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JP3659795B2 - 粘着シート - Google Patents

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JP3659795B2 JP08815798A JP8815798A JP3659795B2 JP 3659795 B2 JP3659795 B2 JP 3659795B2 JP 08815798 A JP08815798 A JP 08815798A JP 8815798 A JP8815798 A JP 8815798A JP 3659795 B2 JP3659795 B2 JP 3659795B2
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弘之 内田
和田  茂
知道 高津
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリ塩化ビニル製のシート状基材を採用した粘着シートに係り、特に基材としてポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤を粘着剤に移行させずに長期的に糊残りのない粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリ塩化ビニル製のシート状基材を用いる粘着シートとしては、基材と粘着層との間の接着力を維持するため、種々のプライマが知られている(例えば特公昭35−1831号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記粘着シートにあっては、基材としてポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤が経時的変化により粘着剤へ移行してしまい、粘着特性の変化及び粘着剤が基材から剥がれてしまうといった糊残り等の課題があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、基材としてポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤を粘着剤に移行させずに長期的に粘着特性の経時的変化がなく、また被着体に対して糊残りのない粘着シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意検討を行った結果、ポリ塩化ビニル製のシート状基材と、該基材上に積層されたプライマと、該プライマ上に積層された粘着剤を備える粘着シートにおいて、上記プライマが、ベースプライマ100重量部、紫外線硬化性化合物10〜150重量部及び紫外線硬化開始剤0.1〜10重量部を備えることによって、上記課題を解決できることを見出だし、本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明にあっては、紫外線を照射することによりプライマの凝集力を高め、これにより可塑剤の粘着剤への移行を阻止するものである。そのプライマ塗布量は、あまりに少ないと可塑剤ブロツク効果が出ず、あまりに多いと紫外線硬化速度が遅くなるため、好ましくは厚みで0.05〜5.0μmがよく、さらに好ましくは0.3〜0.8μmがよい。
【0007】
上記紫外線硬化性化合物を採用したのは、紫外線照射を受けた紫外線硬化開始剤によってプライマ全体の凝集力を高めて可塑剤の移行を阻止するものであり、この配合比はあまりに少ないと紫外線を受けても硬化される部分が少なくなり凝集力の向上に寄与せず可塑剤阻止効果が少なくなり、あまりに多いと凝集力が高くなり過ぎてプライマとしてのアンカー効果を発揮できなくなるため、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部がよい。
【0008】
該紫外線硬化性化合物は、具体的には2個以上の官能基を有する官能性の紫外線硬化物がよく、例えばアクリレート系化合物、ウレタンアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマ及び/又はモノマ、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等の単体又は混合系がある。
【0009】
前記アクリレート系化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート等がある。
【0010】
前記ウレタンアクリレートとしては、例えばポリエステルウレタンアクリレート、ポリエーテルウレタンアクリレート、4官能ウレタンアクリレート、6官能ウレタンアクリレート等がある。
【0011】
該ウレタンアクリレート系オリゴマは、炭素−炭素二重結合を少なくとも二個以上有する紫外線重合性化合物であり、例えば、ポリエステル型又はポリエーテル型等のポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物、例えば(2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフエニルメタン4,4−ジイソシアナート等)を反応させて得られる端末イソシアナートウレタンプレポリマに、ヒドロキシル基を有するアクリレートあるいはメタクリレート(例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等)を反応させて得られるものがある。
【0012】
上記エポキシアクリレートとしては、エポキシ基とアクリル酸又はメタクリル酸との反応によって合成されるものであり、ビスフエノールA型、ビスフエノールS型、ビスフエノールF型、エポキシ油化型、フエノールノボラツク型、脂環型等がある。
【0013】
上記ポリエステルアクリレートは、ジオール、ポリオールと2塩基酸より合成したポリエステル骨格に残ったOH基に、アクリル酸を縮合してアクリレートにしたものであり、例えば無水フタル酸/プロピレンオキサイドジオール/アクリル酸、アジピン酸/1,6−ヘキサンジオール/アクリル酸、トリメリツト酸/ジエチレングリコール/アクリル酸等がある。
【0014】
また、前記紫外線硬化性化合物を採用する場合、特に300〜30000の分子量のものがよい。
【0015】
本発明における上記紫外線硬化開始剤は、紫外線照射を受けた際に上記紫外線硬化性化合物と反応点での結合を増やすことによりプライマ全体の凝集力を高めるためのものであり、この配合比はあまりに少ないと硬化が遅く作業性に劣り、あまりに多いと未反応の開始剤が残り汚染が生じてしまうため、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部がよい。
【0016】
上記紫外線硬化開始剤としては、具体的には、クロロアセトフエノン、ジエトキシアセトフエノン、ヒドロキシアセトフエノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、α−アミノアセトフエノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フエニル)−2−モルホリノープロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フエニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフエニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフエニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、混合光開始剤、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フエニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、アリルケトン含有光開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフエノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フエニルベンゾフエノン、ヒドロキシベンゾフエノン、アクリル化ベンゾフエノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフエニルサルフアイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフエノン、メチル−O−ベンゾイルベンゾエート、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、α−アシルオキシムエステル、α−アシロキシムエステル、アシルホスフインオキサイド、メチルフエニルグリオキシレート、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンフアーキノン、ベンジル、9,10−フエナンスレンキノン、アンスラキノン、ジベンゾスベロン、4’,4’’−ジエチルイソフタロフエノン、ミヒラーケトン、環状光開始剤、テトラメチルチウラムモノサルフアイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフエノン等がある。上記クロロアセトフエノンとしては、4−フエノキシジクロロアセトフエノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフエノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフエノン等がある。
【0017】
また、本発明にかかるプライマにあっては、該紫外線硬化開始剤に対して必要に応じて光開始助剤を配合しても良い。該光開始助剤は、それ自体は紫外線照射によって活性化はしないが、紫外線硬化開始剤と併用することにより紫外線硬化開始剤単独使用より開始反応が促進され、硬化反応を効率的にするものである。
【0018】
該光開始助剤としては、主として脂肪族、芳香族アミンがあり、具体的にはトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノフエノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフエノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(nブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヒキシル、重合性3級アミン、トリエチルアミン、テトラエチルペンタアミン、ジメチルアミノエーテル等がある。
【0019】
上記紫外線硬化性化合物や上記紫外線硬化開始剤の紫外線硬化を開始するためには、紫外線照射が必要になる。照射のタイミングは、プライマ積層後粘着剤積層前だけでなく、粘着剤によっては粘着剤積層後であってもよい。この紫外線照射量は、紫外線硬化開始剤や紫外線硬化性化合物の種類によって異なるが、例えば20〜500J/cm2(365nm)の範囲が好ましく、さらに好ましくは50〜150J/cm2(365nm)の範囲がよい。これはあまりに少ないと紫外線照射による凝集力向上が図れず、あまりに多いと紫外線照射ラインの速度が遅くなり生産性が悪くなるためである。
【0020】
上記ベースプライマとしては、従来公知のベースプライマを採用でき、具体的にはポリイソシアネート系、ポリエチレンイミン系、アクリル系及びゴム系等がある。
【0021】
本発明の粘着シートにおいて積層される粘着剤としては、従来公知の粘着剤を採用でき、その主成分の具体例としてはアクリル系ポリマ及び/又はエラストマがある。上記アクリル系ポリマとしては、従来公知のアクリル系粘着剤を適宜選択して使用でき、一般的には、アクリル酸エステル系を主たる構成単量体単位とする単独重合体(主モノマ)及びコモノマとの共重合体から選ばれたアクリル系共重合体、その他の官能性単量体(官能基含有モノマ)との共重合体及びこれら重合体の混合物がある。
【0022】
上記主モノマとしては、例えはエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等がある。また、上記官能基含有モノマとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアマイド、メチロールアクリルアマイド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等がある。
【0023】
上記エラストマとしては、例えば天然ゴム、合成イソプレンゴム、SBR(スチレンブタジエンゴム)、スチレン・ブタジエンブロツク共重合体、スチレン・イソプレンブロツク共重合体、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリビニルエーテル、シリコーンゴム、ポリビニルイソブチルエーテル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、クラフトゴム、再生ゴム、スチレン・エチレン・ブチレン・ブロツクコポリマ、スチレン・プロピレン・ブチレン・ブロツクコポリマ、スチレン・イソプレン・ブロツクコポリマ、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリルゴム(アクリロニトリル・アクリルエステル共重合体)、メチル・メタアクリレート・ブタジエン共重合体、ポリイソブチレン・エチレン・プロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン・シリコンゴム、ポリビニルイソブチルエーテル・クロロプレン等があり、これらの単独物のみならず混合物であってもよい。その他、特開平9−328663号記載の紫外線硬化型粘着剤も採用できる。
【0024】
本発明における基材としてのポリ塩化ビニル製シートは、本発明の課題である可塑剤を配合したポリ塩化ビニルシートであるが、このポリ塩化ビニルに他の素材を配合したもの、及びプライマ積層面とは反対の面に他の素材のシートを積層したものであっても良い。他の素材としては、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニルコポリマ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の単独層又は複数層がある。
【0025】
なお、本発明にかかる粘着シートは、必要に応じて粘着剤上にポリエチレンラミネート紙、剥離処理プラスチツクフイルム等の剥離紙又は剥離シートを密着させて保存される。
【0026】
本発明にあっては、ポリ塩化ビニル製のシート状基材と、該基材上に積層されたプライマと、該プライマ上に積層された粘着剤を備える粘着シートにおいて、上記プライマが、ベースプライマ100重量部、紫外線硬化性化合物10〜150重量部及び紫外線硬化開始剤0.1〜10重量部を備えたことを特徴とし、これにより基材としてポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤を粘着剤に移行させずに長期的に糊残りが生じない。
【0027】
【実施例】
本発明にかかる粘着シートの各実施例と比較例の粘着剤の主要配合物とその特性値を表1に開示しつつ詳細に説明する。
【0028】
表1における「可塑剤移行率」は、基材にプライマだけを塗工し、該プライマ表面を黒色のコピー用紙に貼り合わせ、50℃×2kg荷重×7日間放置後、該コピー用紙への可塑剤の移行量をガスクロマトグラフイーで調べた結果、プライマの移行率(%)を表したものである。「アンカー性」は、完成した粘着テープをステンレス板に貼り合わせてから剥がしたときに粘着剤を基材から目視で剥がれなかったと判断したものを○、剥がれたか所があったものを×としたものである。「粘着力」は、貼り合わせ20分後と30日後の粘着力を示したものである。「糊残り▲1▼」は、ステンレス板に貼り合わせ、23℃で30日間放置後、剥がしたときに糊残りがなかったものを○、あったものを×としたものであり、「糊残り▲2▼」は、糊残り▲1▼の条件を60℃で30日間で行った結果である。
【0029】
【表1】
Figure 0003659795
【0030】
各実施例及び各比較例にかかる粘着シートは、厚さ70μmのポリ塩化ビニル製のシート状基材と、該基材上に積層された表1記載のプライマと、該プライマ上に積層されたアクリル粘着系剤(東洋インキ社製オリバインBPS5448)を備えるものである。
【0031】
表1における他の主要配合について説明する。プライマのベースプライマ100重量部としてはポリアクリル系(#344東洋化学社製)を採用し、紫外線硬化性化合物としてはビームセツト575(荒川化学社製)を採用し、紫外線硬化開始剤としてはベンゾインイソプロピルエーテルを採用した。また、紫外線照射量は150J/cm2(365nm)である。
【0032】
プライマの塗膜厚を少なくした比較例1では全ての測定結果において問題があり、多くした比較例2ではプライマの塗布量が多いため製造安定性に欠けるだけでなく製品単価が高くなるという問題があった。紫外線硬化性化合物及び紫外線硬化開始剤を配合しなかった比較例3では、可塑剤移行率、粘着力及び糊残り▲2▼で問題があった。紫外線硬化性化合物を多く配合した比較例4にあっては、アンカー性及び糊残りが悪く、紫外線硬化開始剤を多く配合した比較例5にあっては、未反応開始剤による被着体への汚染が生じた。また、実施例1、2から明らかなように、紫外線硬化性化合物と紫外線硬化開始剤の配合を変えても各特性値に大きな違いはなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明にかかる粘着シートは、ポリ塩化ビニル製のシート状基材と、該基材上に積層されたプライマと、該プライマ上に積層された粘着剤を備える粘着シートにおいて、上記プライマが、ベースプライマ100重量部、紫外線硬化性化合物10〜150重量部及び紫外線硬化開始剤0.1〜10重量部を備えたことを特徴とし、これにより基材としてポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤を粘着剤に移行させずに長期的に糊残りが生じないという効果を有する。

Claims (1)

  1. ポリ塩化ビニル製のシート状基材と、該基材上に積層されたプライマと、該プライマ上に積層された粘着剤を備える粘着シートにおいて、上記プライマが、ベースプライマ100重量部、紫外線硬化性化合物10〜150重量部及び紫外線硬化開始剤0.1〜10重量部を備え、該プライマ塗膜厚を0.05〜5μmにしたことを特徴とする粘着シート。
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