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JP3649565B2 - 合成開口レーダ装置 - Google Patents

合成開口レーダ装置 Download PDF

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JP3649565B2
JP3649565B2 JP35808197A JP35808197A JP3649565B2 JP 3649565 B2 JP3649565 B2 JP 3649565B2 JP 35808197 A JP35808197 A JP 35808197A JP 35808197 A JP35808197 A JP 35808197A JP 3649565 B2 JP3649565 B2 JP 3649565B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機や衛星などの移動プラットフォームに搭載する合成開口レーダ装置に関し、特に地表を広域にわたって観測しその高分解能画像を得る合成開口レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の合成開口レーダ装置としては、図7に示すようなものがあった。図7は特公平07−27021号公報に記載された合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。図7において、1は送信機、2は送信アンテナ、3は受信機、4は受信アンテナ、5はビーム形成部、6はDBF(Digital Beam Forming)アンテナ、7はパルス圧縮手段、8はフーリエ変換手段、9はスペクトル合成手段、10はもう一つのフーリエ変換手段、11は複素乗算手段、12は逆フーリエ変換手段、13はアジマス圧縮手段、14はリファレンス信号発生部、15は表示装置である。
【0003】
次に、図7乃至図11を参照して、この従来の合成開口レーダ装置の動作を説明する。図8はこの従来の合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図、図9はシングルビームの合成開口レーダ装置の受信信号のドップラー周波数を示す図、図10はマルチビームの合成開口レーダ装置の受信信号のドップラー周波数を示す図、図11はレンジ方向のアンビギュイティーを示す図である。
また、図8において、16はDBFアンテナ6を搭載したプラットフォーム、17a、17b、17c、17dは受信ビームのフットプリント、18は送信ビームのフットプリントである。
【0004】
この従来の合成開口レーダ装置は、航空機や人工衛星に搭載されるが、図7に示すパルス圧縮手段7よりも下流の手段は地上などに分けて設置することもできる。送信アンテナ2は送信機1で発生した高周波パルス信号を観測領域へ向けて照射し、その反射波を受信アンテナ4が受けて受信機3がj増幅し検波する。受信アンテナ4は空間内に多数配置されており、よく知られたアレーアンテナの原理により、所望の角度に受信ビームを形成することができる。
【0005】
ビーム形成部5は、いわゆるデジタルビームフォーマであり、アレーアンテナの原理を用いてディジタル計算機の上で受信ビームを形成するものである。この場合、受信信号をメモリに蓄えておくことにより、異なる角度を向いた複数の受信ビームを同時に形成することが可能で、図7では4本のビームを形成する場合について示している。
【0006】
この時、受信ビームは図8に示すように、プラットフォームの移動方向に沿って、ビーム幅の間隔で並べるものとする。また、送信ビームのフットプリント18は、これらの受信ビームのフットプリント17a、17b、17c、17dすべてを含むように設計されているものとする。
【0007】
パルス圧縮手段7は受信ビームそれぞれの信号についてパルス圧縮処理を行う。このパルス圧縮処理はレンジ方向の高分解能化を図るためにレーダ信号の処理で一般的に使用されている方法で、チャープ変調のように送信帯域幅を拡大することによって、レンジ分解能を送信パルス幅よりも改善する。
【0008】
次に、図9を参照して、アジマス圧縮手段13における処理について説明する。アジマス圧縮手段13における処理は合成開口レーダ装置の特徴的な処理である。図9は一般のシングルビームの合成開口レーダ装置の受信信号の例を示したグラフであり、横軸が時間、縦軸がドップラー周波数を示す。今、ビームがプラットフォームの移動方向に対して垂直であるとすると、エコーのドップラー周波数は、0を中心にしてビーム幅に相当する分だけの拡がりをもつ。特に地上の一点のエコーに注目した場合には、そのドップラー周波数は、正の値から除々に低下して負に変化する。
【0009】
図9においてA、B、Cと記したのは、アンテナから同一距離(レンジ)にあるが、角度方向(アジマス方向)が異なる位置にある3つの点からのエコーを模擬的に表したものである。このように、それぞれの点のエコーのドップラー周波数変化は等しく、アジマス方向の間隔に応じて異なる時間遅れを示す。これらのドップラー周波数の変化は、アンテナと目標点の位置関係によって定まるので、プラットフォームの軌道パラメータから計算可能である。
【0010】
そこで、予めこのようなドップラー周波数と同じの変化をする信号をリファレンスとして用意しておき、マッチドフィルタにより受信信号とリファレンス信号との相関処理を行なうことにより、受信信号の時間遅れ、すなわちアジマス座標を知ることができる。この時、アジマス座標の分解能ΔAZは次式で表される。ただしBはドップラー周波数の変化幅(帯域)、vはプラットフォームの速度、λは送信波長、θBはアジマス方向のビーム幅である。この式から、アジマス分解能はドップラー周波数の帯域によって決まることがわかる。
【0011】
【数1】
Figure 0003649565
【0012】
このマッチドフィルタは、リファレンス信号と入力信号をそれぞれフーリエ変換してそれらの複素乗算を求め、その結果を逆フーリエ変換することにより実現することができる。次に、図7を参照して、その動作を具体的に説明する。フーリエ変換手段8は受信信号をフーリエ変換し、他方リファレンス信号発生部14はリファレンス信号を発生し、フーリエ変換手段10がそのリファレンス信号をフーリエ変換する。そして、複素乗算手段11がフーリエ変換したリファレンス信号と受信信号との積を求め、逆フーリエ変換手段12がその積を逆フーリエ変換することによりマッチドフィルタを実現してアジマス座標を出力する。
【0013】
次に、図10を参照して、スペクトル合成手段9の動作について説明する。図10はエコーのドップラー周波数変化を表すグラフで、図10の(a)乃至(d)はそれぞれビーム#1乃至ビーム#4のエコーを、図10の(e)はスペクトル合成手段9の出力を表す。このように、スペクトル合成手段9は、4つのアンテナで別々に観測した信号を周波数軸上で合成する。この結果、ドップラー周波数の帯域はもとの信号の4倍になるので、画像のアジマス分解能も4倍になることがわかる。
【0014】
このように、アンテナの受信ビームを分割して、後に信号処理で合成すると次のような利点がある。アジマス分解能を上げるためにはドップラー周波数の帯域を広げる必要があるが、そのためにはサンプリングの定理から、パルス繰り返し周期を短くする必要がある。しかし、パルス繰り返し周期を短くすると、レンジ方向のアンビギュイティーが頻繁に発生するため、観測できる領域が狭くなる。この様子を図11に示す。
【0015】
次に、図11を参照して、レンジ方向のアンビギュイティーの発生について説明する。図11はビームの中心線に沿った垂直断面を示したもので、図において番号を振った札が送信パルスを示す。この場合、ニアレンジ側のA点で反射した第3番目のパルス3は、ファーレンジ側のB点で反射した第1番目のパルス1と重なってしまい、区別することができない。したがって、この場合にはエレベーションのビーム幅を半分以下に絞って、観測領域を半分以下にすることが必要である。
【0016】
そこで、本発明におけると同様、受信ビームを分割すれば、ドップラー周波数の帯域はそのままなので、パルス繰り返し周期を短くする必要がなく、したがってレンジ方向の観測領域を狭めることなくアジマス分解能を改善することができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の合成開口レーダ装置においては、構成が複雑であり高価且つ重量が重いDBFアンテナを航空機や人工衛星に搭載する必要があるという問題があった。
【0018】
また、分解能を向上すると、画素あたりの反射電力が低下するため、画像のS/N(Signal to Noise ratio )が劣化する。一般に分解能を2倍(面積で4倍)に向上するとS/Nは2の3乗分の1になるので、画像のS/Nを保ったままで分解能を2倍にするためには送信電力を8倍にする必要がある。しかし、日本の人工衛星のように電源を太陽電池に依存する場合には、電源容量を大きくすることは容易でなく、送信電力を増やすことは難しい。このため、従来の合成開口レーダ装置で分解能を向上すると、画像のS/Nが低下するという問題があった。
【0019】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、構成が複雑で高価なDBFアンテナを搭載することなく、分解能の高い合成開口レーダ装置を得ることを目的とする。
【0020】
また、画像のS/Nを低下させることなく、分解能の高い合成開口レーダ装置を得ることを目的とする。
【0021】
あるいはまた、画像のS/Nを低下させることなく、スペックル雑音を低減した合成開口レーダ装置を得ることを目的とする。
【0022】
請求項1に記載の発明にかかる合成開口レーダ装置は、同一軌道を時間差をおいて通過する複数の移動プラットフォームから観測領域を観測する合成開口レーダ装置において、前記複数の移動プラットフォームにビームがそれぞれ異なる方向を指向する送受信アンテナを搭載した送受信局と、同じ観測領域についての前記複数の送受信局からの受信信号をドップラー周波数帯域の順に並べ変えて結合するスペクトル合成手段と、このスペクトル合成手段の出力から画像を再生する画像再生手段とを備え、前記レーダ装置にDBFアンテナを使用せずにアジマス分解能を向上するようにしたものである。
【0023】
また、請求項2に記載の発明にかかる合成開口レーダ装置は、同一軌道を時間差をおいて通過する1台のプラットフォームから観測領域を観測する合成開口レーダ装置において、ビームを指向する角度を変化できる送受信アンテナを搭載した送受信局と、同じ観測領域についてビームを指向する角度を変えて複数回観測し前記送受信局からの受信信号を蓄える記憶手段と、記憶した前記複数の受信信号をドップラー周波数帯域の順に並べ変えて結合するスペクトル合成手段と、このスペクトル合成手段の出力から画像を再生する画像再生手段とを備えたものである。
【0025】
また、請求項3に記載の発明のかかる合成開口レーダ装置は、ビームを指向する角度をビーム幅の間隔で設定するようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面、図1乃至図6に基づき、本発明の各実施の形態を詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図、図2は図1に示す合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図である。まず、図1を参照して、本発明の実施の形態1にかかる合成開口レーダ装置の構成を説明する。図1において、1は送信機、3は受信機、、7はパルス圧縮手段、8はフーリエ変換手段、9はスペクトル合成手段、10はもう一つのフーリエ変換手段、11は複素乗算手段、12は逆フーリエ変換手段、13はアジマス圧縮手段、14はリファレンス信号発生部、15は表示装置である。尚、フーリエ変換手段10、複素乗算手段11、逆フーリエ変換手段12、及びリファレンス信号発生部14により画像再生手段を構成する。また、19は送受信アンテナ、20は送受切替器、21a乃至21dは送受信局、22はデータベース、23はスイッチ回路、24はデータバッファである。また、本実施の形態における送受信局21a乃至21dは、従来のレーダ装置におけるようなDBFアンテナ6を使用していない。
【0027】
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態1における観測ジオメトリについて説明する。図2において、16a乃至16dは移動するレーダプラットフォーム、17a乃至17dはそれぞれのフットプリントである。この実施の形態では、図1に示す送受信局21a乃至21dは、図2に示す移動するレーダプラットフォーム16a乃至16dにそれぞれ搭載されているものとする。しかし、それより下流の手段は地上などに設置することができる。
【0028】
次に、図1及び図2を参照して、本実施の形態における合成開口レーダ装置の動作について説明する。送信機1から発生した高周波パルスは、送受切替器20を経由して送受信アンテナ19から観測領域へ照射される。観測領域で反射した信号は送受信アンテナ19で受信され、受信機3で増幅・検波される。送受信アンテナ19は、図2に示すように、それぞれのレーダプラットフォーム16a乃至16d毎に指向角度が異なっており、例えばその間隔はビーム幅θBに設定される。この場合、アンテナビームの指向制御はフェーズドアレーアンテナを用いて電子的に行ってもよいし、機械的に回転させても良いし、あるいはレーダプラットフォームの姿勢を変えても良い。
【0029】
スイッチ回路23は、それぞれの送受信局21a乃至21dからの受信信号を、そのドップラー周波数帯域の順に並べ変えて出力する。この時、データベース22は、各レーダプラットフォーム16a乃至16dの軌道と位置、およびこれに搭載されている送受信アンテナ19の指向角度をスイッチ回路23に提供する。またデータバッファ24は、フットプリント17a乃至17dが、あたかも図9に示すように隣接しているかのように、時間軸を合わせる。この時、データベース22は、各レーダプラットフォーム16a乃至16dの軌道と位置、およびこれに搭載された送受信アンテナ19の指向角度とビーム幅θBをデータベース22に提供する。
【0030】
本実施の形態は上記のように構成したことにより、従来の合成開口レーダ装置のように、DBFアンテナを用いることなく、図10(e)に示す信号と同等の信号を生成することができるので、それ以降の処理は図7に示すものと同等のパルス圧縮手段7以降の処理によって高分解能画像が得られる合成開口レーダ装置を提供することができる。
【0031】
また、本実施の形態の構成によれば、複数のレーダプラットフォームに搭載されたアンテナビームを合成することによって等価的にビーム幅を拡げるので、それぞれのレーダプラットフォームに搭載されたアンテナのビーム幅は、高分解能化する以前のそれと同じで良い。従って、それぞれのビームあたりの送信電力を低下させることなく観測できるので、画像のS/Nを低下させることなく分解能の高い合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0032】
なお、それぞれのレーダプラットフォームは同一軌道を等間隔で近接して移動していてもかまわないし、あるいは不等間隔で間をあけて移動していてもかまわない。ただし、すべてのレーダプラットフォームが同一の領域を観測することが必要である。
【0033】
以上のように、この実施の形態の合成開口レーダ装置は、それぞれ異なる方向を指向するアンテナを搭載した複数のレーダプラットフォームが、同一軌道を時間差をおいて通過しながら、それぞれ地上の同じ領域を観測し、スペクトル合成手段がそれら複数のレーダ装置の受信信号を結合して、画像再生手段により画像再生処理を行うようにしたものである。また、それぞれのアンテナの指向方向をビーム幅の間隔で設定するようにしたものである。
【0034】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。以下、図3を参照して、本発明の実施の形態2における合成開口レーダ装置の構成を説明する。図3において、1乃至24は図1のものと同一または同等の手段であるから、更に詳細な説明は省略する。しかし、本実施の形態では、図1に示し、パルス圧縮された信号をスペクトル合成するようなスペクトル合成手段9は使用しない。従って、図1に示すアジマス圧縮手段13のうちのスペクトル合成手段9を使用せず、パルス圧縮された信号を個別に画像再生するアジマス圧縮手段27a乃至27dを使用する。また、25はマルチルック手段であり、本実施の形態における特徴要素である。尚、本実施の形態における観測ジオメトリは図2に示すものと同様である。
【0035】
次に、図3を参照して、本発明の実施の形態2における合成開口レーダ装置の動作を説明する。図3において、送信機1からパルス圧縮手段7までの動作は図1に示すものの動作と同様である。また、アジマス圧縮手段27a乃至27dを構成する各手段の動作は図1のものと同様であるが、本実施の形態では、パルス圧縮された信号をスペクトル合成しないので、それぞれ個別のアジマス圧縮手段27a乃至27dにより独立に画像が再生される。
【0036】
マルチルック手段25は、各アジマス圧縮手段27a乃至27dにより得られた複素画像の振幅を計算して、画素毎に画像間の総和を求める。これは、合成開口レーダ装置に特有のスペックル雑音を低減するためのもので、良く知られた処理である。
【0037】
このように、本実施の形態の構成によれば、DBFアンテナを用いることなく、スペックル雑音を低減して画像の品質を向上し、また、画像のS/Nを低下させることなくスペックル雑音を低減することができる合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0038】
なお、それぞれのレーダプラットフォームは同一軌道を等間隔で近接して移動していてもかまわないし、あるいは不等間隔で間をあけて移動していてもかまわない。また、送受信アンテナの指向角度もビーム幅の間隔で並んでいる必要はなく、任意に設定しても良い。ただし、すべてのレーダプラットフォームが同一の領域を観測することが必要である。
【0039】
以上のように、この実施の形態の合成開口レーダ装置は、それぞれ異なる方向を指向するアンテナを搭載した複数のレーダプラットフォームが、同一軌道を時間差をおいて通過しながら、それぞれ地上の同じ領域を観測し、画像再生手段によりそれら複数のレーダ装置の受信信号からそれぞれ画像再生処理を行い、マルチルック手段がそれぞれの画像の振幅の和を求めてスペックル雑音を低減するようにしたものである。また、それぞれのアンテナの指向方向をビーム幅の間隔で設定するようにしたものである。
【0040】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図、図5は図4に示す合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図である。以下、図4を参照して、本発明の実施の形態3における合成開口レーダ装置の構成を説明する。図4において、すべての構成要素は図1に示すものと同一または同等の手段であるから、更に詳細な説明は省略する。しかし、図1に示す送受信局21a乃至21dは、複数使用して分解能を改善しスペックル雑音を低減するようにしたが、この実施の形態の送受信局21は1個のみでそれを実現するようにした。尚、この実施の形態3における観測ジオメトリは図5に示す。
【0041】
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態3における合成開口レーダ装置の動作を説明する。図4において、それぞれ構成要素の動作は図1に示すものの動作と同様である。図1に示す実施の形態1においては、レーダプラットフォーム16a乃至16dを複数備えることによって分解能を改善したり、あるいはスペックル雑音を低減するようにしたが、この実施の形態3では、図5に示すようにレーダプラットフォーム16は1台で良い。
【0042】
送受信局21を搭載したレーダプラットフォーム16は、ある決められた領域を繰り返し観測する。その際、それぞれの観測毎にアンテナ指向角度が異なっており、例えばその間隔はビーム幅θBに設定される。この場合、アンテナビームの指向制御はフェーズドアレーアンテナを用いて電子的に行ってもよいし、機械的に回転させても良いし、あるいはレーダプラットフォームの姿勢を変えても良い。
【0043】
スイッチ回路23は、それぞれの観測における送受信局21からの受信信号を、そのドップラー周波数帯域の順に並べ変えて出力する。この時、データベース22は、それぞれ観測の際のレーダプラットフォーム16の軌道と位置、および送受信アンテナ19の指向角度をスイッチ回路23に提供する。このようにして得られた複数のパルス圧縮された信号は、それ以後、実施の形態1の動作と同様な動作により画像再生される。
【0044】
このように、本実施の形態の構成によれば、DBFアンテナを用いることなくアジマス分解能を向上し、また、複数のレーダプラットフォームを用いることなく、アジマス分解能を向上する合成開口レーダ装置を得ることができる。
或いはまた、本実施の形態の構成によれば、画像のS/Nを低下させることなくアジマス分解能を向上する合成開口レーダ装置を提供することがができる。
【0045】
以上のように、この実施の形態の合成開口レーダ装置は、レーダプラットフォームがアンテナの指向方向を少しずつ変えて同一軌道を繰り返し通過して、それぞれ地上の同じ領域を観測し、記憶手段がそれらの受信信号を記憶し、スペクトル合成手段がそれら記憶した受信信号を結合して、画像再生手段により画像再生処理を行うようにしたものである。また、それぞれのアンテナの指向方向をビーム幅の間隔で設定するようにしたものである。
【0046】
実施の形態4.
図6は本発明の実施の形態4にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図である。以下、図6を参照して、本発明の実施の形態4における合成開口レーダ装置の構成を説明する。図6において、すべての構成要素は図1に示すものと同一または同等の手段であるから、更に詳細な説明は省略する。しかし、本実施の形態では、図4に示すスイッチ回路23とパルス圧縮手段7とを前後並べ替えた構成とする。また、本実施の形態4における観測ジオメトリは図5に示すものと同様である。
【0047】
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態4における合成開口レーダ装置の動作を説明する。図6において、それぞれの構成要素の動作は図4のものと同様である。ただし、図4に示す実施の形態3では、スイッチ回路23で受信信号を並べ直してからデータバッファ24で時間軸を調整し、パルス圧縮手段7でパルス圧縮処理していたが、この実施の形態4では、パルス圧縮手段7でパルス圧縮処理し、データバッファ24で時間軸を調整した後にスイッチ回路23で受信信号を並べ直すようにしている。このように操作の手順を入れ替えても、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0048】
このように、本実施の形態の構成によれば、DBFアンテナを用いることなくアジマス分解能を向上し、また、複数のレーダプラットフォームを用いることなく、アジマス分解能を向上する合成開口レーダ装置を得ることができる。
或いはまた、本実施の形態の構成によれば、画像のS/Nを低下させることなくアジマス分解能を向上する合成開口レーダ装置を提供することができる。
【0049】
以上のように、この実施の形態の合成開口レーダ装置は、レーダプラットフォームがアンテナの指向方向を少しずつ変えて同一軌道を繰り返し通過して、それぞれ地上の同じ領域を観測し、記憶手段がそれらの受信信号を記憶し、スペクトル合成手段がそれら記憶した受信信号を結合して、画像再生手段により画像再生処理を行うようにしたものである。また、それぞれのアンテナの指向方向をビーム幅の間隔で設定するようにしたものである。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成し、特に複数のレーダプラットフォームに搭載された送受信局を使用してドップラー周波数の帯域を広くするようにしたことにより、DBFアンテナを用いなくともアジマス分解能を向上する合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0051】
本発明は、上記のように構成し、特に複数のレーダプラットフォームに搭載されたアンテナビームを合成することによって等価的にビーム幅を拡げるので、それぞれのレーダプラットフォームのアンテナのビーム幅は、高分解能化以前のものでよいため、ビームあたりの送信電力を低下させることなく観測できるので、画像のS/Nを低下させることなくアジマス分解能の高い合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0052】
本発明は、上記のように構成し、特に1台の送受信局(レーダプラットフォーム)を使用して、アンテナ指向角度を変え決められた領域を繰り返し観測するようにしたことにより、DBFアンテナを用いることなく、スペックル雑音を低減して画像の品質を向上する合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0053】
本発明は、上記のように構成し、特にマルチルック手段により、各アジマス圧縮手段で得られた複素画像の振幅を計算して、画素毎に画像間の総和を求めるようにしたことにより、画像のS/Nを低下させることなくスペックル雑音を低減することができる合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0054】
本発明は、上記のように構成し、特に1台の送受信局を使用して、アンテナ指向角度を変え、決められた領域を繰り返し観測するようにしたことにより、複数のレーダプラットフォームを用いることなく、アジマス分解能を向上する合成開口レーダ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図。
【図2】 図1に示す合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図。
【図3】 本発明の実施の形態2にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図。
【図4】 本発明の実施の形態3にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図。
【図5】 図4に示す合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図。
【図6】 本発明の実施の形態4にかかる合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図。
【図7】 従来の合成開口レーダ装置の構成を示すブロック図。
【図8】 図8に示す従来の合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図。
【図9】 シングルビームの合成開口レーダ装置の受信信号のドップラー周波数を示す図。
【図10】 マルチビームの合成開口レーダ装置の受信信号のドップラー周波数を示す図。
【図11】 レンジ方向のアンビギュイティーを示す図。
【符号の説明】
1 送信機、 2 送信アンテナ、 3 受信機、 4 受信アンテナ、 5ビーム形成部、 6 DBFアンテナ、 7 パルス圧縮部、 8 フーリエ変換手段、 9 スペクトル合成手段、 10 もう1つのフーリエ変換手段、11 複素乗算手段、 12 逆フーリエ変換手段、 13 アジマス圧縮手段、 14 リファレンス信号発生部、15 表示装置 16 レーダプラットフォーム、 17 フットプリント、 18 観測領域 19 送受信アンテナ、 20 送受切換器、 21 送受信局、 22 データベース、 23 スイッチ回路、 24 データバッファ、 25 マルチルック手段、 27 アジマス圧縮手段。

Claims (3)

  1. 同一軌道を時間差をおいて通過する複数の移動プラットフォームから観測領域を観測する合成開口レーダ装置において、前記複数の移動プラットフォームにビームがそれぞれ異なる方向を指向する送受信アンテナを搭載した送受信局と、同じ観測領域についての前記複数の送受信局からの受信信号をドップラー周波数帯域の順に並べ変えて結合するスペクトル合成手段と、このスペクトル合成手段の出力から画像を再生する画像再生手段とを備えたことを特徴とする合成開口レーダ装置。
  2. 同一軌道を時間差をおいて通過する1台のプラットフォームから観測領域を観測する合成開口レーダ装置において、ビームを指向する角度を変化できる送受信アンテナを搭載した送受信局と、同じ観測領域についてビームを指向する角度を変えて複数回観測し前記送受信局からの受信信号を蓄える記憶手段と、記憶した前記複数の受信信号をドップラー周波数帯域の順に並べ変えて結合するスペクトル合成手段と、このスペクトル合成手段の出力から画像を再生する画像再生手段とを備えたことを特徴とする合成開口レーダ装置。
  3. ビームを指向する角度をビーム幅の間隔で設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成開口レーダ装置。
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