JP3653821B2 - 水分散性ポリウレタンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥性及び作業環境性に優れる、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水分散性のポリウレタンを製造する方法は、従来から知られており、例えば、特公昭54−22236号公報には、カルボキシル基とイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを水に分散し、次いでポリアミンで鎖伸長してポリウレタン水分散体を得る方法が開示されており、適当な中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア及び第3級アミン等が記載されている。
【0003】
該カルボキシル基含有ポリウレタンの中和剤としては、従来から第3級アミンが好ましく用いられている。何故ならば、イソシアネート基との反応性基を有する中和剤を使用すると、望まない副反応をもたらすことが、従来技術において教示されており、例えば、米国特許第4408008号公報には、イソシアネート基との反応性を有しないアミンを中和剤として用いることが好ましいと記載されている。
【0004】
しかしながら、ポリウレタン分散体に化学的に組み込まれたイオン形成性基の対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)であるポリウレタン水分散液は、一般的なアミン系中和剤であるトリアルキルアミンに比較して、乾燥が速いこと、生態学的に実質無害であることから望まれている。
【0005】
その製造方法として、上掲の特公昭54−22236号公報の実施例には、アンモニアを中和剤として使用して、ポリウレタン水分散体を得る方法が記載されている。また、特開昭63−145317号公報には、0〜10重量%のイソシアネート基含有率を有するポリウレタン溶液に、少なくとも一部のカルボキシル基をアンモニアで中和し、次いで水を投入して水分散体を得る方法が開示されている。
【0006】
また特開平3−50224号公報には、カルボキシル基に対する対イオンがトリアルキルアンモニウムイオンであるポリウレタンの水分散物を、トリアルキルアンモニウムイオンの少なくとも1当量のアンモニアと混合し、次いで置換されたトリアルキルアミンを減圧下で除去して、カルボキシル基に対する対イオンが主として、アンモニウムイオン(+NH4)であるポリウレタン分散体を得る方法が記載されている。しかしながら、特開平3−50224号公報で得られるポリウレタン水分散体は、カルボキシル基の対イオンの一部が依然トリアルキルアンモニウムイオンであった。
【0007】
また特開昭63−145317号公報には、有機溶剤中でアンモニア中和するため、架橋構造を有するポリウレタン水分散体を製造する為には、粘度や安定性の問題から単官能成分を併用して平均分子量を十分低く保たねばならないことが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、例えば、米国FDAの基準でも、安全性が認められているアンモニウムイオン(+NH4)を対イオンとした水分散性ポリウレタンを、アミンからの置換等の煩雑な工程を経ることなく、かつイソシアネート基との副反応を生じさせることなく、効率よく工業的に、乾燥性及び作業環境性に優れる、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決する為に鋭意研究を行った結果、ポリウレタンのイオン形成性基と対イオンをなしているアンモニウムイオン(+NH4)のイソシアネート基との反応性は、遊離のアンモニアと比較すると、驚くべきことに数段、低いことを見いだした。従って、遊離のアンモニアとイソシアネート基との反応を極力抑制する為に、まずポリウレタンのイオン形成性基に対して20〜90%当量の部分中和量のアンモニアと水とを混合して分散し、次いでヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物と中和に必要な残りのアンモニアを同時に投入するか、又はヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を投入してから残りのアンモニアで100%当量に中和することにより、従来からの懸案であったアンモニアとイソシアネート基との副反応を抑制し、安定性の良好な、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である水分散性ポリウレタンを得るに及んで、本発明を完成させるに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】
即ち、本発明は、イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーを、該イオン形成性基の中和量の20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成し、次いで、該イオン形成性基の100%中和量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物とを添加し反応させることを特徴とする、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法である。
【0011】
また本発明は、(A)イオン形成性基含有ポリオールと、(B)ポリイソシアネートとを、イオン形成性基含有ポリオールの水酸基に対して、ポリイソシアネートのイソシアネート基が化学量論的に過剰となる量比で混合し、該混合物のイオン形成性基の部分中和となる20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成し、次いで、該イオン形成性基の100%中和量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物とを添加し反応させることを特徴とする、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法をも含む。
【0012】
更に本発明は、イオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、ポリイソシアネートとの混合物を、該混合物のイオン形成性基の部分中和となる20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成し、次いで、該イオン形成性基の100%中和量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物とを添加し反応させることを特徴とする、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法をも含むものである。
【0013】
次に、本発明を更に詳細に説明する。本発明のイオン形成性基とイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートと、300〜5000の分子量を有するポリオールと、1分子中に少なくとも1個のイオン形成性基と少なくとも2個のイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応生成物からなる。
【0014】
発明に使用される、ポリイソシアネートとしては、それ自体が公知であるようなものは、いずれも使用しうるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するに止めれば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−もしくはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、又はトリフェニルメタントリイソシアネートの如き芳香族ジ−ないしトリイソシアネートモノマー類や、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、又はイソホロンジイソシアネートの如き脂肪族、又は脂環式ジイソシアネートモノマー類等が挙げられる。本発明には、これらの単独もしくは、2種以上を併用しても良い。
【0015】
あるいは、これらの各種モノマー類に基づく3官能以上のポリイソシアネートとしては、ポリイソシアヌレート型ポリイソシアネート又はビューレット型ポリイソシアネートの如き各種の変性ポリイソシアネート類等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上でも使用することができる。
【0016】
本発明に使用されるポリオール成分は、ポリウレタン化学で用いられる比較的高分子量のポリヒドロキシ化合物がある。それらの例には、(1)こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸又は2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等の如き多価カルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の如き多価アルコール類とのポリエステルポリオール、
【0017】
(2)ポリウレタン化学で用いられるε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンもしくは3−メチル−δ−バレロラクトンの如きラクトン類と上掲された如き各種ポリオールの1種以上との重縮合反応によって得られるラクトンポリオール、
【0018】
(3)ポリウレタン化学で用いられるジアリールカーボネート又はホスゲンと上掲された如き各種ポリオールの1種以上との反応によって得られるポリカーボネートポリオール、
【0019】
(4)ポリウレタン化学で用いられるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びこれらの単量体の2種以上を用いて重合したコポリマー等のポリエーテルグリコール等が挙げられる。更に、本発明では、所望ならば上掲した低分子量のポリオールを含有していても良い。
【0020】
本発明で言う1分子中に少なくとも1個のイオン形成性基と少なくとも2個のイソシアネート反応性基とを有する化合物とは、対イオンの存在下でイオンを形成して親水性を発現する基を有すると共に、更にポリイソシアネートと反応性を有する基を併せ持つ有機化合物である。例えば分子中にカルボキシル基を有し、該カルボキシル基をアンモニアで中和することによって塩を形成し得る化合物である。
【0021】
対イオンの存在下でイオンを形成して親水性を発現する基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸エステル基等であり、この中でも種々の性能面でのバランスが取り易く、操作し易い基として最も好ましいものは、カルボキシル基である。カルボキシル基を導入し、該カルボキシル基をアンモニアで中和して塩化することにより、親水性を発現することができる。
【0022】
かかる成分としては、特に新規なものでなく、分子中にカルボキシル基等のイオン性形成を有する官能基を含有し、イソシアネート基と反応する官能基を少なくとも2個以上有していれば良く、それ自体が公知であるようなものも、いずれも使用しうるが、それらのうちでも特に代表的なものを例示すれば、1)ジヒドロキシカルボン酸、2)アミノカルボン酸又はアミノスルホン酸等が挙げられる。これらを更に詳しく説明すれば、1)ジヒドロキシカルボン酸としては、グリセリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシマレイン酸、ジヒドロキシフマル酸、ジヒドロキシ酒石酸、2,2−ジメチロール吉草酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びジメチロールブタン酸等が挙げられる。
【0023】
2)アミノカルボン酸又はアミノスルホン酸としては、グリシン、α−,β−アラニン、6−アミノカプロン酸、4−アミノ酪酸、ジアミノ安息香酸、アミドスルホン酸、スルファニル酸、N−フェニルアミノ−メタンスルホン酸、フェニレンジアミン−(1,3)−ジスルホン酸−(4,6)、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、3−アミノ安息香酸−(1)−スルホン酸−(5)等が挙げられる。
【0024】
これらの化合物は単独又はそれらの混合物を使用してもよい。本発明では、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び/又はジメチロールブタン酸が特に好ましく用いられる。イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーは、従来公知の方法で、化学量論的に過剰量のポリイソシアネートを、ポリオール成分、及びイオン形成性基とイソシアネート反応性基含有化合物とを反応させることにより、1段階又はそれ以上の段階で製造される。
【0025】
また本発明で使用される(A)イオン形成性基含有ポリオールとは、対イオンの存在下でイオンを形成して親水性を発現する基を有すると共に、ポリイソシアネートと反応性を有する水酸基を併せ持つポリオールである。例えば、分子中にカルボキシル基を有し、該カルボキシル基をアンモニアで中和することによって塩を形成し得るポリオールである。
【0026】
かかる(A)イオン形成性基含有ポリオールの樹脂類としては、特に新規なものではなく、分子中にイオン形成性基を含有したポリオールであれば良く、従来公知の方法で製造される。本発明には、それ自体が公知なもののいずれもが使用しうるが、それらのうちでも特に代表的なものを例示すれば、イオン形成性基を有する、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ラクトン変性ポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アルキドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0027】
これらを更に詳しく説明すれば、a)ポリウレタンポリオールとしては、上掲した多価アルコール類及び/又は上掲した各種ポリオール類の少なくとも1種以上と、上掲したポリイソシアネート類の少なくとも1種以上と、ジメチロールプロピオン酸等のイオン形成性基を含有したジオール類との反応生成物が挙げられる。
【0028】
3官能以上のポリウレタンポリオールは、上掲したジオール類を上掲した3官能以上のポリイソシアネート類と付加反応させたり、上掲したトリオール類を上掲したジイソシアネート類に付加させたりすることによって得られる。
【0029】
b)アクリルポリオールとしては、例えば、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、およびβ−ヒドロキシプロピルアクリレートに代表される水酸基含有アクリル単量体と、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体及び/又は「ライトエステルPM」(共栄社油脂化学工業株式会社製)等のリン酸エステル基含有単量体と、さらにこれらと共重合可能な他のアクリル単量体とを共重合せしめたものが挙げられる。
【0030】
3官能以上のアクリルポリオールは、1分子中に上記した水酸基含有アクリル単量体を3個以上導入するように他のアクリル単量体と共重合することによって得られる。
【0031】
c)ポリエステルポリオールとしては、上掲された如き各種多価アルコールの1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合により得られる、分子中にカルボキシル基を残存させた形のポリエステルポリオール類である。又は上掲された如き各種多価アルコールと3官能以上のポリエステルポリオールは、多価アルコールとして上掲したトリオールとジカルボン酸と共縮合させるか、あるいは多価カルボン酸として上掲したトリカルボン酸とジオールと共縮合させることにより得られる。
【0032】
d)ラクトン変性ポリエステルポリオールとしては、上掲された如き各種多価アルコールの1種以上と上掲された如き各種ラクトン類との重縮合反応によって得られる、分子中にカルボキシル基を残存させた形のラクトン系ポリエステルポリオール類であり、あるいは、上掲された如き、それぞれ、各種の多価アルコールと多価カルボン酸と、上掲された如き各種ラクトン類との重縮合反応によって得られる、分子中にカルボキシル基を残存させた形のラクトン変性ポリエステルポリオール類などが挙げられる。
【0033】
3官能以上のラクトン変性ポリエステルポリオールは、多価アルコールとして上掲されたトリオールに、上掲した各種ラクトン類を共縮合させることによって得られる。
【0034】
e)ポリエステルアミドポリオールとしては、アミノアルコール、例えば、エタノールアミンを上掲したポリエステルポリオールの原料中と共縮合させることによって得られる分子中にカルボキシル基を残存させた形のものが挙げられる。3官能以上のポリエステルアミドポリオールは、上掲した3官能以上のポリエステルポリオールに、アミノアルコールを共縮合させることによって得られる。
【0035】
f)アルキドポリオールとしては、ひまし油、ヒマシ油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体や各種油脂類と上掲された多価アルコール類と多価カルボン酸類のエステル化反応によって得られる、分子中にカルボキシル基を残存させた形の生成物が挙げられる。
【0036】
3官能以上のアルキドポリオールは、各種油脂類と多価アルコールとして上掲されたトリオール類を用いるか、又は多価カルボン酸として上掲されたトリカルボン酸を用いてエステル化反応することによって得られる。
【0037】
g)ポリエーテルポリオールとしては、上掲されたポリエーテルグリコール類少なくとも1種以上と、上掲されたポリイソシアネート化合物類の少なくとも1種以上と、ジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を含有したジオール類とのウレタン化反応生成物や、上掲したポリエーテルグリコール類の少なくとも1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られる、分子中にカルボキシル基を含有するエステル化反応物が挙げられる。
【0038】
3官能以上のポリエーテルポリオールは、上掲されたポリエーテルグリコールを上掲された3官能以上のポリイソシアネート類に付加反応させることによって得られる。
【0039】
h)変性ポリエーテルポリオールとしては、上掲された各種多価アルコール類とエチレンオキシド、プロピレンキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルまたはアリールグリシジルエーテルなどと、ジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を含有したジオール類との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類が挙げられる。
【0040】
3官能以上の変性ポリエーテルポリオールは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルまたはアリールグリシジルエーテル等と、多価アルコールとして上掲されたトリオール類との開環重合によって得られる。
【0041】
i)ポリカーボネートポリオールとしては、上掲の多価アルコール類とジメチロールプロピオン酸等のカルボキシル基を含有したのジオール類とをジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネートとあるいはホスゲンと反応させることによって得られる生成物が挙げられる。
【0042】
3官能以上のポリカーボネートポリオールは、多価アルコールとして上掲されたトリオールを用いて反応させることによって得られる。本発明には、これら(a)〜(i)に示された各種(A)イオン形成性基含有ポリオールを、単独もしくは2種以上の混合物も使用することができる。
【0043】
これらの(A)イオン形成性基含有ポリオールとして、特に好ましいのは、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールである。(A)イオン形成性基含有ポリオールの数平均分子量としては、500〜10,000、好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは2,000〜10,000である。
【0044】
前記のイオン形成性基が分子中に1個以上導入されることにより、水に分散することが可能になる。かかるイオン形成性基としては、カルボキシル基が種々の性能面でのバランスが取り易く、好ましい。イオン形成性基として、カルボキシル基を用いた場合は、(A)イオン形成性基含有ポリオールの固形分酸価は、10〜100KOHmg/g、好ましくは15〜60KOHmg/gなる範囲が好ましい。
【0045】
前記(B)ポリイソシアネートは上掲のポリイソシアネートであるが、3官能以上のポリイソシアネートとしては、トリフェニルメタントリイソシアネートのようなトリイソシアネートモノマー類や、又は上掲の各種ジイソシアネートモノマー類に基づく3官能以上のポリイソシアヌレート型ポリイソシアネート類、又はウレタン化合物中のウレタン結合や尿素結合の活性水素に、上掲した各種ジイソシアネートモノマー類を付加反応して、3官能以上に分岐させた形の、それぞれアロファネート型ポリイソシアネートやビューレット型ポリイソシアネートの如き各種変性ポリイソシアネート類や、又は上掲されたトリオール類や3官能以上のポリオール類の1種以上と、上掲した各種ジイソシアネートモノマー類の1種以上を付加反応させて得られる3官能以上のアダクト型ポリイソシアネート類などが挙げられる。
【0046】
また、(B)ポリイソシアネートの数平均分子量は、特に強靭性に優れたものであるためには、100〜2,000、好ましくは150〜1,800、更に好ましくは200〜1,500なる範囲内にあることが望ましい。
【0047】
本発明のうち、(A)イオン形成性基含有ポリオールの水酸基当量と(B)ポリイソシアネートのイソシアネート基当量との比率を0.1:1〜0.9:1、好ましくは0.1:1〜0.8:1、更に好ましくは0.2:1〜0.7:1なる範囲で両成分を混合し、これら両成分の混合物それ自体が三次元架橋し得る組成にすることが好ましい。即ち、該混合物を完全にウレタン化反応した際はゲル状になり、溶剤に溶解しないような配合にすることが必要である。
【0048】
また、本発明においては粒子内部におけるウレタン化反応を三次元的に進行させる為に、使用する(A)イオン形成性基含有ポリオール及び/又は(B)ポリイソシアネートは、その全てが3官能以上である必要はないが、少なくともその一部は、3官能以上の官能基を有する、(A)イオン形成性基含有ポリオール及び/又は(B)ポリイソシアネートである必要がある。
【0049】
即ち、使用する反応成分として、3官能以上の官能基を有する、(A)イオン形成性基含有ポリオール及び/又は(B)ポリイソシアネートを、(A)イオン形成性基含有ポリオールと(B)ポリイソシアネートとの総量中の、1〜100モル%、好ましくは5〜90モル%、更に好ましくは10〜80モル%を用いて、良好な三次元架橋構造を得ることができるが、添加量を多くすると混合物がゲル化し易くなるので、注意を払う必要がある。
【0050】
本発明で言う三次元架橋構造とは、アセトン24時間浸漬によるゲル分率測定法で、ゲル分率が60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上であるものを言う。
【0051】
本発明の第3の態様である、イオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマー及びポリイソシアネートは、それぞれ上掲したイオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマー及びポリイソシアネートである。
【0052】
使用する反応成分として、3官能以上のイソシアネート基を有する、イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマー及び/又はポリイソシアネートを、イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーとポリイソシアネートとの総量中の、1〜75モル%、好ましくは5〜75モル%、更に好ましくは10〜70モル%を用いて、良好な水分散性ポリウレタンを得ることができる。
【0053】
本発明で使用される、イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマー、または(A)イオン形成性基含有ポリオールと(B)ポリイソシアネートの混合物、またはイオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーとポリイソシアネートの混合物に、所望ならば公知のウレタン触媒、例えばジブチル錫ジラウレートやオクタン酸第一錫等を使用しても良く、また必要に応じて、イソシアネート基に対して非反応性の有機溶剤を添加しても良い。
【0054】
これらの有機溶剤としては、例えばエステル、エーテル、ケトン系、芳香族系又は脂肪族系炭化水素が適しており、就中、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジフェニルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン又はミネラルスピリット等が適している。これらの溶剤は、必要に応じて、加熱や減圧などの処理、溶剤置換等により、除去又は溶剤置換しても良い。
【0055】
イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマー、又は(A)イオン形成性基含有ポリオールと(B)ポリイソシアネートの混合物、又はイオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーとを含有するウレタンプレポリマーとポリイソシアネートの混合物を、該イオン形成性基の部分中和量となる20〜90%当量、好ましくは20〜80%当量、更に好ましくは25〜70%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成する。
【0056】
この際、部分中和に用いるアンモニア量が、90%当量より多いと、得られた水分散性ウレタンの安定性が悪く、20%当量未満では、水に対しての分散性が不十分である。また、分散相の形成方法は、ポリマー成分を部分中和量のアンモニアと水に加えても良いし、逆に部分中和量のアンモニア及び水をポリマー成分に投入しても良い。また、部分中和量のアンモニアを加えてから水と混合しても良い。
【0057】
この際、水中には、ノニオン系、アニオン系、又はカチオン系の各種の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アラビアゴム、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン及びエチレン無水マレイン酸共重合体などの各種保護コロイドから選ばれる1種以上を、膜の耐水性を損なわない範囲で含有しても差し支えない。
【0058】
次いで、該イオン形成性基の100%当量になる量の残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を同時投入するか、又はヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を添加した後にアンモニアで100%当量に中和させ、反応させる。この時のアンモニアの投入時期は、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を投入してから0〜60分、好ましくは0〜45分、更に好ましくは0〜30分である。
【0059】
ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を投入前にアンモニアで100%当量に中和すると、得られたポリウレタン水分散体の安定性が悪くなり、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を投入してから60分をすぎると反応中の分散体の水に対しての分散安定性が悪くなる。
【0060】
本発明で使用されるヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物は、イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーのイソシアネート基の1当量に対して、又は、(A)イオン形成性基含有ポリオール及び(B)ポリイソシアネートの混合物において、過剰のイソシアネート基の1当量に対して、又はイオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーのイソシアネート基とポリイソシアネートのイソシアネート基の総量1当量に対して、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を0.2〜1.0当量、好ましくは0.3〜1.0当量、更に好ましくは0.4〜0.9当量の範囲で使用する。
【0061】
必要に応じて、更にポリウレタンの溶解性を上げるために、該イオン形成性基に対して過剰のアンモニアを加えても良い。次いで、必要に応じて、有機溶剤及び/又はアンモニアの少なくとも一部を除去、又は他の有機溶剤又は水で置換して、所望の水分散性ポリウレタンが得られる。過剰のアンモニアを用いた場合は、臭気等の点から上記操作を行い、少なくとも一部のアンモニアを除去せしめることが好ましい。
【0062】
本発明の水分散性ポリウレタンの製造方法は、概略、次のように実施される。a)イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーと必要に応じてイソシアネート基と非反応性の有機溶剤を混合物、又は、(A)イオン形成性基含有ポリオールと、(B)ポリイソシアネートとを、化学量論的に(A)イオン形成性基含有ポリオールに対して、(B)ポリイソシアネートのイソシアネート基が過剰となる様な量比の混合物、又は、イオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーとポリイソシアネートの混合物を、必要に応じて、ウレタン化触媒やイソシアネート基と非反応性の有機溶剤を混合する。
【0063】
b)該イオン形成性基に対して、部分中和となる20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成する。水中への分散は、10〜45℃の温度が好ましい。
【0064】
c)次いで、10〜35℃の温度で撹拌下に、該イオン形成性基の100%当量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を同時投入するか、又はヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を添加した後、残りのアンモニアで100%当量に中和する。該ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を有効成分が5〜70%となるように、予め、水もしくは有機溶剤によって希釈して添加せしめることが好ましい。
【0065】
d)しかる後、反応温度を20〜70℃に昇温し、その温度に通常30分〜数時間のあいだ保持し、好ましくは遊離のイソシアネート基が検出されなくなるまで撹拌、反応せしめる。
【0066】
e)次いで、10〜35℃に降温し、所望に応じて、イオン形成性基に対して過剰のアンモニアを加える。
【0067】
f)必要に応じ、有機溶剤及び又はアンモニアの少なくとも一部を、減圧蒸留にて除去せしめるか、もしくは他の溶剤又は水で置換し、所望の水分散性ポリウレタンを得る。
【0068】
次に、本発明を実施例により、一層、具体的に説明する。下において、部及び%は特に断りのない限り、全て重量基準であるものとする。
【0069】
【実施例】
(実施例1)
1,6−ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールとアジピン酸から得られたポリエステルポリオール(水酸基価56)540部と、2,2−ジメチロールプロピオン酸の81部とネオペンチルグリコールの15部とをフラスコに仕込み、窒素シール下において459部の水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとイソシアネート基%が約5.5になるまで、80℃で反応させた。
【0070】
得られたプレポリマーをアセトン469部に溶解して、不揮発分70%、イソシアネート基%が3.7%、溶液酸価が21のイオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーを得た。次いで、得られたウレタンプレポリマー200部を、2.6部の25%アンモニア水を含有する水の193部に投入した。乳白色の水分散体が得られた。
【0071】
次いで、水分散体に、80%水加ヒドラジン4.8部と、水42部と、25%アンモニア水2.5部の混合液を投入した。その後40℃で30分間撹拌し、反応を完結させた。次いで、50℃に昇温し、同温度でアセトンを減圧除去せしめた。得られた水分散体は乳白色で、不揮発分37%であり、室温で3ヶ月以上安定であった。
【0072】
(実施例2)
平均分子量2000のポリテトラメチレングリコールの647部と、2,2−ジメチロールプロピオン酸の58部と、20部のネオペンチルグリコールをフラスコに入れ、窒素シール下80℃で285部のイソホロンジイソシアネートと、生成イソシアネートプレポリマーのイソシアネート基%が約2.5に減少するまで反応させた。得られたプレポリマーを252部のアセトンに溶解して、不揮発分が80%、イソシアネート基%が2.0、溶液酸価が19のウレタンプレポリマーを得た。
【0073】
次いで、ウレタンプレポリマーの200部を、25%アンモニア水の1.2部を含有する283部の水に投入して、乳白色の分散体が得られた。次いで、乳白色分散体に、1.3部のヒドラジン及び、11.7部の水及び、3.4部の25%アンモニア水の混合物を添加した。40℃で30分間保持した後、25%アンモニア水を4.6部加え、アンモニアを該イオン形成性基に対して過剰にした。
【0074】
次いで、50℃に昇温して、同温度で減圧蒸留してアセトン及び過剰のアンモニアを除去せしめた。得られた水分散体は不揮発分が35%の乳白色の液体であり、室温で3ヶ月以上安定であった。同じ操作を繰り返したところ、再現性良く水分散性ポリウレタンが製造できた。
【0075】
(実施例3)
2,2−ジメチロールプロピオン酸124部と、「プラクセル212」(ダイセル化学工業株式会社製、ポリカプロラクトンジオール;平均分子量1250)の1056部と、アセトン400部をフラスコに投入し、混合した。その混合物を窒素シール下で、イソホロンジイソシアネート312部と80℃でイソシアネート基が無くなるまで反応させた。この反応物は不揮発分80%、溶液水酸基価26、溶液酸価26であった。
【0076】
得られたイオン形成性基含有ポリオールの292部、「バーノック DN−980S」(大日本インキ化学工業株式会社製のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート樹脂;イソシアネート基濃度=21.0%)の82部、ジブチル錫ジラウレート0.2部とアセトン272部との混合液を、25%アンモニア水の4.6部を含有する667部の水に投入し、乳白色の分散体を得た。
【0077】
次いで、この分散体に80%水加ヒドラジンの7.7部と水の69部と25%アンモニア水の4.6部の混合物を投入し、30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持し、次いで40℃に降温し、25%アンモニア水9.2部投入して、該イオン形成性基に対して、アンモニアを過剰にした。次いで、50℃に昇温し、同温度で減圧蒸留して、アセトン及び過剰のアンモニアを除去せしめた。得られた水分散体は、不揮発分が30%であり、室温で3ヶ月間以上安定であった。同じ操作を繰り返し、再度水分散性ポリウレタンを製造したところ、再現性良好であった。
【0078】
(比較例1)
80%水加ヒドラジンの代わりにエチレンジアミンの7.4部に変更した他は、実施例3と同様な操作で合成を行ったところ、エチレンジアミンを投入した際に、多量の凝集物が生成し、安定な水分散体が得られなかった。
【0079】
(比較例2)
実施例3で用いたイオン形成性基含有ポリオールの292部、「バーノックDN−980S」の82部、ジブチル錫ジラウレート0.2部とアセトン272部との混合液を、25%アンモニア水の8.7部(中和当量の95%)を含有する667部の水に投入し、乳白色の分散体を得た。
【0080】
次いで、この分散体に80%水加ヒドラジンの7.7部と水の69部と25%アンモニア水の0.5部の混合物を投入し、30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持し、次いで40℃に降温し、25%アンモニア水9.2部投入して、該イオン形成性基に対して、アンモニアを過剰にした。次いで、50℃に昇温し、同温度で減圧蒸留して、アセトン及び過剰のアンモニアを除去せしめた。得られた水分散体は、不揮発分が30%の乳白色液体であったが、安定性が悪く、1ヶ月後沈澱物を確認した。
【0081】
(比較例3)
実施例3で用いたイオン形成性基含有ポリオールの292部、「バーノックDN−980S」の82部、ジブチル錫ジラウレート0.2部とアセトン272部との混合液を、25%アンモニア水の1.4部(中和当量の15%)を含有する667部の水に投入したところ、水への分散が不十分であった。
【0082】
次いで、この分散体に80%水加ヒドラジンの7.7部と水の69部と25%アンモニア水の7.8部の混合物を投入し、30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持し、次いで40℃に降温し、25%アンモニア水9.2部投入して、該イオン形成性基に対して、アンモニアを過剰にした。次いで、50℃に昇温し、同温度で減圧蒸留して、アセトン及び過剰のアンモニアを除去せしめた。得られた水分散体は、水に分散していない沈澱物が多く存在しており、不揮発分が30%の乳白色液体であったが、安定性が悪く、1ヶ月後沈澱物を確認した。
【0083】
(実施例4)
ネオペンチルグリコールの100部、1,6−ヘキサンジオールの264部、2,2−ジメチロールプロピオン酸の116部、アジピン酸の520部をフラスコに仕込み、180℃で1時間保持し、4時間を要して230℃まで昇温して、7時間同温度でエステル化反応させた。次いで、100℃にて減圧して系内に残存する水を除去した。その後60℃まで降温し、メチルエチルケトン291部で溶解して、不揮発分75%、溶液水酸基価48、溶液酸価42のイオン形成性基含有ポリオールを得た。
【0084】
得られたイオン形成性基含有ポリオール200部に、「バーノック DN−950」(大日本インキ化学工業株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートアダクト型ポリイソシアネート樹脂;不揮発分=75%,固形分換算イソシアネート基濃度=16.8%)の171部及び、ジブチル錫ジラウレートの0.2部、メチルエチルケトン185部を入れ、これらを混合した。
【0085】
この混合液を、25%アンモニア水の2.5部を含む水の607部に投入して、乳白色の分散体を得た。
【0086】
次いで、この分散体にヒドラジンの4.9部と水の44部を混合物を添加し、15分後に25%アンモニア水の7.7部の混合物を投入した。30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持した後、同温度で減圧蒸留して、有機溶剤を除去せしめた。得られた水分散体は、不揮発分が30%であり、室温で3ヶ月間以上安定であった。同じ操作を繰り返し、再度水分散性ポリウレタンを製造したところ、再現性良く製造できた。
【0087】
(実施例5)
メチルメタクリレート177部、ブチルアクリレート111部、メタクリル酸21部、β−ヒドロキシエチルメタクリレート41部、パーブチルO(日本油脂株式会社製のtert−ブチルペルオキシオクトエート)の10部の混合液を調整した。次に、234部のメチルエチルケトンを仕込んだフラスコを80℃に昇温し、窒素シール下撹拌しながら混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に同温度で10時間反応させて、不揮発分60%、溶液水酸基価27、溶液酸価21のイオン形成性基含有ポリオールを得た。
【0088】
得られたイオン形成性基含有ポリオールの300部、「バーノック DN−980S」の86部、ジブチル錫ジラウレート0.2部とアセトン57部との混合液を、25%アンモニア水の5.3部を含有する587部の水に投入し、乳白色の分散体を得た。
【0089】
次いで、この分散体にヒドラジンの3.9部と水の35部と25%アンモニア水の2.3部の混合物を投入し、30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持し、次いで40℃に降温し、25%アンモニア水30.4部投入して、該イオン形成性基に対して、アンモニアを過剰にした。次いで、50℃に昇温し、同温度で減圧蒸留して、アセトン及び過剰のアンモニアを除去せしめた。得られた水分散体は、不揮発分が30%であり、室温で3ヶ月間以上安定であった。同じ操作を繰り返し、再度水分散性ポリウレタンを製造したところ、再現性良好であった。
【0090】
(実施例6)
ジメチロールブタン酸123部と、「プラクセル210」(ダイセル化学工業株式会社製、ポリカプロラクトンジオール;平均分子量1000)の833部と、アセトン321部をフラスコに投入し、混合した。その混合物を窒素シール下で、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート328部と80℃でイソシアネート基が無くなるまで反応させた。この反応物は不揮発分80%、溶液水酸基価29、溶液酸価29であった。
【0091】
得られたイオン形成性基含有ポリオールの300部、「バーノック DN−980S」の93部、ジブチル錫ジラウレート0.2部とアセトン272部との混合液を、25%アンモニア水の4.2部を含有する695部の水に投入し、乳白色の分散体を得た。
【0092】
次いで、この分散体に80%水加ヒドラジンの8.7部と水の78部と25%アンモニア水の6.3部の混合物を投入し、30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持し、次いで40℃に降温し、25%アンモニア水10.5部投入して、該イオン形成性基に対して、アンモニアを過剰にした。次いで、50℃に昇温し、同温度で減圧蒸留して、アセトン及び過剰のアンモニアを除去せしめた。得られた水分散体は、不揮発分が30%であり、室温で3ヶ月間以上安定であった。
【0093】
(実施例7)
実施例1で使用したイオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマー182部と、「バーノック DN−980S」の18部と、アセトン42部と、ジブチル錫ジラウレートの0.1部の混合物を、25%アンモニア水の3.2部と水の277部に投入して、乳白色の分散体を得た。
【0094】
次いで、この分散体に80%水加ヒドラジンの7.0部と水の63部を投入し、15分後、25%アンモニア水の1.4部を投入し、30分そのまま撹拌し、更に70℃で1時間保持し、次いで50℃に降温し、同温度で減圧蒸留して、アセトンを除去せしめた。得られた水分散体は、不揮発分が30%であり、室温で3ヶ月間以上安定であった。同じ操作を繰り返し、再度水分散性ポリウレタンを製造したところ、再現性良好であった。
【0095】
(実施例8)
「バーノック DN−980S」の1.4部及び80%水加ヒドラジンの4.7部を用いるように変更した以外は、実施例7と同様にして、不揮発分が27%で、3ヶ月間以上安定な水分散体が得られた。
【0096】
(比較例4)
前述の特開平3−50224号公報に記載の製造方法の追試を行った。実施例3で得られたイオン形成性基含有ポリオールの292部、「バーノックDN−980S」の82部、ジブチル錫ジラウレート0.2部とアセトン272部との混合液を、トリエチルアミンの13.7部を含有する659部の水に投入し、乳白色の分散体を得た。
【0097】
次いで、この分散体に80%水加ヒドラジンの7.7部と水の69部の混合物を投入し、30分そのまま撹拌した。次いで、50℃に昇温し、減圧蒸留でアセトンを除去せしめて、イオン形成性基に対する対イオンが、トリエチルアミンから誘導されたイオン((Et)3N+H)である、水分散性ポリウレタンを合成した。得られた水分散性ポリウレタンは、不揮発分30%であり、室温で3ヶ月以上安定であった。
【0098】
得られた水分散性ポリウレタンを、以下の条件でアンモニアと置換せしめた後、減圧下で除去して、置換率を測定した。置換率測定は、特開平3−50224号公報に記載の方法によった。結果を表1に示す。いずれにおいても、一部は依然として、トリエチルアミンと塩を形成していることが示唆された。
【0099】
【表1】
【0100】
【発明の効果】
本発明は、安全性が高いアンモニウムイオン(+NH4)を対イオンとした水分散性ポリウレタンを、アミンからの置換等の煩雑な工程を経ることなく、かつイソシアネート基との副反応を生じず、乾燥性、再現性等の生産性、作業環境性、貯蔵安定性に優れる、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法を提供することができる。
Claims (5)
- イオン形成性基とイソシアネート基とを含有するウレタンプレポリマーを、該イオン形成性基の中和量の20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成し、次いで、該イオン形成性基の100%中和量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物とを添加し反応させることを特徴とする、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法。
- (A)イオン形成性基含有ポリオールと、(B)ポリイソシアネートとを、イオン形成性基含有ポリオールの水酸基に対して、ポリイソシアネートのイソシアネート基が化学量論的に過剰となる量比で混合し、該混合物のイオン形成性基の部分中和となる20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成し、次いで、該イオン形成性基の100%中和量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物とを添加し反応させることを特徴とする、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法。
- (A)イオン形成性基含有ポリオールと、(B)ポリイソシアネートの総モル中、1〜100モル%が3官能以上の官能基を有する、イオン形成性基含有ポリオール及び/又はポリイソシアネートを用いることを特徴とする、請求項2記載の製造方法。
- イオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、ポリイソシアネートとの混合物を、該混合物のイオン形成性基の部分中和となる20〜90%当量のアンモニア及び水と混合することにより分散相を形成し、次いで、該イオン形成性基の100%中和量になる残りのアンモニアとヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物とを添加し反応させることを特徴とする、イオン形成性基に対する対イオンがアンモニウムイオン(+NH4)である、水分散性ポリウレタンの製造方法。
- イオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーと、ポリイソシアネートの総量中、1〜75モル%が3官能以上の官能基を有する、イオン形成性基を含有する、末端イソシアネート基のウレタンプレポリマー及び/又はポリイソシアネートを用いることを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
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