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JP3668983B2 - トリス(置換フェニル)ビスマス誘導体 - Google Patents

トリス(置換フェニル)ビスマス誘導体 Download PDF

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JP3668983B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は優れた放射線造影能を有する新規な置換トリフェニルビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容されるその塩、その製造法並びにこれを成分として含有する医療用検査薬組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
放射線の中でもX線を用いる放射線撮影法は古くから種々の疾病の診断ないし検査を行うための医療技術として広く採用されてきている。しかし血管系、排尿路、胆管・胆のう又は脳脊髄空洞などの系によってはさらに解析度を上げるための造影剤を必要とすることも少くない。とりわけ、四股、脳などの組織を中心とした各種血管病変疾患の診断においては血管造影法がほとんど不可欠となっており、増々医療ニーズは高くなっている。その際に用いる血管造影剤としては、いずれもiopamidol,iohexol,ioxaglateに代表される2,4,6−トリヨード安息香酸誘導体タイプの化合物が現在使用されているが、更に造影能の高い薬剤が必要とされる診断場面も増加している。また、これらの注射剤は血液の浸透圧に比べ高浸透圧であることに起因する注射時の熱感、疼痛をはじめ、ヨード化合物に特有なものとも考えられている悪心、嘔吐、皮疹等の副作用が問題視されているのが現状である。
【0003】
造影能を高める手段としては1分子中にヨウ素原子をさらに多く導入した化合物が考案されるが、化学的不安定性や製造面の困難さ等の要因で実際には実用上課題が多いものと考えられる。他方、ヨウ素原子よりさらに原子核の大きな原子を含む化合物についても、放射線の遮蔽力に応じたより高い造影能を発揮しうるものが期待される。しかしながら、一般に原子核の大きさの拡大に伴う化学的不安定性の増大、製造面の困難さ、毒性等の要因が、これらの化合物を実際に造影剤として実用化する際には大きな課題となる。
【0004】
ビスマスは原子番号83の原子で、その原子半径は、ヨウ素のおよそ1.5倍の大きさを持つ。有機ビスマス化合物はトリアルキルビスマス類に代表されるように一般的に化学的に不安定となるが、トリフェニルビスマス類はこれに比べ安定な化合物も報告されている。
【0005】
トリフェニルビスマス類の特記すべき長所としては、0.1Å前後の短波長側でより高い造影能が期待される点である。このことはビスマスの0.1Åにおける質量吸収係数が0.345とヨウ素の値0.136に比べ大きく、高いX線遮蔽能を有することから裏付けられる(化学便覧)。
このことは、現在行われているX線診断が体内に有害なより長波長側で測定されていることを考えると、トリフェニルビスマス類を放射線造影剤として用いることは、安全性や解像度という点で大きなメリットといえる。
【0006】
本発明の一般式(I)のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩と公知文献に記載された比較的本発明化合物と類似した化合物との関係を以下に説明する。
【0007】
(a)Vestn.Lenigrad.Univ.,Fiz.,Khim.,4号,113〜116頁,1971年;Chemical Abstracts,76巻(20号),119603には、ベンゼン環のパラ位にスルホンアミド基(NH2SO2−)又はメトキシ基を有するトリス(p−置換フェニル)ビスマス化合物の記載がある。
【0008】
(b)Phosphorus Sulfur.,14巻(2号),253〜260頁,1983年にはベンゼン環の2,6−位にそれぞれメトキシ基又はエトキシ基を有するトリス(2,6−ジアルコキシフェニル)ビスマス化合物の記載がある。
(c)J.Coord.Chem.,12巻,53〜57頁,1982年には、ベンゼン環のオルト位にそれぞれメトキシ基、メチルチオ基又はジメチルアミノ基を有するトリス(o−置換フェニル)ビスマス化合物の記載がある。
【0009】
上記(a)〜(c)のいずれの文献にも、それらのビスマス化合物の医療用途をはじめとしたいかなる用途に関する記載もなされていない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を行った結果、文献(a)〜(c)に開示されている何れの化合物とも異なる本発明のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び薬学的に許容しうる塩がいずれも化学的安定性及び生物学的安全性に富んだ化合物であり、X線造影能においても優れた化合物であり、特にベンゼン環上の置換基のω末端部に水酸基を有する水溶性トリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び薬学的に許容しうる塩は高いX線造影能を示すことから、従来の薬剤における課題となっているヨウ素由来の副作用を回避することができ、安全かつ有用性の高い血管系、尿路、胆管・胆のう又は脳脊髄空洞系等のX線造注射剤の成分となりうることを見出し本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は一般式(I)
【0012】
【化14】
Figure 0003668983
【0013】
{式中、X1はY1−NR12〔Y1は−SO2−又は
【0014】
【化15】
Figure 0003668983
【0015】
を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はA−Z(Aは鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、ZはOR3(R3はSiR456(R4,R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。)、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)又はNR78(R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)を示す。)但し、R1,R2は同時に水素原子ではない。〕、
【0016】
【化16】
Figure 0003668983
【0017】
(R9は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は前記に同じ。)又はY2−A−Z〔Y2は酸素原子、−S(O)n−(nは0又は2の整数を示す。)又は
【0018】
【化17】
Figure 0003668983
【0019】
(R1は前記に同じ。)を示し、A及びZは前記に同じ。〕を示す。
2及びX3はそれぞれ独立に水素原子又はX1で示される上記の各置換基を示す。}
で表わされるトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩、その製造法並びにこれらを成分として含有する医療用検査組成物に関するものである。
【0020】
以下、上記一般式(I)の本発明化合物におけるX1,X2及びX3について説明する。
1は−SO2NHR1′,−SO2NR1′R2′,−C(O)NHR1′又は−C(O)NR1′R2′(R1′及びR2′はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基又はt−ブチル基を示す。)で表わされるN−アルキル−ないしN,N−ジアルキル−スルファモイル基又は−カルバモイル基を示すか、SO2−NHA′−Z′,SO2−NR1′(A′−Z′),SO2N(A′−Z′)(A″−Z″),−C(O)NH(A′−Z′),−C(O)NR1′(A′−Z′)又は−C(O)N(A′−Z′)(A″−Z″)〔R1′は上記で説明したアルキル基を示し、Z′及びZ″はそれぞれ独立にトリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチル−ジメチルシリルオキシ基、t−ブチル−ジフェニルシリルオキシ基などのシリルオキシ基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、アミノ基、NHR7′,NR7′R8′(R7′及びR8′はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基を示す。)で表わされるN−アルキルアミノ基又はN,N−ジアルキルアミノ基を示し、A′及びA″はそれぞれ独立にエチレン鎖、プロピレン鎖、ブチレン鎖、ペンチレン鎖、ヘキシレン鎖又はこれらのアルキレン鎖上の任意の位置でメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が置換した総炭素数3〜6のアルキレン鎖を示す。〕で表わされるN−ω−置換アルキル−、N,N−アルキル−ω−置換アルキル−ないしN,N−ジ−ω−置換アルキル−スルファモイル基又は−カルバモイル基を示すか、メトキシメチルオキシ基、エトキシメチルオキシ基、n−プロポキシメチルオキシ基、i−プロポキシメチルオキシ基、n−ブトキシメチルオキシ基、i−ブトキシメチルオキシ基、sec−ブトキシメチルオキシ基、t−ブトキシメチルオキシ基又は上記のアルコキシメチルオキシ基のメチレン部位にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロポキシ基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基又はt−ブチル基が置換したアルコキシ−アルキル置換−メチルオキシ基を示すか、O−A′−Z′,−S−A′−Z′,−SO2−A′−Z′,NHR1′−A′−Z′又はNR1′(A′−Z′)〔A′,Z′及びR1′は前述の説明と同じ。〕で表わされるω−置換アルキレンオキシ基、ω−置換アルキレンチオ基、ω−置換アルキレンスルホニル基、N−ω−置換アルキルアミノ基又はN,N−ジ−ω−置換アルキルアミノ基を挙げることができる。
【0021】
2及びX3としては、それぞれ独立に水素原子又はX1で説明した上記の各置換基を挙げることができる。
【0022】
一般式(I)の本発明化合物において、高い水溶性を有することにより、近年医療ニーズの高い注射剤として用いる血管造影剤をはじめ広範な剤型としての造影剤としての利用が可能な好ましい化合物としては
【0023】
1がY1−NR12{Y1は−SO2−であり、R1,R2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はA−Z1〔Aは鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、Z1はOR3(R3はSiR456(R4,R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。)、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)〕}又は
【0024】
【化18】
Figure 0003668983
【0025】
(R7は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R9は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、X2及びX3はそれぞれ独立に水素原子又はX1の各置換基である一般式(I)のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩が挙げられる。
【0026】
以下、本発明化合物である一般式(I)で表わされるトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体可能な場合は薬学的に許容し得るその塩に包含される代表的化合物を表Iに例示するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0027】
尚、表I中のnはノルマル、i−イソ、secはセカンダリー、tはターシャリー、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、Buはブチル基を意味する。
【0028】
表 I
【0029】
【化19】
Figure 0003668983
【0030】
【表1】
Figure 0003668983
【0031】
【表2】
Figure 0003668983
【0032】
【表3】
Figure 0003668983
【0033】
【表4】
Figure 0003668983
【0034】
【表5】
Figure 0003668983
【0035】
以下、本発明化合物の製造法について説明する。
本発明化合物の一般式(I)のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩は例えば、以下の反応式で示される方法によって製造することができる。
【0036】
反応式(1)
【0037】
【化20】
Figure 0003668983
【0038】
〔式中、X1,X2及びX3は前記に同じ、MはMgX′(X′はヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子を示す。)又はリチウム原子、ナトリウム原子などのアルカリ金属塩を示し、Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)〕
【0039】
反応式(1)による製造法は、一般式(II)で表わされる置換フェニル金属反応性誘導体と、一般式(III)で表わされるトリハロビスマス化合物とを不活性な溶媒中反応させることによって、一般式(I)の本発明化合物を製造する方法である。
【0040】
上記反応における原料のモル比は通常一般式(II)の置換フェニル金属反応性誘導体を一般式(III)のトリハロビスマス化合物に対し3〜10倍量、好ましくは3.3〜5倍モル程度使用すれば十分である。
【0041】
反応温度としては、置換フェニルマグネシウムハライドを用いる場合は通常−40℃から反応に使用する溶媒の沸点までの範囲を、置換フェニルアルカリ金属塩を用いる場合は−78℃から40℃までの範囲を採用することができる。
【0042】
反応溶媒としては、置換フェニルマグネシウムハライドを用いる場合はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒ないしそれらの混合溶媒が、置換フェニルアルカリ金属塩を用いる場合は上記のエーテル系溶媒に加えて、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒及びエーテル系溶媒との混合溶媒系を採用することもある。
【0043】
本発明化合物の一般式(I)の化合物を単離精製する方法としては、蒸留、再結晶又はシリカゲルを用いた各種クロマトグラフィー等の有機合成上自体公知の手法を採用することができる。
【0044】
一般式(II)で表わされる置換フェニル金属反応性誘導体は例えば、下記の反応スキーム(A)及び(B)の公知の製造方法又は公知の有機反応を利用することにより製造することができる。
【0045】
【化21】
Figure 0003668983
【0046】
(式中、X′,M,X1,X2及びX3は前記に同じ。)
【0047】
【化22】
Figure 0003668983
【0048】
(式中、M′はリチウム原子、ナトリウム原子などのアルカリ金属塩を示し、X1,X2及びX3は前記に同じ。)
【0049】
反応スキーム(A)は出発原料として一般式(II−1)で表されるハロフェニル誘導体を用い、これにマグネシウムを反応させるかあるいはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ナトリウムアミドなどのアルカリ金属塩基を反応させハロゲン原子と金属原子の置換反応を行うことによって一般式(II)で表わされるそれぞれ置換フェニルマグネシウムハライド誘導体及び置換フェニルアルカリ金属塩誘導体を生成させる方法である。
【0050】
これらの置換フェニル金属反応性誘導体を生成させる反応温度としては、置換フェニルマグネシウムハライド誘導体の場合は−30℃から溶媒の沸点までを、置換フェニルアルカリ金属塩誘導体の場合は−78℃から0℃程度の範囲を通常設定することができる。
【0051】
これらの置換フェニル金属反応性誘導体は反応系中で生成せしめ、引き続き連続して反応式(1)のトリハロビスマス化合物との反応を行うことが多いため、ここでの反応に用いる溶媒も前述の反応式(1)の項で説明したものと同様の溶媒を使用することが多い。
【0052】
反応スキーム(B)は出発原料として一般式(II−2)で表わされるフェニル誘導体を用い、これにアルカリ金属塩基を反応させ置換基X1のオルト位の水素原子をアルカリ金属原子と置換させ、一般式(IIa)で表わされる置換フェニルアルカリ金属塩誘導体を生成させる方法である。本ルートは原料製造上の面から一般式(II−1)で表わされる置換基X1のオルト位にX′なるハロゲン原子を有する原料の製造が困難な場合特に本製造法は意義深い方法を提供する。
【0053】
本法において特に所望の位置で水素原子とアルカリ金属原子との交換が容易に進行するX1の置換基としてはスルホンアミド系置換基、アミド系置換基、アルコキシ系置換基などが挙げられる。
【0054】
本法において採用されるアルカリ金属塩基、溶媒及び温度等の反応条件は前述の反応スキーム(A)における置換フェニルアルカリ金属塩誘導体の生成条件にほぼ準じて設定して特に差し支えない。
【0055】
反応式(2)
【0056】
【化23】
Figure 0003668983
【0057】
{式中、X1aはY1−NR12a〔R2aはA′−Za(A′は鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、ZaはOSiR456(R4,R5及びR6は前記に同じ。)を示し、Y1及びR1は前記に同じ。〕又はY2−A−Za(Y2,A及びZaは前記に同じ。)を示し、X2及びX3は前記に同じ。
【0058】
M′+はR10111213+(R10,R11,R12及びR13はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)、アルカリ金属イオン又はピリジニウムイオンを示す。
1a′は置換基の末端部がいずれも水酸基であるX1aに対応する各置換基を示し、X2′及びX3′はそれぞれX2,X3に対応する置換基で末端Z部位の官能基としてシリルオキシ基を除いても良い各置換基を示す。}
【0059】
反応式(2)による製造法は、一般式(Ia)で表わされるトリス(o−ω−シリルオキシアルキレン置換フェニル)ビスマス誘導体をフルオライドイオン型化合物あるいは酸触媒で処理することにより脱シリル化反応を行い、一般式(Ia′)で表わされるトリス(o−ω−ヒドロキシアルキレン置換フェニル)ビスマス誘導体を製造する方法である。
【0060】
上記反応で用いるフルオライドイオン型化合物としてはテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライドのようなテトラアルキルアンモニウムフルオライド類、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属フルオライド塩又はピリジンフッ化水素酸塩などを挙げることができる。
【0061】
本フルオライドイオン型化合物の原料(Ia)に対するモル比は、(Ia)中に含まれるシリルオキシ基の数に応じて適宜設定することができる。(Ia)中に複数のシリルオキシ基を含む場合、すべてのシリル基を脱離した化合物を所望する際はそのシリル基の数の当量数より若干過剰量のフルオライド化合物を用いれば通常十分である。
【0062】
反応に用いる溶媒としては反応に関与しないものであれば何でも良く、幅広く選択できる。
【0063】
又反応温度も−40℃〜室温くらいの温和な条件下で比較的すみやかに進行することが多い。
【0064】
酸触媒を用いる脱シリル化反応についてはトリアルキルシリル型シリルオキシ基を含む(Ia)の脱シリル化反応を行う場合特に好適に用いられる。本反応では適宜原料(Ia)の溶解を助けるために有機溶媒を添加することができる。
【0065】
本反応で用いることができる酸触媒としては、塩酸、硫酸等の鉱酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸誘導体、酸性のイオン交換樹脂等が用いられる。
【0066】
反応に用いられる溶媒としては、反応に関与しないものであれば何でも良く、幅広く選択できる。特に化合物(Ia)と化合物(Ia′)の溶解性が大きく異なっているので、極性溶媒と非極性溶媒を組み合わせた、例えばエタノール−ジクロロメタン混合液等を使用すると、反応後、化合物(Ia′)が析出し、結晶として取り出されるので好適である。
【0067】
反応温度は−10℃から溶媒の沸点までの間を通常設定することがでる。
【0068】
本発明化合物の一般式(Ia′)の化合物を単離精製する方法としては、再結晶又はシリカゲルを用いた各種クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等に加え、特に水溶性化合物の場合にはイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの方法が有効なこともある。
【0069】
本発明の一般式(I)のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩の投与形態としては、注射剤等による非経口投与又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与を挙げることができる。
【0070】
本発明化合物を含有する上記の薬学的組成物は全組成物の重量に対して、本発明化合物を1〜99.5%、好ましくは5〜95%を含有する。
【0071】
本発明化合物は製薬の慣用手段によって投与用に製剤化される。
【0072】
【実施例】
実施例(参考例、合成例、製剤例、試験例)
以下、本発明について、実施例(参考例、合成例、製剤例、試験例)を挙げて詳述するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、参考例、合成例中の「NMR」、及び「IR」の各記号はそれぞれ「核磁気共鳴スペクトル」、「赤外線吸収スペクトル」を表わす。又特別の記載がない場合は核磁気共鳴スペクトルにおいては重水素クロロホルム中で測定している。
【0073】
参考例1
N,N−ビス(2−トリメチルシリルオキシエチル)ベンゼンスルホンアミド
【0074】
【化24】
Figure 0003668983
【0075】
ビス(2−トリメチルシリルオキシエチル)アミン4.97g、トリエチルアミン3.03gおよびベンゼン50mlの混合物中に、撹拌下0℃にてベンゼンスルホニルクロリド3.21gを滴下する。滴下終了後、冷却浴をはずしさらに2時間撹拌する。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下留去して得られる残留物をベンゼンからベンゼン−酢酸エチル(9:1)までの溶出液を用いてすばやくシリカゲルカラムに通し、無色油状物として6.23gの標題化合物を得た。
【0076】
NMRδ:7.83(2H,d,J=8.0Hz),7.52(3H,m),3.72,3.31(各4H,t,J=6.5Hz),0.09(18H,s).
【0077】
参考例2
m−(N,N,N′,N′−テトラキス−(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)ベンゼンジスルホンアミド
【0078】
【化25】
Figure 0003668983
【0079】
ジエタノールアミン2.31g、トリエチルアミン11.2ml及びテトラヒドロフラン20mlの混合物を氷水浴にて冷却し、撹拌下t−ブチルジメチルシリルクロリド7.23gをテトラヒドロフラン30mlに溶かした溶液を滴下し、滴下終了後冷却浴をはずし終夜撹拌する。再度反応液を0℃まで冷却し、m−ベンゼンジスルホニルクロリド2.75gをテトラヒドロフラン15mlに溶かした溶液を滴下し、冷却浴をはずした後さらに2時間撹拌する。反応混合物を濾過し、濾液を減圧留去に付す。得られた残留物をベンゼン−酢酸エチル混液を溶出液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、無色油状物として6.7gの標題化合物を得た。本品は冷所に放置すると融点55℃の結晶となる。
【0080】
NMRδ:8.35(1H,s),8.01(2H,d,J=7.9Hz),7.63(1H,t,J=7.9Hz),3.75,3.36(各8H,t,J=6.0Hz),0.85(36H,s),0.02(24H,s).
IR νmax KBr cm-1:2953.4,2856.9,1583.7,1464.1,1352.3,1253.9,1110.2,1001.2,837.2,777.4.
【0081】
実施例1
トリス(2−N,N−ビス−エチル スルファモイルフェニル)ビスムチン(化合物No.1)
【0082】
【化26】
Figure 0003668983
【0083】
N,N−ジエチルベンゼンスルホンアミド0.853gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、ドライアイス−アセトン冷却下n−ブチルリチウム1.6M/lヘキサン溶液2.8mlを滴下し、同条件下で30分間撹拌する。次に、3塩化ビスマス0.315gをテトラヒドロフラン5mlに溶解した溶液を20分を要して滴下、引き続いて終夜撹拌する。反応液に水を少量づつ注入し、分液する。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。両有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去する。得られる残留物をn−ヘキサン−酢酸エチル(3:1;v/v)混液を溶出溶媒としたシリカゲルカラムグラフィーにて精製する。残留物をヘキサン−酢酸エチルから結晶化し、融点122〜124℃の結晶として標題化合物0.52gを得た。
【0084】
NMRδ:8.0(3H,d),7.69(3H,d),7.48(3H,t),7.34(3H,t),3.30(12H,q),1.15(18H,t).
IR νmax KBr cm-1:2972.7,2936.0,1568.3,1464.1,1446.8,1383.1,1317.5,1199.9,1010.8,939.4,733.0,677.1,578.7.
【0085】
実施例2
トリス(2−N,N−ジエチルアミノカルボニルフェニル)ビスムチン(化合物No.2)
【0086】
【化27】
Figure 0003668983
【0087】
s−BuLi1.3M/lシクロヘキサン溶液27ml、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン4.06g及びテトラヒドロフラン50mlの混合物中に、ドライアイス−アセトン冷却下撹拌しながらN,N−ジエチル−安息香酸アミド5.67gをテトラヒドロフラン30mlに溶かした溶液を5分間を要して滴下した。続いて、三塩化ビスマス2.52gをテトラヒドロフラン15mlに溶かした溶液を15分間をかけて滴下し、同温度で終夜撹拌する。氷水を注意深く注入し、激しく撹拌後、有機層を分取する。水層を酢酸エチルで再抽出し、両有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−n−ヘキサン=1:3 v/v)に付し、油状物として標題化合物3.30gを得た。
【0088】
NMRδ:7.80(3H,d),7.5〜7.2(9H,m),3.67(6H,q),3.38(6H,brq).
IR νmax filmcm-1:2974.6,1614.6,1421.7,1385.0,1360.3,1348.7,1093.8,742.1.
【0089】
実施例3
トリス(2−メトキシメチルオキシフェニル)ビスムチン(化合物No.3)
【0090】
【化28】
Figure 0003668983
【0091】
メトキシメチル−フェニルエーテル1.38gをジエチルエーテル50mlに溶解し、ドライアイス−アセトン浴上、撹拌下n−ブチルリチウム1.6M/lヘキサン溶液7.5mlを滴下、続いて4時間撹拌する。次に三塩化ビスマス0.78gをジエチルエーテル15mlに溶かした溶液を滴下後、反応液を終夜撹拌する。反応液中に氷水を注意深く注入し、激しく振とう後有機層を分取する。水層は酢酸エチルで再抽出する。両有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去する。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=10:1 v/v)にて精製する。溶媒を留去、残留物をn−ヘキサン−酢酸エチルから結晶化し、融点95℃の結晶として標題化合物0.56gを得た。
【0092】
NMRδ:7.53(3H,d),7.27(6H,m),6.93(3H,t),5.14(6H,s),3.33(9H,s).
IR νmax KBr cm-1:3049.8,2901.3,2361.2,1570.2,1456.4,1435.2,1224.9,1186.4,1149.7,1113.1,1072.6,1007.0,918.2,748.5.
【0093】
実施例4
トリス(2−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファモイルフェニル)ビスムチン(化合物No.4)
【0094】
【化29】
Figure 0003668983
【0095】
参考例1で製造したN,N−ビス(2−トリメチルシリルオキシエチル)ベンゼンスルホンアミド1.56gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、ドライアイス−アセトン冷却浴上、撹拌下n−ブチルリチウム1.6M/lヘキサン溶液2.8mlを滴下する。同温度で1時間撹拌後、三塩化ビスマス0.32gをテトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液を滴下、続いて反応液を終夜撹拌する。反応液中に注意深く氷水を注入し、室温下さらに24時間撹拌する。反応混合物の溶媒を留去し、得られる残留物を水−エタノールから結晶化し、融点183℃の結晶として標題化合物0.49gを得た。
【0096】
NMR(アセトン−d6)δ:8.12(3H,d),7.72(3H,d),7.64(3H,dd),7.47(3H,dd),4.26(6H,t,重水添加により消失),3.76(12H,q),3.42(12H,t).
【0097】
実施例5
トリス(2,4−ビス(N,N−ビス(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)スルファモイル)フェニル)ビスムチン(化合物No.5)
【0098】
【化30】
Figure 0003668983
【0099】
参考例2で製造したm−(N,N,N′,N′−テトラキス(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)ベンゼンジスルホンアミド23.45gをテトラヒドロフラン234mlに溶解し、ドライアイス−アセトン冷却浴上撹拌下n−BuLi1.6M/ln−ヘキサン溶液20.0mlを滴下し、1時間撹拌、続いて三塩化ビスマス2.16gをテトラヒドロフラン21mlに溶解した溶液を滴下する。滴下終了後、終夜撹拌する。反応液中に注意深く氷水166mlを注入し、混合液を激しく振とう後、テトラヒドロフラン層を分取する。水層は酢酸エチルで再抽出する。両有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去すると粗生成物が24.9g得られる。これをエタノール:メタノール=1:1の混合溶媒74.7gに50℃で溶解し、その後−10℃まで冷却する。得られた結晶を濾別し、乾燥すると融点115℃の結晶として標題化合物が13.59g(収率70.5%)得られた。
【0100】
NMR(アセトン−d6)δ:8.36(3H,s),7.75(6H,dd),3.80〜3.69(24H,m),3.48(12H,t),3.32(12H,t),0.87(108H,s),0.02(72H,s).
IR νmax KBr cm-1:2957.2,2930.2,2858.9,1473.8,1361.9,1336.8,1257.7,1170.9,1105.3,1001.2.
【0101】
実施例6
トリス(2,4−ビス(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル)フェニル)ビスムチン(化合物No.6)
【0102】
1) 実施例5で得たトリス(2,4−ビス(N,N−ビス(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)スルファモイル)フェニル)ビスムチン13.59gをエタノール13.6ml、ジクロロメタン27mlの混合溶媒に溶解し、p−トルエンスルホン酸・1水和物0.272gを加え50℃で6時間加熱還流した。室温に冷却し、結晶を濾別後、ジクロロメタン29.5mlで洗浄し、乾燥すると融点(110−113℃)の結晶として標題化合物5.54gを得た。
【0103】
NMR(D2O)δ:8.49(3H,s),7.38,6.82(各3H,ABq),3.65(24H,m),3.44(12H,t),3.29(12H,t).
【0104】
2) 実施例5で得たトリス(2,4−ビス(N,N−ビス(2−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル)スルファモイル)フェニル)ビスムチン1.38gをテトラヒドロフラン15mlに溶解した溶液を−30℃に冷却し、撹拌下テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド1M/lテトラヒドロフラン溶液5.88mlをゆっくりと滴下する。冷却浴をはずし、さらに2時間撹拌する。反応液中に水及びn−ヘキサンを加え、激しく振とうした後、水層を分取する。水層をクロロホルムで3度洗浄した後、凍結乾燥に付し、標題化合物0.67gを得た。
【0105】
NMR(D2O)δ:8.49(3H,s),7.38,6.82(各3H,ABq),3.65(24H,m),3.44(12H,t),3.29(12H,t).
【0106】
Figure 0003668983
上記成分を常法により混合した後、1錠中に500mgの活性成分を含有する糖衣錠とする。
【0107】
Figure 0003668983
上記成分を常法により混合した後、ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中500mgの活性成分を含有するカプセル剤とする。
【0108】
Figure 0003668983
【0109】
試験例1(X線造影能試験)
化合物No.6の55w/v%水溶液を用いて、in vitroでX線−CT測定を行ったところイオパミドール15w/v%溶液と同等のX線造影能を有することが確認された。(X線加速電圧80KV、サンプル層長4mm)
【0110】
【表6】
Figure 0003668983
【0111】
試験例2(毒性試験)
化合物No.6を注射用生理食塩水にて28.5w/v%の濃度になるように溶解し、投与液を調製した。
これをICR系雄性マウス(6週令)4匹に1ml/minの速度で11.4g/kgの薬物量を尾静脈内投与した。投与5分以内に全例に自発運動の減少が観察されたものの、3例は30分以内に、1例は2時間以内に回復した。その後、7日間特記すべき症状は認められず、死亡例はなかった。
【0112】
試験例3(油水分配係数)
Acta Radiologica,370,33−36(1987)記載の方法に従って、化合物No.6の1−オクタノール−水間の油水分配係数を測定したところP=0.00199であった。この値は、上記文献記載のイオパミドールにおける値0.0025と同等以上の高い水親和性を示す。
【発明の効果】
以上の結果から明らかなように本発明化合物は、優れた放射線造影能を有し、とりわけ水溶性化合物において充分な造影能を発揮しうることから、さらに進んだ低浸透圧性、低粘度性の安全かつ有用性の高い血管系、尿路、胆管・胆のう又は脳脊髄空洞系等のX線造影注射剤を提供する。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003668983
    {式中、X1はY1−NR12〔Y1は−SO2−又は
    Figure 0003668983
    を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はA−Z(Aは鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、ZはOR3(R3はSiR456(R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。)、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)又はNR78(R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)を示す。)但し、R1,R2は同時に水素原子ではない。〕、
    Figure 0003668983
    (R9は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は前記に同じ。)又はY2−A−Z〔Y2は酸素原子、−S(O)n−(nは0又は2の整数を示す。)又は
    Figure 0003668983
    (R1は前記に同じ。)を示し、A及びZは前記に同じ。〕を示す。
    2及びX3はそれぞれ独立に水素原子又はX1で示される上記の各置換基を示す。}
    で表わされるトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩。
  2. 1がY1−NR12{Y1は−SO2−であり、R1,R2はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はA−Z1〔Aは鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、Z1はOR3(R3はSiR456(R4,R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。)、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)〕}又は
    Figure 0003668983
    (R7は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R9は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)を示す。
    2及びX3はそれぞれ独立に水素原子又はX1の各置換基である請求項1に記載のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩。
  3. 一般式(II)
    Figure 0003668983
    {式中、X1はY1−NR12〔Y1は−SO2−又は
    Figure 0003668983
    を示し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はA−Z(Aは鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、ZはOR3(R3はSiR456(R4,R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。)、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)又はNR78(R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)を示す。)但し、R1,R2は同時に水素原子ではない。〕、
    Figure 0003668983
    (R9は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は前記に同じ。)又はY2−A−Z〔Y2は酸素原子、−S(O)n−(nは0又は2の整数を示す。)又は
    Figure 0003668983
    (R1は前記に同じ。)を示し、A及びZは前記に同じ。〕を示す。
    2及びX3はそれぞれ独立に水素原子又はX1で示される上記の各置換基を示す。
    MはMgX′(X′はヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子を示す。)又はリチウム原子、ナトリウム原子などのアルカリ金属塩を示す。}で表わされる置換フェニル金属反応性誘導体と
    一般式(III)
    BiX3 (III)
    (式中Xは塩素原子又は臭素原子を示す。)
    で表わされるトリハロビスマス化合物とを反応させることを特徴とする請求項1に記載のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩の製造法。
  4. 一般式(Ia)
    Figure 0003668983
    {式中、X1aはY1−NR12a〔Y1は−SO2−又は
    Figure 0003668983
    を示し、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はA−Z(Aは鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、ZはOR3(R3はSiR456(R4,R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。)、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)又はNR78(R7及びR8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)を示し、R2aはA′−Za(A′は鎖長炭素数が2以上の分枝しても良い総炭素数2〜6のアルキレン鎖を示し、ZaはOSiR456(R4,R5及びR6は前記に同じ。)を示す。〕又はY2−A−Za〔Y2は酸素原子、−S(O)n(nは0又は2の整数を示す。)又は
    Figure 0003668983
    (R1は上記と同じ。)を示し、A及びZaは上記に同じ。〕を示す。
    2及びX3はそれぞれ独立に水素原子、Y1−NR12(R2はR1と独立に同じ意味を示し、Y1及びR1は上記に同じ。但しR1及びR2は同時に水素原子ではない。)、
    Figure 0003668983
    (R9は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は前記に同じ。)又はY2−A−Z(Y2,A及びZは前記に同じ。)を示す。}で表わされるトリス(o−ω−シリルオキシアルキレン置換フェニル)ビスマス誘導体を
    一般式(IV)
    M′+- (IV)
    〔式中、M′+はR10111213+ (R10,R11,R12及びR13はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)で表わされる4級アンモニウムイオンを示すか、アルカリ金属イオン又はピリジニウムイオンを示す。〕
    で表わされるフルオライドイオン型化合物で処理するか、酸触媒で処理することにより脱シリル化反応を行うことを特徴とする請求項1に記載のトリス(o−ω−ヒドロキシアルキレン置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩の製造法。
  5. 請求項1に記載のトリス(置換フェニル)ビスマス誘導体及び可能な場合は薬学的に許容し得るその塩を成分とする放射線造影剤。
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