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JP3659664B2 - 医療用チューブ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば血管拡張用カテーテル、血管内治療診断用カテーテル等のカテーテルを製造するのに好適に用いられる医療用チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
カテーテルは体腔または管状器官より体液や薬剤の排出、注入のために使用される器具であった。近年、カテーテルの高機能化が進み、例えば、血管の狭窄部を拡張する経皮的経管的血管形成術(Percutaneous Transluminal Angioplasty ;PTA)に用いられる血管拡張用カテーテル、導尿と膀胱温測定を同時に行える温度センサー付き導尿バルーンカテーテル、心臓の内部に留置し心拍出量測定に用いられるサーモダイリューションカテーテル、動注療法等で使用される、薬剤を目的部位に注入して治療を行うための薬剤注入治療用カテーテル、血管造影を行うための造影剤を注入する血管造影用カテーテル、脳血管等に見られる動脈瘤や動静脈奇形腫瘍に、シアノアクリレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体のジメチルスルホキシド溶液等の液状の塞栓物質や、ポリビニルアルコール樹脂の顆粒等の粒状の塞栓物質、または、コイルなどの塞栓部材を注入する塞栓術に用いられる塞栓術用カテーテル等の応用がなされている。これらのカテーテルは上記以外にも種々の応用が試みられている。
【0003】
これまで、心臓や脳の手術では開胸・開頭等を必要とする大がかりな手術が必要で、手術そのものよりも、むしろ術後の回復が良好か否かが手術の成否の鍵を握っていた。上記したカテーテルを用いた手技では、開胸・開腹・開頭等人体を切開することなしに、肉体的侵虐性の低い診断・治療が可能である。また、大がかりな手術を必要としないため、例えば、患者の術中・術後の苦痛の低減、術後の早期回復・早期社会復帰、肉体的損傷が少ない、精神的負担が少ない、経済的負担の軽減等の利点を有している。今後、カテーテルを用いた診断・治療法はますます発展するものと考えられる。
【0004】
上記のような高機能カテーテルの本体である医療用チューブには、可撓性が高く、かつ壁厚が出来るだけ薄いことが要求される。つまり、体内への挿入性を向上させるためチューブの外径はなるべく細く、流体を流す内孔はできるだけ大きくすることが望まれている。しかしながら、壁厚を薄くすることと、容易につぶれにくくすることとは相反する。一般的に、壁厚の薄いチューブは折れ易く(耐キンク性が悪い)、つぶれ易く(チューブ外側から加えられる外圧に弱い、すなわち外側の耐圧性が不足している)、破裂し易い(チューブ内側から加えられる外圧に弱い、すなわち内側の耐圧性が不足している)ことが知られている。
【0005】
他方、体腔または管状器官に挿入して使用されるカテーテルには、細く複雑なパターンの血管系に適用する場合であっても、迅速かつ確実な選択性をもって挿入し得るような操作性が要求される。高い操作性を有するには、以下の点を満足することが必要である。第1は、血管内を挿通させるために術者の押し込む力がカテーテルの基端側から先端側に確実に伝達され得ること、いわゆる押し込み性を有することである。第2は、カテーテルの基端側にて加えられた回転力が先端側に確実に伝達され得ること、いわゆるトルク伝達性を有することである。第3は、曲がった血管内を予め挿入されたガイドワイヤーに沿って円滑にかつ血管内壁を損傷することなく進み得ること、いわゆる追随性(以下、「ガイドワイヤーに対する追随性」または単に「追従性」という)を有することである。第4は、上記でも触れたが、目的とする所までカテーテル先端が到達し、ガイドワイヤーを引き抜いた後でも、血管の湾曲、屈曲した部位でカテーテルに折れ曲がりが生じないこと、いわゆる耐キンク性を有することである。
【0006】
このような要求から、補強材を用いた医療用チューブが提案されている。例えば、特開昭58−38565号公報や特開昭60−126170号公報には、いわゆる「強化型」と呼ばれる、ブレード入りあるいはコイル入りの医療用チューブとその製造方法が開示されている。これらのチューブでは、チューブに剛性を付与するため、樹脂中に補強体を埋設している。その結果、これらのチューブは非常に固く、耐圧性には優れるものの、薄肉のものは折れ易いと言う欠点がある。強化型のチューブをカテーテルに応用した例として、米国特許4,516,972号や国際出願WO88/06465号、特公平3−54592号公報、特公平4−670号公報、特公平4−44553号公報、特公平4−44554号公報、特開平2−191465号公報等があるが、カテーテルに剛性を持たせることを主目的としており、補強体をエポキシ樹脂で被覆体と接着したり、補強体に樹脂を含浸させて製造されており、上記問題点を有している。
【0007】
カテーテルのトルク伝達性、押し込み性と柔軟性を改善する目的で、つる巻きバネ体やコイルに可撓性の被覆体をかぶせたカテーテルが米国特許4,351,341号や特表平3−501089号公報、特公平4−79272号公報、特公平2−172474号公報や国際出願 WO 93/05842号等に記載されているが、これらは単一のコイルに外側シースを被覆しただけであるために、耐キンク性に優れているが、内側からの耐圧性をもたせるため壁面を厚くせざるを得ないという欠点を有している。また、このチューブでは、コイルがカテーテル内腔に露出しているため、ガイドワイヤーがコイルに引っ掛かり易い。また、また塞栓術用カテーテルにおいては、特にチューブを屈曲させた際に素線間の隙間が開くことにより、粒状の塞栓物質やコイル等の拡張部材がコイルの隙間に引っ掛かり、詰まったりする虞れがあり、慎重な操作を要している。
【0008】
特公平3−29669号公報には、互いに逆方向に巻回する多層コイルからなるトルクケーブルをカテーテルに応用した例があるが、このものも内側のシースを有しておらず、前記問題点を有している。
実公昭53−21910号公報や特開平5−15585号公報に、螺旋状に曲形した芯材の内外面を柔軟性のある内管及び外管で隙間を形成して被覆したものが提案されている。これらは、隙間の大きい単一の螺旋管状コイルの内外を被覆しただけの構造であり、柔軟性には優れるが内側および外側耐圧性やトルク伝達性、押し込み性が不十分であるため、大口径の案内管や人工心肺用フレキシブルチューブとしては十分であるが、体腔あるいは管状器官の中枢側まで挿入して使用する小口径カテーテルの本体チューブとして用いることは事実上不可能であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、種々の体腔に適用可能なカテーテルを構成するチューブに必要な性質を満足する、即ち、柔軟性および耐キンク性に優れ、薄肉であり、トルク伝達性および押し込み性に優れ、かつ内側および外側の耐圧性に優れた従来にない医療用チューブを提供することを目的とする。また、本発明は、ガイドワイヤーがカテーテル内面に引っ掛かることなく良好に挿通され得る医療用チューブを提供することを目的とする。さらに、本発明は、血管拡張用カテーテルや脳血管塞栓術用カテーテル等の、微細な体腔内に適用される小口径カテーテルを構成するのに特に好適な医療用チューブを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)ないし(13)の本発明により解決される。
(1) 開口した先端および基端を有する可撓性の管状体と、該管状体の内部に配置された補強体とを有する医療用チューブであって、
前記補強体は、少なくともその一部が、第1のコイルと、該第1のコイルと略同軸上に設けられ、該第1のコイルと逆方向に巻回する第2のコイルとからなるコイル層で構成されており、
前記コイル層は、その先端より基端に向かって所定長さにわたり、前記第1および第2のコイルのピッチ間の隙間の幅が、ほぼ全部、自由に変位し得るように配置され、前記管状体の湾曲に伴い、前記管状体に規制されることなく柔軟に湾曲し得るように構成されていることを特徴とする医療用チューブ。
【0011】
(2) 前記コイル層は前記管状体とほぼ密着している上記(1)記載の医療用チューブ。
【0012】
(3) 前記第1および第2のコイルは互いにほぼ密着して設けられている上記(1)又は(2)記載の医療用チューブ。
【0013】
(4) 前記第1および第2のコイルは、それぞれほぼ密着巻きに巻回している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0014】
(5) 前記第1および第2のコイルは平板コイルである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0015】
(6) 前記コイル層は、さらに前記第1および第2のコイルと略同軸上に設けられた1以上のコイルを有し、該コイル層の全てのコイルは、ピッチ間の隙間の幅が自由に変位できるように設けられている(1)〜(5)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0016】
(7) 前記コイル層の全コイルは、隣接するコイルが互いに逆方向に巻回して構成されている(6)記載の医療用チューブ。
【0017】
(8) 可撓性を有する内層と、該内層の外側に被着した補強層と、該補強層の外側に被着した可撓性を有する外層とを有する医療用チューブであって、
前記補強体は、少なくともその一部が、第1のコイルと、該第1のコイルと略同軸上に設けられ、該第1のコイルと逆方向に巻回し、かつ該第1のコイルに実質的に固定されてない第2のコイルとからなるコイル層で構成されており、
前記コイル層は、その先端より基端に向かって所定長さにわたり、前記第1および第2のコイルのピッチ間の隙間の幅が、ほぼ全部、自由に変位し得るように配置され、前記内層および前記外層の湾曲に伴い、前記内層および前記外層に規制されることなく柔軟に湾曲し得るように構成されていることを特徴とする医療用チューブ。
【0018】
(9) 前記医療用チューブの前記先端付近は、柔軟な材質で構成され、前記コイル層が配置されてない、最も柔軟な最先端部を有する上記(1)〜(8)のいずれかに記載の医療用チューブ。
【0019】
(10) 体腔内に挿入されるチューブ本体を有し、該チューブ本体が上記(1)〜(9)のいずれかに記載の医療用チューブより構成されていることを特徴とする脳血管塞栓術用カテーテル。
【0020】
(11) 体腔内に挿入されるチューブ本体と、該チューブ本体内に形成された少なくとも1つのルーメンと、前記チューブ本体の先端部に設けられ、該ルーメンと連通する内部空間を有する拡張体とを有し、前記チューブ本体が上記(1)〜(9)のいずれかに記載の医療用チューブより構成されていることを特徴とする血管拡張用カテーテル。
【0021】
(12) 先端が開口している第一のルーメンを有する内管と、該内管と同軸的に設けられ、該内管の先端より所定長後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間に第二のルーメンを形成する外管と、先端部および基端部を有し、該基端部が前記外管に取り付けられ、該先端部が前記内管に取り付けられ、該基端部付近にて前記第二のルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と、該内管の基端部に設けられた前記第一のルーメンと連通する第一の開口部と、前記外管の基端部に設けられた前記第二のルーメンと連通する第二の開口部とを有するバルーンカテーテルであって、
前記内管および前記外管の少なくとも一方が上記(1)〜(9)のいずれかに記載の医療用チューブより構成されていることを特徴とする血管拡張用カテーテル。
【0022】
(13) 上記(10)記載の脳血管塞栓術用カテーテルと、金属弾性芯材とその表面に被覆されたプラスチック被覆材と、該被覆材表面に固定された親水性潤滑層とからなるガイドワイヤーから構成されているカテーテル器具。
【0023】
(14) 上記(11)又は(12)記載の血管拡張用カテーテルと、金属弾性芯材とその表面に被覆されたプラスチック被覆材と、該被覆材表面に固定された親水性潤滑層とからなり、前記内管に挿入され得るガイドワイヤーとから構成されているカテーテル器具。
【0024】
本発明の医療用チューブは、補強体の少なくとも一部が前記のコイル層で構成され、その構成により、少なくとも先端部が柔軟で、あらゆる方向に自由に曲がることができ、かつ耐キンク性を有する。コイル体あるいはバネ性を持ったつる巻き体は、そのピッチ間の隙間が自由に広がりかつ狭まり可能(自由に変位可能)であることにより、柔軟性に富む。可撓性の管状体、あるいは可撓性の内層および外層とコイル層とは密着していることが好ましいが、コイル層を前記管状体あるいは前記内層および前記外層へ接着したり、あるいは上記隙間が埋まるように埋設することはコイル層の柔軟性(可撓性)を損なう。したがって、コイル層は、その先端より基端に向かって所定長さにわたり、実質的に接着せず、かつ埋設しないことが好ましい。
【0025】
本発明の医療用チューブは、可撓性の管状体の内部に前記コイル層を配置する構造、言い換えれば、可撓性の内層および外層の間に前記コイル層を配置する構造により、チューブの壁厚を薄くでき、かつ耐圧性に富む。巻きのピッチ間に隙間を有するコイル層のみでは液体等を流す事は不可能であるが、コイル層の内外を被覆する管状体あるいは内層および外層を設けることで、流体やガイドワイヤー、上記塞栓物質等の通過を容易にする。これらの管状体あるいは内層および外層の、コイルと反対側から加わる圧に対する耐圧性が向上するのは、これらがコイルにより裏側から支持されるためである。この耐圧性は、ピッチ間の隙間が小さい、すなわちコイルの巻きが密になるほど高くなり、また管状体または内層外層の肉厚や素材に依存しない。従って、医療用チューブ全体の薄肉化を行っても耐圧性に影響しない。
【0026】
【発明の構成】
以下、本発明の構成を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の医療用チューブの構成例を示す平面図、図2は、図1に示す医療用チューブの先端部付近の部分破断拡大斜視図、図3は、図1に示す医療用チューブの構成を示す部分拡大断面図、図4は、図1のI−I線における拡大横断面図である。なお、以下、図1ないし図3における右側を「先端」、左側を「基端」とする。
【0027】
図1に示す医療用チューブ1は、可撓性を有する管状体2より構成されている。管状体2は、基端より順に、基部11または本体部11と、先端部12とから構成されており、その基端から先端にかけて内部にルーメン14が形成されている。図示の例では、基部11の先端側は、基端側より先端に向かって内径および外径がテーパ状に漸減するテーパ部13が形成されており、これにより、先端部12は基部11よりも細径となっている。
このように、医療用チューブ1の径を基部11よりも先端部12で細くすることにより、先端側を比較的柔軟に、かつ、基端側を比較的硬くでき、押し込み性や、ガイドワイヤーに対する追随性を向上することができる。また、基部11の内径を先端部12よりも広くすることにより、チューブ1内に挿入されたガイドワイヤーがスムーズに動き易くなり、ガイドワイヤーの操作性が向上する。なお、本発明において、医療用チューブ1の内径および外径は、それぞれ上記構成に限定されず、例えば、チューブ1の全長にわたりほぼ一定であってもよい。
【0028】
図2に示すように、管状体2は、内層21および外層22とから構成されている。内層21および外層22は、可撓性を有する合成樹脂製の薄肉のチューブからなり、ほぼ同軸上に配置されて、医療用チューブ1の基端より先端まで延設し、その先端および基端から所定長さにかけて例えば接着、融着等により接合している。そして、内層21の内部の空間が、上記ルーメン14を形成する。また、内層21および外層22は、その先端と基端との間において所定長さにわたり、基端から先端に向かって内径および外径がテーパ状に漸減し、上記テーパ部13を構成している。また、このテーパの部分より先端側では、内層21および外層22はそれぞれ内径および外径がほぼ一定となっており、上記先端部12を構成している。また、この部分より基端側においても、内層21および外層22はそれぞれ内径および外径がほぼ一定となっており、このテーパの部分も含んで上記基部11を構成している。
【0029】
管状体2の構成材料、言い換えれば内層21および外層22の構成材料としては、ある程度の可撓性を有する材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレン等の変性ポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリウレタン等の各種可撓性を有する樹脂、さらに、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、天然ゴムのようなゴム材料、および、これらの材料のブレンド物等が挙げられる。また、上記樹脂およびエラストマーは、熱可塑性であることが好ましく、熱可塑性であれば、医療用チューブ1の製造が容易である。
【0030】
なお、内層21と外層22は、必ずしも同一の材料で構成される必要はなく、さらに、これらの材料にX線不透過物質や可塑剤、顔料等を混合しても何ら差し支えない。
特に、内層21の構成材料としては、成形のし易さ、後述するコイル層4への挿入のし易さ及び耐薬品性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂が特に好ましい。
【0031】
また、外層22は、後述するコイル層4への被覆を行い易いため、溶媒膨潤性の樹脂チューブや熱収縮性の樹脂チューブで構成するのが好ましい。
上記溶媒膨潤性の樹脂としては、例えば上記変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン等が挙げられる。特に、内層21との接着や融着の観点から、変性ポリオレフィンが好ましく、変性ポリオレフィンの中でもポリエチレンを主成分とした変性ポリエチレンが好ましい。この変性ポリエチレンとしては、エチレンと、例えばアクリル酸エチルエステル、無水マレイン酸等を原料とした共重合体からなる接着性樹脂が特に好ましい性質を有する。この樹脂で構成したチューブは、THF等の溶媒ですばやく膨潤してチューブの内外径が拡大し、風乾等で溶媒を除去することにより確実に元の形状に回復するので、この樹脂で外層22を構成すれば、後述のコイル層3に容易かつ確実に被覆かつ密着させることができる。
また、上記熱収縮性の樹脂としては、電子線架橋したポリオレフィンや架橋シリコン、形状記憶樹脂等の樹脂チューブが好適に使用できる。これらのチューブは熱により収縮させることができるので、これらのチューブで外層22を構成することにより、後述するコイル層3の挿入および密着が容易となる。
【0032】
図2ないし図4に示すように、管状体2の内部、すなわち、内層21と外層22との間には、医療用チューブ1の強度を補強する補強体としての役割をもつコイル層3が配置されている。言い換えれば、内層21の外側に、医療用チューブ1の強度を補強する補強体としての役割をもつコイル層3が被着し、さらにコイル層3の外側に、外層22が被着した構造をなしている。図2に示すコイル層3は、内層21の外周面上に巻回する第1のコイル31と、この第1のコイル31と略同軸上に設けられ、第1のコイル31と密着し、第1のコイル31と逆方向に巻回する第2のコイル32とから構成されている。コイル層3は、長尺のチューブ状の形状をなし、その外周面および内周面が、管状体2、言い換えれば内層21および外層22と接した状態でチューブ1内に配置されている。
【0033】
チューブ1の先端付近には、コイル層3の配置されてない最先端部16が形成されている。コイル層3は、管状体2、すなわち内層21と外層22の先端よりやや後退した位置から基端方向に延設しており、このコイル層3よりも先端側が、内層21および外層22からなる最先端部16となっている。最先端部16は、コイル層3が配置されてないため、この最先端部16より基端側の部分に比べ柔軟である。したがって、チューブ1を血管内に挿入した際にその血管に与える刺激を低減できる。また、コイル層3が管状体2、すなわち内層21と外層22の先端から突出しないため、その突出部分により、体腔や管状器官等に挿入した際に該体腔や管状器官を損傷する虞れがなく好ましい。
なお、最先端部16の長さ、すなわちコイル層3の先端から管状体2あるいは内層21および外層22の先端までの距離は、10mm程度以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm程度である。
【0034】
医療用チューブ1におけるコイル層3の配置位置は、特に限定されないが、医療用チューブ1の基端より、チューブ1の先端付近まで延設して配置されるのが好ましい。このように、コイル層3をチューブ1の全長にわたって配置することにより、基部11に与えたトルクや押し込み力をコイル層3を介してチューブ1の先端付近まで良好に伝達できる。図示の例では、チューブ1の基端付近において、コイル層3は、管状体2、すなわち内層21と外層22の基端より若干離間した位置に基端を有しており、医療用チューブ1のほぼ全長にわたってコイル層3が設けられた構造となっている。
【0035】
そして、医療用チューブ1は、内層21の内側、すなわちルーメン14より、高い圧力が内層21に加わっても、内層21は第1のコイル31により反対側から支持され、内層21の厚さに関係なく、内層21単体の場合に比べて高い耐圧性を発揮する。また、外層22の外側より、高い圧力が外層22に加わっても、外層22は第2のコイル32により反対側から支持され、外層22の厚さに関係なく、外層22単体の場合に比べて高い耐圧性を発揮する。したがって、この医療用チューブ1は内側および外側の耐圧性に優れており、チューブ1の内部、または外部より高い圧力がチューブ1に加わっても、チューブ1のつぶれや、破裂が生じ難い。
【0036】
このような作用を良好に発揮するには、コイル層3は、管状体2、あるいは内層21および外層22に密着していることが好ましい。言い換えれば、第1のコイル31は、管状体2あるいは内層21と密着していることが好ましく、また、第2のコイル32は、管状体2あるいは外層22と密着していることが好ましい。なお、第1のコイル層31および第2のコイル層32は、その全長にわたって、内層21あるいは外層22と密着していてもよいが、少なくともその一部、例えば、上記先端部12においてのみ、所定長さにわたって密着していてもよい。また、第1のコイル層31および第2のコイル層32を、内層21あるいは外層22に密着させることにより、医療用チューブ1の肉厚を薄くできるため、チューブ1の細径化を良好に図ることができる。さらに、密着により、医療用チューブ1の基部11でのトルクや押し込み力を、チューブ1の先端付近まで確実に伝達することができる。
【0037】
図示の例では、第1のコイル31と第2のコイル32は、その先端と基端との間において所定長さにわたり、基端から先端に向かって内径および外径が漸減し、上記テーパ部13を構成している。また、このテーパの部分より先端側では、コイル31、32はそれぞれ内径および外径がほぼ一定となっており、上記先端部12を構成している。また、この部分より基端側においても、コイル31、32はそれぞれ内径および外径がほぼ一定となっており、このテーパの部分も含んで上記基部11を構成している。
【0038】
図3に示すように、第1のコイル31は、長方形の横断面形状を有する5本の平板状の素線31a、31b、31c、31dないし31eを一組とした束31Aを、医療用チューブ1の先端方向に向かって右巻きに巻回して構成されている。また、第2のコイル32は、上記と同様に長方形の横断面形状を有する5本の平板状の素線32a、32b、32c、32dないし32eを一組とした束32Aを、医療用チューブ1の先端方向に向かって、第1のコイル31と逆方向、すなわち左巻きに巻回して構成されている。
【0039】
これらの素線31a〜eおよび素線32a〜eは、それぞれ、上記の束31A、32Aにおける素線間の隙間の幅xがゼロに近い方が好ましい。上記幅xがゼロに近いほど、素線31a〜eないし素線32a〜eが密着するため、内層21および外層22を支持するのに有利となる。換言すれば、幅xが大きいほど、内層21および外層22が素線31a〜eないし素線32a〜eの間の隙間に落ち込み、微小な破れを生じる虞れが高くなる。
【0040】
また、第1のコイル31および第2のコイル32は、それぞれ、ピッチ間の隙間の幅(図示の例では、束31A、32Aのピッチ間の隙間の幅)yが、素線31a〜eおよび素線32a〜eの幅zよりも小さいことが好ましく、幅zの30%以下程度とするのがより好ましく、さらに、ゼロに近い程、すなわちコイル31、32が密着に巻かれているほど好ましい。このようにすることにより、コイル31の素線31a〜eがコイル32の隙間から飛び出ることを防止でき、また、コイル32の素線32a〜eがコイル31の隙間に落ち込むことを防止できる。
また、第1のコイル31および第2のコイル32の厚みtは、それぞれ、0.005〜0.1mm程度、より好ましくは0.005〜0.05mm程度が好ましい。
【0041】
なお、第1のコイル31および第2のコイル32の横断面形状は、図示の長方形に限定されず、例えば円形、楕円形、三角形、正方形や平行四辺形、五角形以上の多角形などであってもよい。しかしながら、コイル31、32は、素線31a〜e、32a〜eが平板状をなす平板コイルであることが好ましい。平板コイルとすることにより、コイル層3の薄肉化を効果的に図ることができ、また、コイル31、32を容易に密着に巻くことができる。
また、第1のコイル31および第2のコイル32は互いに密着していることが好ましい。密着させることにより、医療用チューブ1の肉厚を薄くできるためチューブの細径化が図れ、また、医療用チューブ1の基部11に与えたトルクおよび押し込み力を、コイル31、32を介してチューブ1の先端付近まで確実に伝えることができる。
【0042】
そして、コイル層3は、少なくとも、その先端より基端に向かって所定長さにわたり(言い換えれば、コイル層3の先端側部分において)、第1のコイル31および第2のコイル32のピッチ間の隙間の幅yが、ほぼ全部、自由に変位できるように配置され、管状体2(内層21および外層22)に規制されることなく柔軟に湾曲し得るように構成されている。これにより、コイル層3は、ピッチ間の隙間のほぼ全部の幅yが自由に広がったり、狭まったりでき、管状体2の湾曲を妨げることなく、非常に柔軟に湾曲することができる。
【0043】
具体的には、第1のコイル31は、少なくとも、その先端より基端に向かって所定長さにわたり、内層21に固着されてなく、かつ、そのピッチ間の隙間のほぼ全てが埋まるように埋設されていない。そして、このピッチ間の隙間のほぼ全部が、内層21を構成する樹脂等の材料や、接着剤等が実質的に流入しておらず、空隙となっている。また、第2のコイル32についても同様に、少なくとも、その先端より基端に向かって所定長さにわたり、外層22に固着されてなく、かつ、そのピッチ間の隙間のほぼ全てが埋まるように埋設されておらず、上記ピッチ間の隙間のほぼ全部に、外層22を構成する樹脂等の材料や、接着剤等が実質的に流入しておらず、空隙となっている。このように構成された第1および第2のコイル31、32は、内層21および外層22の湾曲に伴って、ピッチ間の隙間のほぼ全部の幅yが自由に広がったり、狭まったりでき、非常に柔軟に湾曲することができる。
【0044】
なお、本発明において「コイルのピッチ間の隙間の幅が自由に変位し得る」とは、コイル本来の柔軟性を実質的に損なうことなく、ピッチ間の隙間の幅yが自由に広がりかつ狭まり可能(変位可能)であることを言う。
【0045】
コイル層3は、上記先端側部分において、ピッチ間の隙間の全部が自由に変位し得るのが好ましいが、実質的にこの部分の柔軟な湾曲が妨げられない程度であれば、その一部に、上記隙間に例えば接着剤や樹脂材料等が流入し、自由に変位できない領域が形成されていてもよい。そのような領域は、コイル層3の上記先端側部分の全長に比べて十分に短い長さ(例えば、上記先端側部分の全長の10%以下)とされる。なお、この領域は、コイル層3の先端側部分の2箇所以上に分散して設けられていてもよいが、1箇所とするのが好ましく、2箇所以上の場合は、できるだけ接近しているのが好ましい。
【0046】
また、図示のように、コイル層3を管状体2の基端付近まで設ける場合は、カテーテルの押し込み性を向上するため、コイル層3の基部側のある一定の長さにわたって接着剤を含浸させ、硬くしてもよい。この場合、コイル層3全体に接着剤を含浸させると、コイル層3の柔軟性が失われるため、医療用チューブ1の基部側のみに含浸させることとし、具体的には、医療用チューブ1の基端より、医療用チューブ1の全長に対して5〜50%程度、より好ましくは、10〜40%程度、さらに好ましくは20〜30%程度の長さにわたって含浸することが好ましい。
【0047】
このように構成された医療用チューブ1は、柔軟性に富み、かつ、適度な剛性を備えている。
また、コイル層3と内層21および外層22の間に、コイル層3の滑りを良くするために、シリコーンオイル等の潤滑剤を塗布してもよい。このようにすれば、コイル層3が内層21および外層22に引っ掛かることなく、さらに柔軟に湾曲することができる。
【0048】
第1のコイル31および第2のコイル32を構成する素線31a〜eおよび素線32a〜eの構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、タングステン、アルミニウム、Ni−Ti合金、真鍮等の金属材料や、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド等の剛性の高い樹脂材料、PAN系、ピッチ系、ナフタレン系、カーボンファイバーおよびそれらのプリプレグ等の炭素繊維、セラミックス等が使用できるが、医療用として安全性の高い材料が好ましく、特に、形状付けの焼き入れが可能なSUS304等のステンレス鋼が好ましい。
【0049】
このような構成材料より、素線31a〜eおよび32a〜eをその肉厚や幅等の寸法を適宜選択して成形し、これらを所定のピッチで巻回することにより、図2に示すコイル層3が得られる。コイル層3の製造は、例えば、棒状の芯材に沿って素線31a〜eを螺旋状に(図示の例では、先端に向かって右巻き方向に)巻き付け、続いて、素線32a〜eを素線31a〜eと逆方向(図示の例では、先端に向かって左巻き方向に)に重ねて巻き付け、その後、上記芯材を抜去することにより行うことができる。
【0050】
上記医療用チューブ1の寸法としては、その用途により異なるが、長さは200〜2000mm、好ましくは1000〜2000mmで、外径は0.35〜4.3mm、好ましくは0.40〜2.00mmで、内径は0.25〜4.00mm、好ましくは0.30〜1.80mmである。また、医療用チューブ1の管壁の厚さ(肉厚)は、薄い方が好ましいが、チューブ1の肉厚をTとし、チューブ1の内径をSとしたとき、この肉厚Tを内径Sで割った値(肉厚内径比)が、T/S=0.05〜0.50の範囲であることが好ましく、さらに0.07〜0.326であることが好ましい。この値が0.05を下回ると、内径Sに対して肉厚Tが薄くなりすぎ、医療用チューブ1の強度が著しく低下する。また、0.50を上回ると、肉厚Tおよびそれに付随してチューブの外径が増大しすぎ好ましくない。
【0051】
図示の例では、第1のコイル31を右巻き、第2のコイル32を左巻きとし、それぞれ、5本の素線を一組として構成したが、本発明においては、コイル31、32の右巻き、左巻きの順序や、束とする素線の本数は自由であり、また、上記の幅xや幅yが、医療用チューブ1の部位によって異なっていてもよい。例えば、上記幅xまたは幅yを、先端に向かって大きく、言い換えれば、基端に向かって上記幅xまた幅yを小さくすることにより、コイル31、32が先端に近いほど柔軟に曲がり易く、かつ基端に近いほど曲がり難くなり、先端付近の柔軟性が良好でかつトルク伝達性や押し込み性にも優れた医療用チューブを得ることができる。また、第1のコイル31、第2のコイル32の幅zは、医療用チューブ1の全長にわたって一定でも、あるいは部位によって異なっていてもよい。例えば、先端に向かって幅zを小さく、言い換えれば、基端に向かって幅zを大きくすることにより、コイル31、32が先端に近いほど柔軟に曲がり易く、かつ基端に近いほど曲がり難くなり、先端付近の柔軟性が良好でかつトルク伝達性や押し込み性にも優れた医療用チューブを得ることができる。
【0052】
図5は、本発明の医療用チューブの他の構成例の先端部付近を示す部分破断拡大斜視図である。なお、図1ないし図4に示す例と同様の構成については、同一の符号を付して説明は省略する。
【0053】
図5に示す医療用チューブ10は、上記医療用チューブ1とほぼ同様の構成であるが、柔軟性の高い材質で形成された先端ソフトチップ15を有し、このチップ15と、コイル層3が配置されてない管状体2(内層21および外層22)の先端付近の部分とから最先端部160が構成されている点で異なっている。チップ15は、短筒状に形成され、その内腔がルーメン14と連通するように、管状体2、言い換えれば内層21および外層22の先端に接着等により接合されている。このように構成すれば、医療用チューブ10の最先端部160は、コイル層3が配置された部分に比べて柔軟性が高くなるため、血管等に挿入した際にその血管等に与える刺激を低減できる。
【0054】
先端ソフトチップ15の構成材料としては、柔軟性を有していればよく、例えば、ポリウレタン、塩化ビニル−ウレタン共重合体、シリコーンRTVゴム等を用いることができる。また、チップ15の長さは0.5〜30mm、好ましくは2〜15mm程度である。
【0055】
以上、コイル層が二層構造をなす構成例について説明したが、本発明では、コイル層は3以上のコイルが略同軸上に配置されてなる三層以上の構造であってもよい。なお、この場合、各コイルは、隣り合うコイルが逆向きに巻回することが好ましい。また、本発明におけるコイル層は、その全長にわたって同一の層数とする必要はなく、例えば、一層の部分を医療用チューブの所々に設けても、また二層の部分、三層の部分をチューブの所々に設けてもよい。
【0056】
また、図示の例では、コイル層3を医療用チューブ1のほぼ全体にわたって配置し、医療用チューブ1をそのほぼ全体にわたって補強するように形成したが、本発明の医療用チューブでは、その一部において、補強体として上記コイル層以外のもの、例えば、剛性の高い部材からなるチューブあるいは管体を配置し、このようなものと上記コイル層とを合わせて、補強体を構成してもよい。しかしながら、上記コイル層のみで補強体を構成し、このコイル層を除いては比較的可撓性(柔軟性)の高い材料で医療用チューブを構成することにより、適度な柔軟性および剛性(硬さ)を備え、耐キンク性も良好で、トルク伝達性および押し込み性にも優れ、ガイドワイヤーの使用によりこのガイドワイヤーに追随して体腔内に良好に挿入でき、かつ、耐圧性にも優れた医療用チューブを得ることができる。
【0057】
また、本発明において、コイル層は医療用チューブの全長にわたって配置されたものに限定されるものではなく、例えば、医療用チューブ1の途中においてコイル層3を配置しない構成や、チューブ1の先端部12にのみコイル層3を配置する構成としてもよい。しかしながら、医療用チューブのほぼ全長にわたってコイル層を配置すれば、基部11において与えたトルクおよび押し込み力をコイル層を介して医療用チューブの先端付近まで良好に伝達できる。
【0058】
また、本発明では、管状体2、あるいは外層22の外面が、親水性(または水溶性)高分子物質で覆われている(図示せず)ことが好ましい。これにより、管状体2、あるいは外層22の外面が血液または生理食塩水等に接触したときに、摩擦係数が減少して潤滑性が付与され、医療用チューブ1の摺動性が一段と向上し、その結果、押し込み性、追従性、耐キンク性が一段と高まる。さらに、内層21の内面にも、上記親水性高分子物質やシリコーンオイル、油脂等による潤滑化を行うと、チューブ1内に挿入されたガイドワイヤーがチューブ1内で動き易くなり、ガイドワイヤの操作性が向上する。
【0059】
前記親水性高分子物質としては、以下のような天然または合成の高分子物質、あるいはその誘導体が挙げられる。
<天然高分子物質>
1)デンプン系
例:カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン
2)セルロース系
例:CMC(カルボキシメチルセルロース)、MC(メチルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)
3)タンニン、ニグニン系
例:タンニン、ニグニン
4)多糖類系
例:アルギン酸、アラビアゴム、グアーガム、トラガントガム、タマリント種
5)タンパク質
例:ゼラチン、カゼイン、にかわ、コラーゲン
【0060】
<合成水溶性高分子>
1)PVA系
例:ポリビニルアルコール
2)ポリエチレンオキサイド系
例:ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール
3)アクリル酸系
例:ポリアクリル酸ソーダ
4)無水マレイン酸系
例:メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体
5)フタル酸系
例:ポリヒドロキシエチルフタル酸エステル
6)水溶性ポリエステル
例:ポリジメチルロールプロピオン酸エステル
7)ケトンアルデヒド樹脂
例:メチルイソプロピルケトンホルムアルデヒド樹脂
8)アクリルアミド系
例:ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド
9)ポリビニルピロリドン系
例:PVP
10)ポリアミン系
例:ポリエチレンイミン
11)ポリ電解質
例:ポリスチレンスルホネート
12)その他
例:水溶性ナイロン、P(GMA−DMAA)ブロック共重合体(ポリ(グリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド)ブロック共重合体)
【0061】
これらのうちでも、特に、セルロース系高分子物質(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド系高分子物質(ポリエチレングリコール)、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド)、水溶性ナイロン(例えば、東レ社製のAQ−ナイロン P−70)、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド共重合体は、低い摩擦係数が安定的に得られるため好ましい。そのうち、特に、親水性化合物ブロックと疎水性化合物ブロックとからなるブロック共重合体であるポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド共重合体は、親水性化合物(ポリジメチルアクリルアミド)が水膨潤性化合物であるので潤滑性に優れ、かつ親水性/疎水性のミクロドメイン構造をなしているため、抗血栓性も期待できる。
【0062】
また、上記高分子物質の誘導体としては、水溶性のものに限定されず、上記水溶性高分子物質を基本構成としていれば、特に制限はなく、不溶化されたものであっても、分子鎖に自由度があり、かつ含水するものであればよい。
例えば、上記高分子物質の縮合、付加、置換、酸化、還元反応等で得られるエステル化物、塩、アミド化物、無水物、ハロゲン化物、エーテル化物、加水分解物、アセタール化物、ホルマール化物、アルキロール化物、4級化物、ジアゾ化物、ヒドラジド化物、スルホン化物、ニトロ化物、イオンコンプレックス;
ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基、反応性官能基を2個以上有する物質との架橋物;
ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸、ジエン化合物、無水マレイン酸等との共重合体等が挙げられる。
【0063】
このような、親水性高分子物質の被覆層を管状体2、あるいは外層22の外面に固定するには、この表面に存在または導入された反応性官能基と共有結合させることにより行うことが好ましい。これにより、持続的な潤滑性表面を得ることができる。
管状体2、あるいは外層22の中または表面に存在しまたは導入される反応性官能基は、前記高分子物質と反応し、結合あるいは架橋して固定するものであればいかなるものでもよく、ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基等が挙げられ、特にイソシアネート基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基が好適である。
【0064】
上記親水性高分子物質の平均分子量は、特に限定されないが、3〜500万程度のものが好ましい。これにより、潤滑性が高く、適度な厚さでかつ含水時における膨潤度が適度である潤滑層が得られる。
このような親水性高分子物質による潤滑層の厚さは特に限定されないが、0.1〜100μm程度、特に1〜30μm程度とすることが好ましい。
なお、上記親水性高分子物質の組成や被覆方法については、例えば、特開昭53−106778号、米国特許第4100309号、特開昭60−259269号、特公平1−33181号に記載されているようなものを適用することができる。
【0065】
また、本発明では、管状体2、あるいは外層22の外面に、さらに高い生体適合性を付与する処理を施すことが好ましい。生体適合性としては、抗血栓性が必要であり、抗血栓性付与としては種々の公知の手法が挙げられるが、ヘパリン溶液のコーティングやヘパリンボンディングにより、上記外面にヘパリンを固定することが好ましい。さらに、管状体2、あるいは外層22の構成材料に血栓溶解剤を混合して押出成形してチューブを形成すれば、血管内に挿入して使用する際に血栓溶解剤が徐放されるため好ましい。
【0066】
図6は、本発明の脳血管塞栓術用カテーテルの構成例を示す平面図である。以下、図面に基づき、本発明の脳血管治療用カテーテルについて説明する。なお、図1ないし図4に示す構成例と同様の構成については同一の符号を付して説明は省略する。
本発明の脳血管治療用カテーテル4は、図1ないし図4に示す医療用チューブ1と、チューブ1の基端付近の外周回りに装着した補強用チューブ41と、医療用チューブ1および補強用チューブ41の基端付近に装着したハブ42と、医療用チューブ1の先端に接合した先端ソフトチップ43と、造影用マーカー44とから構成されている。
【0067】
補強用チューブ41は、例えば、熱収縮性を有するものにて、熱収縮後の内径がチューブ1の基端付近の外径より若干小さくなるように形成し、熱収縮性を有するチューブ51をチューブ1の基端付近に被嵌し、加熱(例えば、熱風を当てる)して収縮させることにより容易に取り付けることができる。また、ハブ42は、チューブ1のルーメン14と連通する内腔およびこの内腔と外部とを連通する開口部を有し、ルーメン14内への薬液や塞栓物質等の注入口およびガイウドワイヤーの挿入口として機能し、また、脳血管治療用カテーテル4を操作する際の把持部として機能する。
【0068】
先端ソフトチップ43は、上記したチップ15と同様の柔軟性の高い材質から構成されている。そして、チップ43は、短筒状に形成され、その内腔がチューブ1のルーメン14と連通するように、接着等によりチューブ1の先端に固着、接合されている。また、造影用マーカー44は、プラチナ製の線材をチップ53の外面にコイル状に巻き付けて構成されている。なお、マーカー44は、管状体2、または内層21と外層22の間、あるいは先端ソフトチップ43内に埋設してもよく、そのような構造とすれば、チップ44がカテーテル外面に突出しないため段差が形成されず、血管への刺激が低減される。チップ43の長さは0.5〜30mm程度、好ましくは2〜15mm程度である。
【0069】
そして、脳血管塞栓術用カテーテル4は、脳血管へ挿入されるチューブ本体として、上記医療用チューブ1により構成されているため、柔軟で耐キンク性に富む。また、内側の耐圧性および外側の耐圧性も非常に優れており、肉厚を薄くしても潰れ難く、微細で複雑に分岐、屈曲する血管内においてもガイドワイヤーに沿って良好に挿入でき、粘度の高い造影剤や塞栓物質を多量に流し込む等によりカテーテル4の内側に高い圧が加わっても破裂し難い。
【0070】
脳血管塞栓術用カテーテル4の寸法は、長さは1000〜2000mm程度、好ましくは1300〜1700mm程度であり、外径は0.3〜3mm程度、好ましくは0.4〜1.0mm程度であり、内径は0.20〜0.70mm程度、好ましくは0.3〜0.7mm程度であり、肉厚は0.04〜0.15mm程度、好ましくは0.06〜0.1mm程度である。
【0071】
また、脳血管塞栓術用カテーテル4は、血管内に挿入する部分の外面、すなわち先端ソフトチップ44や医療用チューブ1の外面に、潤滑性の高分子物質の被覆や、生体適合性処理を行うことが好ましい。この、潤滑性の高分子物質の被覆や、生体適合性処理としては、上記と同様に行うことができる。なお、この潤滑性の高分子物質の被覆や生体適合性処理は、医療用チューブ1を製造する段階で行っても、また、脳血管塞栓術用カテーテル4を組み立てた後に行ってもよい。
【0072】
また、脳血管塞栓術用カテーテル4では、医療用チューブ1の一部において、コイル層3のピッチ間の隙間に接着剤や樹脂材料等を流入させて、該隙間の変位を規制してもよい。特に、チューブ1の基端から所定長さにわたる部分をこのようにすると、チューブ1の基端から所定長さにかけての硬さが増し、カテーテル4のトルク伝達性や押し込み性をより向上できる。このような構成のカテーテル4を得るには、例えば、コイル層3を形成した段階で、その隙間に接着剤等を含浸させてもよく、あるいは、医療用チューブ1を製造後、ハブ42をチューブ1に取り付ける前に、毛細管現象を利用して、チューブ1の基端に接着剤を染み込ませて行うこともできる。
【0073】
次に、上記脳血管塞栓術用カテーテル4の使用方法および作用について説明する。
まず、カテーテル4を挿通可能なルーメンを有するガイディングカテーテル(図示せず)を、大腿動脈から大動脈を経て内頸、外頸あるいは椎骨動脈まで挿入して留置する。ガイディングカテーテルの内面には、親水性コーティングがなされている。次に、金属弾性芯材とその表面に被覆されたプラスチック被覆材と、該被覆材表面に固定された親水性潤滑層とからなるガイドワイヤーや、金属弾性芯材と該芯材の先端に設けられたX線造影性コイルと、芯材表面に被覆されたフッ素系被覆材とからなるガイドワイヤーなどを挿入、セットしたカテーテル4を、上記ガイディングカテーテルのルーメンに沿わせて、ガイディングカテーテルの先端から突出させ、そして、上記ガイドワイヤーとともに目的血管まで挿入していく。途中、血管分岐に至った時には、目的血管に選択挿入するようにガイドワイヤーを先行させて、その後カテーテルを押し込む。ガイドワイヤーに沿って挿入しにくい場合は、カテーテルの手元を回転させて、その回転をカテーテル先端部まで伝達させながら押し込み、目的血管まで進める。目的血管に存在する脳動脈瘤を上流側からカテーテルの造影剤によってX線透視下で確認する。目的部位まで到達したら、脳動脈瘤内にカテーテル4の先端部11を挿入してから、ガイドワイヤーを抜去し、その後、液状や粒状、あるいは微小コイル等の塞栓物質を導入する。導入が完了したら、上記ガイディングカテーテルおよびカテーテル4を体外へ抜去し、止血して手技を終える。
【0074】
そして、本発明のカテーテル4では、上記した本発明の医療用チューブ1を部材として構成されているため、柔軟性および耐キンク性に富み、脳動脈瘤の微細で複雑に入り組んだ血管でも良好に挿入でき、ガイドワイヤーへの追随性も良好であり、複雑に湾曲・屈曲した血管でも、キンクせずにガイドワイヤーに沿って容易に進むことができる。また、トルク伝達性や押し込み性にも優れ、操作性の良好なカテーテルとなる、さらに、内側および外側の耐圧性も優れており、微細で複雑に入り組んだ血管内でガイドワイヤーがなくとも潰れ難く、液状や粒状の塞栓物質等を流し込んでも破裂する虞れが少ない。
【0075】
なお、本発明の脳血管塞栓術用カテーテルは、図示の構成に限定されるものではなく、例えば、上記先端ソフトチップ43に代えて、内層21および外層22をもっと先端側に延長して設け、補強体の役割をもつコイル層3が配置された部分よりも柔軟な最先端部を形成してもよい。このような構成においても、上記最先端部は可撓性の内層21と外層22とからなるため、非常に柔軟となり、したがって、血管等の体腔内への挿入に際して、体腔への刺激が少なく、体腔内壁に損傷を与えることも防止され、特に脳血管等の、細く複雑なパターンを有する体腔内においても迅速かつ確実な選択性をもって挿入し得るカテーテルが得られる。また、この場合、造影用マーカーを、上記最先端部の内層21と外層22との間に埋め込み配置してもよい。
【0076】
図7は、本発明の血管拡張用カテーテルの構成例を示す平面図、図8は、図7に示す血管拡張用カテーテルの先端部を示す縦断面図である。以下、図面に基づき、本発明の血管拡張用カテーテルについて説明する。なお、図1ないし図4に示す構成例と同様の構成については同一の符号を付して説明は省略する。
図7および図8に示す血管拡張用カテーテル5は、体腔内に挿入されるチューブ本体50と、チューブ本体50内に形成された少なくとも1つのルーメン511と、チューブ本体50の先端部に設けられ、ルーメン511と連通する内部空間を有する拡張体53とを有し、チューブ本体50が、図1ないし図4に示す医療用チューブ1により構成されている
【0077】
具体的には、カテーテル5は、いわゆるダブルルーメンコアキシャルタイプのガイドワイヤー可動性(オーバー・ザ・ワイヤー型)の血管拡張用カテーテルであり、チューブ本体50が、内管51および外管52とで構成されている。そして、先端が開口している第1のルーメン511を有する内管51と、内管51と同軸的に設けられ、内管51の先端より所定長後退した位置に先端を有し、内管51の外面との間に第二のルーメン521を形成する外管52と、先端部531および基端部532を有し、基端部532が外管52に取り付けられ、先端部531が内管51に取り付けられ、基端部532付近にて第二のルーメン521と連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体53と、内管51の基端部に設けられた第一のルーメン511と連通する第一の開口部581と、外管52の基端部に設けられた第二のルーメン521と連通する第二の開口部591とを有している。そして、内管51と外管52の少なくとも一方が、上記した本発明の医療用チューブより構成されている。
【0078】
図示の例では、内管51が、図1ないし図4に示す医療用チューブ1を用いて構成されており、図8に示すように、可撓性を有する管状体2と、管状体2の内部に配置された補強体としての役割を有するコイル層3とを有している。管状体2は、可撓性の内層21と可撓性の外層22とから構成されており、言い換えれば、内管51は、可撓性を有する内層21と、内層21の外側に被着した補強層としての役割を有するコイル層3と、コイル層3の外側に被着した可撓性を有する外層22とを有する構造となっている。そして、コイル層3は、第1のコイル31と、第1のコイル31と逆方向に巻回する第2のコイルとから構成されている。そして、コイル層3は、その先端より基端に向かって所定長さにわたり、第1および第2のコイル31、32のピッチ間の隙間が自由に変位できるように配置され、管状体2の湾曲に伴い、管状体2に規制されることなく柔軟に湾曲し得るようになっている。
【0079】
内管51は、先端が開口した第1のルーメン511を有している。第1のルーメン511は、ガイドワイヤーを挿入するためのルーメンであり、後述する分岐ハブ57に設けられたガイドワイヤーポートを形成する第1の開口部581と連通している。内管51としては、外径が0.40〜2.50mm、好ましくは0.55〜2.40mmであり、内径が0.25〜2.35mm、好ましくは0.30〜1.80mmである。
【0080】
外管52は、内部に内管51を挿入し、内管51と同軸的に設けられ、先端が内管51の先端よりやや後退した位置に設けられている。そして、外管52の内面と内管51の外面により、第2のルーメン521が形成されている。このように形成することにより、第2のルーメン521の横断面積を大きくとれ、十分な容積をもつルーメンとすることができる。そして、第2のルーメン521は、その先端において拡張体53とその基端部において連通し、第2のルーメン521の基端は、拡張体53を膨張させるための流体(例えば、血管造影剤)を注入するためのインジェクションポートを形成する分岐ハブ57の第2の開口部591と連通している。外管52としては、外径が0.70〜4.30mm、好ましくは0.75〜4.00mmであり、内径が0.70〜3.80mm、好ましくは0.80〜3.00mmである。
【0081】
外管52の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、シリコーンゴム、ポリテトラフルオロエチレン等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
【0082】
拡張体53は、収縮可能なものであり、拡張させない状態では、内管51の外周に折り畳まれた状態となることができるものである。そして、拡張体53は、血管の狭窄部を容易に拡張できるように、少なくとも一部が略円筒状となっているほぼ同径の略円筒部分533を有する折り畳み可能なものである。上記の略円筒部分は、完全な円筒でなくともよく、多角柱状のものであってもよい。そして、拡張体53は、その基端部532が外管52の先端部に接着あるいは熱融着等により液密に固着され、先端部531は、図8に示すように、内管51の先端部に液密に直接接着されている。この拡張体53は、拡張体53の内面と内管51の外面との間に内部空間534を形成する。この内部空間534は、基端部532ではその全周において第2のルーメン521と連通している。このように、拡張体53の基端に比較的大きい容積を有する第2のルーメン521を連通させたので、第2のルーメン521より拡張体53の内部空間534へ膨張用流体を注入することが容易である。拡張体53の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等が使用できる。好ましくは、ポリフェニレンスルフィドである。
【0083】
さらに、拡張体53は、略円筒部分533の先端側および基端側から、内管51および外管52と固着される先端部531および基端部532に至るまでの部分はテーパ状となっている。拡張体53の大きさとしては、拡張されたときの略円筒部分533の外径が1.00〜35.00mm、好ましくは1.50〜30.00mmであり、長さが10.00〜80.00mm、好ましくは15.00〜75.00mmであり、拡張体53の全長が15.00〜120.00mm、好ましくは20.00〜100.00mmである。
【0084】
また、内管51の外面であり、上記先端部531と基端部532との中間の位置には、X線不透過材料(例えば、金、白金あるいはそれらの合金等)からなるマーカー54が設けられている。このマーカー54は、X線透視下で拡張体53の位置を容易に確認可能とするためである。マーカー54の形態としては、上記の金属により形成されたリングを内管51の外面にかしめることが好ましい。これにより、明確なX線造影像を得ることができる。
【0085】
また、内管52の先端には、内管52の最先端部として、先端ソフトチップ55が固着、接合されている。先端ソフトチップ55は、短筒状に形成され、その内腔が第1のルーメン511と連通するように、接着あるいは融着等により内管51の先端に固着、接合されている。このチップ55を設けることにより、カテーテル5の先端で血管を損傷する虞れを低減できる。チップ55の構成材料としては、柔軟性を有していればよく、例えば、ポリウレタン、シリコーンRTVゴム、塩化ビニル−ウレタン共重合体、スチレン系エラストマー等を用いることができる。また、チップ55の長さは0.5〜5mm、好ましくは0.5〜3mm程度である。
【0086】
また、図7および図8に示すカテーテル5は、補強用チューブ56と、分岐ハブ57とを有している。
補強用チューブ56は、図示の例において、外管52の基端付近の外周回りに装着されている。この補強用チューブ56は、例えば、熱収縮性を有するものにて、熱収縮後の内径が外管52の基端付近の外径より若干小さくなるように形成し、熱収縮性を有するチューブ56を外管52の基端付近に被嵌し、加熱(例えば、熱風を当てる)させて収縮させることにより容易に取り付けることができる。なお、補強用チューブとしては、上記のものに限定されず、例えば、内管51にも上記補強用チューブ56と同様のチューブを設けてもよい。
【0087】
分岐ハブ57は、第1のルーメン511と連通してガイドワイヤーポートを形成する第1の開口部581を有し、内管51に固着された内管ハブ58と、第2のルーメン521と連通してインジェクションポートを形成する第2の開口部591を有し、外管52に固着された外管ハブ59とからなっている。そして、内管ハブ58と外管ハブ59とは、固着されている。この分岐ハブ574の構成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が好適に使用できる。また、分岐ハブ57を設けず、第1ルーメン511、第2ルーメン521のそれぞれに、例えば基端に開口部を形成するポート部材を有するチューブを液密に取り付けるようにしてもよい。
【0088】
次に、上記血管拡張用カテーテル5の使用方法および作用について、冠状動脈血管に発生した狭窄部を治療する場合を例にとり説明する。
まず、カテーテル5を血管内に挿入する前に、拡張体53および第2のルーメン521内の空気をできる限り抜き取り、造影剤等の液体で置換しておく。この時、拡張体53は、収縮または折り畳まれた状態としておく。
次に、患者の血管に、例えばセルジンガー法によりシースを留置し、続いて、ガイディングカテーテルを上記シースの内腔より血管内へ挿入、冠状動脈入口に留置する。上記ガイディングカテーテルの内面には、親水性コーティングがなされていることが好ましい。次に、金属弾性芯材とその表面に被覆されたプラスチック被覆材と、該被覆材表面に固定された親水性潤滑層とからなるガイドワイヤー、あるいは、金属弾性芯材と該芯材の先端に設けられたX線造影性コイルと、芯材表面に被覆されたフッ素系被覆材とからなるガイドワイヤーを第1のルーメン511内に挿通して、カテーテル5を、上記ガイディングカテーテルの内腔より血管内へ挿入する。続いて、X線透視下でマーカー54の位置を視認し、カテーテル5およびガイドワイヤーの先端の位置を確認しながら、上記ガイドワイヤーを先行させてカテーテル5を進行させ、狭窄部まで挿入し、拡張体53を狭窄部内に位置させる。
【0089】
その後、カテーテル5のインジェクションポートを形成する第2の開口部581に圧力計付インジェクターを接続して、数気圧から10数気圧程度になるように血管造影剤を注入し、拡張体63を膨らませ、病変部であるアテローマを圧縮し、狭窄部を開大させる。そして、ガイディングカテーテルのコネクターに設けられた造影剤インジェクションポートより造影剤を注入し、末梢側血流をX線造影にて確認する。血流改善を認めたら、カテーテル5と上記ガイドワイヤーを抜去し、その後ガイディングカテーテルを抜去して手技を終える。
【0090】
そして、本発明のカテーテル5では、上記した本発明の医療用チューブ1を部材として構成されているため、柔軟性および耐キンク性に富み、冠状動脈等の比較的細い血管へも良好に挿入でき、ガイドワイヤーへの追随性も良好であり、複雑に湾曲・屈曲した血管でも、キンクせずにガイドワイヤーに沿って容易に進むことができる。また、トルク伝達性や押し込み性にも優れ、操作性の良好なカテーテルとなる、さらに、内側および外側の耐圧性も優れており、拡張体53の内部空間534に膨張用流体を高圧で流し込んでもつぶれ、破裂を生じ難い。また、術中に第1のルーメン511に造影剤を流し込んでも、つぶれ、破裂を生じ難く、安全に対応できる。
【0091】
なお、図示の例では、内管51を上記医療用チューブ1で構成したが、本発明はこれに限定されず、外管52を上記医療用チューブ1で構成してもよく、また、内管51および外管52の両方を上記医療用チューブ1で構成してもよい。また、内管51および外管52を構成する本発明の医療用チューブとしては、図示した医療用チューブ1に限定されるものではなく、例えば、上記医療用チューブ1に代えて、図5に示す医療用チューブ10を用いてもよい。
【0092】
また、図示の例では、ダブルルーメンコアキシャルタイプのガイドワイヤー可動性(オーバー・ザ・ワイヤー型)の血管拡張用カテーテルについて説明したが、本発明はこれに限定されず、米国特許4,771,778明細書等に記載された、ガイドワイヤーに拡張体が直接固定したいわゆるオン・ザ・ワイヤー型の血管拡張用カテーテルや、米国特許4,748,982明細書等に記載された、カテーテルを血管に挿入したままでガイドワイヤーを交換可能ないわゆるモノレール型の血管拡張用カテーテルにも適用することができ、このようなタイプのカテーテルチューブに本発明の医療用チューブを用いたものであってもよい。
【0093】
以上、本発明における医療用チューブ、脳血管治療用カテーテルおよび血管拡張用カテーテルについて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、造影用カテーテル、ガイディングカテーテル等の血管カテーテル、薬剤注入用カテーテル、開心術用脱送血カテーテル、内視鏡カテーテル、腹腔鏡カテーテル、胸腔鏡カテーテル等に適用されるものであってもよい。
【0094】
【実施例】
以下、本発明を具体的実施例に基づきさらに詳細に説明する。
[実施例1]
直鎖状低密度ポリエチレン(三井日石ポリマー(株)製、商品名ウルトゼックス、グレード4570)を原料として、通常の押出成形により、内径0.47mm、外径0.52mmのチューブを得た。このチューブをダイス引き落としにより、先端部が内径0.41mm、外径0.45mmの二段異径チューブとして、内層21の成形体を製造した。得られた内層21は、全長1700mm、細径の先端部の長さは800mm、基部の長さは900mmであった。
【0095】
一方、変性ポリエチレン樹脂(アトケム社製、商品名ボンダイン、グレードTX−8030)を原料として、押出成形において引き取り速度を途中で変化させ、先端部と基部との径が異なる外層22の成形体を製造した。外層22の全長は1700mm、細径の先端部の長さは750mmとした。テーパーとなって部分の長さは50mmとし、このテーパの部分を含む基部の長さは950mmとした。先端部の内径は0.50mm、外径は0.56mmとし、テーパー部は滑らかに変化させ、基部の内径は0.56mm、外径0.63mmとした。
【0096】
さらに、ステンレス鋼(SUS304)製、板厚tが0.010mm、板幅zが0.120mmの素線31a〜eを用意し、この素線31a〜eを5本一組として束31Aとし、素線31a〜eを互いに隙間なく密着させた状態で、先端部と基部とで径の異なる芯材の上に右巻きに巻き付け、第1のコイル31を作製した。コイル31のピッチ間の隙間yは0.02mmとした。
【0097】
続いて、素線31a〜eと同様に構成された素線32a〜eを用意し、この素線32a〜eを5本一組として束32Aとし、素線32a〜eを互いに隙間なく密着させた状態で、上記芯材および第1のコイル31の上に重ねて左巻きに巻き付け、第2のコイル32を作製した。コイル32のピッチ間の隙間yは、コイル31と同様に、0.02mmとした。
【0098】
その後、上記芯材を抜き取り、先端部と基部とで径の異なるコイル層3を製造した。得られたコイル層3は、細径の先端部の内径が0.47mm、外径が0.51mm、長さが730mmで、テーパとなった部分の長さは50mmであり、径は滑らかに変化していた。また、基部の内径は0.53mm、外径は0.57mm、長さは上記テーパの部分を含めて820mmであった。
【0099】
このコイル層32を、THF溶媒中で膨潤させた外層22に挿入して、外層22を風乾した後、内層21をコイル層3の中に挿入した。その後、これらのコイル層3、内層21および外層22を60゜Cのオーブン中で16時間加熱処理した。この加熱処理により、内層21の残留応力は除去され、内層21の内径および外径が増加し、内層21とコイル層3が密着した。さらに、内層21と外層22の両端部分を、コイル層3の先端と基端より1mm先のところで溶断、融着し、図1ないし図4に示す本発明の医療用チューブ1を得た。得られた医療用チューブ1は、全長1500mmで、先端部12の内径が0.43mm、外径が0.57mm、長さが730mmであり、テーパー部13の長さは50mmで、径は滑らかに変化していた。また、基部11の内径は0.48mm、外径は0.64mm、長さは770mmであった。
【0100】
[比較例1]
高密度ポリエチレン(三菱油化(株)製、商品名三菱ポリエチ−HD、グレードEY40H)を、通常の押出成形により成形し、内径0.43mm、外径0.57mmの、実施例1の先端部12と同じ寸法を有する比較例1のチューブを製造した。
【0101】
[比較例2]
特公平4−670号公報に記載の方法に準じて、金属編組で補強した内径0.43mm、外径0.57mmの、実施例の先端部12と同じ寸法の強化型チューブを製造した。
具体的には、外径0.43mmの銅線上に、高密度ポリエチレン(三菱油化(株)製、商品名三菱ポリエチ−HD、グレードJY20)を15μmの厚みでクロス成形機を用いてコートした。銅線上に20μmのステンレス鋼(SUS304)製ブレード線をブレーダー装置(永田精機(株)製、型番STM−II)を用いて網目状に巻き付け、その後、コーティングダイスを用いて同じ樹脂を溶融コートし、上記ブレード線を埋設した。その後、芯に用いた銅線を延伸して伸ばし、抜去して、比較例3のチューブを作製した。
【0102】
[比較例3]
実施例1の内層21を設けないことを除いては、実施例1と同様にして、コイル層3および外層22とからなる比較例2のチューブを作製した。
上記実施例1および比較例1〜3について、下記に示す実験1ないし実験4を行い、機械強度を比較した。
【0103】
[実験1]
実施例1の先端部12、および比較例1〜3のチューブについて、三点曲げ試験により、曲げ弾性率と曲げ応力を測定した。曲げ弾性率はチューブの硬さの比較であり、曲げ応力はチューブの可撓性の比較として採用した。
三点曲げ試験は、実施例1の先端部21および比較例1〜2のチューブをそれぞれ20mmにカットし、図9に示す治具20を用いて、JIS K7203の曲げ試験を参考にして行った。試験にはオートグラフ(AUTOGRAPH AGS-100A 島津製作所製)を用いて、テストスピ−ド1mm/min 、室温で行った。
【0104】
図9に示す治具6の試料台61に、直径2mmの支持棒62を2本載置し、定寸にカットした実施例1の先端部21を支持棒62の上に載せて支えた。支持棒62の距離(支点間距離)は10mmとした。この状態で、直径2mmの支点球63を有する押し子64を、試験機のロードセル(図示せず)に接続し、この押し子64を図中の矢印方向に移動させ、三点曲げ試験を行った。比較例1〜3のチューブについても、上記と同様の試験を行った。
【0105】
上記曲げ試験により、図10に示す応力歪曲線が得られた。この応力歪曲線における初期の傾きを、曲げ応力Wと定義し、この曲げ応力Wを、各サンプルを単純に1mm曲げるのに要する力を表すものとして、チューブの形状も含んだ柔軟性の比較とした。
結果を下記表1に示す。
【0106】
[実験2]
実施例1の先端部12、および比較例1〜3のチューブについて、下記に示す内側耐圧試験を行い、内側からの圧力に対する耐圧性を評価した。
図11に示すように、実施例1の先端部12の先端をエポキシ樹脂71により封止し、基端にコネクター72を接続した。これらを37℃の温水浴中に置き、コネクター72の注入ポート73から、窒素ガスボンベを用いて窒素ガスを先端部12の内側に送り込み、一分間に1.0kg/cm2の割合で加圧した。水中に発生する気泡を目視して観察することにより、リークまたは破裂を起こした圧力値を測定した。また、比較例1〜3のチューブについても、上記と同様の測定を行った。
結果を下記表1に示す。
【0107】
[実験3]
実施例1の先端部12、および比較例1〜3のチューブについて、下記に示す外側耐圧試験を行い、外側からの潰れに対する耐圧性を評価した。
図12に示すように、実施例1の先端部12に注入ポート81を有する金属性の鞘82をかぶせ、鞘82の先端83および基端84をそれぞれエポキシ樹脂で封止した。この時、先端部12は、鞘82の全長より長くし、先端83および基端84より突出させた。この状態で、全体を37℃の温水浴中に設置した。先端部12と鞘82で構成されたルーメン85を窒素ガスにより加圧し、先端部12の外側を1.0kg/cm2づつ加圧した。
【0108】
加圧を始めた時点で、先端部12の内側ルーメン14にステンレス(SUS304)製の真直線状の芯棒86を通し、芯棒86の通過性を確認した。芯棒86の外径は、先端部12の内径よりも0.05mm小さい0.38mmとした。加圧による先端部12の変形でルーメン14が潰れ、芯棒が動かなくなった時の圧力値を求め、外側からの圧力による耐潰れ性を評価した。また、水中に発生する気泡を目視で観察することにより、リークまたは破裂を起こした時の圧力値も求めたが、ほとんどの場合、潰れの発生の方が早く起こった。
また、比較例1〜3のチューブについても、上記と同様の測定を行った。
結果を下記表1に示す。
【0109】
[実験4]
実施例1の先端部12、および比較例1〜3のチューブについて、図13に示す装置9を用い、下記に示すキンク性試験を行った。
耐キンク性試験はオートグラフ(AUTOGRAPH AGS-100A 島津製作所製)を用い、テストスピードは10mm/min.、室温で行った。図13に示すように、65mmにカットした実施例1の先端部12の両端にそれぞれ芯棒91を挿入し、2つの芯棒91の間を25mmとし、芯棒91と先端部12との隙間をエポキシ樹脂で充填した。芯棒91が挿入された先端部12の両端部をそれぞれチャック92ではさみ、上部側のチャック92を一定速度で下降させて間隔を狭めていき、先端部12が折れた点をキンク点とし、この時の上部側のチャック92の移動距離を測定した。この測定値が小さいほど耐キンク性が悪いといえる。
また、比較例1〜3のチューブについても、上記と同様の測定を行った。
結果を下記表1に示す。
【0110】
[実験5]
実施例1の先端部12、および比較例1〜3のチューブについて、下記に示す引張試験を行い、破断強度及び破断伸度を測定しチューブの強さを比較した。
引張試験はオートグラフ(AUTOGRAPH AGS-100A 島津製作所製)を用い、テストスピード100mm/min.、室温で行い破断強度及び破断伸度を求めた。この試験では、上記実験4と同様の装置を用いて、上記実験4とは逆に2本のチャック92の間を一定速度で広げ、実施例1の先端部12が破断した時のチャック92の移動距離を測定した。また、比較例1〜3のチューブについても、同様の測定を行った。
結果を下記表1に示す。
【0111】
【表1】
Figure 0003659664
【0112】
上記表1に示す通り、曲げ弾性率の測定値から、チューブの固さは比較例2の強化型チューブが最も固く、また、可撓性を有する樹脂材料のみからなり、同じ寸法である比較例1のチューブと比較しても、実施例1のチューブは柔軟性が高いといえる。また、曲げ応力の測定値からみても、実施例1のチューブは比較例1〜2に比べ柔軟であることがわかる。さらに、耐キンク性の測定値からも、実施例1のチューブはキンクを起こし難く、柔軟性(可撓性)に優れていることが明らかである。
以上から、本発明の医療用チューブは柔軟性と耐キンク性に優れることが理解される。
【0113】
内側および外側の耐圧性に関しては、表1に示す測定値より、実施例1のチューブは比較例1のチューブに比較して、内側の耐圧性、外側の耐圧性の両方とも優れていることがわかる。また、比較例2のチューブは耐圧性に優れるが、上記した通り固いチューブである。
また、実施例1と比較例3とを比べると、コイル層3の内側に内層21を設けない比較例3に比べて、コイル層3の内側に内層21を設けた実施例1は、内側耐圧性が著しく向上していることが示されている。すなわち、可撓性を有する層を上記コイル層に被せた構造とすることにより、耐圧性が著しく向上することがわかる。
従来、同じ内径および外径のチューブでは、耐圧性はチューブの素材の固さに依存し、従って、従来チューブを柔らかくすると耐圧性が失われると考えられていたが、表1に示される結果から、本発明の医療用チューブはチューブの柔軟性と耐圧性を両方満足していることが理解される。
【0114】
また、チューブの引張試験の結果から、比較例1〜2のチューブに比較して、実施例1のチューブは強度が優れていることが示されている。また、比較例2のチューブは、破断伸度が著しく低く、このようなチューブは突然に破断を起こし易いため、体腔内に挿入して使用するチューブしては安全上好ましくない。
以上から、本発明の医療用チューブが満足できる柔軟性と耐圧性および強度を両立している事が理解される。
【0115】
なお、実施例1および比較例1〜2のチューブをそれぞれ直角に曲げ、キンクの有無を観察したところ、実施例1のチューブは内孔を維持し、折れを生じなかったが、比較例1〜2のチューブでは折れを生じ、内孔が潰れてしまった。
【0116】
[実施例2]
図5に示す医療用チューブ10を製造した。チップ15としては、ポリウレタンを用いて製造した。
このチューブ10につき、上記と同様の試験を行ったところ、上記実施例1と同様に、柔軟性、耐圧性および強度のいずれも優れたものであった。また、このチューブ10は、実施例1に比べて、先端部が非常に柔軟であった。
【0117】
[実施例3]
実施例1の医療用チューブ1を部材として、図6に示す脳血管塞栓術用カテーテル4を製造した。
具体的には、実施例1の医療用チューブ1を定寸にエキシマレーザーにてカットした後、このチューブ1に、補強用チューブ41(材質;ポリエチレン樹脂)、ハブ42(材質;ナイロン12樹脂製)、先端ソフトチップ43(材質;ポリウレタン)、およびプラチナコイルからなる造影用マーカー44をウレタン系接着剤を用いて取り付けた。マーカー44はチップ43の外面に巻き付け、その上にウレタン系接着剤を適用して、カテーテル4の外表面が滑らかとなるようにした。
【0118】
カテーテル4は、先端部が1.7Fr、基端部は1.9Frのテーパーを有するカテーテルで、カテーテル全長は1500mm、カテーテル有効長(ハブおよび補強用チューブを除いた長さ)は1400mmとした。組み立ての際、医療用チューブ1の基端側に、毛細管現象を利用してシアノアクリレート系瞬間接着剤を第1および第2のコイル31、32の間の隙間に染み込ませた。上記瞬間接着剤は医療用チューブ1の基部11の約1/3程度まで進入し、その部分は固くなった。また、細径の先端部12には、親水性高分子物質であるP(GMA−DMAA)ブロック共重合体を被覆して、湿潤時に潤滑性を有する表面処理を行った。
【0119】
このカテーテル4を用いて、脳動脈瘤を塞栓する脳血管治療(脳動脈塞栓術)を行ったところ、曲がりくねった血管に対する屈曲追随性及びトルクコントロール性等が非常に良好であり、カテーテル操作性に優れたものであった。
【0120】
[実施例4]
実施例1の多層医療用チューブ1を部材として、図7に示す血管拡張用カテーテル5を製造した。
具体的には、実施例1の医療用チューブ1を定寸にカットし、これを内管51として、外管52(材質;ポリプロピレン樹脂)、拡張体53(材質;ポリフェニレンスルフィド樹脂)、白金製の造影マーカー54、ポリウレタン製の先端ソフトチップ55、補強用チューブ56(材質;ポリエチレン樹脂)、内管ハブ58(材質;ポリカーボネート樹脂)、外管ハブ59(材質;ポリカーボネート樹脂)を取り付けた。得られたカテーテル5の全体は2.7Fr(外径約0.9mm)のテーパー付きカテーテルで、カテーテル全長1550mm、カテーテル有効長1350mmとした。
【0121】
このカテーテル5を用いてPTCAの手技を行ったところ、カテーテルの屈曲追随性、狭窄通過性、押し込み性、ガイドワイヤーの可動性がいずれも優れており、カテーテルの操作性が良いものであった。また、PTCAの手技中、拡張体53の膨張用流体として、粘度が高い造影剤を用い、拡張体53の加圧圧力を16kg/cm2まで増加したが、内管51のつぶれや破裂は全くみられなかった。
【0122】
【発明の効果】
以上延べた通り、本発明の医療用チューブは、柔軟性と耐キンク性に富み、トルク伝達性や押し込み性も良好で、かつ、内側および外側の耐圧性にも優れている。したがって、操作性の優れたカテーテルの部材として好適に使用でき、特に、細径の体腔内に挿入して使用される小口径カテーテルの部材として有効である。従って、例えば血管形成術、薬剤注入療法、血管造影、塞栓療法に有用なカテーテルを提供できる。
【0123】
また、上記医療用チューブより構成された本発明の脳血管塞栓術用カテーテルは、柔軟性と耐キンク性に富み、トルク伝達性や押し込み性も良好で、かつ、内側および外側の耐圧性にも優れている。したがって、優れた操作性を備え、ガイドワイヤーに沿って微細で複雑に入り組む脳血管の目的部位に良好に到達でき、人体の管状組織や臓器への損傷を最小限に抑えられ、安全性が非常に高い。
【0124】
また、上記医療用チューブより構成された本発明の血管拡張用カテーテルは、柔軟性と耐キンク性に富み、トルク伝達性や押し込み性も良好で、かつ、内側および外側の耐圧性にも優れている。したがって、優れた操作性を備え、ガイドワイヤーに沿って目的部材に良好に到達でき、人体の管状組織や臓器への損傷を最小限に抑えられる。また、拡張体を膨張する際に高い圧を加えても破裂する虞れが非常に少なく、安全性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用チューブの構成例を示す平面図である。
【図2】図1に示す医療用チューブの部分破断拡大斜視図である。
【図3】図1に示す医療用チューブの構成を示す部分拡大断面図である。
【図4】図1のI−I線における拡大横断面図である。
【図5】本発明の医療用チューブの他の構成例を示す部分破断拡大斜視図である。
【図6】本発明の脳血管塞栓術用カテーテルの構成例を示す平面図である。
【図7】本発明の血管拡張用カテーテルの構成例を示す平面図である。
【図8】図7に示す血管拡張用カテーテルの先端部を示す縦断面図である。
【図9】三点曲げ試験の方法を説明する図である。
【図10】三点曲げ試験により得られた応力歪曲線を示すグラフである。
【図11】内側からの耐圧試験の方法を説明する図である。
【図12】外側からの耐圧試験の方法を説明する図である。
【図13】耐キンク性試験及び引張試験の方法を説明する図である。
【符号の説明】
1、10 医療用チューブ
11 基部
12 先端部
13 テーパ部
14 ルーメン
15 先端ソフトチップ
16、160 最先端部
2 管状体
21 内層
22 外層
3 コイル層
31 第1のコイル
32 第2のコイル
31a,31b,31c,31d,31e 素線
32a,32b,32c,32d,32e 素線
31A 束
32A 束
4 脳血管塞栓術用カテーテル
41 補強用チューブ
42 ハブ
43 先端ソフトチップ
44 マーカー
5 血管拡張用カテーテル
50 チューブ本体
51 内管
52 外管
53 拡張体
531 先端部
532 基端部
533 略円筒部分
534 内部空間
54 マーカー
55 先端ソフトチップ
56 補強用チューブ
57 ハブ
58 内管ハブ
581 第1の開口部
59 外管ハブ
591 第2の開口部
x 素線間の隙間の幅
y ピッチ間の隙間の幅
z 素線の幅
t 厚み

Claims (10)

  1. 可撓性を有する内層と、該内層の外側に被着した補強層と、該補強層の外側に被着した可撓性を有する外層とを有する医療用チューブであって、
    前記補強は、少なくともその一部が、第1のコイルと、該第1のコイルと略同軸上に設けられ、該第1のコイルと逆方向に巻回する第2のコイルとからなるコイル層で構成されており、該第1のコイルおよび該第2のコイルはそれぞれ、ピッチ間の隙間の幅が0.02mm以下の密着巻きに巻回しており、
    前記コイル層は、その先端より基端に向かって所定長さにわたり前記内層および前記外層に実質的に接着されてなく、
    前記医療用チューブの基端から所定長さにわたる部分における前記コイル層の基部側のピッチ間の隙間に接着剤または樹脂材料を流入させたことを特徴とする医療用チューブ。
  2. 可撓性を有する材料からなる内層と、該内層の外側に被着した補強層と、該補強層の外側に被着した可撓性を有する材料からなる外層とを有する医療用チューブであって、
    前記補強層は、少なくともその一部が、前記内層に密着する第1の平板コイルと、該第1のコイルと略同軸上に設けられ、該第1のコイルと逆方向に巻回し、前記外層と密着する第2の平板コイルとからなるコイル層で構成されており、該第1のコイルおよび該第2のコイルはそれぞれ、ピッチ間の隙間の幅が 0.02 mm以下の密着巻きに巻回しており、
    前記コイル層は、その先端より基端に向かって所定長さにわたり前記内層および前記外層に実質的に接着されてないことを特徴とする医療用チューブ。
  3. 前記コイル層は前記内層および前記外層とほぼ密着している請求項1又は2に記載の医療用チューブ。
  4. 前記第1および第2のコイルは互いにほぼ密着して設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用チューブ。
  5. 前記コイル層は、さらに前記第1および第2のコイルと略同軸上に設けられた1以上のコイルを有し、該コイル層の全てのコイルは、ピッチ間の隙間の幅が自由に変位できるように設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用チューブ。
  6. 前記コイル層の全コイルは、隣接するコイルが互いに逆方向に巻回して構成されている請求項5に記載の医療用チューブ。
  7. 前記医療用チューブの前記先端付近は、柔軟な材質で構成され、前記コイル層が配置されてない、最も柔軟な最先端部を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用チューブ。
  8. 体腔内に挿入されるチューブ本体を有し、該チューブ本体が請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用チューブより構成されていることを特徴とする脳血管塞栓術用カテーテル。
  9. 体腔内に挿入されるチューブ本体と、該チューブ本体内に形成された少なくとも1つのルーメンと、前記チューブ本体の先端部に設けられ、該ルーメンと連通する内部空間を有する拡張体とを有し、前記チューブ本体が請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用チューブより構成されていることを特徴とする血管拡張用カテーテル。
  10. 先端が開口している第一のルーメンを有する内管と、該内管と同軸的に設けられ、該内管の先端より所定長後退した位置に先端を有し、該内管の外面との間に第二のルーメンを形成する外管と、先端部および基端部を有し、該基端部が前記外管に取り付けられ、該先端部が前記内管に取り付けられ、該基端部付近にて前記第二のルーメンと連通する収縮あるいは折り畳み可能な拡張体と、該内管の基端部に設けられた前記第一のルーメンと連通する第一の開口部と、前記外管の基端部に設けられた前記第二のルーメンと連通する第二の開口部とを有するバルーンカテーテルであって、前記内管および前記外管の少なくとも一方が請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用チューブより構成されていることを特徴とする血管拡張用カテーテル。
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