JP3648864B2 - 希薄燃焼内燃機関 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関のノックを防止するためにノックセンサの出力と運転状態に対応したノック学習値とからノック判定を行なう希薄燃焼内燃機関に関し、特に、燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射内燃機関であってノック制御を行なうものに用いて好適の、希薄燃焼内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
火花点火式内燃機関(一般には、ガソリンエンジン)では、ノック(ノッキング)の発生が過度に生じると機関の出力低下やオーバヒート等の原因ともなり好ましくない。一方、機関の出力を効率よく発生させるには、ノックが発生する直前の状態に点火時期を制御することが好ましい。このため、ノックの発生をその発生直前状態に制御する技術(ノック制御)が開発されている。
【0003】
このノック制御とは、通常、ノックセンサからの出力に基づいて、ノック発生が検出された場合には、ノックセンサ出力に基づくフィードバック制御によりノックが生じない方向(遅角側)に点火時期を変更し、逆に、ノック発生が検出されない場合には、ノックセンサ出力に基づくフィードバック制御によりノックが生じる方向(進角側)に点火時期を変更して、ノックは発生しないがノック発生直前の状態に点火時期を制御しようとする技術である。
【0004】
このようなノック制御においては、オクタン価やエンジンの固体差によりノックの発生状況等が異なるため、ノックが発生しない範囲でノック発生直前の機関の出力を効率よく発生させうる状態に極力近づけるように、ノックセンサ出力に基づくフィードバック制御によりエンジンの運転状態に応じて学習値を求めて、この学習値を更新しながら、常に適切な点火時期が設定されるようにして、ノックセンサ出力とこの学習値とに基づいて点火時期を制御することが知られている(特開昭60−162063号,特開昭59−113267号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現在市販されているストイキオ運転(空燃比を理論空燃比に制御する運転)とリーン運転(空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御する運転)とをエンジンの運転状態に応じて切り換える希薄燃焼内燃機関において、特に、三元触媒をそなえたものでは、リーン運転域ではNOxの発生を抑制するため、ストイキオ運転域よりも点火時期を遅角側に設定(ノックが発生する点火時期よりも余裕をもって遅角側に設定)しており、この場合、ノック制御用の学習値を更新する運転領域を、ストイキオ運転時とリーン運転時とで同じ領域に設定すると、リーン運転域におけるノックの発生しない運転領域においても学習値が更新されることになる。
【0006】
つまり、ストイキオ運転域とリーン運転域とをカバーする広い領域に亘って学習値を更新すると、リーン運転域でのノックの発生しない運転域でも学習値が更新されて、仮にノックの発生しない運転域での運転状態が継続した場合、点火時期が大きく進角側へ変更されることになり、更新された学習値により不適切に進角調整されるため、リーン運転域からこのリーン運転域よりもノックの発生し易いストイキオ運転域に運転状態が切り換わった場合に、極めてノックが発生し易くなってしまう。
【0007】
なお、三元触媒の代わりにリーンNOx触媒を用いた場合、リーンNOx触媒によるリーン運転域でもNOx浄化効率が高ければ、リーン運転域での点火時期をストイキオ運転時よりも進角側に設定することも可能となるため、ストイキオ運転域の方が、ノックの発生しない運転領域が広くなる場合がある。
また、希薄燃焼内燃機関では、エンジン制御をより精度良く行なうために、エンジンの負荷情報としてエアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evを採用しこの体積効率Evに基づいてノック制御が実施される場合がある。この場合、NOxの浄化に関係なくリーン運転域とストイキオ運転域とで同一Evレベルで学習値の更新を行なうように更新領域を設定すると、実質的な負荷レベルがストイキオ運転域に比べてリーン運転域の方が低いため、ストイキオ運転ではノックが発生する領域であってもリーン運転ではノックが発生しにくい領域で学習値の更新が行なわれてしまうことになり、適切な学習値の更新が行なえない。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、ストイキオ運転域とリーン運転域とで学習値を更新する運転領域を変更するようにして、特に、運転モードの切換後に生じやすいノックの発生を抑制することができるようにした、希薄燃焼内燃機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の希薄燃焼内燃機関は、理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じて切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、機関のノッキングを検出するノックセンサと、該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、上記学習値を更新する運転領域が少なくとも内燃機関の負荷に応じて設定され、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとでノックの発生しやすい領域の狭い一方の運転モードにおける上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値が該領域の広い方のモードにおける負荷対応下限値よりも高く設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の本発明の希薄燃焼内燃機関は、請求項1記載の機関において、上記内燃機関は、吸気量又は吸気負圧データにより上記運転モードを設定するように構成され、上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値は、上記ストイキオ運転モードにおける領域よりも上記リーン運転モードにおける領域の方が高く設定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の本発明の希薄燃焼内燃機関は、理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じる吸気量又は吸気負圧データにより切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、機関のノッキングを検出するノックセンサと、該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値は、上記ストイキオ運転モードにおける領域よりも上記リーン運転モードにおける領域の方が高く設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の本発明の希薄燃焼内燃機関は、理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じて切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、機関のノッキングを検出するノックセンサと、該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、上記学習値を更新する運転領域は、該内燃機関の負荷に応じて設定され、該運転領域には、上記学習値を遅角側に更新する遅角領域と、上記学習値を進角側に更新する進角領域とがそれぞれ設定されるとともに、該進角領域が設定される負荷対応下限値が該遅角領域が設定される負荷対応下限値よりも低く設定されていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図5は本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を示すもので、これらの図に基づいて説明する。
本希薄燃焼内燃機関は、図3に示すように、吸気,圧縮,膨張,排気の各行程を一作動サイクル中にそなえる内燃機関、即ち4サイクルエンジンであって、火花点火式で、且つ、燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射エンジン(筒内噴射内燃機関)として構成されている。
【0015】
燃焼室1には、吸気通路2および排気通路3が連通しうるように接続されており、吸気通路2と燃焼室1とは吸気弁4によって連通制御されるとともに、排気通路3と燃焼室1とは排気弁5によって連通制御されるようになっている。
また、吸気通路2には、上流側から順にエアクリーナ6およびスロットル弁7が設けられており、排気通路3には、その上流側から順に排出ガス浄化用触媒としての排出ガス浄化用触媒コンバータ9および図示しないマフラ (消音器)が設けられている。なお、吸気通路2には、サージタンク2aが設けられている。
【0016】
また、排出ガス再循環装置(以下、EGR装置という)10が配設されている。つまり、吸気通路2のサージタンク2a部分と排気通路3の上流側とを接続するように排気還流通路10bが設けられており、この排気還流通路10bにはEGRバルブ10aが取り付けられている。
そして、このEGRバルブ10aによって、排気通路3から吸気通路2への排出ガス(排気又は排気ガス又は排ガスともいう)の流量を制御できるようになっている。なお、EGRバルブ10aの制御はエンジンの運転状態に応じて行なわれるようになっている。
【0017】
また、スロットル弁7は図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じて開度が変わり、これにより燃焼室1内に導入される空気量が調整されるようになっている。更に、16は、アイドルスピードコントロールバルブであり、吸気通路2のスロットル弁設置部分をバイパスするバイパス路16Aに設けられ、図示しないステッパモータによって開閉駆動され、主にスロットル弁7全閉又は略全閉時におけるアイドル回転数を微調整している。
【0018】
50はエアバイパスバルブ(ABV)であり、吸気通路2のスロットル弁7設置部分をバイパスするようにスロットル弁7の上流側の吸気通路2とサージタンク2aとを連通するバイパス路50Aに設けられ、スロットル弁7とは別個に吸気量を調整して空燃比を調整しうるものである。
インジェクタ(燃料噴射弁)8は気筒内の燃焼室1へ向けて燃料を直接噴射すべく、その開口を燃焼室1に臨ませるように、配置されている。また、当然ながら、このインジェクタ8は各気筒毎に設けられており、例えば本実施形態のエンジンが直列4気筒エンジンであるとすると、インジェクタ8は4個設けられていることになる。
【0019】
このような構成により、スロットル弁7の開度に応じエアクリーナ6を通じて吸入された空気が吸気弁4の開放により燃焼室1内に吸入され、この燃焼室1内で、吸入された空気とインジェクタ8から直接噴射された燃料とが混合され、燃焼室1内で点火プラグ35を適宜のタイミングで点火させることにより、燃焼せしめられて、エンジントルクを発生させたのち、燃焼室1内から排出ガスとして排気通路3へ排出され、触媒コンバータ(以下、単に触媒ともいう)9で排出ガス中のCO,HC,NOx といった有害成分を浄化されてから、マフラで消音されて大気側へ放出されるようになっている。
【0020】
特に、本エンジンは、空燃比をリーン(燃料希薄状態)にしながら節約運転を行なえるリーンバーンエンジン(希薄燃焼内燃機関)であり、しかも、燃焼室1内に均一に燃料を噴射することで成立しうる予混合燃焼と、燃焼室1内に臨んだ点火プラグ35の周囲に噴射燃料を偏在させることで成立しうる層状リーン燃焼とを運転状態に応じて切り換えることができるエンジンである。
【0021】
そして、本エンジンは、エンジンの運転モードとして、圧縮行程で燃料噴射を行なって層状リーン燃焼を行なう後期リーン燃焼運転モード(後期リーンモード)と、吸気行程で燃料噴射を行なって予混合燃焼を行なう前期リーン燃焼運転モード(前期リーンモード),ストイキオフィードバック燃焼運転モード(ストイキオ運転モード),オープンループ燃焼運転モード(ストイキオ運転モード又はエンリッチ運転モード)の4モードが設けられている。なお、各モードにおいて、EGRを作動させる場合とEGRを停止させる場合とが設定されており、エンジンの運転状態や車両の走行状態等に応じてこれらのモードの何れかが選択され、燃料の供給制御が行なわれる。
【0022】
このため、図1に示すように、ECU23には、各センサ空の出力により、エンジンの運転状態、即ち、エンジンの負荷状態Peとエンジンの機関回転数Neとが入力されるようになっており、ECU23には、運転状態検出手段101から入力されたエンジンの運転状態(ここでは、Pe,Ne)に応じて、上述のような各運転モードを選択する機能(モード選択手段)102が設けられている。ECU23では、さらに、この選択した運転モードに基づいてやはりエンジンの運転状態(Pe,Ne)に応じて空燃比を設定して、この設定した空燃比に基づいて各気筒毎に設けられた燃料噴射弁8による燃料供給を制御する機能(燃料噴射弁制御手段)103が設けられている。
【0023】
一般には、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷Peに対して、図3に示すような領域傾向で、エンリッチ運転モード,ストイキオ運転モード,前期リーンモード,後期リーンモードが設定される。
さて、上述のモードのうち、後期リーンモードは、最も希薄な燃焼(空燃比が25〜50程度)を実現できるが、このモードでは、燃料噴射を圧縮行程後期のように極めて点火時期に近い段階で行ない、しかも燃料を点火プラグの近傍に集めて部分的にはリッチにし全体的にはリーンとしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつ節約運転を行なうようにしている。
【0024】
また、前期リーンモードも希薄燃焼(空燃比が18〜22程度)を実現できるが、このモードでは、燃料噴射を後期リーンモードよりも前の吸気行程に行ない、燃料を燃焼室内に拡散させて全体空燃比をリーンにしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつある程度の出力を確保するようにして、節約運転を行なうようにしている。
【0025】
ストイキオ運転モードは、O2 センサの出力に基づくフィードバック制御により、空燃比をストイキオ又はストイキオ近傍の状態に維持しながら十分なエンジン出力を効率よく得られるようにしている。このストイキオ運転モードは、ストイキオフィードバック運転モードともいう。
また、オープンループ燃焼運転モード(エンリッチ)では、加速時や発進時等に十分な出力が得られるように、オープンループ制御によりストイキオ又はこれよりもリッチな空燃比での燃焼を行なう。
【0026】
このようにエンジンを制御するために、種々のセンサが設けられており、これらのセンサの一部は運転状態検出手段101を構成する。まず吸気通路2側には、そのエアクリーナ配設部分に、吸入空気量をカルマン渦情報から検出するエアフローセンサ11,吸入空気温度を検出する吸気温センサ12および大気圧を検出する大気圧センサ13が設けられており、そのスロットル弁配設部分に、スロットル弁7の開度を検出するポテンショメータ式のスロットルセンサ14,アイドリング状態を検出するアイドルスイッチ15及びノックセンサ36等が設けられている。
【0027】
さらに、その他のセンサとして、エンジン冷却水温を検出する水温センサ19や、クランク角度を検出するクランク角センサ21(このクランク角センサ21はエンジン回転数を検出する回転数センサも兼ねている)および第1気筒(基準気筒)の上死点を検出するTDCセンサ(気筒判別センサ)22がそれぞれ設けられている。そして、これらのセンサからの検出信号は、電子制御ユニット(ECU)23へ入力されるようになっている。
【0028】
なお、ECU23へは、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ(図示略)やバッテリの電圧を検出するバッテリセンサ(図示略)からの電圧信号や始動時を検出するクランキングスイッチ〔あるいはイグニッションスイッチ(キースイッチ)〕(図示略)からの信号も入力されるようになっている。
【0029】
そして、本エンジンでは、このような種々のセンサ等からの入力データに基づいて各種制御を行なうが、特に、図1に示すように、ECU23内にノック制御を行なう機能〔ノック制御用の点火時期制御手段(単に、制御手段ともいう)〕104が設けられている。
この制御手段104では、図1,図2に示すようにノックセンサ36から出力されるノックデータ(検出情報)ΘK(t)に基づいて、エンジンの運転状態に応じたノック学習値Kを求めこのノック学習値KとノックデータΘK(t)とにより基本点火時期STを補正することで、機関のノックを抑制しながら出力を得られるように機関の点火時期を進角側又は遅角側に調整する。
【0030】
ところで、本機関では、エンジンの運転状態を、エンジン回転数Neと、エンジンの負荷情報としてエアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evとから規定して、エンジンの運転状態を、図4に示すように、エンジン回転数Ne及び体積効率Evでそれぞれ区画されて形成された複数のマトリックス領域(図4中で縦横の破線で区切られた領域)毎に、ノック学習値Kを更新する。体積効率Evを採用するのは、エンジン制御をより精度良く行なうためにである。
【0031】
なお、ノック制御は、主要な運転モード(ストイキオ運転モード,前期リーンモード,後期リーンモード)のうちで、吸気リーン運転時(前期リーンモード時)と吸気ストイキオ運転時(ストイキオ運転モード時)とで行ない、圧縮リーン運転時(後期リーンモード時)には行なわない。これは、圧縮リーン運転時には、点火タイミングが制限され極めて安定した燃焼が行なわれるためノックを招くおそれがないのでノック制御を行なわないのである。また、ストイキオ運転モードと吸気リーンモードでは、エアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST2を設定するのに対して、圧縮リーンモードでは、スロットル開度θthとエンジン回転速度Neとから求められた目標エンジン負荷Peとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST1を設定するようになっている。
【0032】
また、ノック制御を行なうモードのうち、ストイキオ運転時と吸気リーン運転時とでは、基本となる点火時期(基本点火時期)ST2自体が異なるように設定されている。つまり、触媒9が三元触媒であれば、リーン運転域ではNOxの発生を抑制するため、点火時期を余裕をもって遅角側に設定しているが、ストイキオ運転域ではこのような処理は行なっていない。
【0033】
したがって、吸気リーン運転域では、ノックは起こりにくく、このような点火時期を余裕を持って遅角側に設定した状況下でストイキオ運転時と同じ運転領域で学習値Kを更新するように設定した場合、吸気リーン運転域のノックの発生しない領域で継続的に運転が行なわれた場合、進角側に学習値Kが更新されることになる。このため、吸気リーン運転域ではノックは起こらなくても、点火時期を余裕を持って遅角側に設定されていないストイキオ運転域に切り換わったら、点火時期STが大幅に進角側へ調整されることになり、極めてノックを生じやすくなる。
【0034】
そこで、このような吸気リーン運転域での学習値Kの更新にかかる不具合を回避すべく、吸気リーン運転域での学習値Kの更新領域を制限するようにしている。
つまり、エンジン負荷が比較的高い場合はストイキオ運転域と同様に吸気リーン運転域でもノックを生じやすい状況にあるため(即ち、この場合はNOx低減を勘案して設定した点火時期がノック発生限界に近づくため)、エンジン負荷が比較的高い所定領域以上であれば学習値Kの更新領域として適切である。一方、ストイキオ運転域では、エンジン負荷が比較的低い場合からノックを生じやすい状況にあるため、エンジン負荷が比較的低い所定領域以上であれば学習値Kの更新領域として適切である。
【0035】
また、遅角側へ点火時期を補正するのは、ノックが発生した場合にこのノックを抑制しようにとする場合であり、一方、進角側へ点火時期を補正するのは、ノックが発生しないためむしろノックが発生し易い進角側へ補正することでノック発生限界遅角まで良好な燃焼状態を実現して出力を得ようとするためである。進角側への補正はノックを発生しやすくする補正とも言える。したがって、点火時期を積極的に進角側に補正すると運転状態の変化によりノックが頻繁に発生し易くなってしまいドライバビリティの悪化等の問題が生じることから、遅角側へ補正する学習値の更新は、進角側へ補正する学習値の更新よりも優先的に行なうように設定すべきである。
【0036】
本機関では、遅角側へ点火時期を補正する学習値の更新は、エンジン負荷が比較的低い領域から行ない、進角側へ点火時期を補正する学習値の更新は、この遅角側への補正の場合よりも比較的高いエンジン負荷領域で行なうように設定している。即ち、進角側へ学習値を補正する更新領域を遅角側へ学習値を補正する更新領域よりも狭くすることである。
【0037】
特に、本機関では、エンジン負荷に対応する量として体積効率Evを設定しており、図4に示すように、ストイキオ運転域では、体積効率Evのレベルが比較的低い体積効率Ev11以上の領域では、遅角側へ点火時期を補正する学習値の更新を行なうように、学習値の更新領域が設定され、進角側へ点火時期を補正する学習値の更新については、遅角側への学習値の更新領域の下限値Ev11よりも高い体積効率Ev01(Ev01>Ev11)以上の領域で行なうように、学習値の更新領域が設定されている。
【0038】
また、吸気リーン運転域では、体積効率Evのレベルが比較的高い体積効率Ev12以上の領域で、遅角側へ点火時期を補正する学習値の更新を常に行なうように、学習値の更新領域が設定され、進角側へ点火時期を補正する学習値の更新については、遅角側への学習値の更新領域の下限値Ev12よりも高い体積効率Ev02(Ev02>Ev12)以上の領域で行なうように、学習値の更新領域が設定されている。
【0039】
なお、同一運転モードでは、進角側への学習値の更新領域の下限値が遅角側への学習値の更新領域の下限値よりも高い負荷領域に設定されていればよいので、ストイキオ運転時の進角側への学習値更新領域の下限値が吸気リーン運転時の遅角側への学習値更新領域の下限値よりも高くなるように設定してもよい。
本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関は、上述のように構成されているので、例えば図5に示すようにして、ノック制御に関する点火時期制御が行なわれる。
【0040】
つまり、まず、スロットル開度θthとエンジン回転速度Neとから求められた目標エンジン負荷Peと、エアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evと、エンジン回転数Neとを読み込む(ステップS10)。そして、圧縮リーンモードか否かを判定して(ステップS20)、圧縮リーンモードならば、目標エンジン負荷Peとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST1を設定し(ステップS180)、ノック制御は行なわないで、この基本点火時期ST1を点火時期STに設定して(ステップS190)、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0041】
一方、圧縮リーンモードでなければ、吸気リーンモード又はストイキオモードとなるが、この場合は、まず、体積効率Evとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST2を設定し(ステップS30)、次に、ノックセンサ出力にノックデータΘK(t)を設定する(ステップS40)。このノックデータΘK(t)は、対応する運転領域の学習値ΘKの更新にも用いられるが、ノックセンサ出力が示すノック発生状態に応じてノック発生傾向ならば遅角側にそうでなければ進角側に設定される。
【0042】
ついで、ストイキオモード(ストイキオフィードバックモード)か否かが判定され(ステップS50)、ストイキオモードならばステップS60へ進み、ノックデータΘKが所定値αより大か否かを判定する。この判定は、ノックデータΘKが進角側へ補正するものか遅角側へ補正するものかを判定するものである。この判定により、ノックデータΘKが所定値α以下であれば、進角側へ補正すべきものであり、ステップS70へ進み、体積効率Evが下限値Ev01以上か否か、即ち、ストイキオモードでの進角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
【0043】
体積効率Evが下限値Ev01以上であれば(ストイキオモードでの進角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β1だけ進角側へ更新して(ステップS120)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS120で進角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0044】
ステップS70で、体積効率Evが下限値Ev01以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0045】
また、ステップS60で、ノックデータΘKが所定値αより大であれば、遅角側へ補正すべきものであり、ステップS80へ進み、体積効率Evが下限値Ev11以上か否か、即ち、ストイキオモードでの遅角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
体積効率Evが下限値Ev11以上であれば(ストイキオモードでの遅角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β2だけ遅角側へ更新して(ステップS130)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS130で遅角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0046】
ステップS80で、体積効率Evが下限値Ev11以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0047】
一方、ステップS50で、ストイキオモードでなければ、吸気リーンモードであり、ステップS90へ進み、ノックデータΘKが所定値αより大か否かを判定する。この判定は、ノックデータΘKが進角側へ補正するものか遅角側へ補正するものかを判定するものである。この判定で、ノックデータΘKが所定値α以下であれば、進角側へ補正すべきものであり、ステップS100へ進み、体積効率Evが下限値Ev02以上か否か、即ち、吸気リーンモードでの進角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
【0048】
体積効率Evが下限値Ev02以上であれば(吸気リーンモードでの進角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β1だけ進角側へ更新して(ステップS140)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS140で進角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0049】
ステップS100で、体積効率Evが下限値Ev02以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0050】
また、ステップS90で、ノックデータΘKが所定値α(αは最大遅角量と0との間の中間的な値)より大であれば、遅角側へ補正すべきものであり、ステップS110へ進み、体積効率Evが下限値Ev12以上か否か、即ち、吸気リーンモードでの遅角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
体積効率Evが下限値Ev12以上であれば(ストイキオモードでの遅角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β2だけ遅角側へ更新して(ステップS150)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS150で遅角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0051】
ステップS110で、体積効率Evが下限値Ev12以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0052】
このようにして、本装置によれば、ストイキオモードと吸気リーンモードとで異なる学習値更新領域を設定し、さらに、各モード毎に、遅角側と進角側とで異なる学習値更新領域を設定しているので、学習値更新が適切に行なわれるようになり、例えば、吸気リーン運転域で、NOxの発生を抑制するため点火時期を余裕を持って遅角側に設定した場合にも、吸気リーン運転域でのノックの起こりにくい領域(低負荷領域)での学習値更新が禁止されることになり、ノックが生じやすいストイキオ運転域に切り換わっても、点火時期STが大幅に進角側へ調整されることがなく、ノックの発生を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、遅角側への学習値更新を進角側への学習値更新に対して優先するように設定されているので、この点でもノックの発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、エンリッチ運転モードでのノック制御については、特に記載してはいないが、ストイキオモードの場合と同様に吸気リーンモードの場合よりも学習更新領域を広く設定してノック制御を行なうようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、吸気リーンモードで余裕を持てるように遅角側に点火時期を設定した場合を前提に説明しているが、システムによっては、これが逆になる場合、即ち、吸気リーンモードがストイキオモードよりも進角側に点火時期を設定している場合があり、この場合には、吸気リーンモードでの学習値更新領域の下限値をより低下させ、ストイキオモードでの学習値更新領域の下限値をより増大させて、ストイキオモードでの下限値が吸気リーンモードでの下限値よりも高く設定することが考えられる。
【0055】
また、上記実施形態では、触媒によるNOx浄化効率等を考慮してリーン運転域とストイキオ運転域とで点火時期を異ならせて設定しているが、本発明は、吸気量又は吸気負圧データに基づいて学習値の領域を設定した場合には、触媒によるNOx浄化に関係なく、各運転モードにおいて最適点火時期を設定した場合においても有効である。
【0056】
即ち、同一体積効率において実質的にリーン運転の方がストイキオ運転に比べて負荷レベルが小さいため、ストイキオ運転に対応して学習値の更新領域を設定した場合には、リーン運転域においてノックが不発生の領域まで学習更新領域として含まれてしまうので、ノック学習が不適切なものになる。このため、このような場合でも、リーン運転の学習値を更新する負荷対応下限値(吸気量又は吸気負圧データの下限値)をストイキオ運転に比べて高く設定することが有効となるのである。
【0057】
また、ノックデータΘKが所定値αより大か否かの判定により、進角側か遅角側かを判定しているが、この判定に関して、不感帯を設けて、例えば、α1を正の微小値として、ΘK<α−α1ならば進角側、α+α1<ΘKならば遅角側と判定するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の本発明の希薄燃焼内燃機関によれば、ノック学習値を更新する運転領域を、ストイキオ運転モードとリーン運転モードとで切り換えるように構成されているので、特に、運転モードによってノック発生し易さが異なる場合に運転モードの切換後に生じやすいノックの発生を抑制することができるようになる。
【0059】
請求項2又は3記載の本発明の希薄燃焼内燃機関によれば、吸気量又は吸気負圧データにより運転モードが設定されているので、同一の吸気量又は吸気負圧データで実質的に負荷レベルが異なっても運転状態に応じた運転モードの切換を確実に行なうことができ、しかも、点火時期を遅角側に基本設定されるリーン運転モードにおける領域をストイキオ運転モードにおける領域よりも負荷対応下限値を高く設定することで、リーン運転モードからストイキオ運転モードへの切り換わり時のノックの発生が抑制される。
【0060】
請求項4記載の本発明の希薄燃焼内燃機関によれば、同一運転域において、特定運転域での出力を確保しながらノックが頻繁に発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関の運転モードについて説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃焼室
2 吸気通路
3 排気通路
4 吸気弁
5 排気弁
6 エアクリーナ
7 スロットル弁
8 インジェクタ(燃料噴射弁)
9 排出ガス浄化用触媒コンバータ(触媒)
2a サージタンク
10 排出ガス再循環装置(EGR装置)
10a EGRバルブ
10b 排気還流通路
11 エアフローセンサ
12 吸気温センサ
13 大気圧センサ
14 スロットルセンサ
15 アイドルスイッチ
16 アイドルスピードコントロールバルブ
16A バイパス路
23 ECU
35 点火プラグ
36 ノックセンサ
50 エアバイパスバルブ(ABV)
50A バイパス路
101 出力運転状態検出手段
102 モード選択手段
103 燃料噴射弁制御手段
104 ノック制御用の点火時期制御手段(制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関のノックを防止するためにノックセンサの出力と運転状態に対応したノック学習値とからノック判定を行なう希薄燃焼内燃機関に関し、特に、燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射内燃機関であってノック制御を行なうものに用いて好適の、希薄燃焼内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
火花点火式内燃機関(一般には、ガソリンエンジン)では、ノック(ノッキング)の発生が過度に生じると機関の出力低下やオーバヒート等の原因ともなり好ましくない。一方、機関の出力を効率よく発生させるには、ノックが発生する直前の状態に点火時期を制御することが好ましい。このため、ノックの発生をその発生直前状態に制御する技術(ノック制御)が開発されている。
【0003】
このノック制御とは、通常、ノックセンサからの出力に基づいて、ノック発生が検出された場合には、ノックセンサ出力に基づくフィードバック制御によりノックが生じない方向(遅角側)に点火時期を変更し、逆に、ノック発生が検出されない場合には、ノックセンサ出力に基づくフィードバック制御によりノックが生じる方向(進角側)に点火時期を変更して、ノックは発生しないがノック発生直前の状態に点火時期を制御しようとする技術である。
【0004】
このようなノック制御においては、オクタン価やエンジンの固体差によりノックの発生状況等が異なるため、ノックが発生しない範囲でノック発生直前の機関の出力を効率よく発生させうる状態に極力近づけるように、ノックセンサ出力に基づくフィードバック制御によりエンジンの運転状態に応じて学習値を求めて、この学習値を更新しながら、常に適切な点火時期が設定されるようにして、ノックセンサ出力とこの学習値とに基づいて点火時期を制御することが知られている(特開昭60−162063号,特開昭59−113267号参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現在市販されているストイキオ運転(空燃比を理論空燃比に制御する運転)とリーン運転(空燃比を理論空燃比よりもリーン側に制御する運転)とをエンジンの運転状態に応じて切り換える希薄燃焼内燃機関において、特に、三元触媒をそなえたものでは、リーン運転域ではNOxの発生を抑制するため、ストイキオ運転域よりも点火時期を遅角側に設定(ノックが発生する点火時期よりも余裕をもって遅角側に設定)しており、この場合、ノック制御用の学習値を更新する運転領域を、ストイキオ運転時とリーン運転時とで同じ領域に設定すると、リーン運転域におけるノックの発生しない運転領域においても学習値が更新されることになる。
【0006】
つまり、ストイキオ運転域とリーン運転域とをカバーする広い領域に亘って学習値を更新すると、リーン運転域でのノックの発生しない運転域でも学習値が更新されて、仮にノックの発生しない運転域での運転状態が継続した場合、点火時期が大きく進角側へ変更されることになり、更新された学習値により不適切に進角調整されるため、リーン運転域からこのリーン運転域よりもノックの発生し易いストイキオ運転域に運転状態が切り換わった場合に、極めてノックが発生し易くなってしまう。
【0007】
なお、三元触媒の代わりにリーンNOx触媒を用いた場合、リーンNOx触媒によるリーン運転域でもNOx浄化効率が高ければ、リーン運転域での点火時期をストイキオ運転時よりも進角側に設定することも可能となるため、ストイキオ運転域の方が、ノックの発生しない運転領域が広くなる場合がある。
また、希薄燃焼内燃機関では、エンジン制御をより精度良く行なうために、エンジンの負荷情報としてエアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evを採用しこの体積効率Evに基づいてノック制御が実施される場合がある。この場合、NOxの浄化に関係なくリーン運転域とストイキオ運転域とで同一Evレベルで学習値の更新を行なうように更新領域を設定すると、実質的な負荷レベルがストイキオ運転域に比べてリーン運転域の方が低いため、ストイキオ運転ではノックが発生する領域であってもリーン運転ではノックが発生しにくい領域で学習値の更新が行なわれてしまうことになり、適切な学習値の更新が行なえない。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、ストイキオ運転域とリーン運転域とで学習値を更新する運転領域を変更するようにして、特に、運転モードの切換後に生じやすいノックの発生を抑制することができるようにした、希薄燃焼内燃機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の希薄燃焼内燃機関は、理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じて切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、機関のノッキングを検出するノックセンサと、該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、上記学習値を更新する運転領域が少なくとも内燃機関の負荷に応じて設定され、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとでノックの発生しやすい領域の狭い一方の運転モードにおける上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値が該領域の広い方のモードにおける負荷対応下限値よりも高く設定されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の本発明の希薄燃焼内燃機関は、請求項1記載の機関において、上記内燃機関は、吸気量又は吸気負圧データにより上記運転モードを設定するように構成され、上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値は、上記ストイキオ運転モードにおける領域よりも上記リーン運転モードにおける領域の方が高く設定されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の本発明の希薄燃焼内燃機関は、理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じる吸気量又は吸気負圧データにより切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、機関のノッキングを検出するノックセンサと、該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値は、上記ストイキオ運転モードにおける領域よりも上記リーン運転モードにおける領域の方が高く設定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4記載の本発明の希薄燃焼内燃機関は、理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じて切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、機関のノッキングを検出するノックセンサと、該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、上記学習値を更新する運転領域は、該内燃機関の負荷に応じて設定され、該運転領域には、上記学習値を遅角側に更新する遅角領域と、上記学習値を進角側に更新する進角領域とがそれぞれ設定されるとともに、該進角領域が設定される負荷対応下限値が該遅角領域が設定される負荷対応下限値よりも低く設定されていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図5は本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を示すもので、これらの図に基づいて説明する。
本希薄燃焼内燃機関は、図3に示すように、吸気,圧縮,膨張,排気の各行程を一作動サイクル中にそなえる内燃機関、即ち4サイクルエンジンであって、火花点火式で、且つ、燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射エンジン(筒内噴射内燃機関)として構成されている。
【0015】
燃焼室1には、吸気通路2および排気通路3が連通しうるように接続されており、吸気通路2と燃焼室1とは吸気弁4によって連通制御されるとともに、排気通路3と燃焼室1とは排気弁5によって連通制御されるようになっている。
また、吸気通路2には、上流側から順にエアクリーナ6およびスロットル弁7が設けられており、排気通路3には、その上流側から順に排出ガス浄化用触媒としての排出ガス浄化用触媒コンバータ9および図示しないマフラ (消音器)が設けられている。なお、吸気通路2には、サージタンク2aが設けられている。
【0016】
また、排出ガス再循環装置(以下、EGR装置という)10が配設されている。つまり、吸気通路2のサージタンク2a部分と排気通路3の上流側とを接続するように排気還流通路10bが設けられており、この排気還流通路10bにはEGRバルブ10aが取り付けられている。
そして、このEGRバルブ10aによって、排気通路3から吸気通路2への排出ガス(排気又は排気ガス又は排ガスともいう)の流量を制御できるようになっている。なお、EGRバルブ10aの制御はエンジンの運転状態に応じて行なわれるようになっている。
【0017】
また、スロットル弁7は図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じて開度が変わり、これにより燃焼室1内に導入される空気量が調整されるようになっている。更に、16は、アイドルスピードコントロールバルブであり、吸気通路2のスロットル弁設置部分をバイパスするバイパス路16Aに設けられ、図示しないステッパモータによって開閉駆動され、主にスロットル弁7全閉又は略全閉時におけるアイドル回転数を微調整している。
【0018】
50はエアバイパスバルブ(ABV)であり、吸気通路2のスロットル弁7設置部分をバイパスするようにスロットル弁7の上流側の吸気通路2とサージタンク2aとを連通するバイパス路50Aに設けられ、スロットル弁7とは別個に吸気量を調整して空燃比を調整しうるものである。
インジェクタ(燃料噴射弁)8は気筒内の燃焼室1へ向けて燃料を直接噴射すべく、その開口を燃焼室1に臨ませるように、配置されている。また、当然ながら、このインジェクタ8は各気筒毎に設けられており、例えば本実施形態のエンジンが直列4気筒エンジンであるとすると、インジェクタ8は4個設けられていることになる。
【0019】
このような構成により、スロットル弁7の開度に応じエアクリーナ6を通じて吸入された空気が吸気弁4の開放により燃焼室1内に吸入され、この燃焼室1内で、吸入された空気とインジェクタ8から直接噴射された燃料とが混合され、燃焼室1内で点火プラグ35を適宜のタイミングで点火させることにより、燃焼せしめられて、エンジントルクを発生させたのち、燃焼室1内から排出ガスとして排気通路3へ排出され、触媒コンバータ(以下、単に触媒ともいう)9で排出ガス中のCO,HC,NOx といった有害成分を浄化されてから、マフラで消音されて大気側へ放出されるようになっている。
【0020】
特に、本エンジンは、空燃比をリーン(燃料希薄状態)にしながら節約運転を行なえるリーンバーンエンジン(希薄燃焼内燃機関)であり、しかも、燃焼室1内に均一に燃料を噴射することで成立しうる予混合燃焼と、燃焼室1内に臨んだ点火プラグ35の周囲に噴射燃料を偏在させることで成立しうる層状リーン燃焼とを運転状態に応じて切り換えることができるエンジンである。
【0021】
そして、本エンジンは、エンジンの運転モードとして、圧縮行程で燃料噴射を行なって層状リーン燃焼を行なう後期リーン燃焼運転モード(後期リーンモード)と、吸気行程で燃料噴射を行なって予混合燃焼を行なう前期リーン燃焼運転モード(前期リーンモード),ストイキオフィードバック燃焼運転モード(ストイキオ運転モード),オープンループ燃焼運転モード(ストイキオ運転モード又はエンリッチ運転モード)の4モードが設けられている。なお、各モードにおいて、EGRを作動させる場合とEGRを停止させる場合とが設定されており、エンジンの運転状態や車両の走行状態等に応じてこれらのモードの何れかが選択され、燃料の供給制御が行なわれる。
【0022】
このため、図1に示すように、ECU23には、各センサ空の出力により、エンジンの運転状態、即ち、エンジンの負荷状態Peとエンジンの機関回転数Neとが入力されるようになっており、ECU23には、運転状態検出手段101から入力されたエンジンの運転状態(ここでは、Pe,Ne)に応じて、上述のような各運転モードを選択する機能(モード選択手段)102が設けられている。ECU23では、さらに、この選択した運転モードに基づいてやはりエンジンの運転状態(Pe,Ne)に応じて空燃比を設定して、この設定した空燃比に基づいて各気筒毎に設けられた燃料噴射弁8による燃料供給を制御する機能(燃料噴射弁制御手段)103が設けられている。
【0023】
一般には、エンジン回転数Ne及びエンジン負荷Peに対して、図3に示すような領域傾向で、エンリッチ運転モード,ストイキオ運転モード,前期リーンモード,後期リーンモードが設定される。
さて、上述のモードのうち、後期リーンモードは、最も希薄な燃焼(空燃比が25〜50程度)を実現できるが、このモードでは、燃料噴射を圧縮行程後期のように極めて点火時期に近い段階で行ない、しかも燃料を点火プラグの近傍に集めて部分的にはリッチにし全体的にはリーンとしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつ節約運転を行なうようにしている。
【0024】
また、前期リーンモードも希薄燃焼(空燃比が18〜22程度)を実現できるが、このモードでは、燃料噴射を後期リーンモードよりも前の吸気行程に行ない、燃料を燃焼室内に拡散させて全体空燃比をリーンにしながら着火性,燃焼安定性を確保しつつある程度の出力を確保するようにして、節約運転を行なうようにしている。
【0025】
ストイキオ運転モードは、O2 センサの出力に基づくフィードバック制御により、空燃比をストイキオ又はストイキオ近傍の状態に維持しながら十分なエンジン出力を効率よく得られるようにしている。このストイキオ運転モードは、ストイキオフィードバック運転モードともいう。
また、オープンループ燃焼運転モード(エンリッチ)では、加速時や発進時等に十分な出力が得られるように、オープンループ制御によりストイキオ又はこれよりもリッチな空燃比での燃焼を行なう。
【0026】
このようにエンジンを制御するために、種々のセンサが設けられており、これらのセンサの一部は運転状態検出手段101を構成する。まず吸気通路2側には、そのエアクリーナ配設部分に、吸入空気量をカルマン渦情報から検出するエアフローセンサ11,吸入空気温度を検出する吸気温センサ12および大気圧を検出する大気圧センサ13が設けられており、そのスロットル弁配設部分に、スロットル弁7の開度を検出するポテンショメータ式のスロットルセンサ14,アイドリング状態を検出するアイドルスイッチ15及びノックセンサ36等が設けられている。
【0027】
さらに、その他のセンサとして、エンジン冷却水温を検出する水温センサ19や、クランク角度を検出するクランク角センサ21(このクランク角センサ21はエンジン回転数を検出する回転数センサも兼ねている)および第1気筒(基準気筒)の上死点を検出するTDCセンサ(気筒判別センサ)22がそれぞれ設けられている。そして、これらのセンサからの検出信号は、電子制御ユニット(ECU)23へ入力されるようになっている。
【0028】
なお、ECU23へは、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ(図示略)やバッテリの電圧を検出するバッテリセンサ(図示略)からの電圧信号や始動時を検出するクランキングスイッチ〔あるいはイグニッションスイッチ(キースイッチ)〕(図示略)からの信号も入力されるようになっている。
【0029】
そして、本エンジンでは、このような種々のセンサ等からの入力データに基づいて各種制御を行なうが、特に、図1に示すように、ECU23内にノック制御を行なう機能〔ノック制御用の点火時期制御手段(単に、制御手段ともいう)〕104が設けられている。
この制御手段104では、図1,図2に示すようにノックセンサ36から出力されるノックデータ(検出情報)ΘK(t)に基づいて、エンジンの運転状態に応じたノック学習値Kを求めこのノック学習値KとノックデータΘK(t)とにより基本点火時期STを補正することで、機関のノックを抑制しながら出力を得られるように機関の点火時期を進角側又は遅角側に調整する。
【0030】
ところで、本機関では、エンジンの運転状態を、エンジン回転数Neと、エンジンの負荷情報としてエアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evとから規定して、エンジンの運転状態を、図4に示すように、エンジン回転数Ne及び体積効率Evでそれぞれ区画されて形成された複数のマトリックス領域(図4中で縦横の破線で区切られた領域)毎に、ノック学習値Kを更新する。体積効率Evを採用するのは、エンジン制御をより精度良く行なうためにである。
【0031】
なお、ノック制御は、主要な運転モード(ストイキオ運転モード,前期リーンモード,後期リーンモード)のうちで、吸気リーン運転時(前期リーンモード時)と吸気ストイキオ運転時(ストイキオ運転モード時)とで行ない、圧縮リーン運転時(後期リーンモード時)には行なわない。これは、圧縮リーン運転時には、点火タイミングが制限され極めて安定した燃焼が行なわれるためノックを招くおそれがないのでノック制御を行なわないのである。また、ストイキオ運転モードと吸気リーンモードでは、エアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST2を設定するのに対して、圧縮リーンモードでは、スロットル開度θthとエンジン回転速度Neとから求められた目標エンジン負荷Peとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST1を設定するようになっている。
【0032】
また、ノック制御を行なうモードのうち、ストイキオ運転時と吸気リーン運転時とでは、基本となる点火時期(基本点火時期)ST2自体が異なるように設定されている。つまり、触媒9が三元触媒であれば、リーン運転域ではNOxの発生を抑制するため、点火時期を余裕をもって遅角側に設定しているが、ストイキオ運転域ではこのような処理は行なっていない。
【0033】
したがって、吸気リーン運転域では、ノックは起こりにくく、このような点火時期を余裕を持って遅角側に設定した状況下でストイキオ運転時と同じ運転領域で学習値Kを更新するように設定した場合、吸気リーン運転域のノックの発生しない領域で継続的に運転が行なわれた場合、進角側に学習値Kが更新されることになる。このため、吸気リーン運転域ではノックは起こらなくても、点火時期を余裕を持って遅角側に設定されていないストイキオ運転域に切り換わったら、点火時期STが大幅に進角側へ調整されることになり、極めてノックを生じやすくなる。
【0034】
そこで、このような吸気リーン運転域での学習値Kの更新にかかる不具合を回避すべく、吸気リーン運転域での学習値Kの更新領域を制限するようにしている。
つまり、エンジン負荷が比較的高い場合はストイキオ運転域と同様に吸気リーン運転域でもノックを生じやすい状況にあるため(即ち、この場合はNOx低減を勘案して設定した点火時期がノック発生限界に近づくため)、エンジン負荷が比較的高い所定領域以上であれば学習値Kの更新領域として適切である。一方、ストイキオ運転域では、エンジン負荷が比較的低い場合からノックを生じやすい状況にあるため、エンジン負荷が比較的低い所定領域以上であれば学習値Kの更新領域として適切である。
【0035】
また、遅角側へ点火時期を補正するのは、ノックが発生した場合にこのノックを抑制しようにとする場合であり、一方、進角側へ点火時期を補正するのは、ノックが発生しないためむしろノックが発生し易い進角側へ補正することでノック発生限界遅角まで良好な燃焼状態を実現して出力を得ようとするためである。進角側への補正はノックを発生しやすくする補正とも言える。したがって、点火時期を積極的に進角側に補正すると運転状態の変化によりノックが頻繁に発生し易くなってしまいドライバビリティの悪化等の問題が生じることから、遅角側へ補正する学習値の更新は、進角側へ補正する学習値の更新よりも優先的に行なうように設定すべきである。
【0036】
本機関では、遅角側へ点火時期を補正する学習値の更新は、エンジン負荷が比較的低い領域から行ない、進角側へ点火時期を補正する学習値の更新は、この遅角側への補正の場合よりも比較的高いエンジン負荷領域で行なうように設定している。即ち、進角側へ学習値を補正する更新領域を遅角側へ学習値を補正する更新領域よりも狭くすることである。
【0037】
特に、本機関では、エンジン負荷に対応する量として体積効率Evを設定しており、図4に示すように、ストイキオ運転域では、体積効率Evのレベルが比較的低い体積効率Ev11以上の領域では、遅角側へ点火時期を補正する学習値の更新を行なうように、学習値の更新領域が設定され、進角側へ点火時期を補正する学習値の更新については、遅角側への学習値の更新領域の下限値Ev11よりも高い体積効率Ev01(Ev01>Ev11)以上の領域で行なうように、学習値の更新領域が設定されている。
【0038】
また、吸気リーン運転域では、体積効率Evのレベルが比較的高い体積効率Ev12以上の領域で、遅角側へ点火時期を補正する学習値の更新を常に行なうように、学習値の更新領域が設定され、進角側へ点火時期を補正する学習値の更新については、遅角側への学習値の更新領域の下限値Ev12よりも高い体積効率Ev02(Ev02>Ev12)以上の領域で行なうように、学習値の更新領域が設定されている。
【0039】
なお、同一運転モードでは、進角側への学習値の更新領域の下限値が遅角側への学習値の更新領域の下限値よりも高い負荷領域に設定されていればよいので、ストイキオ運転時の進角側への学習値更新領域の下限値が吸気リーン運転時の遅角側への学習値更新領域の下限値よりも高くなるように設定してもよい。
本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関は、上述のように構成されているので、例えば図5に示すようにして、ノック制御に関する点火時期制御が行なわれる。
【0040】
つまり、まず、スロットル開度θthとエンジン回転速度Neとから求められた目標エンジン負荷Peと、エアフローセンサ等の出力から算出される体積効率Evと、エンジン回転数Neとを読み込む(ステップS10)。そして、圧縮リーンモードか否かを判定して(ステップS20)、圧縮リーンモードならば、目標エンジン負荷Peとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST1を設定し(ステップS180)、ノック制御は行なわないで、この基本点火時期ST1を点火時期STに設定して(ステップS190)、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0041】
一方、圧縮リーンモードでなければ、吸気リーンモード又はストイキオモードとなるが、この場合は、まず、体積効率Evとエンジン回転数Neとから基本点火時期ST2を設定し(ステップS30)、次に、ノックセンサ出力にノックデータΘK(t)を設定する(ステップS40)。このノックデータΘK(t)は、対応する運転領域の学習値ΘKの更新にも用いられるが、ノックセンサ出力が示すノック発生状態に応じてノック発生傾向ならば遅角側にそうでなければ進角側に設定される。
【0042】
ついで、ストイキオモード(ストイキオフィードバックモード)か否かが判定され(ステップS50)、ストイキオモードならばステップS60へ進み、ノックデータΘKが所定値αより大か否かを判定する。この判定は、ノックデータΘKが進角側へ補正するものか遅角側へ補正するものかを判定するものである。この判定により、ノックデータΘKが所定値α以下であれば、進角側へ補正すべきものであり、ステップS70へ進み、体積効率Evが下限値Ev01以上か否か、即ち、ストイキオモードでの進角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
【0043】
体積効率Evが下限値Ev01以上であれば(ストイキオモードでの進角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β1だけ進角側へ更新して(ステップS120)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS120で進角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0044】
ステップS70で、体積効率Evが下限値Ev01以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0045】
また、ステップS60で、ノックデータΘKが所定値αより大であれば、遅角側へ補正すべきものであり、ステップS80へ進み、体積効率Evが下限値Ev11以上か否か、即ち、ストイキオモードでの遅角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
体積効率Evが下限値Ev11以上であれば(ストイキオモードでの遅角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β2だけ遅角側へ更新して(ステップS130)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS130で遅角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0046】
ステップS80で、体積効率Evが下限値Ev11以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0047】
一方、ステップS50で、ストイキオモードでなければ、吸気リーンモードであり、ステップS90へ進み、ノックデータΘKが所定値αより大か否かを判定する。この判定は、ノックデータΘKが進角側へ補正するものか遅角側へ補正するものかを判定するものである。この判定で、ノックデータΘKが所定値α以下であれば、進角側へ補正すべきものであり、ステップS100へ進み、体積効率Evが下限値Ev02以上か否か、即ち、吸気リーンモードでの進角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
【0048】
体積効率Evが下限値Ev02以上であれば(吸気リーンモードでの進角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β1だけ進角側へ更新して(ステップS140)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS140で進角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0049】
ステップS100で、体積効率Evが下限値Ev02以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0050】
また、ステップS90で、ノックデータΘKが所定値α(αは最大遅角量と0との間の中間的な値)より大であれば、遅角側へ補正すべきものであり、ステップS110へ進み、体積効率Evが下限値Ev12以上か否か、即ち、吸気リーンモードでの遅角側への学習値更新領域であるか否かを判定する。
体積効率Evが下限値Ev12以上であれば(ストイキオモードでの遅角側への学習値更新領域であれば)、学習値KをノックデータΘKに応じた補正量β2だけ遅角側へ更新して(ステップS150)、さらに、ステップS160に進んで、基本点火時期ST2からノックデータΘKとステップS150で遅角側に更新した学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0051】
ステップS110で、体積効率Evが下限値Ev12以上でなければ、学習値Kの更新は行なわないで、ステップS160で、基本点火時期ST2からノックデータΘKと更新しない学習値Kとに基づいて点火時期STを求めて、点火時期STに応じて点火時期信号を出力して点火プラグ35の作動を制御する(ステップS170)。
【0052】
このようにして、本装置によれば、ストイキオモードと吸気リーンモードとで異なる学習値更新領域を設定し、さらに、各モード毎に、遅角側と進角側とで異なる学習値更新領域を設定しているので、学習値更新が適切に行なわれるようになり、例えば、吸気リーン運転域で、NOxの発生を抑制するため点火時期を余裕を持って遅角側に設定した場合にも、吸気リーン運転域でのノックの起こりにくい領域(低負荷領域)での学習値更新が禁止されることになり、ノックが生じやすいストイキオ運転域に切り換わっても、点火時期STが大幅に進角側へ調整されることがなく、ノックの発生を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、遅角側への学習値更新を進角側への学習値更新に対して優先するように設定されているので、この点でもノックの発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、エンリッチ運転モードでのノック制御については、特に記載してはいないが、ストイキオモードの場合と同様に吸気リーンモードの場合よりも学習更新領域を広く設定してノック制御を行なうようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、吸気リーンモードで余裕を持てるように遅角側に点火時期を設定した場合を前提に説明しているが、システムによっては、これが逆になる場合、即ち、吸気リーンモードがストイキオモードよりも進角側に点火時期を設定している場合があり、この場合には、吸気リーンモードでの学習値更新領域の下限値をより低下させ、ストイキオモードでの学習値更新領域の下限値をより増大させて、ストイキオモードでの下限値が吸気リーンモードでの下限値よりも高く設定することが考えられる。
【0055】
また、上記実施形態では、触媒によるNOx浄化効率等を考慮してリーン運転域とストイキオ運転域とで点火時期を異ならせて設定しているが、本発明は、吸気量又は吸気負圧データに基づいて学習値の領域を設定した場合には、触媒によるNOx浄化に関係なく、各運転モードにおいて最適点火時期を設定した場合においても有効である。
【0056】
即ち、同一体積効率において実質的にリーン運転の方がストイキオ運転に比べて負荷レベルが小さいため、ストイキオ運転に対応して学習値の更新領域を設定した場合には、リーン運転域においてノックが不発生の領域まで学習更新領域として含まれてしまうので、ノック学習が不適切なものになる。このため、このような場合でも、リーン運転の学習値を更新する負荷対応下限値(吸気量又は吸気負圧データの下限値)をストイキオ運転に比べて高く設定することが有効となるのである。
【0057】
また、ノックデータΘKが所定値αより大か否かの判定により、進角側か遅角側かを判定しているが、この判定に関して、不感帯を設けて、例えば、α1を正の微小値として、ΘK<α−α1ならば進角側、α+α1<ΘKならば遅角側と判定するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の本発明の希薄燃焼内燃機関によれば、ノック学習値を更新する運転領域を、ストイキオ運転モードとリーン運転モードとで切り換えるように構成されているので、特に、運転モードによってノック発生し易さが異なる場合に運転モードの切換後に生じやすいノックの発生を抑制することができるようになる。
【0059】
請求項2又は3記載の本発明の希薄燃焼内燃機関によれば、吸気量又は吸気負圧データにより運転モードが設定されているので、同一の吸気量又は吸気負圧データで実質的に負荷レベルが異なっても運転状態に応じた運転モードの切換を確実に行なうことができ、しかも、点火時期を遅角側に基本設定されるリーン運転モードにおける領域をストイキオ運転モードにおける領域よりも負荷対応下限値を高く設定することで、リーン運転モードからストイキオ運転モードへの切り換わり時のノックの発生が抑制される。
【0060】
請求項4記載の本発明の希薄燃焼内燃機関によれば、同一運転域において、特定運転域での出力を確保しながらノックが頻繁に発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関の運転モードについて説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態としての希薄燃焼内燃機関を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃焼室
2 吸気通路
3 排気通路
4 吸気弁
5 排気弁
6 エアクリーナ
7 スロットル弁
8 インジェクタ(燃料噴射弁)
9 排出ガス浄化用触媒コンバータ(触媒)
2a サージタンク
10 排出ガス再循環装置(EGR装置)
10a EGRバルブ
10b 排気還流通路
11 エアフローセンサ
12 吸気温センサ
13 大気圧センサ
14 スロットルセンサ
15 アイドルスイッチ
16 アイドルスピードコントロールバルブ
16A バイパス路
23 ECU
35 点火プラグ
36 ノックセンサ
50 エアバイパスバルブ(ABV)
50A バイパス路
101 出力運転状態検出手段
102 モード選択手段
103 燃料噴射弁制御手段
104 ノック制御用の点火時期制御手段(制御手段)
Claims (4)
- 理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じて切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、
機関のノッキングを検出するノックセンサと、
該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、
上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、
上記学習値を更新する運転領域が少なくとも内燃機関の負荷に応じて設定され、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとでノックの発生しやすい領域の狭い一方の運転モードにおける上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値が該領域の広い方のモードにおける負荷対応下限値よりも高く設定されていることを特徴とする、希薄燃焼内燃機関。 - 上記内燃機関は、吸気量又は吸気負圧データにより上記運転モードを設定するように構成され、
上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値は、上記ストイキオ運転モードにおける領域よりも上記リーン運転モードにおける領域の方が高く設定されていることを特徴とする、請求項1記載の希薄燃焼内燃機関。 - 理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じる吸気量又は吸気負圧データにより切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、
機関のノッキングを検出するノックセンサと、
該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、
上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、
上記学習値を更新する運転領域の負荷対応下限値は、上記ストイキオ運転モードにおける領域よりも上記リーン運転モードにおける領域の方が高く設定されていることを特徴とする、希薄燃焼内燃機関。 - 理論空燃比近傍で運転を行なうストイキオ運転モードと、理論空燃比よりも希薄な空燃比領域で運転を行なうリーン運転モードとを、機関運転状態に応じて切り換えることができる火花点火式の希薄燃焼内燃機関であって、排気系に排気浄化触媒を備え、基本的な点火時期が該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで異なるように設定されたものにおいて、
機関のノッキングを検出するノックセンサと、
該ノックセンサ出力から得られるノックデータと該ノックデータ又は該ノックセンサ出力に基づいて求められると共に該ストイキオ運転モードと該リーン運転モードとで共通に 用いられるノック学習値とから機関のノックを抑制するように機関の点火時期を調整する制御手段とを有し、
上記学習値を更新する運転領域を、上記ストイキオ運転モードと上記リーン運転モードとで別設定し、選択されている運転モードに応じた運転領域で上記学習値の更新を行なうように構成されるとともに、
上記学習値を更新する運転領域は、該内燃機関の負荷に応じて設定され、該運転領域には、上記学習値を遅角側に更新する遅角領域と、上記学習値を進角側に更新する進角領域とがそれぞれ設定されるとともに、該進角領域が設定される負荷対応下限値が該遅角領域が設定される負荷対応下限値よりも低く設定されていることを特徴とする、希薄燃焼内燃機関。
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