JP3649840B2 - 液体燃料燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を気化器で気化して燃焼させる石油ファンヒータ、強制給排気式の温風暖房機等の液体燃料燃焼装置であって、特に燃焼装置の点火時の臭い抑制制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体燃料燃焼装置の点火動作の制御としては、特開昭57−47126号公報に開示されたように風量(空気量)に応じた液体燃料供給量(燃料量)を供給するようにしたものや、特開昭62−56707号公報に開示されたように空気量と燃料量とがバランスされて混合された燃焼量(空燃比)として弱や微弱等の低い状態で緩やかに点火させて確実に着火させるようにすることが主流であった。また、点火時における点火性を良くするために、燃料量(具体的には強燃焼や中燃焼の燃焼量)を多くするものとして、例えば特開平2−238251号公報に開示されたものがある。これらに開示されたものは、何れも空気量と燃料量とをバランスした状態で混合させた燃焼量でもって点火動作を行わせている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この点火時にも混合ガスの未燃分(以下これを未燃ガスという)が発生しており、この未燃ガスが液体燃料燃焼装置の機体外に放出されて臭いがすることがわかっている。また、点火時において点火装置としてのイグナイタがスパークして着火のための火種ができてからバーナの炎形成部としてのバーナ部の全体に火移りが完成するまでには、若干の時間(1秒未満)がかかる。この火移りが完了する時点で炎が立ち上がるが、このときに未燃ガスの発生を示すような現象として、炎が不安定な状態でちらつくことがわかった。さらに、点火動作時に対流用送風機からの送風がある場合にも、炎が乱されたり火移りしづらかったりといった着火性が悪くなるとともに、未燃ガスが発生しやすいことがわかった。
【0004】
ここでいう未燃ガスの量は、液体燃料燃焼装置の燃焼部の構造や点火動作の制御シーケンス、具体例を挙げれば、炎形成部にあたるバーナヘッドの構造・バーナヘッドや気化部の温度・混合ガスの混合比(空燃比)・混合ガスの炎形成部からの噴出速度(スピード)・燃焼量等のいろいろな要因によって変化すると考えられる。この様々な要因の中では、混合ガスの混合比(空燃比)と混合ガスの炎形成部からの噴出速度が最も影響が大きいことがわかった。
【0005】
そこで本発明では、点火時における炎形成部の火移り完了までの時間を短くして未燃ガスの発生を出来るだけ少なくするために、点火動作時の初期に対流用送風機を停止すると共に、混合ガスの混合比(即ち空燃比)を空気量が少ない側に強制的に固定制御して混合ガスの混合比率を高くすると同時に炎形成部からの混合ガスの噴出速度を適切に設定できるようにした液体燃料燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、点火動作時の所定時間だけは前記燃焼用空気の量を通常時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高くすると共に前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制する制御装置を備えたものである。
本発明の請求項2の発明は、燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、点火動作時の最初の所定時間だけは前記燃焼用空気の量を通常の燃焼時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高くすると共に前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制し、前記所定時間経過後に燃料の混合比率を通常燃焼時の混合比率に徐々に近づけるように燃焼用空気の量を増大させる制御装置を備えたものである。
請求項3の発明は、制御装置は段階的若しくはリニアに徐々に空気量を増大させるようにしたものである。
【0007】
請求項4の発明は、制御装置は点火動作の開始から一定時間遅延して対流用送風機の運転を遅延させるようにしたものである。
【0008】
請求項5の発明は、空気量を少なくする所定時間よりも対流用送風機を運転させる一定時間を短くしたものである。
請求項6の発明は、燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、点火動作時の最初の所定時間だけは前記燃焼用空気の量を通常の燃焼時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高くすると共に前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制し、前記所定時間経過後に燃料の混合比率を通常燃焼時の混合比率に徐々に近づけるように燃焼用空気の量を増大させる減臭制御装置及びその指示手段を備えたものである。
本発明の請求項7の発明は、燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作モードを、燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードと、混合比率を第1のモードの混合比率から通常燃焼時の混合比率に徐々に近づける第2のモードと、混合比率を通常の混合比率とする通常モードとで構成したものである。
【0009】
本発明の請求項8の発明は、液体燃料を気化する気化器と、気化器に液体燃料を供給する燃料供給装置と、気化器に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機と、気化器で気化された気体燃料と燃焼用空気との混合ガスが供給されて点火装置で点火され炎を形成する炎形成部と、燃料供給装置、燃焼用送風機及び点火装置の動作を制御する制御装置とを備えた液体燃料燃焼装置において、制御装置は、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間における動作制御として、燃料供給装置を駆動してから第1の所定時間を燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードとし、その後の第2の所定時間を混合比率が第1のモードの混合比率よりも高く通常燃焼時の混合比率よりも低い第2の混合比率とする第2のモードとし、続いて通常燃焼時の混合比率に安定させる通常モードとするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下、本発明の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示す液体燃料燃焼装置として石油ファンヒータの全体構成を示す概略の斜視図、図2は同じく点火装置、液体燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を制御する制御手段を中心とする制御装置のブロック回路図、図3は制御手段の制御動作の概略を示すフローチャート、図4は図3の点火動作シーケンスの概略を示す本発明の主要なフローチャート、図5は図4の点火動作シーケンスにおける信号の概略変化を示すタイムチャートである。
【0011】
図1において、1は石油ファンヒータHの本体を構成する外装ケース、2は温風を吹き出す吹出口であり、外装ケース1内におけるこの吹出口2の後方には図示しない燃焼室、燃焼用送風機並びに対流用送風機等がある。
【0012】
尚、ここでいう燃焼室には、燃料タンクから気化器及び気化器の上部に配置した炎形成部としてのバーナヘッド(これらを総称してバーナ若しくは燃焼部という)に燃料を供給するための電磁ポンプ及び燃料吐出ノズルを含む液体燃料供給装置、点火装置としての点火プラグ(イグナイタ)、バーナヘッドに形成される炎の状態を検出する着火及び炎検出装置としてのフレームセンサ及び気化器に内蔵された気化ヒータ等で構成される燃焼装置が配置されている。
【0013】
3は図示しない燃料タンクに対して着脱自在にセットされるカートリッジタンクを出し入れするための開閉自在な蓋体、4は後述する制御手段による石油ファンヒータHの動作を指示するためのスイッチ等の操作手段及び液晶等の表示手段を配置した操作部としての操作パネルであって、外装ケース1の上面に設けられる。
【0014】
ここで、石油ファンヒータHの背面下部には操作パネル4の直下に配置した操作基板や制御基板上に搭載された制御装置Sや燃焼装置、燃焼用送風機並びに対流用送風機等の電機部品に電源を供給するための電源コードが設けてあり、電源コードのプラグをコンセントに差し込めば少なくとも制御装置Sには電源が供給されるようになっており、プラグをコンセントに差し込む操作のことを運転スイッチのオン操作と区別して電源投入という。
【0015】
次に、点火装置、液体燃料供給装置、燃焼用送風機並びに対流用送風機を制御する制御手段11を中心とする制御装置Sの概略構成を説明する。
【0016】
Sは本発明の主体的構成要素である制御手段11を中心とする制御装置であり、制御手段11はタイマ、記憶手段としてのROMやRAMを備えるマイクロコンピュータ(以下単にマイコンという)で構成されている。制御手段即ちマイコン11は、入力信号に基づいて各種負荷の動作を制御するための制御信号を出力するもので、12はこのマイコン11に信号線で接続され随時書き込み可能な記憶手段としてのEEPROMである。尚、図2ではEEPROM12をマイコン11と別体であるかの如く表現しているが、これは別体に限定されるものではなく、EEPROMをマイコン11に組み込んでもかまわない。
【0017】
この制御手段11の入力側には操作パネル4に設けられた各種スイッチ13乃至18及び適所に設置された各種センサ19乃至23が接続され、制御手段11の出力側には電気部品即ちバーナ(詳しくは気化器)に内蔵された気化ヒータ24、点火装置としての点火プラグ(イグナイタ)25、燃料タンクからバーナ(燃焼部)に燃料を供給するための液体燃料供給装置の一部を構成する電磁ポンプ26、燃焼部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機27及び外気を外装ケース1内に吸い込み燃焼室で発生した燃焼ガスと熱交換して吹出口2へ供給する対流用送風機28が接続されている。
【0018】
制御手段11の入力側に接続される各種スイッチとしては、石油ファンヒータHの運転の開始及び燃焼時間の延長を指示する運転入スイッチ13、運転の停止を指示する運転切スイッチ14、運転開始時の点火時間を短くするために停止中にも気化ヒータ24の通電を制御して気化器を予熱して待機させる秒速点火動作を指示する秒速点火スイッチ15、燃焼用空気取入口にセットされる燃焼空気用フィルタを掃除したとき使用者が操作して清掃の終了を制御手段11に認識させるフィルタースイッチ16、室温に応じて燃焼量が変化する自動燃焼モードや常時一定の燃焼量で燃焼する固定燃焼モードを選択するモード選択部や任意の室温を設定する温度設定部等で構成される温調スイッチ17及び液晶表示部における現在時刻やタイマー運転開始時刻等時刻を設定する時刻合わせスイッチ18がある。
【0019】
尚、本実施例では、運転入スイッチ13に対して点火動作モード時の最初の所定時間だけを燃焼用空気の量を通常燃焼時のそれよりも少なくして燃料の混合比率を高くしその後空気の量を徐々に通常の量に近づけるように増大させる減臭を最終目的とする制御形態(換言すれば減臭制御)を指示する制御指示手段としての機能を持たせている。この指示手段としては、運転入スイッチ13とは別に単独で他のスイッチを設けても良いが、操作パネルのスイッチを少なくする上で兼用する方が好ましいことに加え、運転を開始するときには常時この制御形態で点火動作を行うようにした方が、液体燃料燃焼装置としての機能が充実する。
【0020】
各種センサとしてはバーナ(詳しくは気化器)の下部に設けられバーナの温度を検出するバーナサーミスタ19、バーナヘッドに形成される炎の状態を検出する炎検出装置としてのフレームセンサ20、燃焼用送風機27の回転数を検出する回転数センサ21、燃料タンク内に貯留される灯油等の液体燃料の所定レベル以上の残り有無を検出する液面センサ22及び図示しない吸込口近傍に設けられ外装ケース1内に吸い込んだ外気(即ち室内空気)の温度を検出する室温センサ23がある。
【0021】
以上の構成により図3乃至図5に基づき制御手段11の各種動作処理について簡単に説明する。
【0022】
まず、ステップS1で運転入スイッチ13をONして運転開始を指示すると、ステップS2で運転ランプを点灯させるか液晶表示部の運転モードの文字を表示させ、ステップS3で気化ヒータ(例えばシーズヒータ)24に通電を開始し、ステップS4で気化器(詳しくはバーナボディ)の温度が点火動作に適した温度(例えば250〜270℃の温度帯)か否かが判断され、適温に達するまで気化ヒータ24の通電制御が継続され、適温に達するとステップS5で燃焼用送風機(詳しくはバーナモータ)27に駆動信号が供給されバーナモータ27が回転を開始する。
【0023】
制御手段11では次にある時間経過後に回転数センサ21で検出されたバーナモータの回転数が規定の回転数(ここでは後述する第1の回転数R1=1100rpm)に達したか否かが判断され(ステップS6)、このある時間経過後に規定の回転数R1に達していなければステップS14乃至S17の動作に移行し、規定の回転数R1に達すればステップS7で点火動作を行い、ステップS8でフレームセンサ20で検出されたフレーム電流に基づいて着火されたか否かが判断され、ステップS9で正常燃焼か否かが判断される。
【0024】
着火されない若しくは正常燃焼ではないと判断された場合には、ステップS18乃至S25の動作に移行し、正常燃焼である場合にはステップS10で点火プラグの点火動作(スパーク)を停止し、ステップS11で気化ヒータ24の通電を停止し、ステップS12で温調スイッチ17による設定に基づいた燃焼モード若しくは設定室温にすべく燃焼量の自動変化動作が開始される。
【0025】
次のステップS13ではフレームセンサ20で検出されたフレーム電流に基づいて設定された燃焼量での炎の状態が正常か否かが判断され、正常であれば以下このステップS12及びS13の動作が繰り返され、正常でなければステップS26乃至S31の動作に移行する。
【0026】
ステップS6でバーナモータの回転数が異常であることが判明したのでステップS14では気化ヒータ24の通電を停止し、ステップS15で運転ランプを点滅させるか液晶表示部の運転モードの文字を点滅表示させ、ステップS16で異常内容としてバーナモータの回転数異常を示す記号(例えばE6)を表示して異常を報知する。この場合異常が解除されるまで点火動作に移行することはない。そして、ステップS17で使用者の運転切スイッチ14及び運転入スイッチ13の操作を経て、ステップS3へ復帰できる。
【0027】
ステップS8若しくはステップS9で点火トライアル期間(例えば23秒間)内に正常な炎を検出できない異常(これを点火ミスという)であることが判明したので、ステップS18では気化ヒータ24の通電を停止し、ステップS19で運転ランプを点滅させるか液晶表示部の運転モードの文字を点滅表示させ、ステップS20で異常内容として点火ミスを示す記号(例えばE1)を表示して異常を報知する。続いてステップS21で点火プラグ25の点火動作(スパーク)を停止し、ステップS22で電磁ポンプ26の燃料供給動作を停止し、ステップS23で対流用送風機28を、ステップS24で燃焼用送風機27をそれぞれ停止すべく駆動信号を停止して点火シーケンスを終了する。そして、ステップS25で使用者の運転切スイッチ14及び運転入スイッチ13の操作を経て、ステップS3へ復帰できる。
ステップS13で着火はしたが燃焼量を変化させる途中で消火した異常(これを途中消火という)であることが判明したので、ステップS26では運転ランプを点滅させるか液晶表示部の運転モードの文字を点滅表示させ、ステップS27で異常内容として途中消火を示す記号(例えばE2)を表示して異常を報知する。続いてステップS28で電磁ポンプ26の燃料供給動作を停止し、ステップS29で対流用送風機28を、ステップS30で燃焼用送風機27をそれぞれ停止すべく駆動信号を停止して燃焼量制御のシーケンスを終了する。そして、ステップS31で使用者の運転切スイッチ14及び運転入スイッチ13の操作を経て、ステップS3へ復帰できる。
【0028】
さて、次に上述のステップS7における点火動作について、図4に基づき更に詳細な動作を説明する。まず、ステップS71で最初に点火プラグ25の点火動作(即ちスパーク)を開始し、続くステップS72で電磁ポンプ26を点火動作特有の燃料供給量(例えば中燃焼に対応する中燃料の量)となるように駆動し、ステップS73で電磁ポンプ26が駆動されたときを起点とする時間が遅延時間としての一定時間A(例えば2.1秒間)が経過したか否かが判断され、ステップS74で時間Aが経過するまでまって対流用送風機28を通常の回転数F(例えば中燃焼に見合った回転数960rpm)で駆動する駆動信号を出力する。
【0029】
このため、通常よりも少ない量での燃焼用空気の供給開始、点火スパーク開始、燃料の供給開始の順序で動作が続けられ着火を試みる着火トライアル期間の初期には、対流用送風機28が停止しているため、バーナヘッドに供給される燃料と燃焼用空気との混合ガスは従来よりもその噴出速度が遅くなることはもとより、この遅い速度の混合ガスに対して一定時間Aだけは対流用の風による影響を無くすことができ、これによって着火しようとする混合ガスの適当な流れが対流用の風で乱されて不安定になることが防止され、着火トライアル期間の初期(詳しくは時間A以内)で着火しやすくなった。特に従来のような着火遅れや飛び火(炎のリフティング)現象も発生しにくくなり、これら着火遅れ若しくは着火ミスや炎のリフティングに伴う未燃ガスの発生が抑制できた。
【0030】
また、空気量を少なくする所定時間Bりも対流用送風機28転させる一定時間A短くしたので、後述する着火トライアル期間における第1のモード中に対流用送風機28転されることとなり、燃焼用送風機の風だけでバーナの冷却(これをプリパージという)が行われる時間が短くなり、プリパージ効果が期待できない時間も短くなるため、結果的に未燃ガスの発生も抑制されて、より着火性能が向上できた。
【0031】
次のステップS74で電磁ポンプ26が駆動されたときを起点とする時間が燃焼用空気の量を通常時よりも少なくする所定時間としての一定時間B(条件B≧A、Bの期間を着火トライアル期間における第1のモードといい例えば3秒間とする)が経過したか否かが判断され、ステップS76で時間Bが経過するまでまって燃焼用送風機27の回転数を第1の回転数R1よりも大きく電磁ポンプ26の供給量に見合った回転数R3(これを通常の回転数という)よりも小さい第2の回転数R2(これを第2のモードといい例えば1350rpm)に上昇して一定時間C(例えば25秒間)だけ継続駆動する。
【0032】
このため、バーナに供給される燃料に対して空気が少なくなるように燃料の混合比率を所定時間Bだけ通常時よりも高い側に強制的に固定することにより、点火動作(上述の着火トライアル期間)の初期(即ち第1のモード)における風量が抑えられるため、混合ガスの噴出速度を従来のそれよりも遅くすることができ、その結果、炎形成部における炎はリフト気味で発生するのではなく、炎形成部全体に広がるようにして速やかに炎を発生させることができるようになり、炎形成部での火移りが従来の点火制御の動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、この期間における未燃ガスの発生が少なくなった。
【0033】
また、この所定時間Bの経過後に混合比率を通常燃焼時の混合比率に近づけるように燃焼用送風機27の回転数を第1の回転数R1よりも大きく電磁ポンプ26の供給量に見合った回転数R3よりも小さい第2の回転数R2(即ち着火トライアル期間における第2のモード)にして、空気の量を増大させることにより、空気過少気味でこの点火時に炎形成部に形成される炎が発生するときの音を従来よりも小さくすることができた。
【0034】
しかも、燃焼用空気の量を段階的(若しくはリニア)に徐々に増加させるようにしたので、着火トライアル期間における炎の状態が安定するまでの間は、燃焼用空気の量を徐々に増加移行させることができるため、風量の急激な変化による炎形成部と炎そのものの急激な温度変化を抑制することができ、結果的に炎形成部の温度を徐々に上昇させることが可能となった。そして、炎の状態が不安定になりやすいままでの燃焼量が継続される時間が減り、着火トライアル期間初期におけるリフト気味な炎の生成を抑制でき、リフト気味の炎があるときに燃えないでバーナヘッドの炎孔から噴出される混合ガス、即ち未燃ガスの量をも抑制することができ、点火動作時の臭いを一段と低減でき、結果として着火を確認するまでの時間が従来よりも短くなった。
【0035】
その後、ステップS77で一定時間Cが経過したか否かが判断され、ステップS78で燃焼用送風機27の回転数を通常の回転数R3(これを着火トライアル期間における第3のモードとしての通常モードといい、例えば1500rpm)に上昇して、ステップS8へ移行する。
【0036】
このように、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの着火トライアル期間を、第1のモードと、第2のモードと、通常のモードとの3つで構成したことにより、トライアル期間初期(即ち第1のモード)の混合ガスの噴出速度が従来よりも遅くなり、炎形成部における火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、第1のモードにおける未燃ガスの発生量が少なくなって、いわゆる点火時の臭いが減り、従来の点火制御に比べて格段の効果があった。
【0037】
【発明の効果】
請求項1に記載の液体燃料燃焼装置によれば、燃料に対して空気が少なくなるように燃料の混合比率を所定時間だけ通常時よりも高い側に強制的に固定することにより、点火動作時初期における風量を抑えるため混合ガスの噴出速度を遅くすることができ、その結果、炎形成部における炎はリフト気味で発生するのではなく炎形成部全体に広がるようにして発生させることができ、炎形成部での火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、この期間における未燃ガスの発生が少なくなった。
【0038】
請求項2に記載の液体燃料燃焼装置によれば、燃料に対して空気が少なくなるように燃料の混合比率を所定時間だけ通常の燃焼時よりも高い側に強制的に固定して炎形成部における混合ガスの噴出速度を遅くし、この所定時間の経過後に混合比率を通常燃焼時の混合比率に近づけるように空気の量を増大させることにより、請求項1と同様に従来よりも火移り完了までの時間を短縮できることに加え、この点火時における炎が発生するときの音を小さくすることができ、しかも炎が安定するまでの時間をも短縮することができ、結果として着火を確認するまでの時間が短くなった。
【0039】
請求項3に記載の燃焼装置によれば、燃焼用空気の量を段階的若しくはリニアに徐々に増加させるようにしたので、請求項2の効果に加えて、炎の状態が安定するまでの点火動作初期における燃焼用空気の量を徐々に増加移行させることができるため、風量の急激な変化による炎形成部と炎の急激な温度変化を抑制することができ、結果的に炎形成部の温度を徐々に上昇させることが可能となり、炎の状態が不安定なままで継続する時間が減り、点火動作初期時におけるリフト気味な炎の生成を抑制でき、リフト気味の炎があるときに燃えないで噴出される混合ガス即ち未燃ガスの量をも抑制することができ、点火動作時の臭いを一段と低減できた。
【0040】
請求項4に記載の燃焼装置によれば、点火動作開始から遅延して対流用送風機を動作させることにより、請求項2の効果に加えて、点火させるときの炎形成部における混合ガスに対する風の影響をなくすことができると共に、流用送風機の風で燃焼用送風機による混合ガスの適当な流れが乱されることがなくなり、着火遅れや飛び火(炎のリフティング)現象も発生しなく若しくは発生しにくくなって、この着火遅れやリフティングに伴う未燃ガスの発生を抑制できた。
【0041】
請求項5に記載の燃焼装置によれば、空気量を少なくする所定時間よりも対流用送風機の運転を遅延させる一定時間を短くしたので、請求項2乃至4の効果に加えて、点火開始から所定時間の間、即ち点火トライアル期間中に対流用送風機が運転されることとなり、点火動作開始初期における対流用送風機の風の悪影響をなくす一方、混合ガスの空気の量が少ない時間をより短くすることが可能となり、プリパージ効果が期待できない時間も短くなるため未燃ガスの発生も抑制されて、より着火性能が向上した。
【0042】
請求項6に記載の液体燃料燃焼装置によれば、減臭点火の制御動作を指示する指示手段を設けたことにより、任意に減臭点火の制御を行わせることが可能となり、液体燃料燃焼装置としての着火性及び使用性が向上した。指示手段として運転開始指示手段を兼用すれば、運転開始時は常に減臭効果を期待できる点火動作が行われる。
【0043】
請求項7及び8に記載の液体燃料燃焼装置によれば、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作モードを、第1のモードと、第2のモードと、通常モードとの3つで構成したことにより、点火動作初期の混合ガスの噴出速度が従来よりも遅くなり、炎形成部における火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、この期間特に第1のモードにおける未燃ガスの発生量が少なくなって、点火時の臭いが減った。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す液体燃料燃焼装置として石油ファンヒータの全体構成を示す概略の斜視図である。
【図2】 同じく点火装置、液体燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を制御する制御手段を中心とする制御装置のブロック回路図である。
【図3】 同じく制御手段の制御動作の概略を示すフローチャートである。
【図4】 図3の点火動作シーケンスの概略を示す本発明の主要なフローチャートである。
【図5】 図4の点火動作シーケンスにおける信号の概略変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
H 石油ファンヒータ(液体燃料燃焼装置)
S 制御装置
11 マイコン(制御手段)
20 フレームセンサ(炎検出装置)
24 気化ヒータ(気化器)
25 点火プラグ(点火装置)
26 電磁ポンプ(燃料供給装置)
27 燃焼用送風機
28 対流用送風機
Claims (8)
- 燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、点火動作時の所定時間だけは前記燃焼用空気の量を通常時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高くすると共に前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制する制御装置を備えたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
- 燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、点火動作時の最初の所定時間だけは前記燃焼用空気の量を通常の燃焼時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高くすると共に前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制し、前記所定時間経過後に燃料の混合比率を通常燃焼時の混合比率に徐々に近づけるように燃焼用空気の量を増大させる制御装置を備えたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
- 制御装置は段階的若しくはリニアに徐々に空気量を増大させることを特徴とする請求項2に記載の液体燃料燃焼装置。
- 制御装置は点火動作の開始から一定時間遅延して対流用送風機を運転させることを特徴とする請求項2乃至3の何れかに記載の液体燃料燃焼装置。
- 空気量を少なくする所定時間よりも対流用送風機の運転を遅延させる一定時間を短くしたことを特徴とする請求項4に記載の液体燃料燃焼装置。
- 燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、点火動作時の最初の所定時間だけは前記燃焼用空気の量を通常の燃焼時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高くし、前記所定時間経過後に燃料の混合比率を通常燃焼時の混合比率に徐々に近づけるように燃焼用空気の量を増大させる減臭制御装置及びその指示手段を備えたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
- 燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させる液体燃料燃焼装置において、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作モードを、燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードと、混合比率を第1のモードの混合比率から通常燃焼時の混合比率に徐々に近づける第2のモードと、混合比率を通常の混合比率とする通常モードとで構成したことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
- 液体燃料を気化する気化器と、気化器に液体燃料を供給する燃料供給装置と、気化器に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機と、気化器で気化された気体燃料と燃焼用空気との混合ガスが供給されて点火装置で点火され炎を形成する炎形成部と、燃料供給装置、燃焼用送風機及び点火装置の動作を制御する制御装置とを備えた液体燃料燃焼装置において、制御装置は、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間における動作制御として、燃料供給装置を駆動してから第1の所定時間を燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードとし、その後の第2の所定時間を混合比率が第1のモードの混合比率よりも高く通常燃焼時の混合比率よりも低い第2の混合比率とする第2のモードとし、続いて通常燃焼時の混合比率に安定させる通常モードとすることを特徴とする液体燃料燃焼装置。
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