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JP3652642B2 - 流体シリンダ及びアクチュエーションシステム - Google Patents

流体シリンダ及びアクチュエーションシステム Download PDF

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JP3652642B2
JP3652642B2 JP2001380952A JP2001380952A JP3652642B2 JP 3652642 B2 JP3652642 B2 JP 3652642B2 JP 2001380952 A JP2001380952 A JP 2001380952A JP 2001380952 A JP2001380952 A JP 2001380952A JP 3652642 B2 JP3652642 B2 JP 3652642B2
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敏夫 神村
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Nabtesco Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機の操舵翼等の対象物を駆動する流体シリンダと、この流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムとに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、流体シリンダとして、図7に示すような油圧シリンダ900が知られている。
【0003】
図7において、従来の油圧シリンダ900は、3つのシリンダ室911、912、913を形成するシリンダケース910と、シリンダケース910の2つのシリンダ室911、912を、シリンダケース910の一端部914側の油室911a、912a、及び、シリンダケース910の他端部915側の油室911b、912bにそれぞれ区画する2つのフランジ部921、922を有し、一端部920aがシリンダケース910の一端部914からシリンダケース910の外部に突出し、他端部920bがシリンダケース910の他端部915側のシリンダ室913の内部に突出するように、シリンダケース910の内部に収納されるピストンロッド920とを備えている。
【0004】
なお、シリンダケース910には、ポート910a、910b、910c、910dが形成されており、油室911a、912aは、ポート910a及びポート910cを介して油路931によって互いに連通されており、油室911b、912bは、ポート910b及びポート910dを介して油路932によって互いに連通されている。
【0005】
また、シリンダケース910の他端部915は図示していない航空機の機体に取り付けられており、ピストンロッド920の一端部920aは図示していない航空機の操舵翼に取り付けられている。
【0006】
以上の構成によって、油圧シリンダ900は、油路931及び油路932を通して供給される作動油に応じて伸縮し、航空機の機体に対する操舵翼の角度を変更させることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の油圧シリンダ900においては、ピストンロッド920のフランジ部921、922に圧力を与えるために作動油が供給されるシリンダ室911、912以外にも、ピストンロッド920の他端部920bを収納するだけで作動油が供給されることがないシリンダ室913がシリンダケース910に形成されなければならなかったので、小型化されることことは困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来と比較して小型化されることができる流体シリンダと、この流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムとを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の流体シリンダは、複数のシリンダ室を形成するシリンダケースと、複数の前記シリンダ室を、前記シリンダケースの一端部側の流体室及び前記シリンダケースの他端部側の流体室にそれぞれ区画する複数のフランジ部を有し、前記シリンダケースの内部に前記一端部から外部に突出するように収納されるピストンロッドと、前記シリンダケースの前記他端部側の前記シリンダ室の内部に配置され、前記ピストンロッドに形成される穴に前記他端部側から挿入される挿入部材とを備え、複数の前記シリンダ室の前記一端部側の前記流体室は、互いに連通され、複数の前記シリンダ室の前記他端部側の前記流体室は、互いに連通され、複数の前記シリンダ室の前記一端部側の前記流体室での前記ピストンロッドの受圧面積の総和と、複数の前記シリンダ室の前記他端部側の前記流体室での前記ピストンロッドの受圧面積の総和とが略同一である構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の流体シリンダは、ピストンロッドを収納する全てのシリンダ室が、流体を供給され、供給される流体によってピストンロッドのフランジ部に圧力を与えることができるので、シリンダ室の内径が本発明の流体シリンダのシリンダ室の内径と等しい従来の流体シリンダと比較して、全長が短くされることができ、小型化されることができる。
【0011】
なお、本発明の流体シリンダは、流体が供給される流体室でのピストンロッドの受圧面積の総和と、流体が排出される流体室でのピストンロッドの受圧面積の総和とが略同一であるので、上述したように従来の流体シリンダと比較して小型化されることができるにも拘らず、従来の流体シリンダと同様に、供給される流体の量と、排出される流体の量とを略同一とすることができる。
【0012】
また、本発明の流体シリンダは、前記ピストンロッド及び前記挿入部材の内部に、前記ピストンロッド及び前記挿入部材の一方に対して固定されるボビンと、前記ピストンロッド及び前記挿入部材の他方に対して固定されるコアロッドとを有する差動トランス型位置検出器を備える構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の流体シリンダは、差動トランス型位置検出器が内部に配置されることができ、差動トランス型位置検出器が外部に配置される場合と比較して小型化されることができる。
【0014】
また、本発明のアクチュエーションシステムは、流体シリンダと、前記流体が供給される供給ポートに連通される前記流体室、及び、前記流体が排出される排出ポートに連通される前記流体室を切り替える切替手段と、前記切替手段及び前記排出ポートの間に配置されて、前記流体を貯えておき、前記切替手段側の前記流体の圧力に応じて、貯えた前記流体を前記切替手段側に補充する流体補充手段とを備える構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明のアクチュエーションシステムは、上述したように流体シリンダが従来の流体シリンダと比較して小型化されることができるので、従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムと比較して小型化されることができる。
【0016】
なお、本発明のアクチュエーションシステムは、上述したように流体シリンダが、従来の流体シリンダと同様に、供給される流体の量と、排出される流体の量とを略同一とすることができるので、上述したように従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムと比較して小型化されることができるにも拘らず、流体補充手段の容量を、従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムの流体補充手段の容量と略同一とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい一実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、本実施の形態に係る流体シリンダとしての油圧シリンダと、アクチュエーションシステムとの構成について説明する。
【0019】
図1において、本実施の形態に係る油圧シリンダ100は、2つのシリンダ室111、112を形成するシリンダケース110と、シリンダケース110の2つのシリンダ室111、112を、シリンダケース110の一端部113側の流体室としての油室111a、112a、及び、シリンダケース110の他端部114側の流体室としての油室111b、112bにそれぞれ区画する互いに外径が略同一である2つのフランジ部121、122を有し、一端部120aがシリンダケース110の一端部113からシリンダケース110の外部に突出し、他端部120bがシリンダケース110の他端部114側のシリンダ室112の内部に突出するように、シリンダケース110の内部に収納されるピストンロッド120とを備えている。
【0020】
なお、シリンダケース110には、ポート110a、110b、110c、110dが形成されており、油室111a、112aは、ポート110a及びポート110cを介して油路281によって互いに連通されており、油室111b、112bは、ポート110b及びポート110dを介して油路282によって互いに連通されている。
【0021】
また、シリンダケース110と、ピストンロッド120との間には、作動油の漏洩を防止するシールリング181、182、183、184、185、186、187が設けられている。
【0022】
ここで、シリンダケース110は、ケース本体115と、ピストンロッド120が挿入され、ケース本体115に対して一端部113側に配置される第一カバー部材116と、第一カバー部材116と螺合してケース本体115に対する第一カバー部材116の他端部114側への移動を規制するナット117と、ケース本体115に対して他端部114側に配置されて、複数のボルト188によってケース本体115に固定される第二カバー部材118と、第二カバー部材118に他端部114側から固定され、図示していない航空機の機体に取り付けられる機体側フック部材119とを有している。
【0023】
なお、第一カバー部材116は、ケース本体115の凹部に嵌合されるメタルリング189によって、ケース本体115に対する一端部113側への移動を規制されている。
【0024】
また、ケース本体115と、第一カバー部材116との間、ケース本体115と、第二カバー部材118との間には、それぞれ作動油の漏洩を防止するシールリング190、191が設けられている。
【0025】
また、ピストンロッド120は、ロッド本体123と、ロッド本体123に一端部120a側から螺合され、図示していない航空機の操舵翼に取り付けられる操舵翼側フック部材124と、フランジ部121を形成するフランジ部材125と、ロッド本体123と螺合してロッド本体123に対するフランジ部材125の一端部120a側への移動を規制するナット126とを有している。
【0026】
ここで、ロッド本体123は、油室111aの内部での外径123aと比較して、油室111bの内部での外径123bが大きく、油室111a及び油室111bの間に段差部123cを有しており、段差部123cによってフランジ部材125の他端部120b側への移動を規制するようになっている。
【0027】
また、ロッド本体123は、油室112b側に開口する穴123dを形成しており、穴123dの径123eと、油室111aの内部での外径123aとが略同一になっており、油室111bの内部での外径123bと、油室112aの内部での外径123fとが略同一になっている。
【0028】
ここで、上述したように、2つのフランジ部121、122の外径は互いに略同一であるので、油室111aでのピストンロッド120の受圧面積と、油室112bでのピストンロッド120の受圧面積とは略同一になっており、油室111bでのピストンロッド120の受圧面積と、油室112aでのピストンロッド120の受圧面積とは略同一になっている。
【0029】
したがって、2つのシリンダ室111、112のシリンダケース110の一端部113側の油室111a、112aでのピストンロッド120の受圧面積の総和と、2つのシリンダ室111、112のシリンダケース110の他端部114側の油室111b、112bでのピストンロッド120の受圧面積の総和とは略同一になっている。
【0030】
また、ロッド本体123と、フランジ部材125との間には、作動油の漏洩を防止するシールリング192が設けられている。
【0031】
また、油圧シリンダ100は、シリンダケース110の他端部114側のシリンダ室112の内部に配置され、ピストンロッド120のロッド本体123に形成される穴123dに他端部114側から挿入される挿入部材であり、油圧シリンダ100全体の重量の均衡をとるためのバランス部材141を備えている。
【0032】
ここで、バランス部材141と、シリンダケース110の第二カバー部材118との間、バランス部材141と、ピストンロッド120のロッド本体123との間には、作動油の漏洩を防止するシールリング193、194、195が設けられている。
【0033】
また、油圧シリンダ100は、ピストンロッド120及びバランス部材141の内部に、複数のボルト196でシリンダケース110の第二カバー部材118に固定されることによって、バランス部材141に対して固定されるボビン151と、ピストンロッド120の操舵翼側フック部材124に螺合することによって、ピストンロッド120に対して固定されるコアロッド152とを有し、ボビン151に対するコアロッド152の位置を検出する差動トランス型位置検出器(LVDT)150を備えている。
【0034】
ここで、バランス部材141は、ボビン151のフランジ部151aと、シリンダケース110の第二カバー部材118とに挟まれることによって、シリンダケース110に対して固定されている。
【0035】
また、図2に示すように、本実施の形態に係るアクチュエーションシステム200は、油圧シリンダ100を備えている。
【0036】
ここで、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼には、油圧シリンダ100以外に、アクチュエーションシステム200と同様な構成のアクチュエーションシステムの油圧シリンダが取り付けられている。
【0037】
また、図示していない航空機は、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼以外にも、アクチュエーションシステム200と同様な構成のアクチュエーションシステムの油圧シリンダが取り付けられている操舵翼を有している。
【0038】
また、アクチュエーションシステム200は、電気信号が入力されて、入力された電気信号に応じた力を出力する入力部211、212を有し、入力部211、212が出力する力に応じて、第1の位置(図2参照)、第2の位置(図3参照)、及び、第3の位置(図4参照)に位置が切り替わることによって、図示していない油圧ポンプに連通されて作動油が供給される供給ポート201、及び、図示していないタンクに連通されて作動油が排出される排出ポート202のうち、油圧シリンダ100の油室111a、112aが連通するポート、及び、油圧シリンダ100の油室111b、112bが連通するポートを切り替える切替手段としてのポート切替弁210を備えている。
【0039】
なお、ポート切替弁210は、供給ポート201と油圧シリンダ100との間、及び、排出ポート202と油圧シリンダ100との間に配置されている。
【0040】
また、アクチュエーションシステム200は、図示していない操作レバーからの電気信号と、油圧シリンダ100の差動トランス型位置検出器150からの電気信号とに応じて、ポート切替弁210の入力部211、212に電気信号を入力してポート切替弁210の位置を変更するコントローラ300を備えている。
【0041】
また、アクチュエーションシステム200は、ポート切替弁210及び排出ポート202の間に配置されて、作動油を貯えておき、ポート切替弁210側の作動油の圧力に応じて、貯えた作動油をポート切替弁210側に補充する流体補充手段としての圧力コンペンセータ220を備えている。圧力コンペンセータ220は、例えば油圧シリンダ100のシリンダ室111、112(図1参照)の内部の作動油が熱によって膨張した場合に作動油を貯えておき、例えば、油圧シリンダ100のシリンダ室111、112の内部の作動油が熱によって収縮した場合や、油圧シリンダ100のシリンダ室111、112の内部の作動油がシールリング181、182、183(図1参照)を介して外部に漏洩した場合に、貯えた作動油をポート切替弁210側に補充するようになっている。
【0042】
また、アクチュエーションシステム200は、供給ポート201及びポート切替弁210の間に配置されて、供給ポート201から供給される作動油内の不純物を濾過するフィルタ230と、フィルタ230及びポート切替弁210の間に配置されて、フィルタ230を通過した作動油の逆流を防止する逆止弁240とを備えている。
【0043】
また、アクチュエーションシステム200は、油圧シリンダ100及びポート切替弁210の間に配置されて、バネ251と、作動油が入力される入力部252、253とを有し、バネ251の付勢力と、入力部252、253に入力される作動油の圧力とに応じて、第1の位置(図2参照)、第2の位置(図5参照)、及び、第3の位置(図6参照)に切り替わることによって、アクチュエーションシステム200の動作モードを、アクチュエーションシステム200の内部の作動油の圧力、及び、アクチュエーションシステム200の電気系統に異常が発生していない場合の動作モードであるノーマルモード(図2参照)と、ノーマルモードで動作することはできないが、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼に取り付けられている油圧シリンダを備えた他のアクチュエーションシステムがノーマルモードで動作することができることを阻害しない動作モードであるバイパスモード(図5参照)と、ノーマルモードで動作することができず、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼に取り付けられている油圧シリンダを備えたアクチュエーションシステムにもノーマルモードで動作することができるものが無い場合の動作モードであるダンピングモード(図6参照)とに切り替えるモード切替弁250を備えている。
【0044】
また、アクチュエーションシステム200は、バネ261と、コントローラ300から電気信号が入力されて、入力された電気信号に応じた力を出力する入力部262とを有し、逆止弁240及びポート切替弁210の間の作動油と、圧力コンペンセータ220及びポート切替弁210の間の作動油とが供給され、バネ261の付勢力と、入力部262が出力する力とに応じて、逆止弁240及びポート切替弁210の間の作動油をモード切替弁250の入力部252に入力する第1の位置(図2参照)と、圧力コンペンセータ220及びポート切替弁210の間の作動油をモード切替弁250の入力部252に入力する第2の位置(図5参照)とに切り替わことによって、モード切替弁250の位置を変更してアクチュエーションシステム200の動作モードを制御するモード制御弁260を備えている。
【0045】
また、アクチュエーションシステム200は、バネ271と、コントローラ300から電気信号が入力されて、入力された電気信号に応じた力を出力する入力部272とを有し、逆止弁240及びポート切替弁210の間の作動油と、圧力コンペンセータ220及びポート切替弁210の間の作動油とが供給され、バネ271の付勢力と、入力部272が出力する力とに応じて、逆止弁240及びポート切替弁210の間の作動油をモード切替弁250の入力部253に入力する第1の位置(図2参照)と、圧力コンペンセータ220及びポート切替弁210の間の作動油をモード切替弁250の入力部253に入力する第2の位置(図6参照)とに切り替わことによって、モード切替弁250の位置を変更してアクチュエーションシステム200の動作モードを制御するモード制御弁270を備えている。
【0046】
次に、本実施の形態に係る流体シリンダとしての油圧シリンダと、アクチュエーションシステムとの動作について説明する。
【0047】
(1)アクチュエーションシステム200がノーマルモードでの動作
コントローラ300は、図示していない圧力検出器からの出力によってアクチュエーションシステム200の内部の作動油の圧力に異常が発生していないと判断し、アクチュエーションシステム200の電気系統に異常が発生していないと判断した場合、信号伝達路301及び信号伝達路302を介して、モード制御弁260の入力部262、及び、モード制御弁270の入力部272に電気信号を入力する。
【0048】
モード制御弁260の入力部262、及び、モード制御弁270の入力部272は、コントローラ300から電気信号が入力されると、入力された電気信号に応じた力を出力する。モード制御弁260の入力部262、及び、モード制御弁270の入力部272によって出力される力が、バネ261及びバネ271の付勢力より大きくなると、モード制御弁260及びモード制御弁270は、共に図2に示すような第1の位置に移動して、逆止弁240との間に設けられる油路283と、モード切替弁250の入力部252、253との間に設けられる油路284、285とを連通させる。
【0049】
油路283と、油路284、285とが連通すると、モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力は、フィルタ230、及び、逆止弁240を介して供給ポート201から供給される作動油の圧力と等しい圧力(以下、高圧という。)になる。
【0050】
モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力が、共に高圧になると、モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力の合力は、バネ251の付勢力より大きくなり、モード切替弁250は、図2に示すように、ポート切替弁210との間に設けられた油路286及び油路287と、油路281及び油路282とを連通させる第1の位置に移動して、アクチュエーションシステム200の動作モードをノーマルモードに切り替える。
【0051】
コントローラ300は、モード切替弁250が第1の位置に移動すると、図示していない操作レバーからの電気信号と、油圧シリンダ100の差動トランス型位置検出器150から信号伝達路303を介して入力される電気信号とに応じて、信号伝達路304、305を介してポート切替弁210の入力部211、212に電気信号を入力する。
【0052】
より詳細に説明すると、コントローラ300は、図示していない操作レバーからの電気信号と、油圧シリンダ100の差動トランス型位置検出器150からの電気信号とに基づいて、ピストンロッド120がシリンダケース110に対して、図示していない操作レバーによって指定された位置に達しておらず、矢印100aの示す方向に移動する必要があると判断した場合、ピストンロッド120がシリンダケース110に対して、図示していない操作レバーによって指定された位置に達するまで、ポート切替弁210の入力部211に信号伝達路304を介して電気信号を入力し、入力部212に電気信号を入力しない。
【0053】
ポート切替弁210の入力部211は、コントローラ300から電気信号が入力されると、入力された電気信号に応じた力を出力する。一方、ポート切替弁210の入力部212は、コントローラ300から電気信号が入力されず、力を出力しない。したがって、ポート切替弁210は、ポート切替弁210の入力部211で出力される力によって、図3に示す第2の位置に移動して、油路286、及び、油路287と、圧力コンペンセータ220との間に設けられる油路288、及び、油路283とを連通させる。
【0054】
油路286、287と、油路288、283とが連通すると、油圧シリンダ100の油室111b、112bには、供給ポート201から作動油がフィルタ230、逆止弁240、油路283、ポート切替弁210、油路287、モード切替弁250、及び、油路282を介して供給され、排出ポート202には、油圧シリンダ100の油室111a、112aから作動油が油路281、モード切替弁250、油路286、ポート切替弁210、油路288、及び、圧力コンペンセータ220を介して排出される。
【0055】
したがって、ピストンロッド120は、シリンダケース110に対して矢印100aの示す方向に移動する。
【0056】
また、コントローラ300は、図示していない操作レバーからの電気信号と、油圧シリンダ100の差動トランス型位置検出器150からの電気信号とに基づいて、ピストンロッド120がシリンダケース110に対して、図示していない操作レバーによって指定された位置に達しておらず、矢印100bの示す方向に移動する必要があると判断した場合、ピストンロッド120がシリンダケース110に対して、図示していない操作レバーによって指定された位置に達するまで、ポート切替弁210の入力部212に信号伝達路305を介して電気信号を入力し、入力部211に電気信号を入力しない。
【0057】
ポート切替弁210の入力部211は、コントローラ300から電気信号が入力されず、力を出力しない。一方、ポート切替弁210の入力部212は、コントローラ300から電気信号が入力されると、入力された電気信号に応じた力を出力する。したがって、ポート切替弁210は、ポート切替弁210の入力部212で出力される力によって、図4に示す第3の位置に移動して、油路286、287と、油路283、288とを連通させる。
【0058】
油路286、287と、油路283、288とが連通すると、油圧シリンダ100の油室111a、112aには、供給ポート201から作動油がフィルタ230、逆止弁240、油路283、ポート切替弁210、油路286、モード切替弁250、及び、油路281を介して供給され、排出ポート202には、油圧シリンダ100の油室111b、112bから作動油が油路282、モード切替弁250、油路287、ポート切替弁210、油路288、及び、圧力コンペンセータ220を介して排出される。
【0059】
したがって、ピストンロッド120は、シリンダケース110に対して矢印100bの示す方向に移動する。
【0060】
(2)アクチュエーションシステム200がバイパスモードでの動作
コントローラ300は、図示していない圧力検出器からの出力によってアクチュエーションシステム200の内部の作動油の圧力に異常が発生していると判断し、アクチュエーションシステム200の電気系統に異常が発生していないと判断し、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼に取り付けられている油圧シリンダを備えたアクチュエーションシステムからの信号によって、それらのアクチュエーションシステムにノーマルモードで動作するものが有ると判断した場合、モード制御弁260の入力部262に電気信号を入力せず、モード制御弁270の入力部272に信号伝達路302を介して電気信号を入力する。
【0061】
モード制御弁260の入力部262は、コントローラ300から電気信号が入力されず、力を出力しないので、モード制御弁260は、バネ261の付勢力によって、図5に示すような第2の位置に移動して、油路288と、油路284とを連通させる。
【0062】
油路288と、油路284とが連通すると、モード切替弁250の入力部252に入力される作動油の圧力は、圧力コンペンセータ220に蓄えられた作動油の圧力、或いは、圧力コンペンセータ220を介して排出ポート202から排出される作動油の圧力と等しい圧力(以下、低圧という。)になる。
【0063】
また、モード制御弁270の入力部272は、コントローラ300から電気信号が入力されると、入力された電気信号に応じた力を出力する。モード制御弁270の入力部272によって出力される力が、バネ271の付勢力より大きくなると、モード制御弁270は、図5に示すような第1の位置に移動して、油路283と、油路285とを連通させる。
【0064】
油路283と、油路285とが連通すると、モード切替弁250の入力部253に入力される作動油の圧力は、高圧になる。
【0065】
モード切替弁250の入力部252に入力される作動油の圧力が低圧になり、モード切替弁250の入力部253に入力される作動油の圧力が高圧になると、モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力の合力は、バネ251の付勢力と略同一となり、モード切替弁250は、図5に示すように、油路281及び油路282を互いに連通させ、油路286及び油路287と連通させない第2の位置に移動して、アクチュエーションシステム200の動作モードをバイパスモードに切り替える。
【0066】
モード切替弁250が第2の位置に移動すると、油圧シリンダ100の油室111a、112aと、油室111b、112bとは、油路281、モード切替弁250、及び、油路282を介して連通するので、ピストンロッド120はシリンダケース110に対して矢印100a及び矢印100bの示す方向に自由に移動することができる。
【0067】
したがって、アクチュエーションシステム200は、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼をノーマルモードで駆動する他のアクチュエーションシステムの動作を妨げず、アクチュエーションシステム200を備えた図示していない航空機は、飛行し続けることができる。
【0068】
なお、以上の説明においては、コントローラ300が、モード制御弁260の入力部262に電気信号を入力せず、モード制御弁270の入力部272に信号伝達路302を介して電気信号を入力するようになっていたが、モード制御弁260の入力部262に信号伝達路301を介して電気信号を入力し、モード制御弁270の入力部272に電気信号を入力しないようになっていても、アクチュエーションシステム200はバイパスモードで動作することができる。
【0069】
(3)アクチュエーションシステム200がダンピングモードでの動作
コントローラ300は、図示していない圧力検出器からの出力によってアクチュエーションシステム200の内部の作動油の圧力に異常が発生していると判断し、アクチュエーションシステム200の電気系統に異常が発生していないと判断し、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼に取り付けられている油圧シリンダを備えたアクチュエーションシステムからの信号によって、それらのアクチュエーションシステムにノーマルモードで動作するものが無いと判断した場合、モード制御弁260の入力部262、及び、モード制御弁270の入力部272に電気信号を入力しない。
【0070】
モード制御弁260の入力部262、及び、モード制御弁270の入力部272は、コントローラ300から電気信号が入力されず、力を出力しないので、モード制御弁260及びモード制御弁270は、バネ261及びバネ271の付勢力によって、図6に示すような第2の位置に移動して、油路288と、油路284、285とを連通させる。
【0071】
油路288と、油路284、285とが連通すると、モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力は低圧になる。
【0072】
モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力が共に低圧になると、モード切替弁250の入力部252、253に入力される作動油の圧力の合力は、バネ251の付勢力より小さくなり、モード切替弁250は、図6に示すように、油路281及び油路282を互いにオリフィス250aを介して連通させ、油路286及び油路287と連通させない第3の位置に移動して、アクチュエーションシステム200の動作モードをダンピングモードに切り替える。
【0073】
モード切替弁250が第3の位置に移動すると、油圧シリンダ100の油室111a、112aと、油室111b、112bとは、油路281、モード切替弁250のオリフィス250a、及び、油路282を介して連通するので、ピストンロッド120は、シリンダケース110に対して矢印100a及び矢印100bの示す方向に、アクチュエーションシステム200がバイパスモードで動作する場合と比較して、大きな抵抗を受けながら移動するようになる。
【0074】
したがって、アクチュエーションシステム200は、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼のフラッタを効果的に回避することができ、アクチュエーションシステム200を備えた図示していない航空機は、油圧シリンダ100が取り付けられている図示していない操舵翼以外の操舵翼を使用して飛行し続けることができる。
【0075】
なお、以上においては、コントローラ300が、図示していない圧力検出器からの出力によってアクチュエーションシステム200の内部の作動油の圧力に異常が発生していると判断した場合について説明したが、アクチュエーションシステム200の電気系統に異常が発生した場合も、コントローラ300はモード制御弁260の入力部262、及び、モード制御弁270の入力部272に電気信号を入力しないので、アクチュエーションシステム200はダンピングモードで動作することになる。
【0076】
以上説明したように、油圧シリンダ100は、ピストンロッド120を収納する全てのシリンダ室111、112が、作動油を供給され、供給される作動油によってピストンロッド120のフランジ部121、122に圧力を与えることができるので、シリンダ室の内径が油圧シリンダ100のシリンダ室111、112の内径と等しい従来の油圧シリンダと比較して、全長が短くされることができ、小型化されることができる。
【0077】
したがって、油圧シリンダ100を備えるアクチュエーションシステム200は、従来の油圧シリンダを備えるアクチュエーションシステムと比較して小型化されることができる。
【0078】
また、油圧シリンダ100は、作動油が供給される油室(油室111a、112aと、油室111b、112bとの一方)でのピストンロッド120の受圧面積の総和と、作動油が排出される油室(油室111a、112aと、油室111b、112bとの他方)でのピストンロッド120の受圧面積の総和とが略同一であるので、上述したように従来の油圧シリンダと比較して小型化されることができるにも拘らず、従来の油圧シリンダと同様に、供給される作動油の量と、排出される作動油の量とを略同一とすることができる。
【0079】
また、油圧シリンダ100は、作動油が供給される油室でのピストンロッド120の受圧面積の総和と、作動油が排出される油室でのピストンロッド120の受圧面積の総和とが略同一であるので、矢印100a及び矢印100bの示す方向の出力の大きさを互いに略同一にすることができる。
【0080】
アクチュエーションシステム200は、油圧シリンダ100が供給される作動油の量と、排出される作動油の量とを略同一とすることができるので、圧力コンペンセータ220に蓄えられている作動油の量が油圧シリンダ100のシリンダケース110に対するピストンロッド120の移動に応じて増減することを防止することができる。
【0081】
したがって、油圧シリンダ100を備えるアクチュエーションシステム200は、上述したように従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムと比較して小型化されることができるにも拘らず、圧力コンペンセータ220の容量を、従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムの圧力コンペンセータの容量と略同一に維持することができ、圧力コンペンセータ220の重量を、従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムの圧力コンペンセータの重量と略同一に維持することができる。
【0082】
また、アクチュエーションシステム200は、圧力コンペンセータ220に蓄えられる作動油の量が油圧シリンダ100のシリンダケース110に対するピストンロッド120の移動に応じて増減することを防止することができるので、圧力コンペンセータ220の動作回数を、従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムの圧力コンペンセータの動作回数と略同一とすることができ、圧力コンペンセータ220の耐久寿命を、従来の流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムの圧力コンペンセータの耐久寿命と略同一に維持することができる。
【0083】
また、油圧シリンダ100は、本実施の形態において、ピストンロッド120及びバランス部材141の内部に、バランス部材141に対して固定されるボビン151と、ピストンロッド120に対して固定されるコアロッド152とを有する差動トランス型位置検出器150を備えているので、差動トランス型位置検出器150が油圧シリンダ100の外部に配置される場合と比較して小型化されることができるが、本発明によれば、差動トランス型位置検出器150が油圧シリンダ100の外部に配置される構成であっても良いし、差動トランス型位置検出器150を備えていなくても良い。
【0084】
なお、油圧シリンダ100は、本実施の形態においては、2つのシリンダ室111、112を形成していたが、本発明によれば、3つ以上のシリンダ室を形成する構成であっても良い。
【0085】
また、油圧シリンダ100は、本実施の形態において、フランジ部121、122の外径が互いに略同一であり、ロッド本体123の穴123dの径123eと、油室111aの内部での外径123aとが略同一であり、油室111bの内部での外径123bと、油室112aの内部での外径123fとが略同一であったので、油室111a、112aでのピストンロッド120の受圧面積の総和と、油室111b、112bでのピストンロッド120の受圧面積の総和とが略同一になっていたが、本発明によれば、油室111a、112aでのピストンロッド120の受圧面積の総和と、油室111b、112bでのピストンロッド120の受圧面積の総和とが略同一になる値であれば、フランジ部121、122の外径や、ロッド本体123の穴123dの径123e、油室111aの内部での外径123a、油室111bの内部での外径123b、油室112aの内部での外径123fの値は任意に設計されることができる。
【0086】
また、本実施の形態においては、流体として油を使用していたが、本発明によれば、流体は油以外の液体であっても良い。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、従来と比較して小型化されることができる流体シリンダと、この流体シリンダを備えるアクチュエーションシステムとを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る油圧シリンダの側面断面図である。
【図2】モード切替弁及びポート切替弁が第1の位置にある状態での、図1に示す油圧シリンダを備えるアクチュエーションシステムの油圧回路図である。
【図3】モード切替弁が第1の位置にあり、ポート切替弁が第2の位置にある状態での、図1に示す油圧シリンダを備えるアクチュエーションシステムの油圧回路図である。
【図4】モード切替弁が第1の位置にあり、ポート切替弁が第3の位置にある状態での、図1に示す油圧シリンダを備えるアクチュエーションシステムの油圧回路図である。
【図5】モード切替弁が第2の位置にある状態での、図1に示す油圧シリンダを備えるアクチュエーションシステムの油圧回路図である。
【図6】モード切替弁が第3の位置にある状態での、図1に示す油圧シリンダを備えるアクチュエーションシステムの油圧回路図である。
【図7】従来の油圧シリンダの側面断面図である。
【符号の説明】
100 油圧シリンダ(流体シリンダ)
110 シリンダケース
111、112 シリンダ室
113 一端部
114 他端部
111a、111b、112a、112b 油室(流体室)
120 ピストンロッド
121、122 フランジ部
123d 穴
141 バランス部材(挿入部材)
150 差動トランス型位置検出器
151 ボビン
152 コアロッド
200 アクチュエーションシステム
201 供給ポート
202 排出ポート
210 ポート切替弁(切替手段)
220 圧力コンペンセータ(流体補充手段)

Claims (3)

  1. 複数のシリンダ室を形成するシリンダケースと、
    複数の前記シリンダ室を、前記シリンダケースの一端部側の流体室及び前記シリンダケースの他端部側の流体室にそれぞれ区画する複数のフランジ部を有し、前記シリンダケースの内部に前記一端部から外部に突出するように収納されるピストンロッドと、
    前記シリンダケースの前記他端部側の前記シリンダ室の内部に配置され、前記ピストンロッドに形成される穴に前記他端部側から挿入される挿入部材とを備え、
    複数の前記シリンダ室の前記一端部側の前記流体室は、互いに連通され、
    複数の前記シリンダ室の前記他端部側の前記流体室は、互いに連通され、
    複数の前記シリンダ室の前記一端部側の前記流体室での前記ピストンロッドの受圧面積の総和と、複数の前記シリンダ室の前記他端部側の前記流体室での前記ピストンロッドの受圧面積の総和とが略同一であることを特徴とする流体シリンダ。
  2. 前記ピストンロッド及び前記挿入部材の内部に、前記ピストンロッド及び前記挿入部材の一方に対して固定されるボビンと、前記ピストンロッド及び前記挿入部材の他方に対して固定されるコアロッドとを有する差動トランス型位置検出器を備えることを特徴とする請求項1に記載の流体シリンダ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の流体シリンダと、
    前記流体が供給される供給ポートに連通される前記流体室、及び、前記流体が排出される排出ポートに連通される前記流体室を切り替える切替手段と、
    前記切替手段及び前記排出ポートの間に配置されて、前記流体を貯えておき、前記切替手段側の前記流体の圧力に応じて、貯えた前記流体を前記切替手段側に補充する流体補充手段とを備えることを特徴とするアクチュエーションシステム。
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