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JP3664054B2 - 通信システム - Google Patents

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JP3664054B2
JP3664054B2 JP2000224108A JP2000224108A JP3664054B2 JP 3664054 B2 JP3664054 B2 JP 3664054B2 JP 2000224108 A JP2000224108 A JP 2000224108A JP 2000224108 A JP2000224108 A JP 2000224108A JP 3664054 B2 JP3664054 B2 JP 3664054B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無線区間と有線区間を有する通信システムに係わり、たとえば符号分割多元接続方式で通信を行う携帯電話機を使用して有線区間で比較的大きなデータを取得する場合に適した通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機や無線機能を備えた携帯型のコンピュータのような無線端末が各種登場している。これらは机の上に配置した比較的大型のコンピュータと同様に各種のデータを送受信することができる。しかも場所を限定されずに通信が可能であるという利点を有するため、ビジネス等で広く使用されるようになってきている。特に最近ではこのような無線端末の高機能化に伴って、メールだけでなく、WWW(world wide web)上のホームページにアクセスして閲覧を行ったり、各種のデータをダウンロードするといった使用も一般化している。
【0003】
図6は、携帯電話機を使用してインターネットを利用する場合の通信システムの概要を表わしたものである。携帯電話機1011〜101Nは基地局102と無線で接続されるようになっている。この図では例示的に1つしか示していない基地局102は移動通信網103と接続されており、携帯電話機101同士はこの移動通信網103の基地局102を介して通信を行う。移動通信網103はインターネット網104と接続されている。インターネット網104には各種のコンテンツを格納したコンテンツサーバ1051〜105Mや、パーソナルコンピュータ106等の装置が接続されている。
【0004】
オフィスや家庭に配置されたパーソナルコンピュータ106がホームページにアクセスしてこれを閲覧したり所望のファイルをダウンロードする場合、通常の場合には電話回線等の有線でインターネット網104に接続し、コンテンツサーバ1051〜105Mの中の所望のURL(Uniform Resource Locator)を指定する。これにより所望のコンテンツを取得することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
携帯電話機101でホームページにアクセスする場合も基本的にこれと同じである。ところが、コンテンツサーバ1051〜105Mから所望のコンテンツをダウンロードする事情は、両者の間で大きく異なる。インターネット網104に電話回線等の有線で接続されるパーソナルコンピュータ106の場合には、どのような伝送速度のモデム(変復調装置)を使用するか、あるいはどのような伝送速度の回線を使用するかによって異なるものの、両者の間は有線で接続されている。したがって、大容量のデータであってもコンテンツサーバ1051〜105Mから比較的短時間でダウンロードが可能である。
【0006】
これに対して携帯電話機1011〜101Nからインターネット網104に接続した場合には、図6で基地局102と移動通信網103およびインターネット網104を介したコンテンツサーバ1051〜105Mの間は有線区間であるが、基地局102とそれぞれの携帯電話機1011〜101Nの間は無線区間となっている。このうちの無線区間は、通話や比較的小さなサイズのファイルの転送を前提としており、有線区間と比べると伝送速度が低いのが一般的である。このため、たとえばホームページのあるファイルのサイズが比較的大きいというような場合を考えると、そのファイルのデータをコンテンツサーバ1051〜105Mから基地局102まで送る伝送速度を高く設定して短時間の通信を可能にしても、基地局102から携帯電話機1011〜101Nまでの間の伝送速度が低ければ、結局はこの部分の伝送速度で規制されて通信に長時間を要するという問題が発生した。特願平10−529474号公報でもこのような特殊性を考慮して伝送速度の設定を行っておらず、同様の問題が発生する。
【0007】
図7は、この問題を更に具体的に説明するためのものであり、基地局と携帯電話機の距離と送信電力の強さの関係を示している。この図で破線は基地局102の担当するセル111の境界を表わしている。この図で第1の携帯電話機1011はセル111の境界近傍に存在している。第2の携帯電話機1012はセル111の境界と基地局102のほぼ中間位置に配置されている。第3の携帯電話機1013は基地局102の近傍に配置されている。第1〜第3の携帯電話機1011〜1013は、基地局102と符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)方式で通信を行うようになっている。
【0008】
このように第1〜第3の携帯電話機1011〜1013は基地局102に対して異なった距離の位置に存在する。それぞれの携帯電話機1011〜1013が同一の強さの電波を出して基地局102と通信したとすると、基地局102は3者の間で異なった信号レベルの電波を受信することになる。この結果、たとえば一番遠い位置に配置された第1の携帯電話機1011から得られる信号が一番近い位置に配置された第3の携帯電話機1013から得られる信号の影響を受けて、受信が良好に行われない場合が生じる。時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式や、周波数分割多元接続(FDMA:Frequency Division Multiple Access)方式では、使用する周波数や送受信の時間が異なる。このためこのような問題は発生しにくい。ところが時分割多元接続方式では同じ周波数帯域を同時に複数の携帯電話機1011〜1013が使用可能である。したがって、複数の通信が同時に行われる環境ではこのような問題が発生し得る。
【0009】
そこで、従来から基地局102は、第1〜第3の携帯電話機1011〜1013等の携帯電話機から受信する信号レベルを調べ、これらの信号レベルが基地局102側でほぼ等しくなるようにこれらの携帯電話機1011〜1013の出力する送信電力を増減させる制御を行っている。すなわち、この例では第1の携帯電話機1011については送信電力を上げるように指示し、第3の携帯電話機1013には送信電力を下げるような指示を行っている。この前提として、それぞれの携帯電話機1011〜1013が基地局102に送信するデータの転送速度は1種類であるとしている。データの転送速度が異なれば送信電力も変わるからである。基地局102からそれぞれの携帯電話機1011〜1013に送信するデータの転送速度も1種類とされていた。これらデータの転送速度は音声および小容量のファイルの転送等を前提としていることはすでに説明した。
【0010】
図8は、この従来の通信システムにおける有線区間と無線区間のデータ転送量の関係を図解したものである。コンテンツサーバ105と基地局102の間は有線区間121なので、大量のデータ通信も可能となるように、比較的太い伝送路(高速の通信路)122が用意されている。基地局102と携帯電話機101の間は通話を前提とした無線区間123なので比較的細い伝送路(低速の通信路)124となっている。したがって、コンテンツサーバ105から比較的大容量のファイル等をダウンロードしようとすると、細い伝送路124が存在するために通信時間が長くなってしまう。すなわち、インターネット網104(図6)を利用してホームページにアクセスしたりすると、ファイルの転送に手間取るため、応答が遅くスムーズな操作を行うことができないという問題が生じた。
【0011】
そこで本発明の目的は、無線区間を経て有線区間から比較的大容量のデータを効率的に転送することのできる通信システムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、(イ)基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、(ロ)データ通信の送信電力の総和に制限のある無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求するデータ取得要求手段と、(ハ)無線区間の手前の有線区間の所定位置でデータ取得要求手段によって取得が要求されたデータをデータ要求先と対応付けて一時的に格納するデータバッファリング手段と、(ニ)このデータバッファリング手段に格納されたデータを逐次読み出して前記した所定位置から有線区間の残りの区間および無線区間を通ってデータ要求先に送出するデータ送出手段と、(ホ)データバッファリング手段に格納されたデータ要求先のデータの蓄積量が多いとき無線区間でデータの転送速度を、その無線区間における他のデータ通信の転送速度との関係で割り当てられる送信電力の許容値の範囲内で増加させるデータ転送速度変更手段とを通信システムに具備させる。
【0013】
すなわち請求項1記載の発明では、データ取得要求手段が無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求したとき、このデータを要求先に無線で送る際にデータバッファリング手段に一時的に格納し、この格納されたデータ蓄積量が多いときには無線区間でのデータの転送速度をその無線区間における他のデータ通信との関係で割り当てられる送信電力の許容値の範囲内で増加させるようにしている。このように、比較的大容量のデータを無線区間で転送する際には、許容値の範囲内でデータ転送速度が増加するので、効率的な転送が可能になる。
【0014】
請求項2記載の発明では、(イ)基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間内に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、(ロ)符号分割多元接続方式で通信を行う無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求するデータ取得要求手段と、(ハ)無線区間の手前の有線区間の所定位置でデータ取得要求手段によって取得が要求されたデータをデータ要求先と対応付けて一時的に格納するデータバッファリング手段と、(ニ)このデータバッファリング手段に格納されたデータを逐次読み出して前記した所定位置から有線区間の残りの区間および無線区間を通ってデータ要求先に送出するデータ送出手段と、(ホ)データバッファリング手段に格納されたデータ要求先のデータの蓄積量が予め定められた所定のしきい値よりも多いとき無線区間でデータの転送速度をその無線区間における現在通信に使用されている送信電力の総和との関係で割り当てられる許容量の範囲内で増加させるデータ転送速度変更手段とを通信システムに具備させる。
【0015】
すなわち請求項2記載の発明では、データ取得要求手段が符号分割多元接続方式で通信を行う無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求したとき、このデータを要求先に無線で送る際にデータバッファリング手段に一時的に格納し、この格納されたデータ蓄積量が予め定められた所定のしきい値よりも多いときには無線区間でのデータの転送速度をその無線区間における現在通信に使用されている送信電力の総和との関係で割り当てられる許容量の範囲内で増加させるようにしている。このように、比較的大容量のデータを無線区間で符号分割多元接続方式で転送する際には、許容値の範囲内でデータ転送速度が増加するので、効率的な転送が可能になる。
【0016】
請求項3記載の発明では、(イ)基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間内に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、(ロ)移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際にその送信電力値を測定する送信電力値測定手段と、(ハ)その移動局に送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、(ニ)送信電力値測定手段の測定した送信電力値とデータ蓄積手段の蓄積したデータの量に応じて対応する移動局に対する無線伝送速度を制御する無線伝送速度制御手段とを通信システムに具備させる。
【0017】
すなわち請求項3記載の発明では、移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際に送信電力値測定手段でその送信電力値を測定する。データ蓄積手段の蓄積したデータの量に応じて対応する移動局に対する無線伝送速度を制御することができる。
【0018】
請求項4記載の発明では、(イ)基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間内に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、(ロ)移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際に設定された送信電力値を測定する送信電力値測定手段と、(ハ)その移動局に送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、(ニ)送信電力値測定手段の測定した送信電力値が所定の値よりも小さいときデータ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化する無線伝送速度制御手段とを通信システムに具備させる。
【0019】
すなわち請求項4記載の発明では、移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際に送信電力値測定手段でその送信電力値を測定する。データ蓄積手段の蓄積したデータの量が多く、この送信電力値が少ない場合には、送信電力値の余裕の範囲内で無線伝送速度を上げることができる。
【0020】
請求項5記載の発明では、(イ)移動局との間の距離が長いほど無線送信電力大きく、またデータの伝送速度が高速になるほど送信電力大きくする送信電力制御手段と、(ロ)移動局との間の距離を測定する距離測定手段と、(ハ)その移動局に符号分割多元接続方式で送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、(ニ)距離測定手段の測定した距離が所定の値よりも小さいときデータ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化する無線伝送速度制御手段とを通信システムに具備させる。
【0021】
すなわち請求項5記載の発明では、距離測定手段が通信相手の移動局との間の距離を測定し、距離が所定の値よりも小さいときには送信電力に余裕があるので、データ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化するようにしている。
【0022】
請求項6記載の発明では、(イ)移動局が通信を行う際の信号干渉雑音比を測定する信号干渉雑音比測定手段と、(ロ)その移動局に符号分割多元接続方式で送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、(ハ)信号干渉雑音比測定手段の測定した信号に対する干渉雑音が所定の値よりも小さいとき、データの無線伝送速度が高速になるほど干渉雑音が大きくなるように対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化する無線伝送速度制御手段とを通信システムに具備させる。
【0023】
すなわち請求項6記載の発明では、移動局が通信を行う際の信号干渉雑音比を信号干渉雑音比測定手段によって測定し、干渉雑音が所定の値よりも小さいときには、データの無線伝送速度が高速になるほど干渉雑音が大きくなるように対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化することにして、信号干渉雑音を全体として許容範囲内に収めながら、データの効率的な転送を可能にしている。
【0024】
【発明の実施の形態】
【0025】
【実施例】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施例における通信システムの概要を表わしたものである。この図で図6と同一部分には同一の符号を付しており、これらの説明を適宜省略する。本実施例の基地局201内には、伝送速度設定部202と、データバッファ203が配置されている。伝送速度設定部202は、基地局201の管轄するセル111内の送信電力の許容値の範囲内で、それぞれの携帯電話機1011〜101Nに設定する伝送速度をK通り(ただしKは2以上の整数)のうちから1つ選択するようになっている。基地局201は符号分割多元接続方式で各携帯電話機1011〜101Nと通信を行うようになっており、この際の送信電力の総和の上限値を値VMAXとする。
【0027】
図2は数値Kが“3”の場合の有線区間と無線区間のデータ転送量の関係を図解したものである。コンテンツサーバ105と基地局201の間は有線区間121なので、大量のデータ通信も可能となるように、比較的太い伝送路(高速の通信路)122が用意されている。この伝送路122を通ってコンテンツサーバ105から送られてきたデータは宛先別にデータバッファ203に格納される。そして、無線区間211では伝送速度設定部202の選択した2種類の伝送速度の無線伝送路212、213のいずれかが宛先別に選択されてデータが携帯電話機101に伝送されるようになっている。このうちの第1の無線伝送路212は低速の通信路であり、第2の無線伝送路213はこの4倍のデータ伝送速度の通信路となっている。
【0028】
図3は、このような本実施例の通信システムで他網からデータを受信した場合の伝送速度設定部の制御の様子を表わしたものである。伝送速度設定部202は図示しないがCPU(中央処理装置)を搭載しており、同じく図示しないROM(リード・オンリ・メモリ)に格納されたプログラムを基にして制御を行う。すなわち、伝送速度設定部202のCPUは他網よりデータが受信されるのを待機しており(ステップS231)、受信されたら(Y)、その受信データをデータバッファ203に格納しながら該当する携帯電話機101にこれを初期的に第1の無線伝送路212を使用して送信を開始させる(ステップS232)。そして次にデータバッファ203のその携帯電話機101宛のデータの蓄積量を読み出して、これが所定のしきい値を越えたかどうかを判別する(ステップS233)。しきい値を越えていなければ(N)、第1の無線伝送路212の選択状態を保持する(ステップS234)。
【0029】
伝送速度設定部202はこの通信状態で、通信が終了するか一定時間が経過したかを順次チェックしている(ステップS235、S236)。そしてデータの送信が開始されてから一定時間が経過したら(ステップS236:Y)、再びデータバッファ203のその携帯電話機101宛のデータの蓄積量を読み出して、これが所定のしきい値を越えたかどうかを判別する(ステップS233)。そのデータが通話のための音声データである場合には、第1の無線伝送路212を使用している状態でデータの未送信分が蓄積することはなく、したがってしきい値を越えることはない。
【0030】
ところがホームページの閲覧のためにたとえば大容量の画像ファイルを受信しているような場合には、その時点でデータバッファ203内の未送信分のデータの量が増大していき、しきい値を超える場合がある。このような場合(ステップS233:Y)、前記したCPUはその基地局201がセル111内の全携帯電話機1011〜101Nに対して送信している電力の総和を算出する。そしてこれが上限値VMAXを越えておらず、かつ第1の無線伝送路212から第2の無線伝送路213に切り換えるだけの電力の余裕があるかどうかをチェックする(ステップS237)。この余裕がある場合(Y)、伝送速度設定部202はその携帯電話機101宛のデータの通信路を第1の無線伝送路212から第2の無線伝送路213に切り換える(ステップS238)。そしてステップS235に進んで先に説明したと同様の処理を繰り返す。すなわち、大容量のファイルのダウンロードを行っている間等のようにデータバッファ203内の未送信のデータの量がしきい値を越えている間は第2の無線伝送路213が選択され、ホームページの同じページをじっくり閲覧している場合のようにダウンロードするデータの量が少なくなったような場合にはしきい値以下となるので第1の無線伝送路212に切り換えられる(ステップS234)。以下同様である。以上の制御は通信が終了するまで継続することになる(ステップS235:Y)。
【0031】
ところで本実施例では図1に示した基地局201の送信する電力に余裕があるとき、この余裕分を使用して、通信すべきデータの量が多いものに優先的に割り当てるようにしている。したがって、このような余裕分があることを前提としている。
【0032】
図4は、本実施例の通信システムで電力の余裕度を説明するためのものである。図1に示した1つのセル111内で送信電力との関係で同時に通話が可能な携帯電話機101の数をS台とする。このS台の携帯電話機1011〜101Sが、セル111の境界近傍にすべて配置されているとしたときに送信電力は上限値VMAXとなる。ところが、これらのS台の携帯電話機1011〜101Sはセル111内で境界近傍にすべて配置されているとは限らず、各種の配置状態を採りうる。たとえばすべての携帯電話機1011〜101Sが基地局201の近傍に集まっていたとすると、送信電力は小さくてよいので上限値VMAXとの間で最大のマージンMMAXを生じる。統計的にはこの最大のマージンMMAXの2分の1程度のマージンが通常の状態で存在すると考えることができる。また、同時に通信している携帯電話機101の数がS台よりも少なくなれば、更にマージンに余裕が生じる。本実施例ではこのような上限値VMAXとの間の送信電力の余裕度の範囲内で、時間当りのデータの転送量の多い通信に対して高速の伝送路を割り当てるようにしている。
【0033】
変形例
【0034】
図5は、本発明の変形例で他網からデータを受信した場合の伝送速度設定部の制御の様子を表わしたものである。この変形例では現在の伝送速度における信号干渉雑音比を所定の値と比較して、信号に対する干渉雑音の比率が小さい場合にはこの比率がその所定の値に到達するまで、該当する携帯電話機101との間の伝送速度を上げようとするものである。この図で図3と同一部分には同一のステップ番号を付しており、これらの説明を適宜省略する。
【0035】
すなわち図5のステップS333では、基地局201が該当する携帯電話機101に送信する際の信号に対する雑音の比率をチェックして、これが所定の値に到達していない間は(Y)、そのセル111全体の送信電力に余裕があることを条件として(ステップS237:Y)、携帯電話機101宛のデータの通信路を第1の無線伝送路212から第2の無線伝送路213に切り換える(ステップS238)。送信電力に余裕がないときには(ステップS237:N)第1の無線伝送路212のままとなる。この変形例の場合にも、信号干渉雑音比がしきい値以下となる場合がある。したがって、この場合には他の携帯電話機101の伝送速度の高速化を可能とするために、携帯電話機101宛のデータの通信路を第2の無線伝送路213から第1の無線伝送路212に切り換えることになる。
【0036】
以上説明したように本実施例では通信が開始してから指定の時間ごとにデータバッファ203の蓄積量をチェックして送信電力の総和に余裕がある場合には高速の通信路に切り替えることにしたが、たとえばホームページから個々の構成ファイルを受信するたびというようにファイルのダウンロードを行うたびにこのようなチェックを行うようにしてもよい。もちろん、伝送速度は2段階の切り替えである必要はなく、これよりも多い数の伝送速度の切り替えを行うようにしてもよい。この場合にはしきい値を複数レベル設けてもよい。更に未送信のデータの残量で伝送速度を切り替えずに、残量の増加率あるいは減少率を判別して伝送速度切り替えを行うことも有効である。
【0037】
また実施例ではそれぞれの基地局201内に伝送速度設定部202およびデータバッファ203を設けたが、これらを図1に示した移動通信網103内に配置することも可能である。この場合には、伝送速度の異なる伝送路の選択は、移動通信網103内の図示しない制御部が行って、これを個々の対応する基地局201に指示することになる。
【0038】
更に実施例および変形例では符号分割多元接続方式で通信を行う無線区間を例に挙げて本発明を説明したが、一般に所定のエリア内で同時にデータ通信が行われる際の送信電力の総和に制限のある無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を行う通信システムのすべてに本発明を適用することができることは当然である。
【0039】
また、実施例ではデータバッファ203に蓄積される未送信分のデータの量をチェックして伝送速度を制御することにしたが、セル111内の携帯電話機101等の移動局までの距離等で定まる送信電力の値を測定し、この値が小さいような場合には、データバッファ(データ蓄積手段)203の蓄積したデータの量に応じて対応する移動局に対する無線伝送速度を上げることができる。
【0040】
このような送信電力の値による移動局までの距離の実質的な測定に代えて、移動局との間の距離を測定する距離測定手段を設け、距離測定手段の測定した距離が所定の値よりも小さいときデータ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化するようにすることも可能である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、データ取得要求手段が無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求したとき、このデータを要求先に無線で送る際にデータバッファリング手段に一時的に格納し、この格納されたデータ蓄積量が多いときには無線区間でのデータの転送速度をその無線区間における他のデータ通信との関係で割り当てられる送信電力の許容値の範囲内で増加させるようにしたので、比較的大容量のデータを無線区間で転送する際には、許容値の範囲内でデータ転送速度を増加させることができ、効率的な転送が可能になる。
【0042】
また請求項2記載の発明によれば、データ取得要求手段が符号分割多元接続方式で通信を行う無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求したとき、このデータを要求先に無線で送る際にデータバッファリング手段に一時的に格納し、この格納されたデータ蓄積量が予め定められた所定のしきい値よりも多いときには無線区間でのデータの転送速度をその無線区間における現在通信に使用されている送信電力の総和との関係で割り当てられる許容量の範囲内で増加させるようにしたので、比較的大容量のデータを無線区間で符号分割多元接続方式で転送する際には、許容値の範囲内でデータ転送速度が増加し、効率的な転送が可能になる。しかも本発明では、許容値の範囲内であれば移動局等のデータ取得要求手段が現在どのような電力で送信しているかを問わずに制御が可能である。
【0043】
更に請求項3記載の発明によれば、移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際に送信電力値測定手段でその送信電力値を測定するので、移動局に対する送信電力の大小で、それぞれ余裕の生じた分だけ移動局に対する無線伝送速度を制御することができる。
【0044】
また請求項4記載の発明によれば、移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際に送信電力値測定手段でその送信電力値を測定することにしたので、データ蓄積手段の蓄積したデータの量が多く、この送信電力値が少ない場合には、送信電力値の余裕の範囲内で無線伝送速度を上げることができる。
【0045】
更に請求項5記載の発明によれば、距離が所定の値よりも小さいときには送信電力に余裕があるので、距離測定手段が通信相手の移動局との間の距離を測定し、データ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化することができる。
【0046】
また請求項6記載の発明によれば、移動局が通信を行う際の信号干渉雑音比を信号干渉雑音比測定手段によって測定し、干渉雑音が所定の値よりも小さいときには、データの無線伝送速度が高速になるほど干渉雑音が大きくなるように対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化することにしたので、信号干渉雑音を全体として許容範囲内に収めながら、データの効率的な転送を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における通信システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】数値Kが“3”の場合の有線区間と無線区間のデータ転送量の関係を図解した説明図である。
【図3】本実施例の通信システムで他網からデータを受信した場合の伝送速度設定部の制御の様子を表わした流れ図である。
【図4】本実施例の通信システムで電力の余裕度を示した説明図である。
【図5】本発明の変形例で他網からデータを受信した場合の伝送速度設定部の制御の様子を表わした流れ図である。
【図6】携帯電話機を使用してインターネットを利用する場合の通信システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図7】基地局と携帯電話機の距離と送信電力の強さの関係を示した説明図である。
【図8】従来の通信システムにおける有線区間と無線区間のデータ転送量の関係を図解した説明図である。
【符号の説明】
101 携帯電話機
103 移動通信網
104 インターネット網
105 コンテンツサーバ
111 セル
201 基地局
203 データバッファ
212 第1の無線伝送路
213 第2の無線伝送路

Claims (6)

  1. 基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、
    前記データ通信の送信電力の総和に制限のある前記無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求するデータ取得要求手段と、
    前記無線区間の手前の有線区間の所定位置で前記データ取得要求手段によって取得が要求されたデータをデータ要求先と対応付けて一時的に格納するデータバッファリング手段と、
    このデータバッファリング手段に格納されたデータを逐次読み出して前記所定位置から有線区間の残りの区間および無線区間を通ってデータ要求先に送出するデータ送出手段と、
    前記データバッファリング手段に格納されたデータ要求先のデータの蓄積量が多いとき前記無線区間でデータの転送速度を、その無線区間における他のデータ通信の転送速度との関係で割り当てられる送信電力の許容値の範囲内で増加させるデータ転送速度変更手段
    とを具備することを特徴とする通信システム。
  2. 基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間内に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、
    符号分割多元接続方式で通信を行う前記無線区間を介して有線のネットワーク内に存在するデータ源からデータの取得を要求するデータ取得要求手段と、
    前記無線区間の手前の有線区間の所定位置で前記データ取得要求手段によって取得が要求されたデータをデータ要求先と対応付けて一時的に格納するデータバッファリング手段と、
    このデータバッファリング手段に格納されたデータを逐次読み出して前記所定位置から有線区間の残りの区間および無線区間を通ってデータ要求先に送出するデータ送出手段と、
    前記データバッファリング手段に格納されたデータ要求先のデータの蓄積量が予め定められた所定のしきい値よりも多いとき前記無線区間でデータの転送速度をその無線区間における現在通信に使用されている送信電力の総和との関係で割り当てられる許容量の範囲内で増加させるデータ転送速度変更手段
    とを具備することを特徴とする通信システム。
  3. 基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間内に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、
    前記移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際にその送信電力値を測定する送信電力値測定手段と、
    その移動局に送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記送信電力値測定手段の測定した送信電力値とデータ蓄積手段の蓄積したデータの量に応じて対応する移動局に対する無線伝送速度を制御する無線伝送速度制御手段
    とを具備することを特徴とする通信システム。
  4. 基地局とこれを取り巻く所定のエリアとしての無線区間内に存在する複数の移動局との間で同時にデータ通信が行われるときに、これらの移動局それぞれのデータの転送速度に応じて無線送信電力を変動させる無線送信電力制御手段と、
    前記移動局に符号分割多元接続方式でデータを送信する際に設定された送信電力値を測定する送信電力値測定手段と、
    その移動局に送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記送信電力値測定手段の測定した送信電力値が所定の値よりも小さいときデータ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化する無線伝送速度制御手段
    とを具備することを特徴とする通信システム。
  5. 移動局との間の距離が長いほど無線送信電力大きく、またデータの伝送速度が高速になるほど送信電力大きくする送信電力制御手段と、
    前記移動局との間の距離を測定する距離測定手段と、
    その移動局に符号分割多元接続方式で送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記距離測定手段の測定した距離が所定の値よりも小さいときデータ蓄積手段の蓄積したデータの量が多いほど対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化する無線伝送速度制御手段
    とを具備することを特徴とする通信システム。
  6. 移動局が通信を行う際の信号干渉雑音比を測定する信号干渉雑音比測定手段と、
    その移動局に符号分割多元接続方式で送信するデータを一時的に蓄積するデータ蓄積手段と、
    前記信号干渉雑音比測定手段の測定した信号に対する干渉雑音が所定の値よりも小さいとき、データの無線伝送速度が高速になるほど干渉雑音が大きくなるように対応する移動局に対する無線伝送速度を高速化する無線伝送速度制御手段
    とを具備することを特徴とする通信システム。
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