JP3654071B2 - 携帯機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転ベゼルを有する携帯機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
腕時計には、図19に示すように、胴1の上方外周側に回転可能に設けられる円環状の回転ベゼル2を備えるタイプのものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、このような回転ベゼル2は、胴1との間にパッキンやリングバネ等を介在させて圧入することにより胴1に取り付けられていた。従って、製造時における回転ベゼル2の胴1への取付作業が煩雑である。また、製造後に回転ベゼル2を取り替える場合にも、上述したような圧入作業が必要となり、取り替え作業も繁雑である。また、回転ベゼル2は回転部材であるため、長期間の使用によって部材が磨耗し、回転ベゼル2が胴1から離脱してしまうこともある。
【0004】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、円環状の回転ベゼルを支持体に容易に取り付けることができるとともに、耐久性に優れた回転ベゼルの保持構造を有する携帯機器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の携帯機器は、円環状の回転ベゼルと、前記回転ベゼルをその外周上方側で回転可能に支持する支持体とを具備する携帯機器において、
前記回転ベゼルの内周面には、環状のベゼル側溝が形成されており、
前記支持体の外周面における前記溝と対向する位置には、環状の支持体側溝が形成されており、
前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間に配置される円環状または円弧状の中間部材を備え、
前記中間部材は、前記ベゼル側溝または前記支持体側溝の深い方の溝深さより大きく、かつ両者の溝深さの和よりも小さい幅に形成される中間部を有しており、前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間内に拘束されずに配置されていることを特徴としている。
【0006】
また、請求項2に記載の携帯機器は、円環状の回転ベゼルと、前記回転ベゼルをその外周上方側で回転可能に支持する支持体とを具備する携帯機器において、
前記回転ベゼルの内周面には、環状のベゼル側溝が形成されており、
前記支持体の外周面における前記溝と対向する位置には、環状の支持体側溝が形成されており、
前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間に配置される円環状または円弧状の中間部材を備え、
前記中間部材は、内周側に突出する内突出部と、外周側に突出する外突出部が交互に形成されており、
前記内突出部がその円周上に位置する前記回転ベゼルの回転円周の同心円と前記外突出部がその円周上に位置する前記回転ベゼルの回転円周の同心円の半径の差は、前記ベゼル側溝または前記支持体側溝の深い方の溝深さより大きく、かつ両者の溝深さの和よりも小さくなされており、前記中間部材は前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間内に拘束されずに配置されていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項3に記載の携帯機器は、請求項1または2に記載の携帯機器において、
前記中間部材の内周側下面または外周側上面には、前記回転ベゼルの回転平面に対して傾斜する斜面が形成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項4に記載の携帯機器は、請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯機器において、
前記中間部材の前記回転ベゼルの回転平面と直交する方向の大きさは、前記ベゼル側溝または前記支持体側溝の少なくともいずれかの幅よりも小さくなされていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5に記載の携帯機器は、請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯機器において、
前記中間部材は、合成樹脂からなることを特徴としている。
【00010】
また、請求項6に記載の携帯機器は、請求項1ないし5のいずれかに記載の携帯機器において、
前記中間部材は、弾性材料からなることを特徴としている。
【0011】
また、請求項7に記載の携帯機器は、請求項1ないし6のいずれかに記載の携帯機器において、
前記回転ベゼルの下面には、光学パターンが形成されており、
前記支持体には、前記光学パターンに光を照射し、その反射光から前記回転ベゼルの回転状態を検出する光センサが設けられていることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
A.実施形態の構成
まず、図1は本発明の一実施形態に係る腕時計型情報処理装置100を示す正面図である。同図において、符号101は、この腕時計型情報処理装置100の胴(支持体)を示す。図における胴101の上下側には、使用者の手に巻き付けられるバンド部200が取り付けられている。また、胴101の外周側の上部(紙面手前側)には、円環状の回転ベゼル102が図中矢印で示す方向に回転自在に支持されている。
【0013】
回転ベゼル102の表面には、等間隔に「▽」、「A」、「B」、「C」……「1」、「0」の文字や記号等の情報が印刷等により表記されている。回転ベゼル102の内周側における胴101の中央部には、カバーガラス103が配置されており、このカバーガラス103の下方(図の紙面奥側)には、液晶パネル等の表示装置104が配設されている。表示装置104の図中上側には、回転ベゼル102の表面に表示された文字等の情報の1つを指示する指示マーク110が印刷等により表記されている。指示マーク110が回転ベゼル102上に表記された「▽」を指示しているときの回転ベゼル102の位置が後述するベゼル情報入力モードにおける基準位置(図1に示す位置)となる。
【0014】
また、胴101の周囲には、確定スイッチ105、削除スイッチ106、濁点スイッチ107がそれぞれ配設されている。また、リセットスイッチ109がカバーガラス103と同一平面上に突出して設けられている。なお、これらの各スイッチ105〜107は、リセットスイッチ109と同様にカバーガラス103と同一平面上に突出して設けるようにしてもよく、各スイッチの配設位置は任意である。
【0015】
ここで、図2は腕時計型情報処理装置100から回転ベゼル102を取り外した状態を示す。同図に示すように、胴101には、孔31a,31bが形成されており、この孔31a,31b内にパルス数検出センサユニット(光センサ)32と回転方向検出センサユニット(光センサ)33とがそれぞれ配置されている。ここで、パルス数検出センサユニット32と回転ベゼル102の回転中心Oとを結ぶ線と、回転方向検出センサユニット33と回転中心Oとを結ぶ線とが角度θ1を形成するようにパルス数検出センサユニット32および回転方向検出センサユニット33が配置されている。なお、角度θ1については、後述する。
【0016】
さて、図3は図1のIII−III線に沿って視た図である。同図に示すように、回転ベゼル102の裏面には、光学パターン41が形成されおり、孔31aは、胴101における光学パターン41の下方となる位置に形成されている。この孔31aの上方を覆うようにセンサカバーガラス42が配置されており、センサカバーガラス42と胴101との間には、図示せぬパッキンが配置されいてる。これにより、センサカバーガラス42の下方への水や埃の侵入を防止している。
【0017】
また、図3および図4に示すように、回転ベゼル102の内周面には、環状の溝(ベゼル側溝)102aが形成されている。また、胴101における溝102aと対向する位置にも、環状の溝(支持体側溝)101aが形成されており、回転ベゼル102を胴101に取り付けた場合、これらの溝によって空間が形成されるようになっている(図3参照)。この空間内には、図4に示すように、一部分のみが開放した円弧状のリング部材(中間部材)400が配置されるようになっている。
【0018】
ここで、リング部材400は、ポリアセタールや塩化ビニル樹脂などの合成樹脂からなる弾性体であり、その幅Dが溝101aの溝深さ(d1)および溝102aの溝深さ(d2)の和(d1+d2)よりも小さく、かつd1およびd2の各々より大きくなるような寸法に形成されている。また、リング部材400の高さHが溝101aおよび溝102aの幅hよりも小さくなるように形成されている。このような大きさのリング部材400を溝101aおよび溝102aによって形成される空間内に配置することにより、胴101に対して回転ベゼル102を回転可能な状態で保持できるようになっている。また、リング部材400は胴101および回転ベゼル102のいずれにも係合されておらず、溝101aおよび溝102aによって形成される空間内に拘束されない状態で配置されている。
【0019】
また、リング部材400の内周側下面には、傾斜面400aが形成されている。このようにリング部材400の内周側下面に傾斜面400aを形成することによる効果について説明する。図5および図6は、回転ベゼル102を胴101に取り付ける様子を示す図である。まず、図5に示すように、リング部材400を弾性変形させて回転ベゼル102の内周側に収まるような形状に維持して回転ベゼル102の内周側に配置する。そして、リング部材400の弾性によりその形状を円弧状に復帰させることにより、回転ベゼル102の溝102a内にリング部材400の外周部を侵入させる。このようにリング部材400として図示のような弾性変形が可能な弾性材料を使用することにより、回転ベゼル102へのリング部材400の組み込み作業が容易となる。
【0020】
この後、図6に示すように、溝102a内にリング部材400を侵入させた回転ベゼル102を上方から胴101の外周側に押し込む。このとき、上述したように傾斜面400aを形成しておくことにより、リング部材400が胴101の突起部101bを越えて溝101aに侵入しやすくなる。すなわち、傾斜面400aを設けることにより、回転ベゼル102の胴101への取付作業が容易となる。また、図示のように胴101の突起部101bの外周側上面にも斜面を設けておけば、さらにリング部材400が胴101の突起部101bを越えて溝101aに侵入しやすくなる。
【0021】
図3に戻り、センサカバーガラス42の下方には、パルス数検出センサユニット32が配置されている。パルス数検出センサユニット32は、LED(Light Emitting Diode)44と、フォトダイオード45と、LED44とフォトダイオード45との間に配置される遮光板44aと、基板46とを備えており、LED44が光学パターン41に向けて光を発光し、フォトダイオード45に受光された光学パターン41からの反射光に基づいて、パルス信号を生成するものである。なお、回転方向検出センサユニット33もパルス数検出センサユニット32と同様の構成であり、回転ベゼル102の裏面に形成された光学パターン41を読み取ってパルス信号を生成する。
【0022】
パルス数検出センサユニット32の基板46は、図示せぬリード線によってこの腕時計型情報処理装置100の電子回路と接続されており、パルス数検出センサユニット32によって生成されたパルス信号が後述する情報信号生成部(図10参照)に出力される。このパルス信号のパルス数が情報信号生成部によってカウントされ、回転ベゼル102の回転量が検出されるようになっている。
【0023】
次に、回転ベゼル102の裏面に形成された光学パターン41について図7を用いて説明する。同図に示すように、光学パターン41は、LED44の照射する光を吸収する吸収領域41aと、LED44の照射する光を反射する反射領域41bとが交互に形成されており、これらの吸収領域41aおよび反射領域41bは、回転ベゼル102の表面に表記された文字等の情報と対応するように設けられている。吸収領域41aと反射領域41bとは、回転中心Oを中心とした角度θ2毎に形成されている。従って、回転ベゼル102を1回転させた時に、入力可能な情報数がn個(nは偶数)である場合には、θ2=360/n゜となる。この構成の下、回転ベゼル102が回転させられると、パルス数検出センサユニット32は、吸収領域41aおよび反射領域41bを交互に読み取ることになり、図8に示すようなパルス信号を生成することができるようになっている。
【0024】
次に、図2に示したパルス数検出センサユニット32と回転方向検出センサユニット33との間の角度θ1について説明する。本実施形態では、θ1=mθ2+θ2/2となるようにパルス数検出センサユニット32および回転方向検出センサユニット33が配置されている。このようにパルス数検出センサユニット32および回転方向検出センサユニット33を配置した場合には、各々のセンサユニットに図9に示すようなパルス信号が生成される。同図に示すように、回転ベゼル102を時計回りに回転させた場合には、回転方向検出センサユニット33の生成するパルス信号にパルス数検出センサユニット32の生成するパルス信号より1/4の位相進みが生じ、回転ベゼル102を反時計回りに回転させた場合には、回転方向検出センサユニット33の生成するパルス信号にパルス数検出センサユニット32の生成するパルス信号より1/4の位相遅れが生じることになる。従って、このように各センサユニットの生成するパルス信号に生じる位相進み・遅れを検知することによって、回転ベゼル102の回転方向を検出することができるようになっている。
【0025】
なお、θ1の角度は、mθ2+θ2/2に限らず、k*360/n(kは0〜n−1までの整数)と異なる角度であればよく、例えばθ1=mθ2+θ2/4であってもよい。要するに、θ1はパルス数検出センサユニット32と回転方向検出センサユニット33とが生成するパルス信号に位相差を生じる角度であればよい。
【0026】
次に、上述したように検出される回転ベゼル102の回転角度および回転方向から文字等の情報を生成して表示装置104に表示する制御システムの機能構成について図10を用いて説明する。同図において、符号81は、情報信号生成部を示す。情報信号生成部81は、パルス数カウンタを有しており、パルス数検出センサユニット32の生成するパルス数をカウントすることにより回転ベゼル102の回転角度を検出している。また、情報信号生成部81は、上述したようにパルス数検出センサユニット32と回転方向検出センサユニット33とが生成したパルス信号を比較することにより、回転ベゼル102の回転方向を検出している。このように検出した回転ベゼル102の回転角度および回転方向に基づいて、情報信号を生成している。この際、情報信号生成部81は、情報テーブル82を参照することにより、表示装置104に表示すべき情報に対応した情報信号を生成する。
【0027】
図11に示すように、情報テーブル82には、回転ベゼル102の回転角度および所定回転方向(ここでは反時計回りとする)に対応して情報信号が記憶されており、情報信号生成部81は、パルス数カウンタのカウント値(例えば、反時計方向のパルス信号数を加算し、時計方向のパルス信号数を減算したカウント値)から反時計方向の回転角度を検出し、これに対応する情報信号を抽出するようになっている。ここで、情報テーブル82には、回転ベゼル102が基準位置(図1に示す位置)にある時から反時計方向に回転ベゼル102を回転させたときに、指示マーク110に指示される文字等の情報に対応した情報信号が、その時点での基準位置からの回転角度に対応して記憶させられている。従って、情報テーブル82参照時に、上記基準位置から回転ベゼル102の回転角度および回転方向の検出が開始された場合には、回転ベゼル102上に表記された情報のうち、指示マーク110に指示された情報に対応する情報信号が生成されるようになっている。
【0028】
このように情報テーブル82を参照することにより情報信号生成部81によって生成された情報信号に基づいて、キャラクタージェネレーター83が表示装置104に文字等の情報を表示する。
【0029】
確定スイッチ105は、情報信号生成部81によって生成された情報信号に基づいて、表示装置104に表示された文字等の情報を確定入力するものであり、削除スイッチ106は、確定スイッチ105によって確定された情報を削除するものである。濁点スイッチ107は、入力候補情報表示部に表示された情報が英文字である場合には小文字と大文字を切り換えるものであり、仮名文字である場合には、濁点を付加するようになっている。リセットスイッチ109は、情報信号生成部81のパルス数カウンタをリセットするものであり、このリセットスイッチ109が押下された場合には、その時点から回転ベゼル102の回転角度および回転方向の検出が開始されることになる。
【0030】
なお、情報信号生成部81が生成する情報は文字情報に限らず、改行などの文字編集や、この情報処理装置におけるモード切換(例えば、時間表示モードと文字入力モードとを切り換える)などの指令情報を生成することも可能である。この場合、情報テーブル82には、文字編集やモード切換などの指令情報が回転ベゼル102の回転角度および回転方向に対応して記憶されておき、これを参照して情報信号生成部81が指令情報を生成するようにすればよい。
【0031】
B.実施形態の動作および情報入力方法
次に、上記の腕時計型情報処理装置100の情報入力方法および動作について説明する。まず、使用者は、基準位置(図1に示す位置)に回転ベゼル102を合わせておく。この状態で使用者はリセットスイッチ109を押下し、これにより腕時計型情報処理装置100は情報入力状態となり、パルス数検出センサユニット32および回転方向検出センサユニット33が回転ベゼル102の回転角度および回転方向の検出を開始する。
【0032】
そして、使用者は入力したい情報、例えば、文字「C」を入力したい場合には、図12に示すように、回転ベゼル102上に形成された「C」が指示マーク110に指示される位置に回転ベゼルを反時計回りに回転させる。このとき、パルス数検出センサユニット32は回転ベゼル102の回転角度θを検出し、回転方向検出センサユニット33は、回転ベゼル102の回転方向を検出する(この場合、θ=3θ2)。このように検出された回転角度および回転方向に基づいて入力情報「C」が情報信号生成部81により生成され、表示装置104に表示される。この状態で確定スイッチ105を押下すると文字「C」が確定し、次の情報の入力待ち状態になる。また、削除スイッチ106を押下すると、「C」が削除され、入力待ち状態となる。また、濁点スイッチ107を押下すると、「c」が表示部104に表示される。このように、回転ベゼル102上に表記された所望の情報を指示マーク110に合わせる操作を行えば、その情報を表示装置104に表示させて入力することができる。
【0033】
なお、上述したように回転ベゼル102を基準位置に合わせる操作を行わずに、リセットスイッチ109を押下して表示入力動作を開始するようにしてもよい。この場合、回転ベゼル102上の指示マーク110に指示された情報以外の情報が入力されることになるが、回転ベゼル102上に表記された情報を表示入力することができる。従って、ユーザは、回転ベゼル102上の指示マーク110に指示された情報を入力するといったモードで操作を行いたい場合に、上述した基準位置あわせ操作を行うようにすればよい。
【0034】
C.効果
本実施形態に係る腕時計型情報処理装置100では、上述したサイズのリング部材400を溝101aおよび溝102aによって形成される空間内に配置しているので、上述したように胴101に回転ベゼル102を容易に組み立てる(図5および図6参照)ことが可能である。
【0035】
また、リング部材400は、溝101aおよび溝102aによって形成される空間内にどの部材にも係合されずに配置されいてる。さらに、この空間サイズよりもリング部材400が上下方向および水平方向に小さく形成されているので、回転ベゼル102を回転操作した場合にも、リング部材400と胴101および回転ベゼル102の両者との間の摩擦がほとんどない。従って、リング部材400が磨耗することによる寸法変動に起因する回転ベゼル102の胴101からの離脱を低減することができ、長期間の使用に耐えうる強固な保持構造を維持できる。
【0036】
ところで、溝101aおよび溝102aによって形成される空間内にリング部材を胴101または回転ベゼル102に係合させた状態で配置することも考えられるが、この場合、溝やリング部材等の寸法精度のばらつきによって回転トルクが変化してしまう。言い換えれば、回転トルクを安定させようとした場合、高い寸法精度でリング部材や溝を形成することが要求され、製造コストが増加してしまう。また、リング部材と溝の係合部が磨耗して回転ベゼル102が離脱してしまうこともあり得る。一方、本実施形態のようにリング部材400を胴101および回転ベゼル102のいずれにも係合させず、空間内に遊びを有する状態で配置すれば、寸法精度の高いリング部材等を形成しなくても、胴101および回転ベゼル102とリング部材400との間の摩擦がほとんどなく、回転トルクの変動を抑制することができる。従って、回転トルクの変動の少ない回転ベゼル102の強固な保持機構を安価で提供することができる。また、リング部材400を設けることによる回転トルクの変動がほとんどないので、回転トルクの調整を行う場合にも、パッキン等の追加によってより正確な調整が可能となる。
【0037】
また、本実施形態のようにパルス数検出センサユニット32および回転方向検出センサユニット33等の光センサで回転ベゼル102の回転を検出する構成を有する装置では、センサカバーガラス42上に埃が付着すると、これに起因して誤った検出がなされてしまうこともある。本実施形態では、上述したようにリング部材400と胴101および回転ベゼル102との間の摩擦がほとんどないため、これらの部材の磨耗による埃もほとんど発生することがなく、埃に起因する各センサユニットの誤検出を低減することができる。この際、回転ベゼル102と胴101の隙間から侵入する光も、リング部材400によって遮られるのでリング部材400より下部への光の侵入を抑制することができる。従って、外光の侵入に起因する各センサユニットの誤検出も低減することができる。
【0038】
また、リング部材400を合成樹脂等で形成することにより、耐磨耗性を向上させるとともに、次のような効果を得ることができる。図13に示すように、回転ベゼル102を所定以上の力で上方に引き上げれば、金属等から形成される回転ベゼル102や胴101が損傷したり変形したりすることなく、合成樹脂のリング部材400が破断し、これにより回転ベゼル102を取り外すことができる。従って、メンテナンス等のために回転ベゼル102を取り外す場合に、胴101や回転ベゼル102の損傷や変形が生じることを低減できる。また、取り外し作業も簡易である。
【0039】
また、腕時計型情報処理装置100は、情報テーブル82を複数設けることにより、回転ベゼル102上に表記された情報以外の情報を入力させることもできる。このような場合、図14に示すように、回転ベゼル102を他の情報(図示の場合平仮名)が表記された回転ベゼル502に取り替えれば、指示マーク110に仮名文字を指示させるように回転ベゼル502を回転させるといった簡易な操作で情報入力が行えるようになる。言い換えれば、このような入力を行うには、回転ベゼル102から回転ベゼル502に取り替える必要があり、回転ベゼルの取り替え作業は容易であることが好ましい。この点に関しても、本実施形態では、上述したように他の部材を損傷させることなく、かつ容易に回転ベゼルの取り替えができるので、回転ベゼルの回転状態に基づいて信号を生成する情報処理装置として好適である。さらに、回転ベゼル102を上方に引き上げる際に、破断せずに大きく弾性変形して溝101aから外れるようなリング部材400を用いれば、再度回転ベゼル102を取り付ける際に、このリング部材400を再度利用することができ、新たなリング部材を用意する必要がなくなる。
【0040】
D.変形例
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々の変形が可能である。
【0041】
(1)上述した実施形態においては、リング部材400として、一部分のみが開放した円弧状のものを用いるようにしていたが、これに限らず、円環状のものを用いるようにしてもよい。
【0042】
(2)また、上述した実施形態におけるリング部材400に代えて、図15に示すような形状のリング部材(中間部材)150を用いるようにしてもよい。同図に示すように、このリング部材150は、その内周側に複数箇所(図示は6箇所)に突起部(中間部)151が形成されている。そして、図16に示すリング部材150の突起部151を有する部分の幅D2が上述したd1+d2よりも小さく、かつd1およびd2の両者よりも大きくなるようにすれば、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。もちろん、このような突起部151をリング部材150の外周側の複数箇所に設けるようにしてもよい。このような突起部151を有するリング部材150を回転ベゼル102の溝102aに侵入させた後、胴101に上方から押し込む場合、押し込みの抵抗となる部分(突起部151)がリング部材400よりも少なく、作業が容易となる。
【0043】
(3)さらに、上述した実施形態では、回転ベゼル102の溝102aにリング部材400を侵入させて保持した後、回転ベゼル102を胴101に押し込んで取り付ける方法について説明したが、これに限らず、他の方法で回転ベゼル102を取り付けるようにしてもよい。例えば、図17に示すように、胴101の溝101aにリング部材400を侵入させて保持した後、リング部材400を保持した胴101の上方から回転ベゼル102を押し込んで取り付けるようにしてもよい。この場合、リング部材400の外周側上面に傾斜面400bを形成しておけば、上述した実施形態で説明したように回転ベゼル102を容易に取り付けることができる。また、胴101または回転ベゼル102のうち、先にリング部材400を取り付ける側の溝を他方の溝よりも深く形成しておくことにより(図17では溝101aを深く、図6では溝102aを深く)、回転ベゼル102を容易に押し込むことが可能となり、取付作業がさらに簡単となる。
【0044】
(4)また、上述したリング部材400に代えて、図18に示すような形状のリング部材(中間部材)180を用いるようにしてもよい。同図に示すように、このリング部材180は、内周側に突出する内突出部181と、外周側に突出する外突出部182が交互に形成されている。すなわち、内突出部181の外周側の部分は、凹んだ形状となっており、これにより内突出部181は外周側に変形しやすくなっている。従って、上述したようにリング部材181を上方から胴101にはめ込む場合には、内突出部181が外周側に容易に変形するので、回転ベゼル102の取り付け作業が容易となる。ここで、内突出部181の内周面の位置する回転ベゼル102の回転円周と同心円IC(図中2点鎖線で示す)と、外突出部182の外周面の位置する回転ベゼル102の回転円周と同心円OC(図中2点差線で示す)との半径の差D3が上述したd1+d2よりも小さく、かつd1およびd2の両者よりも大きくなるようにすれば、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0045】
(5)また、上述した実施形態においては、1つのリング部材400を溝101aおよび突起部101bによって形成される空間内に配置するようにしていたが、円弧状のリング部材を複数設けるようにしてもよい。例えば、中心角が180°の円弧状のリング部材を2つ設け、これらを上記空間内に配置するようにしてもよい。
【0046】
(6)また、上述した実施形態では、本発明をパルス数検出センサユニット32や回転方向検出センサユニット33等により回転ベゼル102の回転を検出して信号を生成する情報処理装置に適用した場合について説明したが、これに限らず、他の回転ベゼルを有する携帯機器、例えば回転ベゼルを有するアナログ式の腕時計などに適用することも可能である。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転ベゼルを支持体に対して容易に取り付けることができる。また、回転ベゼルの保持構造の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る腕時計型情報処理装置を示す正面図である。
【図2】 前記腕時計型情報処理装置から、この腕時計型情報処理装置の構成要素である回転ベゼルを取り外した状態を示す図である。
【図3】 図1のIII−III線に沿ってみた図である。
【図4】 前記回転ベゼルの前記腕時計型情報処理装置100の構成要素である胴への取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図5】 前記回転ベゼルを前記胴に取り付ける様子を示し、前記回転ベゼルの内周側に前記腕時計型情報処理装置の構成要素であるリング部材を配置した状態を示す図である。
【図6】 前記回転ベゼルを前記胴に取り付ける様子を示し、前記回転ベゼルを前記胴に押し込む時の状態を示す図である。
【図7】 前記回転体の裏面を示す図である。
【図8】 前記回転ベゼルの裏面に形成された光学パターンと、前記光学パターンを読み取ることによって前記腕時計型情報処理装置の構成要素であるパルス数検出センサユニットが生成するパルス信号とを示す図である。
【図9】 前記パルス数検出センサユニットの生成するパルス信号と、前記腕時計型情報処理装置の構成要素である回転方向検出センサユニットの生成するパルス信号とを示す図である。
【図10】 前記制御システムの構成要素である情報テーブルの記憶内容を示す図である。
【図11】 前記制御システムの構成要素である情報テーブルの記憶内容を示す図である。
【図12】 図1に示す状態から、前記腕時計型情報処理装置の前記回転ベゼルをθ°回転させた状態を示す図である。
【図13】 前記胴から前記回転ベゼルを取り外す様子を示す図である。
【図14】 前記腕時計型情報処理装置の回転ベゼルを取り替えた場合を示す正面図である。
【図15】 前記腕時計型情報処理装置の変形例の構成要素であるリング部材を示す図である。
【図16】 図15のXVI−XVI線に沿ってみた図である。
【図17】 前記腕時計型情報処理装置の他の変形例において、前記回転ベゼルを前記胴に取り付ける様子を示す図である。
【図18】 前記腕時計型情報処理装置のさらに他の変形例の構成要素であるリング部材を示す図である。
【図19】 一般的な回転ベゼルを有する腕時計の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
32……パルス数検出センサユニット(光センサ)、33……回転方向検出センサユニット(光センサ)、81……情報信号生成部、100……腕時計型情報処理装置、101……胴(支持体)、101a……溝(支持体側溝)、102……回転ベゼル、102a……溝(ベゼル側溝)、150……リング部材(中間部材)、151……突起部(中間部)、180……リング部材(中間部材)、181……内突出部、182……外突出部、400……リング部材(中間部材)、400a……傾斜面、400b……傾斜面
Claims (7)
- 円環状の回転ベゼルと、前記回転ベゼルをその外周上方側で回転可能に支持する支持体とを具備する携帯機器において、
前記回転ベゼルの内周面には、環状のベゼル側溝が形成されており、
前記支持体の外周面における前記溝と対向する位置には、環状の支持体側溝が形成されており、
前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間に配置される円環状または円弧状の中間部材を備え、
前記中間部材は、前記ベゼル側溝または前記支持体側溝の深い方の溝深さより大きく、かつ両者の溝深さの和よりも小さい幅に形成される中間部を有しており、前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間内に拘束されずに配置されている
ことを特徴とする携帯機器。 - 円環状の回転ベゼルと、前記回転ベゼルをその外周上方側で回転可能に支持する支持体とを具備する携帯機器において、
前記回転ベゼルの内周面には、環状のベゼル側溝が形成されており、
前記支持体の外周面における前記溝と対向する位置には、環状の支持体側溝が形成されており、
前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間に配置される円環状または円弧状の中間部材を備え、
前記中間部材は、内周側に突出する内突出部と、外周側に突出する外突出部が交互に形成されており、
前記内突出部がその円周上に位置する前記回転ベゼルの回転円周の同心円と前記外突出部がその円周上に位置する前記回転ベゼルの回転円周の同心円の半径の差は、前記ベゼル側溝または前記支持体側溝の深い方の溝深さより大きく、かつ両者の溝深さの和よりも小さくなされており、前記中間部材は前記ベゼル側溝と前記支持体側溝によって形成される空間内に拘束されずに配置されている
ことを特徴とする携帯機器。 - 前記中間部材の内周側下面または外周側上面には、前記回転ベゼルの回転平面に対して傾斜する斜面が形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯機器。 - 前記中間部材の前記回転ベゼルの回転平面と直交する方向の大きさは、前記ベゼル側溝または前記支持体側溝の少なくともいずれかの幅よりも小さくなされている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯機器。 - 前記中間部材は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯機器。
- 前記中間部材は、弾性材料からなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の携帯機器。
- 前記回転ベゼルの下面には、光学パターンが形成されており、
前記支持体には、前記光学パターンに光を照射し、その反射光から前記回転ベゼルの回転状態を検出する光センサが設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の携帯機器。
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