JP3651684B1 - イオン交換膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルホン酸基を含有する芳香族炭化水素系化合物からなり、80℃の5mol/lメタノール水溶液に20時間浸漬する前後で測定したメタノール透過係数の差が20%以下であることを特徴とするイオン交換膜であり、80℃以上の溶媒に含浸する処理を施すことにより、メタノール透過係数を安定化させ達成した。
Description
イオン交換膜の厚みは、マイクロメーター(Mitutoyo 標準マイクロメーター 0−25mm 0.01mm)を用いて測定することにより求めた。測定は5×5cmの大きさのサンプルに対して20箇所測定し、その平均値を膜厚とした。なお測定は、室温が20℃で湿度が30±5RH%にコントロールされた測定室内で評価を行った。サンプルは、24時間以上、測定室内で静置したものを使用した。
イオン交換容量(IEC)としては、イオン交換膜に存在する酸型の官能基量を測定した。まずサンプル調整として、サンプル片(5×5cm)を80℃のオーブンで窒素気流下2時間乾燥し、さらにシリカゲルを充填したデシケータ中で30分間放置冷却した後、乾燥重量を測定した(Ws)。次いで、200mlの密閉型のガラス瓶に、200mlの1mol/l塩化ナトリウム-超純水溶液と秤量済みの前記サンプルを入れ、密閉状態で、室温で24時間攪拌した。次いで、その溶液30mlを取り出し、10mMの水酸化ナトリウム水溶液(市販の標準溶液)で中和滴定し、滴定量(T)より下記式を用いて、IEC(酸型)を求めた。
IEC(meq/g)=10T/(30Ws)×0.2
(Tの単位:ml Wsの単位:g)
膨潤率は、サンプル(5×5cm)の正確な乾燥重量(Ws)と、サンプルを70℃の超純水に2時間浸漬した後取り出し、サンプル表面に存在する余分な水滴をキムワイプ(商品名)を用いてふき取り、直ぐに測定した重量(Wl)から、下記式を用いて求めた。
膨潤率(%)=(Wl−Ws)/Ws×100(%)
イオン伝導率σは次のようにして測定した。自作測定用プローブ(ポリテトラフルロエチレン製)上で幅10mmの短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽中に試料を保持し、白金線間の10kHzにおける交流インピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を10mmから40mmまで10mm間隔で変化させて測定し、極間距離と抵抗測定値をプロットした直線の勾配Dr[Ω/cm]から下記の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルして算出した。
σ[S/cm]=1/(膜幅×膜厚[cm]×Dr)
イオン交換膜の液体燃料透過速度はメタノール透過速度およびメタノール透過係数として、以下の方法で測定した。25℃に調整した5モル/リットルのメタノール水溶液(メタノール水溶液の調整には、市販の試薬特級グレードのメタノールと超純水(18MΩ・cm)を使用。)に24時間浸漬したイオン交換膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5モル/リットルのメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。なお具体的には、超純水を入れたセルのメタノール濃度変化速度[Ct](mmol/L/s)より以下の式を用いて算出した。
メタノール透過速度[mmol/m2/s]=(Ct[mmol/L/s]× 0.1[L])/2×10−4[m2]
メタノール透過係数[mmol/m/s]=メタノール透過速度[mmol/m2/s]×膜厚[m]
80℃の5mol/lメタノール水溶液にサンプルを20時間浸漬し、浸漬の前後でメタノール透過係数を測定して、下記式によりメタノール透過係数を比較することで求めた。サンプルとしては厚み約150μmのものを使用した(サンプルの厚みは限定されない。適宜変更評価することが可能である。)。数値としては、低い方が性能変化の少なく優れたイオン交換膜であると言える。
メタノール透過係数の安定性[%]=(浸漬後のメタノール透過係数―浸漬前のメタノール透過係数)/浸漬前のメタノール透過係数×100(%)
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液に、市販の54%白金/ルテニウム触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒)と、少量の超純水およびイソプロパノールを、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060(疎水化処理品)に白金の付着量が1.8mg/cm2になるように均一に塗布・乾燥して、アノード用の電極触媒層付きガス拡散層を作製した。また、同様の手法で、白金/ルテニウム触媒担持カーボンに替えて市販の40%白金触媒担持カーボンを用いて、疎水化したカーボンペーパー上に電極触媒層を形成することで、カソード用の電極触媒層付きガス拡散層を作製した(0.9mg−白金/cm2)。上記2種類の電極触媒層付きガス拡散層の間に、イオン交換膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により135℃、2MPaにて3分間加圧、加熱することにより、イオン交換膜・電極接合体を作製した。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度60℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ60℃の5mol/lのメタノール水溶液と空気を供給しながら、電流密度0.1A/cm2で放電試験を行った際の電圧を調べた。測定は、運転開始後、3時間後および50時間後に測定した。
モル比で1.00:2.01:3.01:3.37となるように、3,3'−ジスルホ
−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩、2,6−ジクロロベンゾニト
リル、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウムの混合物を調整し、その混合物15gを
モリキュラーシーブ3.50gと共に100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。溶媒としてはNMPを使用した。150℃で一時間撹拌した後、反応温度を190−195℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約6時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰させた超純水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの26%NMP溶液を調整した。流延法によってポリマー溶液を薄く引き延ばし、90℃次いで150℃で5時間乾燥することフィルムを作製した。次いで、2mol/lの硫酸水溶液中に2時間浸漬し、水洗5回後、枠に固定した状態で室温で乾燥し、グリーンフィルムを得た。このグリーンフィルムを90℃の15%メタノール水溶液(密閉系)で10時間処理した後、水洗・乾燥することで実施例1のイオン交換膜を作製した。
実施例1のグリーンフィルムを80℃の水中で10時間処理したことを除いて実施例1の手法により実施例2のイオン交換膜を作製した。
実施例1のグリーンフィルムを80℃の水中で10時間処理したことを除いて実施例1の手法により実施例2のイオン交換膜を作製した。
実施例1のグリーンフィルムを105℃の水中(加圧系)で1時間処理したことを除いて実施例1の手法により実施例3のイオン交換膜を作製した。
実施例1において、2,6−ジクロロベンゾニトリルの変わりに4,4'−ジクロロジフェニルスルホンを用いたことを除いて、実施例1の手法により実施例4のイオン交換膜を作製した。
実施例1において、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩、2,6−ジクロロベンゾニトリル、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウムのモル比を1.00:1:50:2.50:3.02となるように仕込んだこと、およびグリーンフィルムをメタノール水溶液で処理しなかったことを除いて、実施例1の手法で比較例1のイオン交換膜を得た。
グリーンフィルムをメタノール水溶液で処理しなかったことを除いて実施例4の手法で比較例2のイオン交換膜を作製した。
Claims (7)
- ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトン系ポリマーなどのポリアリーレンエーテル系化合物の少なくとも1種が共重合されたスルホン酸基を含有する芳香族炭化水素系化合物からなり、アルコール水溶液に含浸する処理を施したことを特徴とする、80℃の5mol/lメタノール水溶液に20時間浸漬する前後で測定したメタノール透過係数の差が20%以下であるイオン交換膜。
- 80℃以上の溶媒に含浸する処理を施したことを特徴とする請求項1の範囲のイオン交換膜。
- 水およびアルコール水溶液に含浸する処理を施したことを特徴とする、請求項2の範囲のイオン交換膜。
- 請求項1乃至4のいずれかの範囲のイオン交換膜の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかの範囲のイオン交換膜を使用したイオン交換膜・電極接合体。
- 請求項6の範囲のイオン交換膜・電極接合体を使用した燃料電池。
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