JP3669404B2 - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層セラミック基板の製造方法に関するもので、特に、たとえばコンデンサ、インダクタ等の受動部品を内蔵した多層セラミック基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層セラミック基板に代表される多層回路基板をより多機能化、高密度化、高性能化するためには、このような多層回路基板において、高精度の受動部品を内蔵しながら、高密度に配線を施すことが有効である。
【0003】
このように受動部品を内蔵した多層回路基板は、従来、次のような種々の方法により製造されている。
【0004】
第1は、いわゆる厚膜法によるもので、基板グリーンシートに誘電体ペースト等を厚膜形成技術により印刷した後、各グリーンシートを積層し圧着し、次いで焼成することにより、多層セラミック基板内部に部分的にコンデンサ等を内蔵する方法である。しかし、この方法には、次のような問題がある。
▲1▼ ペーストの膜厚のばらつきや印刷の位置ずれが比較的大きいため、コンデンサの容量等の特性のばらつきも比較的大きい。
▲2▼ 圧着や焼成工程で、ペーストの変形が起こるため、このことも容量等の特性のばらつきの原因となる。
▲3▼ 印刷および積層を繰り返すに従って、印刷部の平面性がより悪くなり、積層数を増やすことが困難であるため、コンデンサにあっては容量を大きくすることが難しい。
【0005】
第2は、抵抗および容量付きの多層回路基板を製造しようとするものであって、上述の第1の方法に類似しており、セラミック基板の表面にコンデンサ、抵抗等を厚膜形成技術により多層に印刷する方法である。しかし、この方法にも、
▲1▼ 印刷パターンの位置ずれや膜厚のばらつきによる特性のばらつき、
▲2▼ 積層数の増加に制限があることによる容量の制約、
▲3▼ 平面性の悪化
等、上述した第1の方法とほぼ同様の問題がある。
【0006】
第3は、たとえば特開昭59−17232号公報に記載されるように、誘電体をシートの状態で多層基板内部に内蔵させる方法で、この場合、基板と同じ面積を有する誘電体シートを、基板のための基板シートの間に挟み込んで積層し、圧着した後、焼成することが行なわれる。これにより、容量等の特性のばらつきや、大容量化に対する制約の問題は改善されるが、次のような問題に遭遇する。
▲1▼ 誘電体が基板内部に層状に配置されるため、設計の自由度が低い。
▲2▼ 信号のクロストーク等の問題が発生しやすい。
【0007】
第4は、たとえば特開昭61−288498号公報に記載されるように、予め焼結されたチップ型のセラミック受動部品を、基板用の複数のセラミックグリーンシートからなる積層体内部に組み込む方法であり、この方法によれば、上述の第1ないし第3の方法における問題を改善できるが、セラミックグリーンシートのX、Y、Z方向の収縮挙動を厳しく制御する必要があり、セラミックとして使用できる材料がかなり限定される欠点があると同時に、
▲1▼ 基板の平坦性が悪くなりやすい、
▲2▼ 寸法精度を高くすることが困難である、
▲3▼ 微細配線を設けるのが難しい、
等の問題がある。
【0008】
なお、多層回路基板の高密度配線を可能とする方法として、基板のための低温焼成可能な複数のグリーンシートからなる基板用積層体の上下両面に、この基板用積層体の焼成温度では収縮しないグリーンシートを圧着した後、これらを比較的低温で焼成し、後者のグリーンシートに由来する未焼結層を焼成後において剥離除去する方法(たとえば特開平4−243978号公報参照)や、この方法において焼成時に基板用積層体の上下方向から加圧することをさらに行なう方法(たとえば特表平5−503498号公報参照)がある。
【0009】
これらの方法では、基板面方向すなわちX−Y方向には収縮が生じにくいため、得られた基板の寸法精度を高くできる。そのため、高密度の配線を施しても断線するという問題が生じにくい利点がある。しかし、これらの方法は、受動部品を基板内に内蔵させるものではない。
【0010】
再び、受動部品を内蔵した多層回路基板を製造するための第5の方法として、たとえば特開平9−92983号公報には、上述の基板のX−Y方向の収縮を生じさせない方法とシートまたは厚膜の形で多層回路基板内部に部分的にコンデンサを内蔵する方法とを組み合わせた方法が開示されている。この方法は、受動部品を内蔵した高密度配線の多層回路基板を製造するのに適している。
【0011】
この第5の方法において、シートで誘電体部を形成する場合には、基板と同面積の誘電体層を設けることになるため、誘電体層が基板端面に露出する状態になる。このため、誘電体層は、水分が浸透しないように緻密であることが必要であるが、焼成時に基板の上下方向から加圧することで、誘電体層は十分緻密化することを可能にしている。しかし、誘電体層の形状が制約されることから、前述したような誘電体シートを用いる第3の方法と同様、
▲1▼ 誘電体が基板内部に層状に配置されるため、設計の自由度が低い、
▲2▼ 信号のクロストーク等の問題が発生しやすい、
等の問題に遭遇する。
【0012】
他方、この第5の方法において、厚膜で誘電体部を形成する場合、誘電体部を形成する領域に対応するように、基板シートに凹部を設けておき、そこに誘電体ペーストを充填するという工程を採用することもある。この場合、前述した第1の方法である厚膜法において遭遇した問題のうち、厚膜の位置ずれや基板シート圧着時の誘電体ペーストの変形等により生じ得る特性のばらつきの問題は改善されるが、ペーストの膜厚のばらつきについては、小さくなるものの、依然として残り、なお不十分である。また、誘電体部を積層構造とすることは難しいため、大容量を得にくいという問題も残る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、上述した種々の問題を解決しようとすることであって、受動部品を内蔵するとともに、多機能化、高密度化、高精度化が可能な多層セラミック基板の製造方法を提供しようとすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、セラミック絶縁材料からなる積層された複数のセラミック層および配線導体を有する積層体と、配線導体によって配線された状態で積層体に内蔵された受動部品とを備える、多層セラミック基板を製造する方法に向けられ、上述した技術的課題を解決するため、受動部品となるべき多層の内部導体を形成する積層構造を有する生のセラミック機能材料を含む成形体ブロックを用意する工程と、成形体ブロックに含まれるセラミック機能材料とは異なるセラミック絶縁材料を含む積層された複数のセラミックグリーンシートおよび配線導体を有し、内部に空間が予め設けられ、当該空間に成形体ブロックを形成する層の積層方向とセラミックグリーンシートの積層方向とが垂直となる状態で成形体ブロックが嵌め込まれた、生の複合積層体を用意する工程と、この生の複合積層体の積層方向における両端に位置する各主面上に、生の複合積層体の焼成温度では焼結しない生のセラミックからなるシート状支持体を配置する工程と、このシート状支持体で挟んだ状態で生の複合積層体を焼成する工程と、次いで、未焼結のシート状支持体を除去する工程とを備えることを特徴としている。
【0015】
上述した製造方法において、好ましくは、複合積層体は、1000℃以下の温度で焼成される。
【0016】
上述の好ましい実施形態において、複合積層体が1000℃以下の温度で焼成されるときには、シート状支持体は、たとえばアルミナまたはジルコニアを含んで構成すればよい。
【0017】
この発明に係る多層セラミック基板の製造方法において有利に適用される受動部品は、たとえばコンデンサまたはインダクタである。なお、この発明において、内蔵される受動部品とは、コンデンサやインダクタ等の単体に限定されるものではなく、これら単体の複合体、たとえばコンデンサ、インダクタを組み合わせたLC複合部品等を含むものである。
【0018】
また、成形体ブロックとしては、多層の内部導体を形成する積層構造を有するものが有利に適用される。
【0019】
また、成形体ブロックに含まれるセラミック機能材料は、結晶化ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物を含むことが好ましい。
【0020】
また、複合積層体に備えるセラミックグリーンシートに含まれるセラミック絶縁材料は、ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物を含み、ガラス/セラミックの重量比は、100/0ないし5/95の範囲内に選ばれることが好ましい。
【0021】
また、配線導体または内部導体は、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Au、Ni、およびCuからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による製造方法によって製造された多層セラミック基板1を図解的に示す断面図である。図2は、図1に示した多層セラミック基板1が与える等価回路図である。
【0023】
図1に示すように、多層セラミック基板1は、セラミック絶縁材料からなる積層された複数のセラミック層2、3、4、5、6、7および8を有する積層体9を備えている。積層体9の内部には、受動部品としてのコンデンサ10、インダクタ11および抵抗12が内蔵されている。また、積層体9は、これらコンデンサ10、インダクタ11および抵抗12を配線するための配線導体13、14、15、16、17および18を内部に備え、また、外表面上に外部端子導体19aおよび19bを備えている。このようにして、多層セラミック基板1は、図2に示すような回路を構成する。
【0024】
このような構成の多層セラミック基板1は、次のように製造される。図3は、図1に示した多層セラミック基板1の製造方法を説明するための断面図である。図4は、図3に示した要素の一部を得るための方法を説明するための断面図である。
【0025】
上述したコンデンサ10となるべき生のセラミック機能材料を含むコンデンサ用成形体ブロック10gおよびインダクタ11となるべき生のセラミック機能材料を含むインダクタ用成形体ブロック11gがそれぞれ用意される。
【0026】
コンデンサ用成形体ブロック10gは、セラミック機能材料としてセラミック誘電体を含み、このようなセラミック誘電体を含む生の誘電体シート20を介して多層の内部導体21が形成された積層構造を有している。成形体ブロック10gの対向する端面には、端子電極22および23がそれぞれ形成されている。内部導体21は、周知の積層セラミックコンデンサにおける内部電極と同様、一方の端子電極22に接続されるものと他方の端子電極23に接続されるものとが交互に配置されている。
【0027】
インダクタ用成形体ブロック11gは、セラミック機能材料としてセラミック磁性体を含み、このようなセラミック磁性体を含む生の磁性体シート24を介して多層の内部導体25が形成された積層構造を有している。成形体ブロック11gの対向する端面には、端子電極26および27がそれぞれ形成されている。多層の内部導体25の各々は、たとえば各磁性体シート24を貫通する貫通導体28によって接続されながら、全体としてコイル状に延びる導電経路を構成している。
【0028】
これら成形体ブロック10gおよび11gは、好ましくは、1000℃以下の温度で焼成可能なように構成される。
【0029】
そのため、まず、誘電体シート20および磁性体シート24にそれぞれ含まれるセラミック機能材料、すなわちセラミック誘電体およびセラミック磁性体としては、たとえば、結晶化ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物が有利に用いられる。より具体的には、誘電体シート20としては、チタン酸バリウムにホウ珪酸系のガラスを少量混ぜた粉末と有機ビヒクルとを混合して得られたセラミックスラリーをドクターブレード法によってシート状に成形したものを用いることができる。他方、磁性体シート24としては、ニッケル亜鉛フェライトにホウ珪酸系のガラスを少量混ぜた粉末と有機ビヒクルとを混合して得られたセラミックスラリーをドクターブレード法によってシート状に成形したものを用いることができる。
【0030】
また、内部導体21、端子電極22および23、内部導体25、端子電極26および27、ならびに貫通導体28を形成するための導体としては、たとえば、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Au、Ni、およびCuからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分とする導電性ペーストが有利に用いられる。
【0031】
内部導体21および25は、それぞれ、誘電体シート20および磁性体シート24の各上に上述の導電性ペーストをスクリーン印刷によって所定のパターンをもって付与することによって形成されることができる。
【0032】
成形体ブロック10gおよび11gを得るため、上述したように、内部導体21が形成された所定数の誘電体シート20および内部導体25が形成された所定数の磁性体シート24をそれぞれ積層した後、圧着工程に付されることが好ましく、この圧着工程では、たとえば、水圧プレスで200kg/cm2 の圧力が付与される。
【0033】
他方、前述したセラミック層2〜8の各々となるべきセラミック絶縁材料を含むセラミックグリーンシート2g、3g、4g、5g、6g、7gおよび8gが用意される。これらセラミックグリーンシート2g〜8gに含まれるセラミック絶縁材料は、上述した成形体ブロック10gまたは11gに含まれるセラミック機能材料とは異なっている。
【0034】
これらセラミックグリーンシート2g〜8gには、それぞれ、上述したコンデンサ用成形体ブロック10gおよびインダクタ用成形体ブロック11gを設けるための、また、前述した抵抗12、配線導体13〜18、ならびに外部端子導体19aおよび19bを設けるための加工または処置が予め施されている。
【0035】
より詳細には、コンデンサ用成形体ブロック10gを内蔵させるための空間29となるべき一連の貫通孔30、31、32および33、ならびにインダクタ用成形体ブロック11gを内蔵させるための空間34となるべき一連の貫通孔35、36、37および38が、それぞれ、セラミックグリーンシート4g、5g、6gおよび7gに予め設けられている。
【0036】
また、配線導体13を設けるための一連の貫通孔39、40、41、42、43および44が、それぞれ、セラミックグリーンシート2g、3g、4g、5g、6gおよび7gに予め設けられている。また、配線導体15を設けるための貫通孔45がセラミックグリーンシート3gに予め設けられている。また、配線導体18を設けるための一連の貫通孔46および47が、それぞれ、セラミックグリーンシート2gおよび3gに予め設けられている。そして、これらの貫通孔39〜47内には、配線導体13、15および18となるべき導電性ペーストが付与される。
【0037】
また、セラミックグリーンシート2gには、外部端子導体19aおよび19bとなるべき各導電性ペーストが、貫通孔39および46内の各導電性ペーストにそれぞれ接続されるようにスクリーン印刷等により付与される。
【0038】
また、セラミックグリーンシート3gには、配線導体16および17となるべき各導電性ペーストが、貫通孔45および47内の各導電性ペーストにそれぞれ接続されるようにスクリーン印刷等により付与される。また、抵抗12となるべき厚膜抵抗体が、配線導体16および17となるべき各導電性ペースト間を連結するように付与される。厚膜抵抗体を形成するための抵抗体ペーストとしては、たとえば、酸化ルテチウムにホウ珪酸系ガラスを少量混ぜた粉末と有機ビヒクルとを混合したものが有利に用いられる。
【0039】
また、セラミックグリーンシート8gには、配線導体14となるべき導電性ペーストが、セラミックグリーンシート2g〜8gが積層されたとき、貫通孔44内の導電性ペーストに接続され、かつ空間29および34内に向かって露出するように、すなわち成形体ブロック10gおよび11gの端子電極23および27に接続されるように、スクリーン印刷等により付与される。
【0040】
上述した配線導体13〜18ならびに外部端子導体19aおよび19bを与える導電性ペーストとしては、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Au、Ni、およびCuからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分とするものが有利に用いられる。
【0041】
このようなセラミックグリーンシート2g〜8gに含まれるセラミック絶縁材料としては、好ましくは、1000℃以下の温度で焼成可能なものが用いられ、たとえば、ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物が用いられる。この場合、ガラス/セラミックの重量比は、100/0ないし5/95の範囲内に選ばれる。ガラス/セラミックの重量比が5/95より小さいと、焼成可能な温度が1000℃より高くなるためである。焼成可能な温度が高くなると、前述した配線導体13〜18等の材料の選択幅が狭くなるので好ましくない。
【0042】
より具体的には、セラミックグリーンシート2g〜8gとしては、ホウ珪酸系のガラス粉末とアルミナ粉末と有機ビヒクルとを混合して得られたセラミックスラリーをドクターブレード法によってシート状に成形したものを用いることができる。このような材料系のセラミックグリーンシート2g〜8gは、800〜1000℃程度の比較的低温で焼成することができる。
【0043】
以上のようにして得られた成形体ブロック10gおよび11gならびにセラミックグリーンシート2g〜8gを用いて、焼成されたときに多層セラミック基板1となる生の複合積層体1gが以下のように製造される。
【0044】
まず、セラミックグリーンシート4g〜7gが、図4に示すように、予め積層される。次いで、空間29および34に、それぞれ、成形体ブロック10gおよび11gが嵌め込まれる。このとき、端子電極22、23、26および27は、空間29または34の各々の開口から露出している。次いで、たとえば500kg/cm2 の水圧プレスを用いての圧着工程が実施され、セラミックグリーンシート4g〜7gが圧着される。これによって、セラミックグリーンシート4g〜7g間の密着性が高められるとともに、成形体ブロック10gおよび11gと空間29および34の内周面とがそれぞれ密着する状態になる。
【0045】
次いで、上述したセラミックグリーンシート4g〜7gの上下に、セラミックグリーンシート2gおよび3gならびに8gがそれぞれ積層され、これによって、生の複合積層体1gが得られる。この複合積層体1gの状態において、貫通孔39〜44内の導電性ペーストは、一連の配線導体13を形成するとともに、配線導体14に接続され、また、貫通孔45内の導電性ペーストは、成形体ブロック10gの端子電極22に接続され、貫通孔46および47内の導電性ペーストは、一連の配線導体18を形成するとともに、成形体ブロック11gの端子電極26に接続される。また、成形体ブロック10gおよび11gの端子電極23および27は、配線導体14に接続される。
【0046】
この実施形態では、生の複合積層体1gの焼成温度では焼結しない生のセラミックからなるシート状支持体48および49がさらに用意される。前述したように、成形体ブロック10gおよび11gならびにセラミックグリーンシート2g〜8gがともに1000℃以下の温度で焼成可能であるならば、これらを複合した生の複合積層体1gが1000℃以下の温度で焼成可能であるということであるので、シート状支持体48および49の材料は、1000℃では焼結しないものであればよい。シート状支持体48および49として、たとえば、アルミナまたはジルコニア等のセラミック粉末と有機ビヒクルとを混合して得られたセラミックスラリーをドクターブレード等によってシート状に成形されたものが有利に用いられる。
【0047】
このようなシート状支持体48および49は、生の複合積層体1gの積層方向における両端に位置する各主面、すなわち上下の主面上に配置される。そして、生の複合積層体1gは、シート状支持体48および49とともに、圧着される。この圧着には、たとえば1000kg/cm2 の圧力の水圧プレスが適用される。
【0048】
次いで、生の複合積層体1gは、シート状支持体48および49で挟まれた状態で、たとえば、空気中、900℃の温度で焼成される。この焼成によって、成形体ブロック10gおよび11gが焼成され、それぞれ、焼結状態のコンデンサ10およびインダクタ11となるとともに、セラミックグリーンシート2g〜8gが焼成され、焼結状態の複数のセラミック層2〜8を有する積層体9となり、それゆえ、全体として焼結状態にある多層セラミック基板1が得られる。
【0049】
また、このような焼成工程を終えても、シート状支持体48および49は未焼結であるので、容易に剥離除去することができ、冷却後において、シート状支持体48および49が除去され、それによって、所望の多層セラミック基板1を取り出すことができる。
【0050】
上述のシート状支持体48および49は、焼成工程において、焼結しないので、実質的な収縮も生じない。したがって、これらシート状支持体48および49に挟まれた複合積層体1gの焼成時のX−Y方向すなわちセラミックグリーンシート2g〜8gの主面方向の収縮は有利に抑制されることができる。そのため、多層セラミック基板1の寸法精度をより高くすることができ、たとえば配線導体13〜18をもって微細で高密度な配線を施しても断線するなどの問題をより生じにくくすることができる。実験によれば、コンデンサ10、インダクタ11および抵抗12は、それぞれ、設計どおりの特性を示すことが確認されている。
【0051】
また、上述のように、X−Y方向の収縮が抑制されるので、複合積層体1gを焼成して、成形体ブロック10gおよび11gならびにセラミックグリーンシート2g〜8gを同時焼成するにあたり、これら成形体ブロック10gおよび11gならびにセラミックグリーンシート2g〜8gの各収縮挙動を互いに一致させることがより容易になり、したがって、成形体ブロック10gおよび11gならびにセラミックグリーンシート2g〜8gのそれぞれの材料の選択の幅をさらに広げることができる。
【0052】
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形が可能である。
【0053】
たとえば、図示した多層セラミック基板1において採用された回路設計は、この発明のより容易な理解を可能とする一典型例にすぎず、この発明は、その他、種々の回路設計を有する多層セラミック基板においても等しく適用することができる。
【0054】
また、成形体ブロックとしても、コンデンサやインダクタの単体に限定されず、たとえばLC複合部品の成形体ブロックとすることもできる。
【0055】
また、上述した実施形態では、成形体ブロック10gおよび11gを嵌め込むための空間29および34は、セラミックグリーンシート4g〜7gにそれぞれ設けられた貫通孔30〜33および35〜38によって形成されたが、成形体ブロックの大きさや形状によっては、特定のセラミックグリーンシートに設けられた凹部によって成形体ブロックを嵌め込むための空間が形成されてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、多層セラミック基板に備える複数のセラミック層および配線導体を有する積層体に内蔵された受動部品は、積層体内に埋め込まれた生のセラミック機能材料を含む成形体ブロックが積層体の焼成と同時に一体焼結されたものによって構成されるので、受動部品自身が有する特性は、成形体ブロックを得た段階で実質的に決定され、また、成形体ブロックに潜在している特性は、焼結後においても実質的に維持されることになる。したがって、成形体ブロックを適正に製造しさえすれば、多層セラミック基板に内蔵される受動部品の特性が設計どおりのものとなり、そのため、多層セラミック基板全体としても、それを安定した品質をもって供給することができるようになる。このことから、多機能化、高密度化、高精度化、高性能化された多層セラミック基板を容易に実現することができる。
【0057】
また、この発明によれば、受動部品は、積層体の内部に完全に埋め込まれた状態となるので、耐湿性等の耐環境性の高い多層セラミック基板を得ることができる。
【0058】
また、この発明によれば、受動部品が多層セラミック基板内において3次元的に配置され得るので、設計の自由度が高められるとともに、信号のクロストーク等の問題を有利に回避することができる。
【0059】
また、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、内蔵される受動部品となるべき生のセラミック機能材料を含む成形体ブロックが用意され、この生の成形体ブロックを埋め込んだ生の複合積層体が焼成されるので、予め焼成された受動部品を埋め込んだ状態で焼成する場合に比べて、焼成時の収縮挙動を厳しく管理する必要がなくなり、積層体となるべきセラミックグリーンシートにおいて使用できる材料の選択の幅を広げることができる。
【0060】
また、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、生の複合積層体において、受動部品となるべき成形体ブロックを嵌め込むための空間が予め設けられているので、得られた多層セラミック基板の平面性を良好に維持することができる。したがって、配線導体の不所望な変形や断線を生じにくくすることができるので、特性のばらつきを生じさせないようにしながら、高い寸法精度をもって高密度な配線を行なうことが可能となり、また、多層セラミック基板に備えるセラミック層の積層数を問題なく増やすことができ、結果として、多層セラミック基板の高性能化を図ることが容易になる。
【0061】
また、この発明に係る多層セラミック基板の製造方法によれば、生の複合積層体の積層方向における両端に位置する各主面上に、生の複合積層体の焼成温度では焼結しない生のセラミックからなるシート状支持体を配置しながら、生の複合積層体を焼成するようにしているため、シート状支持体は、焼成工程において、焼結しないので、実質的な収縮も生じず、そのため、これらシート状支持体に挟まれた複合積層体の焼成時のX−Y方向の収縮が抑制される。したがって、多層セラミック基板の寸法精度をより高くすることができ、微細で高密度な配線を施しても断線するなどの問題をさらに生じにくくすることができる。また、上述のように、X−Y方向の収縮が抑制されるので、複合積層体を焼成して、成形体ブロックとセラミックグリーンシートとを同時焼成するにあたり、これら成形体とセラミックグリーンシートとの各収縮挙動を互いに一致させることがより容易になり、したがって、成形体とセラミックグリーンシートとのそれぞれの材料の選択の幅をさらに広げることができる。
【0062】
この発明において、受動部品となるべき成形体ブロックが多層の内部導体を形成する積層構造を有していると、たとえば、受動部品がコンデンサであるときには、高容量を得ることができ、受動部品がインダクタであるときには、高インダクタンスを得ることができる。
【0063】
この発明において、成形体ブロックに含まれるセラミック機能材料が、結晶化ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物を含んでいたり、複合積層体に備えるセラミックグリーンシートに含まれるセラミック絶縁材料が、ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物を含むとともに、このガラス/セラミックの重量比が、100/0ないし5/95の範囲内に選ばれていたりすると、たとえば1000℃といった比較的低温で、複合積層体を焼成することが可能になる。そのため、配線導体として、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Au、Ni、およびCuからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分とするものが問題なく使用できるようになる。また、前述したシート状支持体としては、比較的入手が容易で化学的に安定なアルミナまたはジルコニアを含むものを用いることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による製造方法によって得られた多層セラミック基板1を図解的に示す断面図である。
【図2】図1に示した多層セラミック基板1が与える等価回路図である。
【図3】図1に示した多層セラミック基板1の製造方法を説明するためのもので、多層セラミック基板1を製造するために用意されるセラミックグリーンシート2g〜8g、成形体ブロック10gおよび11g、ならびにシート状支持体48および49を示す断面図である。
【図4】図3に示したセラミックグリーンシート4g〜7gと成形体ブロック10gおよび11gとを互いに分離して示す断面図である。
【符号の説明】
1 多層セラミック基板
2〜8 セラミック層
9 積層体
10 コンデンサ
11 インダクタ
12 抵抗
13〜18 配線導体
19a,19b 外部端子導体
20 誘電体シート
21,25 内部導体
22,23,26,27 端子電極
24 磁性体シート
29,34 空間
30〜33,35〜47 貫通孔
1g 生の複合積層体
2g〜8g セラミックグリーンシート
10g コンデンサ用成形体ブロック
11g インダクタ用成形体ブロック
48,49 シート状支持体
Claims (7)
- セラミック絶縁材料からなる積層された複数のセラミック層および配線導体を有する積層体と、前記配線導体によって配線された状態で前記積層体に内蔵された受動部品とを備える、多層セラミック基板を製造する方法であって、
前記受動部品となるべき多層の内部導体を形成する積層構造を有する生のセラミック機能材料を含む成形体ブロックを用意し、
前記セラミック機能材料とは異なるセラミック絶縁材料を含む積層された複数のセラミックグリーンシートおよび前記配線導体を有し、内部に空間が予め設けられ、当該空間に前記成形体ブロックを形成する層の積層方向と前記セラミックグリーンシートの積層方向とが垂直となる状態で前記成形体ブロックが嵌め込まれた、生の複合積層体を用意し、
前記生の複合積層体の積層方向における両端に位置する各主面上に、前記生の複合積層体の焼成温度では焼結しない生のセラミックからなるシート状支持体を配置し、
前記シート状支持体で挟んだ状態で前記生の複合積層体を焼成し、
次いで、未焼結の前記シート状支持体を除去する、各工程を備える、多層セラミック基板の製造方法。 - 前記複合積層体は、1000℃以下の温度で焼成される、請求項1に記載の多層セラミック基板の製造方法。
- 前記シート状支持体は、アルミナまたはジルコニアを含む、請求項2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
- 前記成形体ブロックとして、焼結されたとき、コンデンサまたはインダクタとなるものが用意される、請求項1ないし3のいずれかに記載の多層セラミック基板の製造方法。
- 前記成形体ブロックに含まれる前記セラミック機能材料は、結晶化ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物を含む、請求項2に記載の多層セラミック基板の製造方法。
- 前記複合積層体に備えるセラミックグリーンシートに含まれる前記セラミック絶縁材料は、ガラス、またはガラスとセラミックとの混合物を含み、ガラス/セラミックの重量比は、100/0ないし5/95の範囲内に選ばれる、請求項2または5に記載の多層セラミック基板の製造方法。
- 前記配線導体または前記内部導体は、Ag、Ag−Pt合金、Ag−Pd合金、Au、Ni、およびCuからなる群から選ばれた少なくとも1種を主成分とする、請求項2、5または6に記載の多層セラミック基板の製造方法。
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