電導体2に効率よく磁場が集中するよう円柱状の凸部35を個々の超電導体2に対応して7つ設けた。
本例の超電導磁石装置を用いて超電導体2を着磁させた場合には,極性の異なる強力な磁場を左右の空間に発生させることができる。
【0068】
実施形態例6
本例の超電導磁石装置は,図14に示すように,2個の超電導体2が対向して取り付けられており,3個の着磁コイル4がそれらの両側と間に配置されている。また,強磁性体3は,各着磁コイル4の内側にあり,かつ右端と左端をつなぐ形でコイルの外側に伸びており,磁気回路を構成している。そして,強磁性体3は,着磁コイル4と共に液体窒素8で冷却されている。強磁性体3と着磁コイル4は,超電導体2の着磁後,上方に取り外される。
【0069】
本例の超電導磁石装置を用いて超電導体2を着磁させた場合には,上記強磁性体3が磁気回路を構成することにより,強磁性体3の反磁場が最小に抑えられ,強磁性体の効果がより増大する。そのため,2個の超電導体2の間に室温の強力な磁場空間を発生させることができる。
なお,上記各実施形態例では,説明の都合上,同一機能部分には同一符号を用いた。
【0070】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,捕捉磁場特性の優れた超電導体に,コンパクトな装置で高い磁場を捕捉させることができる,超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,強磁性体を1つ用いた着磁方法を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,強磁性体を2つ用いた着磁方法を示す説明図。
【図3】実施形態例1における,超電導体の構成を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,印加するパルス磁場を示す説明図。
【図5】実施形態例1における,印加磁場の強さと捕捉磁束との関係を示す説明図。
【図6】実施形態例2における,パルス磁場を複数回印加した場合の捕捉磁束の推移を示す説明図。
【図7】実施形態例3における,超電導磁石装置の構成を示す説明図。
【図8】実施形態例3における,超電導磁石装置の主要部の詳細を示す説明図。
【図9】実施形態例3における,パルス磁場を複数回印加した場合の捕捉磁束の推移を示す説明図。
【図10】実施形態例4における,超電導磁石装置の主要部の詳細を示す説明図。
【図11】実施形態例5における,超電導磁石装置の主要部の詳細を示す説明図。
【図12】実施形態例5における,超電導複合体の構成を示す説明図。
【図13】実施形態例5における,強磁性体の斜視図。
【図14】実施形態例6における,超電導磁石装置の主要部の詳細を示す説明図。
【符号の説明】
1...超電導磁石装置,
10...断熱容器,
2...超電導体,
3...強磁性体,
4...着磁コイル,
5...試料ホルダー,
6...冷凍機,
61...コールドヘッド,[0001]
【Technical field】
The present invention relates to a superconductor magnetization method and a superconductor magnet device in the case of using a bulk-shaped (lumped) superconductor as a magnet by capturing a high magnetic field.
[0002]
[Prior art]
The RE-Ba-Cu-O-based (RE is Y or rare earth element) high-temperature superconductor manufactured by the melting method can capture a large magnetic field exceeding 1T (Tesla), and has performance superior to that of conventional permanent magnets. It is known to become a magnet.
As a method for easily magnetizing the superconductor, for example, JP-A-6-168823 (Reference 1), Japanese Journal of Applied Physics Vol.35 (1996) pp 2114-2125 (Reference 2), JP-A-10 As described in Japanese Unexamined Patent Publication No. 0124429 (reference 3) and Japanese Patent Laid-Open No. 10-154620 (reference 4), a method of applying a pulse magnetic field to a superconductor (pulse magnetization method) is disclosed.
[0003]
According to the above-mentioned
According to this pulse magnetizing method, superconductors are much easier than conventional magnetizing methods using static magnetic fields such as FC (Field Cooling) and ZFC (Zero Field Cooling) methods. The superconducting magnet device using this method can be made compact.
[0004]
In addition, in
[0005]
[Problems to be solved]
However, the conventional pulse magnetization method has the following problems. To clarify this problem, the mechanism by which the superconductor captures the magnetic field is briefly explained.
[0006]
In general, when a magnetic field is externally applied to a superconductor cooled below the superconducting transition temperature, a certain amount of magnetic field becomes a unit of one magnetic flux line (quantized magnetic flux), and the superconductivity is in the form of many magnetic flux lines. Invade inside the body. These magnetic flux lines are captured by pinning points dispersed inside the superconductor, and the magnetic field remains inside the superconductor even when the external magnetic field disappears. As a result, the superconductor is magnetized to become a magnet.
[0007]
The force (pinning force) at which the pinning point in the superconductor captures the magnetic flux line is a characteristic unique to the material of the superconductor, and generally becomes stronger as the temperature becomes lower. Therefore, if the superconductor is cooled to a low temperature, the pinning force is improved and the magnetic field that can be captured by the superconductor increases.
[0008]
In pulse magnetization, as shown in Fig. 4, the magnetic field changes greatly in a short time, so in principle the magnetic flux lines entering the superconductor cannot follow the change of the external magnetic field, and the applied pulse magnetic field is superconducting. It does not communicate effectively to the center of the body. Therefore, when a magnetic field having the same strength is applied, the magnetic field captured by the superconductor is smaller than in the case of static magnetic field magnetization.
[0009]
In addition, the magnetic flux lines move violently inside the superconductor during the application of the pulse magnetic field, so the temperature of the superconductor rises. As a result, the pinning force is reduced, and the magnetic field finally captured by the superconductor is smaller than in the case of static magnetic field magnetization.
These problems become more serious as the superconductor has better trapping magnetic field characteristics (stronger pinning force) and when magnetized at a lower temperature, and the conventional pulse magnetization method described above has a sufficient strength. There was a problem that the magnetic field could not be captured.
[0010]
Further, as disclosed in the above-mentioned
[0011]
The present invention has been made in view of such conventional problems, and allows a superconductor excellent in trapping magnetic field characteristics to capture a high magnetic field with a compact device, and a superconductor magnetization method and a superconducting magnet device. Is to provide.
[0012]
[Means for solving problems]
The invention of
[0013]
The most notable point in the present invention is that the ferromagnetic material is placed close to the superconductor during pulse magnetization.
Here, bringing the ferromagnet close to the superconductor means that at least the pulse magnetic field applied to the superconductor by the magnetizing coil is also applied to the ferromagnet, and the magnetization of the ferromagnet induced by it is induced. This means that the ferromagnetic material is positioned so that the effect reaches the superconductor.
[0014]
The ferromagnetic material preferably has a large saturation magnetization or residual magnetization. Specifically, as shown in Table 1, for example, permendur (Fe-50Co-2V), electromagnetic soft iron, silicon steel (Fe-3Si), Fe-3.5Al, Sendust (Fe-9.5Si-5.5Al) , High permeability materials such as Meta Glass 2605SC (Fe-3B-2Si-0.5C), Meta Glass 2605S2 (Fe-3B-5Si), permanent magnet materials such as Sm-Co, Nd-Fe-B, Gd, Dy, Tb There are rare earth materials such as EuO.
[0015]
Next, the operation of the present invention will be described.
Ferromagnetic materials are strongly magnetized when a magnetic field is applied, and themselves generate a magnetic field. For this reason, when a pulsed magnetic field is applied by the magnetizing coil with the ferromagnet close to the superconductor, not only the pulsed magnetic field generated by the magnetizing coil but also the magnetic field generated by the ferromagnet magnetized by the pulsed magnetic field is applied to the superconductor. Are superimposed and applied. Therefore, the magnetic field effectively applied to the superconductor is larger than that without the ferromagnetic material. Therefore, even if the magnitude of the applied magnetic field from the magnetizing coil is the same, the use of the ferromagnetic material allows the superconductor to capture more magnetic field than when it is not used.
[0016]
In addition, even after the magnetic field of the magnetizing coil becomes zero, residual magnetization or magnetization induced by the magnetic field trapped by the superconductor remains in the ferromagnet. Will continue. As a result, the decrease in the trapping magnetic field due to the heat generation described above is suppressed, and more magnetic fields can be trapped than in the conventional pulse magnetization method.
[0017]
That is, as described above, if there is no ferromagnetic material, the pinning force is weakened due to the heat generated by the superconductor, and the magnetic flux lines come out of the superconductor. It is attracted to the magnetic material and becomes difficult to come off from the superconductor. The heated superconductor is cooled over time, and after a certain period of time, it returns to the pre-magnetization temperature, so that the magnetic flux lines in the superconductor held by the ferromagnetic material are captured at the pinning point, and the ferromagnetic material is Even after removal, many magnetic fields can be captured.
[0018]
[Table 1]
[0019]
According to a second aspect of the present invention, the ferromagnetic material is magnetized in advance, and the ferromagnetic material is brought close to the superconductor before the superconductor is cooled to a superconducting transition temperature or lower. It is preferable. In this case, since the magnetic field due to the magnetization of the ferromagnetic material is cooled below the superconducting transition temperature while being applied to the superconductor, a pulsed magnetic field is applied in a state where a certain amount of magnetic field is captured by the superconductor. The As a result, the heat generation of the superconductor due to the application of a pulsed magnetic field is reduced, and more magnetic fields can be captured.
[0020]
Also , The ferromagnetic material is disposed opposite one or both sides of the superconductor in the magnetization direction. . In this case, since the ferromagnetic material is close to the surface of the superconductor that generates the magnetic field, the superconductor can capture the magnetic field more effectively. In order to fully demonstrate the effect of a ferromagnetic material, it is desirable that the gap between the opposing superconductors be as narrow as possible. The shape of the ferromagnetic material is preferably elongated in the magnetization direction so that the demagnetizing field is as small as possible.
[0021]
Also,
[0022]
further,
[0023]
Next, as the superconducting magnet device using the superconductor magnetization method, there are the following devices.
That is,
[0024]
The most notable point in the superconducting magnet device of the present invention is that the above-mentioned ferromagnetic material for realizing a high trapping magnetic field and the above-mentioned superconductor for fixing the superconductor are applied in order to apply the magnetization method of the above-described invention. Having a sample holder.
[0025]
As the ferromagnetic material, for example, various materials shown in Table 1 can be used. As described above, the shape is preferably elongated in the magnetization direction. In addition, as will be described later, when there are a plurality of superconductors, it is possible to provide irregularities on the surface facing the superconductor so as to narrow the magnetic field in each superconductor.
[0026]
The sample holder is used to prevent the superconductor from moving by being attracted to the ferromagnetic material during application of a pulsed magnetic field or when removing the ferromagnetic material after magnetization and coming into contact with the heat insulating container. is there. Also, it has a role of efficiently contacting the cooling section of the cooling device and cooling the superconductor efficiently.
[0027]
The material of the sample holder is one that has mechanical strength that can withstand the electromagnetic force acting on the superconductor. Further, it is desirable that the non-magnetic material does not affect the trapping magnetic field of the superconductor. In addition, it is desirable that the thermal conductivity is high from the viewpoint of efficiently cooling the superconductor. Examples of materials having these properties include stainless steel materials such as SUS304 and SUS316, and composite reinforced resins such as FRP and stycast.
[0028]
The heat insulation container prevents heat from entering from the outside, prevents the temperature of the superconductor from rising, and facilitates cooling of the superconductor. Specifically, for example, there are those with full-scale heat insulation measures such as a vacuum heat insulation tank equipped with a radiation shield plate. Further, for example, there is a simple one using a material with extremely low thermal conductivity such as FRP or polystyrene foam as a constituent material.
[0029]
The magnetizing coil generates a pulse magnetic field by energizing a single or a plurality of short-time currents (pulse currents) with various waveforms such as a sawtooth wave, a rectangular wave, a sine wave, and a capacitor discharge waveform. For example, when using capacitor discharge, control the magnitude of the pulse magnetic field and the pulse rise time by adjusting the dimensions of the magnetized coil, the number of turns of the coil, the resistance, inductance, capacitance, etc. of the entire circuit. Can do.
[0030]
The magnetized coil may be cooled by a refrigerant such as liquid nitrogen or a refrigerator. In this case, since the resistance of the coil is reduced, it is possible to apply a large magnetic field with a small power source.
In addition, the material of the magnetizing coil is low resistance copper, aluminum, or a superconducting material.
[0031]
The arrangement of the magnetizing coils may be accommodated together with the superconductor in the heat insulating container as shown in the above-mentioned
[0032]
The cooling device directly cools the superconductor. The cooling device, which will be described later, a refrigerant circulation type cooling device that cools while circulating the cooled refrigerant, and the vapor pressure is adjusted by immersing in the refrigerant. Various configurations, such as a refrigerant storage type cooling device that cools by cooling, can be employed.
[0033]
The superconductor has a bulk shape (bulk shape), and the shape can take various shapes such as a columnar shape and a prismatic shape. Further, the number is not necessarily one, and a plurality may be stacked in the magnetization direction. In this case, since the influence of the finite length is weakened, the trapping magnetic field can be increased. Further, it may be arranged horizontally with respect to the magnetization direction. In this case, it is possible to extend the captured strong magnetic field further.
[0034]
The superconductor has a so-called pinning point, and for example, a high-temperature superconductor described later is used. When the trapping magnetic field characteristic of the superconductor has anisotropy, it is preferable that the direction in which the trapping magnetic field characteristic becomes maximum coincides with the magnetization direction.
Further, the superconductor may be reinforced with a filling impregnating agent such as stycast, epoxy resin, or a metal ring.
[0035]
Next, the operation of the superconducting magnet device of the present invention will be described.
When magnetizing a superconductor in the apparatus of the present invention, first, the ferromagnetic material is placed close to the superconductor fixed by the sample holder. Next, the superconductor is cooled to below the superconducting transition temperature by the cooling device. After reaching a predetermined temperature, a pulsed magnetic field is applied to the superconductor by the magnetizing coil. Further, as described above, after the superconductor is cooled, the ferromagnetic material may be brought close to it. Thereby, as described above, a large number of magnetic fields are trapped in the superconductor.
[0036]
As described above, according to the superconducting magnet apparatus of the present invention, the above-described superconductor magnetization method can be reliably and easily performed.
Moreover, since the superconducting magnet device of the present invention has a simple configuration as described above, it can be made very compact. Therefore, the superconducting magnet device of the present invention can be effectively used as a magnet device in various devices.
[0037]
Also,
[0038]
Also, Claim 7 As described above, the ferromagnetic material can be arranged so as to constitute a magnetic circuit with the superconductor. In this case, as described above, the effect of the ferromagnetic material is further increased.
[0039]
Also,
[0040]
Also, Claim 9 As in the invention, it is preferable that a part or all of the magnetized coil or the ferromagnetic material can be detached. In this case, a wide space around the superconductor can be secured, and the magnetic field generated from the superconductor can be used effectively.
[0041]
Also,
[0042]
Also,
[0043]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
A superconductor magnetization method according to an embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS.
As shown in FIGS. 1 and 2, the magnetizing method of this example is a pulse magnetic field generated by the magnetizing
[0044]
That is, in this example, in order to investigate the effect of the superconductor magnetization method, as shown in FIGS. 1 and 2, the
[0045]
As the material for the
[0046]
The gap G (FIGS. 1 and 2) between the
Further, as the magnetizing
[0047]
Next, the effect when the pulse magnetic field was applied only once was investigated.
First, the
Next, a single pulse current was applied to the magnetizing
[0048]
After removing the
In addition, each pulse magnetic field was applied after the sample was taken out from the
The series of pulse magnetic fields were applied by changing the number and type of the
[0049]
FIG. 5 shows the change of the total amount (captured magnetic flux) of the trapped magnetic field measured as described above with respect to the applied magnetic field. This figure shows the applied magnetic field (T) on the horizontal axis and the trapped magnetic flux (10 -Four Wb). As a representative measurement result, the case where two
[0050]
As can be seen from FIG. 5, the maximum value of the trapped magnetic field is about the same as that in the case of using no ferromagnetic material (C1) regardless of whether the
From the above, it was confirmed that the superconductor trapping magnetic field was improved according to the superconductor magnetization method of the present invention.
[0051]
In this example, the trapped magnetic flux was measured when the number of application times of the pulse magnetic field in
That is, instead of applying a single pulse magnetic field in the first embodiment, first, a captured magnetic field is measured by applying a pulse magnetic field of 4T (Tesla), and then a slightly weak magnetic field is applied without demagnetization. . In this way, the pulsed magnetic field was repeatedly applied while reducing the strength of the magnetic field.
[0052]
The change of the trapped magnetic flux at this time is shown in FIG. This figure shows the applied magnetic field (T) on the horizontal axis and the trapped magnetic flux (10 -Four Wb). As a representative of the measurement results, the case where one
[0053]
As is known from the figure, in any case, the trapped magnetic flux is increased and saturated by repeatedly applying the applied magnetic field while lowering the applied magnetic field. However, when the
[0054]
In this example, a superconducting magnet apparatus using the superconductor magnetization method of the present invention will be described with reference to FIGS.
As shown in FIG. 7, the
[0055]
[0056]
The
The
[0057]
The magnetizing
[0058]
As shown in FIG. 7, the cooling device includes a
[0059]
Details of the superconductor mounting portion are shown in FIG.
The
[0060]
Next, an example of a procedure for magnetizing the
After arranging the
[0061]
Next, the generated magnetic field intensity in the
FIG. 9 shows the change in the trapped magnetic field measured by the Hall element on the surface of the superconductor when magnetized at 33K by the above procedure, as compared with the conventional magnet device. In the figure, the horizontal axis represents the applied magnetic field (T), and the vertical axis represents the captured magnetic field (T) measured by the
[0062]
For E6 and E7, the vertical axis value at zero applied magnetic field in FIG. 9 is the trapped magnetic field after the
As can be seen from FIG. 9, although the
[0063]
In the superconducting magnet device of this example, as shown in FIG. 10, the
[0064]
In this case, when the
Further, the
Other effects are the same as those of the third embodiment.
[0065]
The superconducting magnet device of this example will be described with reference to FIGS.
In the superconducting magnet apparatus of this example, as shown in FIG. 11, the
[0066]
In addition, as shown in FIG. 12, a
[0067]
Further, the
When the
[0068]
In the superconducting magnet device of this example, as shown in FIG. 14, two
[0069]
When the
In the above embodiments, the same reference numerals are used for the same functional parts for convenience of explanation.
[0070]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, it is possible to provide a superconductor magnetization method and a superconducting magnet device that can cause a superconductor excellent in capture magnetic field characteristics to capture a high magnetic field with a compact device.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an explanatory view showing a magnetization method using one ferromagnetic material in
2 is an explanatory diagram showing a magnetization method using two ferromagnetic materials in
FIG. 3 is an explanatory diagram showing a configuration of a superconductor in
4 is an explanatory diagram showing a pulse magnetic field to be applied in
5 is an explanatory diagram showing the relationship between the strength of an applied magnetic field and a trapped magnetic flux in Example 1; FIG.
FIG. 6 is an explanatory diagram showing a transition of a trapped magnetic flux when a pulse magnetic field is applied a plurality of times in the second embodiment.
7 is an explanatory diagram showing a configuration of a superconducting magnet device in
FIG. 8 is an explanatory view showing details of a main part of the superconducting magnet device in
FIG. 9 is an explanatory diagram showing the transition of the trapped magnetic flux when the pulse magnetic field is applied a plurality of times in the third embodiment.
10 is an explanatory view showing details of a main part of a superconducting magnet device in
11 is an explanatory view showing details of a main part of a superconducting magnet device in
12 is an explanatory diagram showing the configuration of a superconducting composite in
13 is a perspective view of a ferromagnetic body in
FIG. 14 is an explanatory view showing details of a main part of a superconducting magnet device in
[Explanation of symbols]
1. . . Superconducting magnet device,
10. . . Insulated container,
2. . . Superconductor,
3. . . Ferromagnetic,
4). . . Magnetized coil,
5. . . Sample holder,
6). . . refrigerator,
61. . . Cold head,
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