JP3647929B2 - 導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた導電性と優れた透明性を示す導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法に関する。本発明の導電性微粉末は、非常に微細な粉末であり、プラスチック、ゴム、塗料などの媒体に混入、配合されても可視光線を透過させるので、これらの媒体の色調、透明性を損なうことなく導電性を付与することができる。本発明の方法によって得られる導電性微粉末は、前記特性を利用して、化学繊維、プラスチックフィルムなどへの透明性を有した帯電防止剤として、また静電記録紙、導電性塗料などへの導電性および透明性付与剤として利用される。本発明の導電性微粉末は、水性媒体における分散安定性が優れ、ゼラチン、ポリビニルアルコール、水溶性アクリル樹脂などを媒体とする水系塗料用の導電性微粉末としても有用である。
【0002】
【従来の技術】
アンチモン含有導電性酸化錫粉末は、電子伝導型の導電性機能を呈するところから高分子電解質などのいわゆるイオン伝導型のものに比べ、湿度や温度に対する導電性の安定性が高く、かつ透明性を有するところから近年例えば、塗料、プラスチック、ゴム、繊維などの種々の分野での素材や製品の導電性付与剤としての利用が注目され、急速に適用が図られつつある。
このような粉末の製造方法としては、例えば、加熱水中に、アルコール、塩酸水溶液およびアセトンのうちの1種または2種以上の混合液に塩化錫および塩化アンチモンを溶解した溶液を加えて加水分解する方法(特開昭56-156606 号)、この特開昭56-156606 号の方法において、アルカリを加えてpH8以上に維持して反応させる方法(特開昭57-71822号)などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来法で得られるアンチモンを含有した導電性酸化錫微粉末は、例えばプラスチック、ゴム、塗料などの種々の適用媒体での混入、配合系において、優れた可視光の透過性を有するので、これらの種々の適用媒体の透明性を損なうことなく導電性を付与することができるものである。しかしながら、前記導電性酸化錫粉末の粉体色は、青黒い色調となり易く、これがためこのものを使用した前記種々の適用系において青味色調や暗色化を惹起し易いという欠点がある。その為、各種媒体への配合量を少なくしたり、塗料の場合にあっては、塗布膜厚を薄くしたり、更には該導電性酸化錫粉末のアンチモン含有量の低減といった方法が採用されているが、これらの方法はいずれも適用媒体系での導電性付与特性を著しく損なうものであり、従って、適用媒体系における導電性、透明性、色調の三つの特性を、ともに十分満足させることができず、その解決が強く希求されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、アンチモンを含有した導電性酸化錫微粉末において、前記課題の導電性、透明性を損なわずに青味色調化の低減を図るべく、塩化錫及び塩化アンチモンの溶液の加水分解反応、中和反応などの条件について、詳細に検討を進めた結果、従来より実施されている錫化合物とアンチモン化合物の溶液を中和して酸化錫、酸化アンチモンの水和物の共沈物を得、次いでこのものを焼成する方法に代えて、錫化合物の溶液を中和して酸化錫の水和物を生成させ、次いで該生成物の表面にアンチモン化合物の溶液を中和して酸化アンチモンの水和物を生成させた後分別し、焼成することによって、意外にも青味が非常に少ない導電性アンチモン含有酸化錫微粉末を得ることができること、さらに、前記酸化錫の水和物を生成させる工程及び酸化アンチモンの水和物を生成させる工程の少なくともいづれかの工程においてケイ素化合物を付加処理させることにより、得られる導電性酸化錫微粉末の水性媒体系における分散性及びその安定性を一層優れたものとし得ることの知見を得、これに基づいて本発明を完成したのである。
【0005】
すなわち、本発明は、
1.塩化錫の溶液とアルカリ水溶液とを水中に並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して酸化錫の水和物を生成させ、次いで該生成物の水中に塩化アンチモンの溶液とアルカリ水溶液とを並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して該生成物の表面に酸化アンチモンの水和物を生成させ、しかる後焼成することを特徴とする重量平均粒子径が0.1μm以下、粉体色カラーのb値が−10以上でL値が35以上、及び粉体抵抗が1KΩcm以下である導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法、
2.酸化錫の水和物を生成させる工程及び酸化アンチモンの水和物を生成させる工程の少なくともいづれかの工程においてケイ素化合物を存在させることを特徴とする導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法である。
【0006】
本発明の方法によって得られる導電性アンチモン含有酸化錫微粉末は、重量平均粒子径が0.1μm以下、粉体色カラーのb値が−10以上でL値が35以上、及び粉体抵抗が1KΩcm以下の特性を有するものであり、このものは、錫化合物の溶液を中和して酸化錫の水和物を生成させ、次いで該生成物の表面にアンチモン化合物の溶液を中和して酸化アンチモンの水和物を生成させ、しかる後焼成することによって調製し得る。しかして、ここで用いられる錫化合物としては、塩化第一錫、塩化第二錫などのハロゲン化錫、或いは、酢酸錫、蓚酸錫、硫酸錫、硝酸錫などの錫の有機或いは無機酸塩(第一錫塩、第二錫塩)、錫酸カリウム、錫酸ナトリウムなどの錫酸アルカリ塩などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。中でも塩化錫の塩酸水溶液を用いるのが、工業的にも望ましい。
【0007】
アンチモン化合物としては、塩化アンチモンなどのハロゲン化アンチモン、或いは、アンチモンの硫酸塩などの無機酸塩などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。中でも塩化アンチモンの塩酸水溶液を用いるのが、工業的にも望ましい。
酸化アンチモンの添加量は、酸化錫に対して1〜30重量%、望ましくは5〜20重量%である。
【0008】
ケイ素化合物としては、塩化ケイ素の他に、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩を使用することができる。塩化ケイ素を使用する場合は、アルコール、塩酸水溶液およびアセトンのうちの1種または2種以上の溶液または混合液に0.1〜100g/lの塩化ケイ素を溶解した溶液として使用するのが望ましく、また可溶性ケイ酸塩の場合はそれらの水溶液を使用するのが良い。塩化ケイ素の代わりにシリカゾルを使用することもできる。更には各種シランカップリング剤、シリコーンオイル、コロイダルシリカ等も使用し得る。
ケイ素化合物として塩化ケイ素を使用する場合は、塩化錫或いは塩化アンチモンの各溶液と混合して或いは混合せずに単独の溶液として添加することもできる。またケイ素化合物として可溶性ケイ酸塩を使用する場合には、単独の溶液として或いはアルカリ溶液に溶解した溶液として添加することができる。
酸化ケイ素の添加量は、酸化錫に対して6重量%以下、望ましくは4重量%以下である。
【0009】
本発明方法においてはまず、塩化錫の溶液をアルカリで中和して酸化錫の水和物を生成させる。次いで、塩化アンチモンの溶液をアルカリで中和して酸化アンチモンの水和物を生成させる。
【0010】
また、塩化錫及び塩化アンチモンの各溶液の中和反応は、例えば、(a) 塩化錫或いは塩化アンチモンの各溶液とアルカリ水溶液とを熱水中に並行的に添加して中和する、(b) 塩化錫或いは塩化アンチモンの各溶液中にアルカリ水溶液を添加して中和する、(c) アルカリ水溶液中に塩化錫或いは塩化アンチモンの各溶液を添加して中和する、などの方法が挙げられる。このような方法の中でも特に(a) の方法が工業的には望ましく、この場合中和反応液のpHを3以上、望ましくは5〜10に保持するように行うのがよい。
【0011】
さらに、ケイ素化合物を、酸化錫の水和物を生成させる工程及び酸化アンチモンの水和物を生成させる工程の少なくともいづれかの工程において存在させる場合には、例えば(1)酸化錫の水和物と酸化ケイ素の水和物との共沈物を生成させるように添加したり、(2)酸化錫の水和物を生成させた後、その上に酸化ケイ素の水和物を生成させるように添加したり、(3)酸化アンチモンの水和物と酸化ケイ素の水和物との共沈物を生成させるように添加したり、(4)酸化アンチモンの水和物を生成させた後、その上に酸化ケイ素の水和物を生成させるように添加したりする。
【0012】
本発明方法においては、中和反応を加熱下に或いは熱水中で行うことが望ましいが、加熱することなく室温下に実施することもできる。
中和剤として使用するアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩やアンモニアなどが、また、酸性水溶液としては、塩酸、硫酸などの鉱酸が挙げられ、これらは各々単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。
【0013】
本発明方法においては、次に、中和反応終了後の反応液から生成物を濾過し、必要に応じて洗浄して回収する。この場合、中和反応終了後の反応液に酸を加えて反応液のpHを5以下、望ましくは2〜4に調整した後、生成物を濾過するようにするのが望ましい。中和剤としてアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩を使用する場合は、洗浄不足でアルカリ金属が該生成物に吸着し、残存すると後記の焼成工程でアルカリ金属が、SbのSnO2結晶中への固溶を妨害するので、SbをSnO2結晶中へ固溶させる場合には、アルカリ金属が残存しないように十分な洗浄を行う必要がある。また、酸化錫の水和物を生成させる工程で、中和により発生した塩は、洗浄により取り除いた後、酸化アンチモンの水和物を生成させる工程に供するのが望ましい。
【0014】
回収した生成物は、その後必要に応じて乾燥した後 400〜800 ℃、望ましくは 500〜700 ℃の温度で焼成する。本発明方法においては、沈澱中に酸化ケイ素(含水物)が含まれている場合は、焼成時に、このケイ素化合物が粒子の焼結を抑制し、より微細な粒子が得られる。焼成時間は30分〜5時間が適当である。焼成後常法に従って乾燥、粉砕処理を施して導電性微粉末とする。
【0015】
本発明の導電性アンチモン含有酸化錫微粉末は、プラスチックス、ゴム、繊維などに導電性付与材或いは基体として配合し、導電性樹脂組成物、導電性塗料組成物、磁性塗料、導電性ゴム、導電性繊維などの導電性組成物として利用することができる。
【0016】
導電性樹脂組成物として利用する場合には、いわゆる汎用プラスチックス、エンジニアリングプラスチックスの種々のものを使用し得るが、汎用プラスチックスとしては、例えばポリエチレン、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、メタクリル樹脂、ユリア・メラミン樹脂が、エンジニアリングプラスチック的汎用プラスチックスとしては、例えばフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂が、エンジニアリングプラスチックとしては、例えばエポキシ樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、フッ素樹脂が、また、スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えばジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド、ビスマレイミドトリアジン、ポリアミノビスマレイミド、オレフィンビニルアルコール共重合体、ポリオキシベンジレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられ、これらの樹脂に配合される。導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の前記成形樹脂への配合量は、該樹脂100重量部に対して3〜200重量部、望ましくは10〜100重量部である。
【0017】
本発明の導電性アンチモン含有酸化錫微粉末を、導電性塗料組成物或いは磁性塗料組成物として利用する場合には、種々のバインダー例えばポリビニルアルコール樹脂、塩ビ−酢ビ樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、繊維素樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、セラック、ロジン誘導体、ゴム誘導体などの天然系樹脂などに配合され、水または溶媒中で分散される。導電性アンチモン含有酸化錫微粉末のバインダー樹脂への配合量は、バインダー固形分100重量部に対して3〜200重量部、望ましくは10〜100重量部である。導電性塗料組成物の場合には、該塗料を紙や高分子フィルムなどの絶縁性基体に塗布することにより、該基体上に軽くて透明性や表面平滑性、さらには密着性に優れた導電性塗膜を形成させて、種々の静電防止塗膜、静電記録紙、電子写真複写紙などとすることができる。
【0018】
なお、本発明の方法によって得られる導電性アンチモン含有酸化錫微粉末を、水性系塗料に適用する場合に、該酸化錫微粉末を湿式粉砕処理して水性分散体を調製し、このものを塗料化に供する場合には、塗料化時の分散エネルギーの軽減を図る上で極めて好ましいものである。前記水性分散体の固形分濃度は1〜70重量%、望ましくは10〜50重量%で、pHは4〜12、望ましくは5〜10である。
【0019】
このようにして得られた導電性組成物は、従来の方法により得られたアンチモン含有酸化錫微粉末を含有する導電性組成物と比較して、優れた導電性、透明性を有すると共に、従来にない青味色調の小さい(低減された)ものである。
【0020】
【実施例】
実施例1
90℃の純水5l中に、塩化第二錫5水塩500gを、3N塩酸水溶液500mlに溶解した溶液と、水酸化ナトリウム溶液とを、系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加し、酸化錫の水和物の沈澱物を生成させた。次いで、ここへ塩酸を加えて系のpHを3に調整した後、該沈澱物を濾過し、その後濾液の比抵抗が20000Ωcmになるまで水洗した。得られたケーキを純水5lにレパルプし、90℃に加温後、三塩化アンチモン37.0gを、3N塩酸水溶液300mlに溶解した溶液と、水酸化ナトリウム溶液とを、系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加し、酸化錫の水和物上に酸化アンチモンの水和物を沈着させた。その後、塩酸を加えて系のpHを3に調整し、濾過し、その後濾液の比抵抗が20000Ωcmになるまで水洗した。得られたケーキを電気炉で600℃にて4時間焼成し、パルベライザーで粉砕して、比表面積46.0m2 /g、粉体抵抗4.6Ωcmの導電性微粉末を得た。粉体色カラー(プレス圧力200Kg/cm2 )のb値は−5.8、L値は53.4であった。
【0021】
比較例1
90℃の純水5l中に、塩化第二錫5水塩500g及び三塩化アンチモン37.0gを、3N塩酸水溶液500mlに溶解した溶液と、200g/lの水酸化ナトリウム溶液とを、系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加して酸化錫と酸化アンチモンの水和物の共沈物を生成させた。次にここへ塩酸を加えて系のpHを3に調整した後、該沈澱物を濾過し、その後濾液の比抵抗が20000Ωcmになるまで水洗した。得られたケーキを電気炉で600℃にて4時間焼成し、パルベライザーで粉砕して、比表面積46.1m2 /g、粉体抵抗2.0Ωcmの導電性微粉末を得た。粉体色カラー(プレス圧力200Kg/cm2 )のb値は−12.0、L値は24.0であった。
【0022】
実施例2
90℃の純水5l中に、塩化第二錫5水塩500gを、3N塩酸水溶液500mlに溶解した溶液と、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 として308g)17.4mlと水酸化ナトリウム水溶液とを、系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加して共沈物を生成させた。次いで、ここへ塩酸を加えて系のpHを3に調整した後、該共沈物を濾過し、その後濾液の比抵抗が20000Ωcmになるまで水洗した。得られたケーキを純水5lにレパルプし、90℃に加温後、三塩化アンチモン37.0gを、3N塩酸水溶液300mlに溶解した溶液と、水酸化ナトリウム溶液とを、系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加し、酸化錫と酸化ケイ素の水和物の共沈物上に酸化アンチモンの水和物を沈着させた。その後、塩酸を加えて系のpHを3に調整し、濾過し、濾液の比抵抗が20000Ωcmになるまで水洗した。得られたケーキを電気炉で600℃にて4時間焼成し、パルベライザーで粉砕して、比表面積77.5m2 /g、粉体抵抗2.6Ωcmの導電性微粉末を得た。粉体色カラー(プレス圧力200Kg/cm2 )のb値は−7.8、L値は41.0であった。
【0023】
比較例2
90℃の純水5l中に、塩化第二錫5水塩500g及び三塩化アンチモン37.0gを、3N塩酸水溶液500mlに溶解した溶液と、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 として308g)17.4mlと水酸化ナトリウム溶液とを、系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加して酸化錫と酸化アンチモンと酸化ケイ素の水和物の共沈物を生成させた。次にここへ塩酸を加えて系のpHを3に調整した後、該共沈物を濾過し、その後濾液の比抵抗が20000Ωcmになるまで水洗した。得られたケーキを電気炉で600℃にて4時間焼成し、パルベライザーで粉砕して、比表面積75.0m2 /g、粉体抵抗1.9Ωcmの導電性微粉末を得た。粉体色カラー(プレス圧力200Kg/cm2 )のb値は−13.0、L値は32.0であった。
【0024】
試験例1(粉体抵抗の評価)
試料粉末を100Kg/cm2 の圧力で成型して円柱状圧粉体(直径18mm、厚さ3mm)とし、その直流抵抗を測定して、下記の式から粉体抵抗(Ωcm)を求めた。
粉体抵抗=測定値×2.54 (電極定数) /厚さ(cm)
試料0.1〜0.2gを採取し、150℃で30分間窒素ガス中で脱気した。その後、比表面積測定装置 (フローソーブ2300形、マイクロメリティック社製)を用い、窒素/ヘリウム混合ガス系でBET法により比表面積を測定した。
【0025】
試験例2(粉体色カラーの測定)
試料粉末を200Kg/cm2 の圧力で成型して円柱状圧粉体(直径33mm、厚さ5mm)とし、粉体色カラー(カラーコンピューター、SM−7−IS−2B型、スガ試験機製)を測定した。
【0026】
試験例3
実施例1及び2と、比較例1及び2で得られた試料の導電性微粉末各20gを、アクリル樹脂(アクリディックA−165 −45、固形分45重量%、大日本インキ化学工業製)30.6g、トルエン−ブタノール混合溶液(混合重量比1:1)26.4g及びガラスビーズ50gと混合した後ペイントシェーカー(レッドデビル(Red devil )社、#5110)に入れて20分間振とうしてそれぞれのミルベースを調製した。
次に、各ミルベースに上記アクリル樹脂及び上記トルエン−ブタノール混合溶液をそれぞれ所定量加え、攪拌、混合して表1の各顔料濃度(重量%)塗料を調製した。この塗料をポリエステルフィルム及び白チャート紙に乾燥膜厚が4μm となるように塗布し、40時間自然乾燥して試験シートを作成した。ポリエステルフィルムシートについて、表面抵抗率(Ω/□)を測定(デジタルオームメーター:R−506型、川口電気製作所製)し、白チャート紙シートについて、カラー(カラーコンピューター、SM−7−IS−2B型、スガ試験機製)を測定した。
また、ヘイズ度(%)を測定した(ヘイズメーター:NDH−300A型、日本電色工業製)。これらの結果を表1及び表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
表1及び表2からも明らかなように、本発明によれば、透明性、導電性に優れ、かつ青味色調の小さな導電性アンチモン含有酸化錫微粉末を、工業的有利に製造することができる。
Claims (3)
- 塩化錫の溶液とアルカリ水溶液とを水中に並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して酸化錫の水和物を生成させ、次いで該生成物の水中に塩化アンチモンの溶液とアルカリ水溶液とを並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して該生成物の表面に酸化アンチモンの水和物を生成させ、しかる後焼成することを特徴とする重量平均粒子径が0.1μm以下、粉体色カラーのb値が−10以上でL値が35以上、及び粉体抵抗が1KΩcm以下である導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法。
- 塩化錫の溶液とケイ素化合物の溶液とアルカリ水溶液とを水中に並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して酸化錫と酸化ケイ素の水和物の共沈物を生成させ、次いで該生成物の水中に塩化アンチモンの溶液とアルカリ水溶液とを並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して該生成物の表面に酸化アンチモンの水和物を生成させ、しかる後焼成することを特徴とする重量平均粒子径が0.1μm以下、粉体色カラーのb値が−10以上でL値が35以上、及び粉体抵抗が1KΩcm以下である導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法。
- 塩化錫の溶液とケイ素化合物を溶解したアルカリ水溶液とを水中に並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して酸化錫と酸化ケイ素の水和物の共沈物を生成させ、次いで該生成物の水中に塩化アンチモンの溶液とアルカリ水溶液とを並行的に添加し、中和反応液のpHを3以上に保持しながら中和して該生成物の表面に酸化アンチモンの水和物を生成させ、しかる後焼成することを特徴とする重量平均粒子径が0.1μm以下、粉体色カラーのb値が−10以上でL値が35以上、及び粉体抵抗が1KΩcm以下である導電性アンチモン含有酸化錫微粉末の製造方法。
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