JP3653535B2 - 新規チオエーテル誘導体、その製造方法及び用途 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、新規チオエーテル誘導体、その製造方法及び用途、特にS含有デンドリマー及びその合成中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
デンドリマー化合物は、特異な高分子構造を有し、広範囲な分野への応用が期待されている。デンドリマー化合物は中心のコア(核)と、規則的正しい枝分かれ(ユニット)を繰り返して構成される樹状構造と最外層に配置される表面官能基とが三次元的に展開する特異な化学構造を有し、例えばナノ科学、通信科学、電子材料科学、医学、薬学、生物学、界面科学、材料科学等の分野で多くの研究がなされている(VCH出版会社1996年発行の「Dendritic Molecules」、1998年6月現代化学第20〜40頁「デンドリマーの分子設計」、「デンドリマ−の多彩な機能」、高分子47巻11月号(1998年)「デンドリマーの非線形光学材料への応用」)。デンドリマーの科学は1990年半ばころから脚光を浴び研究数が増えてきた最新の科学といえる。
又、例えば医薬・農薬への利用(特開平7−330631)、太陽電池、電子写真感光体への利用(特開平11−40871)、電子材料への利用(特開平11−171812)、液晶への利用(特開2000−264965)、塗料、インキへの利用(特開平11−140180)、蛍光性樹脂シートへの利用(特開平11−323324)、検出又は定量方法への利用(特開平11−218494)、生物応答調節剤への利用(特表平8−510761)等、種々の産業上利用可能な発明が提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は優れた機能を有する新規デンドリマー化合物ならびにその製造のために有用な新規合成中間体を提供することを課題とする。
より具体的には、光又は電気等のエネルギーを受けると、樹状構造部分に存在する電子が直ちに電子不足となっているコアに流入して、コア部分が発光することができる。従って電子材料(例えばメモリーのスイッチ)として有用な新規デンドリマー化合物を提供することを主目的とする。
本発明のその他の目的は、下記の発明から明らかとなる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して本発明者らは鋭意検討した結果、本発明のS原子含有デンドリマー化合物の創製に成功した。
又、本発明者らは、本発明のデンドリマー化合物は樹状構造部に多数のイオウ原子を使用することで、酸素原子にはないd−軌道電子の活用を検討した。イオウ原子のd−軌道電子は酸素原子のp−軌道電子よりも原子核により遠く存在するので、より動きが自由な電子であること、光又は電気エネルギーがd−軌道電子により、電子不足構造となっているコアに容易に伝達されること、コア構造に発光性化合物残基を用いると伝達された電子によってコア部分が発光すること、酸素原子よりもイオウ原子の方が樹状構造とコアとの分極が大きいこと、従って本発明のデンドリマー化合物は例えば電子材料(例えばメモリーのスイッチ手段)として有用であること等の新知見を得た。
【0005】
又、本発明者らは、S原子含有デンドリマー化合物は酸化による劣化が起こり得るが、樹状構造の外側(コアと反対側)に表面官能基として、立体的にバルキーな置換基(好ましくはt−ブチル基)を配することにより、デンドリマー化合物の耐久性を増大させ高寿命化をもたらすことも知見した。
又、本発明者らは、本発明のS原子含有デンドリマーが特定構造の新規合成中間体から工業的に有利に製造され得ることを知見した。
本発明者らはこのような数多くの新知見を得、さらに検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は
(1) コアと、下記式;
【化8】
〔式中、環Aは同素又は複素六員環を表す。〕
で表されるユニット1からなる樹状構造と、表面官能基とを必須構成要素として含有することを特徴とするデンドリマー化合物、
(2) コアと、前記(1)に記載のユニット1及び下記式;
【化9】
〔式中、環Aは同素又は複素六員環を表す。〕
で表されるユニット2又は/及び下記式;
【化10】
〔式中、環Aは同素又は複素六員環を表す。〕
で表されるユニット3からなる樹状構造と、表面官能基とからなることを特徴とするデンドリマー化合物、
(3) コアと、前記(1)に記載のユニット1からなる部分樹状構造、前記(2)に記載のユニット2からなる部分樹状構造及び前記(2)に記載のユニット3からなる部分樹状構造のうち2種以上部分樹状構造を有する樹状構造と表面官能基とからなることを特徴とするデンドリマー化合物、
(4) 樹状構造の世代数が2〜10であって、樹状構造が、前記(1)に記載のユニット1からなる世代と、前記(2)に記載のユニット2からなる世代又は/及び前記(2)に記載のユニット3からなる世代とから構成されていることを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれかに記載のデンドリマー化合物、
(5) ユニット1、ユニット2及びユニット3の環Aが、ベンゼン環、ピリミジン環又はトリアジン環であることを特徴とする前記(1)〜(4)に記載のデンドリマー化合物、
(6) 表面官能基が、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基、第四アンモニウム基であることを特徴とする前記(1)〜(5)に記載のデンドリマー化合物、
(7) 表面官能基が、t−ブチル基である前記(6)に記載のデンドリマー化合物、
(8) コアが発色官能基であることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載のデンドリマー化合物、
(9) コアがローダミン色素、キナゾリン、ペリレン(perylene)、アゾ化合物、2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル、ポルフィリン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1−(4,4’,4”−トリヒドロキシフェニル)エタンおよびクマリン誘導体から選ばれる化合物の残基であることを特徴とする前記(1)〜(7)に記載のデンドリマー化合物、
(10) 下記式;
【化11】
〔式中、環Aは、
【化12】
を表される環であって、結合手が延びている位置に置換基B、置換基C及び置換基Dを有し、上記環の結合手以外の位置は置換されていてもよく、
置換基Bは、−S(O)nR1
{式中、nは0〜2の整数を表し、R1は置換基を表す。}
を表し、
置換基Cは、X1R2
{式中、X1は介在基を表し、R2は置換基を表す。}
を表し、
置換基Dは、環Aと炭素原子を介して結合している置換基を表す。〕
で表されるチオ化合物、
(11) R1及びR2が、それぞれ同一又は異なってアルカリ金属、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基又はチオカルバモイル基である前記(10)に記載のチオ化合物、
(12) X1がメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホキサイド又はスルホン基である前記(10)又は(11)に記載のチオ化合物、
(13) 置換基Dが、シアノ基、ホルミル基又はX2R3〔式中、X2は置換されていてもよいメチレン基、カルボニル基又はチオカルボニル基を表し、R3は保護されていてもよい水酸基、メルカプト基又はアミノ基を表す(但し、X2がカルボニル基でR3が水酸基である場合を除く)。〕で表される基である前記(10)〜(12)のいずれかに記載のチオ化合物、
(14) 3,5−ジメルカプトベンジルアルコール、
(15) 3,5−ジメルカプトベンジルメルカプタン、及び
(16) 式
【化13】
〔式中、R1及びR2はそれぞれ(1)ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、(2)水素原子、(3)フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アルコキシ基又はチオアルコキシ基等で置換されていてもよいアルキル基、(4)上記置換基で置換されていてもよいフェニル基、又は(5)上記置換基で置換されていてもよいアラルキル基、(6)式
【化14】
で表されるジ置換カルバモイル基又はチオカルバモイル基を表す。ここで、R7は(1)フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、(2)上記置換基で置換されていてもよいフェニル基、又は(3)上記置換基で置換されていてもよいアラルキル基を表し、Zは酸素原子もしくは硫黄原子を表す、
nは0〜2の整数を、Xはメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子、スルホオキサイド、又はスルホン基を表す、
R3及びR4は(1)水素原子、(2)フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、(3)上記置換基で置換されていてもよいフェニル基、又は(4)上記置換基で置換されていてもよいアラルキル基、もしくはR3及びR4で結合を形成してメチン基、ケトン基もしくはチオケトン基を形成していてもよい。更に、C、R3、R4及びR5でシアノ基を形成していてもよいことを表す、
R5は(1)水酸基、(2)メルカプト基、(3)アミノ基、(4)ホルミル基、(5)フッ素原子、塩素原子、臭素原子等ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、(6)上記置換基で置換されていてもよいアルコキシ基、(7)上記置換基で置換されていてもよいチオアルコキシ基、(8)上記置換基で置換されていてもよいフェニル基、又は(9)上記置換基で置換されていてもよいアラルキル基を表す、
R6は水素、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基、ジメチルアミノ基、又はジエチルアミノ基を意味する。〕で表される化合物又はその塩、
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における用語の定義は、下記のとおりである。
アルキル基は直鎖もしくは分枝状であってよく、炭素数1〜6のものが優れている。
アルコキシ基は直鎖もしくは分枝状であってよく、炭素数1〜6のものが優れている。
アラルキル基はアリール基とアルキル基とが結合した基であって、アルキル基は上記の同意義であって、アリール基は炭素数5〜12のものが優れ、好ましくは炭素数6〜8である。アリール基は複素芳香環であってよく、1〜3の炭素原子と1〜3の酸素、イオウ又は/及び窒素原子からなるものが優れている。
「置換されていてもよい」における置換基としては例えば炭素数1〜20の炭素数を有する炭化水素基(例えば炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜12のアラルキル基等の炭化水素基が好ましい)、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
又、介在基としては、例えば直鎖もしくは分枝状の炭素数1〜6のアルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−SO−又は−O−、−S−、−SO2−、もしくは−SO−を含む炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられる。
表面官能基は、置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であってよく、好ましくは式
【化15】
(式中、Aは上記の定義と同一)で表わされる。Aは、好ましくは例えば1〜3個の上記アルキル基、1〜3個の上記アルコキシ基又は/及び1〜3個のCONH(CH2)2N+(CH3)3、最も好ましくは1〜3個のt−ブチル基で置換されている。1〜3個のうち、2個の置換基による置換が好ましい。
【0008】
本発明において、同素又は複素六員環としては、具体的にはベンゼン環、ピリジン環、トリアジン環、ジアジン環(たとえばピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環など)が挙げられる。
表面官能基としては、具体的にはt−ブチル基、CONH(CH2)2N+(CH3)3、メトキシ基などのアルコキシ基等が挙げられるが、本発明においては最も好ましくはt−ブチル基である。
アルキル基は、直鎖もしくは分枝状であってよく、好ましくは炭素数がC1−4であるものが好ましい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。アルコキシは、直鎖もしくは分枝状であってよく、好ましくは炭素数がC1−4であるものが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
発色官能基としては、公知の発色官能基であってよく、具体的には例えばD−ダミン色素、キナゾリン、ペリレン、アゾ化合物、2,5−ジヒドロ安息香酸メチルエステル、ポルフィリン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル又は1−(4,4’,4”−トリヒドロキシフェニル)エタンから導かれる基が好ましい。
上記(10)〜(14)に記載された合成中間体は新規化合物であるが、自体公知の反応に従い工業的に容易に製造され得るその一例を以下に示す。
【0009】
【実施例】
【化16】
【0010】
このようにして得られる合成中間体を用いて、デンドリマーを製造する。自体公知の反応手段、例えば中心のコアから外側の樹状構造さらに表面官能基に向かって化学合成を進めていくダイバージェント合成法又は最外層の表面官能基から内側に向かって樹状構造さらにコアに向かって化学合成を進めていくコンバージェント合成法のいずれでもよい。
このようにして下記する化合物やデンドリマーが得られる。
【0011】
【化17】
【0012】
上記の製造方法の反応をさらに進めると例えば下記するより世代数の大きいデンドリマー化合物が得られる。
【化18】
【0013】
【化19】
【0014】
次いで、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例のみ限定して解釈すべきではない。実施例に関する反応を図示する。Exは実施例を表す。
【0015】
【化20】
【0016】
【化21】
【0017】
【化22】
【0018】
【化23】
【0019】
【化24】
上記と同様にして下記化合物を製造できる。
【0020】
【化25】
【0021】
【化26】
【0022】
【化27】
【0023】
【化28】
【0024】
【化29】
【0025】
【化30】
【0026】
【化31】
【0027】
本発明化合物の用途についての一例を図に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明の単一電子トンネル素子の層構成を示す模式図である。
本発明では、基板1上に下部電極2、下部ポリイミドLB膜層3、中間電極層4、上部ポリイミドLB膜層5及び上部電極6を順次積層することにより、単一電子トンネル素子を構成する。
基板1を構成する材料としては特に制限はなく、例えば金属、ガラス、陶磁器、セラミックス、プラスチック等の通常電子部材の基板として使用される材料を使用することができる。また、下部電極2及び上部電極6としては、金、銀、銅などの金属薄膜等を使用することができる。下部電極2の上には、下部ポリイミドLB膜層3を形成させる。
本発明において、ポリイミドLB膜とはラングミュア・ブロジェット法により形成された、ポリイミドの単分子膜あるいはその累積膜を意味する。本発明の単一電子トンネル素子では、この下部ポリイミドLB膜層3を13−30層のポリイミド単分子膜を累積することで構成できる。
ポリイミドLB膜を構成するポリイミドとしては、各種の構造を有するポリイミドを使用することが可能であるが、式25で表される繰り返し単位を有するポリイミドを使用した場合には、単分子膜の厚さが制御可能となるので好ましい。その場合、ポリイミドLB膜層3の形成は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の状態で単分子膜の累積を行った後に、化学処理によりイミド化を行うことが好ましい。
【0028】
【化32】
【0029】
次に、下部ポリイミドLB膜層3の上に、中間電極層4として本発明デンドリマー分子を挿入したポリイミドLB膜を単分子層形成する。その際に、本発明デンドリマー分子を中間電極として機能させるためには、ポリイミドLB膜中に本発明デンドリマー分子を適当な濃度(0. 01‐1%)で使用することが必要である。中間電極層4の上には、上部ポリイミドLB膜層5を下部ポリイミドLB膜層3と同様に形成させる。この上部ポリイミドLB膜層5は、20−30層のポリイミド単分子膜を累積することで構成される。この上部ポリイミドLB膜層5の上に、上部電極6を積層することによって、本発明の単一電子トンネル素子が得られる。この単一電子トンネル素子では、電子トンネル層となる、下部ポリイミドLB膜層3、上部ポリイミドLB膜層5及び中間電極層4を全てポリイミドLB膜からなる有機分子材料により構成することで、良好な単一電子トンネル伝導特性を発現させることが可能となる。
【0030】
実施例1
メチル 3,5−ビス−ジメチルチオベンゾエートの製造
【化33】
メチル 3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルフェニルベンゾエート20gを乾燥メタノール500に加熱溶解し、窒素雰囲気中ナトリウムメトキシド30gを滴下した。その後、混合物を1時間加熱還流下に反応させてから、少し冷やし、沃化メチルを過剰に加え、混合物を3時間加熱還流下に反応させ、減圧下に濃縮して得た残渣をクロロホルムを用いるクロマトグラフィーで精製して目的物を得た。収量10.5g(79.3%)、融点46℃。
1H-NMR(δppm, CDCl3, TMS); 2.5(6H, s), 3.9(3H, s), 7.2(1H, s), 7.6(2H, s)
【0031】
実施例2
3,5−ジメチルメルカプトベンジルアルコールを経て3,5−ジメチルメルカプトベンジルブロマイドの製造
【化34】
ソディウムジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート(トルエン中70%、50g、0.17モル)を乾燥テトラヒドロフランに窒素気流中に溶解し、これにメチル 3,5−ジメチルメルカプトベンゾエート22.8gのテトラヒドロフラン100mL溶液を5〜10℃で滴下した。その後、混合物を同温度で6時間撹拌した。これを50mLの濃塩酸と氷水1Lとの混合物に加え、クロロホルム1Lで抽出した。抽出液をクロロホルムを展開液としたクロマトグラフィーで精製した。溶出液を減圧下に濃縮乾固して得られた残渣を石油エーテルで洗浄して3,5−ジメチルメルカプトベンジルアルコールを得て、このものを乾燥THF300mLに溶解する。さらにCBr435gを加えて、10℃以下で攪拌しながらPPh327gを加える。反応液は一旦淡黄色の透明液となるが徐々に白結晶(−PPh3→0)が析出する。3時間20〜25℃で反応後、白結晶を除き、濃縮し残渣をカラムクロマト(CH2Cl2:ヘキサン=1:1)で精製し、3,5−ジメチルメルカプトベンジルブロマイドを得た。収量21.6g(82%)、融点76〜77℃。THFはテトラヒドロフランを表わす(明細書の他の個所でも同じ)。
【0032】
実施例3
メチル 3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプトベンジルオキシ)ベンゾエートを経て3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプト−ベンジルオキシ)ベンジルアルコールの製造
【化35】
3,5−ジメチルメルカプトベンジルブロマイド21.0g(0.080モル)、メチル 3,5−ジヒドロキシベンゾエート6.7g(0.040モル)、炭酸カリウム28.0g(0.20モル)および18−クラウン−6 2.1g(0.0080モル)を乾燥アセトン500mLに加え、窒素雰囲気中15時間、加熱還流させて反応させた。反応液から不溶物を濾去し、濾液を減圧下に濃縮乾固した。残渣をクロロホルムを展開液としたカラムクロマトグラフィーで精製し、溶出液を減圧下に濃縮してメチル 3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプトベンジルオキシ)ベンゾエートを得た。収量21.0g(98.9%)、融点121〜122℃
1H-NMR(δppm, CDCl3, TMS) ; 2.4(12H, s), 3.8(3H, s), 4.9(4H, s), 6.3〜7.2(9H, m)
ソディウム ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート(トルエン中70%、22.7g、0.078モル)にメチル 3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプトベンジルオキシ)ベンゾエート21.0gを180mLのテトラヒドロフランに溶解した溶液を窒素気流中5〜10℃で30分間で滴下した。その後、反応混合物を5時間撹拌し、これを希塩酸2L中にあけた。クロロホルム1Lで抽出した。抽出液を減圧下に濃縮乾固し、残渣をクロロホルムを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーで精製して、3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプト−ベンジルオキシ)ベンジルアルコールを得た。収量17.5g(85.6%)。
1H-NMR(δppm, CDCl3, TMS); 2.4(12H, s), 4.6(2H, s), 4.9(4H, s), 6.5〜7.0(9H, m)
【0033】
実施例4
3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプト−ベンジルオキシ)ベンジルブロマイドの製造
【化36】
3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプト−ベンジルオキシ)ベンジルアルコール17.0g(0.033モル)とテトラブロモカーボン14.2g(0.043モル)とをテトラヒドロフラン100mLに溶解し、1.0〜10℃でトリフェニルフォスフィン 11.3g(0.043モル)を少しづつ加える。その後、上記温度に反応液を保ちながら7時間撹拌した。これを氷水300mLにあけて、クロロホルムで抽出した。抽出液をクロマトグラフィーで精製して、7.0gの3,5−ビス−(3,5−ジメチルメルカプト−ベンジルオキシ)ベンジルブロマイドを得た。
1H-NMR(δppm, CDCl3, TMS) ; 2.4(12H, s), 4.4(2H, s), 4.9(4H, s), 6.5〜7.1(9H, m)
【0034】
実施例5
メチル 3,5−ビス−ジメチルチオカルバモイルオキシベンゾエートの製造
【化37】
メチル 3,5−ジヒドロキシベンゾエート(168.2g、1.000モル)、ジメチルチオカルバモイル クロライド(280.4g、2.20モル、純度:97%)、炭酸カリウム(300g、2.17モル)およびアセトン(3000mL)を撹拌機付きの5L丸底フラスコに入れた。反応混合物を撹拌下に40〜50℃で24時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮してアセトンを除去し過剰量の水で冷却するとメチル 3,5−ビス−ジメチルチオカルバモイルオキシベンゾエートが無色結晶として得られ、これをエチルアルコールから再結晶すると297.5g(収率87%)の針状晶が得られた。融点132〜133℃。
1H-NMR(CDCl3); 3.34(6H, s, Me x 2), 3.44(6H, s, Me x 2), 3.90(3H, s, Me), 7.05-7.09(1H, m, ph-H), 7.64-7.67(2H, s, ph-H)
MeはCH3を、phはフェニルを表わす(上記、下記の本明細書を通じて同じ)。
【0035】
実施例6
メチル 3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンゾエートの製造
【化38】
メチル 3,5−ビス−ジメチルチオカルバモイルオキシベンゾエート(297.0g、0.867モル)を210〜213℃で撹拌下に1,3−イミダゾリジノン(1000mL)に加えた。加熱還流条件下に反応を3時間行い、1,3−イミダゾリジノンを溜去すると粘稠な液体が得られた。これに酢酸エチル(1000mL)を加え、5%冷水酸化ナトリウム水溶液(300mL)および飽和食塩水(300mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。
酢酸エチルを溜去した後、残渣をトルエン(500mL)で再結晶するとメチル 3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンゾエートが無色針状晶として得られた。219g(収率74%)、融点128〜130℃
1H-NMR(CDCl3); 3.05(12H, s, Me x 4), 3.90(3H, s, Me), 7.82(1H, S, ph-H), 8.17(2H, s, ph-H)
【0036】
実施例7
メチル 3,5−ジメルカプトベンゾエートの製造
【化39】
メチル 3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンゾエート(34.2g、0.100モル)を43gの28%ソディウムメトキシドメチルアルコール溶液(0.223モル)とメチルアルコール(150mL)との混合物と22〜25℃で反応させた。500mLの氷水で冷却し、反応混合物を濃塩酸で中和すると無色結晶が得られた。これをメチルアルコールで精製するとメチル 3,5−ジメルカプトベンゾエート12.5g(収率62.5%)の無色粉末が得られた。融点61〜62℃。
1H-NMR(CDCl3); 3.51(2H, s, SH x 4), 3.87(3H, s, Me), 7.30(1H, t, J=0.1 Hz, ph-H), 8.67(2H, d, J=0.1 Hz, ph-H)
【0037】
実施例8
エチル 3,5−ジメルカプトベンゾエートの製造
【化40】
(Etはエチルを意味する。以下同じ。)
常法によるエステル化反応により上記の反応を行い、エチル 3,5−ジメルカプトベンゾエートを製造した。融点49〜51℃。
1H-NMR(CDCl3); 1.36(3H, t, J=0.02 He, Me), 3.51(2H, s, SH x 2), 4.33(2H, q, CH2), 7.31(1H, s, ph-H), 7.68(2H, s, ph-H)
又上記化合物の遊離カルボン酸である3,5−ジメルカプト安息香酸は Boiko,V.N.; Shchupak,G.M.; Yagupol'skii,L.M. Zh. Org. Khim. (1985), 21(7), 1470−1477に記載の製造方法によって製造した。
【0038】
実施例9
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニル安息香酸
【化41】
メチル 3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンゾエート(3.42g、10ミリモル)および5%水酸化ナトリウム水溶液(10mL、12.5ミリモル)とを撹拌下に22〜25℃で3時間反応させた。反応混合物を50mLの氷水で冷却し、酢酸エチルエステル(300mL×3)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。反応混合物を減圧下に濃縮し、酢酸エチルエステルを溜去すると無色結晶を得た。これをエチルアルコールから精製すると2.86g(収率87.2%)で3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニル安息香酸を無色針状晶として得た。融点196〜198℃(分解)。
1H-NMR(DMSO-d6); 2.96(6H, s, Me x 2), 3.03(6H, s, Me x 2), 7.82(1H, s, ph-H), 7.88(1H,s, ph-H), 8.10(1H, s, ph-H), 10.5(1H,br-s, OH)
【0039】
実施例10
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンジルアルコール
【化42】
20mLのトルエンに溶解したメチル 3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンゾエート(3.42g、10ミリモル)をソディウム ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネート(トルエン中70%、8.7g、30.1ミリモル)に15〜30℃で加え、撹拌下3時間加熱還流条件下に反応させた。反応混合物を10mLの濃硫酸を含む50mLの氷水で冷却し、酢酸エチルエステル(30mL×3)で抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥した。反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルエステルを溜去すると2.54gの無色油状物を得た。これをクロロホルムを溶出溶媒とするカラムクロマトグラフィーで精製すると3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンジルアルコール(1.21g、収率38.5%)が無色油状物として得られた。
1H-NMR(CDCl3); 2.90(6H, s, Me x 2), 2.94(6H, s, Me x 2), 4.67(1H, s, OH), 4.50(2H, s, CH2), 7.38(2H, s, ph-H), 7.44(1H, s, ph-H)
【0040】
実施例11
3,5−ジメルカプトベンジルアルコールの製造
【化43】
3,5−ビス−ジカルバモイルスルファニルベンジルアルコールを水酸化ナトリウムを使用する常法の加水分解により3,5−ジメルカプトベンジルアルコールを得る。
【0041】
実施例12
3,5−ジメルカプトベンジルメルカプタンの製造
【化44】
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンジルアルコールを水酸化ナトリウムを使用する常法により3,5−ジメルカプトベンジルアルコールを得て、これを実施例17と同様にブロム化して3,5−ジメルカプトベンジルブロマイドを得て、これを常法に従いチオ尿素と反応させたのち分解反応を行い、3,5−ジメルカプトベンジルメルカプタンを得る。
【0042】
実施例13
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルアニリンの製造
【化45】
常法に従い、3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンズアミドをNaNO3/HClと反応させて、3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルアニリンを得る。
【0043】
実施例14
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンズアミドの製造
【化46】
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルフェニル安息香酸(3.28g、10ミリモル)とチオニルクロライド(30ミリモル)とを30mLのトルエンに加え、混合物を加熱還流条件下で2時間反応させた。過剰のチオニルクロライドとトルエンを除いた後、残渣をアンモニアエタノール溶液(10%、10mL)にそそぐと無色結晶として3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンズアミドが得られた。融点264〜265℃。
【0044】
実施例15
メチル 3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンゾエートの製造
【化47】
メチル 3,5−ジメルカプトベンゾエート(20.0g、100.0mmol)、3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルブロマイド(57.0g、201.2mmol)、0.3gの18−クラウンエーテル−6(和光純薬製)および炭酸カルシウム(28.0g、202.6mmol)をアセトン350mLに加えて、12時間加熱還流する。反応終了後、析出塩を除き、アセトンを除去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し(n−ヘキサン:ジクロルメタン=1:1)、目的物を無色針状晶として53.0gのメチル 3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルルベンジルスルファニル)ベンゾエートを得た。融点102〜103℃。
1H-NMR(CDCl3); 1.29(36H, S, tert-Bu-H), 3.70(3H, S, Me), 3.90(4H, S, SCH2), 7.10(4H, S, ph-H), 7.29(3H, br-S, ph-H), 7.77(12H, S, ph-H)
【0045】
実施例16
3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンジルアルコールの製造
【化48】
メチル 3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンゾエート(52.0g、86.0mmol)をトルエン300mLに溶解し、35℃以下に保ちながらソディウムジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミネートの70%トルエン溶液(52g、180.0mmol)を滴下し、同条件で2時間撹拌する。反応終了後、冷10%塩酸溶液500mL中に反応液を注入し、10分間撹拌後トルエン層を分離、無水MgSO4で脱水する。トルエン層を濃縮後、カラムクロマト精製(ジクロルメタン)し、無色粘稠性物質として3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンジルアルコール4.96gを得た。
1H-NMR(CDCl3); 1.42(36H, S, tert-Bu-H), 4.18(4H, S, S-CH2), 4.67(2H, S, CH2O), 7.23-7.26(7H, m, ph-H), 7.42(2H, S, ph-H)
【0046】
実施例17
3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンジルブロマイドの製造
【化49】
3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンジルアルコール(49.0g、84.9mmol)および四臭化炭素(28.2g、85.0mmol)をTHF(テトラヒドロフラン)300mLに溶解し、トリフェニルホスフィン(23.5g、89.6mmol)を10℃以下で撹拌しながら加える。反応液は、一旦透明液となり徐々に無色結晶が析出してくる。その後、反応混合物を25〜30℃で1夜撹拌し、析出晶を濾去し濃縮する。残渣はカラムクロマト精製(n−ヘキサン:ジクロルメタン=1:1)し、無色粘稠物質として3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンジルブロマイド34.8gを得た。
1H-NMR(CDCl3); 1.43(36H, S, tert-Bu-H), 4.18(4H, S, SCH2), 4.44(2H, S, CH2Br), 7.23-7.25(7H, m, ph-H), 7.43(2H, S, ph-H)
【0047】
実施例18
デンドリマーIの製造
【化50】
3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンジルブロマイド(34.0g、53.1mmol)を用いて、実施例15と同様の方法で目的物として21.0gのデンドリマーI(無色粘稠物質)を得た。
1H-NMR(CDCl3); 1.28(72H, S, tert-Bu-H), 3.76(3H, S, Me), 3.89(12H, S, SCH2), 7.10(12H, S, ph-H), 7.30(7H, S, ph-H), 7.78(2H, S, ph-H)
【0048】
実施例19
デンドリマーIIの製造
【化51】
デンドリマーI(20.0g、15.17mmol)を用いて、実施例16と同様の方法で目的物デンドリマーIIを13.4g(無色粘稠性物質)を得た。
1H-NMR(CDCl3); 1.40(72H, S, tert-Bu-H), 4.03(12H, S, SCH2), 4.68(2H, S, CH2O), 7.09-7.16(12H, m, ph-H), 7.30(7H, S, ph-H), 7.76(2H, S, ph-H)
【0049】
実施例20
デンドリマーIIIの製造
【化52】
デンドリマーII(13.0g、10.0mmol)を用いて、実施例17と同様の方法で6.7gの目的物デンドリマーIIIを無色粘稠性物質として得た。
1H-NMR(CDCl3); 1.40(72H, S, tert-Bu-H), 4.02(12H, S, SCH2), 4.41(2H, S, CH2Br), 7.10-7.20(12H, m, ph-H), 7.30(7H, S, ph-H), 7.70(2H, S, ph-H)
【0050】
実施例21
デンドリマーIVの製造
【化53】
デンドリマーIIIを用いて、実施例18と同様の反応によりデンドリマーIVを製造する。すなわち常法に従いデンドリマーIIIと6,8−ジニトロ−2,4−ジメルカプトキナゾリンと1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデック−7−エンとをテトラヒドロフラン中で反応させて、デンドリマーIVを製造する。
【0051】
実施例22
3,5−ジメルカプトベンズアミドの製造
【化54】
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンズアミドを常法による水酸化ナトリウム水溶液を用いる加水分解に付して、3,5−ジメルカプトベンズアミドを製造する。
【0052】
実施例23
3,5−ジメルカプトアニリンの製造
【化55】
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルアニリンを常法による水酸化ナトリウム水溶液を用いる加水分解に付して、3,5−ジメルカプトアニリンを製造する。
【0053】
実施例24
3,5−ジメルカプトベンズニトリルの製造
【化56】
3,5−ビス−ジメチルカルバモイルスルファニルベンズニトリルを常法による水酸化ナトリウム水溶液を用いる加水分解に付して、3,5−ジメルカプトベンズニトリルを製造する。
【0054】
実施例25
メチル 3,5−ビス−(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンゾエートの製造
【化57】
メチル 3,5−ジメルカプトベンゾエート(20.0g、100.0ミリモル)と3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルブロマイド(分子量283.25、57.0g、201.2ミリモル)および炭酸カリウム(分子量138.21、28.0g、202.6ミリモル)を350mLアセトンに加え、混合物を加熱還流下で12時間反応させた。アセトンと塩を除去したのち、残渣をジクロロメタンを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーで精製して、メチル 3,5−ビス(3,5−ジ−ターシャルブチルベンジルスルファニル)ベンゾエートを針状晶として得た。
【0055】
実施例26
メチル 3−ジメチルアミノスルファニル−5−ヒドロキシベンゾエイトの製造
【化58】
実施例5および6の操作法に準じて半量のジメチルチオカルバモイルクロライドを使用してメチル 3−ジメチルアミノスルファニル−5−ヒドロキシベンゾエイトをメチル 3,5−ジヒドロキシベンゾエイトから26%の収率で製造した。融点135〜138℃。
1H-NMR(CDCl3) ; 3.00 & 3.05(6H, s & s, 2 x Me), 3.58(1H, br-s, OH), 3.84(3H, s, Me), 7.05, 7.47 & 7.78(3H, s, s & s, Ph-H)
【0056】
実施例27
図2−図4は、本発明の単一電子トンネル素子の一例を示す模式図である。図2は平面図、図3は図2のXY線における断面図、そして図4は素子の接合部分を拡大した概念図である。図3において記号9は、下部ポリイミドLB膜層3、中間電極層4及び上部ポリイミドLB膜層5からなる電子トンネル層をあらわす。
この単一電子トンネル素子では、ガラス基板1の上に下部電極2として、真空蒸着法により膜厚100nmで酸化膜形成の無いAu電極を形成させた。次に、下部電極2の上に、上記の式25で表される重合度を有するポリイミドLB膜を25層累積後、化学処理によりイミド化させて、下部ポリイミドLB膜層3を形成させた。
次に、式25で表されるポリイミドと上記式24で表わされるデンドリマーを、500:1となるように混合し、下部ポリイミドLB膜層3と同様にして、本発明デンドリマー分子を挿入したポリイミドLB膜の単分子層からなる中間電極4を形成した。分子占有面積の実験から、この中間電極4では、ほぼ1μm角の面積幅に上記の式24の化合物が1000個程度存在し、中間電極として有効に機能した。
中間電極層4の上には、下部ポリイミドLB膜層3と同様にして、ポリイミドLB膜を30層累積した後に、化学処理によりイミド化させて、上部ポリイミドLB膜層5を形成させた。
最後に、上部ポリイミドLB膜層5の上に、下部電極2に交差する形で真空蒸着法により、膜厚50−100nmの酸化膜形成の無いAu電極からなる上部電極6と上部予備電極7を形成し、単一電子トンネル素子を得た。この例における、上部予備電極7は、上部電極6と共に、本発明素子の特性上の差異を比較するために、予備的に形成したものである。
また、上部電極6及び上部予備電極7の作成時には、下部電極2のエッジからの絶縁破壊並びに下部ポリイミドLB膜層3、中間電極層4及び上部ポリイミドLB膜5での欠陥による短絡を防ぐために下部電極2のエッジを覆うエッジ被覆層8を積層した。これらの操作で、素子面積50X100μm角の単一電子トンネル素子を作成した。
作成した本発明化合物利用の単一電子トンネル素子は、下部電極2と上部電極6間の抵抗が数100Mから数10GΩとなるため、測定は2端子法を用い、クライオスタット中、一定温度の下で、ステップ電圧17を印可して電流計18で電流を測定した。
絶対温度5.2Kにおいて測定したI−V特性を図5に示す。この図より、5.2Kの極低温ではあるが、単一電子トンネル特性である等間隔の電圧ステップが明確に現れている。単一電子トンネル現象に基づくステップ電圧幅は、中間電極4と下部電極2あるいは上部電極6の容量をC、電子電荷量をeとすると、
e/Cの一定電圧幅となることがわかっている。図5より、その電圧幅は、0次、1次とも約100mVとなっており、明らかに単一電子トンネル特性を示している。
なお、本明細書では%は重量%を表し、溶媒比は容量比で表してある。
【0057】
【発明の効果】
本発明のデンドリマー化合物は、光又は電気エネルギーによる刺激を受けると、直ちに発光により応答し、例えばメモリーのスイッチ機構材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の単一電子トンネル素子の層構成を示す模式図である。
【図2】 本発明の単一電子トンネル素子の1例を示す平面図である。
【図3】 図2のXX線における断面図である。
【図4】 図2の素子の接合部分を拡大した概念図である。
【図5】 本発明の単一電子トンネル素子の5.2KにおけるI−V特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 下部電極
3 下部ポリイミドLB膜層
4 中間電極層
5 上部ポリイミドLB膜層
6 上部電極
7 上部予備電極
8 エッジ被覆層
9 電子トンネル層
10 単一電子トンネル素子
17 ステップ電圧
18 電流計
Claims (13)
- コアと、請求項1に記載のユニット1からなる部分樹状構造、請求項2に記載のユニット2からなる部分樹状構造及び請求項2に記載のユニット3からなる部分樹状構造のうち2種以上部分樹状構造を有する樹状構造と表面官能基とからなることを特徴とするデンドリマー化合物。
- 樹状構造の世代数が2〜10であって、樹状構造が、請求項1に記載のユニット1からなる世代と、請求項2に記載のユニット2からなる世代又は/及び請求項2に記載のユニット3からなる世代とから構成されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のデンドリマー化合物。
- ユニット1、ユニット2及びユニット3の環Aが、ベンゼン環であることを特徴とする請求項1〜4に記載のデンドリマー化合物。
- 表面官能基が、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボキシル基、第四アンモニウム基であることを特徴とする請求項1〜5に記載のデンドリマー化合物。
- 表面官能基が、t−ブチル基である請求項6に記載のデンドリマー化合物。
- コアが発色官能基であることを特徴とする請求項1〜7に記載のデンドリマー化合物。
- コアがローダミン色素、キナゾリン、ペリレン(perylene)、アゾ化合物、2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル、ポルフィリン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1−(4,4’,4”−トリヒドロキシフェニル)エタンおよびクマリン誘導体から選ばれる化合物の残基であることを特徴とする請求項1〜7に記載のデンドリマー化合物。
- 下記式;
置換基Bは、−S(O)nR1
{式中、nは0を表し、R1はアルカリ金属、水素、アルキル基、カルバモイル基又はチオカルバモイル基を表す。}
を表し、
置換基Cは、X1R2
{式中、X1は酸素原子又は硫黄原子を表し、R2はアルカリ金属、水素、アルキル基、カルバモイル基又はチオカルバモイル基を表す。}
を表し、
置換基Dは、X2R3〔式中、X2はメチレン基、カルボニル基又はチオカルボニル基を表し、R3は水酸基又はメルカプト基(但し、X2がカルボニル基でR3が水酸基である場合を除く)を表す。〕
で表されるチオ化合物。 - 3,5−ジメルカプトベンジルアルコール。
- 3,5−ジメルカプトベンジルメルカプタン。
- 式
nは0を、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。
R3及びR4は水素原子を表すか、もしくはR3及びR4で結合を形成してケトン基もしくはチオケトン基を形成していてもよい。更に、C、R3、R4及びR5でシアノ基を形成していてもよいことを表す。
R5は(1)水酸基、(2)メルカプト基、(3)アルキル基、(4)アルコキシ基又は(5)チオアルコキシ基を表す。
R6は水素を意味する。〕で表される化合物又はその塩。
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