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JP3651983B2 - 低抵抗膜形成用塗布液、低抵抗膜とその製造方法、多層低抵抗膜及びガラス物品 - Google Patents

低抵抗膜形成用塗布液、低抵抗膜とその製造方法、多層低抵抗膜及びガラス物品 Download PDF

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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管用パネル等に適用される低抵抗膜形成用塗布液、それを塗布し硬化することにより形成され着色性、低反射性を付与できる低抵抗膜とその製造方法、前記低抵抗膜を形成したガラス物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
低抵抗膜、着色膜、着色帯電防止膜、低反射帯電防止膜、着色低反射帯電防止膜等のコーティング方法は、従来より光学機器においてはいうまでもなく、民生用機器、特にTV、コンピュータ装置端末用の陰極線管(CRT)に関し多く検討がなされてきた。特に近年はオフィスのOA化が進むにつれ、コンピュータ装置の陰極線管(CRT)からの漏洩電磁波の人体への影響が問題視されるようになった。
【0003】
帯電防止に関しては、特開昭63−76247にはブラウン管パネル表面を350℃程度に加熱してCVD法により酸化錫及び酸化インジウム等の導電性酸化物層を設ける方法が提案されている。
【0004】
しかし、CVD法により帯電防止膜を付与させる手法は装置コストがかかることに加えて、ブラウン管表面を高温に加熱するためブラウン管内の蛍光体の脱落を生じたり、寸法精度が低下する等の問題があった。またこの場合、通常400℃程度の高温を必要とし、低温で焼成した場合充分低抵抗な膜が得られない欠点がある。そのため、電磁波シールド効果を発現し得る低抵抗膜を得にくいという問題があった。
【0005】
膜の着色に関しては、特開平1−275664に水溶性フタロシアニン化合物を用いる方法が提案されている。また、帯電防止能を持つ着色膜については特開平1−251545にメチルバイオレットを用いた帯電防止膜の記述がある。しかしこれらの着色剤は本質的に絶縁体であり、膜を低抵抗化する際には補助成分として導電物質を添加する必要があった。
【0006】
低反射性に関しては、例えば特開昭61−118931記載の如くブラウン管表面に防眩効果をもたせるために、表面に微細な凹凸を有するSiO層を付着させたり、弗酸により表面をエッチングして凹凸を設ける等の方法が採られてきた。しかし、これらの方法は外部光を散乱させるノングレア処理と呼ばれ、本質的に低反射層を設ける方法ではないため、反射率の低減には限界があり、またブラウン管等においては解像度を低下させる原因ともなっていた。
【0007】
低反射低抵抗膜については、特開平3−93136にイオンプレーティング法により光学多層膜を設ける方法が記載されている。しかし、イオンプレーティングによる方法は工業的に安価とはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、充分な電磁波シールド効果を発現し、比較的低温で成膜でき、着色性も容易に付与できる低抵抗膜形成用塗布液、低抵抗膜とその製造方法、多層低抵抗膜及びガラス物品の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の発明として、SnドープIn微粒子及び黒色系着色導電性微粒子を含む固形分と、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル又はエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上のエチレングリコール誘導体である第1の溶媒と、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及び炭酸プロピレンから選ばれる1種以上の第2の溶媒とを含むことを特徴とする低抵抗膜形成用塗布液を提供する。
【0010】
本発明は、第2の発明として、基体上に前記低抵抗膜形成用塗布液を塗布し硬化させてなることを特徴とする低抵抗膜の製造方法を提供する。
【0011】
本発明は、第3の発明として、前記低抵抗膜の製造方法により形成された低抵抗膜を提供する。
本発明は、第4の発明として、基体側から前記低抵抗膜、前記低抵抗膜よりも低屈折率の膜が順次形成されてなる多層低抵抗膜を提供する。
【0012】
本発明は、第5の発明として、前記第3、4の発明の低抵抗膜、多層低抵抗膜のいずれかの膜を表面に形成したガラス物品を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の着色性、低反射性を付与できる低抵抗膜、多層低抵抗膜は、TV、コンピュータ装置端末等のディスプレイ装置の用途に供されるガラス物品に好ましく用いられる。ガラス物品としての陰極線管は、近年コンピュータ装置端末のディスプレイ装置に使用される場合、高解像度の要求とともにガラス表面に低抵抗膜を形成させる要求も高まっている。
【0014】
すなわち、近年コンピュータ装置の普及にともない、CDT(コンピュータ ディスプレイ ターミナル)から放射される電磁波の人体への有害性が問題視されている。この対策として、CDTパネル表面を低抵抗化することにより電磁波漏洩を遮断する試みが行われている。真空装置を用いない湿式コートによる塗膜形成法は安価な手法ではあるが、公知の導電物質では着色力をほとんど有しない。前述の着色に対するニーズをも満足させるためには、着色かつ低抵抗を有する物質を含む塗布液を用いることが好ましい。
【0015】
このような観点から鋭意研究を行った結果、本発明の塗布液を使用により、充分な電磁波遮蔽性が得られるような低抵抗、着色力及び低反射性を有する低抵抗膜を製造できることが明らかとなった。
【0016】
第1の発明において、第1の溶媒エチレングリコール誘導体から選ばれる1種以上の溶媒であり、前記エチレングリコール誘導体、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル又はエチレングリコールモノブチルエーテルである。この場合、水への溶解性が高い。
【0017】
また第2の溶媒は、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及び炭酸プロピレンから選ばれる1種以上であり、これらの溶媒は高沸点、高誘電率溶媒である。本発明の低抵抗膜形成用塗布液を塗布する工程において、液中の他の低沸点溶媒が蒸発した後、第2の溶媒は膜の乾燥直前まで残留する。そのため、塗布液は乾燥直前まで高誘電率を保てるため、電気的に安定している粒子が成膜時に凝集するのを防止できる。したがって、凝集物のない外観の優れた高品位の膜が得られる。
【0018】
前記黒色系着色導電性微粒子が、カーボンブラック、あるいは窒素を0.1〜30重量%含有するTiO(1.0≦x<2.0)のいずれかであることが、成膜したときの膜の色調が適度であり、好ましい。TiOを使用する場合、窒素含有量が0.1重量%より小さいと着色力が乏しくなり不適であり、30重量%より大きいと粒子の燒結が進み、粒子の分散性が低下するという点で不適である。本発明で用いられるカーボンブラックについては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(ケッチェンブラック インターナショナル社製商品名)、黒鉛粉末等が好ましく使用できる。
【0019】
また前記黒色系着色導電性微粒子の平均粒径としては、10〜100nmの範囲であることが好ましい。10nm未満では液中での分散安定性に乏しく、100nmより大きいと塗膜外観が悪化するため好ましくない。
【0020】
そして、着色低抵抗膜を得る場合にはSnドープIn微粒子と黒色系着色導電性微粒子を併用する。
【0021】
着色低抵抗膜とする場合、塗布液中の固形分100重量部に対して70〜99重量部のSnドープIn微粒子と1〜30重量部の黒色系着色導電性微粒子を含むことが、所望の導電性及び透過率低下を得るうえで好ましい。SnドープIn微粒子が70重量部より少ないと、所望の透過率低下よりも低下しすぎるという点と、導電性も低下するという点で不適である。99重量部より多いと、成膜したときの膜の着色力が乏しく、所望の透過率低下が得られないという点でも不適である。
【0022】
SnドープIn微粒子及び黒色系着色導電性微粒子を含む液を合成する際には、これらの微粒子が液中に均一に分散していることが好ましい。その均一分散方法としては、下記のような微粒子の均一分散が可能な手法であればよい。特に好ましくは、水又はアルコール等の有機溶媒中に微粒子を添加し、界面活性剤、酸、アルカリ等の分散助剤を添加しコロイドミル、サンドミル、ホモジナイザー等の市販の粉砕器で分散させるという方法である。特にカーボンブラックを用いる場合の分散助剤としては、界面活性剤が分散効率の点から有効であり、特に陰イオン系及び非イオン系界面活性剤は好ましく使用できる。
【0023】
前記第1の溶媒は低抵抗膜形成用塗布液100重量部に対して0.1〜50重量部含まれることが、膜の成膜性向上及びタクト時間短縮の点で好ましい。0.1重量部より少ないと塗布液の塗布性(濡れ性)が悪化し、外観が悪くなるうえ所望の低抵抗性が得られない点で不適であり、50重量部より多いと塗布時の乾燥時間が著しく増大する点で不適である。
【0024】
前記第2の溶媒は低抵抗膜形成用塗布液100重量部に対して0.1〜30重量部含まれることが、低抵抗膜形成用塗布液を塗布した場合の乾燥直前の粒子の安定性を保つ点と、乾燥時間の点で好ましい。0.1重量部より少ないと粒子が低抵抗膜の乾燥直前で凝集して外観が悪化し、さらに所望の導電性が得られない点で不適であり、30重量部より大きいと塗布時の乾燥時間が著しく増大する点で不適である。
【0025】
本発明において用いられるSnドープIn(以下ITOという)微粒子の製法は、以下のような種々の手法が使用できる。すなわち共沈法、CVD法、気相法等いずれも好適に使用できる。ITOの平均粒径としては、10nm〜100nmの範囲であることが好ましい。10nmより小さい粒径では液中での分散安定性に乏しく、100nmより大きいの粒径では塗膜外観が悪化するため、さらに前記低抵抗膜形成用塗布液を用いて得られる着色可能な低抵抗膜上に、前記被膜よりも低屈折率の膜を形成し解像度を損なうことなく蛍光灯の写り込み等を抑制する低反射性をも付与できる。
【0026】
一般に、薄膜の光学的特性はその膜を構成する屈折率と膜厚で決定される。ここで一定の屈折率nを有する基体上に屈折率nを有する薄膜を付着させ、屈折率nの溶質中より波長λの光が入射した場合のエネルギー反射率Rは、光が膜中を通過する際の位相差をΔとするとΔ=4πnd/λ(d:膜厚)であり、Δ=(2m+1)π(mは0以上の整数)、すなわち位相差Δが半波長の奇数倍のとき極小値をとり、このとき下記式(1)のようになる。
【0027】
無反射条件を満たすには、式(1)において、R=0とおき、下記式(2)のようになることが必要とされる。式(2)を2層構成に拡張した場合、下記式(3)のようになる。ただし、nは媒質側層の屈折率、nは基体側層の屈折率である。
【0028】
【数1】
Figure 0003651983
【0029】
ここで、n=1(空気)、n=1.52(ガラス)を式(3)に適用した場合n/n=1.23となり、この場合2層構成膜の最大の低反射性が得られる。勿論n/n=1.23を満たさなくても、2層膜の屈折率がこれに近い値をとれる場合、低反射性が得られる。したがって、基体側に設ける高屈折率層と媒質側に設ける低屈折率層は、両者の屈折率比ができるだけ1.23に近い値を選択するのが好ましい。
【0030】
本発明において、所望の低反射膜を得るには多層膜間の屈折率差と合わせて膜厚も重要な要素である。
【0031】
反射防止性能を有する多層の低反射膜の構成としては、反射防止をしたい波長をλとして、基体側より高屈折率層及び低屈折率層を光学厚みλ/2及びλ/4で構成した低反射膜、基体側より中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層を光学厚みλ/4、λ/2及びλ/4で順次形成した3層の低反射膜、基体側より低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層を光学厚みλ/4、λ/4、λ/2及びλ/4で順次形成した4層の低反射膜等が、典型的な例として知られている。
【0032】
また、低反射低抵抗膜を構成する場合、低屈折率膜を構成する物質としてはケイ素化合物が屈折率、膜強度の点から好ましく用いられる。
【0033】
ケイ素化合物としてはSi(OR)R4−p(p=1〜4、Rは炭素数1〜4個のアルキル基)で示される化合物又は部分加水分解物を用いることが好ましい。またケイフッ化水素酸、ホウ酸を含む水溶液に二酸化ケイ素粉末を飽和させてなる溶液から析出させてできるケイ素化合物も使用できる。
【0034】
前記Si(OR)R4−p示される化合物又は部分加水分解物の低抵抗膜上への塗布方法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレー法、ロールコーター法、メニスカスコーター法等種々考えられ、特にスピンコート法は量産性、再現性に優れ、好ましい。かかる方法によって10nm〜1μm程度の膜が形成できる。
【0035】
本発明の着色可能な低抵抗膜はITOを含有するため、高屈折率を有し上記低屈折率膜との2層で構成した場合前述の低反射性が容易に発現される。
【0036】
本発明において、低抵抗膜を形成する基体としては目的に応じてソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、石英ガラス等のガラス、鋼玉等の単結晶、マグネシアサイアロン等の透光性セラミックス、ポリカーボネート等のプラスチックも使用できる。
【0037】
本発明における低抵抗膜形成用塗布液は、エチレングリコール誘導体と、高沸点、高表面張力かつ高誘電率を有するN−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及び炭酸プロピレンから選ばれる一種以上の溶媒とを含む。そのため、塗布液を基体上に塗布し乾燥させる工程においてITO及び/又は黒色系着色導電性微粒子が膜中で密に充填され、粒子間の空隙が減少する。したがって、電気抵抗が減少しかつ屈折率が増大するため、上層に低屈折率膜を設けた場合光の反射率が低下する。
【0038】
【実施例】
本発明の実施例(例1〜10)及び比較例(例11〜13)を示す。また例1〜13で得られた膜の特性の評価は以下のように行った。
【0039】
(1)透過率評価:日立製作所製スペクトロフォトメータU−3500により、視感透過率を測定した。
(2)導電性評価:三菱油化社製ハイレスタ抵抗測定器により、相対湿度30%以下の雰囲気中で膜表面の表面抵抗を測定した。
(3)耐擦傷性:1kg重の荷重下、消しゴムで膜表面を50回往復後、その表面の傷の付き方を目視で判断した。評価基準は、○:傷が全く付かない、△:傷が多少付く、×:多く傷が付くか剥離、とした。
(4)視感反射率:γ分光反射スペクトル測定器により、光波長380nm〜700nmの領域における膜の視感反射率を測定した。
【0040】
[例1]
ITO粉末5gと水45gに、28重量%のアンモニア分を含むアンモニア水0.5gを添加し混合した後、サンドミルで2時間粉砕して平均粒径100nmのITOゾルを得た(A液)。
【0041】
水:エチレングリコールモノメチルエーテル:エチレングリコールモノブチルエーテル:N−メチルピロリドン=82:5:10:3重量比の液を用い、固形分が2.5重量%になるように、A液を希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は11.21重量部、第2の溶媒は2.24重量部に相当)。その後ブラウン管パネル表面(画像領域)に、スピンコーターで100rpmの回転速度で60秒間前記塗布液を塗布し、その後160℃で30分間加熱し、約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0042】
[例2]
水:エチレングリコールモノエチルエーテル:エチレングリコールモノブチルエーテル:ジメチルスルホキシド=80:7:10:3重量比の液を用い、固形分が2.5重量%になるように、A液を希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は12.7重量部、第2の溶媒は2.24重量部に相当)。その後例1と同様にして例2の塗布液を塗布し、約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0043】
[例3]
水:エチレングリコールモノエチルエーテル:炭酸プロピレン=82:13:5重量比の液を用い、固形分が2.5重量%になるように、A液を希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は9.72重量部、第2の溶媒は3.74重量部に相当)。その後例1と同様にして例3の塗布液を塗布し、約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0044】
[例4]
カーボンブラック(三菱化学(株)製商品名MA7)粉末5gと水45gに、28重量%アンモニア分を含むアンモニア水を0.5g添加し混合した後、サンドミルで2時間粉砕して平均粒径80nmのカーボンブラックゾルを得た(B液)。A液とB液を固形分比が10:1重量比となるように混合し、水:エチレングリコールモノメチルエーテル:ジメチルスルホキシド=85:12:3重量比の液を用いて、さらに固形分が2.5重量%になるように希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は8.97重量部、第2の溶媒は2.24重量部に相当)。その後、例1と同様にして約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0045】
[例5]
A液とB液を固形分比が10:1重量比となるように混合し、水:エチレングリコールモノブチルエーテル:N−メチルピロリドン=87:10:3重量比の液を用い、さらに固形分が2.5重量%になるように希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は7.47重量部、第2の溶媒は2.24重量部に相当)。その後、例1と同様にして約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0046】
[例6]
A液とB液を固形分比が10:1重量比となるように混合し、水:エチレングリコールモノエチルエーテル:エチレングリコールモノブチルエーテル:N−メチルピロリドン:炭酸プロピレン=80:8:5:4:3重量比の液を用い、固形分が2.5重量%になるように希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は9.72重量部、第2の溶媒は5.23重量部に相当)。その後、例1と同様にして約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0047】
[例7]
酸窒化チタン{TiO(x≒1.7)}粉末10gと水45gに、28重量%のアンモニア分を含むアンモニア水1g添加し混合した。その後サンドミルで2時間粉砕して平均粒径110nmの酸窒化チタンゾルを得た(C液)。A液とC液を固形分比が15:1重量比となるように混合し、水:エチレングリコールモノメチルエーテル:ジメチルスルホキシド=85:10:5重量比の液を用いて、さらに固形分が2.5重量%になるように希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は7.54重量部、第2の溶媒は3.77重量部に相当)。その後、例1と同様にして約100nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0048】
[例8]
Si(OCのエタノール溶液(SiO換算固形分5重量%)に、pH2.8に調整した塩酸水溶液をSiOに対して8mol比に相当する量を添加し1時間撹拌した。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:イソプロピルアルコール:ジアセトンアルコール=5:4:1重量比に調整された液を用いて、固形分が1.0重量%となるように希釈した(D液)。まず例1の塗布液を用い、160℃、30分の加熱処理を60℃、10分の加熱処理に変更した以外は例1と同様にして約110nmの厚さの低抵抗膜を得た。次にD液を用いて、前記膜の上に例1と同様の方法で約100nmの厚さの膜を形成し、低反射用の多層低抵抗膜を得た。
【0049】
[例9]
例4の塗布液を用い、160℃、30分の加熱処理を60℃、10分の加熱処理に変更した以外は例1と同様にして約110nmの厚さの膜を得た。次にD液を用い、前記膜の上に例1と同様にして約100nmの厚さの膜を形成した。着色した低反射用の多層低抵抗膜を得た。
【0050】
[例10]
例7の塗布液を用い、160℃、30分の加熱処理を60℃、10分の加熱処理に変更した以外は例1と同様にして約110nmの厚さの膜を得た。次にD液を用い、前記膜の上に例1と同様の方法で約100nmの厚さの膜を形成した。着色した低反射用の多層低抵抗膜を得た。
【0051】
[例11]
水:エチレングリコールモノメチルエーテル:エチレングリコールモノブチルエーテル=85:5:10重量比の液を用いて、A液を固形分が2.5重量%になるように希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は11.21重量部、第2の溶媒は0重量部に相当)。その後、例1と同様にして約120nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0052】
[例12]
A液とB液を固形分比が10:1重量比となるように混合し、水:N−メチルピロリドン:炭酸プロピレン=90:5:5重量比の液を用いて、さらに固形分が2.5重量%になるように希釈し塗布液とした(塗布液100重量部に対し、第1の溶媒は0重量部、第2の溶媒は7.48重量部に相当)。その後、例1と同様にして約115nmの厚さの低抵抗膜を得た。
【0053】
【0054】
【0055】
[例13]
例11と同様の塗布液を用い、160℃、30分の加熱処理を60℃、10分の加熱処理に変更した以外は例1と同様にして約110nmの厚さの膜を得た。D液を用い、前記膜の上に例1と同様の方法で約100nmの厚さの膜を形成した。低反射用の多層低抵抗膜を得た。
【0056】
例1〜13で得られた膜の評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003651983
【0058】
【発明の効果】
本発明の低抵抗膜形成用塗布液により、着色性、帯電防止性を有するのみならず、充分な電磁波遮蔽性を発現しうる低抵抗性を有し、さらには外観に優れた高品位の膜が得られる。

Claims (6)

  1. SnドープIn微粒子及び黒色系着色導電性微粒子を含む固形分と、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル又はエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる1種以上のエチレングリコール誘導体である第1の溶媒と、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド及び炭酸プロピレンから選ばれる1種以上の第2の溶媒とを含み、第1の溶媒は塗布液100重量部に対し0.1〜50重量部含まれるものであって、第2の溶媒は塗布液100重量部に対し0.1〜30重量部含まれるものであることを特徴とする低抵抗膜形成用塗布液。
  2. 前記黒色系着色導電性微粒子が、カーボンブラック、窒素を0.1〜30重量%含有するTiO(1.0≦x<2.0)のいずれかである請求項1に記載の低抵抗膜形成用塗布液。
  3. 基体上に請求項1又は2に記載の低抵抗膜形成用塗布液を塗布し硬化させてなることを特徴とする低抵抗膜の製造方法。
  4. 請求項に記載の低抵抗膜の製造方法により形成された低抵抗膜。
  5. 基体側から請求項に記載の低抵抗膜、前記低抵抗膜よりも低屈折率の膜が順次形成されてなる多層低抵抗膜。
  6. 請求項4又に記載の膜が表面に形成されたガラス物品。
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KR102056976B1 (ko) 2018-01-08 2019-12-23 (주)비젼사이언스 컨택트렌즈용 전자파차폐 안료

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