JP3647724B2 - 浄水カートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀処理活性炭を利用した除菌若しくは殺菌機構を有する浄水器及び浄水カートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、活性炭等の吸着材や多孔質中空糸フィルター等の濾材を利用して水道水などを浄化する浄水器及び浄水カートリッジが知られている。これらの浄水器及び浄水カートリッジにおいては、活性炭等の吸着材による吸着作用及び多孔質中空糸フィルター等による濾過作用により、水道水などに含まれる異物や細菌、残留塩素などが取り除かれる。このような浄水器及び浄水カートリッジとして、例えば、特開平08−71541号公報に示される浄水器が提唱されている。
【0003】
一方、粒状活性炭に銀又は銀化合物をコーティングした銀処理活性炭などを用いて銀イオンを水道水などに溶出させて浄水カートリッジ内、又は、浄化された浄水内における雑菌の繁殖を抑制する種々の浄水器及び浄水カートリッジが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記粒状活性炭に銀又は銀化合物を被覆させた銀処理活性炭を用いた浄水器及び浄水カートリッジにおいて、濾過部内の活性炭の充填密度が不安定であったりすると、活性炭充填層に空隙が生じ、所謂、「みずみち」と呼ばれる流体が流れやすい一定の流路が形成されてしまい、銀処理活性炭と水道水などとの接触面積が低下したり、原水が処理されないままリークしたりするという問題があった。この問題は、充填した銀処理活性炭の量に対して除菌効果が十分に発揮されず、コストパフォーマンスが低下するという問題を引き起こす。
【0005】
この問題を解決するために、濾過部内に空隙が生じないように銀処理活性炭を高密度に充填していた。しかし、このようにすると、銀処理活性炭が濾過部内で固定されてしまい、銀処理活性炭と水道水などとの接触面積が低下して銀イオンの浄水中への溶出が極端に少なくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。その目的は、浄水カートリッジ内や浄化された水内の雑菌繁殖を抑制するとともに、除菌若しくは殺菌作用を向上させ、しかも銀処理活性炭の量を少なくしてコストパフォーマンスに優れた浄水器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、中空円筒状の濾過部の開口部を上下一対の蓋体にて閉塞するとともに、上の蓋体に浄水出口を設け、濾過部の外周からの原水が濾過部で濾過されて、浄水出口から流出するようにした濾過器を含む浄水カートリッジにおいて、当該濾過器の濾過部及び上下一対の蓋体によって囲まれる空洞部内の水の流路に、内部を水が通過する筐体を設け、その筐体内には水流により流動分散するように銀処理活性炭粒子を収容したことを特徴とする。
【0008】
流体中において流動分散するように銀処理活性炭粒子を筐体内に収容し、流水中において銀処理活性炭粒子を流動させることにより、銀イオンの溶出量を増大させることができる。そのため、浄水中に銀イオンが有効に溶出し、銀イオンの除菌若しくは殺菌作用により、浄水カートリッジ内、又は、浄化された浄水内における雑菌の繁殖を抑制することができる。しかも、濾過器内に濾過部とは別個に、除菌若しくは殺菌機構としての筐体を設けたため、濾過器の濾過部においては本来の残留塩素除去のみの役割を担い、除菌若しくは殺菌処理の役割は、濾過器の筐体が担うこととなる。そのため、濾過部における、みずみちと呼ばれる流路の形成による銀イオンの溶出の減少という問題を解決することができる。
【0009】
したがって、濾過部においては濾過体を高充填することができるとともに、匿体においては流動分散するように銀処理活性炭を充填することができ、結果として、一体のカートリッジ内において、濾過及び除菌機能の向上を図ることができるとともに、優れたコストパフォーマンスを発揮することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浄水カートリッジにおいて、前記筐体は、上下両端を開放し、その開放部にフィルタを設けたことを特徴とする。
【0011】
濾過器の上下両端が開放されているため、浄水の流入量を増大させることができる。このため、筐体内に銀処理活性炭を高充填することなく、除菌効果を向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の浄水カートリッジにおいて、濾過器の濾過部及び上下一対の蓋体によって囲まれる円筒状の空洞部内に、濾過器の上下両端に開口した連絡路が貫通していることを特徴とする。
【0013】
連絡路を、濾過器の濾過部及び上下一対の蓋体によって囲まれる円筒状の空洞部内に設けることにより、大きな設計変更を伴なうことなく、浄水カートリッジによる除菌若しくは殺菌効果を増大させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1,2に従って説明する。
なお、この明細書の説明にあたっては、濾過器14の外周とケース11の内壁との間の領域を「側部領域」といい、濾過器14の上端とケース蓋12との間の領域を「上部領域」といい、濾過器14の下端とケース11の内壁との間の領域を「下部領域」という。
【0015】
図1に示される通り、浄水器は、有底円筒状のケース11と、ケース11の上端開口を密閉するケース蓋12と、ケース蓋12をケース11に固定・密着するための止め具13及び内部に設置された濾過器14とを備えている。
【0016】
尚、ケース11と、ケース蓋12との間には、水密性を保持するためのパッキン15が設けられている。また、ケース蓋12は、原水を流入させるための流入口17と、濾過された浄水を流出させるための流出口18とを備えている。
【0017】
前記濾過器14は、その蓋体19aに設けられた支持部23の雄ねじ29を、ケース蓋12の流出口18に設けられた雌ねじ30と螺合させることにより、ケース蓋12に垂下固定されている。その際、濾過器14の上端、外周、下端と、それぞれに対応するケース11の内壁又はケース蓋12との間には、前述したように、一定の間隔(上部領域、側部領域、下部領域)が設けられている。従って、流入口17から供給された原水は、これらの各領域に注入される。
【0018】
次に、図2に示すとおり、濾過器14は、上下一対の蓋体19a,19bと、濾過部24と、連絡路22と、除菌処理機構としての筐体41とを組み合わせることによって構成される。濾過部24は、前記蓋体19a,19bと、それぞれ多孔質材料よりなる内フィルタ20及び外フィルタ21と、それらの間に充填された粒状活性炭よりなる濾材47とにより構成される。
【0019】
連絡路22は、中空部材27及び筐体41内の筐体連絡路44により形成され、濾過器14の上下の蓋体19a,19b間に区画形成されている。また、内フィルタ20と一対の蓋体19a,19bとの間には、空洞部25が形成されている。
【0020】
支持部23は、ケース蓋12の流出口18と空洞部25とを連通する流出路31を備えている。また、上下一対の蓋体19a,19bの適所には、連絡路22の一端を形成する連絡孔26がそれぞれ設けられている。
【0021】
筐体41は前記空洞部25内の流路終端部(上端部)に配置固定され、上下両端のほぼ全体を開放したケース42と、その開放部に設けられた合成樹脂からなるフィルタ43a,43bとからなる。また、筐体41内には連絡孔26の上端部となる筐体連絡路44が設けられている。そして、筐体41内には、除菌作用を呈する銀又は銀化合物が粒状活性炭の表面に被覆された銀処理活性炭粒子48が、流体中において水流により流動分散するように収容されている。この銀処理活性炭粒子48の収容域は、筐体41の内部容積の半分から4分の3程度である。なお、この銀処理活性炭粒子48の収容域は、特に限定されるものではなく、銀処理活性炭粒子48が筐体41内において流動分散できる程度の間隙があればよい。
【0022】
さて、図1,2に示すように、ケース蓋12の流入口17から供給された原水は、ケース11本体内の上部領域、側部領域、下部領域及び連絡路22を満たす。そして、側部領域における原水が濾過器14内に移動する。そのため、供給された原水は、外フィルタ21、濾過部24、内フィルタ20、空洞部25と順次通過する。ここにおいて、濾過部24に充填された活性炭が残留塩素やトリハロメタン等の不純物の除去や吸着する機能を発揮し、濾過器14は、原水を浄化する。
【0023】
そして、濾過部24により浄化された浄水は、空洞部25から筐体41、ケース蓋12の流出路31へと順次通過する。ここで、筐体41内には、除菌若しくは殺菌作用を呈する銀又は銀化合物が粒状活性炭の表面に被覆された銀処理活性炭粒子48が、水流により流動分散するように収容されている。そのため、筐体41のフィルタ43bを通過した浄水に、銀処理活性炭の銀又は銀化合物が溶出することにより銀イオンが添加されることになる。これにより、浄水カートリッジ内、又は浄水中における雑菌の繁殖を抑制することができる。そして、銀処理活性炭粒子48が流動分散されるため、浄水が筐体41内を通過する浄水と銀処理活性炭粒子48との接触が筐体41内において均一に行われる。これにより、流量の低下、早期の目詰まり等を防止することができ、また、銀処理活性炭による除菌若しくは殺菌作用を効果的に発揮することができる。
【0024】
一方、濾過器14の上下の蓋体19a,19b間に上下両端を開放した連絡路22を区画形成したことにより、連絡路22は下部領域と上部領域とを連通する働きをなす。これにより、下部領域に新たな原水の流出入路を設けることとなり、浄水器の下部領域で滞留している原水の流動を変化させることとなる。即ち、原水は、上部領域から連絡路を通じて下部領域へ流入し、それに伴い、下部領域から側部領域に向かって流出するようになる。従って、連絡路22は、下部領域における原水の新たな流入経路として機能し、浄水器において滞留しやすい下部領域における原水の流出入量を増大させる働きをなす。
【0025】
上記一実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 流体中において流動分散するように銀処理活性炭粒子48を筐体41内に収容したことにより、浄水中に銀イオンが有効に溶出し、銀イオンの除菌若しくは殺菌作用により、浄水カートリッジ内、又は、浄化された浄水内における雑菌の繁殖を抑制することができる。
【0026】
・ 銀処理活性炭粒子48が水流により流動分散するため、筐体41内に、みずみちと呼ばれる流路を形成することを防止することができる。これにより、浄水と銀処理活性炭粒子48との接触面積を有効に確保することができ、そのため、充填した銀処理活性炭粒子48の量に比例した除菌効果が発揮されることが期待でき、コストパフォーマンスを向上させることができる。
【0027】
・ 濾過器14の上下両端のほぼ全体が開放されているため、充分な量の浄水を濾過器14内に導くことができ、また、濾過表面積を大きくできるため、濾量処理量を増大させることができる。
【0028】
尚、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、この発明の趣旨から逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して具体化することも可能である。
【0029】
・ 連絡路22を省略すること。このように構成しても、前記実施形態と同様な効果を得ることができる。
・ 筐体41を空洞部25内の上下中間部または下部に設けること。
【0030】
次に上記実施形態及び別例から把握できる請求項に記載した以外の技術的思想について、それらの効果とともに以下に記載する。
・ 請求項1〜3のいずれかにおいて、銀処理活性炭粒子48の占める領域が濾過器14の内部容積の半分〜4分の3の範囲内にある浄水カートリッジ。このように構成すれば、水流中において銀処理活性炭粒子48を有効に流動分散させることができ、銀イオンを有効に溶出させることができる。
【0031】
・ 銀処理活性炭粒子48は、その表面を銀または銀化合物で被覆した浄水カートリッジ。
【0032】
【発明の効果】
以上、詳述したように、この発明は、銀処理活性炭粒子を筐体内に流動分散可能に収容したことにより、浄水中に銀イオンが有効に溶出し、銀イオンの除菌若しくは殺菌作用により、雑菌の繁殖を抑制することができる。しかも、銀処理活性炭粒子が水流により流動分散するため、筐体内に、みずみちと呼ばれる流路を形成することなく、浄水と銀処理活性炭との接触面積を確保することができるため、充填した銀処理活性炭の量に比例した除菌効果が発揮されることが期待でき、コストパフォーマンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の浄水器及び浄水カートリッジを示す断面図。
【図2】 実施形態の浄水カートリッジを示す断面図。
【符号の説明】
14…濾過器、19a,19b…蓋体、20…内フィルタ、21…外フィルタ、22…連絡路、24…濾過部、25…空洞部、26…連絡孔、41…筐体、42…ケース、43a,43b…フィルタ、47…濾材、48…銀処理活性炭粒子。
Claims (3)
- 中空円筒状の濾過部の開口部を上下一対の蓋体にて閉塞するとともに、上の蓋体に浄水出口を設け、濾過部の外周からの原水が濾過部で濾過されて、浄水出口から流出するようにした濾過器を含む浄水カートリッジにおいて、
当該濾過器の濾過部及び上下一対の蓋体によって囲まれる空洞部内の水の流路に、内部を水が通過する筐体を設け、その筐体内には水流により流動分散するように銀処理活性炭粒子を収容したことを特徴とする浄水カートリッジ。 - 前記筐体は、上下両端を開放し、その開放部にフィルタを設けたことを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。
- 濾過器の濾過部及び上下一対の蓋体によって囲まれる円筒状の空洞部内に、濾過器の上下両端に開口した連絡路が貫通していることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水カートリッジ。
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